色つくまでの楽しみ

Category : オーダー家具・オーダーキッチン制作事例, 食器棚のオーダー

2019年9月27日

「チェリーのセパレートタイプの食器棚のオーダー」

東戸塚 O様

design:Oさん
planning:Oさん/daisuke imai
producer:hiroyuki kai
painting:hiroyuki kai

チェリー板目突板の食器棚

リビングから見た食器棚の印象。この時で納品から約2か月後。まだまだ淡い色をしているチェリーですが、日焼けの早いチェリーのことですから、もうすぐ年が明ける頃には深い色になっているのではないでしょうか。

最初のご相談は2017年の秋、今から2年前ですね。
ご入居が約半年先ということで、ゆっくり形を考えていくことができそうです。
頂いた添付ファイルを基にまずはその形を製作するとどのくらいの金額が掛かるのかを概算で計算してお知らせ致しました。
お知らせした金額を前提にお話を進めさせて頂けることになりまして、さっそくOさんこちらにいらして頂けることになりました。

チェリー板目突板の食器棚

こちら全体の様子。冷蔵庫のステッカーの様子がなかなか強烈ですが、食器棚はとても落ち着いた印象になりました。

冬が始まる頃にこちらにいらして頂いたOさんご家族。
お子さんはまだ小さくて、これから新しい暮らしが始まるのだなあ、と打ち合わせをしながら、少し懐かしく思ったのでした。
(我が家の娘たちはもうだいぶ大きくなってしまいましたので。)
そうして、奥様がお子さんの様子を見ながらご要望をお知らせくださいまして、その隣でご主人はおもむろにパソコンを取り出して、打ち合わせの内容をメモしていきます。
打ち合わせの方法はいろいろな形がありますが、こうしてお話している内容をすぐに書き留める方がいらっしゃるのだなあと珍しく思っておりましたら、実はメモを取っているのではなくて、私と奥様のやり取りで変更になっていく食器棚のかたちを図形でその場でレイアウトしているのでした。おもしろい打ち合わせでした。

チェリー板目突板の食器棚

ゴミ箱は最近皆さんよくつかわれているケユカのarrot。省スペースで開閉できるので大変便利です。

こうしてご主人と奥様とで照らし合わせてまとまった形を後日図面にすることに。そうして、そのできあがった図面を見ながらいろいろと打ち合わせを重ねて一つの形にまとまっていったのでした。

で、打ち合わせにいらしてくださった時に、一つお話したことがありました。
それは、家具は必ずしも暮らしに必要なものではないということ。
家具が暮らしを楽しく心地良いものにさせてくれることは間違いないのですが、必ずしもその形がその場所になければ暮らしていけない、というものではない、というお話をさせて頂いたのでした。

チェリー板目のスライドテーブル

ゴミ箱の隣は家電用スライドテーブル。

結果として、急いで家具をそろえる必要はないのではないか、ということにOさんも思えることに。
それまではどちらかというと、家具とは、新しい暮らしが始まる前に揃えなくてはいけないもの、というイメージがあったのだと思いますが、よく考えると新しい家に移れば、内もカモが一新されるわけではありません。毎日の繰り返しから生まれた小さな変化がそこに現れるだけだと思うのです。
ですので、私としては、新しい場所での暮らしが始まる時こそ、おそこでの暮らし方、家族の動線、毎日に空気の流れとかそういったものを感じてから、どういう家具を自分たちが必要としているかを決めてゆく方が自分の身にまとえるような自然な形になるのではないかと思うのです。

そのようなお話をさせて頂きましたら、Oさんもしばらく奥様と相談して思い至ったのは、やはり住み始めてから、そして、私がお伺いするのも諸んきょの内覧会ではなく、祖み始めたその様子を見て採寸とアドバイスをしてもらいたい、ということになったのでした。
良いことだと思います。

チェリー板目突板の食器棚

ゴミ箱の上は、可動棚を設けて、うすいもの(例えばゴミ袋など)がしまえるようにしています。

そのようなわけで、半年先の春に納品する予定だった食器棚はもう少し季節が後ろにずれることになりまして、秋の始まる頃に(最初のご相談から1年が経とうとしておりました。)納品となったのでした。

チェリー板目突板の食器棚

ちょっと目立たない部分ですが、私はデザイン的に家具の印象が変わるとても大切な納まりだと思っている部分です。どういうことが知りたかったら、ぜひ工房を訪ねてくださいね。

設置は無事に終わり、さっそく使い始めてくださったところで、Oさんから一つ質問を受けました。
それは、チェリーの印象についてです。
光が当たる角度によってまだらに見えることがあるということだったのです。
たしかにチェリーやウォールナットなどの散孔材は、ナラ(オーク)やタモなどの環孔材に比べて、光沢があって、さらに塗料の吸い込み具合に多少ばらつきが出やすいので、まだらのように見えたりすることもがあるのです。
でも、それも使い込んで経年で日焼けをしてくると、もう少し全体がなじんでくるはずです。
そうなった時に表情がまた美しいので、そのあたりのご説明をさせて頂きまして、オイルを擦り込んできれいに焼けていくのを楽しんで頂くというお話をさせてもらったのでした。

チェリー板目突板の食器棚

扉がまだらに見えるようです、とおっしゃっていた部分。チェリー独特の肌でもありまして、このキラキラする光沢感がもう少しすると全体的に馴染んで美しい赤褐色へとなっていきますよ。

そして、その約1年後の夏のクレミルの時、Oさんとお子さんで木工教室にご参加くださったのでした。

夏のクレミル Oさん親子が作られたもの
「どうですか。食器棚の様子は。」
「だいぶ良い色になってきてとても使いやすいですよ。」
ととても、安心できるお返事を戴いて、あらためてホッと致しました。

チェリー板目の食器棚

価格:480,000円(制作費・塗装費)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は15,000円から、取付施工費は35,000円から)

筆が色をつけていく

Category : オーダー家具・オーダーキッチン制作事例, 食器棚のオーダー

「タモ柾目のセパレートタイプの食器棚のオーダー」

町田 K様

design:Kさん
planning:daisuke imai
producer:masakane murakami
painting:hiroyuki kai

