古き良きを愛でる

「セラミック「ネオリス」とポストフォームのセパレートキッチン」

渋谷 Y様

design:Souq Designさん/daisuke imai
planning:daisuke imai
producer:hideaki kawakami

セラミック「ネオリス」とメラミンとステンレスを使ったセパレートキッチン
山岡さんがキッチンを使っている様子を撮らせて頂きました。ご主人はお仕事でいらっしゃらなかったのですが、お二人でキッチンの経つ時の距離も間隔も最適だとおっしゃってくださいました。

Souq designの山岡さんからオーダーキッチンのご相談を頂いたのはいつだったでしょうか。
大きな幹線道路から一つ中に入ると、なんとも静かで古い住宅や集合住宅が並ぶ街路が表れます。
片側4車線の道路がすぐ裏手に走っているとは思えないほど静かな通りです。

キッチンを作らせて頂いた当時で築52年が経つというその集合住宅は、この時代の建物特有に凸凹とした外壁(何と呼ぶのかな)とバルコニーの細い手摺が特徴的な時代の勢いを感じさせる欧風な佇まいで、調和がとれるように増築されたであろうオートロックのエントランスやエレベーターの様子もさりげなくて心地良いのでした。

水切り棚と洗剤ポケットのあるステンレスシンク
シンクは一部にリブをつけて、そこに水切りプレートを備えました。また、洗剤ポケットも供えて、さらに水栓器具はセラミックカウンターにつけるのではなく、セラミックの6ミリの厚みだけ下がったステンレスのデッキにつけることで水栓の首元に垂れる水が広がらないようなデザインにしています。
セラミックカウンター「ネオリス」のワークトップとサイドパネル
セラミック「ネオリス」の厚みは、山岡さんの提案で6ミリ材を使用しています。それを45ミリの厚みに見せるように天板もパネルも作成しています。また、面取りはC1ミリで仕上げています。

家を建てたり家を購入するための費用は年々上がっていて、結婚して新築を建てるという考えを持つことが少し難しくなっている状況ですからリノベーションという住まいのあり方はこの先も今以上に増えていくと思われます。
山岡さんとしては、その暮らしかたを自身で体現していくことで、良い部分も悪い部分も住まいを考えている皆さんに伝えられるという思いもあって、この場所で暮らしていくことを決めたのだそうです。
たしかに目の前に良いものがあるのならばそれを活かしつつ自分たちが心地よく住むことができる環境は想像しやすく作りやすいと思います。
古き良きを愛でるという考え方がこういう形でもっと当たり前のように広がっていくのは楽しいではないですか。

シンク側キッチンの引き出しの様子
シンク左隣の上段の引き出しの様子。
シンク側キッチンの引き出しの様子
シンク左隣の中段の引き出しの様子。
シンク側キッチンの引き出しの様子
シンク左隣の下段の引き出しの様子。

しかし山岡さんから頂いたご要望は、楽しいだけではなくなかなか難しそうなリクエストもあり、全体的には今まで私たちが作ってきたキッチンの印象とは少し変わった仕上げを施していく形でしたので、それがこの場所にどう表現されるのか、楽しみがありながらも未知の形に緊張していたのでした。

さて、そういう経緯がありながらこうしてこの場所までやってきました。

シンク下のゴミ箱スペースとパイプ棚
シンク下はゴミ箱スペース。またゴミ箱の上も活用できるように2本のステンレスパイプを並べています。
ASKOの食洗機
食洗機はASKOのオールドアタイプを採用。
シンク側アイランドカウンターのバックパネルはオーク材仕上げ
このバックパネル部分だけホワイトオーク板目材を使って表情を変えています。色はホワイトオイルで仕上げて、全体の印象と合うように整えています。

ここにやってくるまでには山岡さんには私たちのショールームまでいらして頂いてイメージを共有できたりと、ある程度山岡さんのテイストは理解してきたつもりでしたが、何しろ初めての納まりや初めて使う素材もあったりして、特に厚み45ミリで仕上げるパネルや天板がきちんと搬入できるのかが一番心配だったりしまして、実際に現場で打ち合わせしないことには気持ちが納まらないものですから、こうしてすべてが終わった今だからこそ、振り返ってみるとあらためて物静かな良い立地だなあと思えるのでして、当時はそこまで気を配る余裕もなかったものでした。
そして、60平米よりもコンパクトな空間になかなか大きなアイランドカウンターが入るということでしたので、現場との関わりもうまく段取りしておきたいところです。

ということでこうしてやってきたわけですが、今回初めてお付き合いするのだというリノベーションを担当された施工会社さんとの足並みが山岡さんと揃わずに施工会社さんのルーズさが現場に反映されてしまっていて、キッチンを現場に納品できるのはしばらく先になってしまいそうな状況。
あらあら。
現場内は足の踏み場もないような散らかった状況で、監督さん(社長さん?)が地に足がついていない感じ。
これはもしかしたら・・と思っていたら、やはり実状はうまく進んでいないようなのでした。

ガスコンロはリンナイのリッセ
コンロ側のキッチンの様子。今回壁面にもネオリスを張っています。ガスコンロはリンナイのリッセを採用。
ガスコンロの下はスライドワイヤーシェルフ
ガスコンロの下はスライドワイヤーシェルフ。
調味料用の引き出しの上段
コンロ右は壁との離隔距離を採るために細長い引き出しになりますので、上段はこのようなコンパクトな引き出し。
調味料用の引き出しの下段はハーフェレのフレームバスケット
下段はハーフェレのフレームバスケットを採用。

