おなかいっぱい

「クルミのキッチンアイランドカウンターとカフェのテーブルとカウンター」

二宮 diary

design:Sさん/daisuke imai
planning:daisuke imai
producer:kouhei kobayashi
painting:iku nogami

二宮diaryさんのカフェ店内の様子
カフェ店内の様子靴を脱いでお店に入ると、この大きなクルミのダイニングテーブルが迎えてくれるのです。右手が厨房になっていてSさんがお一人で切り盛りするとても気持ちの距離が近いのがすてきなところ。
二宮diaryさんのカフェのテーブルとカウンターのスケッチ
最初の打合せで描いたスケッチ。この時はまだタモ材で考えていましたね。テーブルはシンプルな形ですが、壁付けのカウンターは後付けで宙に浮いた印象にする場合、構造をしっかり作らないといけないので、その説明のために描いたのでした。

「はじめまして、Sと申します。50代です。
戸建新築でキッチン用作業台(アイランドカウンター)と、テーブルなどのオーダーについてご相談したくご連絡させて頂きました。
戸建住宅は1月末に設計が終わり、2月から工事着工、6月に完成の予定となっております。
妻と二人で一度お伺いしたいと思っております。
はじめてのオーダー家具なので どこまでがどのくらいで・・というところをご相談したいと考えています。
また、新築物件は二宮町になります。
それではよろしくお願いいたします。」

と、Sさんからメールが届いたのでした。

カフェ店内に置かれたクルミのテーブルとカウンター
なかなか大きな板が見つかりにくいクルミ材ですが、ちょうどこの時期に幅の広いものが手に入ったので、4枚で接ぎ合わせたおおらかな表情の天板を作ることができました。

さっそくいらしてくださったSさん、そのご新居の図面を広げてどのような形を考えているのかをお話してくださいました。
てっきり、ご自宅用の家具とばかり思いこんでいたのですが、お話を伺っていくと、「実は自宅に併設して妻の店をここに設けたいと考えておりまして。」とのことで、これはすてきなことになりそうな感じです。

カフェ店内に置かれたクルミのテーブルとカウンター
壁付けのカウンターの向こうに見えるのが吾妻山。季節によって大きく表情が変わる山肌を眺めながら食事がとれるというのはとても心地よいことです。私がお邪魔した初夏はこうして緑が濃くなっていく時期で緑がカフェの中まで入り込んでくるのでした。

なるほどここがそのお店になるのだな、と興味深く拝見させて頂くと、なるほど、アイランドカウンターのほうはすんなりと進められそうな感じです。

仕切のないリビングダイニングの空間の北東の壁に設置されたキッチン。
そこを空間的に分けられるようにアイランドカウンターを設置する予定とのこと。
形は比較的シンプルで、家電やゴミ箱が隠せて、ダイニングからも収納があるというシンプルな形で、サイズもキッチンからリビングダイニングへご家族皆さんがキッチンを快適に使える通路幅を考えた回遊性を踏まえて少し小さめのサイズで作る形で考えましょう、とお話はまとまっていったのでした。

カフェ店内に置かれたクルミのテーブルとカウンター
Sさんとずっと悩んでいた通路幅とテーブルの大きさ。テーブルは一般的なサイズよりも大きめの900ミリ×2000ミリ。ゆったり座れるけれど、食事を提供する時に不便にならないか、お客様同士のすれ違いに問題はないだろうかといろいろと悩んだのでした。結果としてこの距離感はとても温かな空間作りの要素の一つになったように思えます。

続いては、一緒にご相談頂いていたテーブル。
お店がご自宅に併設されるということで、1階のリビングダイニングの隣がそのお店になるそうで、そこのお客様が座るためのテーブルを考えているということでした。

それではどのような形にしようか、とお店の部分を図面で見せて頂いた時に、これは・・けっこうコンパクトな空間ですね、と少し心配になったのでした。
それを考慮してから、その図面には工務店さんとのやり取りのなかで案が出た角がラウンドしたテーブルの絵が描かれていました。
たしかにその方がひとの行き来はしやすそうだけれど、実際に座って食事がするには狭く感じちゃうかもしれないなあ。
そこで、ちょっと考えます。