タモ柾目ホワイトオイル塗装の食器棚

食器棚全景。こういうオープンキッチンでペニンシュラタイプだったり、アイランドタイプのキッチンがある間取りの場合は、食器棚の吊戸棚は天井まで作らないことが多くなってきました。このくらい上が空いているとやはり軽快な印象です。

キッチンのカタログをお申し込みくださる皆さんの中にはキッチンだけではないご応募も多く頂くのです。
でもカタログは何しろ手作りで、不器用なものですからWordの中で写真を切ったり貼ったりしながら作っておりまして、なかなかキッチン以外のカタログを作るのに腰が重かったりするわけです。
特に多いのが、今回のKさんのように食器棚を考えていらっしゃるみなさんです。
ウェブサイトにはそれこそいろいろな形を作らせて頂いた足跡をたくさん残しているのですが、やっぱり本としてみたいですよね。
そういう声を少なからず頂くので、やっぱり頑張って作りましょうか。

タモ柾目ホワイトオイル塗装の食器棚

引き戸の引手の様子。今回はちょっと手の込んだ作りで、タモ柾目の突板で一度プレスして戸を作った後に、手掛け部分を掘り込んでそこに無垢を再度埋め込み、無垢がきちんと接着された後に手掛け部分を掘り込んでいるのです。なぜそういう手間をかけたかというと、やはり美しいからです。特に戸の端の木目の様子と埋め込んだ無垢の縁の残っているラインが美しい。(写真だと分からないのが残念。)

Kさんは毎回とてもご丁寧にメールをお送りくださる方で、お会いするまではどのような人だろうと思っておりましたが、思った通りのとてもかたでした。
「こんにちは、お邪魔致します。」
今回はおおよそ形も決まって、細かいイメージもメールで共有できておりましたので、工房にいらして頂くのではなく、直接Kさんのお宅にお伺いして、設置場所や普段しまわれているものなどを拝見させて頂きながら打ち合わせを進めることにいたしました。
私よりもいくつか年上の先生のような落ち着いた風貌で、奥様も同じくとても物静かな感じでいらしてくださったのです。
メールのやり取りはご主人と主に行なってきたので、ご主人主体でお話を進めていくのですが、食器棚を実際に使うのは奥様。
奥様の意見をご主人を通して打ち合わせているような感じでお話を進めていくうちに、奥様が細かいニュアンスの伝えにくさがあったりすることにちょっと歯がゆさを感じられたのでしょうか。
だんだんと奥様の意見が鮮明に直接私に響くようになってきたのです。
その様子を見てご主人も、半歩後ろから見守ってくださって奥様の明確なイメージをお聞きすることができました。

タモ柾目ホワイトオイル塗装の食器棚

今回、引き戸にはソフトクローズ機能のあるハーフェレの上吊金物を採用しました。ソフトクローズだけではなく、全開時も最後にゆっくり開くソフトオープン機能も付いているものを使っています。


タモ柾目ホワイトオイル塗装の食器棚

最近食器棚を作らせて頂く方々の多くの形に取り入れられているオープン棚。ちょっと置けるというのがとても使いやすいのだと、良い声を頂いております。

そのご意見を頂くことで、これまで考えていた形からで大きく変更されることはなかったのですが、実際に使う人の思いを聞くことができるのと、できないのでは大きく違います。
何を思ってここに置く食器棚を私たちにご依頼くださったのか。
オーダー家具を作る方はほかにもいろいろいらっしゃいますし、みんな同じような素材を扱えて、同じように形作ることができる人たちはたくさん居らっしゃいます。
その中から私たちを選んでくださったのにはきっと何かおおきな理由があるはずで、それが分からないと形を作るためのきっかけが見つからなかったりするのです。
幸い、今までの皆様はきちんと私にその気持ちをぶつけてくれたので、どの形も魅力的になりました。
今こうして、Kさんの奥様からお話を聞けたことで、私のイメージしていた形とKさんのイメージしていた形がうまくあてはまりました。
良かったです。

タモ柾目ホワイトオイル塗装の食器棚

食器棚の下の様子。今回タモの柾目を使っているのですが、そこにワトコオイルの「ホワイト」を塗って仕上げています。オイルを塗るのではなく、擦り込んでふき取る仕上げです。着色料の入ったオイルはきちんと拭き取らないとふき村が出るので、ちょっと気を使います。そして、これはオイルですので塗膜はあまり厚くないため、使っていると少しだけ元のタモの色に戻っていくのが特長。それもまた良い印象になるのです。

家具作りって、「こういう素材を使えます。」とか「ここにはこれがしまえます。」とか「こうすると掃除が楽ですよ。」とか、そういうアプローチの仕方もありますが、それよりももっと手前に「こういうふうに暮らせるかな。」とか「こういう時間を過ごしたいな。」とか、できることをお伝えするお話のなかでその人がその家具を迎えることでどう暮らしかたが魅力的にあるのかを一緒に考えてゆくこと、それが家具として一番大切なことだと思います。

タモ柾目ホワイトオイル塗装の食器棚

ゴミ箱スペースには以前からお使い頂いている小さなゴミ箱が置かれていました。将来的にペダル式の大きめのゴミ箱に変えても問題ないようなスペースは確保してあります。

こうして、できあがった食器棚は、キッチンと同じようにこの空間を明るく映す鏡のようになりました。
家具を使い始めてしばらくして、ご挨拶にお伺いした時、あらためてハッとさせられたのです。
ご主人はお仕事で奥様としっかりお話することができて、食器棚の感想や暮らしかたが今までとどう変わったのかなどをお聞かせ頂きました。(頂いたのに、メモ取らなかったので細かいニュアンスは忘れてしまいました・・。)
そうして、どういうふうに暮らしているのかをキッチンの周りをぐるりと拝見させてもらっていたのですが、すてきにトールペイントで仕上がった木製小物たちがある。そして、すてきな中小柄のレースもそこかしこに置かれている。
聞くと、奥様の趣味なのだそうです。そして趣味が高じて、レース編みもトールペイントもご友人に教える先生もされているのだそうです。
でも、家の中だとご主人もあまり興味を持ってくれなくなってしまったようで、作品が埋もれてしまっていて。
それは残念!

