チェリーのペニンシュラキッチンと背面カップボード

Category : 日記「自由な手たち」

2022年12月8日

HITOMA design officeさんからお声掛け頂いて作らせて頂いたチェリーのキッチン。
大らかなご主人とさっぱりした奥様のYさんご家族が暮らす江の島の家です。江ノ電が近くを走り、繁華街のそばなのに静かなこの場所。とてもすてきなロケーションです。
私も以前は相模線がすぐそばを走るマンションに住んでおりました。
電車というのは、ガタゴトと静かな夜にはうるさく感じる時もありますが、どちらかというと風情があって私は好きです。
子どもが生まれる前は煙草を愛しておりまして、煙が苦手や妻から逃げるように北川のバルコニーに潜んで(この煙草用のバルコニーがあるからこのマンションにしたくらい、なんていうとアキコに怒られちゃうか)、一人静かに時間を過ごすのですが、そんな時に不意に踏切の警告灯がぺかぺか静かに光り出して、しばらくすると明かりをともした4両編成の電車が静かに通り過ぎる。
「もう少し踏切が閉まる時間が短いと良いのにって、」ドライバーの時にはそう思ってしまうのですが、この時間に聞く踏切のカンカンとなる音は長いほど好きだったりします。
あっという間は座間のほうへ駆け抜けていく電車の小さな姿を見送る時間が好きだったのです。
子どもたちが生まれると、煙草をやめた代わりに、なかなか泣き止まない彼女たちを抱っこして電車を見せてあやしたりしましたっけ。
好きなんですよね。
Yさんの家からもそういう景色が見られるのはいいなあ、なんて思ったのでした。
すっかり独り言ですみません。
昨日無事にノガミ君、ワタナベ君、タケイシさんの三人で施工を終えてくれました。
ちなみにHITOMAさん甘利さんと太田さんはこのたび初めてお付き合いさせて頂いたのに、どこか以前から知っているような懐かしい印象を持ったお二人でして、とてもお話がしやすく、スムーズにキッチンの形がまとめられたのがうれしかったのです。
Yさんご夫婦の掛け合いもとても楽しかったですし。
次は追加でご相談頂いているテレビボードの納品ですね。
薪ストーブのそばということで、木の動きが大変心配ですが、良い形になるように頑張ります。

鍛鉄のお香立て

Category : 日記「自由な手たち」

2024年10月2日

家具やキッチンの制作の間に、ご注文いただいた木製雑貨の制作を細々と進めております。

涼しく秋めいてきたらご紹介しようと思っていたら、10月に入っても真夏日予報なので、しびれを切らして今日ご紹介です。(笑)

今回はまとめて9台、タケイシさんが丁寧にきれいに作ってくれました。

鍛鉄の香炉のあるチェリー材を使った香立て
灰が落ちる一段削りこんだところは、鉄分と木が反応して黒く変色することをいかして、錆びた釘をお酢で煮だして作った液で黒く染めています。(鉄媒染)

今回タケイシさんが木目がわからなくなるくらい何度も塗りこんでくれたので漆黒の表情になりました。角もピシッとかっこいいのです。
お香を立てる中心部分は、鍛鉄でできていて、家具やキッチンを作るときの取っ手をお願いしているKUMA鉄工房さんにお願いしています。1点ずつ槌目をつけておりますので、表情やサイズが異なり、独特の味わいがあります。

鍛鉄の触り心地、小さいのにしっかりと芯を感じる重さ、お香立てに立てなくてもちゃんと自立します。

手のひらに置いていると、自分の力なんて及ばないと感じるくらい異質なものなのに、なぜか心が落ち着く感覚があります。(個人の感想です。)

私はお香を焚いていない時間もこうして楽しんでおります。
鉄染めの部分に落ちた灰を捨てる時は、なるべく拭き取らずにそのまま香立てを傾けて捨ててください。
こするように拭き取ると、だんだんと灰が染み込んでほこりをかぶったような色に変色することがあります。

10年以上はショールームで使っているお香立て。コーン型を鉄染め部分に置いて使って焦げてへこんだ跡がありますが、普通にお使いならもう少しきれいなままだと思います…。


汚れが気になるときは水洗いもできます。しっかりと乾かしてから再びお使いください。
夜風を楽しむ時間のお供にいかがでしょうか。

※風が吹く場所でお使いの時には、灰がお皿からはみ出て落ちてしまうことがあります、焦げや汚れの原因になりますので、置き場所とお香の長さに気を付けてお使いください。

手づくり通販サイトCreemaさんでも販売しております。

よろしくお願いいたします。

ちなみに、我が家のお気に入りのお線香は香樹林。ダイスケさんがおばあちゃんの家で嗅いでいたこの香りが心落ち着くのだそうです。白檀のいい香りです。

こんにちは、うさぎパンさん

Category : 日記「自由な手たち」

2022年12月5日

コロナの中でもいろいろなイベントを再開する動きが出ておりますが、私たちのクレミルはまだ難しいかな、と考えておりまして、お会いできる機会がある作家さんに挨拶に出かけたりしております。

UKIさんとjardimさんにはアキコが先日会いに行く機会があって、お話しできたようで、「二人ともとてもパワフルだったよ。元気もらってきた。」と言っておりました。

今日はうさぎパンさんに会いに行くということで、キッチンの点検も兼ねて私もくっついていきました。

うさぎパンさんも元気そうで、時にはここで教室を開くこともあるようで、キッチンに何かあればいつでも行ってくださいね。

13年前に作らせて頂いたキッチンは、今こうしてみると粗削りな部分があったりしますが、うさぎパンさんにとても心地よく使い込まれていて、良い風合いです。

昔のブログを見返していて、うさぎパンさんのメモが残っていないかなあ、なんて探してみたけれどなかったですね。このキッチンを作る時がそれはもう大変で、フライパンの高さや柄の長さまで当時パソコンを使わないうさぎパンさんとFAXでやり取りしていたっけ。

その道具たちは今でも同じ場所にきちんと居座っていて、使われ続けていることに堂々としている様子。13年前から変わらない姿で安心します。

13年歳を取った私たちは今日もにこやかに挨拶して、お互い元気な姿を見ることができた。それが一番幸せなのでしょうね。

続いてお手入れ

Category : 日記「自由な手たち」

2022年12月4日

今の家に住み始めてからめっきり乗らなくなってしまったアンカーのネオコット。工房の片隅に置いたままにしていたのですが、夏が始まろうとする頃に思い立って「よし、きちんと直してまた乗るのだ。」と引っ張り出したら、ワイヤーが錆びて断線しかけていて・・。気を取り直して張り替えて、「ではさっそく自宅まで。」と乗り始めたら、なぜかシフトチェンジができない。きちんと手入れしていなかったからか次第にそのレバーからオイルが垂れるようになってきて・・。

そして、再びショールームの片隅に。

先々月に迎えた誕生日のあたりからやはり乗れないままは淋しいなあという気持ちが湧いてきたのですが、このバイクが13年前のものということで現存する同型のSTIはすでに廃番になっていて、同じものはないし、中古があってもほどよく高い。

では、互換できるものはどれだろう、なんて探しているのはやはりなかなか楽しいのです。

もともとバイクに乗り始めたのも載っていることも楽しかったのですが、気がつくとアキコがあきれるほど当時はパーツや道具を集めておりましたね。

縁あってひとクラス上のアルテグラの良い状態のものを手に入れることができまして、ホクホク顔で組付けたのでした。

「もっと遠くに行きたいなあ。」と思って、今は島根のまる木工所を開いて頑張っているテライ君に乗りなれたジャイアントのエスケープというバイクを譲って、手に入れたこのバイク。

どこへゆこうか。

手入れ

Category : 日記「自由な手たち」

2022年12月3日

今日はおやすみ。

と、いうことですっかり日が昇ってから工房にやってきた。いつもはまだ日の出前に家を出ることが多いので、ちょっと暖かい印象です。

河川敷ではラグビーや野球の練習がすっかり始まっていて、その横を私は歩いてやってきました。

5月から膝が悪くなっていたのをいつか治るだろうと放っておいて5か月近く経ってもあまり良くならなくて重い腰を上げて整形外科まで通うことに。(お医者様は苦手なのです。)

