
緑かかった
「ステンレスバイブレーションとチェリーのキッチンと背面食器棚」
さいたま F様
design:Fさん/daisuke imai
planning:daisuke imai
producer:hideaki kawakami
painting:daisuke hirose
埼玉県にお住まいのFさんから長い長いメールでご相談を頂きました。
「フリーハンドイマイ 今井さま
約1年前に食器棚制作のご相談をさせていただいたさいたま市のFと申します。
その後かなりの間ご無沙汰をしてしまいまして、誠に申し訳ございません。
当時は、一応希望のカタチをお示ししたものの、自分の中で納得しきれていないところがあり、改めて全体を一から見直し、考え続けておりました。ここに至り、ようやく自分なりの求める形が見えてきたので、またご連絡をさせていただいた次第です。
また、キッチンの方も、設備メーカーのシステムキッチンを入れる予定であちこち見て回ってきたのですが、どうしても納得のいくものがなく、ダメ元で一度オーダーの可能性を検討できればと考えています。
つきましては、添付ファイルのイメージのキッチンがそもそも実現可能か、もし可能であれば、概算の金額を教えていただけましたら幸いです。
ずっと決めきれなかったひとつは、ごみ箱の位置でした。
1階ででた燃えるごみは、我が家は基本的にすべてキッチンのごみ箱ひとつに集約しているので、食器棚やシンク下にあると、ちょっとごみを捨てたい時に、キッチンには用がない場合もわざわざ回り込むことになってしまい、使い勝手にギモンがありまして。
また、風呂を少しダウンサイジングし、キッチンとの間の壁厚を利用して奥行きの浅い棚(パントリースペース)を作り、その下半分をオープンにして、ごみ箱スペースにとも考えていたのですが、それだと勝手口への通路を挟む分シンクから若干遠くなり、スムーズな動線ではない気がしていたのです。
ずっとしっくりしない気持ちを抱えながら、あるときふと今井さんの制作例を眺めていた時に、「素直な家」横浜のIさんの画像が目に留まりました。たまたま、自分が新調したいと思っているシンプルヒューマンのごみ箱が写っていたからなのですが、ふと、ダイニングとキッチンの動線が交差する位置ならいいかも!とイメージが浮かび、添付の図に落としてみました。
本当は、シンプルにキッチンの天板の端はごみ箱の上に持ち出さないほうが、構造的にも無理がなくてベターなのだと思いますが、ちょうどそのでっぱっている天板部分に幅の狭い水切りかごを置くことで、作業スペースをより無駄なくとれるという目論見です。
なお、ダイニング側から見たときに、カウンターの左端から2、3センチごみ箱が出っ張って見える程度は、許容範囲かと考えています。
1点懸念があるとすれば、Iさんのごみ箱、かなり高さが天板下ぎりぎりのように見えるのですが、やっぱり一度ごみ箱を引き出さないとふたを開けられないのでしょうか?(そのための台車?)
全開とはいかなくてもせめて定位置で使えないようだと、やはり使い勝手的には厳しいかもしれません。その場合、別のごみ箱を探すまでなのですが、奥行もしくは幅が薄くて、容量40リットル以上で、美しい形のごみ箱というのが、なかなかなくて・・。
また、もうひとつが、鍋の収納場所でした。
今井さんの制作例でも、よくコンロ下にスライドワイヤーシェルフを取り付けられていて、使いやすそうでいいなあ、と思うのですが、我が家はコンロ下にオーブンを入れたいので、どうしてもその位置に入れることができず、残念に思っていました。
まな板や鍋類、ボウルなどは、できればワイヤーシェルフにラフにしまうのが使いやすいと思うので食器棚側への設置も検討したのですが、やはり食器棚は、できるだけ食器の収納スペースを確保したいので、ちょっと違うかなと。
システムキッチンのシンク下引き出しだと深すぎて結局重ねてしまうことになってしまうし、鍋の形状がバラバラなので、横に立てて収納するのも何だかしっくりこず、すっかりキッチン迷子になっておりました。
この問題を解決するための方法として、ワイヤーシェルフをシンク下につけることはできないでしょうか?