どこかで作品をもっと見せられる機会を持てたらよいなと思いつつ、もっと早く打ち合わせの時にこのこと気づいていたら、より食器棚にも良い影響を与えることができたのかもしれない、なんて思ったりして。
さり気なく使われているレースはとても美しくて、思わずほしくなってしまうくらい見とれながら、そんなことを思っていたのでした。
でもこういった作品たちがこの食器棚の白さにだんだんと色をつけて行ってくれるのでしょうね。
また作品を見せて頂ける良い機会がありましたら、お声掛け頂けたらうれしいです。
ありがとうございました。

タモ柾目ホワイトオイル塗装の食器棚

引き出しの様子。


タモ柾目ホワイトオイル塗装の食器棚

引き出しの様子。


タモ柾目ホワイトオイル塗装の食器棚

引き出しの様子。


タモ柾目ホワイトオイル塗装の食器棚

引き出しの様子。


タモ柾目ホワイトオイル塗装の食器棚

ここだけは片開きの扉。お料理本などを入れても良いと思います。


タモ柾目ホワイトオイル塗装の食器棚

片開き扉の下の引き出しの様子。


タモ柾目ホワイトオイル塗装の食器棚

ゴミ箱スペース上の引き出しの様子。

タモ柾目ホワイトオイル仕上げの食器棚

価格:580,000円(制作費・塗装費)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は20,000円から、取付施工費は30,000円から)

やりとりしよう

Category : 日記「自由な手たち」

2019年9月26日

顔をも知らない皆さんからいろいろとご相談を頂けるというのは、今でこそ慣れ親しんだやり取りになっていますが、よく考えるとすごく不思議なことです。
「キッチンの相談をしたいのです。」そういうふうにいろいろなところからお便りを戴きます。
文章ってなかなか細かいところが伝わりにくかったり、かえって別の意味へと捉えられてしまうこともあったりするので、私はなるべく伝わりやすいようにと絵を描くことも増えてきました。
(メールの文章も相変わらず長いのですが。)
顔もまだ見ない、声もまだ聞かない、どんなふうに暮らしているのかはメールに書かれた手掛かりだけ。
でも、センテンスひとつひとつからなんとなくその人の顔が見えてくるように、線が増えていき、一つの家具の形が現れます。
こういうふうに暮らしてくれたら心地よいかな、こういうふうにこの家具は見えてくるだろう。
そんなことを夢想しながら、半ば年取ってしまった目に老眼鏡を掛けながらMONOのシャープペンシルが紙の上を走っていくのです。
(ハルカとチアキから昨年のクリスマスにSTAEDTLERのシャープペンシルをもらったのですが、手が大きいせいか、ちょっと細身なペンを握ると力んでしまって、線がお酒を飲んだようにグラグラしてしまうことがあるので、MONOとSTAEDTLERを適したところで使い分けながら描いているのです。)
できあがった絵は、次第にその人のかたちになっていくのですが、今はまだ私のもの。
そのようないろいろな形のストックは、もし工房に来てもらえたら無造作に置かれたスケッチブックの中にいつまでもあるのです。

Nさんのラウンドテーブル:スタッフ カナイ君の制作日記

Category : 日記「自由な手たち」

2019年9月24日

_dsc3010_dsc2087_dsc2090今回製作を担当させて頂いたのはNさんのラウンドテーブルです。
天板が円ということで、普通の四角のテーブル板よりも切り回しや木端・木口の仕上げに手間が掛かるのです。
なぜかというと、四角テーブルの天板の場合は、パネルソーという大型の鋸で直線にカットできるので、それでカットしてから木端・木口を鉋がけして、面取り加工をすれば終わるのに対して、ラウンドテーブルの場合は、何度かに分けてカットしていくのです。
まず、一度ジグソーという刃の厚い鋸を使って、四角い板を仕上げ寸法よりも数ミリ大きめに丸く切り出します。ここの加工はジグソーではなく帯鋸で加工する職人さんもいるようですが今回は直径が大きいこともありますので、ジグソーで切り出していきます。
そのあとに、直径1300mmにカットできるように作ったラワンベニヤの治具を天板に仮止めしてそれにならってルーターで丸く削っていくのです。
ちなみにルーターを運ぶ方向は時計と逆回転。そうしないと、刃の回転と同調して、腕ごと持っていかれて大怪我してしまうのです。
できあがる家具は穏やかに見えてもその加工はかなり大胆で危険と隣りあわせだったりしますので、常に緊張の毎日です。
それから、ルーターでカットした木口面には、まだルータービットの刃の跡が残っていますので、それをペーパーでひたすら平滑になるように磨いていきます。
直線ではないので、鉋はあてられないのです。
そのようなわけで、天板1枚作るのにも四角と丸だと大きく加工する手間が変わってくるのです。

さらには、今回はその脚部は五本脚。
なんで五本脚なのか、社長に聞いているとなるほどと思いましたが、脚と脚をつなぐ幕板を五角形にしていくために、ホゾ穴やホゾの先を角度をつけなければならないので、とてもシビアな加工になるのです。
さらには、組み立ての際にほぞをたたき込んでいく時も直角であればそのまま玄能で叩き入れることができるのですが、今回のように角度がついている場合は叩くだけでは力が逃げて入っていかないので、クランプを使って加減しながら組んでいくので、これがなかなか大変でした。

そのように苦労した甲斐があって、とてもしっかりとした使いやすいナラの円卓になりまして、Nさんにも大変喜んで頂けてうれしく思っています。

夜ごはん

Category : 日記「自由な手たち」

2019年9月22日

20190922004201909220052019092200620190922007夜はアキコがハルカが所属する吹奏楽部のお母さんたちの集まりがあるということで、留守にしてしまうので、また3人でご飯を作りましょう。
他の部活は夏で引退なのですが、吹奏楽部は秋の発表があるまで活動が続くのでハルはいつもはなかなか忙しいのです。
今日はカレーライスに、メンチカツを作りましょう。
カレーライスだけはね、どうしても母の味のカレーライスが一番好きで、今までいろいろと美味しいカレーライスを食べてきましたが、どこか違うのですね。うちのカレーは豚肉ごろごろのカレーでよく噛んで飲み込んだ後の口の中にじゃりじゃりしたスパイシーな感じが残るのです。
それがね、あぁ、食べたなあーって思わせてくれる。
それから、作ってみたかったメンチカツ。おいしいメンチカツというと高座渋谷の太田屋さんのメンチカツ。あの味にしてみようと頑張ってみましたが、難しいなあ。
ハルもチィもおいしいよって食べてくれたけれど、難しいなあ。
でも、自分で食べるものを自分で摘んで、自分で作って食べるって本当に素晴らしい。

