
カムカムカム
「タモとウォールナットとアクリルの人形ケース」
大船 T様
design:Tさん
planning:Tさん
producer:yasukazu kanai
painting:takashi haraki

ふと昔の写真が出てきました。
Tさんの人形ケースだ。
そういえば・・、と図面を保管している棚からTさんの資料を引っ張り出してみたら、うわっものすごい情報量。
そういえばTさんの図面はすべて手描きだったっけ。
よく読むとすべてきちんと理に叶っている形になっているのだけれど、その図面を読むだけでも少なくとも三日は掛かるという難解な形たち。
たしかこれが最後の依頼品だったかな。
当時で、80歳近くに見えた瓶底眼鏡をかけたTさん。珈琲には必ずスプーン4杯のお砂糖を入れて、噛むようにして飲んでいたTさん。
図面の日付を見ると今から14年前になっている。
今でもお元気かしら。
そうそう水鳥の彫り物を施した箪笥を作らせてもらってまもなく、この図面を頂いたのでした。
今でも目の前でTさんがしゃべっているのが目に浮かぶ。それくらい強烈なクライアントだったなあ。
とても大きなお庭のある立派なおうちなのに、ものすごくこじんまりした一画にソファとテーブルを牛ッと詰め込んだ少し日当たりの良い場所があって、いつもそこに招かれる。
「まあ、どうぞ。」
「あっ、はい。失礼します。」
「それでね、次はこれをお願いしたいのですよ。」
ズズズッ・・カムカムカム・・。
(珈琲の何を噛んでいるのだろう・・。)
「ここはね、こうしたいんですよ。」とみかん箱の上にベニヤを載せてテーブルクロスを敷いたリビングテーブルはTさんが説明するためにペンで書き入れるたびにガタガタ揺れる。
コーヒーこぼれちゃうよ。
そんなこともお構いなしにずり下がった眼鏡を直しては、
「えー、ここはこうね。これでよしっと。」
「えっこれはちょっと作るのが困難じゃないかと‥。」
「でねっ、次ここはこうね。ここにねアクリルを差し込むの。」
ズズズッ・・カムカムカム・・。
「これは難しそうんだなあ・・。」
「大丈夫イマイさん、腕がいいんだから。」
「はははっ。」
ということで、半ば(失礼な言い方ですが)押し付けられるようにして図面を渡されて、「よろしくね。(ニコッ)」と帰されたわけです。
ということで、まずは三日間かけて図面を読み解いて、スタッフみんなと相談して、実現可能な形を考えていくのでした。
この部分やあの部分はどうやって実現したのだろう・・、他の家具だったらきちんと思い出深く覚えているはずなのに、覚えているのは「おお、ありがとう。」とうなずくTさんのしわしわの顔だけ。
まるで、村上春樹のお話に出てくる計算士のような気分だ。
いつの間にかきれいに納まっていたよ。
こういう不思議な形を作ったこともあるのです、という備忘録です。
【Tさんのところに作らせて頂いた家具たち】
「責任」「Wood Stepladder」
「親どり小とり」
タモとウォールナットとアクリルの人形ケース
費用につきましては、お問い合わせくださいませ。
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