morning sun

「ナラ板目材とステンレスヘアラインのオーダーキッチン」

茅ヶ崎 I様

design:千葉学建築計画事務所/daisuke imai
planning:千葉学建築計画事務所/daisuke imai
producer:tsuyoshi kawaguchi
painting:tsuyoshi kawaguchi

2009年の2月と言うと、ちょうど1年前くらいになるわけだ・・、とメールを見返し、カレンダーを眺め、そう思ったのです。
Iさんがキッチンをほしいと思ったきっかけは、やはりLUCCAのYUMIさんのキッチンを見たところによることが大きいのでした。1台の家具が、(そう、キッチンはもちろん家具です。設備なんかではありませんよ。)ここまで人を惹きつけると言うことはとてもすごいことだと思うのです。思えば、LUCCAさんのキッチンがフリーハンドイマイのキッチンと言っても良いくらいこの方の影響を多く受けて私たちのキッチンはできあがっているのです。もう、南に足を向けて寝れません。

オークのペニンシュラタイプのキッチンと、引戸のあるバックカウンター

あの時まだおなかの中にいたお嬢さんは、もうこんなに大きくなりました。

Iさんは、予算の関係でキッチンのオーダーを一度はあきらめたのでした。2月に来て頂いて、プランを一緒に考えて、費用を提示して、新居の全体の予算との比べっこして、泣く泣くあきらめたのでした。
たしかに、オーダーキッチンと言うのは決して安くはありません。以前もうちのキッチンが見たいと申し出てくださった設計事務所の方がいらっしゃった時に、こう仰っていました。

オークのペニンシュラタイプのキッチンと、引戸のあるバックカウンター

リビングから見た時の印象。

「イマイさんのキッチンは、やっぱり安くはないですよね。ただね、それに見合うだけの魅力がある。だから、決して高くないです。」と。
メーカーのシステムキッチンと比べられるとね、どうしても高いものに見えてしまう。だってゼロから作るからね。その人の労力と、一つ一つ選んだ素材がその費用になっているわけですから、手頃な価格とはいかないことが多いのです。でもね、それ以上の魅力があって、表情があって、その心地に触れたいからみんなこうして頼んでくれるんです。それがうれしくてね。

オークのペニンシュラタイプのキッチンと、引戸のあるバックカウンター

リビングからキッチンに近づいてくるとこんな感じで見えてきます。

それから、Iさんとはそれでお話が終わったなあと何だか淋しく思っていたのですが、その半年後に突然連絡を頂いたのです。
「こんにちは。以前キッチン製作のご相談をさせていただいたIと申します。
以前ご相談させて頂いた時点では、予算の関係でキャンセルさせていただきました。
今月半ばから着工し始めたのですが、やはりイマイさんのキッチンへの未練が断ち切れず、もう一度イマイさんのキッチンを入れられるかどうか検討しております。
やはり、私どもとしては茅ヶ崎の北川さん夫妻のような無垢と突き板を使ったキッチンがいいと思っています。
前回ご提案いただいたキッチン(頂いた資料を添付します)で、無垢と突き板を併用したもののお見積りをお手数ですが再度頂くことは可能でしょうか。
大変申し訳ございませんが、よろしくお願い致します。」
と言うことでした。

オークのペニンシュラタイプのキッチンと、引戸のあるバックカウンター

シンクの下は、上段が深い引き出しでおなべやフライパンなど調理器具が入っています。

ちょうどね、軽井沢のFさんのキッチンもしっかりと完了し、続いての茅ヶ崎のKさんのキッチンに掛かっていたところでした。
うれしくてね、すぐに返事をしました。そして、まもなく、Iさんがまたいらしてくださることに。
あの時、おなかが大きかった奥さんは、小さな男の子を抱いていました。
そうか、もうそんな時間が経っていたんだなあ・・。

オークのペニンシュラタイプのキッチンと、引戸のあるバックカウンター

その下はうすい引き出し。システムキッチンの見られるようなフロアコンテナをイメージしたのです。

その後、Iさんたちに製作途中のKさんのキッチンを見て頂き、だいたいのできあがりの感じを掴んでもらって、製作依頼を頂くことになりました。そして、キッチンと合わせて、食器棚となるバックカウンターも一緒に作ることになりました。良い雰囲気のキッチンになりそうです。
今回、ご新居の設計を担当されるのが、千葉学建築計画所事務所さん。名の知られた事務所さんで、何だか気持ちが引き締まります。(もちろん、いつも引き締めていますよ。)

オークのペニンシュラタイプのキッチンと、引戸のあるバックカウンター

IHヒーターの下も深型の引き出し2段。

再びいらしてくださった時には、Iさんのお宅を担当される事務所のKさんも一緒にいらっしゃって、打ち合わせます。設計事務所さんが取りまとめて家を計画していくので、私なんてキッチン周りの様子を聞いていただけですので、他の部屋とのバランスを考えると、Iさんと私たちだけでキッチンのプランを進めるとチグハグになっちゃうかもしれないですからね。
その後もKさんが全体を見渡し整えながら、プランを組み立ててゆきます。

