はじめましての気がしない

「チェリーとステンレスの食器棚のオーダー」

茅ヶ崎 I様

design:Iさん
planning:daisuke imai
producer:kouhei kobayashi
painting:kouhei kobayashi

ステンレストップのチェリー材を使った食器棚

「そして、写真ですか?私、写真は苦手なんです…なので後ろ姿にしてくださいね。」とIさん。

Iさんと初めてお会いしたのは私にとっては初めてだったのですが、Iさんにとっても初めてではありましたが、私のことはかなり前からご存じだったのだそうです。
まだ、私たちがオーダーキッチンの製作を始めて間もない頃、いまではうさぎパンさんの名前で知られるようになった鵠沼のTさんからキッチンの製作を依頼されたのでした。今から、8年前のお話です。
その時の工務店さんに勤めていたのがIさん。そして、その工務店さんのウェブサイトの製作を行なっていたのがOさん。
このOさんちょっと不思議な印象の方で、少年のような風貌なのにもういろんなことを考えている人で、以前はスピーカーの製作を依頼してくださって、それをご自身で販売したいというお話をされていたり、(たしか)自分でアパートを建てて経営していくのでそのための玄関ドアを作ってほしいということで、とてもシャビーなデザインのドアを作らせて頂いたこともありました。
その持ち前の性格からかいろんな人と通じ合っていて、IさんもOさんと話している中で私たちのことをさらによく知るようになったのだそうです。ご縁とは不思議です。

ステンレストップのチェリー材を使った食器棚

全景1。

ステンレストップのチェリー材を使った食器棚

全景2。

そのIさんからご相談頂いたのは食器棚でした。
この家に住みはじめてからずっと考えていた食器棚。
「今までどういう形にしたら良いか、工務店に勤めていたのにいながらもなかなかイメージがまとまらなかったのです。」ということだったのです。
形は思い浮かぶけれども、それが自分にとって使いやすいものかどうか、そこに確信が持てなかったので、それでこうして私たちを訪ねてくださったのでした。
できあがった形は写真を見て頂ければわかるようにシンプルな形ですが、ここに至るまではなかなか悩み多き食器棚でした。

ステンレストップのチェリー材を使った食器棚

今回の天板は、トップのみステンレスを貼って木口はアメリカンチェリーをそのまま見せる形にしました。

当初は、隠そうと考えていたゴミ箱。そのワゴン式のゴミ箱収納が使いやすいかどうかは人それぞれですが、私たちが作ると表面に化粧板を使って手入れをしやすくしますが内部はやはり木製なので、ワゴン自体がそれなりに重くなることが多いのです。
それに長年使っていると、キャスターのタイヤ痕が床に取りにくくなって付着した油膜と混ざって黒くスジになったりすることもあるし。またそういう弾力のあるゴムのタイヤは床に傷は作りにくいのですが、そのように痕がついたり、タイヤだと摩擦が大きくなるので、より出し入れがつかれちゃうこともある。それならタイヤが硬いジュラコンのものだとどうだろうと思うのですが、今度はかえって固い分床をキズにしやすいかもしれないし・・。

ステンレストップのチェリー材を使った食器棚

私たちが良く取り入れるキッチンのデザインのように、そして雑巾摺のように、背板をカウンタートップから少し立ち上げています。

では、専用で出ているアルミ製のゴミ箱ワゴンを活用しよう、と思うと、壁についているコンセントの高さの関係であきらめなければいけなかったりして・・。最終的にはゴミ箱をしまっていると汚れた手で開け閉めすること自体食器棚を汚してしまうのではないか、と思ったりして・・。ゴミ箱1つでもこれほど思いは巡り巡っちゃうのです。

ステンレストップのチェリー材を使った食器棚

そして、側面も立ち上げています。側面が立ち上がっているから、ここから冷蔵庫の隙間に物を落として取れなくなっちゃった、ってことが無くなりました。

でもね、オリジナルってそういうことだと思います。
家具だけに限ったことではなく、どこにどれだけの思いを寄せるかでいろいろな物事に対する感情も変わってきます。
家具でいえば、見た目の印象を時間を掛けて研ぎ澄ませたい人や、Iさんのように使い勝手を考えることで自分を見つめ直したい人など。
そうしてできあがった形はオリジナルです。
だから、「○○さんと同じ食器棚を作りたいです。」って言って、まったく同じになった人はいないし、同じように見えても気持の寄せ方が、人それぞれ大きく違うのです。
面白いね。

ステンレストップのチェリー材を使った食器棚

引き出しの様子、その1。

こうしてできあがった食器棚。長年使ってきた家具蔵さんのダイニングテーブルのような深い色にはまだなっておりませんが、次第に追いついて深いあめ色になっていくとき、もっともっとIさんらしい食器棚になっていることと思います。
またその時にこうして懐かしくお会いできるのを楽しみにしております。

ステンレストップのチェリー材を使った食器棚

引き出しの様子、その2。

「昨日はありがとうございました。食器棚とても素敵です。
木目もきれいで、今朝も眺めてはうっとりしてしまいました。
吊戸棚も付けて良かったです。
(食器棚がイメージ通りに出来なかったらどうしよう・・・)と心配していたのですが、びっくりなくらい素敵に仕上がっていました。
今度はリビングボードを!と思っていましたが、キッチンを入れ替えたくなりました(笑)
私はもちろんですが、主人も満足そうで良かったです。
私はあれこれ悩んでしまうたちで、イマイさんにはずいぶん長くお付き合いいただきました。
どうもありがとうございました。

それから、スタッフの皆様にもよろしくお伝えください。
本当にうれしく思っております。
ありがとうございました。」

ステンレストップのチェリー材を使った食器棚

スライドテーブルを1か所設けています。ここにはちょっと珍しくトースターだけがしまわれています。

ステンレストップのチェリー材を使った食器棚

そのトースターの下は、大きな引き出し。開けると、内引き出しが隠れています。ここはこのようにして使い勝手よりも見た目を優先させました。

ステンレストップのチェリー材を使った食器棚

いろいろ悩んだゴミ箱については、最後は岩谷マテリアルのkcud(クード)を使う形に落ち着きました。

ステンレストップのチェリー材を使った食器棚

こちらもつけるか付けないかで悩んだ吊戸棚。それほどしまうものも多くないし、でもあったほうが素敵だし・・。結果としてとても使いやすい戸棚になったのではないかと思います。

ステンレストップのチェリー材を使った食器棚

その吊戸棚の中身。

ステンレストップのアメリカンチェリーの食器棚

価格:470,000円(制作費・塗装費)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は10,000円から、取付施工費は30,000円から)

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