さりげない仕草で

「ナラランダム張り突板とステンレスバイブレーションのセパレートキッチン」

葉山 H様

design:Hさん/daisuke imai
planning:daisuke imai
producer:hideaki kawakami
painting:kenta watanabe

ステンレスバイブレーションとナラランダム張りのセパレートキッチンとガラス引き戸の吊戸棚
写真の奥が階段になっていて、階段を上がってくるとキッチンが表れるという間取りです。今回はキッチンにナラ板目の突板をランダムに張って作っています。ランダム張りも様子もなるべく木目の印象をしっかり見せたいので、八尺用の幅の広い単板を六尺ものに使って突板を作っています。良い色柄です。
ステンレスバイブレーションとナラランダム張りのセパレートキッチンとガラス引き戸の吊戸棚
今回、ダイニングは週のではなく、カウンターテーブルとして使えるように考えております。また、キッチンとダイニングのレイアウトとして、テーブルをコのカウンター部分に差し込んで使えるようにも考えています。
ステンレスバイブレーションとナラランダム張りのセパレートキッチンとガラス引き戸の吊戸棚
シンク側キッチンはアイランドカウンタータイプにしています。収納量は通路を確保する分減りますが、ぐるりと回遊できるのは魅力的です。

湘南に住む方々からのキッチンの依頼が増えてきたように思えるのです。
世間で言われているように、コロナ禍になり始めてからでしょうか、そういうお話を良くいただくようになったのは。
Hさんからもそういうタイミングの中でご相談を頂いたお客様のおひとりでした。

2018年に逗子のAさんのキッチンを作らせて頂いた時にお世話になった施工会社の営業担当者さんからお電話を頂いたのでした。
「以前、Aさんのところを施工した工務店の営業担当のHと申します。実は、今度私たちで逗子に新築戸建てを建てるHさんのキッチンを相談させて頂きたいと思いまして。」というお話で、さっそくHさんとお会いすることになったのでした。

ステンレスバイブレーションとナラランダム張りのセパレートキッチンのスケッチ
こちらは工務店さんの事務所でヒアリングした時に描いたスケッチ。

さっそく茅ヶ崎の事務所にお伺いすると、お久しぶりにお会いするHさんと、まだお若いご夫婦と小さなお子さんが私を迎えてくださいました。
今回のHさんの場合は、大まかなレイアウトは決まっていましたが、キッチンの詳細については今日ここに来るまではまだ何もお聞きしていなくて、工房のショールームの打ち合わせと違って、お見せできるものも限られたサンプルを持参したくらいですので、さてどのようにお話を進めようかなと思いながら、「はじめまして、フリーハンドイマイの今井大輔です。」とご挨拶をさせて頂きました。

「はじめまして、イマイさん。実は、イマイさんのキッチンはウェブサイトでいろいろと拝見させて頂いておりまして・・。」と軽やかに奥様がお話を始めてくださいました。
「ここはもう妻の領分ですから、お任せしますので。」とご主人は、お子さんの子守りに。
なるほど、ありがとうございます。
そうして、奥様からいろいろなご要望を頂くことができまして、ひとつの原案ができあがりました。

ステンレスバイブレーションとナラランダム張りのセパレートキッチンとガラス引き戸の吊戸棚
奥がパントリー。この奥の収納スペースがこれだけあるので、シンク側はコンパクトなアイランドカウンターにしても十分な収納量だったのです。またパントリー内に冷蔵庫や家電を隠すようにして、キッチン周りはすっきり見せています。
ステンレスバイブレーションとナラランダム張りのアイランドキッチンカウンター
こちらがシンク側アイランドカウンターの収納部分の様子。

ただ、キッチンというとそう気軽に決められるものではないと思います。
金額も高価ですし、具体的に思い描いている形が実際はどのようなものなのか、実物を見て判断して頂くことが一番大切だと思いますので、この原案をもとにコストを考えてみて、もしオーダーキッチンでも話が進められる場合は、まずは私たちの形を見てもらうということになりました。
見て頂くことで、Hさんにはそういう気持ちはなかったのですが、私たちがオーダーキッチンを作り始めて約18年になりますが、それでもいまだにキッチンに木を使うことに抵抗を感じる皆さんもいらっしゃいますのでそういうメリットとデメリットを実際に感じてもらったり、引き出しの開け閉めの具合や木の触り心地や天板の使い勝手など実感してもらうことでより理解が深まります。
そういう言葉やスケッチでは伝わりにくい部分をその日はHさんに知って頂いて、こうして正式にご依頼を頂けることになったのでした。