オークのペニンシュラタイプのキッチンと、引戸のあるバックカウンター

ヒーター横の調味料を入れる引き出しは、Iさんの場合は、3段。 その2段はこのような感じ。

そうしてプランは完成。
そして、ある程度進んだ現場に採寸に。
今回の施工は、エスエスさん。監督さんである大石さんは私と同じくらいの年のかたで、とても親しみやすく、とてもやりやすく仕事をさせてもらいました。いつも思うのですが、私たちは工務店さんから見れば、お客さんが連れてきた外の業者なわけです。工務店さんはいつも気の会う職人さんたちと仕事をしているのでしょうから、突然来てなんだよって感じなのかも知れないのですが、今までキッチンを作らせて頂いた時にお世話になった工務店さんはすべて感じが良く、私たちをゲストのように扱ってくださるところばかりで、とても気持ちよく仕事をさせて頂けたのです。今回のエスエスさんも同じく気持ち良く仕事をさせてくださって、おかげでとても良い家具になったのです。

オークのペニンシュラタイプのキッチンと、引戸のあるバックカウンター

下段はこのようにボトルを入れる引き出し。

そして、Iさんからうれしいメールが届きました。
「イマイ様。大変お世話になっております、Iです。
すてきなキッチン&バックカウンターありがとうございます。
先週末見に行って、二人できゃーきゃー言ってしまいました。
とくに、キッチンはやっぱりとっても素敵で、早くあの場所でお料理したいです・・・。」
ふぅ、気に入ってもらえてひと安心です。

オークのペニンシュラタイプのキッチンと、引戸のあるバックカウンター

いつか食器洗浄機を入れられるように、引き出しの隣のスペースを45cm開けています。。

搬入では足場が掛かった状態で、全てサッシが着く前のバルコニーから荷上げをしたり、取付は壁との納まりでなかなかシビアな部分があったりと大変なことがいろいろとありましたが、こうしてきれいに納まって、こうしてうれしいお便りを頂くと、今までの苦労がどこかに飛んでいきます。ありがとうございます。

オークのペニンシュラタイプのキッチンと、引戸のあるバックカウンター

今回使ったナラの無垢材は、Kさんのキッチンの印象に合わせて、色をなるべくばらついたものにしています。でも、日焼けするとだんだんと度の色も近づいてくるのです。


オークのペニンシュラタイプのキッチンと、引戸のあるバックカウンター

こちらはバックカウンター。食器収納部は、引戸にしています。

そう、それから、とてもうれしいことがありました。現場での取付の最中に北川さんの奥さんがいらっしゃってくださったのです。私にしてみれば、5年ぶりの再会でした。キッチンの様子をお聞きしても、「大丈夫ですよ。バッチリ活躍してくれてます。」って言われてなかなかお会いする機会がなかったので、こうして会えたことがうれしくてうれしくて、何だか高校時代の同級生に再会したかのようなドキドキ感だったのです。北川さんから最初にキッチンを作ってほしいって言われたから、こうして今のキッチン作りがあるわけで、何だかとても感慨深かったのです。でも、不思議なのは、Iさんは居ないのに、北川さんだけいらっしゃったこと。でも、Iさんも言っていました。「私は実家に居るので、当日はいけないのですが、きっとYUMIさんが見に行くと思います。」って。聞くと、キッチンのことを切っ掛けにIさんと北川さんの交流が始まって、お友達になったのだとか。だから、こうしてYUMIさんだけ見に来たのです。いやあ、ほんとううれしいなあ。
こうして、いろいろな縁があり、Iさんのキッチンは、こんなに素晴らしく完成しました。

オークのペニンシュラタイプのキッチンと、引戸のあるバックカウンター

キッチンに一番近い部分に家電収納部を。2台のスライドテーブルを設けています。


オークのペニンシュラタイプのキッチンと、引戸のあるバックカウンター

その家電収納部の奥の上部に通気口を設けています。


オークのペニンシュラタイプのキッチンと、引戸のあるバックカウンター

床置きタイプのエアコンも、このバックカウンターの下に納まっているのです。 エアコンの上のコンセントスペースは、絶妙な位置でまとまっています。

キッチン仕上
天板 ステンレスヘアライン
扉・前板 ナラ板目突板練り付け
本体外側 ナラ板目突板練り付け/ナラ板目無垢材
本体内側 ポリエステル化粧板「ホワイト」
塗装 ワトコオイル塗装「ナチュラル」
バックカウンター仕上
天板 ナラ板目突板練り付け
扉・前板 ナラ板目突板練り付け
本体外側 ナラ板目突板練り付け
本体内側 シナ合板
塗装 ワトコオイル塗装「ナチュラル」

ナラ板目材とステンレスヘアラインのオーダーキッチン

価格:830,000円(制作費・塗装費、設備機器は別途)

バックカウンター

価格:700,000円(制作費・塗装費)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は40,000円から、取付施工費は160,000円から)

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