スタッフ ヒロセ君の制作日記:スタジオテラさんの10樹種10脚の椅子を制作して

2026.10.10

今回担当させていただいたのは、10樹種10脚の椅子です

使用した樹種は、ナラ、タモ、ウォルナット、チェリー、サクラ、クリ、カエデ、ブナ、セン、クルミの10種類です。

同じ形の椅子を10脚製作しますが、樹種がそれぞれ異なるため、材料の段取りや加工条件も一脚ごとに考えながら進める必要があり、普段とは少し違った難しさを感じました。

製作を始めるにあたり、まず材料のあらどりを行います。仕上がり寸法より幅と高さを5mmほど大きく、長さは100mmほど長く材料を取ります。一枚の板から使用したい材料より少し大きいくらいのサイズに切り分け含水率を整え、乾燥や環境の変化によって生じる反りやねじれをあらかじめ出しておくことで、その後の木の動きを少しでも抑えられればと考えています。

今回は、あらどりした材料に桟を入れ、風が通るように積み上げた状態で1ヶ月ほど置き、その後製材していきました。

接合部はすべてほぞ組みになっています。樹種によって木の硬さが異なるため、ほぞのきつさも材料ごとに調整しました。硬い材料は、ボンドを塗るとさらに入りにくくなるため、一度仮組みをして、きつさを確認しながら加工しています。

また、一脚の椅子として見たときに全体の色味がまとまるよう、材料の組み合わせにも気をつけました。入荷した材料の本数やそれぞれの色味の違いもありますので可能な限りではありますが。

特に座面は面積が大きく目に入りやすいため、木目や色味を見ながら板を選んでいます。

座面は数枚の板を接いで製作していますが、人が座る部分になるため、通常の接ぎより丈夫になるよう加工しました。

形状の加工では、後ろ脚をルーターで型に合わせて加工し、背もたれは内側をルーターでアール状に仕上げ、外側は勾配があるため治具を作り昇降盤で加工を行いました。この加工は初めての試みでしたがイメージ通り加工を進める事が出来、今回新たな加工方法を知る事が出来ました。

加工が終わると接合部を1〜2箇所ずつボンドを塗り締め具で圧着させていきます。

10脚あるので中々大変ではありましたが一度仮組もしているので大きな問題もなく接着作業もでき完成させる事が出来ました。

今回10種類の樹種を使って同じ形の椅子を製作する中で、樹種ごとに異なる硬さや木目、色味の違いを考えながら作業する場面が多くあり、普段とは違う難しさがありましたがそれぞれの木の個性を感じられる、面白い製作になりました。

カエデとブナは一見するとよく似ていますが、よく見るとブナには小さな線状といいますか筋状の模様があったり、サクラとチェリーではサクラの方が目が詰まっていて流れるようなシュッとした木目、似ている色味の木でもそれぞれに違った表情があります。

ぱっと見では似ていて同じ木に見えるかもしれませんが、よく観察する事によりそれぞれの特徴や違いが見えてくるのではないでしょうか。

納品まで少し時間がかかってしまいましたが、無事に完成した椅子をスタジオテラさんへお届けすることができ、石井さんをはじめ、皆さんが椅子を見て喜んでくださり、さまざまな質問をしてくださったこともとても嬉しく感じました。

納品に伺い、10脚の椅子がそれぞれ異なる樹種で作られている意味を、実感することができました。

同じ形でありながら、木によって色や木目、表情が異なり、それぞれの個性が一脚ごとに表れています。

これから時間をかけ、少しずつ色や風合い、それぞれ経年での特徴的な変化をしていき、さらに違った深い表情になっていくのではと思います。

私自身も今回色々な樹種に触れることができ、改めて大変勉強をさせていただけました。

スタジオテラさん、ありがとうございました。