暮らしのはじまりかた

「チェリーとステンレスのセパレートタイプの食器棚のオーダー」

横浜 Y様

design:Yさん/daisuke imai
planning:daisuke imai
producer:yasukazu kanai
painting:yasukazu kanai

アメリカンチェリーの食器棚

食器棚全景です。吊戸棚の手前に張りがあるのが面白い。

もともとYさんがまだIさんだったころ、最初に家具製作のご依頼を頂いたというお話はどこかでしておりましたでしょうか。
Iさん(奥様)がまだお一人で暮らしている頃、チェリーのカップボードを作ってほしいというご相談を頂いたのでした。今から4年前にお話です。
それから、4か月ほど時間をかけて形を決めて1台のシンプルなカップボードを作らせて頂いたのでした。
その納品の間際、大変おめでたいことにIさんはYさんにお名前が変わったのでした。
人生の節目節目に立ち会えることのすばらしさ!

アメリカンチェリーのカップボード

こちらが3年前に作らせて頂いたカップボード。チェリーの色も真鍮の色も良い具合になっていました。

そして、納品後のその年のクレミル(私たちの工房で開いている小さなイベントです。)にもお二人でいらしてくださいました。
「すてきな食器棚ありがとうございました。
部屋がさらに温かくなってとてもうれしいです。それに大きさもぴったりで!
好きな食器を少しずつ集めながら、長い間付き合っていきたいなと思います。」と、嬉しそうに様子をお話しくださったのでした。

戸棚の中に無印良品のボックスを活用

吊戸棚を開けた様子。無印良品のファイルボックスをうまく活用されています。

それから、約2年後のことでした。
「お久しぶりです。
一昨年食器棚を作成していただいたY(旧姓I)です。
この度、和田町に土地を購入し注文住宅を建築予定です。
まだ工務店が決めたばかりで、具体的な事は何も決まっていないのですが、8月頃には建物完成になると思います。
つきましては、イマイ様に備付の食器棚を作成いただきたくご連絡させていただきました。
(キッチンもと考えましがた、予算の関係で断念・・・
詳細決定前ですが、お忙しそうなので取り急ぎ連絡させていただきました)
私事ですが、7/1に出産した為、外出できるのは少し先になります。」

アメリカンチェリーの食器棚

こちらも同じく吊戸棚の内部の様子。

おぉ、Yさんだ。
お久しぶりです。
たしかカップボードの納品後にお伺いした時に、「新しく家を持ったら、食器棚を・・」というお話をされていたよね。
本当に声をかけて頂けるなんて、ありがたく思います。
さっそくお話をお伺いすると、「はじめましての気がしない」のIさんの感じが近いということで、まずはカップボードの様子も久しぶりに見ておきたかったので、久しぶりにお伺いさせて頂きました。
すっかりお父さん、お母さんの顔になったお二人と再会して、細かいご要望をお聞きしました。
新しいところでの暮らしはどんなふうに始まるのでしょうね。楽しみです。
さっそくその日に伝えて頂いたご要望をまとめて、スケッチを描き起こして作るのに掛かるだろう金額をお伝えしました。

アメリカンチェリーの食器棚

吊戸棚下のオープンラックの様子。棚板の手前は物が落ちてこないように少し立ち上がりをつけています。

「またイマイさんに家具を作成頂けること、とてもワクワクしております。(スケッチだけでにやけてしまいます?)」

ygt017

最初のスケッチ。

良かった、うれしいです。
そして、食器棚と一緒にキッチンの手前と側面につくカウンターも一緒にお願い頂いたので、こちらは大工さんのスケジュールに合わせて早めに製作しなければなりません。
壁ができるタイミングに合わせてカウンターを先に作って現場に送る段取りをします。
時々こうしてカウンターの製作の依頼も頂くのですが、大工さんが現場で寸法を決めて取り付けて頂いたほうが納めやすいので、いつも材だけ用意して現場に送るような進め方をしております。

アメリカンチェリーの食器棚

ここがYさんのお気に入りのスペースの一つ。雑誌を置くためのスペースです。

カウンターがひと段落したころ、大工さんの工事の進み具合をみて、あらためて搬入経路や設置場所を確認するためにお伺いします。
お伺いしたところは、保土ヶ谷の不思議な場所で、まわりが畑に囲まれたのどかな丘陵地帯でした。
その広々とした一角にYさんの新居が建てられています。

アメリカンチェリーの食器棚

引き出しのレイアウトの様子。


アメリカンチェリーの食器棚

ゴミ箱は岩谷マテリアルのクード。

さっそくお邪魔させて頂き、1階のキッチンということで搬入経路も問題なく、設置場所は梁の現れる雰囲気のあるところで、扉の開閉に工夫が必要になりそうでしたので、大工さんとYさんでどのような天井高さにするかをあらためて決めて頂くことで納まりを確認して、無事に進められそうです。

アメリカンチェリーの食器棚

カウンターはトップのみステンレスのバイブレーション仕上げの板を貼って、カウンターの正面はチェリーで仕上げています。

そうして、お引き渡しの直前のタイミングで工務店さんに現場を開けて頂いて無事に設置が完了。
そうそう、設置の時の注意点が一つあったのでした。
最近よく施工される壁紙で一般的に普及しているビニルクロスとは違って、紙をベースにした天然素材を用いたクロスが良く使われるようになりました。
今回のYさんの壁紙も卵の殻を用いたものということでしたので、食器棚設置の前に確認を取らせて頂いたことがありました。
以前、食器棚を作らせて頂いたお客様の壁紙がやはり紙ベースの仕上げでした。
そう、「きもちの距離」のIさんのお話です。
通常、家具設置後の隙間を埋めるためにコーキングをする事が多いのですが、その時も紙ということで粘着の弱いマスキングテープを使って施工したのですが、紙を引っ張ってしまったのでした。
それからは、紙ベースのクロスの場合は、コーキングは行なわないことにしておりまして、Yさんにもその点をご理解いただいて食器棚を設置させて頂いたのでした。

アメリカンチェリーの食器棚

引き出しの様子、その1。ケユカのスライドトレーをうまく活用しています。


アメリカンチェリーの食器棚

引き出しの様子、その2。


アメリカンチェリーの食器棚

引き出しの様子、その3。


アメリカンチェリーの食器棚

引き出しの様子、その4。


アメリカンチェリーの食器棚

引き出しの様子、その5。


アメリカンチェリーの食器棚

引き出しの様子、その6。

こうして無事に完了し、その後もあらためてお邪魔させて頂いて久しぶりにカップボードに再開することもできたり、そのあとに開かれたクレミルのワークショップにも数年ぶりに参加してくださったりと、とてもありがたいお付き合いが続いております。
こうして皆さんに支えられているのだなあと実感している毎日です。

チェリーとステンレスの食器棚

価格:600,000円(制作費・塗装費)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は15,000円から、取付施工費は30,000円から)

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