
ナラ材とステンレストップのアイランドキッチン
Category : 日記「自由な手たち」2018年9月10日
東に向かうには覚悟がいるのです。
今日はちはら台のSさんのキッチンの設置工事でした。
都内を抜けてグルっと回るか、東京湾を横断するか、眠い目をこすりながら迷いながら滞りながら、ようやく車列から抜け出して到着した時は自分たちの予定よりも30分も遅れておりました。
でも、今回の施工会社の藍舎さんのおかげで現場は私たちだけで作業させて頂けるように段取りしてくれていて、順調に作業が進められそうなのでした。
そういうわけで、眠気を払って気持ちを切り替えて、よし、雨が降ってこないうちにさっそく荷下ろしだね、と玄関に向かうところで、ぬかるみに足を取られて見事に転倒してお尻が泥だらけに・・。
しかも誰も見ていないところで転んじゃって、みんなには「社長、どうしたんですか・・。」って。
こんなに見事に転んだのは、4年くらい前にお風呂場でものすごい大きな音を立てて滑った時以来。
水道をお借りして、泥を落として、搬入を終えて、段取りをしているところに監督の田中さんがいらしてくださって、タイルの納まりや柱との関わりや配管の取り出しなど細かい部分について打ち合わせを終えたら、製作を担当したコバヤシ君、そして、ノガミ君とワタナベ君の3人に任せて、お尻の泥が乾きつつある私は一足先に会社に戻ってまいりました。
なかなか慌ただしい1週間の始まりです。
21時過ぎになって3人が無事に設置を終えて帰ってきてくれました。
ありがとう。
明日もよろしくお願いします。

ステンレスバイブレーションと節有りオークのアイランドキッチン
Category : 日記「自由な手たち」2018年9月9日
Oさんのキッチンに会ってきたのです。
Oさんが私たちを見つけてくれたきっかけは、Pinterestだったのだそうです。
「家を作るにあたって、いろいろと調べるのに画像で探した方が探しやすくて。」とOさん。
「その中で、いろいろ調べていたら、イマイさんの名前がよく出てくるようになって、最初はフリーハンドイマイっていうハンドルネームの人が集めている画像なのかと思っていたんですよね。そしたらそういう会社なんだって。(笑)」
なるほど、それは何となく分かります。名付けた父にはすまないけれど、どこかもっさりした名前だなあって思うこともありました。
それこそまだ私がこの仕事に就き始めた頃は社名を電話で言うことが馴染めなくて、「はい、イマイです。」って言っていたこともあったり、もっと短い社名にできるかなってFHIって名前はどうかなって思ったら富士重工業(現スバル)と被ってしまったり。
今はね、いい名前だって思えます。
自由に形を作ることができる手を持った人たちの集まりって意味ですから。
よい形を頑張って作っていきますよ。

倉見神社神幸祭
Category : 日記「自由な手たち」
今日は倉見神社の神幸祭。会社前が御神酒所になっているので、その時間が来るとお囃子や担ぎ手さん達で大賑わい。
そして、今年も私たちと工房は神主さんのお祓いを受けました。
これからも、この工房で皆様の家具やキッチンをスタッフのみんなが怪我などすることがなく、安全に作り、納めていくことができますように。
今年は、イベントでうちに遊びに来てくれたことのあるお子さんとそのご家族の姿が見られました。
こどもお神輿を担いでいたり、お囃子に参加していたり。
待っている時間に、「僕ここになんか作りに来たことあるよ。」ってお話してくれて、ありがとう、ちゃんと気づいているよ。
住んでいる場所は海老名で、自治会の活動も主に地元の方で参加しているのですが、
日中の半分以上は会社のある場所で過ごしています。その場所での繋がりを感じられてなんだかうれしかったのです。
お囃子や担ぎ手の皆様、自治会の皆様、お手伝いの方々お疲れさまでした。そして、ありがとうございました。

古材を使った洗面台と寝室のワードロープとTVボードの納品
Category : 日記「自由な手たち」2018年9月6日
昨日、風の影響を心配していましたが、Hさんの洗面台と寝室のワードローブとTVボードの納品を無事に終えて帰ってきました。
今日もスタッフ2人は三島の現場へ。
予定通りの業務をすることができるという日常のありがたさ。
今回のHさんのお仕事は、ここ最近いろいろなご相談をしに来てくれるakdsの木村さんから頂いたお仕事。
最初、木村さんが私たちのところに家具の相談に来てくれたきっかけが、私が20年前に卒業したICSがそう。
木村さんもその学校の卒業生で、今回のリフォームを取り仕切る内装の椎名さんも同じ。そして、この部屋のオーナーのHさんも現在ICSにお勤めの方。
昔の思い出がポツポツとよみがえります。
夜間部だったからいろんな考え方の人が集まっていろんな話をして、建築や家具の話のほうが少なかったかもねえ。(笑)
先生自身も個性的な考えのかたが多かったですし。
あの時は見えなかったことが今は少しずつ分かるような気もして。
以前、木村さんがここで打ち合わせに来てくれた時に、「愛のある家具を作りましょう。」って言っていた。
「そうです、そうです。」って二人でうなずいて、今自分たちが愛が満ち溢れるの家具を作ることができているのかどうか少し心配ではありますが、愛のある暮らしに携わることができるように努力していくのみです。
そう、以前キッチンを作らせてもらった鎌倉のFさんもICS出身。学生時代に椅子製作のお手伝いをして、それからすっかり大人になった時にキッチンを依頼してくださったのでした。
みんなどこかでつながっているんです。

