オーダー製作例

格子扉のオークのテレビボードとダイニングテーブル

Love

横須賀 O様

design:daisuke imai
planning:daisuke imai
producer:gaku suzuki
painting:gaku suzuki

格子扉のオークのテレビボードとダイニングテーブル
家具を納品した直後の様子。レクリントの照明と,とても良い印象です。

Oさんからは、まずお電話を頂いたのです。「リビングに置く背の低めのテレビボードを作るとしたらどのくらいかかるのでしょうか。」と。
それで、まずは参考になるスケッチなどがあればだいたいどのくらいの費用が掛かるのか分かるのですよ、とお話をさせて頂きまして、それから、あらためてメールでのやり取りが始まったのです。
そして、ある程度のご要望とイメージに近い家具の写真などを送って頂いてから、こちらで一つ原案となるプランを考えてお送りしたのです。
すると・・。

格子扉のオークのテレビボードとダイニングテーブル
家具を使い始めてしばらくした頃にお邪魔させて頂きました。楽しそうに使ってくださっていることが良く分かります。

「毎々お世話になっております。
図面等を送って頂き、ありがとうございました。週末にゆっくり主人と相談してみたいと思います。ただ、予算を10万円オーバーしているのが気になっています。
あと15年ぐらいしたら全面リフォームを考えているので、今こんなに掛ける必要はないのでは…と迷いが出てきました。
主人もリフォームの際、昔の家具が不要となるのでは?と心配しており、私自身も古ぼけてしまった家具を融合させてリフォームするのは難しいのでは…等と、色々考えてしまいます。
イマイさんは、どう思われますか?15年も使えば十分だと思いますか?
物の価値をイマイさんに尋ねても仕方のない事だとは分かってはいるのですが、とても素敵なプランだったので、どうしたものかと悩んでいます。
取り留めのない文章になってしまい申し訳ありません…
週末、じっくりと考えてみたいと思います。
文末になってしまいましたが、素敵な提案をして頂いてありがとうございました。」
と不思議なお便りを頂いたのです。

格子扉のオークのテレビボードとダイニングテーブル
テレビがこの位置に載るので、それに合わせてうまく配線計画を立てました。

私も何だか不思議な気持ちがしまして、こうメールしたのでした。
「O様、メールありがとうございます。
人それぞれの家具に対する考え方ですか・・。難しいですね。
ものって、使うまではただのモノに過ぎないのですが、使い始めると愛着がわくんですよね。
何ででしょうね、心があるわけでもないのに。
でも、使い始めたら、家具に限らず、どんな小さなものでも大きなものでもただのモノではなくて、道具になっていくのです。
道具になるとそこに気持ちが思い入れられるので、ずっと使っていたくなるんだと思います。
実際は、15年も経つと、家具は傷むところは傷むし、故障も出てくる部分があると思います。既製品で難しいのはそうなった時の対応で、なかなか修理するのが難しい作りになっていたりするのです。
オーダーだと作った人間がいるわけだから、その当時の部品がなくなっていてもどうにか工夫すれば直せるのです。
現に既製品でメーカーや販売店が修理を受け付けてくれないといって、私たちのところに持ち込まれる家具も少なくないです。
そして、皆さんに聞くと、「そんなに高い買い物ではなかったのだけれど、ずっと使ってきたから、捨てるのが忍びなくて。もし、直るのなら直して使いたい。」とおっしゃいます。
そして、うちで家具を作ったお客様でも、もう10年以上も前に家具を作った方が、「家を新しくするので、家具を移したい。」と言って、うちの家具に合わせて間取りを考えたお客様もいらっしゃいます。
また、9年前に家具を作ったお客様もやはり「家を建て替えるので、その間預かって頂いて、引越し後に設置してもらえますか。」と言われたお客様もいらっしゃいます。
それから、家具を作って半年したら、急にご主人が転勤になっちゃって、家族みんなでしばらく別のところに移ることになってしまって、どうしても作った家具と一緒に暮らしたくて、ということで、世田谷の分譲マンションから、名古屋の賃貸マンションに家具を設置し直したこともあります。転居先は賃貸なので、作り付けられない為壁にネジで留めなくても済むようにパーツを追加して工夫をしたりと結構大変でした。
みなさん、古くなってしまったりしても、家具を買ったのではなく、家具を作ったことでファミリーのように愛着を持ってくださっています。
だから、お話を聞いていると、ずっと使い続けることに何の躊躇はありませんでした。
古くよごれてもまた手入れをすれば(オイルを塗ったり、磨いたり、傷がついたところを直したり・・)家具はずっと使い続けることができます。
インターネットができて、作り手と使う人がとても近くなったから、その使い続ける方法を少しずつ教えることができるようになりましたが、まだまだ社会では、使い続ける方法が使う人に伝わらないから、壊れたら、傷んだら終わりと言う考えが大きいです。
今まで家具を頼んでくださった皆さんは、ほとんど家具に家具以上の愛情を持って使ってくださっているようです。
年賀状などを頂くと、「家具は元気です。」とか「我が家の顔は、まだまだきれいですよ。」と言ったお返事を頂くのです。皆さん、自分の家具が好きなんですね。
O様も、自分で考えた家具がずっとずっと好きならば、ずっと使い続けていくのではないかと思います。
そこまで家具について深く考えなくても、だいたい使い勝手が合っているものがあれば良いかなとお思いで、良い仕上がり、良い雰囲気の家具がどこかのお店で見つかったならば、その家具で良いのだと思います。オーダーと言うのはやはり既製品に比べると1台1台ゼロから作っていくので高価になってしまいますからね。
私の気持ちとしては、家具をただのモノとしてではなく、気持ちよく暮らしてゆく為の自分たちの一番使いやすい道具として愛着を持って使ってくださるのであれば、その家具がお店で販売されている既成のものでも、私たちが作るオーダーの家具でもどちらでも良いと考えています。
それから、15年は短いようで長いと思います。自分のことでお恥ずかしい話なのですが、私は妻と出会って初めてあげたのは、家具でした。まあ、家具だけだと「?」って思われるので、その中に時計を入れておいたのですが・・。
彼女はやはり「?」って思ったみたいで、あまり自分では使っていなくて、彼女のお母さんが家の廊下において使ってくれていたりしていましたが現在では我が家の廊下に置かれています。こんなちょっと変わった家具です。(http://freehands.exblog.jp/3874381/)
今では、娘たちのイタズラで脚が一度折れてしまったり、角がペリペリはがれたりといろいろな困難に出会っていますがその都度直して、未だにちょこんと廊下にあります。
好きなんですね、この形が。もう、20歳の時に贈ったものだから、今年で16年目になります。
と、余談でした。
また、お話がまとまりましたらお聞かせ頂ければと思います。
キャンセルされる場合でも遠慮なくおっしゃっていただいてかまいませんので(笑)
長文失礼致しました。
では、よろしくお願い致します。」

