実現しなかった家具たち

2025.10.19

たしか、大磯に自邸を建てるというご相談にいらしてくださった設計士さんのキッチンだったろうか。

キッチンまで予算を回すことができなくて実現しなかったけれど、できあがったら雰囲気のある形になっていただろうなあと思いながらよく見ると、つい最近作り上げた川崎のCさんのタモのキッチンの印象がここですでに生まれていたのか。日付を見ると昨年の4月になっている。

へえ、すっかり忘れていたなあ。

そういえば、先日そのCさんのところにお伺いした時に奥様に聞かれたのです。

「イマイさんってどのくらいキッチンを作られているのですか。」

「だいたい平均すると、月2件から3件くらいですかね。」

「それほど多いのですね。そうなると今回の私のキッチンのように大きくプランが変わったり、細かく設計し直したりしていると他のお客様と混ざってしまったりすることはないのですか。」

「そうですね、そうならないように、打ち合わせが終わったら忘れちゃうことにしているのです。」

「ん・・!?忘れちゃう、そうですよね。」

「はは、忘れちゃうというととても失礼な言い方になってしまいますが、打ち合わせで出た内容は図面やメールに書き留めてたら頭のどこかにしまっておく感じで、次のお客様の図面やメールを見ると、頭の中はもうその次の形でいっぱいになっているという感じで。」

「それができなくなると混ざっちゃうことになりますので。」

少しびっくりした表情のCさんも合点がいったようで、なるほど、とおっしゃって頂けました。

しかし、今のボリュームでいっぱいいっぱいかなあ。最近は結構複雑な形がボリュームの大きい形が増えてきているので、これ以上の内容になると自分一人の頭では抱えきれなくなってしまいそう。

だからと言って、形を考えることを誰かに任せてしまってはこの仕事を自分が担っている意味が薄らいでしまうだろうし。

いい塩梅なのかもしれません。