思い出作りになるのかな

2022.07.25

「明日は私実家に行ってくるわ、ビール、もらっちゃったから持って行ってってお母さんから連絡もらったからさ。」

「そうなんだ。こっちは明日はね、午前中に東林間にIさんの現場で打ち合わせて、そのあとは町田のさんがいよいよ塗装をするので、その塗り方を教えに行ってくるよ。」と伝えて、「じゃあ、帰りに立ち寄るよ。」という約束をして、まずは日曜日の午前中はIさんのリノベーションの現場まで。

ちょうど解体が終わったところということで、現場確認するのによいタイミング。日曜なのに監督さんもいらしてくださって。

「いやあ、実はこのパネルの納め方がね、どちらが良いのか確認したくてね。」とゆったりした物腰でお話しされる年輩の監督さんでしたが、気づくところが細かくて家具屋が気にするところを指摘してくれて、やはり年季が入った方は見るところがきちんとされていてひと安心。

納期についても私たちが立て込んでしまっているのを融通を聞かせてくださって、キッチンだけは少し遅れても大丈夫な状況を組んで頂いて、ありがたい限りです。

それでは頑張って制作に入りますね。

その足で町田まで。

「シンク下の引き出しが配水管のエルボを閉めるナットにちょっとこすってしまうのですよ。」と伊藤さんに言われて、再加工した引き出しをセットしたら、あとはSさんが来られるのを待つだけ。

そうか、そうだったのか、とこのできあがった空間を見てあらためて納得したのでした。

Sさん、スクラップブックにきれいにたくさんのインテリアの事例を切り抜いて、毎回の打ち合わせごとに持ってきてくださって、そのたびに載りが乾いてしまった写真が数枚ひらひらと落ちるのですが、それも丁寧に集めていらっしゃって、私はてっきりさんの思いを全部聞けていたと思っていたのですが、そうか、こういう印象にしたかったのか、とあらためて気づかされました。

築15年、20年くらいのこの家は良くあるオレフィン化粧板の建具が入っていたのですが、それをSさんご家族皆さんで塗装したそうで、うまく木目柄の凹凸だけが残って、ブルーグレーに塗りつぶされて、さらにはみんなの塗りの腰やらがかえって良い表情になっていて、この場所によく似合っている。

タイルの色やキッチンの背面の壁の色などうんうんとうなずく組み合わせで、こういう空間にしたかったのですね。そこまで気が付けずにすみません。なんて一人でうなずいておりましたら、

「こんにちはー。」と大きな声でお兄ちゃんが入ってきた。

「こんにちは、もう夏休み?」

「ううん、まだなの。」と言っておりましたが、肌はすっかり日焼けして真っ黒、表情は塗装が楽しみなようでニコニコしています。

続いてお姉ちゃんも同じく日焼けして、打ち合わせの時の物静かな印象はどこにもなく、溌溂とした表情で「こんにちは。」

Sさんも間もなくやってきて、ご主人もやって来た、ヤァヤァヤァ。

まずは引き出しの外し方を説明して、なかなか容量の良いお兄ちゃんがお母さんやお父さんに説明をしてあげたりして。

全ての引き出しを外した後は毛羽だった表面をやすりで磨いて・・、と説明しているうちに今度もお兄ちゃんがすでに始めている。

「そんなにごしごし磨きすぎなくて大丈夫だよ。」とお父さんが伝えるけれども、「ほらここがちょっとケバケバしていて・・。」と、おっこれは意外と細かい仕事が好きなのかな・・。とちょっと期待する私。

磨いた後にオイルを塗りすぎないように延ばしながら塗っていきます、という説明の時も一生懸命研磨を続けて。お姉ちゃんは手つきが成れているのがとても丁寧で過度になることなく表面をきれいにしていきます。

と、塗り方拭き取り方を一通り説明して、さてこれで説明は終わりましたので、みんなで頑張ってくださいね、と伝えようとしたら、お兄ちゃん、なぜかふてくされてしまって・・。

お父さんとお母さん曰く、どうやら疲れてしまったらしい。

おやおや、これから大変なところですが頑張ってくださいね、良い自由研究の課題になったのではないでしょうか。いろいろなことに興味を持つこと、ワクワクすることはとても心地よいものですものね。

では、次回はお引越しされた頃にあらためてお伺いします、ありがとうございました。

と、さようならを告げた後は、アキコの実家まで。