これだけのたくさんの制作例の中にそのような取り付け方をしているものが見つけられないということは(ただの私の見落としでしたらすみません)、何かしら問題があってできない(ちょうどよい幅の製品がないとか?)ということなのかとも思うのですが、私にとっては一番しっくりくる収まりなのです。
先ほどのIさんのように、ワイヤーではなく、スライド棚を入れるというのもありだと思うのですが、まだ湿っているまな板なども気軽に放り込みたいので、できることならワイヤーがベストに思われます。
そして、あくまで上記の課題がクリアできれば、という前提ですが、食器棚の形ももう少しシンプルな形にできそうです。
当初は、鍋などを収納できるよう一部が天板から立ち上がる形を希望していましたが、鍋を収納できる場所をキッチン側に確保できるのであれば、完全なセパレートでも大丈夫なのではないかと思います。
当初は、どちら側を天板からの立ち上がり収納とするか悩んでおりまして、冷蔵庫側は、側面にマグネットがつけられ、細かい調理道具を吊るせるメリットがあるので、勝手口側とも思ったのですが、風呂側の壁をパントリースペースにした場合、天板の上にいったんパントリーからとったモノを置く、という動線が想定され、そうすると結局はこちら側も天板はフラットになっていた方が使いやすく、勝手口に視線も抜けるのでスッキリして気持ちがよいような気がしたのです。
吊戸棚は、現状のハコを活用するという案も出させていただいたのですが、外したものを持ち込んだり、工期を調整したりという手間やリスクを考えると、あまり現実的ではなさそうなのと、これは完全に好みの問題ですけれど、4枚扉だとちょっとおデブさんで野暮ったいような気もして、5枚扉の方がすっきりバランスが良いように思うので(実物があれば見比べてみたいのですが)、やっぱり作っていただく方向で考えたいと思います。
下の収納は、吊戸棚の扉4枚分(約1450ミリ)を、引き出し4段(1段目は浅め、2段目、3段目はほどほど、4段目は深め)×2列、扉1枚分(350ミリ)を炊飯器・パン焼き機・米櫃などを置くスライドレールづきのオープン棚2、3段で。
予算との兼ね合いによっては、ただのオープン棚でもよいのですが、間口が広くないので、奥のものを出すときに、いったん手前のものをどかさなければならず、ストレスを感じるかもしれません。
ただ、できるだけ食器の収納スペースを確保したいので、そちらは間口をそれ以上広げたくないのです。
扉とラインを合わせることにこだわらなければ、純粋に必要な幅としては300ミリで十分なくらいです。
もし、キッチンが希望の形では難しい(寸法的にも、かなりシビアな気はします・・)、もしくは大幅に予算オーバーだとすると、またそれなりのお時間をいただいて、もう一度全体を練り直すことになりますが、少なくとも食器棚を今井さまにお願いしたいという思いは変わらないので、どうぞ気長にお付き合いいただければ幸いです。
改めてどうぞよろしくお願いいたします。」
私も負けじと長いメールをお送りします。というのは大げさで、質問に答えていくとおのずと長い文章ができあがってしまって、皆様には覚悟頂くことが多いのです。
でも最近、ご相談事にこのようなことを心配されているお客様がいらっしゃいました。(話がそれてすみません・・。)
「納得して内容確定するまでのプロセス(何回ほど修正可能か、など)はどのようになりますでしょうか?
