螺旋と六角と苦悩をめぐる冒険

2026.10.21

「鴨居玲さんの展示を見たいの。」とアキコが言った。

「いつかどこかで回顧展を見られたらいいな。」って、なん十年も前から言っていたので、この秋に笠間日動美術館でちょうど開催されていると知って「いいな、見たいな。」とそばでつぶやかれるので出かけたのでした。

何となく闇がまとわりついているようなあの絵を見ていると、昔よく眺めていたフランク・フラゼッタの絵やゴヤの暗い絵や風刺画を連想して、格好が良い絵だなあとばかり思っていたのですが、実際見にいってみると、心の辛さをほんとうに良く表していた絵だったのだと知ると、どうにもやるせない気持ちになったのでした。

ということで笠間日動美術館をゴールにしてせっかく遠出するのだから、とあれこれと考えて、以前からやはり行きたいと思っていた斉藤清美術館も回ろうよ、ということで、会津若松を目指して笠間に向かうという大回りなドライブに出かけたのでした。今回はハルチィは留守番で二人でね。

最近、近所のOさんから子供と時間が合わなくなってくるから、二人で出掛ける時間ができたって聞いて、そうか、私たちもそういう年齢なのかも、と思い立ったわけです。

ハルチィは二人で着飾って親抜きの自身の休日を楽しめたようだしね。

で、その二つを回るのなら何か興味深い建物はないだろうか、といろいろと調べてみると、不思議な木造建築があることが分かり、さっそく見学。

さざえ堂と呼ばれる六角形のお堂。

木造の二重螺旋の回廊がその構造が、回る景色がものすごく魅力的で、当時はここに観音様たちが安置されていたということですが、今はその姿がいらっしゃらなくても十分清々しい気持ちを頂いたのでした。

そこから、斉藤清美術館へ。只見川と飯豊山のコントラストが美しい道の駅にたたずむ小さな美術館でしたが、いろいろな原画が見れてこれはとても良かった。制作の動画も公開されていましたが、やはり自分を表現するというのは大変な苦労の上に成り立っているのだなあと、彫っている様子を見ていてあらためて感じたのでした。

そして、鴨居玲さんも斉藤清さんも最初は看板屋さんに勤めていたのはおもしろいなあという感じ。

ここから笠間まで一気に下るのはなかなか運転が辛いと思い、その間あたりで宿を取ろう、ということで五浦によってみることに。

今まであまり耳馴染みのない土地だったのですが、よくよく調べてみると、ここには岡倉天心の美術院が在った場所なのだそうで、そのそばにはその美術館も建っていることが分かったのでした。

そういえば、以前シキナミさんからのご依頼で、その美術館に携わるお仕事をされているKさんのキッチンを作らせて頂いたっけ。いろいろなところでつながりがあるように感じたのです。

翌朝は、その岬に立つ展望慰霊塔まで散策。

二重螺旋のまるで先日見た野又さんの空想建築のような佇まいの建物から旧美術院の先に立つ六角堂を眺めてから冒頭の笠間へと南下。

螺旋と六角と元看板屋さんだったお二人の苦悩を巡る800キロのドライブでした。

ハルチィよ、良い時間をありがとうございました。