優雅にくるくる回っていられる感じ

「ナラ柾目突板とステンレスバイブレーションの壁付けキッチンと吊戸棚」

鎌倉 Y様

design:技拓さん/daisuke imai
planning:daisuke imai
producer:iku nogami
painting:iku nogami

ステンレスバイブレーションとナラ柾目の壁付けキッチンと吊戸棚
ここは鎌倉の深い緑が隣り合う静かな場所です。冬が来ると少し寒そうな印象がありますが、技拓さんが作る空間は暖かいのですよ。もちろん断熱の性能が良いということもあるのですが、何というか冬を温かく過ごせる気持ちにさせてくれる間の取り方というか、冬眠というか巣ごもりというか温かな言葉が浮かんでくる場所なのです。
ステンレスバイブレーションとナラ柾目の壁付けキッチンと吊戸棚
キッチン全体の印象。今回はYさんのご要望でナラの柾目突板を使っています。柾目材は幅の広く板を取ることができないので比較的幅の狭い単板を並べていくため、このようにストライプ状やボーダー状といった特徴的な模様に仕上がります。

チョークと聞くと、黒板消しを両手に差し込んで勢いよく窓からパンパンとはたいて、「そんなことすると周りが汚れます。」と先生にいわれたことだったり、どうか先生に当てられませんように、なんて願いもむなしく黒板の前に呼ばれて答えを書かされる時にどうして鉛筆だともう少しきれいに掛けるのにチョークというのはがさつな文字に書けてしまうのだろう・・という思いが蘇ります。

私は子供の時から字をきれいに書きたいと思っていて、自分なりにきれいに書けていると思っていました。それはきっと両親のおかげなのだろうと思うのですが、字の書き方なんて二人から習った覚えはないので、どうやら器用に見よう見まねで覚えたのかしら。
でも、父の字は今でもかっこう良いなあと思うし、母の書く数字の「9」はなんて変な字なのだろうと思いながらもそれがきっとすきだったからか、今ではすっかり母の「9」が私の「9」になっている。
ちなみに母の「9」は「p」のような形をしていて、母曰く、「若い時に証券会社で働いていたからね。そこで書くうちにこういう9になっちゃったのよ。」なんて言っていたかな。

ナラ柾目の吊戸棚
今回のYさんのキッチンで特徴的な部分である吊戸棚。吊戸棚の取っ手はYさんの好みのものを取り寄せてくださいました。好きなものを柔軟に取り入れることができるのもオーダーキッチンの良さではないかと思います。
フリーストップステーの上開き扉
吊戸棚の扉はこのように上に向かって開きます。扉には、フリーストップステーと言うご年配の方や女性のように少し力を入れにくい皆さんでも軽く開けられるようなステーをつけています。

なんて話が大きくずれてしまいましたが、技拓さんからお声掛け頂いて実現したのがこのYさんのキッチン。
技拓さんとのお付き合いの始まりとなる記念すべきキッチンでした。
そして、すみません、技拓さん。
私はこの時まで技拓さんのことを詳しく知らなくて、「不思議なお名前のハウスビルダーさんだな。」くらいの気持ちからスタートしたお話だったのですが、今回、このYさんのご相談をくださった技拓のMさんからいろいろとお話を聞かせて頂くにつれて、すてきな考えを持って家作りをされている方々がいらっしゃるのだなあとうれしくなったのでした。
そして、その魅力がよく分かったのがYさんの暮らしの様子を拝見させて頂いた時でした。

ハンガーパイプを使った水切り棚
吊戸棚の下にはYさんのアイデアで長いハンガーパイプを2本取り付けています。写真のように布巾を掛けたり、フックを描けたりすることもできますが、2本のパイプに渡して、板を立て掛けておくこともできます。
ハンガーパイプを使った水切り棚
まな板などを軽く水を切ってここに並べておくのも良い使いかたです。

今回キッチンを制作させて頂いたYさんがご新居を構えるのは鎌倉の山のふもと。
Mさんから「現地に到着するのはなかなか厳しい道ですので、お気をつけて来てくださいね。」と意味深な言葉を頂いていた通りにトラックが通れるのかどうかも分からないよう道が続く場所でしたので、大通りに車を停めて歩くこと20分ほど。
緑に囲まれた狭小な道を抜けると小さな住宅街が表れました。
その中でも特徴的な板張りの現場が丘の先のような立地にぽつりと建っておりました。
可愛らしい現場だ。