もし追加で設計料等がかかる境界がありましたら事前にご教示いただいた方が、お互いに気持ちよくご相談させていただけるかと思っております。」
たしかに、私たちのウェブサイトを見ても、例えばほかのオーダーキッチンメーカーさんや家具屋さんの家具作りの流れを見てもあまり分かりづらい部分で「ご納得いくまで形を考えます。」と言われても、曖昧ですものね。
それでも、私たちの進め方としては、「ご納得いくまで形を考えます。」というスタンスで進めております。
質問があればその都度メールを頂いて(電話を頂く形でもよいことは良いのですが、熟考して考えを伝えることが難しいことと、記録に残しにくいことからメールでやり取りすることが多いです)分かりづらい部分はスケッチなどで示したりしてお伝えしています。
オーダーという性質を考えると、その場にあるものをお見せして理解してもらえる機会が少ないため、この部分はこのスケッチで、この部分はウェブサイトのここをご覧頂いて、この部分はショールームのあの部分を見て頂いて、と分かって頂くことができるまでそのやり取りを続けていくのです。
過去には、やはり「あれっ、イマイさん、ここはこうって言いませんでしたっけ?」とか「ここはこうなってしまうのですね。」とか「思っていた色とちょっと違うのですね。」ということもあったりしました。
その都度、ここはこうしておくべきだった、ここはこうしよう、と自分の進め方を見直して、今のやり方があったりします。
ですので、「分かりました。これで変更はありません。」というお返事を頂けるまで、何度でも気軽に質問してもらえたらと思っているのです。
お話を戻して、Fさんに長いメールをお送りします。
「F様
フリーハンドイマイの今井大輔です。
ご無沙汰しております。
キッチンと食器棚のご相談ありがとうございます。
前回のご連絡からだいぶ時間が開いてしまいましたため、以前のメールや見積もり等の資料は手元に残っていないため、重複したご質問になってしまうかもしれませんが、キッチンと食器棚野御見積を出すにあたりまして、以下の内容についてご検討のうえお知らせ頂けますと助かります。
【1.ゴミ箱について】
シンプルヒューマンのウェブサイトを見ると、40リットルのゴミ箱はフタを全開すると775ミリになるようです。
キッチンの天板下から床までで790ミリほどが確保できれば、問題なくフタを開けることができるのではないかと思います。
天板が張り出す形になるので、キッチンの高さを850ミリとすると、仮に天板の厚みを20ミリとして、天板の下に張り出す部分の支えとして35ミリの補強材を入れる形でできれば、790ミリ以上の空間を確保できると思います。
ただ、強度的に頑丈ではないので、水切りカゴに食器を入れる程度の重量なら大丈夫だと思いますが、重いお鍋を何台もここに置くような形になると、天板右手前が垂れてくる可能性はありますのであらかじめご了承ください。
【2.シンク下のワイヤーシェルフについて】
シンクの下にワイヤーシェルフをつけられるかどうかですが、キッチンの奥行によって変わってきます。
1)私たちがよくコンロ下に付けているスライドして引き出せるタイプのワイヤーシェルフをシンク下に付けたい場合は、キッチン自体の奥行を710ミリ以上にする必要があります。
キッチンの奥行を710ミリにしても問題なければ、こちらを採用することは可能です。
ただ、キッチンが710ミリで対面カウンターは現状のまま活用するとなると、キッチンに立った時に奥行きが深すぎて対面カウンターの先まで手が届かなくなって使い勝手に不便が出るかもしれません。
このあたりについてもご検討ください。
2)スライドレールがついていないタイプのワイヤーシェルフもあります。
こちらのような感じです。
https://www.freehandimai.com/wp-content/uploads/2019/07/20190709003.jpg
ワイヤーシェルフの幅は約600ミリとなります。
このワイヤーシェルフをDIY的に引き出せるように両横に木でパーツを作って、そのパーツに滑らせて引き出せるようにしています。
ただ、スライドレールのような滑らかさはありませんが、今のところこちらのお客様から不具合のご連絡を頂いておりません。
このワイヤーシェルフにする場合はキッチンの奥行を670ミリ以上にする必要があります。
3)スライドレール付きでボックス状になっているワイヤーシェルフもあります。
こちらのような感じです。
https://www.freehandimai.com/wp-content/uploads/2024/08/20240810002.jpg
こちらのワイヤーシェルフは幅400ミリ、450ミリ、500ミリ、600ミリのサイズがあります。
