暮らしかたの思いかた
「オーク板目の吊棚と食器カウンターの制作」
東村山 S様
design:Sさん/daisuke imai
planning:daisuke imai
producer:daisuke hirose
painting:daisuke hirose
「はじめまして、Sと申します。
ウェブサイトの制作例を拝見してとても気に入りました。
キッチン周りのリフォームを考えておりまして、現在キッチンはトーヨーキッチンのアイランド型の白いものに決めております。
キッチンの背面に270cmの収納を考えており、シンプルなカウンターにしたいのですが、デザインと機能性で好みのもの見つからず、こちらの家具に興味を持ちました。
ぜひプランを作っていただきたいと思っております。
近々、工房にも行きたいのですがご対応可能な日はありますでしょうか。
よろしくお願い致します。」
と、Sさんからメールを頂きました。
さっそく日程を調整させて頂いて、こちらにいらして頂けることになりましたが、その前に大まかなイメージを考えておけると良いかと思いまして、Sさんにどのような形を考えていらっしゃるのかをお聞きしました。
そのほうが当日はより具体的なお話もできますので。
「イマイ様、ご連絡ありがとうございます。
スケッチを添付ファイルでお送りします。
私たちは、もともとカントリーな感じは好きなのですが、40代になり今回は落ち着いた雰囲気にしたいと思っています。
購入を決めたキッチンの天板や脚はステンレスが重厚な感じです。
木目で取手のないシンプルな収納であれば、合うのではないかと思っています。
また、気に入っているタイルがあり、壁面に使おうか検討中です。
このキラキラした感じがイマイさんの家具とよい感じに合わせられるかが分からなくて。
よさそうであれば、このタイルを使おうと思いますので当日ご相談させてください。
壁から出ている一枚棚は工務店さんにも相談していますが、壁面はおそらく石膏ボードなので補強工事が必要とのことです。
今週末に工務店さんと打ち合わせをします。
大変恐縮ですがその前に分かる範囲で情報等ご提案をいただけたら幸いです。
よろしくお願いいたします。」
というメールと一緒にスケッチを頂きました。
その頂いた内容をもとに、私のほうで作りやすさと使い勝手を検討してあらためてスケッチを描いて、概算の御見積と一緒に送らせて頂きました。
「イマイ様、早速ありがとうございます!!
詳細な情報もご提案も大変参考になります。
スケッチも素敵です。
吊棚のご提案、とても魅力的です。」
と、さっそくお返事を頂きました。
ただ、予算オーバーでどうしたらよいかを迷っているということでした。
直接こちらにいらして頂く場合、その場でどのくらいの制作費用が掛かるかをお伝えすることはなかなか難しいことが多いです。
私たちの考え方としては、どのくらいの材料を使うかを拾い出して、その家具を何日間で制作できるかという形で見積もっていきますので、細かい加工が増えれば材料も増えますし、加工時間も増えます。
小さな加工でも加工時間が大きく掛かってしまうこともあります。
配線を通す穴を一つ増やすだけでもただ穴を開けるだけではなく、穴の周りもきれいに仕上げないといけなかったり、本棚などを作る時も高さが変えられる可動棚よりも固定棚のほうが返って加工する手間は複雑になったりします。
そのような工夫のしかたを考えていくとその場で「ざっくりいくらくらいでしょうか。」とよく言われるのですが、見当はずれな答えになってしまうこともあります。
ですので、こうして事前に大まかな形と金額をお伝えできるほうが確実で、この時点で大きく予算とかけ離れてしまうようでしたら、東村山から来られるSさんとしても時間を掛けてここまで来るべきかどうかの判断材料になると思いますので。
そして、オーバーと言いつつも予定通りに伺いますとおっしゃってくださいました。
そのように考えてくださっているのですから、どうにか減額できる方法も考えないといけませんね。
そして、いらして下さった当日に、どのような部分でコストが掛かってくるのか、どの部分で減額ができるのかといろいろとお話をさせて頂きました。
市販されている家具のように、このパーツを取るといくら下がりますというような分かりやすさで説明できないため、この部分をこうして作り方を簡素化するとこうなります、というようなかなり具体的なご説明をしながら、コストと使いやすさのメリットデメリットをお伝えしていきました。
そうしておおよそ形がまとまりました。
いよいよリフォームが始まり、背面収納を作るタイミングとしては、「その工事が完了して少しキッチンを使ってみて動線が分かってきてから作りましょう。」というお話にしていたので、そのあたりのタイミングで採寸に伺わせて頂きました。
この動線については、エッセイでも個人的な意見を書いておりますので、興味がありましたら読んでみてくださいね。
例えば、このような感じです。
・no.8 2021/10/14 パントリーについて
・no.232022/5/6 キッチンとの向き合いかた
・no.24 2022/10/4 引き出しの高さについて思うこと
やはり家具というのは暮らしながら必要だと感じるものだと思うのです。
ですので、可能であれば暮らしながら形作られゆくことが望ましいと思いますので、今回のような形はこういうタイミングで作らせて頂けることでより明確な形が分かったということで、当日現地を拝見させて頂きながら良い打ち合わせができました。
もちろん、キッチンのように住み始める前から用意しておかなければいけないものももちろんありますので、そういう形はなるべく形や使い方がイメージできるようにお伝えすることも私たちの大きな仕事です。
リフォーム工事の最中では、こうしたイメージを伝えるコミュニケーションが工務店さんに不足していたそうで、大変困難なリフォーム工事になってしまったというお話もお聞きしたのですが、こうしてSさんの希望される形が無事にできあがって納品後にお話しさせて頂いた中で、今はキッチンも快適に使えているようでこの背面収納との組み合わせがとても快適です、と喜んで頂
けているとのことでうれしく思っているのです。
オーク板目の吊棚と食器カウンター
価格:550,000円(制作費・塗装費)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は40,000円から、取付施工費は40,000円から)