ヤモリ
Category : 日記「自由な手たち」2018年9月5日
昨晩のニュース映像で、台風の影響のあまりの凄さに、「会社や自分の家がこうなったらどうすればいいんだろう…。」と胸騒ぎがしました。
今朝、会社に着いて自分の目でも無事を確認してから周りの掃除をしていると、窓枠の隙間にヤモリを見つけました。
「大丈夫かもしれない。」となんだか心が落ち着きました。単純ですが(笑)。日頃から備えはしていかなくてはと思います。
今日は外から荷揚げの作業にスタッフが出かけています。雨の心配はなくなりましたが、風はまだ強いので心配です。

「夏のクレミル 木工教室」を終えて
Category : 日記「自由な手たち」2018年9月3日
「夏の~」とつく割には、涼しい雨の日曜日の朝、2日目の木工教室が始まりました。
今日のお客様も2組の参加となりました。(お子様の体調不良でキャンセルされたWさん。また次回もありますので、ぜひ遊びにいらしてくださいね。)今回もお客様1組にスタッフ1人がついて作業できる状態でしたので、スタッフの各工程の説明も「普段はこういう風にしていますが、今日は木工教室なので、○○さんのお好みのやり方でも大丈夫ですよ。」と、より丁寧なものに感じられました。
「リビングで、下の段にルーターとかを置いて、上に鍵とか貴重品とかを置く台が欲しくて。」とその台を製作されたHさん。今回木工教室で初めてプレス機とテープ貼り機も稼働しての加工を体験していただきました。より工程が多くて大変だったと思いますが、お2人でとても熱心に取り組んでくださって、見ていて微笑ましくてとてもうれしかったです。
「娘が台所のお手伝いをしたいと言うようになったのですが、まだ届かないので、スツールがちょうどいいなと思いまして。」とそのスツールを作られたFさん。昨年「木のキッチン」作りにも参加してくださったおとうさん。DIY好きということで、慣れた物腰が、見ていてとても安心感がありました。実は、宣伝した割に今まで誰からもお申し込みがなかったもので、Fさんがスツールを作ってくださってよかったです。(笑)「作りたいものが作れますよ。」と言われたら、自分に今必要なものを作りたいですよね。でもたまに「木工教室に参加したいのですが、何が作れるのかよくわからなくて…。」と言われる方もいらっしゃるので、毎回テーマを決めて企画をしています。
「なんとなく作業を進めながら大きさや使う部分を決めていくのではだめなんですね。はじめに全部きちんと決めてないとだめなんだ。」
「こんなにいろんな工程があるなんて思っていなかったです。家具作りって大変ですね。でも楽しかったです。想像以上のものができました。」
毎回色々なご意見をいただけて、感謝の言葉もいただけて、こういうことを実感できる機会はありがたいです。
自分が当たり前のように普段している仕事も、知らない人にわかりやすく伝えて安全に作業をしてもらえる為にはどうすればいいか、自分も、スタッフも、仕事の本質というか、日々を見直す良い機会になると思います。お客様からのリクエストで始めた工房開放の木工教室ですが、自分たちの為にもなっているのだなと改めて実感しました。ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。次回は例年通りの「冬のクレミル」で開催予定です。Fさんの奥様にあるヒントをいただきましたので、次のテーマももう考えていますよ。10月頃から告知をしていきます。よろしくお願いいたします。

伝えていきたいこと
Category : 日記「自由な手たち」2018年9月1日
私たちのコンセプトの1つ「使う人と作る人がもっともっと近づくことができますように。」があります。
Websiteのオーダーキッチンやオーダー家具の製作例の中では、デザイン・設計を担当しているイマイダイスケが、その形が出来上がるまでのお客様とのお話の中で感じたことを中心に書いています。Instagramでは、主にスタッフみんなの作業風景を撮影して掲載していますが、どんなことを考え工夫しながら日々家具やキッチンを作り上げているのか、みんなの声も、これからは伝えていけたらいいなと思っています。家具やキッチンをお客様にお届けしてから書いてもらっていますが、だんだんその用紙が集まってきました。みんな色々書いてくれていて嬉しいです。順次掲載していきますので、お楽しみに。

北の魔女に会いに行く
Category : 日記「自由な手たち」2018年8月31日
魔女なんて言うと、Aさんに怒られちゃいそうですが、私にとってはキッチンのおもしろさをあらためて教えてくれた美しい魔法使いような女性です。
先日、無事に引き渡しが終わって、タオル掛けをつけたい、というお話を頂いて、またKUMAさんに17センチのハンドルを鍛えてもらって、それを今日取り付けてきたのです。
よいね、格子扉の向こう側の使い方が格好良くって、こういう格好の良い姿はその人しか出せない。
そして、魔女さんから次のご相談。今度の魔法でキッチンがきれいに整うのでしょう。
魔法がかかるのは、年が明ける頃かな。

homifyの特集記事に取り上げていただきました
Category : 日記「自由な手たち」2018年8月30日
住まいの総合ポータルサイト「homify」の「オープンキッチンの魅力のまとめ」という特集記事にとり上げていただきました。
私達が一番初めに作らせていただいたKさんのキッチン。キッチンカタログの表紙にも使わせていただいております。
取り上げていただいてうれしいです。他にもたくさん魅力的なキッチンが特集されています。ぜひご覧になってみたくださいね。

