
つくる喜び、暮らす喜び
「ナラのセパレートタイプの食器棚のオーダー」
府中 O様
design:Fさん/daisuke imai
planning:daisuke imai
producer:masakane murakami
painting:masakane murakami
「建売新築を購入しました。
カウンターキッチンの背面に食器棚を付けたいのです。
図面でいうと、キッチン背面の壁には45センチ幅で梁があると聞いています。オーク材を使った「こころがスイスイおよぐ」茅ヶ崎 Tさんのようなイメージの食器棚か、ただ、鍋やケメックスなど飾りながら見せる棚、ゴミ箱を入れるスペースのあって食器棚、キッチンボードとしても使えそうな棚を付ける どちらかを希望しています。
スケッチは得意ではないのですが、何となくいろんなモデルを見て見て自分なりのイメージをスケッチしてみました。
吊り戸棚に食器をメインに収納、冷蔵庫上にも棚をつけたいと思ってます。
キッチンカウンター下にはゴミ箱と戸棚と炊飯器起きと米びつ置き、カラトリーをしまう引き出しをつけて、布巾などをしまう引き出し、ストウブの鍋、タジン鍋など、重みや多少高さのある鍋をしまう棚にしたいと思います。
このようなお伝えの仕方で大丈夫なのでしょうか。今一度ご確認いただけたらと思います。」

食器棚は天井まで作らず、上を開けてあります。最近は、このような形にされるかたが増えております。キッチン自体がペニンシュラタイプでリビングから食器棚が良く見える間取りであること、吊戸棚の最上部はデッドスペースになりがちなこと、吊戸棚自体の印象を軽快に美しく見せたいこと、そういう理由でこのような形に落ち着くかたが多いのです。

今回は吊戸棚の下の一部にワイングラスホルダーをつけました。このホルダーもいろいろあるのですが、私たちが良く使うのは、ハーフェレから出ているもの。別のメーカーからももう少し手ごろな値段で出ているのですが、溶接のひずみが目立つので、(使用には全く問題ないのですが)予算を見させて頂ける場合はこちらのものを採用しております。
最初にOさんから頂いていた形は、カウンターだけの食器棚とそのカウンターの上に壁から飛び出ているように見せる棚板をつけたい、ということだったのです。
鍋や食器などをきれいに飾るように並べる棚をつけたかったのでした。
よく雑誌で見かける形は、皆さんとてもきれいに食器たちを並べて使われていますので、とても美しいのですね。
また、きれいに並べられていなくても使いこまれてすり減った棚板に、同じく使い込んだ食器たちが並べられている姿も美しかったりします。
閉じた収納ではない分、取り出しやすいですし。
でも、今までこういう棚が最初から壁についている間取りお客様のお話を伺うと、どちらかというとマイナスなイメージのお話のことが多かったのです。
最初のうちはきれいに並べていても、いつの間にかきれいに並べておくことがたいへんになったり、物が増えて雑然としてしまったり、油煙がうっすらとついてべたつくようになったり。
そうなると、最初から扉をつけておけばよかったなあ、と思ってしまうのだそうです。
この棚板だけがついている形って、あとから取り付けるのは難しくて、新築工事の中で棚板を壁に埋め込んでもらって作る形がほとんどです。(あとからつける場合は、ブラケットのような金物をつけないと荷重に耐えられないことが多くて。)
金物をつけると、板だけがついているというすっきりとした印象から少し離れてしまうし、棚を壁に埋め込んでしまうとやっぱり、棚を止めて箱(吊戸棚)にしたい、となった時に変えづらかったりします。
そのあたりは、そこで暮らす人それぞれの考え方なのですが、今まで聞いたお話ではそう言うマイナスな面も多く聞かれました。
ですので、「棚をつけたいのです。」というお話が出る時は、必ずこの思いを持った方もいらっしゃったとお伝えしているのです。
同じように吊戸棚下の照明もこのようなお話がありました。
それはまた今度。
そうして、Oさんに自分の暮らし方をあらためて見つめ直してもらったのです。
そうしてできたのが最初のスケッチです。
この形をもとにお話を進めることになりました。
Oさん、こちらにいらしてくださった時は奥様お一人でいらしてくださったのですが、変な言い方ですが小柄でとてもきれいな格好をされていて、すごく繊細に暮らしていらっしゃるのだろうという印象でした。(なんだか変な言い方ですみません。)
でも、いろいろとOさんご夫婦の暮らし方、好み、キッチンでの過ごし方などを聞いていくと、とてもパワフルな人なのだということが分かりました。
お二人の趣味がキャンプで、時間があれば野外に出掛けていくそうで、このキッチンで使う食器や道具類も見た目よりも使い心地良いものを、きれいに飾るというよりはガシガシと使っていきたい、という感じが分かったのです。
そういうその人となりが分かるといろんなイメージが固まり始めます。
そうしてできあがったのがこの形でした。
食器棚ってその人それぞれの思いがとてもよく現れます。
設置した日から、あらためてご挨拶に伺った時、Oさんがどれだけ楽しんでキッチンを使ってくださっているのかがよく分かりました。
私たちはやっぱり家具そのものではなく、そこから始まる暮らしを作っていきたいのだって、こういう姿を見るとあらためて思うのです。
ナラ板目の食器棚
価格:680,000円(制作費・塗装費)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は20,000円から、取付施工費は40,000円から)
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