「こんにちは。」と技拓の皆さんが迎えてくださる。
さっそく中に案内して頂くと高低差を活かした立地なので庭からの視界が開けていて心地よい。
そして籠れるような空間。
なるほど。
仕上がるとどのような感じになるのかが楽しみな空間なのでした。

棚下照明を格納
また、吊戸棚の地板の一部を底上げして、シンプルな棚下照明を組み込んでいます。

技拓さんとこうして初めてお仕事をさせていただいたのですが、基本的にお施主様とのお話はMさんが担当してくださって、Yさんがご家族皆さんで私たちのショールームにキッチンを見にいらしてくださった時もMさんがお話を取りまとめてくださるので、基本的にMさんのテイストなのですが、どこか温かい形にまとまっていくのです。
これはこのあとの技拓さんから頂いた相談でも同じで、私一人で考える形よりもどこか温かい。
とても良い印象なのですが、私自身がお施主様のことをあまり詳しく知る機会が少ないまま進んでしまうことがちょっと淋しい。

ですので、キッチン納品後にYさんのところにお邪魔させて頂いた時に初めてYさんがとても素敵なアーティストさんだと教えてもらってびっくり。

それはチョークアート。

かつて大きな黒板に筆記していたあのチョークから作品が生まれるなんて豊かな世界。
そういう素敵な感性をお持ちの方に私たちのキッチンを使ってもらえるというのはやはりうれしいです。
お手入れの方法など説明する間もにこやかに話を聞いてくださって、Yさんとはここに至るまではあまり多くをお話する機会を持てなかったのですが、「イマイさんのキッチンのこの印象はとても気に入っていて、使っていて楽しいです。」ととてもうれしい感想を頂くことができてうれしかったのでした。

ステンレスバイブレーションとナラ柾目の壁付けキッチンと吊戸棚
特徴的な吊戸棚と対照的にキッチン自体はシンプルな作りです。食洗機の隣のシンク下は両開き扉、その隣の引き出しは少し深めの3段の引き出し、コンロの下も引き出しで、右端に調味料用の引き出しという鋼製になっています。

Yさんのようにおおらかな心持ちで過ごせる技拓さんの心地よさはどこにあるのだろうと、ひと通り説明させて頂いてひと段落した後にぐるりとこの空間を拝見させてもらって、何となくそのヒントがそこかしこに見えたのでした。
丸くなって寝転がれるような巣のように籠れる空間があちらでもこちらでも。
温かいなあ。
そういえば、技拓さんのウェブサイトに書かれていたのを思い出しました。「余白のある暮らし」という言葉が。
そう、なんだかゆったりしたパンツをはいてポケットに手を突っ込んで優雅にくるくる回っていられる感じ。
心地よいのですよ。

グローエユーロスタイル
水栓器具は、グローエのユーロスタイルを採用。この時はまだ付けていませんでしたが、この水栓の左隣に浄水器がつきます。
シゲル工業のステンレスバイブレーションカウンター
ステンレスカウンターとシンクは一体成型のもので、今回はコストを抑えるためにトヨウラさんのカウンターを採用。ですのでシンクはシンプルなプレスシンク。プレスシンクとはいつもの板金シンクと違って、溶接して作るシンクと違って、金型を使って整形して作るシンクになります。折り曲げて作るため板の厚みが少し薄くできています。カウンターとは溶接してつなげるため、シンクの厚みが熱で歪みが出にくいようにカウンターとシンクのつなぎ目が一度45度で折り曲げられているのが特長です。
新しくなったリンナイのフロントオープン食洗機
食洗機は、この時期に新しくモデルチェンジしたドア面材が取り付けられるフロントオープンの食洗機を採用しています。
ガスコンロはノーリツのプラスドゥ
ガスコンロは、変わらず人気のあるノーリツのプラスドゥを採用しています。
天板 ステンレスバイブレーション
前板・扉 ナラ柾目突板
本体外側 ナラ柾目突板
本体内側 ポリエステル化粧板
塗装 オイルノーマルクリア塗装仕上げ
キッチン仕上げ

ナラ柾目突板とステンレスバイブレーションの壁付けキッチンと吊戸棚

費用につきましては、お問い合わせくださいませ。

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