
優雅にくるくる回っていられる感じ
「ナラ柾目突板とステンレスバイブレーションの壁付けキッチンと吊戸棚」
鎌倉 Y様
design:技拓さん/daisuke imai
planning:daisuke imai
producer:iku nogami
painting:iku nogami


チョークと聞くと、黒板消しを両手に差し込んで勢いよく窓からパンパンとはたいて、「そんなことすると周りが汚れます。」と先生にいわれたことだったり、どうか先生に当てられませんように、なんて願いもむなしく黒板の前に呼ばれて答えを書かされる時にどうして鉛筆だともう少しきれいに掛けるのにチョークというのはがさつな文字に書けてしまうのだろう・・という思いが蘇ります。
私は子供の時から字をきれいに書きたいと思っていて、自分なりにきれいに書けていると思っていました。それはきっと両親のおかげなのだろうと思うのですが、字の書き方なんて二人から習った覚えはないので、どうやら器用に見よう見まねで覚えたのかしら。
でも、父の字は今でもかっこう良いなあと思うし、母の書く数字の「9」はなんて変な字なのだろうと思いながらもそれがきっとすきだったからか、今ではすっかり母の「9」が私の「9」になっている。
ちなみに母の「9」は「p」のような形をしていて、母曰く、「若い時に証券会社で働いていたからね。そこで書くうちにこういう9になっちゃったのよ。」なんて言っていたかな。

なんて話が大きくずれてしまいましたが、技拓さんからお声掛け頂いて実現したのがこのYさんのキッチン。
技拓さんとのお付き合いの始まりとなる記念すべきキッチンでした。
そして、すみません、技拓さん。
私はこの時まで技拓さんのことを詳しく知らなくて、「不思議なお名前のハウスビルダーさんだな。」くらいの気持ちからスタートしたお話だったのですが、今回、このYさんのご相談をくださった技拓のMさんからいろいろとお話を聞かせて頂くにつれて、すてきな考えを持って家作りをされている方々がいらっしゃるのだなあとうれしくなったのでした。
そして、その魅力がよく分かったのがYさんの暮らしの様子を拝見させて頂いた時でした。
今回キッチンを制作させて頂いたYさんがご新居を構えるのは鎌倉の山のふもと。
Mさんから「現地に到着するのはなかなか厳しい道ですので、お気をつけて来てくださいね。」と意味深な言葉を頂いていた通りにトラックが通れるのかどうかも分からないよう道が続く場所でしたので、大通りに車を停めて歩くこと20分ほど。
緑に囲まれた狭小な道を抜けると小さな住宅街が表れました。
その中でも特徴的な板張りの現場が丘の先のような立地にぽつりと建っておりました。
可愛らしい現場だ。
「こんにちは。」と技拓の皆さんが迎えてくださる。
さっそく中に案内して頂くと高低差を活かした立地なので庭からの視界が開けていて心地よい。
そして籠れるような空間。
なるほど。
仕上がるとどのような感じになるのかが楽しみな空間なのでした。
技拓さんとこうして初めてお仕事をさせていただいたのですが、基本的にお施主様とのお話はMさんが担当してくださって、Yさんがご家族皆さんで私たちのショールームにキッチンを見にいらしてくださった時もMさんがお話を取りまとめてくださるので、基本的にMさんのテイストなのですが、どこか温かい形にまとまっていくのです。
これはこのあとの技拓さんから頂いた相談でも同じで、私一人で考える形よりもどこか温かい。
とても良い印象なのですが、私自身がお施主様のことをあまり詳しく知る機会が少ないまま進んでしまうことがちょっと淋しい。
ですので、キッチン納品後にYさんのところにお邪魔させて頂いた時に初めてYさんがとても素敵なアーティストさんだと教えてもらってびっくり。
それはチョークアート。
かつて大きな黒板に筆記していたあのチョークから作品が生まれるなんて豊かな世界。
そういう素敵な感性をお持ちの方に私たちのキッチンを使ってもらえるというのはやはりうれしいです。
お手入れの方法など説明する間もにこやかに話を聞いてくださって、Yさんとはここに至るまではあまり多くをお話する機会を持てなかったのですが、「イマイさんのキッチンのこの印象はとても気に入っていて、使っていて楽しいです。」ととてもうれしい感想を頂くことができてうれしかったのでした。

Yさんのようにおおらかな心持ちで過ごせる技拓さんの心地よさはどこにあるのだろうと、ひと通り説明させて頂いてひと段落した後にぐるりとこの空間を拝見させてもらって、何となくそのヒントがそこかしこに見えたのでした。
丸くなって寝転がれるような巣のように籠れる空間があちらでもこちらでも。
温かいなあ。
そういえば、技拓さんのウェブサイトに書かれていたのを思い出しました。「余白のある暮らし」という言葉が。
そう、なんだかゆったりしたパンツをはいてポケットに手を突っ込んで優雅にくるくる回っていられる感じ。
心地よいのですよ。

| 天板 | ステンレスバイブレーション |
|---|---|
| 前板・扉 | ナラ柾目突板 |
| 本体外側 | ナラ柾目突板 |
| 本体内側 | ポリエステル化粧板 |
| 塗装 | オイルノーマルクリア塗装仕上げ |
ナラ柾目突板とステンレスバイブレーションの壁付けキッチンと吊戸棚
費用につきましては、お問い合わせくださいませ。