摘む

Category : 日記「自由な手たち」, 庭のある家

20190922002今日は久しぶりにハルカも中間テストが近いということで、部活も塾もお休みとのことで、みんなで久しぶりにゆっくり。
お昼ご飯を食べた後にはそろそろ秋になるから檸檬の果実を適当に摘んでおくらしいということで、多く生っているところを実を摘みました。
これがやりたかったのです。
自分で食べるものを自分で作るってすばらしい。

玄関収納のオーダー「傘がしまえるナラの下駄箱」

Category : 日記「自由な手たち」

2019年9月21日

今日は稲城のKさんのところに下駄箱の取付です。昨日に引き続き内田雄介さんが作る家です。
内田さんの考える空間はとても静かで心地よいです。
ひととなりなのでしょうね。
そのような心持ちの方にいろいろな形でお声掛け頂けることをとてもうれしく思っております。
先日もね、「内田さんの作った「木漏れ日の家」がとても好きなので。」っていうお客様がキッチンの打ち合わせにいらしてくださいました。
良いかたちになるように頑張ります。
そして来月には、内田さんの魅力が詰まった空間に作らせて頂く料理しながら緑がきちんと入り込んでくるL型のキッチンを調布のOさんの家に届ける予定です。
どの家も心地が良い。

食器棚・カウンター下収納のオーダー「Sさんのタモの食器棚とL型カウンター下収納の使っている様子を拝見」

Category : 日記「自由な手たち」

2019年9月20日

201909200052019092000620190920007201909200082019092001020190920011Sさんのところにご挨拶に伺ってきたのです。
無事に工事が完了して、新しい生活が始まっていました。

いいでしょう、この感じ。扉を開けると、引き出しを開けると、淡いグレーが現れるのです。その木口はタモを練り付けていてとっても良い印象。

「次男が生まれて間もなく、当時夫の仕事の都合で母子家庭状態となり、2歳差の育児はもうてんやわんやのお祭り並みで、また1日、また1日と繰り返しながら、楽しさと体力の限界の狭間で、細かい片付けには目を瞑り、あっちの部屋やこっちの部屋に押し込んでいたものの整理を入学とリフォームを機に少しずつ始めております。
イマイさんがどこかに書かれていましたが、自分たちのつくる家具が、その人の新たな生活の愉しみや気力に繋がることや、そのきっかけであればうれしいと。
いま、私はそれを実践しているというか、このタイミングでのご縁に感謝しながら、自然とその方向に導かれています。」

Sさんとは、この半年で家具を通じていろいろなお話ができたのです。

「私はこの仕事に入る前にデザインを教えてもらえる学校に通っていたのですが、デザインという言葉が嫌いでした。
学校ではいろんな知識や感性を与えてくれ、授業はとても豊かで楽しく、気の置けない友人もできた魅力的な日々でしたが、デザインってどこか独りよがりなものというイメージを自分の中でぬぐい切れなかったからなのだと思います。
そこに正解というものがなく不安定なところがあったからですね。
そういう気持ちのままこの仕事を続けていたのですが、(いけませんね。)ある時、たまたま見ていたテレビで別所哲也さんが言っていた言葉がしっくりきました。
別所さんは役者さんで短編映画の造詣が深い方くらいでしか知らなかったのですが、デザイン寄りの番組で、「デザインって整えることだと思うのです。」って言っていたのを聞いたのです。
ホゥ、と思えて、それからその言葉が自分の仕事の取り組み方にとてもしっくりくるって思えているのです。
家具を作る、考えるのではなく、家具を作ることで、その人の気持ちや暮らしが健やかに整っていく。それってとても気持ちの良いことだって思うのです。
昔はただ作るその家具の形が好きでしたが、今はどちらかというと、その家具がその場に入ることで、そこに住む方々の暮らし方や気持ちの在り様がどのように心地良くなっていくのかを知ることが楽しいなあと思えます。
ですので、納品後も時々お邪魔させて頂いたりして、今までのクライアントさんも家具屋っていうよりはイマイさん、と思ってくださっているところがうれしいところです。
私も長々と余談でした。(笑)」

とても心地よい空間になりましたね。
Sさん、ありがとうございました。
ノガミ君もとてもとてもうれしそうでしたよ。

食器棚のオーダー「エアコン用ルーバーのあるナラ板目のキッチン背面収納の設置工事」

Category : 日記「自由な手たち」

2019092000320190920002内田雄介さん設計の藤沢のSさんのご新居に背面収納を取り付けてきました。
この家具のモデルとなったのは、内田さんのご自宅「木漏れ日の家」の背面収納。今回は吊戸棚もナラ材で統一して、エアコンのカバー部分も内田さん、Sさんと悩みながら見え方と機能が合致したサイズで制作。
また、エアコンメンテナンス時には格子扉も、上部カバーも外せるような構造に。階段上から見える上部カバーは写真のような感じ。
美しい形にまとまりました。
後日、内覧会が開かれる予定だそうで、私もぜひ伺いたいなあと思っております。

内田さんには、今回いろいろとお声掛け頂いていて、明日も稲城のKさんのところに玄関収納の設置に伺います。
そして、調布のOさんのところには特長のあるL型のキッチンを作らせて頂きます。
良いかたちをお届けできるように頑張ります。

