引き出しのベアリングレール
2024.11.23
Yさんから久しぶりにお声が掛かりました。
「小さいけれど頼もしい腕」のYさんです。
11年前にマンションのキッチン対面カウンターの下にデスク付きのサイドボードを作らせて頂いたのですが、その引き出しの一つの動きがぎくしゃくするのだそうで。
11年も経つとベアリングも劣化してきたのかなあ。
そうそう、あのあとに作らせてもらった猫が遊べる本棚のその後の様子も見てみたいのだった、ということで、本日レールを持参してお伺いすることに。アキコに話してみると家具の様子を見てみたい、ということで二人で出掛けたのでした。
藤沢の駅のそばということであのあたりはいつも渋滞しているのが気になっていたので、電車で行こうとさっそく出掛けたのですが、時刻表を平日と読み間違っちゃって、駅についた途端に電車が目の前で通り過ぎていってしまって・・。
いかん・・。
そういえば、Yさんにはなんだか格好悪いというかどうしようもないところばかり見られていたっけ・・。
最初のサイドボードの打ち合わせに行った時には打ち合わせ中に我慢して正座して話を進めていたら、すっかり足が痺れてしまって、「大丈夫ですよ。」なんて言いながら、靴を履いて帰ろうとしたときに足首が動かなくなってしまったそのまま玄関でドォーンという轟音と共にもんどりうってしまったことがあったっけ。
2回目の猫本棚の打ち合わせに行った時も9時の約束をてっきり10時と勘違いしていて、9時になっても到着しない私を見かねてYさんからお電話を頂いてしまったりして。
今日も電車を間違ってしまったのでこれでは10分ばかり遅刻してしまいそうだ・・。
10時にYさんに連絡を入れて、少々遅れて到着。たいへんお久しぶりです。
「わあ、イマイさんお久しぶりです。」
「2回目の猫本棚が納まった様子をきちんと見られていなかったので9年振りですね。今日は妻も家具を見たいということで一緒に来ました、失礼します。」
と、お邪魔させて頂くと、懐かしい2台の家具が迎えてくれました。
「実はイマイさん、修理してもらうのに中身を出してみたら何だか引き出しの動きが良くなったみたいでして。」
なるほど。たしかにレールの故障はないようです。
すると、ははあーさてはあれですね。
この引き出しの側面に取り付けるベアリングレールというのは、おそらくどこのメーカーも共通して起こるのではないかと思われるのですが、普段は引き出しの中の手前のものばかり出し入れしていて、引き出しを毎回全開して使っていないと、レールの摩擦が強くなって、レールが全開しづらくなるのです。
しづらくなるというのは、引き出しを開けていると急にそこで止まってしまうくらい重くなるのです。
なので、もうそれ以上は引き出しが引き出せないと思い込んでしまうことがあるのです。
なぜこうなるかは分からないのですが、全開しないで1年ほど使っているとこういう症状が現れたりします。具体的には、全開したような状態になっているのに引き出しの片側だけもう少し引っ張り出せるようなぐらぐらした感じになります。
こういう時は引っ張り出せない方のレールの摩擦が重くなっているだけなので、こちらの絵のように(拙いものですみません)引き出しの両側を手でつかんでゆっくりと少しずつ引き出せるだけ引き出してみてください。きちんと全開すると両側揃ってきれいに止まるのでどこまで引き出せるかの感覚はすぐに分かります。
一度全開させると、次からは変なぐらつきは出ないのですが、また1年くらい前回しないで使っていると同じような症状になることもありますので、そうなったらまた引っ張り出す。
ということで、Yさんのところでは大きな修理の必要がなくなって、今しばらくはこのレールのままで大丈夫そう。
細かい傷はあってもとても丁寧に使ってくださっている様子がよく分かって、納品当時のままのような印象がうれしかったのです。
Yさん、また何かありましたらいつでもご連絡頂ければと思います。
これからもよろしくお願い致します。