チェリーの書棚
Category : 日記「自由な手たち」2018年8月28日
Kさんのチェリーの書棚はワタナベ君が製作を担当したもの。
1人が1台を作る、というスタンスで取り組む私たちの家具作り。
彼もみんなに見守られながら、一人の大きな力になってきました。
ノガミ君と二人、作業を終えて頼もしく帰ってきたんだよね。

ステンレストップのナラのカップボード
Category : 日記「自由な手たち」お久しぶりです、Sさん。
1年ちょっと前に食器棚を作らせて頂いたNさんから久しぶりにメールを頂きました。
今度はリビングの家具のことを考えているということで、久しぶりにお邪魔させて頂きました。
あの時の生まれたての赤ちゃんは、もうすっかり赤ちゃんで、Sさんたちもすっかりお父さん、お母さんになっていました。
よいね。
線路は続くよどこまでも。
ぼくらはその停車駅だ。
いつでも停車場で待ってます。

まほうのようなことば
Category : 日記「自由な手たち」「・・そうそう。娘たちにも、ものづくりを身近に感じてもらえる経験をたくさん用意してあげたいなと常々思っています。
イマイさんのイベントの常連になりそうです^^
12月の件は早速手帳に書きました!
我が家の食器棚と棚、どんどん家に馴染んで来て、良い味出てます・・・!
仕事から帰って来てヘトヘトでも、この景色を見るとほっと安心して、幸せーって思います。
ではまた^_^」
家具にもいろんな道があるんです、ってことをNさんにお伝えできていたらそれが私たちの幸せですし、生きかたにもいろんな道があるんだよってお子さんに伝えられたら、それはNさんの一番の幸せですよね。
また、冬にお会いできるのを楽しみにしています。

夏のクレミル 木工教室1日目が無事に終了しました。
Category : 日記「自由な手たち」2018年8月26日
夏休み最後の日曜日(違う学区もあるようですが…。)夏のクレミル木工教室1日目が無事に終了いたしました。
本日は2組のみの参加となりました。思っていたよりも少ない応募者数でしたが(笑)、いつも大人数になってバタバタとしてしまい、せっかくお会いできたのに、お話もできなくて、皆様に申し訳ない気持ちが出てきてしまうこともありましたので、今日は1組に1スタッフがずっとついていられる状態でしたので、いつもより満足していただけたのではないかと思います。
ご家族4人でご参加くださったKさんは姉妹お揃いの卓上本棚を製作。
お子さんをパパに預けて、お母さん1人でご参加のNさんはお子様用のハンガーラックを作られました。
「こんな大きな板から切るんですか!?」
「こんなにちゃんと作らせてもらえるなんて思っていませんでした。」
そうですよね、驚かれたと思いますが、せっかくのオーダー家具屋で行う木工教室です。
今日いらしていただいたお二方も、以前家具を作らせていただいたお客様。
最初の状態から加工していくことを体験していただいて、自分たちの家にある家具もこういう過程を経てできたものなのだと改めて気づいていただけたら、うれしいのです。ご参加いただいたKさん、Nさんありがとうございました。お疲れさまでした!
来週は2回目の木工教室です。ご予約いただいた皆様、お待ちしております。

今週末は「夏のクレミル 木工教室」です。
Category : 日記「自由な手たち」2018年8月22日
お知らせが間近になってしまいましたが、今週末8月26日と9月2日は「夏のクレミル 木工教室」です。
お盆明けに申し込みを締め切らせていただきましたが、参加のお申し込みをいただいたお客様、ありがとうございました。
ご要望の形に作り上げられるように、スタッフと一緒に木工を楽しみましょう!当日お待ちしております。

ナラのペニンシュラキッチンとバックボード
Category : 日記「自由な手たち」2018年8月21日
そして、先ほどHさんの取付を完了させて皆が戻ってまいりました。
Hさん、次はオイル塗装のタイミングでお伺いしますので、がんばりましょう!

クルミ材を使ったキャビネットとセラミックトップのアイランドキッチン
Category : 日記「自由な手たち」Dさんのお引き渡しが本日ということで、細かい作業が残っていたのを今朝お邪魔させて頂いたのでした。
まるで夜のような写真ですが、朝早くから引き渡しが終わっていないのに、シャッターを開けるのもためらわれましたので、むーでぃな雰囲気の写真でございます。
今回のDさんのキッチンのカウンタートップには、私たちも初めて使ったデクトンのセラミック。結構ガリガリとやっても傷にならなかったのはすごいなあ。そこにクルミ材を組み合わせたとてもシックなキッチンになりました。
また明るく開け放した時の様子は違った表情に見えるので、その時に拝見させて頂くのが楽しみなのです。
作業を終えたら、Dさんと同じく町田市内で工事中のHさんの現場に。
キッチンの設置工事なのです。
みんなとは現地で落ち合って、先に作業されていた左官屋さんと搬入の段取りをさせて頂いて、それから製作を担当したノガミ君と打ち合わせて、さあ取付です。
今回偶然にもDさんもHさんも、この同じ時期に同じ施工会社さんが家を建ててくださっています。
お二方とも面識はないのに、おもしろいご縁です。
こういう巡り会わせに出会うと、私たちはいろいろな人やいろいろな空気に生かされているのだなあ、といつも思うのです。
でも、こういうのって偶然ではなくて、以前にも書いたのですが、ある地域で家具のご相談を頂くと、その近辺にお住いの片からご相談を頂くことが増えるのです。最近だと、青葉区や港北区が多かったですね。
ちょっと前は川口や浦和、荒川区だったり。
きっと誰かが呼んでくれるのです。
きっとそういう巡り会わせなんです。
会社に戻るとピザの良い香りが漂っておりました。