Oさんのキッチンカウンター:スタッフ ワタナベ君の制作日記

Category : 日記「自由な手たち」

2019年9月19日

_dsc3313_dsc3339
初めてアイランド型の家具を製作を担当させて頂きました。
まず、タモの突板を使ったのですが、今回は木目にバラつきを出すランダム張りの突板を使っているのが特長です。
ランダムに張るのは、他のお客様の場合で木目をつなげないで作ることもあったりしましたが、今回のO様の場合は、木目はつながっている形にするけれど突板1枚ずつの柄は違うものにしたいという希望でした。
どういうことかというと、突板というのはうすい無垢材になるのですが、ふつうは幅20センチ~30センチくらいの1枚の突板を横に並べて貼るものなのですが、その幅ごとに違う柄(違うロット)のものを使うことで、整然とした印象を無くすのが今回の見せ方になります。
さらに木目のつながりをなくす形にするとよりバラついて動きのある表情になるのですが、そうなると自分たち作る側のセンスが問われるので、ちょっとホッとしています。(色や木目の違いがちょっと違うだけで全体の表情は大きく変わるので。)
そのランダム張りの木目を側面から背面側に掛けて木目が自然につながるように木取りした部分が苦労した点のひとつになります。
さらにその無垢目がつながるように見せるために側面と背面の角は斜めに加工しています。こうすることで、板の木口が出ないので、木目の縁が切れずにつながって見えるのですが、この斜めにする場合、角がとがってちょっとぶつけたりするとかけてしまうため、斜め部分に無垢材を練り付けるのですが、斜めになっているからその圧締が大変でした。
また、普通のこのボリュームの家具でしたら一つにまとめて作るのですが、社長から搬入がちょっと大変と聞いていたので、細かく分けて屋内階段から搬入できるようにしてあり、なおかつその現地でのジョイント部分が不格好に見えないように板の枚数を不自然に多くすることないように作っているため、その細工がひと苦労でした。
天板はステンレスのバイブレーションですが、小口はタモを見せるという形で作っています。これは通常下地の合板に先に小口のタモ材を練り付けて、最後に上から速乾ボンドというゴム系の接着剤で接着するのですが、この1.0mmくらいのステンレスだと重さでたわむので、接着する瞬間はたわんで変にくっつかないかといつも緊張します。
納品の時は、奥様に立ち会って頂いて施工させて頂いたのですが、後日「とても細かい気配りをしてくださって、実はダイニングペンダントの位置が間違っているのをスタッフさんが指摘してくださって、今のこの整った状態があるのです。ありがとうございました。」というお話をお聞きして、喜んで頂けたと安心しました。

食器棚・カウンター下収納のオーダー「タモ板目を使った食器棚とL型カウンター下収納でリビングからの印象を整えて」

Category : 日記「自由な手たち」

2019年9月18日

201909180042019091800520190918006昨日と今日とで、ノガミ君、カイ君、ハラダ君とで南浦和のSさんのところに家具の取付に伺っておりました。Sさんとは今年の冬に初めてご相談を頂いてから、情熱的なメールのやり取りで(送って送られてで100通は越えました。)食器棚とリビングの収納を悩みながらこの形にたどり着きました。L型のタモ無垢の天板はこちらで作って工務店さんに付けて頂いて、家具が入るまで天板がグラグラしたまましばらく暮らして頂くことになってしまったのですが、本日を持ちましてようやく作業が完了いたしました。
家具の中にいつもと違うやさしさを入れてみようということで、タモとグレーの組み合わせで明るい家具に仕上がりました。引き出しもとても気持ち良い色になっているのですが、その写真はまた今度。
次はダイニングテーブルを検討されているということで、またお邪魔させて頂きますね。
暮らしが少しずつ整っていく様は見ていて心地良いのです。

キッチンカウンターのオーダー「タモランダム張り突板とステンレスバイブレーションのキッチンカウンター」

Category : 日記「自由な手たち」

20190918002201909180034月に納品したタモのランダム張りの突板を使って作らせて頂いた町田のOさんのアイランドカウンター。約半年ぶりにご挨拶にお伺いしてきました。
階段を上がると、カウンターの様子がよく見えるという印象は、以前に作らせて頂いた「顔を見て」のUさんと同じような印象を受けます。Uさんの時はナラのランダム張りでOさんの時はタモのランダム張り。
と、そういえばOさんもUさんと同じハウスメーカーの設計士さんでした。おもしろい巡り合わせ!
いつもこうして使い始めた頃に皆さんのところに伺った際には、どんなふうに使ってくださっているのかお話を聞かせて頂くのですが、Oさんの特長的なのはゴミ箱のスペースが広く採ってあること。お話を伺うと、町田は私の住む海老名や工房のある寒川とは分別方法が違ったりして、なるほど、これは4台のゴミ箱があったほうが良いなあと思ったりして。
カウンターとダイニングテーブルが横並びになっているのもとても使い勝手が良いそうで、ご両親など多くの人が集う時にはこのレイアウトがとても使いやすいということでした。
やっぱりぐるっと囲んでみんなで輪になれるって良いよね。
まだ小さなお嬢さんもきっとお料理の手伝いを始めるだろうし。そうなるともっと使い勝手の良さが分かってくると思います。
なんだか階段を上ってくるだけでそういうワクワクする感じが伝わってきたのです。

オーダーソファ「丸みを帯びた柔らかい印象の脚」

Category : 日記「自由な手たち」

新しいかたちを考えていて、今はこのソファを製作中。
何というかふわっと座れるような柔らかい印象のかたちを目指しております。
この形ができあがりましたら、自宅の見学会のようなものを開こうかと福原さんとたくらんでおるのです。

ウェブサイト更新

Category : 日記「自由な手たち」

2019年9月17日

20190521001モールテックスの腰壁にはめ込むようにナラの無垢材を使って扉や引き出しを作らせて頂いたNさんのキッチンの記事と、

ステンレスヘアラインとナラ板目のペニンシュラキッチン風が気持ちよく吹き抜けるダイナミックな間取りに作らせて頂いたHさんのペニンシュラキッチンとバックカウンターの記事と、

ナラ板目無垢材の引き戸木の表情がふんだんに感じられる温かな空間に作らせて頂いたペニンシュラキッチンとバックカウンターの記事の3つのお話を掲載いたしました。

よろしければご覧になって頂けるとうれしいです。

しずかにふくふくした様子

Category : オーダー家具・オーダーキッチン制作事例, オーダーキッチン

「ナラ板目材とステンレスバイブレーションのオーダーキッチン」

ちはら台 S様

design:Sさん/daisuke imai
planning:Sさん/daisuke imai
producer:kouhei kobayashi
painting:kouhei kobayashi

ナラ板目のペニンシュラキッチンとバックカウンター

リビングダイニングから見たキッチン全体の様子。右手前の柱が大きくかかわってくるこのキッチン。柱と変に接しないようにリビング側の収納の割付寸法を考えております。

ナラ板目のペニンシュラキッチンとバックカウンター

印象的な板張り天井のキッチン。高さを抑えて、包まるような印象がありました。壁付けの背面カウンターとペニンシュラという組み合わせはやはり使いやすいです。背面のカウンターはステンレスとナラ板目無垢材で切り替えているのも注視する点。

