気持ちがあつまってくる
「ナラ板目材とステンレスヘアラインのオーダーキッチン」
中央林間 S様
design:Sさん/daisuke imai
planning:daisuke imai
producer:koubou tan
painting:gaku suzuki
季節がだんだんと冬に差し掛かろうとする11月、ご新居にオーダーキッチンを導入することを検討されているというSさんからキッチンカタログのご応募を頂いたのでした。ちょうどその時期に私たちの小さなショールームで展示会を開く予定もありましたので、そのことも一緒にお知らせ致しました。
すると、
「今井様、先日はご丁寧なメールをいただきましてありがとうございました。
カタログが届きましたら、拝見させていただきます。もしよろしければ、プランや見積りをお願いしたいと思っているのですが、近いうちにそちらにおうかがいしてもよろしいでょうか?工務店の方から、今月末までにキッチンをどうするか決めてほしいと言われておりますが、見積りを出していただくのに、お時間はどれくらいかかりますか?
18日以降で御社のご都合がよろしい日がありましたら、お知らせ下さい。
よろしくお願い致します。」
これはちょっと駆け足でいろいろとお話ししていかなければいけません。
まずは、展示会期間中に一度いらして頂けることになりまして、実際にお会いして打ち合わせを致します。
この皆さんの製作例の記事でも何度かお話ししているかと思いますが、私たちの考え方としては、キッチンに限らずオーダー家具でも、皆さんのご要望を聞くと同時に私たちにできることをなるべくたくさんお知らせします。
ここにはこういう収納ができます・・
ここはこういう素材を使うことができます・・
ここはこれだけ距離を開けるとこう使えます、でもこの距離にすればこう使うこともできます・・
などなど・・。
その中で、使う皆さんにとっては何が必要で何が不要で、ということを考えていってもらうのです。
これが、じぶんの暮らしを見つめ直す時間となるのです。
これを面白いと言ってくださる方がいらっしゃれば、いろいろ決めることがあるんですね、家を考えるよりも大変かもって苦笑いしちゃう方もいる。
でも、この時間がとても大事だと思っております。
ここで、「ああ、自分はこうしてこの場所を使っていきたいんだ」、「こういう時間を過ごしたいんだ」っていろんなことがはっきりしてくるのです。
皆さんはそれを知りたくて、きっとオーダーするという気持ちに辿り着いたのだって、私は思っています。
だって、それを考えることが大変たいへんってばかり思っちゃうようでしたら、オーダーではなくて実際に見て買うことができる家具たちと一緒に過ごす、と言う方法があるのですから。
そのようなわけで、いろんな選択肢から必要な物を集めて、何となくSさんらしさが出てくるのをお話ししながら探っていきまして、まずひとつの形が生まれました。
これを実際に図面にして、きちんと成り立つ形にして、そこからその費用を考えていきます。
おおよそのプランや金額をその場でお伝えして、まずはどうにかオーダーでキッチンを作る方向で進められることになりました。
そこで作った図面をもとにさらに詳細を決めていき、いよいよ形がまとまったところでSさんと工事を担当するビルダーさんとの打ち合わせに同席させて頂くことになりました。
Sさんのご新居は大和市の中央林間に建てるということで、私たちのところからもそれほど遠くなく、海老名や大和を通り過ぎる時に今回のビルダーさんの大きな看板だけは以前から目にしておりました。
いつかこの施工会社さんともお仕事できる時がきたりしてねぇ、なんて以前から思っていたのですが、そういう機会が本当にやってくるとはご縁ですね。
車を駐車場に止めて、スマートフォンを見ながら、表示された地図に従って歩いていると、そのビルダーさんの建物のすぐ近くで見知った顔が・・。
「あれ、Iさん?」
作業着を着ていましたが、それは、以前にカップボードを作らせてもらったIさん。(食器棚の「かわいいひと」)
「ああ、イマイさん!実は、Sさんから聞いていたんですよ。まさかこんなに早くに一緒に仕事できる日が来るとはね!」
そういえば、Iさんの納品の時に、あらためてIさんのお仕事のお話を聞いたことがありました。ご自宅に並んでいたのは建築関係の資料や雑誌が所狭しと。ショールームで打ち合わせした時も建築関係って言っていたからてっきりご自宅で設計事務所を開かれているものだとばかり思っていました。