第3回夏休みおうちパン教室が開催されました!
Category : 日記「自由な手たち」
そろそろだれか来る頃かなと思いながら準備をしていると、トントントントンッと軽快に階段を上がってくる音がして「パン作るのここでいいんですか?」と坊主頭の日焼けした男の子が2人ショールームの入り口に来ました。聞くと小学4年生だそうで、2人で自転車で待ち合わせてパン作りを習いに来たなんて、すごいよ。挨拶もきちんとできていたし、もうこれだけで夏休みの宿題がもし終わっていなくても全然いいよ、とおばさんは思ってしまいました(笑)。寒川町以外にも、茅ヶ崎市・藤沢市・横浜市から集まってくださったお子様11名。賑やかだけど、高学年の子が多い為か、聞く時はちゃんと聞く、スムーズな会となりましたね、藤沢さん。お疲れさまでした。今日も楽しかったですね。
ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。作ったタネでピザを作って、家族で美味しく食べてくださいね。

ウェブサイト更新
Category : 日記「自由な手たち」2018年8月16日
懐かしいかたを通じて、また新しくそして懐かしいかたちのキッチンを作らせて頂きことができたKさんの話と、
イメージしていることと実際に使うことの距離を近づけて思い描いた形を生み出すことができたOさんのお話と、
長い時間を掛けて生まれた思いや気持ちがうんと詰めてできあがったうれしい場所に作らせて頂いたKさんのお話の3つの製作例を掲載いたしました。
もし、よろしければご覧になってくださいね。

思われていたこと
Category : オーダー家具・オーダーキッチン制作事例, 食器棚のオーダー「タモ柾目のセパレートタイプの食器棚のオーダー」
海老名 K様
design:Fさん/daisuke imai
planning:daisuke imai
producer:iku nogami
painting:iku nogami
そもそもKさんは、うれしいことに私たちのことを知っていたようです。
それはこのようなご相談のメールを頂いたからです。
「はじめまして。
私は御社のカップボードを、三つ拝見致しました。以前、お隣にお住まいだったKa様、横浜に引っ越しされたF様です。
その時から、オーダー家具の素晴らしさ、木の暖かみに憧れていました。
こちらのマンションに引っ越してきた際に、食器棚としての既存の吊り戸棚は撤去してしまいました。
今は、市販の食器棚を使っておりますが、物も多くなら、狭いマンションですので、デッドスペースを最大限活用したいと思っています。
我が家は明るい木目の家具が多いです。」
おおみなさん、懐かしいです。
「新しいおようふくでとてもうれしい」海老名のFさん
「すぐそばに居ること」希望ヶ丘のFさん
Kさん、みなさんとお友達だったのですね。
最初にKaさんに食器棚を作らせて頂いたのが、あの時のきっかけでした。Kaさんのお父さんと私たちがお仕事のつながりがあって、それで生まれたご縁なのですが、それが15年近く経っても良縁を頂くことができるというのは本当に素晴らしいことです。KaさんもFさんももうこのマンションを出て、戸建に移られたので、なかなか会う機会がなくなってしまったのですが、こうしてここで懐かしいお話が効けるとは思ってもいませんでした。
さっそく、今回の食器棚のご要望をKさんにお伺いして、プランを考えていきます。
KaさんもFさんも入居当時に依頼した食器棚がもともとキッチン背面についていたのですが、今回のKさんのスペースは据え置き型の食器棚が置かれているのみでしたので、全く新しく作ることができそうです。
間取りとしてはKaさんと同じ感じで、プランの大まかな様子はFさんのイメージをもとに考えて一つの形がまとまりました。
でも、どうしても難しい部分がありました。
予算でした。
「主人とも話し合った結果、予算を超えてしまうので、もう少し余裕が出るようになってから、出直す方がいいのではないかという結論に達しました。
迅速に対応して頂いたのに、大変申し訳ありません。
いつの日か、今井様のカップボードを迎えられるよう、頑張ります。
その時は、何卒宜しくお願い致します。」
とても的確な判断だと思います。自分が思う食器棚のイメージは形だけではなく、そこに掛かるコストも大切な要素。自分の思い描いた形が自分の思っている以上のコストが掛かるようでは、そもそも良くないことです。
そういうことを知って頂くためにも、家具を依頼して頂ける、頂けないにかかわらず、見積金額を知ってもらうということは良いことだと思っています。
そして、私たちが作るとこのくらいの金額になる、ということを知ってもらう良い機会でもあります。
相見積という言葉があります。複数社から金額を聞いて決める方法です。その会社さんそれぞれの特色があって、それを汲み取って、金額を重視して選ぶのも良いですし、提案を重視して選ぶのも良いですし、お手入れを重視して選ぶのも良いです。コストを見積もってもらったり、相見積を出してもらったりすることは、このような選択肢がある、ということを知って頂くための良い機会なのです。
そのようなわけで、形はまとまりましたら、お話は一旦ストップしてしまいました。
「いつの日か」はいつかなあ、なんて思ってその年の冬を迎えたのでした。
私たちは、毎冬「クレミル」という名前の小さなイベントを工房で開催しております。今年も例年のように知り合いの作家さんにワークショップを開いてもらったり、お店を出してもらったり、木工教室を開いてもらったりとにぎやかな9日間を過ごしたのでした。
その中で、あるご夫婦がいらしてくださいました。
特にその時工房内はがらんとしておりましたので、お話しようかなと思ったのですが、スゥスゥと軽やかにショールームで開かれているマーケットをご覧くださって、ほんの僅かでしたがお話しできただけで「ありがとうございました。」と軽やかに帰られてしまったのでした。
で、それがKさんでして私はてっきり「いつの日か」はまだまだ遠い未来のお話だと思っていたのですが、そうでもなかったようです。
「こんにちは。
先日は、クレミルお疲れ様でした。
突然お邪魔したにもかかわらず、ご夫婦で笑顔でお出迎えして頂き、ありがとうございました。
作り上げられた世界で暮らしていると、作ることの大切さを忘れてしまいがちですが、素敵なスタジオで手作りの温かさと尊さをあらためて実感致しました!
また、お子様がかわいいエプロン姿で台所仕事をお手伝いしている様子は、ほっこり致しました(^-^)
先日、お見積もり頂いた、カップボードですが、お支払いの用意ができましたので、話を進めたいと願っております。
スタジオへ伺うことも、我が家へお越し頂く事も可能ですので、是非、ご連絡下さい。〔特に急ぎではありませんので、お手隙の時で構いません〕」
おお、うれしいご連絡です。
さっそく連絡を取らせて頂き、今度はご家族皆さんでいらしてくださいました。とても行儀のよいお嬢さんお二人と、筋が通ったお話をされるKさんご夫妻。お話しているだけで気分が良くなるご家族でした。
「KaさんとFさんの食器棚を見せてもらってから、いつか絶対イマイさんに頼むんだって思って、自分のお小遣いを貯めてきたのです。それがようやくかなうので、やっぱりとてもうれしいです。」
そう言ってくださって、私も思わず笑顔が大きくなります。
こういうふうに思ってくださる人がいる限りは、私たちはもっともっと精進しなくてはいけません。
こうしてプランはまとまって、できあがった形はタモ柾を使ったとても静かな印象のかたちになりました。
「無事、食器達も収まりました。
まだ、こっちかな?あっちかな?と試行錯誤しながらですが、おいおい居場所を決めてあげます。
子供達も、木の匂いや新品の匂いを味わい、先程から何度も「きれいだね、きれいだね。」と話しています。
触り心地が良いようで(きれいな手なのか気になりますが・・)さすってすべすべを満喫しています。
そして、スペースを無駄なく使用できる幸せを堪能しています。
ストレスが無いって大事ですね!
主人は「我が家に来たどの業者さんより丁寧な職人さんだった。」と感心しておりました。
トイレの棚を見ては、ちゃっちく見える、と、ボヤいています。
立派な棚がきたものだから、家中の棚がちゃっちく見えるそうです〔笑〕」
打ち合わせやご挨拶の帰りの都度にお嬢さんたちも玄関まで出てきてくれて、ご家族皆さんでご挨拶してくれたのがとても印象的でうれしかったのです。
そして、今度はその皆さんで夏の木工教室に参加してくださることになりました。
いろいろなご縁で、こうして気持ちがつながっていって、いつかお嬢さんたちが大きくなった時に背がでかくて声が低いおじさんたちが家具を作ってくれたっていうことをどこかで思い出してくれたらうれしいなあ。
物や道具を作ることができるのが、私たちに与えられた恩恵ですから。
タモ柾目の食器棚
価格:590,000円(制作費・塗装費)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は10,000円から、取付施工費は30,000円から)