スライドレールがついているので動きは滑らかです。
このワイヤーシェルフにする場合はキッチンの奥行を670ミリ以上にする必要があります。
4)自由なサイズで通気性の良い棚にする場合は、以下のようにステンレスパイプを並べて棚板を作る形でしたら、好きなサイズで作ることができます。
https://www.freehandimai.com/wp-content/uploads/2021/06/kgc013.jpg
こちらの写真は吊戸棚の下をそのようにした写真ですが、この形状で棚板にすることもできます。
ただ、パイプを差し込むために四方ぐるっと木枠が必要になりますので、木枠部分が濡れっぱなしになると変色したり、経年変化で腐食する場合もあります。
コスト的には、(4)が一番コストが高く、その次に(3)、その次に(1)と(2)コストが安くなっていくイメージです。
(1)から(4)のどの形がよろしいかご検討のうえご連絡ください。
【3.調味料用の引き出しについて】
幅150ミリ以内のスペースに白いポリエステル化粧板で引き出しを制作すると、70ミリほどの内寸幅しか取れないのであまり使い勝手が良くないと思われます。そこで、以下の3つの方法があります。1)幅150ミリ以内に納める調味料用の引き出しとなると、以下のようなワイヤータイプのものになります。 https://www.freehandimai.com/wp-content/uploads/2014/11/kamakura-kurashige-009.jpg
2)幅180ミリに少し広げられれば、以下のような引き出しを使うことができます。
「上段」
https://www.freehandimai.com/wp-content/uploads/2023/10/hhy021.jpg
「中段・下段」
https://www.freehandimai.com/wp-content/uploads/2023/10/hhy022.jpg
ただ、150ミリよりも30ミリ延ばすことになるので、そのかわりに外寸300ミリの引き出しを狭くするか、シンク下を狭くすることになります。
ちなみに外寸300ミリの引き出しの内寸幅は210ミリから220ミリくらいの幅になります。
シンク下はシンク自体を700ミリくらいの幅にする形でよければ、30ミリ縮めることは可能です。
3)幅190ミリくらいに少し広げられれば、白いポリエステル化粧板で、内寸幅110ミリくらいの引き出しを作ることできます。
ただ、(2)のように幅300ミリの引き出しかシンク下を40ミリ狭くする必要があります。
(1)から(3)のどの形がよろしいかご検討のうえご検討ください。
【4.シンクについて】
シンクは洗剤ポケットなどが必要でしょうか。それによって見積金額が変わってきますので、ご検討のうえご連絡ください。
【5.食洗機について】
食洗機は浅型の場合に限り下に引き出しをつけることができます。
ただ、この部分に引き出しを設けると80,000円ほどの費用が掛かりますので、そのあたりも踏まえまして、浅型、深型どちらが良いかお知らせください。
【6.パントリーについて】
「風呂側の壁をパントリースペースに」とありましたが、壁を解体してパントリーを作るということになりますでしょうか。
キッチンの解体や、部分的な壁や床の補修工事、キッチンの給排水、ガス、電気工事も考えますと工務店さんにも作業に入って頂くことになるため、壁を解体してパントリーを作る必要がある場合は、その詳細について教えて頂けますと助かります。
できれば、今回お送りくださったようなスケッチとご自宅の平面図があると分かりやすくなるので大変助かります。
【7.キッチン上の下がり壁について】
現在、下がり壁があるということはキッチンの上には吊戸棚がついているということでしょうか。
この吊戸棚を撤去して、下がり壁も取り払いたいということでよろしいでしょうか。
キッチン入り口の下がり壁は、おそらく梁などがあると思われるので取り払うことはできないと思いますが、吊戸棚を撤去して、キッチン入り口の下がり壁くらい高さまで壁の高さを上げることは可能だと思います。
吊戸棚部分の写真などもお送り頂けますと助かります。
以上の【2】から【7】までの6点について、ご検討の上、ご希望をお聞かせ頂けますと助かります。
そのうえで概算の御見積を出してみたいと思います。
それでは、ご検討くださいますようよろしくお願い致します。」
とこのような感じで。


この先もFさんの長い質問が続いて、それに私も長い文章でお答えして、とやり取りが続いていくのですが、やはり自分として一番いけないと思うのは、相手がよく伝わっていないままに物事が進んでしまうことなので、なるべくそのやり取りごとに疑問はクリアにしていきたいと思っています。