初詣のおみくじに原因が分かりづらい病が長引くって書いてあったのはこのことなのだろう・・。

レントゲンにMRIにといろいろ見てもらって、「気持ち軟骨が減っているようにも見えなくもないね。」と先生に言われて、念のためヒアルロン酸を打ってもらっても全快という感じではなく屈伸すると鈍い痛みが残っていて、ではリハビリも行ないますかと整復師さんに診てもらうと、おそらく膝まわりの脂肪が固くなって悪さをしているのではないか、という見解。

脂肪なの?と思ったのですが、先生に言われるようにマッサージをしていると痛みがどんどん取れてきて。何というかあっけない。この5か月は何だったのだろうという感じ。

今まで、乱暴に走っているばかりで、そのあとのストレッチやらを何もしないで、走ったらお酒が飲めるね、なんて生活をしていたのが良くなかったのでしょう。固まった膝がそれを教えてくれました。

そのようなわけで、今日はそのお試しの日。

ちょっと走るのは怖かったので、歩いてやって来たのでした。

アイを大分待たせてしまったようで「何か食べさせろ。」とそばを離れなくてこまってしまうので、ひとまずご飯を上げたら今度は自分のもののお手入れです。

膝が痛くても自転車を載る分には痛みがなかったので、相変わらず通勤にはこのバイクで来ておりまして、こうして自転車が好きで乗り続けておりますが、固定車の気軽さが好きで16年も乗り続けておりますがさすがにいろいろとくたびれてくる。

家具も自転車も私にとって暮らしに必要な道具です。

まずはバーテープの交換。そのうち剥げた塗装もきれいにしないといけないなあ。

何事もお手入れが大事です。

ホワイトオークとステンレスバイブレーションのセパレートキッチン

Category : 日記「自由な手たち」

2022年12月1日

昨日と今日とで逗子のHさんのキッチンの設置工事でした。

当日の朝になって、近々江の島でのキッチンの設置工事があるYさんの現場でタイル屋さんと事前に打ち合わせしておけばレンジフードの取付がしやすくなることに急に気づいてしまいまして、ワタナベ君とヒロセ君にさきにHさんの現場に向かってもらって、取り急ぎ江の島へ。

問題なく打ち合わせを済ませて海岸線を走ると、おとといの強い風が去ったあとでも変わらず強い風が残っているためかこのあたりは平日なのにとても賑やかで、さらには風が運んだ温かさで、現地に着く頃はそれが増して長袖を着てきたことを悔やむくらいの陽気になっておりました。

ワタナベ君とヒロセ君と無事合流して、一番心配だったコンロ側のカウンターの荷揚げは、大工さんが階段まわりの造作を後回しにしておいてくれたため、無事に屋内からの搬入が終わりましたが、終わる頃にはみんな季節外れの汗をかいているのでした。

昨日は本体を設置して、本日は引き出しなどの細かい調整を行なって無事に完了。

ホワイトオークのランダム張りを使った今回のキッチン、色柄共にとても良い表情に仕上がりました。

ここから壁が仕上がってくるととても落ち着いた空間が表れます。

また次回その様子を拝見させて頂けるのがとても楽しみなのです。

図書検索台

Category : 日記「自由な手たち」

杉並区、渋谷区、相模原市、東村山市など100台以上は作り続けてきました。

市販品のものだといたずらして扉を壊してしまったり、場合によっては中のパソコンが盗まれることもあったりするということで、担当者さんとゼロから考えて作り始めたのが今から15年前のことでした。

今はクライアントが変わってデザインも見直して、このような格子扉のデザインになりました。

図書館のような静かな空間では少し特徴のある形です。

最近では愛知県や静岡県にも納品されているので、どこかで見かけることができるかもしれません。

もし、見かけたら、私たちのような小さな工房が作っていることを思ってくれたらうれしいなあ。

今回は府中市の図書館に納品されるとのことです。

ノガミ君と手伝いに来てくれたコバヤシ君、そして先日職業体験に来た中学生のO君とK君も手伝ってきれいに仕上げてくれました。

ウェブサイト更新

Category : 日記「自由な手たち」

2022年11月30日

ナラ板目ランダム張りとステンレスバイブレーションのオーダーキッチン

いろんな角度からご自身の使いやすさを検討してできあがったアトリエのようなキッチン。

大船のIさんの記事「コの字にようこそ」を掲載いたしました。

もしよろしければご覧になってくださいね。

実らなかったかたち

Category : 日記「自由な手たち」

2022年11月29日

この2台の家具が実現できたら、きっと心地よかったろうなあ。と、ちょっと淋しく思える予算の関係で実現できなくなってしまったかたち。

「2階では窓から陽射しが差し込んで好きな本が読めるこじんまりした空間を作りたくて、1階も籠れるようにゆっくりご飯が食べられる空間にしたいのです。」と言われて、考えてみた2つの形でした。

最近よく耳にしていた「ヌック」っていう言葉がふと浮かんで、ネコがゴロゴロ寝転がっているような空間が心地良さそうって思ったのですよね。

そう、隔月で記事を掲載させてもらっているHANA Shonanさんに、ウェブサイトではもう掲載されているヌックという印象がある2例の制作例のことを書かせて頂きました。

少し違った視点で紹介しておりますので、もし湘南地域のいろいろなお店で見かけたら手に取ってみてくださいね。次号は1月20日頃だったかな。

ナラ板目ランダム張りとステンレスバイブレーションのオーダーキッチン

コの字にようこそ

Category : オーダー家具・オーダーキッチン制作事例, オーダーキッチン

「ナラ板目ランダム張りとステンレスバイブレーションのコの字型キッチン」

大船 I様

design:Iさん
planning:Iさん/daisuke imai
producer:hideaki kawakami
painting:iku nogami

ナラ板目ランダム張りとステンレスバイブレーションのオーダーキッチン
ダイニングから見た印象。今回はナラ板目の突板の2種類の単板を交互に張ることでランダムな印象を表現しています。
ナラ板目ランダム張りとステンレスバイブレーションのオーダーキッチン
角の大きな扉が印象的なデザイン。このキッチンを作るにあたって最初から計画していたのは、「据え置き型の食洗機をこの場所に置きたい。」ということ。この食洗機を置くためにこのキッチンがあると言っても良いくらい。なぜあえて、端の扉とサイドパネルが高くなっているかというと食洗機のごちゃごちゃする足元を隠したいからということ。さらには最終的に端の扉がほかの4枚よりも手前に出すことで、デザイン的な面白さも表現できました。
ナラ板目ランダム張りとステンレスバイブレーションのオーダーキッチン
その食洗機はパナソニック製。この食洗機をすっきりと見せたいということで、給排水の取り回しをいろいろと悩んだのです。通常、据え置き型の食洗機というのは、専門業者さんじゃなくても取り付けられるような構造をしているので、かえってビルトインできるような仕組みにすることが難しかったりします。これはあとでご説明しますね。
ナラ板目ランダム張りとステンレスバイブレーションのオーダーキッチン
キッチン入り口の様子。水汚れが付きにくい床材をキッチンには敷き詰めて、キッチンの入り口で切り替えています。この切り替えがいつもなかなか難しくて、今回のように側板を床まで下ろさないで、台輪が付く形だと、キッチンの端から内に入れる分が図面だと分かりづらいので、そのあたりは現場で打ち合わせしながら決めてゆくのです。

数年前に、湘南T-SITEで「料理道具市」というイベントに参加した時にご相談にいらして下さったのがIさんでした。
ちょうど私が階上を留守にしていた時にいらして下さっていたようで、その日会場に居たアキコから、「今日キッチンのご相談にご家族で見にいらして下さったのよ。」と教えてもらったところがスタートです。

あらためてメールで内容をお知らせ頂けるとのことでお待ちしておりましたら、さっそくその晩にその内容が届きました。
はい、Iさんの強い意気込みが感じられますね。

コの字キッチンのスケッチ
Iさんから頂いたキッチン図。食洗機とそれを囲う板とシンクが大きな特長。

さっそく頂いた内容で考えてみたいところですが、「コの字」のキッチンということでなかなか形が複雑になりそうなので、大まかにお伝えしてあとから話が前後してしまってはいけないので、直接お話を伺った方が良いと思いまして、ちょうどイベント期間中でしたので、あらためて会場までいらして頂くか、もしくは私たちのショールームまでいらして頂けるかを相談してみたのでした。

