りんりんりん
「チェリー板目の食器棚」
東戸塚 K様
design:Kさん/daisuke imai
planning:daisuke imai
producer:hiroyuki kai
painting:hiroyuki kai
Kさんから食器棚のご相談を頂いたのでした。
そのイメージ写真は、木の壁に囲まれた内装空間。
こういう空間はすてきだなあ。
むかし、父がログハウスの雑誌を揃い集めていて、私も何気なくよく見ていた時がありました。
丸太を何本も積み上げて作る家が子供心に秘密基地のように魅力的でしたっけ。
あの頃、よく記事の中で「セトリング」という言葉が出てきていて、「ログハウスでは木が時間が経つと沈んでくるので、2階に上がる階段を設ける時は隙間を作っておかないといけない。」なんて言葉が書かれているのを読んで、なんだログハウスの家って動くのか、不便だなあ。なんて思っていたのですが、今こういう仕事をしています。(笑)
そう、木って動くんですよね。
それはどんなに気を使っていても、その使われている場所に徐々に馴染むようにと動いていくのはとても自然なこと。
・・・よく、木は家具や家になっても生きていますって言う言葉を目にしますが、あの言葉は好きにはなれなくて。自分たちで都合よく切っちゃっているのにそれが何でもないことのように書かれているように思えて。
食料と同じように大切な命を使わせてもらっているのですから、丁寧に使わないといけません。
命は私たちが奪ってしまいました、でも木々は板や柱になっても絶えず動き続けます。
その動き方は、人それぞれ個性があるように木の性質もそれぞれですから、どれほど動かないようにとあれこれ工夫をしてもその場所で一番楽でいられるような形に動くのです。
だから、当然不便もあるでしょう。
それでもなお、実際の温度だけではなく感じられる温かみがあって、それが私たちを惹きつけるのです。
Kさんも同じく、この木の家にされたのはそういう温かみを感じていたいっていう思いがあったのだそうです。
現に食器棚のご依頼を頂いた後に採寸にお伺いした時はまだ工事中だったにもかかわらず、3人のお子さんたちの姿は見えないので、とても陽気にはしゃぐ声が階上から聞こえてきた時には、「やっぱりこういう空間は楽しいのだろうなあ。」と素直に思えましたし。
奥さんもその都度「すみません、子供たちがうるさくて・・。」と施工会社さんにすまなそうにお話されていましたが、やはり楽しそうで。
「すてきですね、こういう空間。」とご主人にお伝えすると、「いいですよね。私も以前までは考えていなかったのですが、こちらのモデルハウスに伺った時にこの感じに一目ぼれしてしまいまして。」とやはりうれしそう。
なかなかこういう木の内壁の家に出会うことは少ないのでどんな食器棚になるか私も楽しみでした。
当日は、どうやら朝からお天気が崩れそうな感じでしたが、広い掃き出し窓があるリビングからキッチンまで余裕があって、またキッチンが1階だったことも幸いして、スムーズに搬入設置ができて無事に制作を担当した甲斐君からも「きれいに納まって喜んで頂けました。」という報告が聞けたのでした。
「イマイ様
本日は荒れ模様の中、設置して頂きありがとうございました!!
9時と言っていたのに、主人が遅れたようですみませんでした。
設置の間、お昼も取らずに、飲み物も取らずに(主人が言うには)トイレにも行かずに、黙々と作業して頂いていたようです。
私も仕事終わりに、どうしても見たくて、行ってきました!!
素敵すぎました!!!
素敵すぎで、「良かったねー!頼んで良かったねー!」と、はしゃぎまくりでした!
木っていいですね。我が家の木材とは違う温かさを凄く感じました!
また、あらためてご挨拶をしますが、まずはメールにて。
本当にありがとうございました!!」
とうれしいご連絡も頂いて無事に完了。
そして、そのあとにあらためてご挨拶に伺わせて頂くことに。
すると、冒頭で描いたようにさっそく不便なこともあるそうでして・・。
食器棚の使い勝手を聞きながら、キッチン周りのお話になった時に、ふとキッチンの周りも縁甲板がふんだんに使われていて、水がちょっと心配ですね、というお話をさせて頂いた時に、キッチンから洗面台のお話に。
やはり洗面台の天板も集成材で作られていて、ハーフベッセルタイプの洗面ボウルが付けられていました。
お子さんがあれほど賑やかだと、洗面の天板まわりもきっと水ハネが気になるのではないでしょうか・・、なんてお話をしていたら、やっぱりもう、そういう状況なので、奥様がなるべく気づいたら拭き掃除をすることを心がけているのだそうで。
「お掃除の時にオイルやワックスを塗って開けるともっと撥水しやすくなるから良いですよ。」
と塗り方をお伝えしている時に、「あのー、イマイさんには全然関係ないことなのですが、トイレのドアが閉まらなく居なっちゃって、これも木の家だから仕方ないのかなあ、なんて思っているのですが、どうにもならないものでしょうか・・。」なんて聞かれたので見てみるとレバーハンドルのラッチとストライクの位置がわずかにずれてしまっていたのでした。
もしかしたら、先日の荒れ模様のお天気などの影響で、建具の枠が動いたか、蝶番が緩んでしまったか・・。
「ちょっと見てみますね。」とストライクのずれの量を測ってみて、建具と枠の隙間を見てみると、どうやら建具の自重が少しだけ緩んでいたことと、枠の多少の動きも出ていたこともあって扉のラッチが掛からなくなってしまっていたのでした。
少し調整すると問題なく作動するように。
それまではトイレのドアが開いてしまってもそのままで済ませていたちびっ子たちも、「おおーっ。」とうれしそうな笑顔。
「やはりこれだけ木の量が多いと、しばらくこの土地の風に落ち着くまではいろいろなところで動きが出てしまうと思います。何かあればご連絡くださいね。」とお伝えして、木々に囲まれた林のようなすてきな空間をあとに帰ってきたのでした。
チェリー板目の食器棚
価格:660,000円(制作費・塗装費)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は20,000円から、取付施工費は40,000円から)