(それでも時々忘れてしまうことがあって、ご迷惑やご不便をかけてしまうことがあるのですが・・。)
ですので、メールは長文になりがちなのです。
読んでくださる皆さんには、「イマイさんのメールは分かりやすいけれど、長いから覚悟が要ります。」って言われるくらいです。

言い訳になってしまうのですが、打ち合わせや設計を一人でやっていると、時々まだ見ぬ相談相手の方々2、3人の印象が重なってしまうことがあったりします。
依頼が似ているわけでも、文章が似ているわけでもないのに、あの人とその人のイメージが重なってしまうことがあって、自分でもそれが良いことなのか良くないことなのか分からないのですが、そこでうっかり伝え漏れが起きてしまうことがあったりしました。
これはいけないと、友人の設計士さんにもそのあたりについてどういうふうに取り組んでいるかを伺ったりして、どういう形が最善か悩みながら遅々とした前進をしているというところでございます。
このような長いやり取りを合計70通ほど、35往復ほどしてようやく形が決まりました。
その間に一度ショールームにいらして頂いて私たちのキッチンを見て頂き、実際の触り心地や使い心地を実感して頂いたあとには、その年の冬にリフォーム前の状況や現在のキッチンの使い方などを確認させて頂くためにお伺いしたりと、2年前に初めて食器棚のご相談を頂いてから、こうしてようやく話がまとまったのでした。
![リンナイコンベック[RSR-S52C-ST]](https://www.freehandimai.com/wp-content/uploads/2026/08/sfc020.jpg)
今でも覚えているのは、Fさんのご自宅にお伺いした時の緑に囲まれて生き生きと賑やかな家の周りの様子。
ちょうど年末あたりにお邪魔させて頂いたのですが、小春日和で上着を着ていると汗が出るくらいだったのを覚えております。
そして、そこは冬の最中でも緑で青々とした庭の様子と、うらやましいくらいふくよかに実ったレモンの鮮やかな黄色でした。
「うらやましいくらいの生き生きとしたお庭です。我が家もレモンを植えたけれど、陽当りがうまくなかったのか花は咲いても実がならなくて。」
「あら、イマイさんのところにもレモンがあるのですね。たしかに陽当りが大切だけれど、きっとそのうちなるはずですよ。うちも最初はなかなか実がつかなくて心配しましたから。イマイさんのおうちなら大丈夫。」
なんてうれしい言葉を頂いたのを思い出しました。
そして、Fさんと工務店さんとで先駆けて組み立てた工事予定日が5月ということで、その時期に納品できるように年が明けて間もなく政策を始めました。
今回は、今までキッチンがあった位置に新しいキッチンを据え付ける流れでしたので、年末にまだキッチンがついた状態で採寸した状況でも問題なく制作寸法を決めることができましたので、制作は順調に進みました。
そして、いよいよ工事が始まって今までのキッチンがなくなった何もない状況でもう一度現地確認のためにお伺いしました。
この時期にはすでにキッチンはほぼ制作が完了していたのですが、設置工事当日に何かあってはいけないので、すんなり設置できるかどうか、また配管接続工事を工務店さんに行なって頂けるように打ち合わせしておくためにお伺いしたのでした。
私は、きれいに納まるかどうかすこしピリピリした気持ちでお伺いしたのですが、Fさんとしては、今まで長く過ごしたキッチンがこうして解体されて様変わりしてしまったことでどことなくセンチメンタルな表情。
ああ、いけない。そうですよね。
私に取ってはキッチンを作るというお仕事であっても、Fさんにとってはすごく大切な人生の一場面でした。
そう考えると、私たちはその人その人のとても重要な機会に立ち会わせて頂けているわけで、ありがたいというかすごく何というか大切な時間を頂いているのだなとFさんとお話をしていて実感したのでした。
そして、その3日後に再びお邪魔させて頂きました。
今回はノガミ君とヒロセ君の二人で設置を行ないます。
搬入も無事に終えて、設置については先日現地を確認していたので、とても順調に作業が進んでいきました。ただ、細かい作業があったり、キッチンだけではなく食器棚もありましたので、泊りがけで2日間の工事を行なって無事に完了。
そうそう、埼玉県あたりだと、工房まで往復すると、かえって時間や経費が掛かることが多いので、現地の近くに泊まって朝は早めに作業にかからせて頂くほうが、効率よく、みんなの負担も少ないのです。
最近は東名高速の朝夕が常時渋滞するようになってしまったので、往復時間を考慮するともっと近距離でも泊まることが増えてきました。
このあたりに人口が集中してきているのでしょうかね。