その後Iさんからご連絡を頂いて、こちらにいらして頂けることに。
会場だとお子さんがまだ小さいので、なかなか落ち着いて話ができないかもしれないということで。
ただ、ちょうどイベント終了間際の頃でして、終了次第展示しておいたキッチンをここに設置し直す予定がありましたので、そのショールームの改装が終わった頃にあらためていらして下さることになったのです。
それでは、その打ち合わせの時にはもう少し具体的にお話しできるように、ということで、最初に頂いていたIさんのイメージ図とメールの内容から私のほうでも原案となるスケッチを描いてお送りしました

コの字キッチンのスケッチ
Iさんのスケッチといくつか確認させてもらった質問のお返事をもとに作った原案。

そうして、そのスケッチをもとにこちらにいらして下さって打ち合わせをしていったのでした。
今回のIさんのキッチンは今までにない形をいくつか取り入れたプランになりそうなので、そのあたりをどのように実現したら良いかを中心にお話を進めていきました。
特に気になっていたのは、「天板の形状と搬入が大丈夫かどうか」「目隠し扉の役割」「食洗機の設置方法」「シンクの形状」でした。なかなか特殊な形のキッチンだったのです。

オーダーシンクの様子
さて、シンクです。食洗機の分岐水栓をつけるとこのあたりの掃除が大変になるということとホースが出てくるので、このあたりがゴチャついてしまう、ということで別の場所に専用の給水栓を設けたのです。
オーダーシンクの様子
有元さんのラバーゼが置けて、そのまま水が切れるようにと段をつけたシンク。水切りをはずして、魚や野菜の下ごしらえがしやすいスペースにもなっています。
オーダーシンクの様子
その水切りスペースの様子。最終的にひとつだけ実現できなかったことがありました。それは食洗機の排水です。当初は排水口も専用の排水管を立てようと計画していました。しかし、市販の据え置き型の食洗機は、ビルトインタイプの食洗機のように封水されないのです。なるほど、ビルトインの食洗機の排水ホースがなぜ長いのか、排水の接続がなぜ高い位置で行なうのかがよく分かります。専用に管を立てるとすると、洗面台のSトラップのようにくるりと管をまわさないといけない。さらには管の径と子の蛇腹の径が合わないので防臭キャップも自作しないといけない。このあたりをIさん、工務店さんと検討して、最終的にシンクに流す形を採ることにしたのです。

オーダーだと基本的にどのような形でも実現できると思われることが多かったりしますが、やはり作るのは私たち人の手ですので、うまく考えてゆかないと、できることもできなくなってしまいます。
また、そのデザインにするのはなぜなのかという、使う人の気持ちや背景が分からないと、ただ、その細工を施しただけだと、できあがってみると融通の利かないものになってしまう可能性もあります。
上の4つの点を重点的にIさんがこのキッチンでどう暮らしていきたいかを交えてお話を伺いました。
そして、あらためてスケッチを修正してどのくらいの費用になるかをお知らせしたのでした。

シンク前幕板はステンレス張り
シンク前の幕板。いつもタオル掛けをつける時はこの幕板の下の方に取り付けています。なぜかというと、濡れたタオルが幕板に振れると幕板が黒ずんじゃうからですね。タオル掛けが低いとご主人が背が高いこともあってやはり使いにくく、その分幕板に水が垂れちゃうのではないかと想定して、Iさんが選んだのはステンレス張りの幕板。

そして、Iさんからお返事が。

「Iです。お世話になっております。
さっそくの修正スケッチとお見積りのご連絡、誠にありがとうございます。
自分のぼんやりしたイメージがしっかり絵になっていて、すごくテンションが上がりました。
頂戴したスケッチを家に飾りたいくらいの気持ちです。
ただ、ショールームを拝見したときに奥様にはチラッとお話ししましたが、現時点では一応他のオーダーキッチン屋さんにもお見積りをお願いする予定でして費用やプランを総合的に見て、どこに制作を依頼するか決めたいと思っております。
自分の中で一番素敵だなと思うキッチンを作っていらしたイマイさんに、いの一番にご相談したため、他のメーカーさんの結果が出ていない段階です。
正式な依頼をするかしないかは、遅くとも5月には決める予定ですのでその頃までには何かしらご連絡させていただきます。
素敵な案を書いてくださったのに、現時点では中途半端なご連絡しかできず申し訳ありませんが、どうぞよろしくお願いいたします。」

シンク下にコンセント
また、水が垂れることを想定して、コンセントはこの位置に設置。

うれしくもあり、少し淋しくもありますが、こういう考え方はとても素直で良いと思います。
その人の希望する形をうまく表現してくれる方々はたくさんいらっしゃいますから、どのようにして出会えるかは機会があるなら、いろいろな道を探すというのはとても良いことだと思うのです。
でもやはり少し淋しさは感じますよね。
というのも、以前に描いた図面を転用されてしまったことがありまして、それがたまたま知り合いの家具屋さんで作られていたのです。
作った方はそのようなことも知らないわけですので、依頼主さんは同じ形が低価格で手に入ったということで喜んでいらっしゃったのだと思うのですが、写真がそのまま掲載されていた時はやはり残念な気持ちになりました。

やっぱりねえ、図面となるとラフな図やスケッチよりも思い入れがあるのです。
その寸法を決めた理由や、レイアウト、些細に思える数ミリの納まりが大きく見た時の印象や使い心地に変わってきます。
それを、こういう使い方をするならこうだよね、なんて頭の中にひとり呟きながら考えるわけです。
ですので、この時点で皆さんにお渡しできるのは簡単な図やスケッチまでにしているのです。もちろんそれでも転用されてしまうと淋しいのですが。

オーダーキッチンの引き出しの様子
シンク右側の引き出し1段目。
オーダーキッチンの引き出しの様子
シンク右側の引き出し2段目。
オーダーキッチンの引き出しの様子
シンク右側の引き出し3段目。
オーダーキッチンの引き出しの様子
シンク右側の引き出し4段目。

そのようなわけでしばらく時間を置いてお待ちしておりましたら、Iさんからお返事が届きました。

「さて、ご相談しているキッチンの件ですが、前回のメールでは一応他社様にもプランニングと見積もりをお願いするとお話ししておりましたが、他を見た上でもやはりイマイさんのご提案内容と丁寧なご説明に魅力を感じております。
正式にイマイさんにキッチンをオーダーさせてください。」
と、うれしいご連絡を頂けたのでした。
とてもうれしく思っております。
良い形が実現できるように頑張ります。

ということで、ここからは図面を作成しながら、具体的にしまいたいものを考えたり、実現可能なレイアウトを探っていきながらIさんのイメージを実現させられるように進めていきます。
元々明確な意見をお持ちでしたので、ここからはお話が足早に進んでいきます。

オーダーキッチンの引き出しの様子
シンク左側の引き出し1段目。
オーダーキッチンの引き出しの様子
シンク左側の引き出し2段目。
オーダーキッチンの引き出しの様子
シンク左側の引き出し3段目。
オーダーキッチンの引き出しの様子
シンク左側の引き出し4段目。

ほぼ形がまとまったところで、今度は工務店さんと打ち合わせです。
工務店さんとはご新居の上棟後に現場で打ち合わせをさせて頂く形がほとんどですが、今回は事前の段取りや納まりをきちんと確認させて頂きたく、というご連絡を頂きましたので、施工会社の設計士さんとIさんと私とで打ち合わせをさせて頂くことになりました。
今回の施工会社さんは住友林業さんです。
通常大手ハウスメーカーさんだと、お引き受け頂けることは少ないのですが、住友林業さんの現場には何度か入らせて頂けておりまして、柔軟な体制にとても感謝しております。
そして、このような段取りもきちんと踏まえてくださるのがとても安心なところです。
その時に、搬入の方法、設置の方法、設備工事の区分けなど具体的なお話をしていきます。
このようにお施主さんだと分かりづらい部分は私のほうからきちんと説明して、話の行き違いや漏れがないように進めていくのです。
それでひと通り内容が合致したところで、いよいよ制作です。
いつものキッチン制作とは順番が逆ですが、今回は図面の通りに現場を整えてくださるということで、納期のこともありましたので、現地確認の前から下準備に取り掛からせて頂きました。