つくる喜び、暮らす喜び
Category : オーダー家具・オーダーキッチン制作事例, 食器棚のオーダー「ナラのセパレートタイプの食器棚のオーダー」
府中 O様
design:Fさん/daisuke imai
planning:daisuke imai
producer:masakane murakami
painting:masakane murakami
「建売新築を購入しました。
カウンターキッチンの背面に食器棚を付けたいのです。
図面でいうと、キッチン背面の壁には45センチ幅で梁があると聞いています。オーク材を使った「こころがスイスイおよぐ」茅ヶ崎 Tさんのようなイメージの食器棚か、ただ、鍋やケメックスなど飾りながら見せる棚、ゴミ箱を入れるスペースのあって食器棚、キッチンボードとしても使えそうな棚を付ける どちらかを希望しています。
スケッチは得意ではないのですが、何となくいろんなモデルを見て見て自分なりのイメージをスケッチしてみました。
吊り戸棚に食器をメインに収納、冷蔵庫上にも棚をつけたいと思ってます。
キッチンカウンター下にはゴミ箱と戸棚と炊飯器起きと米びつ置き、カラトリーをしまう引き出しをつけて、布巾などをしまう引き出し、ストウブの鍋、タジン鍋など、重みや多少高さのある鍋をしまう棚にしたいと思います。
このようなお伝えの仕方で大丈夫なのでしょうか。今一度ご確認いただけたらと思います。」

食器棚は天井まで作らず、上を開けてあります。最近は、このような形にされるかたが増えております。キッチン自体がペニンシュラタイプでリビングから食器棚が良く見える間取りであること、吊戸棚の最上部はデッドスペースになりがちなこと、吊戸棚自体の印象を軽快に美しく見せたいこと、そういう理由でこのような形に落ち着くかたが多いのです。