ナラ板目のペニンシュラキッチンとバックカウンター

リビングから天井を見上げると、キッチンがこういう様子で写り込んできます。よい穴蔵感だなあ。

私はこの京成電鉄千原線が好きなのです。
千葉県の市原のほうにお住いの方々から時々家具のご依頼を頂くことがあります。
そういう時はもっぱら電車で打ち合わせに出かけるのですが、東京湾岸をぐるりと回る道のりはやはり車よりも電車のほうが風情があって好きです。
新宿から総武線に乗って、西に向かうにしたがって、町工場が立ち並ぶどこか懐かしい街並みを通り過ぎるのです。

洗剤ポケット付きの段付きシンク

シンクは段付き、洗剤ポケット付きシンク。段の部分には水切りプレートが掛けられます。

場所は違うのですが、子供の頃、祖父母の家が文京区の小石川植物園のそばにありまして、すぐ2軒隣が家族で何やら作っている工場だったのです。
今でいう鉄工所だと思うのですが、夏に遊びに行くとお盆の季節ですから工場はしんと静まり返っていて、それなのに正面のシャッターはすこし開いていたりするのです。
祖父母の家での遊びが飽きると、玄関にある小さな草むらに置かれた赤さびだらけの動かなくなったトロッコに乗って遊んだりしていたものです。
すると、「これは乗っちゃだめよ。」と母に言われていたのに乗ったりしていると、どこからともなく「よっちゃんイカ」(酢漬けのイカのお菓子)の匂いがしてくるのです。

シンクの下はケユカのゴミ箱

シンクの下はケユカのゴミ箱。と一部はオープン棚になっています。

ステンレスを張った棚板

オープン棚部分は背板を設けずに配管が目視できるようにしておいて、棚上面にはステンレスを張ることで、調理器具などが多少湿っていても躊躇なく置けるようにしました。

当時祖父が玄関先で駄菓子屋を営んでいた(とても素敵な環境でした。)こともあって、きっとそこから漂ってくる匂いだろうって思っていたのですが、よく嗅いでみるとちょっと違う。なんだろう、と弟と一緒に匂いのする方へ行くと、そのシャッターが少し開いたただ静かなくらい倉庫のあたりから漂ってきたのです。
今にもその暗闇から大きな目玉の人間が飛び出してくるのではないかとびくびくしたものです。
今でいうところの酢酸なのではないかなあと思うのですが、そのお宅は路地の突きあたりということもあって、私たち子どもにとっては用事のないので通ることもないし、いったい何が行なわれているのだろう、と子供の頃はその場所を見るたびに恐れを抱いていたものでした。
そういう煙突やら赤さびやら鉄骨で組まれたやぐらやら、屋上に干されている洗濯物などを見ると、どこからか「よっちゃんイカ」の香りがしてくるようでした。

ソフトクローズレール付きのキッチン引き出し

引き出しの様子。スライドレールは引き出しの底面につけるソフトクローズレールですので、レールが全く見えないのが美しい。その代わりにそこに付けているので、底上げしないといけないので、深さをちょっと犠牲にするのですが。

ソフトクローズレール付きのキッチン引き出し

引き出しの様子。

ソフトクローズレール付きのキッチン引き出し

引き出しの様子。

ソフトクローズレール付きのキッチン引き出し

引き出しの様子。

西に向かうにつれて人もまばらになってきて(幕張あたりは大変な賑わいですが)、そこから南下していくともうどこか知らない町並みで乗り降りする人も少なくなって、本当に静かな気持ちになるのですね。
そういうプロローグが好きで、電車で出かける心地良さはよいものです。
ちはら台はその路線のターミナル駅で停車すると、その先にもう線路はありません。
皆静かに下車して、私もそれに続いて降りると、先ほどの人たちはどこへ行ったのかもう人影もなくなっていたのでした。
スマートフォン片手にそこから40分ほど歩きます。(バスはなかなか不安で乗らないことが多いのです。)
今日はSさんの家を建てる設計事務所さんのアトリエで打ち合わせなのです。

ガスコンロはデリシアグリレ

ガスコンロはリンナイのデリシアグリレ。

コンロ下はスライドワイヤーシェルフ

その下はスライドワイヤーシェルフ。

古い農家に混ざって新しく土地もちらほら見えます。大きな公園(うるいど自然公園いうのですね。すてきな場所でした。)新しい家がたくさん建っています。
すてきな街並みです。
と思ったら、Sさんの建築場所は駅を挟んで真向いの方向で、またそちらも目の前に田畑が広く広がる魅力的な土地でした。

コンロ横のスパイス・ボトル収納

調味料用の細長い引き出しもソフトクローズレールをつけているのですが、この細長い(幅の狭い)引き出し用のレールがちょっと硬い。なかなか使う人の好みが分かれる部分でもあります。

調味料用の引き出し

上は高さの大小バラバラに調味料を入れられる引き出し。

ボトル用の引き出し

下段はボトル用の引き出し。

やはり、Sさんらしい土地ですね。
最初にご相談頂いた時Sさんが希望されていたキッチンは畳に座りながら食事ができるような、もしくは耳付きの大きなテーブルがあるダイニングがあるキッチンをイメージされていて、こういう和風の形を実現させるのは、暮らす人それぞれの好みで大きくイメージが分かれそうだから難しそうだなと当初は考えていたのでした。
しかし、手元に届いたキッチンのカタログをSさんご夫婦でご覧頂くうちに、いつもの私たちの形のほうがスッキリしてよいかもという思いに定まったようで、その思いを携えて、この寒川まで足を運んでくださったのでした。
そこで大まかなイメージは固まりまして、いよいよ建築も始まるというタイミングでちはら台にお伺いしたのです。

ステンレスバイブレーションとナラ板目材のキッチンバックカウンター

背面カウンターの様子。一番左端はナラ板目無垢材の天板にしています。ここはちょっとしたデスクとして使えるようにと考えたのです。デスクにした時にステンレスだとヒャッとしますものね。

