影ゆらゆら

「クォーツストーンとウレタンホワイト塗装仕上げのセパレートキッチンとテレビボード」

茅ヶ崎 Y様

design:MA設計室fukuhara/daisuke imai
planning:MA設計室fukuhara/daisuke imai
producer:iku nogami/daisuke hirose
painting:haraki tosou

クォーツストーン「ビコストーン」キッチンワークトップ
リビングから見た様子。この右隣が玄関なので、玄関を開けるとこの空間が現れます。真っ白ではない優しいグレーの印象が目に入ってくるのです。
クォーツストーンとウレタンホワイト塗装仕上げのシンク側アイランドカウンター
シンク側アイランドカウンターの様子。今回、室内の壁をベンジャミンムーアの色に合わせて塗装して仕上げてあり、その色に合わせて、キッチンや家具もすべて表面は同じグレー(ほんのり暖色系のグレー)に塗装して仕上げています。天板は、ビコストーンというクォーツストーンを厚み45ミリで仕上げています。シンクはコーナー7Rのステンレスプレスシンク。シンク前には、タオルバーの隣に小さなコンセントがついたシンプルなデザイン。
クォーツストーンとウレタンホワイト塗装仕上げのセパレートキッチン
Yさんがキッチンに立った様子。リビング側はそのままカウンターテーブルとして使えるようなデザインになっています。

建築設計の仕事をしている福原正芳さんとは、もう四半世紀(一度この言葉を言ってみたかったのです。25年ですね。)のお付き合いです。
私が10代の終わりに通った専門学校「ICSカレッジオブアーツ」で出会ったのがきっかけです。
もともと人見知りなので、なかなかいろいろなことを話せる友人はできないだろうと思っていたのですが、ここで出会った人たちは今でも仕事やそれ以上でのお付き合いができていてうれしいご縁なのであります。
そして、当時大学生で、さらにこの学校にも通っていた彼には、いろいろな良い影響を頂くことができて、今の自分の家具つくりの在り方のもとにもなっているといっていいくらい魅力的な人物です。
そして、卒業するころに、いつか福原さんの家のキッチンを私が作って、わが家を福原さんが設計するという願いはきちんと実現できました。

【福原さんの家】
よく食べてよくたべる

【私の家】
私のアトリエ、まずはキッチン

キッチン推薦はKWCのKW0151102700R
水栓器具はKWC社の吐水レバーが特徴的な水栓。
シンク下の引き出しの様子。引き出しのレールはハーフェレのノヴァプロスカラ
シンク下の引き出しの様子。今回引き出し金物はすべてハーフェレ社のもので、こちらのような一般的な引き出しはノヴァプロスカラを採用しています。
シンク下の引き出しの様子。引き出しのレールはハーフェレのノヴァプロスカラ
こちらはシンクした最下段の引き出し。
シンク右横はカトラリー用の引き出し
シンク右隣の上段はカトラリー用の引き出しになっています。
クォーツストーンとウレタンホワイト塗装仕上げのセパレートキッチン
その下左側は、タッパーを活用して引き出しのようにして使う収納に。
アイランドカウンターの恥には引き出し収納式のごみ箱を備えています
一番右端は引き出し式のごみ箱になっています。

その彼からあらためて「キッチンや家具の相談をしたいんだよね。」と言われたのがこのYさんのお話でした。
すごくモダンな暮らしをされている家があるのを彼がこの茅ケ崎に越して間もなくから思っていたのだそうです。
そのお住まいの主が実は福原さんの家のそばに越してきていて暮らしていらっしゃったことを知った時な福原さんも驚いたそうですが、何よりも福原さんの仕事をいつの間にか見ていてくださって、「あなたは設計のお仕事をされていらっしゃるのよね。実はリノベーションをお願いしたいのよ。」と唐突に声をかけてもらえたことがそれはもううれしい出来事だったようです。
「見ていてくれる人はいるんだねえ。」としみじみ言っていましたっけ。

クォーツストーンとウレタンホワイト塗装仕上げのセパレートキッチン
カウンターテーブルの印象。とてもやさしい明かりが下りてきているのです。

福原さんと仕事をするときは、家具の設計自体も福原さんがほとんどできちゃいますので、私はあまり口出しをしないで、細かい納まりなどを検討していくという部分を担当するので、Yさんの佇まいや暮らし方は福原さんを通じてしか知ることがなく、工事完了までには2回ほどお会いできただけでしたが、Yさん、とてもモダンな考えを持っていらっしゃる方、というかさっぱりした考え方をお持ちで、「必要なものだけあればよくて、それは特に大きくこだわることなく、気持ちよく使えることが一番。」という印象に見えたのでした。

「ものをしまうところは一般的なサイズがあれば、あとはしまい方を工夫するから大丈夫よ。」という感じでした。 ただ、使っていて心地よいサイズ感って必ずありまして、それは福原さんがきちんと知っているので、その感覚を私は頂きながら、実際に作るための数値化していく、という作業でした。

クォーツストーンとウレタンホワイト塗装仕上げのセパレートキッチン
全体の印象とコンロ側の壁付けキッチンの全容。今回は背面のパネルもクォーツストーンで制作し、さらに吊戸棚の奥に照明を組み込むかなり複雑な納まりになっています。そして、扉は手掛けをつけないで、すべてプッシュ式の扉になっているかなりミニマルなデザインです。
クォーツストーンとウレタンホワイト塗装仕上げのセパレートキッチン
右奥の収納部は家電がしまわれていて、スライドして引き出せるような形にしています。
ガスコンロはリンナイの4口コンロ「RD641STS」
そして、中央部が加熱調理スペース。今回は魚焼きグリルのないリンナイの4口コンロ、RD641STSを採用しています。その下には、ミーレのオーブンを導入しています。