今回は吊戸棚の下の一部にワイングラスホルダーをつけました。このホルダーもいろいろあるのですが、私たちが良く使うのは、ハーフェレから出ているもの。別のメーカーからももう少し手ごろな値段で出ているのですが、溶接のひずみが目立つので、(使用には全く問題ないのですが)予算を見させて頂ける場合はこちらのものを採用しております。
最初にOさんから頂いていた形は、カウンターだけの食器棚とそのカウンターの上に壁から飛び出ているように見せる棚板をつけたい、ということだったのです。
鍋や食器などをきれいに飾るように並べる棚をつけたかったのでした。
よく雑誌で見かける形は、皆さんとてもきれいに食器たちを並べて使われていますので、とても美しいのですね。
また、きれいに並べられていなくても使いこまれてすり減った棚板に、同じく使い込んだ食器たちが並べられている姿も美しかったりします。
閉じた収納ではない分、取り出しやすいですし。
でも、今までこういう棚が最初から壁についている間取りお客様のお話を伺うと、どちらかというとマイナスなイメージのお話のことが多かったのです。
最初のうちはきれいに並べていても、いつの間にかきれいに並べておくことがたいへんになったり、物が増えて雑然としてしまったり、油煙がうっすらとついてべたつくようになったり。
そうなると、最初から扉をつけておけばよかったなあ、と思ってしまうのだそうです。
この棚板だけがついている形って、あとから取り付けるのは難しくて、新築工事の中で棚板を壁に埋め込んでもらって作る形がほとんどです。(あとからつける場合は、ブラケットのような金物をつけないと荷重に耐えられないことが多くて。)
金物をつけると、板だけがついているというすっきりとした印象から少し離れてしまうし、棚を壁に埋め込んでしまうとやっぱり、棚を止めて箱(吊戸棚)にしたい、となった時に変えづらかったりします。
そのあたりは、そこで暮らす人それぞれの考え方なのですが、今まで聞いたお話ではそう言うマイナスな面も多く聞かれました。
ですので、「棚をつけたいのです。」というお話が出る時は、必ずこの思いを持った方もいらっしゃったとお伝えしているのです。
同じように吊戸棚下の照明もこのようなお話がありました。
それはまた今度。
そうして、Oさんに自分の暮らし方をあらためて見つめ直してもらったのです。
そうしてできたのが最初のスケッチです。
この形をもとにお話を進めることになりました。
Oさん、こちらにいらしてくださった時は奥様お一人でいらしてくださったのですが、変な言い方ですが小柄でとてもきれいな格好をされていて、すごく繊細に暮らしていらっしゃるのだろうという印象でした。(なんだか変な言い方ですみません。)
でも、いろいろとOさんご夫婦の暮らし方、好み、キッチンでの過ごし方などを聞いていくと、とてもパワフルな人なのだということが分かりました。
お二人の趣味がキャンプで、時間があれば野外に出掛けていくそうで、このキッチンで使う食器や道具類も見た目よりも使い心地良いものを、きれいに飾るというよりはガシガシと使っていきたい、という感じが分かったのです。
そういうその人となりが分かるといろんなイメージが固まり始めます。
そうしてできあがったのがこの形でした。
食器棚ってその人それぞれの思いがとてもよく現れます。
設置した日から、あらためてご挨拶に伺った時、Oさんがどれだけ楽しんでキッチンを使ってくださっているのかがよく分かりました。
私たちはやっぱり家具そのものではなく、そこから始まる暮らしを作っていきたいのだって、こういう姿を見るとあらためて思うのです。
ナラ板目の食器棚
価格:680,000円(制作費・塗装費)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は20,000円から、取付施工費は40,000円から)

かきわけて探す
Category : オーダー家具・オーダーキッチン制作事例, オーダーキッチン2018年9月24日
「ウォールナット板目材とステンレスヘアラインのオーダーキッチン」
世田谷 M様
design:無添加計画さん/Mさん/daisuke imai
planning:Mさん/daisuke imai
producer:iku nogami
painting:iku nogami
私がトミヤさんという人物と出会ったのは、そう今から10年前になるのですね。ふじみ野のKさんのキッチンを作らせて頂いた時でした。
そのあとに越谷のOさんの時にも。
とても魅力がある人で出会ったら忘れられない印象があって、なんというか変な言い方ですけれど、鏡に映った自分と話しているように錯覚することがあったのです。
「いやあ、僕はもともと話しするのが苦手でっ。」って言っていたような気がしましたが、全くそのような風貌に見えず、ひたすら大きな声で気持ちを届けることが上手な人だって印象を受けていたのですが、鏡に映った、と思ったのは、昨年今回のMさんのお仕事に携わらせて頂くことになったため、その打ち合わせにはるばる浦和からいらしてくださった時でした。
トミヤさんは家を考える人、私は家具を考える人。その対象は違っていてもふと見せてくれる気持ちがこれほど似ている部分があるのだなあ、と不思議に思ったのです。
もの作りの考え方は良い面もあれば悪い面もあって、それを知っているからきちんと前に進むことができるんだって、お話をしているとはっきりと覚えたのを思い出します。
だから、その打ち合わせの時だって10年間数えても5、6回しか会っていないしそれほど話こともないだろうに、17時にこちらに来てくださってから、22時ごろまで何も食べずに夢中で話ができたのは、こうして近い気持ちの人っているんだなあ、という興味深さとうれしさからだったのだと思います。
その日にトミヤさんが帰られた後は体がホカホカして、気分が高揚していたのを思い出します。