カフェ店内に置かれたクルミのテーブルとカウンター
テーブルのデザイン、その1。脚と幕板の形状。私たちのショールームで打ち合わせをする時、最近はクルミの4人掛けサイズのテーブルに座ってお話することが多いのですが、そのテーブルの細かいデザインを見てSさんとても気に入ってくださって、このテーブルにも取り入れました。脚は下に向かうほど細くなるデザインで、足と幕板がフラットに納まる感じ。そして、全体的に柔らかい印象を保つために丸みをつけています。
カフェ店内に置かれたダイニングテーブルの天板
テーブルのデザイン、その2。天板の小口。天板の小口は半円にしないで、平面と小口にきれいに影が出るようにラインを残しつつ、丸みを出しています。四隅も丸みを出して、全体的に上品な印象にまとめました。
カフェ店内に置かれた窓際のカウンター
テーブルのデザイン、その3。壁付けのカウンター。こちらのデザインもテーブルと揃えています。幕板がもっと奥まった位置にするか、幕板自体をもう少し小さくするのも良かったかもしれないといろいろ勉強なった部分。

その様子を見て、Sさん、
「やはりこのテーブルを入れるのは少し狭いですよね・・。」とちょっと心配な様子。
「たしかに、ちょっとこの大きさのテーブルを入れると少し狭く感じるかもしれませんね。」と、私。
でも実際に度くらいのサイズ感なのだろうか、と老眼鏡を取り出し、角スケールを引っ張り出して、図面の寸法を測っていきます。
そして、お店の面積を測りながら希望しているテーブルのサイズを書き込んでみます。
そうか、このくらいの幅ならばここはもう少し広く採れてこのくらいの通路幅が取れる・・、椅子がきちんとしまえれば、これでどうだろうか‥、という具合に。
そして、その寸法をSさんと一緒に検討していきます。

クルミとステンレスバイブレーションのキッチンアイランドカウンター
こちらはカフェの中ではなく、ご自宅のキッチンスペースに置かせて頂いたアイランドカウンター。天板はステンレスバイブレーションで仕上げ、木部はカフェのテーブルたちと同じくクルミで仕上げています。
クルミとステンレスバイブレーションのアイランドカウンターのスケッチ
そのアイランドカウンターの原案スケッチ。

「でも、これよりも小さくしてしまうと座れる人数が少なくなってしまうだろうから、それは少し淋しいよね。」とご主人が奥様に後押しします。
「そうよね、できればこのくらいの人数は座れるようにしたいものね。」

そこで、コンベックスを引っ張り出してきて、 「このテーブルがお店のテーブルの端っこだとすると通路幅はここくらいまでの距離になりそうです。ちょっと狭いかもしれませんが通れないほどではなさそうですよ。」
とイメージしやすいように実際の目の前で距離を伝えていくのです。
「ああ、はい、たしかにちょっと窮屈な印象はあるけれども、そんなにお一人で来られる方ばかりではないだろうから、みんなで少し寄せ合って食べるのも温かいかもしれないね。」とご主人。

クルミのキッチンのアイランドカウンターのステンレスバイブレーション天板
キッチン側の収納の全体像はこんな感じ。当初は右端も扉をつけて閉じる予定でしたが、ストレスなく使えるようにと開ける手間を省いてオープンにしました。最近の収納は引き出しのほうが開け閉めしやすいこともあって、引き出しだけになりがちですが、引き出しには小さなものやこまごましたものをしまうには便利ですが、大きなものはわざわざ引き出しに入れる必要もなかったりします。そういう時は高さが調整できる棚にしまうほうがかえって柔軟に使いやすかったりするのです。

ということでテーブルは、無事に当初の予定通りのサイズで作ることに決まりまして、そのお話のなかで、打ち合わせで座っていたテーブルの感じを気に入ってくださって、その素材とデザインに合わせて作りましょうということでクルミで作ることが決まりました。