オーダーキッチンのコンロ前の様子
コンロ周りの印象。今回はリンナイのデリシアAV100V電源タイプ。また、将来的にIHヒーターも使えるように30Aの電源も奥に設置してあるのです。

そして、現地確認。
大船駅から少し歩いたあたりで広く造成している住宅街があり、古い家と新しい家が入り混じる静かなで暮らしやすそうなところです。
おはようございます。
Iさんたちはもう自転車でいらっしゃっています。
「ああ、イマイさん。おはようございます。すみません、住林さんはもう少しで来られるようなので少しお待ちいただけますか。」
そういえば、家を建てる皆さんの多くは、今住んでいる町に建てる人が多いって、以前私が自宅を建てた時に不動産屋さんがそう言っていましたっけ。
たしかに自分の時もそう。
理由は子供たちに転校を強く反対されたというのが一番の理由と思っていますが、よく考えると自分たちも結婚してまもなく住み始めたその場所を遠く離れるのは淋しいという思いが強かったのです。
仕事のことを考えたら、私もアキコも今のように仕事をしていくし、子供もハルはもうすぐ高校生になるし、チィも数年で高校生になるなら住み慣れた町じゃなくても良いのかもしれないのですが、やっぱりその選択肢はなかったものね。
そういう住み慣れた町で腰を落ち着けて暮らしていくんだ、そういうIさんの思いが何となく伝わってくるようです。

オーダーキッチンの引き出しの様子
コンロ右側の引き出し1段目。
オーダーキッチンの引き出しの様子
コンロ右側の引き出し2段目。
オーダーキッチンの引き出しの様子
コンロ右側の引き出し3段目。
オーダーキッチンの引き出しの様子
コンロ右側の引き出し4段面。

しばらくして、設計士さん、監督さんが到着して、最終確認。家具設置場所の採寸とレンジフードの位置を確認して、今回はキッチンとリビングダイニングとで床材が切り替わるので、その切り替わる部分についてのすり合わせなどなど。
問題なく設置できそうです。
それが分かればひと安心。Iさんと住林さんで打ち合わせは続いておりますが、私は先に戻らせて頂き、引き続き制作を進めるのです。
ちょうどこの時、ありがたいことにキッチンの制作が何件も同時に進んでおりまして、12月は5件の設置工事が決まっていまして、それはもう年越しまでが大変な様子が目に見えておりまして、気が気じゃなかったのです。

そのようなわけで、急ピッチで制作が進んでいきまして、12月下旬には無事に制作が完了し、クリスマスに設置工事に入らせて頂くことが決まったのでした。
メリークリスマス。

「フリーハンドイマイ 今井大輔様
Iです。
では、2日目の12月25日の12時半頃にお邪魔させていただきます。ものすごく楽しみです!
今日明日は天気が良さそうなので一安心です。搬入作業、どうぞよろしくお願いいたします。」

オーダーキッチンの引き出しの様子
コンロ左側の引き出し1段目。
コンロ下の引き出し、鍋収納
コンロ下の引き出し1段目。
コンロ下の引き出し、鍋収納
コンロ下の引き出し2段目。

ということで、設置初日の24日は好天に恵まれて無事に大きなL型の天板も搬入できました。二日目の25日も夜まで掛かってしまいましたが無事きれいに設置が完了。
メリークリスマス。

その日の様子はこちらのブログに書かれています。
2020年12月26日「今年最後の納品

そして、年が明けてすべての工事が完了したタイミングで今度は塗装です。
今回はオイル塗装仕上げでしたので、オイル塗装の方法を最初から自分たちで知っておきたいということと、塗装費のコストダウンを兼ねてIさんご自身で塗装することになったのです。
最初にどのような感じで研磨をして、オイルを擦り込んでいくのかをお伝えしたら、ここからはIさんの出番です。
ご家族皆さんで頑張ってくださいね。

2021年2月7日「温かい日

コンベクションオーブン収納部
壁側の家電収納部の様子。コンベクションオーブンを使う時は上の棚板を外して使用します。
家電収納部
その隣の様子。こちらも基本的に家電を収納できる想定で可動棚を1枚だけ入れております。
家電収納部の引き出し
その下の引き出しの様子。
家電収納部の引き出し
その下の引き出しの様子。

「フリーハンドイマイ 今井大輔様
Iです。
お世話になっております。
先日はお忙しい中、塗装のやり方を教えに来てくださり誠にありがとうございました。
イマイさんが帰られてすぐにエアコンの業者さんも帰られたのでリビングダイニング一面に広げて作業したのですが、1日では1回目の塗装が終わりませんでした・・・(息子の妨害の影響が大きいのですが)
でも、塗装作業自体はとても楽しくどんどん変化する木の表情に魅せられており、私が主だって塗装するつもりが夫がハマってしまっているほどです。
まだ全部が終わらず、今は2回目の途中で引き出し等が外された状態なので最終的にどうなるか楽しみです。
また、引っ越して落ち着いた頃にまたお声かけさせていただきますね。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

食洗機の様子
さて食洗機に戻ります。給水はどこから確保しているのか。
食洗機の給水管部分
ダイニング側の端の扉を開けるとこのような感じになっています。ちょっと分かりづらいですが、止水栓付きの給水管が立っているのです。ステンレスの天板に穴が開いていて、そこから給水ホースを通しております。
ダイニング側の収納部
残り4枚扉の収納部はこのような感じ。
ダイニング側の収納部
この右の扉は、ちょうどキッチンのL型の角になる部分ですので、ここだけ奥行が深いのです。

お引越しされてしばらくしました頃にあらためてご挨拶にお伺いさせて頂きました後に、うれしいお便りをもらったのです。
「先日、御社のウェブサイトに我が家のキッチンの記事が載っているのを見て、夫と「ハンバーグ美味しそうな話だねぇ。我が家でこんな美味しそうに作れるかなぁ」なんて盛り上がりました。

2021年6月8日「Iさんこんにちは。

今回キッチンをイマイさんに作っていただいて本当に良かったです。
キッチンそのものもイメージ以上のもので夫婦で大満足の仕上がりですし、どんな形にしようかなと悩んだり、家族で塗装したり、イマイさんのウェブサイトに写真があがったのを見つけてワイワイしたりと、たくさんの思い出とキッチンに対する愛着も一緒に作ってもらえたなぁと感謝の気持ちでいっぱいです。
また使っていく中でご相談させていただくこともあるかと思いますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。」

うれしい言葉をありがとうございました。

天板 ステンレスバイブレーション
扉・前板 ナラ板目ランダム張り突板
本体外側 ナラ板目ランダム張り突板
本体内側 ポリエステル化粧板/ナラ板目突板
塗装 オイル塗装仕上げ
キッチン仕上げ

ナラ板目ランダム張りとステンレスバイブレーションのコの字型キッチン

費用につきましては、お問い合わせくださいませ。

路地

Category : 日記「自由な手たち」

2022年11月28日

今日は茗荷谷まで出掛けておりました。

来年早々にキッチンの設置を行なうIさんの現地確認だったのです。

アイランドキッチンなので大工さんの作業や内装仕上げの絡みは少ないのでそのあたりの心配はなかったのですが、Iさんから搬入がなかなか大変という話を聞いていたのでそのあたりを確認に出かけておりました。

駅に降りて、スマートフォンの地図を確認しながら向かったのですが、歩いてゆけても車が通れない場所があったりして、これはこれはと頭を悩ませながらぐるりと迂回して車が通れる道を探しまして、現場に到着。それでもIさんのおっしゃる通りにトラックがギリギリ入れるかどうかの感じ。

もう一つの心配が搬入。キッチンが2階になるのですが、バルコニーに腰くらいの高さの壁ができてしまうので、今回計画している5.0ミリのバイブレーションの天板(100kgくらいになるかなあ・・。)を揚げるにはどうしようかとずっと悩んでいたのでした。設置日まで足場は残されているというからどうにか屋外から上げるかなあ・・、でもアルミの笠木を傷めそうでおっかないなあなんて思っていたのですが、監督さんと大工さんにご協力頂けて、階段をキッチン設置後に浸けて頂くことで、どうにか屋内から荷揚げできそうになったのでした。大変助かります、ありがとうございます。