格子扉のオークのテレビボードとダイニングテーブル
こちらはAV機器収納スペース。その下には引き出しを設けています。引き出しを表に出すと、表面の印象がゴチャゴチャしそうなので、中に隠したのです。

「毎々お世話になっております。
丁寧なメールありがとうございました。
私にはモノを大切に使うという気持ちが、少し欠けているのかもしれませんね(笑)
壊れてしまったら捨てる。
イメージに合わなくなったら捨てる。
その方が修理に出すより簡単だし、綺麗なモノが手に入るから…
そういう気持ちで居たので、オーダー家具を発注することに戸惑いが生じたのかもしれません。もう少し真剣に使い方を考えなくてはいけませんね。
それでも、予算の50万以内で何とかしたいと思っていた所、手掛けのプランは安い見積の方が好みでした。
もしかしたら、予算内で納まるかもしれないので、プランの変更をいくつかお願いしたいと思いますので、再見積をお願い致します。」

と、そのような感じで本当のやり取りが始まりました。
すると、Oさんのスイッチが入ってしまいました。

「実は、以前いただいたイマイさんのメールで、オーダー家具に対する考え方がすっかり変わったんです。
私が「やる気スイッチが入った」と返信したメールを覚えていらっしゃいますか?
(こんな言葉で表現してしまって申し訳なかったのですが、嬉しくて書いてしまいました)
あの時、フリーハンドイマイさんとのこれからのお付き合いの仕方を教えて頂いて、”オーダー家具ってやっぱり素敵だな”、”フリーハンドイマイさんにオーダーして良かったな”と、心から思えたんです。
予算内で幅ピッタリの棚があればいいなと思っていた私が、予算オーバーしても、使いやすくてお気に入りの家具が欲しい!!とすっかり変わってしまいました。
主人も「リフォームの時もお願いすれば外しにきてくれるんだ。形も変えられるなんてオーダーって凄いね。」と…
遅ればせながら、夫婦共々一生ものの家具を作るという実感が沸いてきました。
それからは、メジャー片手にどうすればいいか迷いに迷い、一番リビングを広く使えるであろう今の形に辿り着きました。ですが、それは素人考え満載のプランですので、イマイさんのお力を拝借し、より良いプランにして頂けたらと思っております。
申し訳ありませんが、もう少しお付き合いください。」

