一緒に暮らそう
「ナラ板目のリビング壁面収納デスクのオーダー」
荒川 W様
design:Wさん/daisuke imai
planning:daisuke imai
producer:hideaki kawakami
painting:yasukazu kanai
今(2016年)から8年前にリビングや洗面室の家具を作らせて頂いたWさんから、大変久しぶりにお電話頂いたのです。
今まで住んでいたところからお引越しすることになって、その新しい住まいに今まで使っていた家具たちを持っていきたいのだということでした。
そしてその新しい住まいが、同じマンション内の別のお部屋なのだそうです。
なるほど、面白そうなお話ですね。
そして、しばらくしましてからあらためてメールを頂いたのです。
「お久しぶりです。荒川区の若井です。お元気ですか?
この間御連絡してから、だいぶ経ってしまい申し訳ございません。
先日お話しした通り、今回マンションを6階から1階に移ることになりました。
そこで今までの家具を持っていきたいのですが、いくつか相談があります。
洗面所の収納は、転居先に梁があってサイズが合わず、残念ながら置いて行くことになりそうです。。
残念ですが、もし何か良いアイデアがあれば教えてください。」
いろいろな事情があって、住まいを移られる皆さんには何度かご相談頂いたことがあります。
愛着があるし、せっかく自分たちのために作ってもらった家具だから一緒に連れてゆきたいのです、と。
たしかにその気持ち、分かります。
皆さんと一緒に家具を考えている時って、本当にみんなワクワクして、目をキラキラさせて考えてくれます。
そうしてできあがった家具はまるであたらしい家族のように迎えてくださるのです。
一緒に連れていきたいですよね。
でも、その時に2つの方法があることをみなさんにお伝えしています。
ひとつは、思いのとおりに連れていく方法。ただ、新しい住まいにそのまま家具を持ち込んで納まることはなかなかないのです。
一度その家具を外したら私たちの工房まで持ち帰って、新しい住まいの設置場所を確認させて頂いてから、その寸法に合わせて、再設計し、部材を追加して設置します。
きちんと設置しますので、昔の面影を残した形で使い続けることができるのですが、現地を確認したり、引越し前に家具を取り外して、引っ越し後に取付に行くタイミングなどいろいろと限られてしまうことがあったり、費用が大きく掛かってしまうこともあるので、必ずしも持ってゆけないこともあります。
もう一つは、そのまま家具を残して新しい住まいに移る方法。
これは皆さんからお話を聞いてなるほど、と思ったのですが、せっかく使った家具だけれどその場所にあった形にしたのだからその場所に置いてゆく、ということで、家具がついたまま状態で、新しい住まい手の方を探すと、とても良い確率だったり、とても良い条件だったりした状態で、新しい住まいに移ることができることが多いのだそうです。
「イマイさんの家具がついていたおかげで、今度は要られる方はとても気に入ってくださって。」と、お客様から聞いて、なるほどこういう形があるのだなあと勉強になったのです。
そうして、Wさんのリフォームが始まりました。
まずは、洗面室についていた吊戸棚は残念ですがそのまま残す形にして、リビングのL型の家具だけを新しいリビングに持っていくことにしました。
その前に1階に移るにあたって、リフォームの内容のご相談から始まりました。
でも、今回は私たちがリフォームに携わるのではなく、家具の製作のみです。
しかし、Wさんがそのリフォーム会社さんに不安な点を持っていたので、それでまずはそのあたりをイマイさんに聞いてみたい、ということになったのです。
このマンションの1階ですが、コンクリートの床に直張りのフローリングで、クッション性のある柔らかめのフローリングで、さらに床暖房が入っているそうなのです。
その影響なのか、床がものすごく波打ってしまっているのです。木の床がなんでこんなにフニャフニャしているの?