あとはとても段取りよく進めてくださっておられて、配管もすでにきれいに施工されていたので、納まりの打ち合わせも終わり。平日なのに時間を設けてくださったIさんとも最終確認ができたので、これでいよいよ制作に取り掛かれます。

では、これから取り掛かりますね、とお伝えして現場を後にしたのでした。

そういえば、この場所からならば祖父母の家が近かったなあ、なんて思い出し、すこし早めに打ち合わせが終わったので、後楽園駅まで遠回りしながら帰ってみることに。

自分が中学校の時以来このあたりにはきちんと来ていなかったからなあ、こっちだっけなあ・・、と昔の記憶を頼りに歩いていきます。

子どもの頃は、夏と正月には必ずここに来てたっけ。

後楽園駅で降りてドンチャックの大きな看板を恨めしそうに見ながら、そこからバスに乗ってきてたんだよね。こうして歩くと大した距離じゃなかったけれど、当時は私とユウ(弟です)が変に道草しないように二人の手を引いて歩くのは母にとって大変だったろうから、まずはバスに乗せちゃえってことだったのかな。

たしかにあの頃はドンチャックのある遊園地と本屋さんとおもちゃ屋さんはキラキラして見えたものね。

それで、たしか公園の前のバス停で降りたはず・・っと、それらしい道を入ってもちょっと違う。
無くなっちゃったろうか‥、35年くらい前のことだからなあ。

なんて何度か行き来していると、覚えのある路地が。
そうそう、このお肉屋さんがあった。そして、お豆腐屋さんも近くにあっていつもこのあたりは油揚げの匂いがしていたような。

そして、このあたりの道路が緑色(スクールゾーン?)だったはずなのに、今はもうそれは無くなっていて見落としていたのですが、お肉屋さんのそばの道を曲がると懐かしい路地が。

ここを曲がると通称「よっちゃんイカの工場」があって、そこを過ぎると駄菓子屋を営んでいた祖父母の家に辿り着くのでした。「よっちゃんイカ」というのは私とユウの想像で、たしか酢酸のような酸っぱい匂いがしているいつもシャッターが空いてフォークリフトが中にある大きな真っ暗な倉庫のような場所があって、子供心にちょっと怖くて、危険なものを作っているんじゃないか、なんて思っていたのです。

ああ、あった。

すっかりきれいな小ぶりな集合住宅に変わってしまっていましたが、お向かいの家の表札はまだ同じ方が住んでいるようでしたし、(あの錆びだらけのトロッコは無くなっていましたが。)当時からとても古かったお隣のアパートは今も当時のまま建っていてどなたか住んでいるようでした。すてきです。

そして、祖父母の家には風呂がなかったので、泊りに来るといつもみんなで銭湯に行ってたっけ。この写真の突きあたりに行くとたしか人一人くらいしか通れないような路地になっていて、夕暮れ時にだんだんと人の顔がシルエットになってくる頃にこの道を抜けていると、自分たちがどこに行ってしまうのだろう‥、ってもの淋しい思いがしていたっけな。途中で急に開けて地佐那児童公園があったりしてちょっとびっくりして、次第に湯気が立つ路地に辿り着いて石鹸の匂いなんかしてきて、ああ、やっぱり戻ってこられたなあ、なんて変に安心したりして。

そんなふうに30分ほど散歩して懐かしく、ちょっとうれしく、淋しい気持ちになりながら駅へ向かうと、こんにゃく閻魔様もその隣の中華料理屋さんも本屋さんも当時のままで、今日は自分にとっての小旅行のような時間でした。

母が無くなって今月でもう1年が経ちました。

お母ちゃん、どうにか頑張っておりますので、ご心配なく。

ウォールナットの引き出しの取っ手

かたちを探して

Category : 日記「自由な手たち」

2022年11月27日

スワローテイルのランプ

温故知新なんていうと聞こえは良いですが、要は良いものを真似させてもらっているのです。それが突き詰めていくと自分の形へとつなげていけたらよいなと思うのですが、それってなかなか自分には分かりづらくて、もうちょっとかな、あと少しかなって言うのがずっと続いていくのです。

この照明にしてもそう。ルイスポールセンのパークフースという照明がとても美しくてこれを木製で実現したいと思った時にシェーカーのオーバルボックスをモチーフにして作ったことがきっかけです。今から8年前の話ですね。このデザインのリング部分が四角い形で作ったのは今から15年前。もうずいぶん前にことです。

先日、シナで作った食器棚などを納品したEさんから追加でご依頼頂いているお父様の為のデスクのある収納棚には、Eさんも大好き、私も大好きな好文さんの取っ手のイメージして形を作らせて頂きました。実際にどのような開け心地になるのか楽しみなのです。

タモ柾目のオーダー食器棚

うれしい成長

Category : 日記「自由な手たち」

12月で8ヶ月が経つタケイシさんの手掛けるIさんの食器棚。

みんなの教え方が上手なのももちろんありますが、この時期でここまでできるようになってくれたのはとてもうれしいことです。

2階で仕事をしていると、ワタナベ君の高めの笑い声と、タケイシさんの低めの笑い声が良く響いてきます。

(ノガミ君とヒロセ君は普通のトーンなので普段はそれほど聞こえないのですが、機械がブンブンうなっている時に大きな声が響いてきます。)

こういう状態はみんなを成長させてくれます。

うれしいではありませんか。

冬を迎える

Category : 日記「自由な手たち」

2022年11月26日

ビニルハウスに明かりが入る季節になりました。

海老名の川のそばに越して三年が経ちます。この家に住み始めてからは相模川沿いを走る自転車専用道を通って通勤していたのですが、土日になると河川敷の球場の練習に向かう親子連れで活気があふれるのですが、普段は圏央道の橋脚ばかりが目に入る少しもの淋しいと感じていたのです。道幅がきれいに広すぎて、生き物の呼吸がちょっと遠いような気がして。

でも、梅雨からこの初冬にかけてはアスファルトの上に朝顔の種がたくさん落ちているのかって思うくらいの小さな白いカタツムリやら大きなミミズやらカマキリやらカマドウマ(なのかしら)がなぜか草むらから這い出てきて路上にたたずんでいるので、それはそれで活気があるのですが。(自転車で踏んでしまわないように気が気じゃないじゃないくらいなのですが)

そのように思えるので、この寒くなってきた時期はむかしの通勤の道を通る機会が増えました。

大きな変化がないような道にも大好きだったビニルハウス(骨だけになって中に錆びだらけの機会が雨ざらしになっているやつ)も取り壊されたり、田んぼが埋められて大きな物流センターに変わってしまっていたりとこちらにも淋しい部分もありますが、あの明かりを見ると懐かしくてホッとします。

昔、ブログのどこかで書きましたが、この明かりを見るたびにイバラードの夜空屋を思い出します。

だんだんと夜の様子がシンとしてきます。

明日はハルの大事な日です。

ご飯は何だろう。

キッチンスケッチ

鎌倉から呼ぶ声

Category : 日記「自由な手たち」

ナラ柾目とステンレスの壁付けキッチン

最近は、この湘南の家を建てる方がとても増えているという話を聞いては居りましたが、いろいろな方々からお声掛け頂くこの頃を思うとそうなのだなあと実感しているのです。

最近、鎌倉で長くとても魅力的な家作りをされている技拓さんがこちらまでいらして下さってYさんのキッチンを作らせて頂いたのでしたが、その後もTさんのキッチンにご相談にいらして下さり、本日も新たなご相談に。

この頃は家を建てるための費用も多く掛かるようになりましたので、なかなかキッチンまで実現させることが難しくなりつつある状況ですが、こうして声をかけて頂けることはありがたいなあと思うのです。

今日、技拓のMさんと一緒にいらして下さったのはKさんご家族。高校生のお嬢さんも家作りに興味津々で一緒にいらして下さってお父さん、お母さんと賑やかに話が進んでいきました。

我が家はハルもチィもすくすく育ってくれているけれど、だんだんと私やアキコと一緒に行動することも少なくなったからなあ。ハルなんてなんだか貫禄があるというか、居るだけで安心感があって、アキコが二人居るような感じがするし、チィなんて話しかけても穏やかな笑顔でうなずくだけだし(言葉を発しなさい)、うらやましいなあなんて思いながら、ひとつのキッチンの情景をお渡ししたのです。

