オーダー製作例

タモとステンレスと真鍮の食器棚

きもちの距離

「食器棚のオーダー」

志木 I様

design:Iさん/daisuke imai
planning:daisuke imai
producer:hideaki kawakami
painting:yasukazu kanai

タモとステンレスと真鍮の食器棚
リビングからキッチンを見た時の印象。
「紙に描いた食器棚」のHさんのタモの食器棚はやはりとてもやさしい印象で、その写真を見て、志木にご新居を建てられるIさんから、ご相談をいただいたのでした。

「はじめまして、Iと申します。
新築物件を購入し、これから工務店さんにお願いして洗面所等の追加工事を行っていただいた後、入居予定となっており、食器棚についてもキッチンスペースにサイズが合ったものを購入したいと考えおります。
工務店さんから他の家具屋さんをご紹介いただき、見積も出していただいている状況ですが御社の食器棚をインターネットで拝見し、是非、御社にお願いしたいと考えております。
イメージは王禅寺のH様と同じものをイメージしています。
入居は10月末頃です。吊戸棚の無垢板の木目が繋がっているところが非常に魅力的に感じています。
是非、一度見積をお願い致します。
何卒よろしくお願い致します。」

と丁寧なメールを頂きまして、さっそくHさんのかたちをもとにIさんの間取りに合わせたサイズで図面を作成し、どのくらいの費用が掛かるかをお知らせしたのでした。

タモとステンレスと真鍮の食器棚
ハンドルはHORIの真鍮磨き仕上げのハンドル。クリア塗装仕上げと違って、研磨して鏡面に仕上げてあるので、使っていると輝きが鈍くなってくるのが大きな魅力です。

よく、大まかで良いので金額が知りたいです、というご相談を頂くことがあるのですが、私たちが作る家具の場合は、その家具を作るために使う材料とその形を作るためにかかる日数を考えて費用を計算しています。ですので、食器棚を作るとおおよそいくらになるか、という漠然とした目安は出しにくかったりするものでして、今回のIさんのように「○○さんの形」というような具体的な形状が決まっているほうが目安として考えやすかったりします。
使う人も作る人も、まずはその一つの形をベースにいろいろと話を進めていけますので。

タモとステンレスと真鍮の食器棚
天板はトップの見ステンレスのヘアライン仕上げで、小口はタモを見せる形で仕上げています。

そのようなわけで、今回はHさんの形をベースにIさんらしさを組み入れていくのです。
おおよそ形がまとまったところで、一度私たちのところにいらしてくださることに。
埼玉からはるばるこの小さな工房までいらしてくださるなんて、とてもありがたいことです。

タモとステンレスと真鍮の食器棚
トースターを乗せるスライドテーブル。今回工夫したのは、いつものようにスライドレールを使わない点。吊桟の形でテーブルを吊っているのですが、これがなかなか滑りが良くて使い勝手が良いのです。私が入社当時はスライドレールを使うことも少なくてこの形が一般的だったのです。懐かしいなあ。
「こんにちは。」
いらしてくださったお二人はまだお若い。
「はじめまして、イマイと申します。どうぞお掛けください。」
ということでさっそくお話を始めます。
今まで打ち合わせをしてきたのはご主人。今回主にお話を進めるのはやはりご主人。
普通はキッチン周りの家具となる場合は、奥様がメインにお話をされる場合が多いのですが、Iさんの奥様はにこやかにご主人のお話を横で聞いていて、ご主人の質問にも優しくうなずくしぐさがとても愛らしいのでした。
対照的にご主人はキッチンに対して明確な意見を持っていらっしゃって、そこに奥様の希望を組み込んでいくお話しぶり。
はい、もうしっかり作らせて頂きます、と思わせてくださるくらい、ピシッとした印象なのでした。

タモとステンレスと真鍮の食器棚
スライドテーブルの下はちょっと深めの引き出し。どんなふうに使っているかと思いましたら、木の器がまとめてしまわれておりました。

それから何度かやり取りを重ねて、いよいよご新居も引き渡しとなり、設置場所の寸法を測らせて頂いて製作に取り掛かる段取りに。
このときにちょっとだけ注意深く考えておけば、あとで大変なことにならずに済んだのですが・・。

タモとステンレスと真鍮の食器棚
さらにその下は、ステンレスのバスケットに根菜を入れています。バスケットは以前は白い樹脂巻きのタイプを使っておりましたが、樹脂がはがれることもあったりして、今はもっと頑丈に使えるステンレスのバスケットを採用しています。 バスケットを受けるレールは同じタモ材で作っています。