まずはシンク。左が浅く段が落ちています。ここで、野菜を洗ったり魚のうろこを落としたりして、そのままシャワーホースで洗い流せるようにしているのです。さらに水栓器具がついているところは10mm段が落ちています。水栓から垂れた洗剤がカウンタートップに広がらないように段を落としているのですが、この左の水洗いスペースに洗剤がいかないようにと10ミリ差をつけているのです。

ご主人が熱弁していたミーレの食洗機と食器棚の引き出しの関係。ご夫婦そろってお仕事されているので、食洗機を回すのは夜の間。朝起きたら、余熱でほとんど乾燥しているのでそのまま引き出しにしまえるのが大変気持ち良いとのこと。「ほらね、こうしてこうして。もう使いやすいのですよ。」とご主人の実践しながらの熱弁!

ここは奥様のアイデアだったかな、ご主人のアイデアだったかな。引き出し専用のパイプをたくさん渡すことで大皿などの収納にしてしまうアイデア。写真だと全く分からないのですが、お皿を立てても支えがこの棒だけだと滑って倒れてしまう可能性があるので、この引き出しの底板は凸凹になるようにスリットをたくさん入れた加工をしています。自分では思いつかないアイデア。面白いなあ、勉強になります。
さて、お話は分かりまして、Mさんとはどのようにして出会ったのかと言いますと、最初クレミルにいらしてくれたんですよね、ご家族で。
物静かなご家族、という印象を最初は抱いておりまして、静かにいろいろと見ていてくださるけれど、なかなか帰らない。(笑)
私たちのことを気に入ってくださったのかなあ・・、どうなのだろう・・、となかなかつかみにくいMさんの印象を受けながら、気が付くと陽もすっかり落ちて展覧会も終わるころの時間でした。
その帰りの時間が近づいたころにようやく「実は今、新居の設計の最中でイマイさんのキッチンに興味があってこうしてお邪魔させて頂いたのです。」
「そうだったのですね。」
でも、もう打ち合わせするにはちょっと時間も遅くなってしまったし、どうしようかなと思っておりましたら、
「もうしばらくしましたら、キッチンの要望もある程度まとまってくると思います。あらためてその時に打ち合わせさせてください。」ということで、その日はクレミルだけを楽しんで帰られたのでした。
(うん、きっと本当に楽しんでいらっしゃったと思う。だって途中でご主人ソファでお昼寝していたくらいリラックスしていましたものね。)
後日、キッチンの打ち合わせを行ないたい、ということであらためてMさんご家族とご一緒に暮らすお母様も一緒にいらしてくださいました。
あの時は物静かに思えたMさん実はいろいろと思いめぐらすところがありましたようで、いろんなアイデアが出てきます。どちらかというと奥様のほうが堅実なご意見。そして、お母様もMさんのお母さんということで、とてもお話がお好きな方。結局この日はお母様のお話がメインで全体としての打ち合わせがようやく一歩踏み出したところでした。
でも、まだお部屋の間取りも正確に決まっていないし、まだまだプランはまとまらないかもしれないなあと思ってふと平面図を見ると、施工会社さんは無添加計画さんの名前が。
おや、まあ。
その後、Mさんのお話を聞くとやっぱりトミヤさんのお名前が。どうやらMさんの思いだとキッチンがメーカーの規格だと当てはまらないようで、オーダーにするならイマイさんに、と声をかけてくださったのだそうです。
うれしいご縁を頂き、ありがとうございます。
それから、本格的な打ち合わせが始まります。間取りがほぼ決まってMさんの子世帯のキッチンは、ご主人の強い思いが詰まった形でおおよそまとまってきました。
まだフワッとしていたのは、1階に住むお父さんお母さんの動線やキッチンのプランのほうでした。
「イマイさん、私はね、こうして色々としゃべっちゃっているけれど、結局はね与えられた形に合わせて収納するから形はどんな形でも大丈夫よ。」と言ってくださるのですが、なかなか何をきっかけにしたらよいかが分からない。
Mさんの奥様に手伝ってもらって、おおよその形はまとまったのだけれど、はたしてこれで良いのだろうか・・。と不安を覚えるのでした。
なぜなら、ご実家に打ち合わせにお伺いした時のキッチンの雰囲気がそれはもう独特だったからです。
(言ってよいのかな、奥様から事前に聞いてはおりましたが、もの凄い物の量なのでした。そのものに囲まれてお父さんとお母さんがいて、お父さんは学者さんでして、ジブリ映画に出てくるようなとても特長ある方で、そのお二人がそのリビングキッチンに居るとまるで映画を見ているような。)
「私はね、いつもジイジ(お父様のこと)にはこれをこうして出しているからこの場所はここが使いやすいのよ。」
「で、ここの香辛料たちは中にしまっちゃうと、見えなくなっちゃうと使わなくなっちゃうじゃない。だからこうしてピンチで挟んでここにつるしておくのよ。」
なるほどー、でも、この量を新しいキッチンにまとめらるかな・・。とその時は不安になったのです。
でも、こうしてカウンターの上に出ているものはそれほど特別なものではなく、毎日よく使うものたちばかりでうまく見せられるようにすれば使いにくくならないのではないかな、あまり場所を限定しないで考えよう、そういう方向でお話を進めていくことにしました。
お母様も元々それほど具体的な収納についてのイメージをおっしゃっていなかったので、なんでもしまいやすく見えやすい形を念頭に置いて、キッチンから移動して別のお話をリビングで聞かせて頂いていた時でした。
ふと、お母様が好きなものの話になったのです。
その時に出たのが、少しクラシカルなデザインの書棚。ちょうどお話していた場所の背面にあった立派な作り付けの本棚です。これはこの実家を立てた時に作ってもらったものだそうで、こういう装飾のある形が好きなのだ、とここで初めて告白されたのでした。
そうでしたか・・。
と、私はうれしくなったのでした。
だって、それまでは使い勝手のお話ばかりしていてもなかなか「これこれっ!」っていうところに辿り着かなかったのですが、お母様の大好きなイメージを一つもらえたわけですから。
もともと真っ白にしようと考えていたキッチンにちょっとだけ遊び心を入れて、こうして1階のキッチンと食器収納ができあがったのでした。