「Iさん、てっきり私はご自宅でお仕事されているものと思っていました。でもうれしいです、こうしてお会いできるなんて。」
「ぼくは、ここで、設計・施工までを担当しているんですよ。いつかイマイさんのキッチンをうちの会社で入れたいなあってずっと思っていたから、今回はとても楽しみです。
さあ、もう、Sさんも上にいらっしゃっていますので、どうぞおあがりください。」
と事務所にご案内して頂きました。
すると、応対してくださったのは、もちろんIさんの奥様。「そうなんですよ、私が設計業務を受け持っていまして、Sさんのご新居も私が担当させて頂くのです。」と。
おぉ、とてもうれしいご縁です。
みんなどこかでつながっているんですよね。
こうして、SさんもIさんご夫婦もみんながみんな知った顔で、和やかに打ち合わせが進んで、いよいよ着工、上棟、造作工事と進んでいきます。
ある程度内装の造作が進んだところで、今度は現場にお邪魔させて頂き、Iさんと一緒に納まりを確認。
問題なく製作できることが分かりましたので、いよいよ製作に取り掛かります。
今回は、一部壁を残したペニンシュラタイプのキッチンとその背面収納を作らせて頂きます。どちらもナラ材を使った温かみのある形になるように、Sさんと私たちで考えた形です。
建築工事と関わってくる部分が、今回はそのコンロ前に壁だけでしたので、スムーズに製作は終わり、取付も問題ナシ。
あえて言えば、中央林間のあたりの住宅街は、まだ昔の道のままなので、私たちのトラックだとちょっと大変だったりしましたが、荷下ろしの場所も搬入ルートもIさんがきちんと段取りしてくれたおかげでいろんなことがスムーズに完了。
そして、無事にお引き渡し。
実は、Sさん。今は子育て真っ最中でお仕事はされていないのですが、以前は、ずっとケーキ屋さんにお勤めされていたのだそうです。
引き渡し後のご挨拶に伺った時に、とてもきれいなケーキはSさんの手作りだったそうで、気づきませんでした。(笑)
だから、いつかお子さんたちが大きくなって気持ちに余裕が出てきたら、ここをスタジオにもしたいですって、そう言ってくださいました。それはそれはとても楽しみ。
「そういう日が近いうちにやってくることを楽しみにお待ちしております。」
って言って、Sさんのところを出て、またいつかお声が掛かる時が来るとうれしいなあ、と思い続けてしばらくした頃・・。
私たちは時々、いつも作る大きな家具とは別に小さな家具や小物を作っていてそれをクラフト市に持って出かける機会があるのです。
そして、中央林間の手づくりマルシェに出店していた時・・。
向こうからお見かけした頃ある顔が。
「イマイさん!」
おや、中央林間駅前のマンションに住んでいるTさん。以前に、リビングボードやベッドを作らせて頂き、もう長いお付き合いのお客様です。
と、その隣にSさん!「あれっ?」
「実はTさんとは以前の自宅が近所でママ友達なのです。Tさんは私たちの間でもとてもインテリアに詳しい人だから、実はTさんからイマイさんのことをお伺いしていたのです。」
おぉ、そんなつながりがあったとは、うれしいことです。
こういうご縁がいつもまでも続くことを願って、今日も頑張るのです。
天板 | ステンレスヘアライン |
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扉・前板 | ナラ板目突板練り付け |
本体外側 | ナラ板目突板練り付け/ナラ板目無垢材 |
本体内側 | ポリエステル化粧板「ホワイト」 |
塗装 | ワトコオイル塗装「ナチュラル」(Sさんが施工) |
天板 | ナラ板目無垢材 |
---|---|
扉・前板 | ナラ板目突板練り付け |
本体外側 | ナラ板目突板練り付け |
本体内側 | シナ合板 |
塗装 | ワトコオイル塗装「ナチュラル」(Sさんが施工) |
ナラとステンレスのキッチン
価格:830,000円(制作費・塗装費、設備機器費用は別)
ナラの食器棚
価格:640,000円(制作費・塗装費)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は40,000円から、取付施工費は160,000円から)