プリンタ用スライドテーブル
ここには、プリンタがしまえて、使うときはその場で使えるようにスライドテーブルにしています。

今までは比較的ゆったりとメールのやり取りをさせて頂いていたのですが、それからは連日のようにプランの検討が始まりました。
一つ決まった形をいろんな方向から見直して、ある部分を削って、ある部分を増やして、またグルッと見直して・・。
オーダー家具と言うのは、見せることができるものがない状態でお話を進めていくため、イメージはなかなか掴みにくいかもしれません。特に初めての依頼となると、それはもう難しいと思っています。
そして、毎日顔を合わせてお話できるわけではなく、普段はメールでのやり取りとなるので、文章だけで理解して頂くのはなかなか難しいことだと思っております。だから、私はなるべく理解して頂けるように、1通のメールを書くのに1時間近く時間が掛かることもあります。だから当然、ものすごい量の文章になるのですが、やはりそれはそれで分かりやすく思っていただけることが多いので、なるべく自分がこの家具を使った時にこの部分はどう見えるか、ここはどう動くか、こう動くとそれに伴ってここはこうなります、とご説明するのです。すると、それが分かった皆さんは、じゃあ、ここはこうしたらどうなりますか、と言う風なキャッチボールが始まるわけです。
Oさんとは、そのキャッチボールの数が果てしなく続き(笑)、ようやくプランが決まった時は、ホッとしたものでした。(笑)
それから、ご自宅にお伺いしていろいろとお話をさせて頂きました。
私と話をしているうちに、自分のこの家に対する思い入れ方が変わったという、Oさん。家具のこと以外にいろいろなことをお話してきました。ペット用の床コーティング材を塗ってしまったフローリングをどうするか、とかダイニングをどう見せたら、リビングがまとまるか、それにはどんなダイニングの照明が良いかなど・・。
物を作り上げていくことや空間が出来上がっていくこと、といった創造すること、作り出していくことと言うのは、とても楽しい。それが頭の中でだけでなく、実際に形になって現れることが私たちの仕事の大きな魅力です。
Oさん、いいものができるようにがんばりますね。
そうして、製作が始まりました。もともと、ルーバー扉は、ビデオデッキやBRレコーダー直を収納する部分に対して、リモコンが効くように、そして放熱のために考えたものなのですが、それを今回は意匠的に全ての面に装飾したいと言うのがOさんの希望なのです。要するに、ルーバー模様が大好き、と言うことなのです。
扉と引き出しだと隙間を設ける関係もあるので、どのようなルーバーの割り付けにするのがきれいに納まるかを考えながら、作っていくわけですが、こうしてできあがってみると、とても整った印象が良く出た家具となったのでした。良かった。Oさんの希望が叶いました。

配線収納スペース
一番左は、左側壁にマルチコンセントがあったので、左端に配線をゴチャゴチャと束ねて置ける小さな空間を作って、その隣に棚を入れた収納にしています。配線する時はこの縦の仕切り板を外して配線することができます。

「昨日は家具の取り付けありがとうございました。
本当に素敵な家具で、ずっと見惚れています。
部屋の雰囲気もガラリと変わり、自分の家ではないみたいです。(笑)
本当にありがとうございました。
これからずっと大事に使っていきたいと思います。
すみません!!
昨日、あれからずっと部屋の片付け等をしていたので、メールの確認をしていないんです…
嬉しくて、主人と遅くまで何を入れようか悩んでしまって。(笑)
それと、メンテナンスの件、ありがとうございました。
主人とジックリ読んで、味のある家具にしていきたいと思います。
それでは、これからも末永くよろしくお願いします。」

格子扉のオークのテレビボードとダイニングテーブル
カメラを構える姿が珍しいのかな?それともお得意のポーズかな?今回はあまりピックアップできませんでしたが、一緒に製作させて頂いたダイニングテーブルとの印象はこのような感じです。テーブルもサイズや形状をリビングボードと同じくらい検討して、このすっとした形にまとまったのです。ですので、どちらも良い印象です。
ドロップ蝶番を使った戸棚
引き出しが必要とOさんに言われていたので、この部分には引き出しと下に開く扉を設けています。

オークのコンセントプレート
そして、同じナラ材のコンセントカバー。
ナラの格子のテレビボード
価格:600,000(製作費,塗装費)
ナラのダイニングテーブル
価格:190,000(製作費,塗装費)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は15,000円から取付施工費は27,000円から

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