水栓器具はコーラーのシンプライス
水栓器具はコーラーのシンプライスのヴァイブラントステンレスを採用。

今回のHさんの住む町は葉山の小高い丘の上の静かな住宅街。 上棟してしばらく経った頃に現地確認に伺わせて頂きました。 キッチンは2階に設置するということで、搬入経路を見させて頂きましたが、今回に限ってはバルコニーから上げるのはなかなか難しそうですね。 特に今回はHさんの家がバルコニー側は敷地ぎりぎりまで建っていて、そのバルコニーのすぐ下は、Hさんの立地よりも少し下がったところにあるお隣さんたちが共有する私道になっているのでした。 特に監督さんから言われていたのは、この私道の突き当りにお住いの方にいろいろと注意されることがあったそうで、なるべくならこの私道からの荷揚げは行なわないでほしいというお話でして、そうなると階段を利用しての荷揚げとなるのですが、少し回り込んでいく予定の階段だとそれも難しそうです。 そこで、階段を設置する前にキッチンの搬入ができるように監督さんにお願いして工事に入らせて頂けることになったのでした。

ナラランダム張りの印象
シンクはシンプルなスクエアシンク。その下は2段の引き出しにしています。
シンク下の引き出し
シンク下の引き出しの様子。
シンク下の引き出し
シンク下の引き出しの様子。

こうして、制作のスタートです。
今回制作にあたって、2つの注意点がありました。

まずは食洗機。
ちょうど数年前にコロナ禍で食洗機の流通が滞ってしまった時期がありました。
さいわい、ASKOだけは取り扱える状況で、一時期はASKOの食洗機を導入させて頂いたお客様が多かったのです。
国産品はというと、以前から引き出し式のパナソニックの食洗機は人気がありましたが、海外製のものが品薄になったこともあって国産のフロントオープンを希望される方が増えてきていた時期でもあります。
昔は、ハーマン製のものが出ていたのですが、それが無くなって代わりにリンナイから同タイプのものが静かに作られておりました。
そのフロントオープンですが、少し気になるのが、正面のパネルにシルバーや黒の縁が出てしまうのが気になるところでした。
最近の食洗機は、キッチンの表面材と同じ仕上げに揃えられて、まるで食洗機が入っていないように見せることもできるのですが、この縁が少し目立つのでした。
それがこのところリンナイがモデルチェンジをして縁が出ないタイプの製品を発売し始めたのです。

リンナイのフロントオープン食洗機
食洗機はリンナイのフロントオープンのドア面材型。天板をフロート(浮かせる形)にしているので、食洗機の上に一枚補強用の板を入れています。
リンナイのフロントオープン食洗機
食洗機を開けた様子。
シンク側アイランドキッチンの引き出し
食洗機左隣の引き出し、一段目。
シンク側アイランドキッチンの引き出し
食洗機左隣の引き出し、二段目。
シンク側アイランドキッチンの引き出し
食洗機左隣の引き出し、三段目。
シンク側アイランドキッチンの引き出し
食洗機左隣の引き出し、四段目。

ところで、細かいお話ですが、このリンナイのフロントオープンは給排水の接続が少し複雑です。パナソニックもそうですが、国産の食洗機は基本的に食洗機を設置するスペースの中で給排水の配管を行なうように施工書に書かれています。
海外製の食洗機は食洗機が設置されるスペースの隣に給排水スペースを設けます。
メンテナンスの簡便性を考えると、食洗機の下の狭いスペースで作業をするよりもシンクの下などの隣のスペースで作業ができるほうがやりやすいと思いますので、なので、場合によっては国産の引き出し式のものなら直下に配管するのではなく隣のスペースに配管することもあったりします。
話がそれましたが、このリンナイのものは、直下で配管しながらもフロントオープンできるような機構になっているため、食洗機の内部を配管が通る構造になっていまして、配管してくれる設備屋さんとしては、説明書通りに事前配管するのをためらう方もいらっしゃるのです。たしかに実際の食洗機の通り道を見ないで配管しておいて、実際に合わないとなったら設備屋さんもつまらないですからね。
ですので、このあたりは監督さんといつも以上に相談しながら進めていきます。
(今のところは、正面パネルも仕上げた状態で食洗機を仮に設置させて頂いて、設備屋さんに配管位置を実測してもらってから一度引っ張り出して配管をしてもらう、という方法が多かったりします。)