そして、そのあとFさんご自身でオイル塗装を行なって頂いて、「無事に使い始めました。」というご連絡をいただきまして、工事が終わって1ヶ月くらい経った初夏の陽気にあらためてアキコと二人でご挨拶に伺わせて頂きました。
つい先週夏至を迎えたばかりで、日が燦燦と降り注ぐ土曜の昼でした。
打ち合わせの時に実っていた真っ黄色なレモンはどこかに行ってしまって、かわりに青々とたわわに実った葡萄が軒先で迎えてくれました。
「わあ、すてき。」とアキコ。
「最初はもっと小さかったのですけどね、今の季節はこのくらい実るようになりました。」とFさん。
「でもね、ここに葡萄があるってことをどこで知ったのかアライグマがやってくるんですよ。この前も、階上でごそごそ何かが動くような音が聞こえて、えっなにかしら。って縮こまっていたら、どうやらアライグマの親子が来ていたようで、すっかり食べられてしまって。(笑)」
「そうなのですね、私たちが住む海老名にも、というか我が家にもこの前の晩にアライグマが来ていたことがありました。通りすがりのネコがうちの前を横切る時に水を飲んでいくのですが、ネコかと思ったらアライグマで。いろいろなところにいるものですね。」
それくらい緑豊かなFさんの庭。

「お邪魔します。」
お邪魔させて頂くと、ブラックチェリーのはずがほんのり緑かかってさわやかな姿がそこにあったのでした。
さっそくキッチンに伺うと、外の熱気はどこかに消えていき、「北側なので、直接日が入りこんでくるわけでもないのです。」とおっしゃられたようにトーンの落ちた明るさが迎えてくれました。
暗くはないのに、どこか緑かかった明るさがキッチンのそこかしこを包んでいるのは、どうやらFさんがこまめに手を入れている庭木たちの色だったのでした。
ふーむ、心地よい。
まだ納品間もないチェリーの色がここまで色深く見えたのはきっとまわりの緑がそうさせてくれるのでしょう。
それでも、元々あった吊戸棚とそこにあった下がり壁が取り払われたためにこのあたりが以前よりも明るく心地良い空気が流れ込んできていて、トーンの落とされた明るさがじんわりとそこにあるのでした。
「おかげさまで、毎日帰ってきてこうしてキッチンが目に映り込んでくることがとてもうれしくて。」とうれしそうにお話をしてくださいました。
パッと写真を見るだけでは、今まで作らせて頂いた皆さんのキッチンと大きな差はないように思えますが、こうしてこの形になるまでにFさんが悩んだ思いはそこかしこに在って、そのためにどこに触れても、どこを眺めても愛おしく感じるのでしょう。
ありがとうございました、Fさん。
結局、うちのレモンはいまだに実がつかないのですが、いつか実ることを願っている毎日なのです。
| 寸法 | キッチン:幅2,570ミリ/高さ850ミリ/奥行670ミリ 吊戸棚:幅1,800ミリ/高さ900ミリ/奥行600ミリ 食器棚:幅1,800ミリ/高さ670ミリ/奥行350ミリ |
|---|---|
| 天板 | キッチン:ステンレスバイブレーションbr> 食器棚:カップボード:ブラックチェリー板目無垢材 |
| 前板・扉 | ブラックチェリー板目突板 |
| 本体外側 | ブラックチェリー板目突板 |
| 本体内側 | ポリエステル化粧板「ホワイト」 |
| 水栓器具 | 三菱ケミカルクリンスイ[F914EHU] |
| 食器洗浄機 | パナソニックミドルタイプドア面材型[NP-45MS9W] |
| ガスコンロ | リンナイリッセ[RHS71W42J4RSTW] |
| ガスオーブン | リンナイコンベック[RSR-S52C-ST] |
| レンジフード | 建築工事 |
ステンレスバイブレーションとチェリーのキッチン
価格:960,000円(制作費のみ、塗装費は別、設備機器費用は別)
チェリーの背面食器棚
価格:720,000円(制作費のみ、塗装費は別)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は60,000円から、取付施工費は160,000円から)








![三菱ケミカルクリンスイ[F914EHU]](https://www.freehandimai.com/wp-content/uploads/2026/08/sfc009.jpg)

![パナソニックのミドルタイプの食器洗浄機[NP-45MS9W]](https://www.freehandimai.com/wp-content/uploads/2026/08/sfc013.jpg)




![リンナイリッセ[RHS71W42J4RSTW]](https://www.freehandimai.com/wp-content/uploads/2026/08/sfc019.jpg)

