ステンレスバイブレーションとナラ板目材のキッチンバックカウンター

このオープン部分はトレイやランチョンマット、レンジの天板などが置けるようなオープンスペース。

ステンレスバイブレーションとナラ板目材のキッチンバックカウンター

今回、Sさんご主人にとても気に入ってもらえたのがこの手掛け。サイズや割付、アールの具合など今回は今までの形状から見直すことで少しすっきりした印象になりました。

ところでSさん。ご主人はとても物静かな方。奥様も同じようにご主人と同じく丁寧にお話される感じ。そして、設計士さんのYさんもどちらかというと穏やかな方。ここまで歩いてきた風景という導入部の物静かさもあってか、Sさんのキッチンを思い描く時は、とても静かな初夏の午後を思い出すのです。

バックカウンターの収納内部

扉を開けると。

キッチンソフトクローズレールの引き出し

引き出しの様子。

キッチンソフトクローズレールの引き出し

引き出しの様子。

キッチンソフトクローズレールの引き出し

引き出しの様子。

ステンレスバイブレーションとナラ板目材のキッチンバックカウンター

引き出しの様子。

キッチンソフトクローズレールの引き出し

引き出しの様子。

メールでほぼ内容をまとめてきたこともあって、打ち合わせ自体は1時間もかからずに終わることができて、設置工事の段取りもうまく進められそうです。
私たちのキッチンというと、施主支給という形で新居に導入させて頂くことが多いので、設計事務所さんや工務店さんは初めて顔を合わせる会社さんが多いのです。
それで、基本的にその会社さんのご協力がないときれいに納まらないので、このご挨拶のタイミングはいつも緊張するわけです。
でも幸い、私たちにキッチンを依頼してくださる皆さんが選ぶ工務店さんだからか、気持ちの良い設計士さんや監督さんと出会うことが多くで、今では緊張するとともに楽しみであったりするのです。
形もおおよそまとまっていたこともあって、打ち合わせはそよ吹く風のようにゆったりとし短い時間で終了し、重要なポイントになりそうな、柱とキッチンの接する部分だけはしっかり進み具合を見て判断しましょう、ということで、あとは工事が始まるのを待つばかりです。

ナラ板目無垢材の引き戸

リビング側収納部。大きな引き戸は無垢材の中に合板を入れた構造で、反りが出にくいようにしています。

それから、数か月後。
いよいよ大工工事も始まって壁から柱までの距離が計測できる時期になりましたので、あらためて電車に揺られて伺います。
ご新居の建設地は、今度は駅から北に向かって15分ほど歩いた田園地帯でお寺さんの隣というとても静かで魅力的な場所です。
その住まいはというと、キッチンは高さを引き締めてリビングに入ると天井の高さがグッと上がるという気持ちの良い空間になりそうな印象。(まだ骨組みですので。)キッチンからは庭が見渡せるレイアウトで、これならこの柱も全く気になりません。
この柱は構造上必要な柱なのですが、視線、動線上の繋がりが切れてしまうような印象がありまして、それなら自然に見えるように柱とキッチンのラインを揃えたい、ということで、壁から柱までの位置が計測できるこのタイミングで現地を確認する必要があったのです。
打ち合わせの時よりも短時間で確認は終了。

ペニンシュラキッチン対面のディスプレイスペース

ステンレスのワークトップとリビング側の飾り棚の天板の間は目地を取って、天板が少し浮いたような印象を持たせています。

これで制作に取り掛かれます。
今回はこのタイミングまで制作に取り掛からずにおりましたので、ちょっと手際よく進めなければいけません。
あらかじめ無垢材の段取りだけは済ませておいたので、(反っちゃうといけないので)あとは工房の中で一番手際のよいコバヤシ君が製作を担当します。
みんなが言うには、コバヤシ君は迷いがない、とのこと。
私も工房で作業に専念していた時代は手が早いと言われていましたが、コバヤシ君の動きを見ているとなるほど、早いです。
今な独立して一人で頑張っている元スタッフのムラカミ君が当時言っていたのは「自分だったら、ちょっと立ち止まる部分もあいつは進めるんですよね。でも、それが間違っていないからすごいなあって僕も思っちゃう。」って。ミスを繰り返して人は成長するってよく言うものですので、じゃあ彼の場合はいきなり大きなミスしちゃうと怖いなあなんて話も時々出たのですが、それも事前に回避できる推察力というのかとても勘も良いのです。
そのような彼のおかげで作業は順調に進んで、設置工事に入りました。

ダイニング側の引き戸収納

引き戸を開けた様子。こちらは内部は白い化粧板ではなく、シナ合板にしています。

どうにか心配していた雨も上がっていて、まだぬかるみは残っていましたが、当日現地は私たちのためにほかの職人さんが入らない日を設けてくださったこともあって順調に搬入は終了。
搬入っていっつも心配なのです。
結構ばたばたとした現場も過去にあったりしまして、通してもらうのもひと苦労、設置場所には大工さんや設備屋さんの材料だらけで作業場がないくらい足の踏み場がないキッチン。そういう現場もありました。
皆さん持ちつ持たれつで作業しているので、そういう状況ももちろんあるものですので仕方ないのですが、やはり監督さんがうまく段取りしてくださる現場はきれいで、業者さんも順番にきちんと作業ができて気持ちが良い。
搬入が問題なければ、あとは工房で仮組したように組み上げていくだけ。思っていたようにみんなの段取りの良さでスムーズに終わらせることができて、無事に取付は完了。
お疲れさまでした。

あとは工務店さんが水道やガスの配管工事をして頂ければすべて完了。

ナラ無垢材の埋め込み船底引手

掘り込み手掛けの様子。これも私たちの場合は規格品を用いず、毎回サイズを検討して作っています。規格品も良いのですが、サイズが微妙だったり、樹種が限定されていたり、塗装がすでに施されていたりと、使い勝手が合わないことが多いのです。でもこうして作ると、例えば、縁取りはいつも2mm残すのですが、そういった細かいラインの見せ方を実現できます。ここが厚いとかなり野暮ったく見えてしまうのです。とても小さなことですが、これが全体の印象を大きく変えてしまうので。

ナラ無垢材の引き戸の敷居

引き戸のレールも最近は使っていません。耐久性を考えるとアルミや真鍮のレールを埋め込むと良いのでしょうけれど、引き戸自体はそれほど重くないし、最近の戸車は滑りが良くて摩擦が少ない。木部への負担も少ないので、仕上げに使う樹種の無垢材にそのまま溝を突いて敷居としています。ちょっとしたことかもしれませんが、これがとても美しいんです。これは友人で設計士の福原さんにあらためて教えられたことです。美しさってそういう小さなことの積み重ねなのだなあとあらためて気づかされて点でもあります。

