ホワイトオークとコーリアンと渋墨のL型キッチン

2026.03.31

12月と先月とで二期に分けて設置させて頂いたMさんのキッチンの様子を拝見させて頂くためにアキコと二人でお邪魔させて頂きました。

「いつの間にか父がいろいろなものをくっつけてしまって。」と見せてもらうと、冷蔵庫との仕切りにはもうぎっしりフックがついていて、換気扇を隠すオークの幕板にも大掛かりに何かをつけようと細工をしていたのだそうですが、「お父さん、ちょっと待って。」ということで、ここはネジ穴を開けようとしていた鉛筆のしるしの他には時計だけが静かに掛けられておりました。楽しく皆さんでキッチンを使ってくださっている様子がよく分かりました。

お茶を頂きながら、大学時代に受けた中村好文さんの授業の様子を離してくださいました。好文さんのことを聞けることと、このキッチンを見たくてついてきたアキコですから、二人して興味津々。

「課題のプレゼンの時に別荘を建築する課題だったかしら。その時にコンセプトや設計の要などをきちんと説明した時に、最後の総評で私たちに向けて、先生がこうおっしゃったのでした、君たちの内容はとてもしっかりしているけれど色気がもっとほしいよね。」と。

そうかー、なんだか私自身ズシンとくる言葉でした。色気かー、そういうものって私にもないなあ・・としんみり考えてしまいました。

「いろいろなところに出掛けて、いろいろなものを見て、いろんな人と話をして、そういうところから何か生まれてくるものがあるんですよ。」という言葉を頂いたのだそうです。

うん、そう思います。私にも足りないものだなあ・・、と。

その作る人の色、使う人の色、形そのものの色気、その場所、その土地の色、いろいろなものを取り入れてひとつの形が生まれてくるのでしょうから、そういう思いを巡らせる余白のある形を作らないといけないなあ、と。

とても良いお話を伺うことができました、ありがとうございました、Mさん。

帰り道、

「でもね、ダイちゃん。お父さんがあんなたくさんフックをつけてあのキッチンをアレンジして使ってくれていたでしょ。あのような使い方を躊躇なくできる形や、そういう作り手とクライアントの関係を提供できていることがもう私たちの特長の一つなんじゃない。」

なるほど、それもひとつの色気ともいえる要素なのかなとも思えたのでした。