お母様は、打ち合わせのその時「この本棚の濃い色が私は好きだったのよね。」と、その家を出るのを惜しむような表情になったのでした。それで、お母様の好みだった植物柄の印象を取り入れたちょっとした小物棚を作ったのです。

食器棚にも濃い色を一部取り入れたいと思って、濃い色に囲われた白い食器棚、という印象で作らせて頂きました。扉はお母様の希望通りに白いアルミフレームにポリカーボネートを入れた引き戸にしています。引き戸を開ければ、しまうものが見渡せるようになっていて、さらには奥行きが900ミリもあるこの食器棚は正面と手前の両面から物の出し入れができるようにしています。
もの作りの考えかたには良い面も悪い面もあります。
それなりのものはいかようにでも作れてしまうけれど、何がその人にとって良いことなのかを知ることができてそれが作るものに込められたら、それは使う人に撮って宝物になるはず。
Mさんご家族のキッチンはご主人の臨場感あふれるコミュニケーションで使いやすい形はすでに見つかっておりました。
でも、お母様に辿り着くことが・・。
今回、お母様のその良いことをこうして知ることができたのが、私の今回の大きな仕事だったのかもしれません。
Mさんの良い形は、写真で追って詳しくご説明します。
いろんな魅力満載のキッチンができあがりました。
Mさん、トミヤさん、ありがとうございました。
天板 | ステンレスヘアライン |
---|---|
扉・前板 | ウォールナット板目突板練り付け |
本体外側 | ウォールナット板目突板練り付け/ウォールナット板目無垢材 |
本体内側 | ポリエステル化粧板「ホワイト」 |
塗装 | オイル塗装仕上げ |
ウォールナット板目材とステンレスヘアラインのオーダーキッチン
費用につきましては、お問い合わせくださいませ。

夏休み
Category : 日記「自由な手たち」2018年8月15日
お盆休み中、家族といかに沢山遊ぶかだけを考えた3日間を過ごさせていただきました。
ご協力していただいた皆様、ありがとうございました。また明日からよろしくお願い致します。

思い出すこと
Category : 日記「自由な手たち」2018年8月12日
時々思い出すことがあります。
私の両親は岩手県出身で、小学生の頃までは夏休みに親と帰省して遊びに行っていました。
成長と共になかなか帰る機会がなり、社会人になった時に、「岩手に帰るけど一緒に行く?」と両親に声をかけられ行く機会がありました。それが祖母に会う最後の機会になってしまいました。
当時祖母は認知症を患っていたので、施設に入所していました。 その施設は山の上の方にあって、施設に着いた頃はもう夕方になっていました。
「食堂にいらっしゃいますので。」
と施設の方に案内され、見渡すと、ピンクや水色のエプロンをかけていて、正直、おじいちゃんかおばあちゃんか性別の区別もつかない位の、みんな白髪頭でしわくちゃな顔になりながら、お食事をしていました。
「こんなに大勢の人の中から探し出せるのかな…、おばあちゃん。」
そう思ったところまでは覚えているのです。
その後、ひとりでに足が進みました。
しばらくして、テーブルに座る1人のおばあちゃんの前に着き、顔をみると、名前がすぐに浮かんできて
「トキワおばあちゃん」
としゃがみながら呼ぶと、
無表情のまま、こちらを向いて、むしゃむしゃと食べ続けながら、目が合いました。
畑で落ちてしまった桃を大きいアルミ鍋で煮て食べさせてくれて、それがとても美味しかったこと。
「冠婚葬祭の時のお煮しめにはブツブツしていない白いこんにゃくを使うのだよ、物事が濁らずに納まるように。」と教えてくれたこと。
マカロニサラダやポテトサラダにリンゴや缶みかんが入ってて、「なんで入れちゃうんだろう?」て思いながらも食べていたこと、などが一気に思い出されたのです。
導いてくれたんだとしか思えない、あの時の感覚。今でも思い出します。
その時もう言葉を交わすことはできなかったけれど、あの瞬間はおばあちゃんと心を通わせることができていたのではないかと思っています。
そして、この経験が、今でも私の心の支えの1つになっているのです。

夏季休業のお知らせ
Category : 日記「自由な手たち」明日からお盆休みに入りますね、お休みの方もそうでない方もいらっしゃると思います。お疲れ様です。
私達は8月11日(土)~8月15日(水)の間、お休みをいただきます。家具についてのご相談・お問い合わせ、カタログの請求、木製雑貨のご注文についてのメール・お電話等のお返事に関しましても、全て8月16日(木)から順次対応とさせていただきますので、どうぞご了承ください。
それでは、みなさまよろしくお願い致します。