ふたりの食器棚

「タモ板目の引き戸のある食器棚のオーダー」

相模原 M様

design:Mさん
planning:daisuke imai
producer:kenta watanabe
painting:kenta watanabe

タモ板目材を使ったの引き戸のある食器棚

ダイニングから見た時の様子。引き戸の印象って好きなのです。シンプルすぎなくて家具らしさが出ているように思えて。


タモ板目材を使ったの引き戸のある食器棚

吊戸棚を天井までつけない、という考えのお客様が増えてきました。上までは手も届かないし、何よりもこのように半ばオープンなキッチンになるとリビングダイニングから食器棚がよく見えるようになるので、部屋の空間のボリュームによっては、吊戸棚が天井までついていると少し重さを感じてしまうことががあったりするのです。

Mさんは双子であります。
初めてこちらにいらしてくださった時に、髪の長さでどうにか判断できるくらいによく似たお二人でした。
その二人から自分たちが暮らす家のキッチンに食器棚を作りたい、というご相談を頂いたのでした。
どこか映画の中に迷い込んだかのようにお二人のよく似た声や笑顔を聞きながら、見比べながらお話をお伺いしたのでした。
でも、お二人の考え方は少し違うようで、お姉さんがおっとりした印象、妹さんがさっぱりした印象だったように思えます。
妹さんがお姉さんをサポートするような印象だったかな。(違っていたらごめんなさい。)
いろいろとお話をさせて頂いて、まずは最初にMさんから頂いていたスケッチの通りの形で改めて提案をさせて頂きました。
その中でいくつか使いやすそうなアイデアも織り交ぜます。
私が皆さんにこうしてお話する形の妙というのは、そのほとんどが私自身から生まれたものではなく、(そんなに素晴らしい工夫ってなかなか浮かばないものです。)皆さんとお話しする中で、こういう形だったらよい、とか使ってみてこれは良かった、(反対にあまり勝手は良くなかったと言いうことももちろんあります。)というようなお話を自分の中にひとつずつしまっておいて適切な時に皆さんにお知らせしているにすぎません。
だから未だに「イマイさんらしい形ですよね。」って言われると、照れくさかったり、しっくりこない感じがしたりするのですが、そう思ってくださるのはとてもうれしいことですから、ハハハと答えにならない返事をさせて頂いたりしております。

タモ板目材を使ったの引き戸のある食器棚

右側の引き戸を開けた状態。真ん中に仕切り板を入れているので、左右で高さのあるものをしまいやすくしています。あまり大きな食器ばかりではなく細かく収納する場合に有効な方法だと思います。

その、過去に皆さんから頂いた意見の中でMさんが気に入ってくださったのは、「扉を開き扉にするのではなく引戸にすること」と「戸棚の中をあえて細かく仕切ること」でした。

「引戸」についてはもう何回もこの中でお伝えしているかと思いますが、開けっ放しにして作業ができて、見渡しやすいことが大きな利点だと思うのです。
開き扉だと開けっ放しにしておくとぶつかっちゃうし、ぶつからない高さの扉にするとそもそも高すぎて使いにくいし。
広く開けられて、引き戸よりも広く見渡せることが引き戸の魅力だったり、すっきりとしたラインで作れる形のシンプルさが魅力なのですが、私自身もやはり引戸のほうが使いやすくて好きなのです。
でもコスト的に引戸のほうが、溝を突いたり、戸の書き取りや戸車を仕込んだりと開き扉に比べると大変手間が掛かってきますので、その分コストにも反映してしまうのですが、ずっと使っていく心地良さを考えると引き戸の魅力は大きいと思うのです。

タモ板目材を使ったの引き戸のある食器棚

引手は船底形。引手は規格品を使わないで、いつも手作りです。なので、あまり主張しすぎないサイズで作っています。

もう一つの、「中で棚を細かく仕切る」ことについてですが、これは、戸を開けた時に広々と使えることは大きな魅力なのですが、あえてその広いスペースに立てに仕切り板を入れてしまって、その左右で違った使い方をする、という形の提案です。
よくあることとして、ワイングラスをしまいたい、料理本をしまいたい、お盆がちょっとしまえるようにしたい、など少し背の高いものを吊戸棚の中にしまいたいと考えるかたも多いです。
わざわざそこだけ引き出しを深くして下に収納にしても余分な空間ができそうでもったいないですし、吊戸棚の場合にしてもちょっと背の高いもののために全体の棚板の高さを高くしちゃうともったいなかったりします。
そこで、縦に仕切り板を入れて、片側は背の高いものを入れて、もう片側は通常のグラスなどの背の低めのものを入れる、というふうに分けて使うと使いやすかったりするのです。
そこでMさんの引き戸のなかにもタテの仕切り板を1枚多く入れさせて頂きました。

タモ板目材を使ったの引き戸のある食器棚

カウンターはタモの無垢材。引き戸や引き出しの前板などはタモの突板を使って製作しています。

あとの形はほぼスケッチ通りでプランはまとまりました。

さて続いては現地の確認です。
相模原のあたりは、相変わらず賑やかなのですが、ひとつ住宅街に入ると途端に静かに、そして道端で子供たちが駆けまわったりして、少し懐かしい印象に変わっていきます。
Mさんのお宅もそういう静かな通り沿いにあったのですが、近づいてみるととても華やかにお花が植えられていて、ひとめでMさんの家だってわかる感じ。
キッチンに案内して頂いた時もその部屋の様子が欧風の小物たちであふれた可愛らしく優しい空間になっていました。
で、あれどちらがMさんだっけ。
そんなふうに思いながらキッチンに案内して頂くと、しばらくしてさっぱりした話し声が聞こえたので、そうだそうだ、今はお姉さんとお話しているんだった、と思いながら、設置場所を確認させて頂きました。
今回はシンプルな形でしたので、設置も問題なさそうで、実際の設置も順調に終わり、壁もしっかりしていたので、吊戸棚をつけることも難なく完了。

タモ板目材を使ったの引き戸のある食器棚

引き出しの様子。


タモ板目材を使ったの引き戸のある食器棚

引き出しの様子。


タモ板目材を使ったの引き戸のある食器棚

引き出しの様子。


タモ板目材を使ったの引き戸のある食器棚

引き出しの様子。


タモ板目材を使ったの引き戸のある食器棚

引き出しの様子。


タモ板目材を使ったの引き戸のある食器棚

引き出しの一番下は、バスケットが置けるようなスペース。ステンレスのバスケットを採用しようか迷ったのですが、今回はMさんが起きたい、というバスケットのサイズに合わせて開口を設けて、バスケットを引きずっても下面が傷になりにくいようにステンレスを張っています。

後日お邪魔させて頂いて使ったいる様子を拝見させてもらいましたが、うん、Mさんらしい使われ方を見てうれしくなったのです。
家具は「イマイさんらしい。」よりも「その人らしく使われている様子」を見ることがもちろん好きです。

引き戸のあるタモ板目の食器棚

価格:530,000円(製作費,塗装費)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は18,000円から、取付施工費は30,000円から)

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