家具製作は順調に進みまして、最初のご相談から4か月弱でようやく納品の段取りとなりました。
このところは、打ち合わせや設計のほうで慌しくなってきていまして、私が取付工事に出掛ける機会も減ってきていまして、今回もみんなに取付を頼んだのです。
みんなももうしっかりと頼もしいものですので、私の望むような納まりできちんと設置してくれますので、安心しているのです。
今回のIさんの取付も特に現場でのコンセントの細工などもないので、それほど複雑な取付にはならないかなと思っておりました。
当日も、距離があったのでその分遅くなったのでしょうけれど、夜になってみんなは無事に作業を終えて戻ってきましたので、(では、後日時間ができたらご挨拶に伺おう。)と思っていたのです。

タモとステンレスと真鍮の食器棚
吊戸棚の扉の下にはオープン棚。よく使うし、きれいに見せたいし、という茶器が並びます。

ところが、翌朝にIさんからメールを頂きました。
食器棚はきれいにできていて、設置もきちんとされていてとても満足ということだったのですが、食器棚と壁の隙間を埋めるのにシリコンを使うのですが、その時の処理が良くなかったようで、シリコン自体はきれいに充填されたのですが、養生のために張ったマスキングテープをはがす際に壁紙を引っ張ってしまって少し汚れてしまっていたのだそうです。
翌朝彼らに聞いてみると、そういう返事が返ってきました。うーん、もっと早く言ってほしかったなあ・・。
詳しく聞くと、壁紙がビニルクロスではなく、紙でできていたそうです。
あっ、そういえば採寸した時にちょっと変わった壁だって思っていたんだ。
自分がもっと状況をみんなにきちんと事前に伝えておければよかった。Iさんに迷惑が掛かってしまうことになりましてすみません・・。

タモとステンレスと真鍮の食器棚
「吊戸棚の内部も外と同じ素材にしてください。」Iさんの強い希望で、扉を開けた内部もタモ罪で製作することにしました。内部はいつもはコストダウンとお手入れのしやすさを優先して、化粧板を使うことが多いのですが、共材で仕上げる印象はとても落ち着いていてやはり良いです。

紙でできたクロスなら当然テープを張ると毛羽だったり、引っ張られてはがれてしまうので、一番粘着の弱い青いマスキングテープを使って養生しよう、とやってみたわけですが、それでも壁紙のジョイント部分はかなり弱くてテープに引っ張られてしまったのだそうです。
そこで、ボンドを薄く塗ってはがれかけた部分を再接着して施工を終えたのですが、やはり違和感が出てしまったのを、Iさんにお伝えせずに戻ってきてしまったということで。Iさんすみませんでした。
それであらためてこの壁紙を貼りなおして、修理させて頂くことに。
クロスの張替は、いつもお世話になっているイズミさんに小田原から来て頂いて、きれいに貼り直して頂きました。ありがとうございました。

タモとステンレスと真鍮の食器棚
引き出しの様子、ここは、ご主人の引き出し。コーヒーを自分でゆっくり入れたいということで、その挽き方、入れ方に合わせた器具類がしまわれているのです。
タモとステンレスと真鍮の食器棚
引き出しの様子、以前に東久留米のKさんから教えて頂いた、市販のカトラリーケースをうまく活用して収納する方法。ここでは、ケユカさんのケースを使って、上段は億と手前にスライドするようにして、下にケースを敷き詰めて多段で使えるようにしているのです。
タモとステンレスと真鍮の食器棚
引き出しの様子、その下は茶碗類が入ります。
タモとステンレスと真鍮の食器棚
引き出しの様子、そしてかさばってしまうタッパーたちがきれいにしまわれます。

タモとステンレスと真鍮の食器棚
引き出しの様子、そして一番深い最下段の引き出しは木箱に入った食器や背の高いビン類がしまわれております。

最近は、この再生紙を活用した壁紙を使われる方も増えてきていらっしゃいます。
壁紙の上から自然塗料を塗布して仕上げる形が一般的なのだそうですが、無塗装のそのままの質感を選んで使われる方も多くいらっしゃいます。
そういう知識が不足していて起こってしまった今回の不具合。とても良い勉強になりました。

タモとステンレスと真鍮の食器棚
リビングから見た様子。タモの柄はメリハリが強いので好みが分かれるのですが、私はこのはっきりとした木目の流れ方が分かる様子って好きです。動きに温かみがあって。

その後、Iさんにはとてもよく思って頂けて、都内でクラフト市に参加した時もご主人がわざわざ足を運んでくださって木のお皿を気に入ってくださったり、写真撮影の時にカメラのお話でとても話が膨らんでしまいにはIさんがレンズまで購入されて、楽しそうに写真を撮り始めてくださったりと、うれしいお付き合いが続いております。とてもありがたいことです。
また、何かありましたらいつでもお声掛けください、Iさん。
距離は遠くても気持ちが近いことには変わりありません。

費用につきましては、お問い合わせくださいませ。
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