Nさんのリビングボード:スタッフ コバヤシ君の制作日記

2019.02.23

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Nさんのリビングボードの製作を担当しました。
今回吊戸棚にはフリーストップステーという金物を使用しています。今までは、ソフトダウンステーと言って、開けた時は90度でストップして、閉める時は扉から手を離すとゆっくりと自然と閉まる金物を使っていたのですが、このゆっくりしまう動作が行なわれるためにステーの閉まる側にバネが入っているのです。家具を使われるお客さんは女性が多いからか、最初の開ける時にそのバネの重さがストレスになってしまう(毎日の開け閉めで腕が疲れるということでした。)、という話を社長からよく聞いていて、今回はその代替案として、(というかこちらをこれからはメインに使っていくそうです。)フリーストップステーが採用されています。
これは、開ける時はかなり細かく多段階で開けておけて、閉める時は最後まで自分の手で閉める必要がありますが、動作も軽くストレスがほとんどくなく使えるステーなのです。
今回可動範囲を社長がちょっと見落としていたようで、ステーの可動方法を確認したところ、一番上のダボ穴に干渉してしまう事が分かったので一段減らして製作しました。
「すみません・・。」(イマイダイスケ)
フラットな引き戸は、最近取り入れた手掛けの見せ方をしています。突板で作る引き戸なので手掛けの部分を掘り込むとランバーが出てきてしまうため、無垢を埋め込むようにするのですが、その無垢があまり目立たないように見せる納め方です。
以前、ここに居たオークアレイの村上さんと社長であれこれ悩みながら決めた方法だそうです。
格子の引き戸はほぞ組みで製作して、手掛けを突板の引き戸と揃えて、戸車も注意しながら仕込んでいます。戸車ですが、今回のように比較的大きな引き戸になる時は戸の下に車をつけることが多いです。
動きがかなり軽くなりますので。そして、通常はこの戸車のために家具の地板にアルミのレールを埋めるのですが、今回のNさんのように木の持つ表情を生かす仕上げの時はレールは使わないで、無垢材をそのまま掘り込んで敷居にしています。
比較的堅い木を使って作ることが多い家具ですので、(今回のナラも堅いです。)敷居がすり減ることもないですし、印象もかなりすっきりします。
中段の棚は、配線の取り回しがしやすいように、ひな壇で隠れる部分を開口としました。
このひな壇がなぜあるのかというと、今回は家具を新しくするだけで仕上げたかったので、以前既存の家具がついていた時の壁の下地が出てしまうということで、その部分を隠すためのデザインだそうです。
また、ひな壇の延長のように見える両端のサイドパネルは、壁の両端にぴったりとついています。そのままスムーズに設置できれば一番なのですが、通常は壁にも動きがあるので、多少の逃げが必要です。そこで仕上がりでは21㎜厚に見せる部分を、現場で入らなかった時加工ができるようにパネル自体を18㎜で作って、木口部分だけ21mmにみせて3mmの削り代を作っておく形で、現場の歪みに対応しました。
形が複雑で細かい加工も多かったのですが、無事に形になって良かったです。