路地

2022.11.28

今日は茗荷谷まで出掛けておりました。

来年早々にキッチンの設置を行なうIさんの現地確認だったのです。

アイランドキッチンなので大工さんの作業や内装仕上げの絡みは少ないのでそのあたりの心配はなかったのですが、Iさんから搬入がなかなか大変という話を聞いていたのでそのあたりを確認に出かけておりました。

駅に降りて、スマートフォンの地図を確認しながら向かったのですが、歩いてゆけても車が通れない場所があったりして、これはこれはと頭を悩ませながらぐるりと迂回して車が通れる道を探しまして、現場に到着。それでもIさんのおっしゃる通りにトラックがギリギリ入れるかどうかの感じ。

もう一つの心配が搬入。キッチンが2階になるのですが、バルコニーに腰くらいの高さの壁ができてしまうので、今回計画している5.0ミリのバイブレーションの天板(100kgくらいになるかなあ・・。)を揚げるにはどうしようかとずっと悩んでいたのでした。設置日まで足場は残されているというからどうにか屋外から上げるかなあ・・、でもアルミの笠木を傷めそうでおっかないなあなんて思っていたのですが、監督さんと大工さんにご協力頂けて、階段をキッチン設置後に浸けて頂くことで、どうにか屋内から荷揚げできそうになったのでした。大変助かります、ありがとうございます。

あとはとても段取りよく進めてくださっておられて、配管もすでにきれいに施工されていたので、納まりの打ち合わせも終わり。平日なのに時間を設けてくださったIさんとも最終確認ができたので、これでいよいよ制作に取り掛かれます。

では、これから取り掛かりますね、とお伝えして現場を後にしたのでした。

そういえば、この場所からならば祖父母の家が近かったなあ、なんて思い出し、すこし早めに打ち合わせが終わったので、後楽園駅まで遠回りしながら帰ってみることに。

自分が中学校の時以来このあたりにはきちんと来ていなかったからなあ、こっちだっけなあ・・、と昔の記憶を頼りに歩いていきます。

子どもの頃は、夏と正月には必ずここに来てたっけ。

後楽園駅で降りてドンチャックの大きな看板を恨めしそうに見ながら、そこからバスに乗ってきてたんだよね。こうして歩くと大した距離じゃなかったけれど、当時は私とユウ(弟です)が変に道草しないように二人の手を引いて歩くのは母にとって大変だったろうから、まずはバスに乗せちゃえってことだったのかな。

たしかにあの頃はドンチャックのある遊園地と本屋さんとおもちゃ屋さんはキラキラして見えたものね。

それで、たしか公園の前のバス停で降りたはず・・っと、それらしい道を入ってもちょっと違う。
無くなっちゃったろうか‥、35年くらい前のことだからなあ。

なんて何度か行き来していると、覚えのある路地が。
そうそう、このお肉屋さんがあった。そして、お豆腐屋さんも近くにあっていつもこのあたりは油揚げの匂いがしていたような。

そして、このあたりの道路が緑色(スクールゾーン?)だったはずなのに、今はもうそれは無くなっていて見落としていたのですが、お肉屋さんのそばの道を曲がると懐かしい路地が。

ここを曲がると通称「よっちゃんイカの工場」があって、そこを過ぎると駄菓子屋を営んでいた祖父母の家に辿り着くのでした。「よっちゃんイカ」というのは私とユウの想像で、たしか酢酸のような酸っぱい匂いがしているいつもシャッターが空いてフォークリフトが中にある大きな真っ暗な倉庫のような場所があって、子供心にちょっと怖くて、危険なものを作っているんじゃないか、なんて思っていたのです。

ああ、あった。

すっかりきれいな小ぶりな集合住宅に変わってしまっていましたが、お向かいの家の表札はまだ同じ方が住んでいるようでしたし、(あの錆びだらけのトロッコは無くなっていましたが。)当時からとても古かったお隣のアパートは今も当時のまま建っていてどなたか住んでいるようでした。すてきです。

そして、祖父母の家には風呂がなかったので、泊りに来るといつもみんなで銭湯に行ってたっけ。この写真の突きあたりに行くとたしか人一人くらいしか通れないような路地になっていて、夕暮れ時にだんだんと人の顔がシルエットになってくる頃にこの道を抜けていると、自分たちがどこに行ってしまうのだろう‥、ってもの淋しい思いがしていたっけな。途中で急に開けて地佐那児童公園があったりしてちょっとびっくりして、次第に湯気が立つ路地に辿り着いて石鹸の匂いなんかしてきて、ああ、やっぱり戻ってこられたなあ、なんて変に安心したりして。

そんなふうに30分ほど散歩して懐かしく、ちょっとうれしく、淋しい気持ちになりながら駅へ向かうと、こんにゃく閻魔様もその隣の中華料理屋さんも本屋さんも当時のままで、今日は自分にとっての小旅行のような時間でした。

母が無くなって今月でもう1年が経ちました。

お母ちゃん、どうにか頑張っておりますので、ご心配なく。