おおきな役割
「ナラ柾目のキッチン背面収納(食器棚)のオーダー」
深沢 H様
design:icaa(アイシーエーアソシエイツ)
planning:daisuke imai
producer:masakane murakami/gaku suzuki/yasukazu kanai
painting:masakane murakami/gaku suzuki/yasukazu kanai
icaaさんから、大きな家具のご相談を頂いていたのでした。
通常、設計事務所さんとのお仕事をさせて頂く時は、設計士さんが考えるその家のトータルバランスがあるので、あまりお客様にお会いすることは少なく、その設計士さんとどうやって政策を進めていくかを考えることが多いのですが、icaaさんの考え方は、家のデザインが整っていることも重要だけれど、家具が機能しないといけないので、きちんと使いやすい形を一緒に考えていく、と言うスタンスで考えてくださっています。
ですので、icaaの皆さんとお話をすると、家具の細かい部分まで直接打ち合わせができるからとても助かります、と言って頂けて、私も大変うれしく助かっているのです。
今回ご相談頂いたHさんの家具も最初は加藤さんと打ち合わせをしていましたが、具体的な部分の検討に入るに従って、お客様と直接お話をしましょう、ということになりました。
そして、Hさん登場。
とてもおおきなご主人をはじめ、お母様と奥様の賑やかにお話しする様子に加えて、元気なちびっ子3兄弟と、とても朗らかなご家族でした。
それで、いろいろとお話をしていくわけです。
「ここはこういう使い方も良いですが、こういう使い方もできます。」
「この素材を使うとこんな感じになります。」
「ここはこういうふうにしたほうが良いでしょう。」
どんなことができるかその可能性をお伝えして、それを良くかみくだいて頂いて、自分の今の暮らしと照らし合わせ、どういう方向にするかを決める。それで、ひとつの形にまとまっていく。
ところところで、ご主人が「コストアーップ!(笑)」と冗談交じりの掛け声が入りながら。
それで、コストが上がってしまっても使いやすい形にしなければ、作ること自体意味を失ってしまう、ということでおおよその形はまとまったのですが、自分が本当に必要な部分は何かをもう一度ご自宅に戻られてから検討して頂いて、今度は私たちのショールームで打ち合わせすることになりました。
そして来て頂いて、私たちのキッチンの仕上がりや木の印象を見て頂くうちに。「いいね、決めた、決めた。」と奥様の目がキラキラし出しました。
そうして、お母様のミニキッチンとリビングの収納を兼ねた大きな壁面収納と、そして、ご主人と奥様とお子さんたちが住む2階の大きなキッチンの壁面収納、そして、両方の部屋にダイニングテーブルと、椅子、そして、キッチンをカバーするように突板でパネルを立てると言った造作までご依頼頂くことになったのでした。
これはこれは気持ちがより引き締まります。
今回の製作は、現場の建築工事がかなり立て込んでいたこともあって、図面で寸法を出した状態で、いわば見切り発車の状態で製作が始まった部分があったため、実際に納まるかどうかとても不安な部分がありました。通常私たちの仕事は、後付け造作家具という、すでにできあがったお部屋のサイズピッタリに合わせて製作することが多いため、その設置場所のサイズは事前にきちんと把握できるのですが、今回は、大工さんの木工事と並行して家具も作り始めなければいけなかったのでした。
しかも、窓枠と絡めて建築と家具多一体になっているように見せる納まりがあったりして、よりシビアな形に・・。
でもまあ、あとは設置の時にうまく対応するしかない、と決めて、逃げられない寸法の部分はある程度余裕をもって現場で調整できるように加工をしておくことに。
そして、いよいよ、取付の日。
都心の狭小地を生かして作ったお宅なので、搬入も大変な部分はありましたが、無事に荷揚げすることができて、出しにくかった床のレベルも調整することでクリアし、一番大変だと考えていた2階のキッチン背面の壁面収納も、照明の取り回しもうまくいって、無事設置できたのでした。ほぅ。
その後も細かい部分をあたらめて伺って無事にお引き渡し。
実は納期的に間に合わなかった椅子の打ち合わせにあらためてお伺いした時も、大変感謝して頂いて、「もう、何でもイマイさんに聞いておかないと。」と奥様。
そして、賑やかなちびっ子たちまで、「イマイさん、イマイさん。」と合唱してくれて。
こういうふうに頼りにされるのはとてもうれしいのでした。
そして、最後の椅子の納品。
「最初は椅子まではお願いするつもりは叶ったのですけれどね。打ち合わせの時に座らせて頂いたあの椅子の印象がとても気に入ってしまって、それで、今回サイズオーダーでお願いさせて頂きました。お店で売られている椅子よりも少し高く思いましたがやっぱり頼んで良かったって思っています。加藤さんの作ったこの家はもちろん大切ですが、この家具たちがあって、この場所があるって気がします。この家にとって、この家具たちやイマイさんの存在が大きな役割になっているのですよ。ありがとうございました。」
いえ、こちらこそありがとうございました。とても楽しい時間でした。
ナラ柾目のキッチン背面収納(食器棚)
費用については、お問い合わせ下さいませ。