「おぉ、さすがフリーハンド。」

「これをリアルタイムで動画で皆さんにお見せしたらすてきですね。」なんておひねりの気持ちを頂いきましたが、それは照れくさいなあ。ここに来てくれる皆さんだけが見られる楽しみということで、はい、今日はこれでお開きです。

写真は先日設置したYさんのナラ柾目のキッチンと吊戸棚と、きょうのKさんのスケッチ。

実現できるように頑張ります。

おなかいっぱい

Category : 日記「自由な手たち」

2022年11月25日

朝、工房にやってくるとニォーと言いながら階段から降りてきる。

「おはよう、アイさん。」

裏庭で草をひと食みして、陽気が良い時は線路のそばに寝転がっている朽ちた木に乗っかって爪とぎして、草むらで用を足したりするのですが、この頃は草食べたらもういそいそと工房に戻っていくのです。お腹が減っているのです。

そのあとをよいしょとついていくと、ニャアアーと言いながらこちらを見てくるので、「ちょっとお待ちなさい。」と一声かけるのですが、荷物を下ろしている間もカーテンを開けている間もジーっと見つめてくるわけです。
ハイハイと古いお皿を流しに浸けて、新しいお皿にご飯を載せて皿を下に置くか置かないかのうちにもうさらに首を突っ込んでほおばり始める。
まさにほおばり始める。ヒゲやら頬にご飯のかけらが付こうがお構いなしさ。
ひととおり満足すると、ちょうど朝の陽ざしが温かに差し込む事務所の戸の外に出て、やっと毛づくろいをし始めたなぁと、思っていると、気がつくといつの間にかまたジーっと見ている。

この頃は人嫌いになっちゃったからか普段はほとんどお客様の前に顔を出さなくなっちゃったのに、この前なんて、あまりにお腹が減ったからか気が付いたら、ショールームの入り口でじっと正座していて、ちょうど打ち合わせも大詰めになって日が暮れだした頃だったので、うす暗くなった入口に堂々と座る真っ白なアイの姿を見たFさんの奥さんが「なんて神々しい姿。」とおっしゃってくださいましたが、あれはお腹が減っているだけなのです。

でも、毎日きちんとご飯を食べることができるというのは、そういう体でいられること、そういう日々を過ごせること、それだけで幸せです。

今朝も2回ご飯食べたら、もう斜面に出掛けちゃったよ。

さて、そのFさんのとても素材感の強いキッチンの形がいよいよまとまってきましたので、今日はその形をまとめましょう。

自分のことは自分でね

Category : 日記「自由な手たち」

2022年11月24日

「イマイさんがぜんぶ形を考えるのですか!」って驚かれることがあります。

昔はね、みんなに家具の形から制作まで全部を考えてもらってゆけたら、もっと楽しく仕事が進むかもしれないって考えたことがあって、2,3組のお客様の家具を当時ここで頑張ってくれていた(今は二人とも独立しちゃいましたね)タツヤ君とガク君に頼んだりしたことはありましたが、やはり取りまとめは私がしないといけない部分もあったりしたので、今は制作はみんなに任せて、設計や現調などは私自身が行なっております。

大変ですね、と言われることもあるのですが、今となっては、それが自分で行なえないようなら家具作りを仕事にしている意味がないのではないかと思えているのです。

「みんなにもっと任せたらあなたはもっと自由に動けるようになるよ。」なんてアドバイスをもらったこともあったのですが、仕事の手を広げるってことはもっと自分の思いが届かなくなるかもしれないって思えて。

昔の2,3件を彼らに頼んだ時にもこういうことを強く思ったのです。

そうすると何のために私はこの仕事をしているのだろうって。

だからね、全部自分で考えて、自分で現地を見て、自分で写真を撮るのです。

でもね、もっとスタッフが居たら面白いかもねって思ったことがありました。

良い例えかどうか分からないのですが、私「ファイトクラブ」って映画が大好きなのです。

お話や物語の考え方も好きなのですが、あの二重人格の主人公がものすごいカリスマを持った別人格の時に、それに魅了された仲間がどんどん集まってくるのですが、ふと我に返った主人公が周りを見渡すと、そこには当然見知らぬはずの人がたくさん集まっていて、自分がどう口説いたのか分からないまま彼らが慕ってくれているっているシーンがあって、ふーんって思っていたのです。

そうしたら少し前にこんな夢を見ました。

私が朝早くに工房(と言っても夢の中の会社は大きな工場になっていました)に着くと、見知らぬ青年が数名当時のスタッフたちと談笑している。

「カナイ君、おはよう。」というと「シャチョウ、おはようございます。」と返してくれるのですが、隣に立つ青年がふと「この人誰?」ってカナイ君にこっそり聞いている。

私に見向きもせずに気づくことなくお互い楽しく談笑する人たちもちらほら。

なんかその様子を見て淋しさを感じたのですが、それよりも、私の居ないところで工房内がスタッフたちがこれほど楽しそうに過ごせるような状態にいつの間にか成っていたということにうれしくなったという夢でした。ああ、仕事を広げるためにではなくてみんなで楽しくなるために人数が増えるのならおもしろいだろうなあ、なんて夢から覚めて思ったっけ。

でも、実際はこじんまりした工房ですので、これ以上広げることも難しいわけで、今のみんなで居られることが一番のベストですから、私は今日も絵を描いたり、汗だくになって墨出ししたりするのです。

こちらのイラストは、千葉でログハウスに住んでいらっしゃるUさんのキッチン。これから打ち合わせにいらしてくださいます。どんな感じにまとまるかな。

パンを焼くとき

Category : 日記「自由な手たち」

2022年11月23日

「konasalon」というパン教室をされている熊崎さん。本も出版されている先生ですのでご存じの方も多いかと思います。

以前お住まいだったお家のキッチンを作らせていただいたご縁で、我が家のオープンハウスにもいらしてくださったり、お客様が熊崎さんの生徒さんだったりと、ありがたいことに交流を続けさせていただいております。

本を眺めたり、Instagramを拝見して「いいな、いいな。」と憧れてはいる「天然酵母でパンを焼く。」ということ。

手を出せないでいる私なのですが、今のままではいつまでたっても先に進まないので、まずはパンを焼くという作業に慣れていかなくてはということで、はじめは、熊崎さんのドライイーストを使ったレシピ本を参考に作ってみました。

本は以前からずっと持ってはいたのです。
お湯を張った鍋の上で発酵させるスタイル
発酵前
発酵後。しっかり膨らむとうれしいですね
成形
ベンチタイム。手ぬぐいを使っています。
お湯のお鍋の上に天板ごと置くスタイルがオーブンレンジの発酵モードよりも気に入りました。
二か所に切り込み、を間違えて十字に切ってしまい、ジャガイモのようになってしまいました…。
久しぶりにパンを焼きましたがうまくできた気がします。自画自賛(笑)。
ダイスケさんにも「美味しい。」と言ってもらえました。

いつも発酵がうまくいかなくて、予定よりも時間がかかったりして、夕ご飯を用意する時間にかぶってしまったりと、悩ましかったのですが、お鍋のお湯の温度で発酵するアイデアは素晴らしいなと思いました。

数年以上前に出されている本ですので、「今⁉」と思われてしまうかもしれませんが、

私にとってはこのタイミングでしたので、成功しやすい方法を知ることができてわくわくなのです。

手づくりしてみてうまくいくと本当にうれしいですね。

これからも、パン作りの練習を続けていきたいと思います。

働く大人の考え方に触れる時間

Category : 日記「自由な手たち」

2022年11月17日

工房に中学2年の二人が来てくれている間に、私とタケイシさんとお昼過ぎから中学3年生の授業に。

「つながりプロジェクト」というプログラムに参加させて頂きました。

やはり話すのは難しいよね。

いろいろと考えていったのですが、すべて伝わったかなあ。でも、みんな楽しそうに過ごしてもらえたからマル。

私の経験してきたことや感じてきたことを話したり、何か体験という形にできたらと思いまして、2つのワークショップを開きました。

1つ目のワークショップは、当たり前のことだけれどすべてのものは自然の物から生まれているよ、という意味を込めて、いろいろな樹種のコースターを鉄染めする教室。それぞれの木の匂いや沸騰したお酢の匂いや鉄釘の錆びた匂い。鉄媒染液と木々が反応して、色がどんどん深くなっていく様子。色がにじむ様子やぼける様子が表情になっていく楽しさなどが分かってもらえたら、私はそれで満足。