ガラス引き戸の吊戸棚
コンロ側キッチンの上についているガラス引き戸の吊戸棚。当初は普通の板の扉の引き戸で考えていたのですが、横須賀のHさんの食器棚の様子を見てガラス引き戸に一目ぼれしてしまったそうで、この形になりました。ダイニングから見る子の戸棚の表情がとても良いのです。
ガラス引き戸の吊戸棚
引き戸の手掛けはいつも悩むところですが、今回は上下に溝を突きとおすデザインにしています。

もう一つがガスコンロ。
Hさんにショールームにいらして頂いた時に、私たちのキッチンに設置されているIHヒーターの納まりを見て頂いたのです。
本当はグリル付きガスコンロを入れたかったのですが、ショールームには木製品が多いのでなかなか直に火を出すことを躊躇したり、レンジフードをつけることができなかったり、ということでグリル無しのシンプルな三菱の「CS-T34BFR」というIHヒーターを入れています。
代わりに魚焼きグリルがつく部分には分かりやすいように格子状の引き出しをつけています。
この引き出しを開けると、IHヒーターの熱を遮るために引き出しの上に棚板を設けているのですが、その収納の形をご自宅でも実現したい、ということでした。
その形を組み入れて制作を進めていったのでした。

コンロ側の壁付けキッチンとガラス引き戸の吊戸棚
そして、コンロ側キッチンの様子。ちなみに天板のフロートの印象ですが、天板自体は12ミリの厚みで仕上げて、目地部分も12ミリにしています。
調味料用の引き出し
ハーフェレノヴァプロスカラを使った調味料用の小引き出し。
調味料用の引き出し
同じくハーフェレの調味料用のスライドバスケットを採用。
ガスコンロはリンナイの「RD641STS」
ガスコンロは、魚焼きグリルのない、リンナイの「RD641STS]を採用。
ガスコンロ下の引き出し
コンロ下の引き出し上段は開けると中に棚板が一枚入っています。
ガスコンロ下の引き出し
何のための棚板かというと、コンロから出る熱を遮るためと、電池やガス管が出っ張っているのでそれが引き出しにしまっているものとが不用意に触れることが無いようにと入れているのです。ですので、本来は収納用ではないのですが、皆さんうまくものをしまっていることが多いですね。
ガスコンロ下の引き出し
コンロ下の引き出し下段の様子。
コンロ側の壁付けキッチンの引き出し
コンロ左隣の引き出し、一段目。
コンロ側の壁付けキッチンの引き出し
コンロ左隣の引き出し、二段目。
コンロ側の壁付けキッチンの引き出し
コンロ左隣の引き出し、三段目。
コンロ側の壁付けキッチンの引き出し
コンロ左隣の引き出し、四段目。
コンロ側の壁付けキッチンの引き出し
コンロ側キッチン一番左の引き出し、一段目。
コンロ側の壁付けキッチンの引き出し
コンロ側キッチン一番左の引き出し、二段目。
コンロ側の壁付けキッチンの引き出し
コンロ側キッチン一番左の引き出し、三段目。
コンロ側の壁付けキッチンの引き出し
コンロ側キッチン一番左の引き出し、四段目。

こうして、制作が完了したころに現場の状況を伺って、ちょっと時期は早いですが階段ができる前に工事に入らせて頂けることになりました。
現場は、取り急ぎ2階の大工工事は大方終わっている状態で、階段も半ばできあがっている状態で手摺となる壁がないという一番良い状態で搬入させてもらえることに。心配だった長さ2600ミリあるコンロ側のステンレス天板も無事に運び込むことができてひと安心。
無事に設置が完了しました。

後日、お引っ越しが終わったHさんのところにメンテナンスの方法のお知らせとご挨拶を兼ねてお邪魔させて頂きました。 ひと通りご説明した後にご主人が食卓に案内してくださって、いろいろなお話を聞かせて頂いている時に、奥様が自然とにこやかにそして仕草がさりげなくお茶を用意してくださっている姿を見てとても快適に使ってくださっている様子がよく分かりました。
うれしい時間でした。

シンク側アイランドカウンターのダイニング側の様子
アイランドカウンターのカウンターの様子。天板の下には天板が垂れないように幕板を入れています。
アイランドキッチンのコンセント
その幕板で隠れるような位置にコンセントをつけています。
天板 ステンレスバイブレーション
前板・扉 ナラ板目ランダム張り突板
本体外側 ナラ板目ランダム張り突板
本体内側 ポリエステル化粧板
塗装 オイル塗装仕上げ
キッチン仕上げ

ナラランダム張り突板とステンレスバイブレーションのセパレートキッチン

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