それでも、工期は過ぎていくので、予定よりも3ヶ月くらいかな遅れてようやくキッチンの設置ができるという話を聞いて、その事前に現場を確認しに伺った時も、(うーん、この状況だとまだ少し早いのではないか・・)と思えるタイミングでしたが、私たちが口を出せることではないし、またこのタイミングで山岡さんは里帰りされていたこともあって、大工さんの作業が真っ最中のごった返した現場でどうにかキッチンの設置を終えたのでした。
あとは傷にならないようにと願いながら養生して、完成を待つばかりになりました。

BP.のステンレスハンドル
引き出しのハンドルにはBP.のステンレス引手を採用。
コンロ側キッチンの引き出しの様子
コンロ左1段目の引き出しの様子。
コンロ側キッチンの引き出しの様子
コンロ左2段目の引き出しの様子。
コンロ側キッチンの引き出しの様子
コンロ左3段目の引き出しの様子。
コンロ側キッチンの引き出しの様子
コンロ左4段目の引き出しの様子。
コンロ側キッチンの引き出しの様子
さらに左の1段目の引き出しの様子。
コンロ側キッチンの引き出しの様子
さらに左の2段目の引き出しの様子。
コンロ側キッチンの引き出しの様子
さらに左の3段目の引き出しの様子。
コンロ側キッチンの炊飯器用スライドテーブルの様子
一番左は炊飯器スペースで手前に引き出せるスライドテーブル。
コンロ側キッチンの引き出しの様子
その下は深めの引き出し。

すると、しばらくして山岡さんから連絡がありました。
工事が途中でストップしてしまってしまいにこの段階で契約解除になってしまったのだそうです。
これは大変です。
私たちとしてはどうなるのかを見守るしかないので、そこからしばらく山岡さんからの連絡を待っておりました。

数か月して、その工務店さんとの清算が済んで、次の良い工務店さんが見つかったという連絡が届きまして、ほっとひと安心。
いろいろと大変な思いをされたそうですが、引き継いだ工務店さんの段取りの良さで順調に進んで無事にお引き渡しが終わったのでした。
キッチンの水道やガスのつなぎも問題なく終わったということで、こうして山岡さんのキッチンは無事に完成したのでした。

「でもこの経験をしたからこそ、今後自分のありたい姿がはっきりとしました。
お客さまにはただただ「リノベーションを楽しむ」ことに集中してもらいたい。」
と山岡さんはご自身のインスタグラムの中でもこうおっしゃっておりました。

【Souq Designさんのinstagram】
https://www.instagram.com/souq_design/

前向きに取り組むことができる気持ちの良さというか、その仕事に取り組む実直な様子は山岡さんのインスタグラムの丁寧に描かれている内容を読むとよく分かります。

うんうん、よく分かります。
何かを作り出していくことって喜びなのですよ。こうするとこういうものができあがる、でもこうするとさらにこういう形が実現する、でも、きっとこうにもなってしまう可能性もある。
良いことも良くないことも経験しないと分からないもので、それが自分にとっては良くないと感じることもある人にとっては好みのポイントだったりすることもある。
その発見と考察の繰り返しで、物が生まれていって、その生まれる様子が楽しいのですよ。
オーダー家具やオーダーキッチンのご相談の時も、みなさん「楽しい打ち合わせでした。」というお声を頂くことが多くあります。
その結果が自身の暮らしにぴたりとあてはまることもあれば、そうか、こういうこともあるのか、と省みることもある。
でもそれも自分の暮らしの一つのすてきな軌跡ですから。

楽しい暮らしと素晴らしいお仕事をこれからも頑張ってくださいね。

メラミンポストフォーム扉を使ったグレイジュの吊戸棚
吊戸棚はアイカのカラーフィットメラミンのグレイジュのカラーを採用しています。また吊戸棚の下にはハーフェレのダウンライトを取り付けています。
グレイジュの吊戸棚に格納したレンジフード
特長的なレンジフード。下面からだけその存在感が分かりますね。
グレイジュの吊戸棚に格納したレンジフード
実はレンジフードの手前が下から上に向かって開く扉になっていて、操作する時は手を差し込んでこのボタンにアクセスするのです。
ダウンライトを組み込んだメラミン化粧板を使った吊戸棚
またこうしてできあがってみるととてもすっきりした印象しか見られないのですが、実際はコンロ側キッチン自体は奥行きが70センチくらいあって、この吊戸棚の奥行は50センチくらいあります。吊戸棚の奥にはコンクリートのアリが出ていて、それを隠すように吊戸棚をつけているのです。レンジフードのその針の手前につけていて、この納まりを実現するためにかなり複雑な構造になっているのです。
梁の形に合わせて変形した吊戸棚
さらには右側には小梁。そこも梁に合わせて小さな戸棚にしています。リノベーションだと新しい壁ができてからキッチンを作り始めていては間に合わないので壁ができる前のタイミングでこの納まりを想定して作っていくことになるので、こうしてきれいに納まるかドキドキしながら作っているのです。
天板 セラミックカウンター「ネオリス」
前板・扉 アイカカラーフィットメラミンスクープエッジ扉
本体外側 セラミックカウンター「ネオリス」/ナラ板目突板
本体内側 ポリエステル化粧板
キッチン仕上げ

セラミック「ネオリス」とポストフォームのセパレートキッチン

価格:2,650,000円(制作費のみ、設備機器費用は別)

*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は50,000円から、取付施工費は200,000円から)

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