今、中学生の子供たちのまわりには、とても便利に思えるものが身近に手に触れることができる時代。でもそれは初めからスマートフォンだったわけではなく、初めからA4の様子だったわけではなく、初めから黒字に赤いラインの入ったジャージだったわけではなく、素材があって人の手が入って初めてモノとなっていく。着るものも食べるものも住むところも全て人がひとつずつ作ってきたもので、物を作ることができる能力があるということはとても素晴らしいことで、そういうふうに工夫しながら生きていく姿が美しいのだよね、ということが分かってもらえたら大満足。

続いては、私が皆さんの家具を作るなかで感じてきた「家具を作るだけではなく、その人の暮らしを考えていくことができる楽しさ」を感じてもらえたらというワークショップ。

私はスケッチを描いて家具を表現することが多いので、そのスケッチを通じてみんなにも何か感じ取ってもらえたらなあ、という思いを込めて。

まずは立体を描く課題。スケッチを描くうえでは目に見えない消失点があってそこに向かって線をつなげていくと立体が浮かび上がってきます。という練習課題を経てもらってから本題に入ろうかと思ったのですが、このシンプルな立体を描くことがなかなか難しく、また楽しくなってしまって、本題に入ってからも、立体で表現することが重点になってしまって、本題である「形を考えてもらう楽しさや考える楽しさ」まではつかみづらかったかもしれません。

そもそもクライアント役も設計役もクラスメイト同士となると、最初っから楽しいものね。

終始笑い声が絶えない時間になりましたが、お互い話をすることで形がまとまっていく、暮らしが広がっていく楽しさが少しでも分かってもらえたらうれしいなあ。

という感じで、無事終了。

タケイシさんにも自分でこしらえたコースターを子供たちがうれしそうに絵付けする様子を見せられてよかったよかった。

最後に団体の皆さんの顔合わせがありましたが、皆さまいろいろな意義を持ってこのイベントに臨んでくださっていることが分かってうれしくなりました。身近にこんなに魅力的な人たちが居るってことを知ることができただけでも私も子供たちもすてきな経験になったと思うのです。

こういう魅力的な場を設けてくださった先生、ありがとうございました。

本当はね、この先の高校生活に向かっていくみんなに最後に言葉を贈ろうと考えていたのですが、時間切れになっちゃったので、ここに掲載。(またかい、って思ってくれた方は私たちのブログの愛読者ですね。)

【贈る言葉】(今から2年前に娘の卒業式で伝えたかった言葉)

———————————————————————–

皆さん、ご卒業おめでとうございます。

卒業証書を受け取って私たちの前で一礼していく姿を見ていると、その凛々しい姿にとても頼もしさを見ることができました。もう前に進むことを躊躇わない姿が映っていました。

皆さんはこれからこの中学校区を離れて、いろいろな方向へと将来への道を歩んでいきますね。

喜びを感じることもあれば、苦しさを感じることもあると思います。

そういういろいろな思いでいっぱいになった時にちょっと力を与えてくれるかもしれないって思えること、私が若い時に感じたことをひとつお話ししたいと思います。

今から21年前に公開された映画で「マトリックス」(知ってるかな?)という映画がありました。

当時は実写のドラゴンボール(知ってるかな?)のようだ、なんて言って楽しんで見ていた映画です。

なかなか面白いテーマの映画でしたので皆さんも機会がありましたら、見てみてくださいね。

その中の登場人物が主人公に自分の進む道を選択することを促すシーンがあるのですが、初めてそれを見た時にわたしは選択なんて当たり前のようにしていることだし、いまさら何を意識しなければいけないのだろう、とふと不思議に思ったのでした。

でもね、こうして年を重ねてみると、「選択する」ということがどういうことかなんとなく分かってきました。

私たちは毎日毎秒自分でも気づかないうちに一つの道を選びながら暮らしています。

朝起きて、トイレに行こうか、顔を洗おうか。

空が曇っているけれど傘を持っていこうか、どうしようか。

例えば、君が家の鍵を忘れたのに気が付いたけれど、その時に鞄を見返してれば、今日提出するプリントを忘れずに済んだかもしれない。忘れたために補講を受けることになったから、家に帰るのが遅くなって雨に打たれて、翌日から3日間風邪で寝込んでしまった。

こんなふうに、ひとつの選択が全く違う形で結果に表れてくることもあります。

例えば、(このお話は先生ごめんなさい。)高校2年の時に授業中にこっそり読んだ「ツルモク独身寮」というマンガがあったから、インテリアデザインという仕事があることを初めて知って、家具を作る道、家具をデザインする道に進むことができたのかもしれない。

ひとつの選択が大きな結果になることを意識していると自分に対して気持ちをしっかり持とうと思えるのです。

例えば、新しい学校に入って、同じ中学からの友人のクラスは、何人か知り合いがいて楽しそうに思えるのに、自分の周りは知らない人ばかりで、全然楽しめない。授業も思っていたよりも楽しくなくて、こんなことならもっと友達が多く行った学校に一緒に進んでいればよかった。この学校に決めたのも両親の勧めで入ったからで自分は特別ここじゃなくてもよかったのに。なんて思ったりするかもしれない。

でも、結果としてこの学校に行くことを選んだのは自分なので、このクラスの分け方になったのも自分がこの学校に入ったらそうなることもありえるのです。そういう場面に直面した時に自分が選択したのだから自分が選んだ結果に悔しがるだけではなく、自分で選んだなりの答えを探していこう、という前向きな気持ち、すなわち自分の中での責任が生まれていく、それが自分で選択することなのではないかなと思えるのです。

私が今ここにこうしていられるのも、そういう自分の気持ちに迷った時に、「でも、こういう考えでこの道を選んだのは自分だし、それならよくなるように考えないとね。」という気持ちを持ってこられたからかなと思っています。

みなさんがこれから進む道では、そういう思いで立ち止まる時が来ると思います。

そうなった時になぜ自分がこの道を進んできたのかを選んだ気持ちをはっきりと思える気持ちを持ちながら、たくましくしなやかに進んでいってほしいと思います。

———————————————————————–

3年ぶりの職場体験

Category : 日記「自由な手たち」

今日は、職場体験の日でした。コロナ禍となり数年声がかからなくなっていましたが、9月頃でしたでしょうか、茅ヶ崎市のH中学校から連絡がありました。

再び声をかけていただいてうれしいです、ありがとうございます。

そしてその後、以前チェリー材のL型のキッチンを作らせていただいたOさんのご主人からもお電話をいただいたのです。

「今度うちの息子がイマイさんのところへ職場体験に行くので、よろしくお願いします。」と。

キッチンを作らせていただいた後もクレミルや湘南T-siteのイベントにご家族で足を運んでくださっていたOさん。

小さい時に会ったことがある彼がもう中学2年生だなんて、月日が経つのは早いですね、驚きました。

そんなすてきな巡りあわせで、せっかく私たちの会社を選んで来てくださったのですから、来た甲斐があったと思ってもらえるようにしないといけませんね。

最初の1時間はショールームで座学です。会社の成り立ちや、問い合わせからお見積り・スケッチを作成し、受注できたら図面作成し、担当する制作スタッフに図面を渡し打ち合わせ。その後、必要な材料を見ながら木取り表作成して制作していく、という流れを家具やサンプルを見てもらいながらお話しします。

途中ダイスケさんには、スケッチの書き方と図面の見方を伝えてもらいました。

その後は工房に行き、実際図面を受け取ってから製作スタッフがどう動くのかを木工機械それぞれの説明を受けながら動いていきます。担当は主任のノガミ君です。

ノガミ君は教えるのが上手で、新人スタッフに教え慣れているのもあるのかもしれませんが、

作業内容だけでなく、「この作業をするときはこういう姿勢でやると効率がいいです。」と細かく伝えてあげていて、小さなことなのですが、そういうことを知っているかいないかで、取り組みやすさが変わる大切なことだと思います。要領というのでしょうか。