湿気と床暖房が入っているため床を固定できない部分がある影響なのだろう、ということがリフォームの打ち合わせの進めるうえで分かったのですが、その改善する方法があいまいで、「大丈夫ですよ。問題なく施工しますので。」という明確な答えのないままお話を進められそうな感じがしたのだそうです。
そのほかの部分もWさんから話を進めないと、良い提案が出てこないそうで、「○○のようにしたいのですが。」というと、「ええ、できますよ。」というできるかできないかの答えがもらえるだけで、「○○するならばこうしたほうが良いです。」とか「代わりにこういう形にしてこう見せる方法もありますよ。」というようなキャッチボールがなくって、自分の提案が通るのはうれしいのだけれどそれで全体としてよい部屋になるのかだんだん分からなくなってきちゃって、イマイさんどうしましょう‥。
うーん、どうしましょう。
ということでさらに詳しくWさんの新居でしたいことをお聞きしながらお話をしていくのですが、やっぱりそのリフォーム業者さんはやめたほうが良さそうな印象。
その話の中で、もう1件の業者さんに訪ねたお話ががありました。
そちらの業者さんは、床材のお話だけ進めていた業者さんのようで、その方から良いリフォーム業者さんをちょっとだけ紹介してもらっていたのだそうです。それでも、もうどこにお願いすることが良いのか自分で判断しきれなくなっちゃって、どうしよう、ということになっていたのです。話を聞くとその2件目の業者さんは対応も丁寧で、返答に対してもきちんとした根拠をもって答えて頂いているようでした。それで、そこにお願いしたほうが良いのか、それとも今井さんのほうでお付き合いのある方がいらっしゃったら、その方のほうが良いのかも、と話をしていくうちにだんだんと迷ってしまって。
そこで、まずはお話だけでもしてみてはどうですかと、私のお付き合いのある設計士さんをご紹介したのです。
それは、いつもお世話になっているスタジオコンボさんです。
電話だけだと伝わりにくい部分もあるので、ここから茂呂さんのところまでが比較的近い距離だという意こともあったので、見に来て下さったりもしたのですが、やっぱり設計士さんに依頼する、ということがWさんにとっては大ごとのように感じてしまったようで、スタジオコンボの茂呂さんのような気さくな方でも、「イマイさん、私やっぱり建築家さんにお願いするほどのことじゃないのに申し訳なくて。ごめんなさい。」ということで、床の波打ちに対する良い工法についてなど茂呂さんから良い話が出たのですが、最終的には2件目のリフォーム業者さんが施工することに決まりました。
「いいんです、いいんです、イマイさん。また何かあればいつでも声掛けてもらえれば。」と茂呂さんにはそう言って頂けたので、このあと実は茂呂さんに活躍してくださるお仕事が幾たびも出てくるのですが、それはまた別のところでお話ししましょう。
こうして、リフォーム業者さんも決まって、間取りも決まって、工事が始まりました。
私たちも工事に合わせて家具の加工をしなければいけなかったので、まずは今お住まいのところから、家具を引き取りに伺います。
取り付けたのはもちろん自分たちなのですが、8年経っちゃうと、どこからビスを止めたか分からない部分もあったりして、少し苦労しながら解体完了。
その後しばらくして大工さんの作業がひと段落したところで、設置場所を採寸。
いよいよ、新しい場所に合うように、追加加工を始めます。
できるだけ今までと同じようなレイアウトで使いたいのですが、間取り自体が、現在のリビングと新しいリビングでは反転してしまっていて。その場所に合わせて、さらにWさんのご要望に合わせて、リビングの家具をうまくリビングボードとテレビボードの切り分けます。
またオーダーキッチンとの納まりもあって(当初キッチンのお話も出ていたのですが、今回は他社様のキッチンになってしまいました。残念!)、どうリビングボードを納めるかが今回の工事の要になります。
床の波打ちは取れても、不陸は残るでしょうし、L型になるとその床の歪みが大きく影響してくるかもしれなくて、うまくいくかが心配だったのです。
そして、無事に内装工事が終わった頃に、家具の設置工事に入らせて頂きます。テレビボードは比較的すんなりと納まったのですが、リビングボードは壁が躯体壁ということもあってやはり歪みが出ていて苦労しましたが、どうにかきれいに設置できました。
新しい部分はまだ色が淡いままで、今までの家具の部分は色濃く日焼けしています。
これが、しばらくするとうまく馴染んで、そうなった時が本当のWさんの家具になった時なのではないかな、と楽しみにしているのです。
ナラ板目のテレビボードの新規製作
価格:530,000円(制作費・塗装費)
ナラ板目のリビングボードの追加加工
価格:500,000円(制作費・塗装費)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は30,000円から、取付施工費は80,000円から)
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