
継いで、色を変えながら
「ホワイトオークとシーザーストーンとステンレスのセパレートキッチン」
あざみ野 T様
design:Tさん
planning:Tさん/daisuke imai
producer:iku nogami
painting:Tさん

建築設計のお仕事をされているTさんからキッチン周りのリノベーションのご相談を頂きました。
私たちは、なぜか設計士さんや建築士さんのご自宅のキッチンを作らせて頂く機会が多かったりします。
自分でもどの部分を評価いただけているのか確信が持てないのですが、いろいろな作り方に対して柔軟に対応できる点がお話しやすいと思って頂けているのかもしれません。
皆さんからお話を聞くと、「これはできてもこういう微妙な部分は対応できない」とか「レスポンスがよくなくて話が通じにくい」などという声を聞くことがありましたので。
いずれにしましても、声をかけて頂けるということはとてもうれしいことです。
良い形を目指して頑張ります。

そのTさん、普段のお仕事では住宅よりも大きな建築を手掛けることが多いのだそうで、住宅を手掛ける施工会社さんとのつながりも少ないということで、今回リノベーションをするにあたってはまだ施工会社さんも決まっていなかったのでした。
それなら私たちとしてもやりやすい会社さんが良いと思いまして、いつも一緒に仕事させてもらっているkotiさんにお願いすることに。
【ATELIER CHIYODA】
https://www.atelierchiyoda.com/


この家はもともとやはり設計のお仕事をされているご両親が建てた家だそうで、築年数がだいぶ経っているので、キッチン以外も少しずつ手を入れていく必要があるのだそうです。
「やはり、父が建てた家ですので、その手の跡は残せる部分は残していきたいと思っています。愛着がありますし。でも、緑の扉はもうよいかなと思っていて。」とはにかみながらTさん。
なるほど。でもとても良い緑色なので、どこか部分的に残っていったら、すてきだなあ、なんて思いながらお邪魔させて頂いた室内をぐるっと見渡します。
「全部の工事をお任せするのではなくて、なるべくは住みながら自分たちで手を加えていこうと考えています。ただ、仕事も慌ただしくなってきているので、どこまでできるか読めなくて。それでもキッチンだけは良い形にしたくて、よいメーカーさんを探していて、それにイマイさんに目が留まりました。」
うれしい言葉です。
「それから、キッチン以外にも自分たちでは難しいと思っている部分がありまして。」と言ってTさんが指さしたのが、室内のくすんだ白い壁。
「この壁は当時のままなので、かなり色があせたり変色しているのできれいに塗り替えたいと思っているのですが、何しろ入り組んでいる建築なので、自分たちでは難しいと思っていまして。」ということで塗装屋さんも探しているのだそうです。
それならということで、私の弟が塗装業を営んでいるので声をかけることに。
実は、弟は若いころはなかなかの勉強嫌いでして、早くから働き始めていて、もともとはこのフリーハンドイマイで私よりも半年前から入社していた工房では先輩にあたるのですが、数年後にここを出て、大工として数年働いた後に外壁塗装の仕事につき、今は独立して県央地域を中心に塗装の仕事で飛び回っております。
「私が言うのもなんですが、彼の仕事はとても良いですよ。」とTさんにお伝えして、後日ユウに見てもらうことになったのでした。
今回Tさんの室内の壁の一部がジョリパッド(だったかな)仕上げのところがあり、一部と言っても室内のジョリパット仕上げの部分をすべてとなるとかなりの面積で、さらにはけっこう入り組んだ設計になっていて、塗装に手間がかかりそうなのでした。
もともと私よりも細かい性格の弟なのでそのあたりは安心して任せて、内部足場を掛けたりする必要があったので、まずは塗装が終わったタイミングでkotiさんの解体が始まる、というスケジュールで進めていきました。

キッチンのプラン自体はTさんが細かい部分も含めてプランニングされていましたので、私のほうではその形が制作可能な形に置き換えることと、現地できれいに納まるように調整することが今回の主な役目でした。
そのメインのプランニングはできあがっていたわけですが、今回は板張りの壁にキッチンを設置する形になるので、出っ張り引っ込みの具合を調子を見ながら寸法を決めていったり、キッチンとダイニングにまたがるシンク側のキッチンはそこに存在する床の段差をどのように吸収したらきれいに納まるのかなど、頭を悩ませる点が多かったのでした。
さらにはその納まり以外にもなかなか悩ましい点がありました。