自分がお料理教室に参加した時も、そのメニューの作り方よりも、「こうするといいですよ。」というレシピには載ってないプチアドバイス的なものの方が意外と頭に残っていて役に立っていますので。

実際にO君とK君が行った作業は、

・図書館の検索台の幕板部分の部材の磨き作業、(注:仕上がりには問題がないようにしています。)

・パネルソーを使って木材を切ってみる、

・トリマーを使って背板の配線穴の加工とその磨き、

・削り出してある好みの樹種のコースターの磨き、オイル塗装。

15時まででしたので、結構しっかりみっちりの内容でしたが、2人とも「すごく楽しかったです!」と布にくるんだオイル塗りたてのコースターを抱えて帰っていきました。

楽しいと感じてもらえてよかったです。お疲れさまでした。

指導を担当してくれたノガミ君に感想を聞くと、「今回の子たちはやる気を感じる子たちだったので教えがいありました。」とのことでした。そうなのですよね。

職場体験は第三希望まで書いて提出し先生に割り振られるそうで、木工は人気がない方なので、第一希望ではなく来ることになった子が今までもいると思います。でもそんな子たちでも、「やってみたらちょっと楽しかった。」くらいの感想を持つ機会になってくれたらうれしいですね。

「やっぱり木工は興味が持てない。」という感想でもいいのです。自分には合わないと知る機会にはなったのですから。進路を決めるうえで大事な経験です。

その人の視野が広がる機会になったのならうれしいです。

O君は「将来大工になりたいと思ってます。」としっかり伝えてくれました。

大工さんってお家でも何でも作れてかっこいいもんね。楽しみですね。

職場体験をしに来てくれて、ありがとうございました。

タモのペニンシュラキッチン

タモのペニンシュラキッチン

Category : 日記「自由な手たち」

2022年11月15日

タモのペニンシュラキッチン

昨日から引き続きヒロセ君とノガミ君に作業を進めてもらって、日が落ちる前に作業が完了したKさんのキッチンとバックカウンター。

今回は万代建材さんの幅が広くて動きがダイナミックなタモの単板を選んでもらって作った突板です。

とても良い表情。こういう濃淡がよく現れる形はとても美しいですね。

ここからKさんご夫婦で塗装をしていくので、またこれから表情が変わります。

ところで、最近よく採用される食洗機がこのリンナイのフロントオープンタイプ。今まではドアパネル型しか見かけなかったのですが、縁が隠れるドア面材型が出ているので、このようにすっきりとした納まりになります。

ただ海外製の食洗機と違って食洗機下で配管を結ぶため、設備屋さんとの連携が必要なので、いつもご協力くださる工務店さんにはとても感謝しております。

おかげさまでこうしてきれいに納まりました。

おやっ

Category : 日記「自由な手たち」

2022年11月14日

今朝は埼玉のKさんのキッチンの設置工事です。制作を担当したヒロセ君と今回はサポートのノガミ君と私とで出発。

キッチンとバックカウンターがあるので、量的に1日で終わるかどうかが微妙なので、泊まり込んでの作業になります。

「あのあたりはなぜかジンギスカンのお店が多そうなのですよ。」とヒロセ君。

もともと食に関する道を仕事にするかどうかを考えていた彼だけに抜かりないね。

Kさんご夫婦はお二人とも設計士さんということもあり、今回室内の仕上げを部分的にお二人で施工もされるということもあり、朝早くから私たちの搬入にも立ち会ってくださいました。

段取りよくして頂いたおかげで、荷物を置く場所もご用意頂けましたので、搬入はスムーズに終わって、納まりの確認も終えたら、私は先に戻らせてもらいます。

工房に戻ると、ワタナベ君とタケイシさんが作業をしております。

「おやっ、そうか。」

ワタナベ君が塗装をしていてタケイシさんが向こうで加工をしている。

今までだったら、「塗装があるならタケイシさんだね。」というように入社して間もないスタッフの作業というと研磨、塗装、プレスと言ったパートごとの作業ばかりになるのですが、もう彼女がここに来て半年が過ぎました。

のみ込みが良いこともあって、みんなからのアドバイスもありましたが、すでに自分で2台ほど家具を仕上げてくれています。

今回もノガミ君の提案で、彼女にはちょっと大きな食器棚を任せたいとのことで、今回はIさんの食器棚を手掛けることになっています。

そうかそうか、もうみんなの手伝いではなくて自身の家具作りができる頃になったのだなあと、ふと塗装をするワタナベ君を見て思ったのです。

下準備

Category : 日記「自由な手たち」

2022年11月13日

今日は予定を入れていない日曜日。

だから、アイにはすまないけれど少し遅れて工房にやって来たわけですが、お腹が減ったからどうにかしろと、朝からやかましい。

とりあえずおなかが満たされて満足気な顔の彼がどこかに出かけたのを見計らって、木曜日の準備をしなければ。

木曜日には町内の中学生二人が三年ぶりに職業体験で1日仕事をしにやってくるのですが、それは例年やっていたようにきちんと仕事をしてもらって、という段取りは付いているのですが、今回縁あってもう一つの中学校から「イマイさんに講話をしてほしいのです。」という相談を頂いたのです。

町内の中学三年生が卒業に向けて、地元で活躍しているいろいろな人の話を聞くことで自分自身の生き方を見つめるきっかけになってほしいという取り組みで始めたプログラムだそうで、10年ほど前から行なっているのだそうで、「実は、以前にも同じお願いをするためにイマイさんのところにお邪魔させて頂いたのです。」と先生。

そういえば父が学校の子供たちに話をしたって言ってたっけ。

話好きな父ならうってつけなのでしょうけれど、口下手な私に務まるのかどうかも分からないのですが、うっかり(笑)「はい。」とお返事してしまったものですから、その準備をしないとね。

話すことは上手じゃないから、何か経験しもらいたいと思いまして、2つほどワークショップを行なって感じ取ってもらえたらよいなと。

と、計画したのは良いのですが、なかなか大変そうで、うまくいくかしら。

ひとまず準備が整いました。

炊飯器収納

Category : 日記「自由な手たち」

2022年11月12日

Homify さんに掲載していただきました。取り上げてくださりありがとうございます。

掲載されていた写真が私たちのページの写真のはずなのに、ピンポイント過ぎて、どなたの制作例のお写真なのか私には探し出せずにいたのですが、ダイスケさんは、「これ、Uさん家の写真。」とすぐにわかって、さすがだなと思いました。こういうクイズなら、東大王にも勝てるだろうなと思います。(東大王さん達はまず私たちのこと知らないですね、失礼しました。笑)

今回の記事は、「あなたの住まいをスマートハウスに変える13の方法」という記事です。

スマート家電を利用すれば、携帯のアプリを利用して、暮らしに関する様々な操作ができるようになって便利、という内容でした。海外ではどんどん進んでいるそうで、私たちの暮らしも変わっていくのでしょうか。自分が中学生くらいの頃は、1人1台携帯電話を持って生活するなんて考えられなかったですから、10年後くらいには当たり前になっているのかもしれませんね。

ただ、「いくら便利でも、そこまで携帯のアプリで管理していきたくない。」と好みが分かれそうですね。私も今はその考えです。ただ、考え方は様々な出来事で変わりますから、選べる選択肢が増えているということはよいことだと思います。

また、掲載されている炊飯器収納の写真を見て、「おや!?」と思われた方がいらっしゃると思います。

横の部分にレールが見えていますね。最近おつくりしている炊飯器収納では、見えないように下側につけるソフトクローズのスライドレールを使う場合が多いので、見えないようにもできます。

スライドレールの金具は、デザイン・見え方・必要な高さ・強度・使い心地・価格など様々な特徴があります。お打ち合わせの時に、お客様と話し合って決めていきますので、ご安心くださいね。

今回掲載させていただいたのは1枚目が、Iさんのキッチンバックカウンターの炊飯器収納のお写真です。お作りしたキッチンの詳細が気になる方はこちらをご参照ください。

2枚目が、Hさんの食器棚の炊飯器収納のお写真です。マンションをリノベーションされた際に、L型キッチンの後ろ側に作らせていただいた食器棚です。そこに必要なものをコンパクトにまとめた形になりました。詳細が気になる方はこちらをご参照ください。