そのお話が進むなかで、
「クルミのこの表情でテーブルを作るのならば、ほら、工務店さんに用意してもらう予定だったあの窓際のカウンター。たしか集成材って言っていたよね。あのカウンターもクルミで揃えてもらうほうが良いよ、やっぱり。お店の顔になるところでもあるし。」
とご主人がさらにすてきな言葉で後押ししてくださいました。

ということで、お店のほうはテーブルとカウンターをお揃いで作らせて頂くことになったのでした。
それにしてもすてきな会話です。

クルミのキッチンのアイランドカウンターのオープン棚の収納の様子
キッチン側の収納の一番右はオープン棚。生ごみ乾燥機やミキサーが置かれています。

そのお店、いったいどんなお店になるのだろう・・。
駅からそれなりに距離もある立地ですし、お店の規模も小さくて、奥様が「今度は一人でやってみようと思っていまして、まだまだなれないだろうからいつから始めようか検討中なのです。」とおっしゃっていたので、趣味のようなお店でなんとなくぽつぽつと訪れるお客様がいらっしゃるくらいならこのくらい大きなテーブルでもゆったりできるのではないだろうか、なんて勝手に思ってしまっておりました。Sさん、すみません・・。

クルミのキッチンのアイランドカウンターの引き出しの様子
中央引き出しの様子、1段目。
クルミのキッチンのアイランドカウンターの引き出しの様子
中央引き出しの様子、2段目。
クルミのキッチンのアイランドカウンターの引き出しの様子
中央引き出しの様子、3段目。
クルミのキッチンのアイランドカウンターの引き出しの様子
中央引き出しの様子、4段目。

ところがそのお店、いろいろとお伺いするうちに、とても素敵な場所だと分かったのでした。
以前は「食堂カフェ daily」というお名前で中央林間で開いていたのだそうで、その様子を映していた写真を拝見させて頂くと、何とも美味しそうなごはん。
カフェというよりは、その名の通り食堂だ。
そういう奥様のお料理が頂ける場所のテーブルなのか、いまさらながらうれしくなってきたのでした。

そう考えると、軽くお茶を飲みに来るくらいならこの大きさでも邪魔には感じないだろうと思っていたのですが、しっかりご飯を食べるとなると、もう少し人が集まる時間が重なりそうだから、テーブルをコンパクトにしないと行き来がしづらいかもしれない‥、なんて私自身思いが少し揺らいだところもありましたが、Sさんの寄せ合って温かい印象で使うというイメージが大きく気持ちを動かしてやはり大きなテーブルにすることが良いだろう、とあらためて気持ちが固まったのでした。

クルミのキッチンのアイランドカウンターの引き出しの様子
ゴミ箱上の引き出し。
クルミのキッチンのアイランドカウンターのゴミ箱スペース
左端にゴミ箱を置くスペースを設けています。Sさんはプッシュ式のゴミ箱を使っています。どこのメーカーか聞いておくのを忘れました・・。

そうした気持ちの揺らぎがありましたが、やはりこの大きさにして正解でしたね。

納品後に、あっちに脚を逃がして、こちらから頭を突っ込んでと、どうにかやり繰りしながら無事にお店の中に搬入設置できたテーブルを見て、あらためてそう思ったのでした。
Sさんとも温かな空間になりそうですと、うなづき合って。 ふと見まわすと、先日入荷したというピカピカのコールドテーブルも厨房に置かれていて、間もなく調理機器たちも揃うのだそうで、「もうしばらくしたらお店のことをきちんと進められそうです。」とうれしいお知らせを頂いて。

クルミのキッチンのアイランドカウンターの側面にコンセント
側面には調理家電を使う時のためのコンセント。パナソニックの可動間仕切用新金属プレートを採用。

そして、その年の秋にお店がオープンされたとのことで、いつか行こう行こうと思っておりましたが、ようやく納品してから10か月後の初夏にお伺いすることができたのでした。