それは塗装の仕上げ色についてでした。
Tさんの希望としては、キッチンの天板をグレー色で作りたいのでキッチンの表面も同じような色で整えたいということでした。
ただ、ウレタン塗装で仕上げるとかなり塗装のコストが上がってしまうため、これを自然塗料のオイルで表現したいという方向になったのですが・・。
オイルの着色仕上げというのは、簡単に均一に塗ることができるように思えますが、同じ塗料でもロットが違うと微妙に色は異なりますし、その突板の状態や素地状態での仕上がりに色の乗り方が大きく左右されます。さらに突板と無垢材では色の乗りが全然違うので、刷毛塗りで仕上げるオイル塗装で着色仕上げにするというのはけっこう大変で、イメージピッタリの仕上がりにすることがなかなか難しかったりします。
さらにTさん、メーカーのオリジナルカラーから少し色を変えたいということで、2色のオイルを混ぜることを考えていたのだそうです。そうなると必ず色ムラが出てきます。その色ムラを木の吸い込み具合の「味わい」と見るか、「仕上がり不良」と見るかはそのひとの感覚に依ってきますので、うーん、難しいところです。
Tさんにそのようなお話をしていると、「ちょうど床も自分で一度研磨してきれいに塗ろうと考えていたので、キッチンの塗装も自分で納得する色になるまで塗ってみます。」ということでご自身で塗装して頂くことになりました。
そうして方向がすべて決まったので制作が始まります。
キッチン周りのリノベーションは、基本的に1週間から2週間ほどの短期間で済むことが多いです。
キッチン自体の制作は1ヶ月から1.5ヶ月ほど掛かることがありますので、今回も現状の様子で採寸させて頂き、先行して制作に取り掛かる形かと思っておりましたが、Tさんの現在の住まいは別にあって、このご実家は空いている状態でしたので、一度kotiさんに入って頂いて、現在のキッチンを撤去して頂いてからあらためて採寸することに。
このほうが壁や床の納まりがはっきり分かりやすいので大変助かります。
リノベーションの多くは、古いキッチンを解体する時点で既に新しいキッチンがほぼ完成していないと間に合わないというスケジュールが多かったりしますので、ほっとしたのでした。

そして、キッチンの制作がほぼ完了したタイミングで、ひとまず納品することに。
ユウに連絡を取ると、「うん、無事に終わって、とても喜んでもらえたよ。天井の見切りの形がちょっと複雑で手間取ったけれどきれいに言ったと思う。残った塗料はTさんに私ってあるけれど、何かあったら言ってね。」と、しっかり終わらせてくれたようで、足場も取れてすっきりした空間に持ち込ませて頂くことに。
ちょっと心配していたシンク側のシーザーストーンの搬入も無事に室内に運び込むことができてひと安心。
今回のようにシーザーストーンをそのままの厚みで見せる場合は、補強の板を入れにくかったりして、過去に2回ほど割ってしまったことがありましたので・・。
そうして、すべての納品がひとまず終わりましたら、そこからTさんが塗装を開始。
今回のリノベーションは、Tさんがご自身の設計の仕事と並行しながら行なうということでしたので、きっとしばらく時間がかかるかなと思っていたのですが、Tさん、早々塗装してくださったようで、「イマイさん、塗装終わったので、お時間を見て設置しに来て頂けますか。」とほどなくして連絡が入りました。
「もう、塗り終わったのですか。早いのですね。」ということで再びお邪魔させて頂くと、きれいにグレーに塗られたキッチン。
「すごくきれいに塗りあがっていますね。大変だったんじゃないですか。」
「そうですか、少し手間はかかりましたけどうまくいきました。」とうれしそうなTさん。
そして、いよいよその完成したキッチンを据え付けていきました。
やはり築年数がたつ空間は歪みがそれなりに出ているのですが、それを吸収できるように作り方に逃げを取っておいたので、無事にきれいに設置することができました。
そのあとに再びkotiさんに入って頂いて、水道やガスや電気をつなぐ工事をしていただいて、無事に完了。

そして、間もなくご家族みんなで引っ越してこられてひと段落した頃にメールを頂きました。
「イマイ様、いつもお世話になっております。
返信遅れてしまい申し訳ありません。
いろいろ仕事でバタバタしておりまして、とりあえず住み始めて2か月経っているのですがまだ家の中が整理できていない状況ですが、総じて新しいキッチンでの生活、満足しております!」
うれしい言葉、ありがとうございます。
後日、お手入れ方法について説明させて頂くためにお邪魔させて頂くと、公園に遊びに行っていた奥様と遊び疲れて顔を赤くほてらせたお姉ちゃん、お兄ちゃんがちょうど戻ってきて、奥様が子供たちの服を直している間にTさんが麦茶を入れて、ほてった二人に飲ませていたりと、みんなが自然にここにいる様子をふと見ることができて、うれしくなったのでした。
Tさん、ありがとうございました。
| 寸法 | シンク側:幅3,000(2,070)ミリ・2,340ミリ/高さ900ミリ/奥行1,200ミリ 吊戸棚:幅1,970ミリ/高さ450ミリ/奥行450ミリ コンロ側:幅4,715ミリ/高さ900ミリ、2,300ミリ/奥行650ミリ |
|---|---|
| 天板 | シンク側:シーザーストーン「4003 スリークコンクリートマット」 コンロ側:ステンレスバイブレーションシカル曲げ仕上げ |
| 前板・扉 | ホワイトオーク板目突板 |
| 本体外側 | ホワイトオーク板目突板 |
| 本体内側 | ポリエステル化粧板「グレー」 |
| 水栓器具 | KVK[KM6091SCECM5] |
| 食器洗浄機 | BOSCH[SMI4MDS016] |
| ガスコンロ | ハーマン[DW35S9JTKSTED] |
| ガスオーブン | ハーマン[DR601CST] |
| レンジフード | アリアフィーナ[BAR-903S4] |
ホワイトオークとシーザーストーンとステンレスのセパレートキッチン
費用につきましては、お問い合わせくださいませ。



















