やりとりしよう

2019.09.26

顔をも知らない皆さんからいろいろとご相談を頂けるというのは、今でこそ慣れ親しんだやり取りになっていますが、よく考えるとすごく不思議なことです。
「キッチンの相談をしたいのです。」そういうふうにいろいろなところからお便りを戴きます。
文章ってなかなか細かいところが伝わりにくかったり、かえって別の意味へと捉えられてしまうこともあったりするので、私はなるべく伝わりやすいようにと絵を描くことも増えてきました。
(メールの文章も相変わらず長いのですが。)
顔もまだ見ない、声もまだ聞かない、どんなふうに暮らしているのかはメールに書かれた手掛かりだけ。
でも、センテンスひとつひとつからなんとなくその人の顔が見えてくるように、線が増えていき、一つの家具の形が現れます。
こういうふうに暮らしてくれたら心地よいかな、こういうふうにこの家具は見えてくるだろう。
そんなことを夢想しながら、半ば年取ってしまった目に老眼鏡を掛けながらMONOのシャープペンシルが紙の上を走っていくのです。
(ハルカとチアキから昨年のクリスマスにSTAEDTLERのシャープペンシルをもらったのですが、手が大きいせいか、ちょっと細身なペンを握ると力んでしまって、線がお酒を飲んだようにグラグラしてしまうことがあるので、MONOとSTAEDTLERを適したところで使い分けながら描いているのです。)
できあがった絵は、次第にその人のかたちになっていくのですが、今はまだ私のもの。
そのようないろいろな形のストックは、もし工房に来てもらえたら無造作に置かれたスケッチブックの中にいつまでもあるのです。