そのさっぱりした印象は家具の意匠にもよく表れていて、私が主体で考えちゃうと、もっと小口が現れた形になったり、木目の表情を大きく出したりしそうですが、今回は主に「白」。でもただ白いのではなく、少しトーンが落ちて、よく見るとグレーがきちんと入った「白」。いうのは簡単だけれど、難しい色だったのです・・。
形がシンプルに見えるほど、実はそのための構造が複雑だったりするわけで、今回も1枚の板を隠すために構造を工夫したりと、塗装の色以上に作りも大変だったのです。
さらには、築40年経つ集合住宅をほぼスケルトンにしてリノベーションを行なったのですが、壁の立ち具合や床の不陸までは取り切れないので、そのあたりをうまく収めるのがまた大変な作業でした。
施工業者であるエスエスさん(実は13年前にキッチンを納品したIさん「morning sun」を施工していた工務店さん。あの頃から年賀状のやり取りをさせて頂いていて、今回一緒にお仕事させて頂くことになったのでした。)も頭を抱えながらもきれいに仕上げてくださって、こうして落ち着いたトーンの落ちた白い空間ができあがったのでした。

ガスコンロ周りの引き出しの様子
下の引き出しの様子。上段は浅い引き出し。
ガスコンロ周りの引き出しの様子
下段は深い引き出しですが、内引き出しが隠れております。
ガスコンロ周りの引き出しの様子
そのうち引き出しの様子。
ガスコンロ周りの引き出しの様子
オーブン横の小さな引き出し。
ガスコンロ周りの引き出しの様子。こちらはハーフェレのフレームバスケット「コンフォートⅡ」
オーブン横の小さな引き出しの下段はハーフェレのフレームバスケット「コンフォートⅡ」を採用しています。
ガスコンロ周りの引き出しの様子。こちらはハーフェレのフレームバスケット「コンフォートⅡ」
こちらも同じくフレームバスケット「コンフォートⅡ」。

無事にお引き渡しが行なわれて、お引っ越しも無事に済んでようやくYさんときちんとお話ができるタイミングがやってきました。
福原さんがこの仕事の当初から言っていた、道路から室内を見ると目に留まったというこのモダンなソファ(名前を忘れてしまいました)がリビングにきちんと納まっていて、「このソファが収まる空間にできたことはうれしいことです。」とYさんと福原さん。
以前の家を出払ってしまって、この集合住宅に移った時にはソファが入らなくてずっと預けたままだったそうで、この空間は念願だったのだそうです。

ガスコンロ周りの引き出しの様子
一番左端の引き出しの様子。下に滑り止めを敷いていて、開けると調理道具が整然とまるで美術館の展示品のように並べられているところが気持ちよい。
ガスコンロ周りの引き出しの様子
その下の引き出しの様子。
ガスコンロ周りの引き出しの様子
一番下の引き出し。

そして、「影がきれいに映るのよね。」とYさん。
以前のここは、普通にリフォームされたままの状態で住んでいらっしゃったので、キッチンや床や壁の色はそれなりの色で散らばっていたのですが、今回はこの色でまとまっているからか、それぞれのものが暮らしの動作がきちんとよく分かる。
「そうでしょう。」とうれしそうに福原さん。

よいお仕事をさせて頂きまして、ありがとうございました。

クォーツストーンとウレタンホワイト塗装仕上げのテレビ台兼下足入れ
キッチンに立った時に見える玄関とリビングを仕切るテレビボード兼下足入れとなる家具。
クォーツストーンとウレタンホワイト塗装仕上げのテレビ台兼下足入れ
下足入れはこのような感じ。細かいものをしまう引き出しを備えていて、あとは靴を入れるスペース。ちょっと変わっているのは、写真には写っていないのですが、テレビの下に収納されているBDレコーダーが下足入れ側から出し入れするようになっているという点。福原さんらしい複雑な設計。
クォーツストーンとウレタンホワイト塗装仕上げのテレビ台兼下足入れ
リビングから見えるとこのような感じ。テレビは壁掛けになっていて、その下に目地が見える部分が小さな扉になっていて、そこを開けるとレコーダーが顔を出す。また、この家具はものすごく重いのですが、福原さんがどうしても実現させたいということで、下が抜けたデザインになっているのです。
クォーツストーンとウレタンホワイト塗装仕上げのセパレートキッチン
Yさんがおっしゃっていた影は本当にやさしく映っておりました。
天板 クォーツストーン「ビコストーン」
前板・扉 ウレタンホワイト塗装仕上げ
本体外側 ウレタンホワイト塗装仕上げ
本体内側 ポリエステル化粧板
塗装 ウレタンホワイト塗装仕上げ
キッチン仕上げ

クォーツストーンとウレタンホワイト塗装仕上げのセパレートキッチン

価格:2,280,000円(制作費、塗装費のみ、設備機器費用は別)

 

ウレタンホワイト塗装仕上げのセパレートキッチンとテレビボード

価格:540,000円(制作費、塗装費)

 
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は60,000円から、取付施工費は240,000円から)

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