そのお店の場所は吾妻山が見守る街道沿いの静かな場所。
少し早く到着してしまったので、車内で待っているとコンコンと窓をたたく音。
見上げると「お久しぶりですね。」と、Sさんの笑顔。 ワイワイとアキコと二人で上がらせて頂くと、すでにお客様もいらっしゃっていて、予約しておいてよかったとアキコと顔を見合わせます。
追加で用意したというスツールはinuit furnitureさんのものということで、先日お会いした犬塚さんのお話をしたりとなんだか友人の家に招かれたような温かな空間。Sさんの雰囲気がそうさせてくれるのでしょうね。
やはりテーブルは大きめだけどよいね、なんて思いながら、どんな感じが座ってみたいところでしたが、テーブルのほうはこれから大人数のお客様がいらっしゃるのだそうで、カウンターに案内してくださいました。
いろいろなところでこのお店の名前「diary」の名前を聞く機会も増えてきましたからね、大賑わいですね。

クルミのキッチンのアイランドカウンターのダイニング側の形状
リビングダイニング側の様子。Sさん、ケーブルを引っかけるフックを天板にくっつけていますね。マグネットのように見えますが、私たちの作るステンレス天板はSUS304で作りますので、磁石がつかないのでテープで止めて使用されています。時々キッチンのレンジフードでもこのお話が出ることがあります。レンジフードにマグネット式のキッチンタイマーやフックをつけたいけれど、アリアフィーナのレンジフードだと主要なフードが「磁石がつかないので、そこが最初は慣れませんでした。」と。その代わりサビが出にくいのがメリットですので、どこを優先するかその人の暮らしかたで考え方が変わる部分ですね。
クルミのキッチンのアイランドカウンターのダイニング側の引き出しの様子
引き戸の上の引き出しの様子。
クルミのキッチンのアイランドカウンターのダイニング側の引き戸の様子
引き戸の様子。引き戸は戸の下に戸車を埋め込んでいるので、軽く開け閉めできます。また、敷居はアルミや真鍮のレールを使用せずにクルミをそのまま彫り込んでいるので、とても温かな印象に仕上がっています。ここに金属が入ると少し冷たく見えてしまうことが多かったりしますので。
クルミのキッチンのアイランドカウンターのダイニング側の引き戸の様子
引き戸の内部も食器たち。内部は掃除がしやすいように白いポリエステル化粧板を使っています。

ということで座らせてもらったそのカウンター。
お店で使うカウンターということでけっこうがっちり作ったのですが、幕板をもう少し小さくして足元に余裕を持たせてもよかったかなあ、でもこの長さだとこのくらいの幕板がないと変に垂れちゃうといやだなあ、でも私みたいに体の大きい場合は足がもう少しであたりそうだ、実際に座ってみて勉強になりました。

なんていろいろと考えていると、大人数のお客様もいらっしゃって、賑やかな店内。お隣さんの会話も後ろの団体さんの会話も自然に入り込んできて、みんなが寄せ合って賑やかにご飯を食べる、という、気が付くとまさにご主人がおっしゃっていた温かな空間になっていたのでした。

二宮diaryさんの野菜たっぷりのランチ
カフェで頂いたお昼ごはん。どのお料理も味がしっかりしていて、野菜がメインのお料理だけれど、大男の私でもしっかりおなかいっぱいになりました。ご飯の上に載っていた漬物(スパイス)は何だったっけ?とても食欲が出る味わいだったなあ。美味しかったです、ごちそうさまでした。

そして、おまちどうさまのごはん。
いろいろな野菜たちがどれもしっかり味わいの異なる美味しさで、食べていて楽しくなるご飯でした。
メインのお肉料理もしっかりしたボリュームでとてもさわやかな美味しさ。ご飯がちびっ子用の茶碗なのかもというくらいのコンパクトな感じに見えたのですが、食べ終わってみるとおなかいっぱいになっていたのでした。
美味しかった、ごちそうさまでした。

今日は、食べられなかったケーキを今度は楽しみにしてきますね。
Sさん、ありがとうございました。

【daily】
https://www.instagram.com/cafe_daily2019/

クルミのキッチンアイランドカウンターとカフェのテーブルとカウンター

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