こうして冬を迎える前に無事に作業は完了して、続いてお邪魔させて頂いたのは寒さが厳しくなってくる1月の半ばでした。
室内はふっくらと温かく、家具としてはこの時期一番心配な感想による板の収縮等の動きですが、そういった挙動はまだ見られずきれいに使ってくださっていたのでした。
実際にキッチンをメインに使われている奥様とはお仕事の関係でお会いできなかったのは残念ですが、ご主人のいつものような穏やかなふくふくした様子をキッチンを拝見させて頂いて、私も同じくらい気持ちが温まりまして、道中寒さを感じることなく家の帰ることができたのでした。

キッチン仕上
天板 ステンレスバイブレーション
扉・前板 ナラ板目無垢材/ナラ板目突板
本体外側 ナラ板目無垢材/ナラ板目突板
本体内側 ポリエステル化粧板「ホワイト」
塗装 オイル塗装仕上げ

ナラ板目のペニンシュラキッチン

価格:1,300,000円(制作費・塗装費、設備機器費用は別)

ナラ板目のバックカウンター

価格:600,000円(制作費・塗装費)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は60,000円から、取付施工費は150,000円から)

風と子らが駆けめぐる

Category : オーダー家具・オーダーキッチン制作事例, オーダーキッチン

「ナラ板目材とステンレスヘアラインのオーダーキッチン」

町田 H様

design:Hさん/daisuke imai
planning:Hさん/daisuke imai
producer:iku nogami
painting:iku nogami

ステンレスヘアラインとナラ板目のペニンシュラキッチン

リビングから見たキッチンの様子。壁付けの棚板は私たちのほうでは取付ができないですので、作り終わったらボードを張る手前の頃に大工さんに渡して付けて頂きました。

「こんにちは、Hと申します。4月に、「おうちパンをつくろう」のワークショップに家族で参加させていただきました。
現在、新築住居の設計を地元の工務店さんと進めております。
キッチンは、念願だったフリーハンドイマイさんに!と、さっそくメールをさせていただく次第です。」
そうでしたか、念願だなんて今メール読みかえしてあらためて気が付きました。
うれしい言葉じゃありませんか。

ステンレスヘアラインとナラ板目のペニンシュラキッチン

リビングから見た様子。このレイアウトでもきちんとパントリーがあるのですが、それがこちら側からは質素に映るようになっていて、とても不自然な感じがないのです。

ステンレスヘアラインとナラ板目のペニンシュラキッチン

キッチンと背面カウンターのその奥にあるのが、そのパントリー。そして、その奥が玄関。買い物をして帰ってきたら、そのままパントリーからキッチンに向かえる心地良さ。このキッチンに向かって吹いてくる風ともう一つ、玄関入ってそのまま庭に向かってずーっと土間が続いているのです。土間は庭で突き当たるのですが、掃き出しの窓になっているからそのまま外に出られる。そうなると土間と庭をぐるぐる回っちゃうのはもう自然なこと。こうして心地よい風が巡るような場所になっているのです。

そういえば、このご相談を頂く半年ほど前、私たちの工房では、時々作家さんを呼んでのワークショップを開催しているのですが、寒川のおうちパンの藤沢さんがパン教室をここで開いてくださった時にHさんいらしてくださっていたのをすっかり忘れておりました。
あれから半年経っていよいよ家作りが動き出したのですね。
どんな形に膨らんでいくのか楽しみです。

ステンレスヘアラインとナラ板目のペニンシュラキッチン

シンクには洗剤ポケットを付けています。

ステンレスヘアラインとナラ板目のペニンシュラキッチン

今回は巾木にフレキシブルボードというグレーのコンクリートのような質感の板を使っていて側板はこのような納まり。(自分のための備忘録)

ステンレスヘアラインとナラ板目のペニンシュラキッチン

今回はクリンスイの浄水器一体型水栓「F914ECO」(節湯タイプ)を使っています。浄水器のカートリッジの納まりはこのような感じ。

Hさんから頂いた内容にはこのように書かれておりました。
「私のイメージしている理想のキッチンですが、施工例にある「海が見える丘の家」のキッチンがとても好きです。
○ナラ材にステンレスの天板
○コンロしたの引き出せるワイヤーシェルフ
○スッキリした見た目
また、コンロの前をオープンにするのは油はねや換気の影響が気になりますが、その点はどうなのでしょう・・・?いずれ詳しく伺いたいです。設計の方にはコンロ前の壁をすすめられまして。」

ありがとうございます。でもプランを考えて、その形で作るための費用を出すには、もう少し具体的な要望を聞かせて頂けたら‥、と思いまして、再度ご質問。

ステンレスヘアラインとナラ板目のペニンシュラキッチン

側板と背板は今回留め加工でつないでいます。接着強度を高めるためにビスを打っているのですが、その目隠しにかんざし風の飾りをつけています。

そして、お返事を頂きました。
「お世話になります。冬のような寒さですね。
遅くなりましたが、キッチン等の仕様希望について、お伝えします。
【キッチン】
シンク下はオープンにします。
コンロ下は洗えるワイヤーシェルフ。
食洗機は45cm、フロントオープンのものを検討しています。
シンク内に洗剤置きをつくってほしいです。
ゴミ箱はシンク下のスペースに生ゴミ用の小ぶりなものと、あとはパントリーに置くつもりです。
【背面収納】
まず用途ですが、食器収納として考えています。
引き出し収納ではなく、観音開き、または引き戸のものがいいです。
「海が見える丘の家」のカップボードのように、両方あわせもっているものが理想です。
そのため、奥行きのサイズは650mm以下で構いません。
天板上には、電子レンジと炊飯器は置くつもりでいます。
このあたりを含めてイマイさんのご提案を頂けますでしょうか。お手数ですがよろしくお願い致します。」

ステンレスヘアラインとナラ板目のペニンシュラキッチン

引き出しの様子。Hさん、パン教室のほかにクレミルにもいらしてくださって、包丁差しを作っていったのでした。

ステンレスヘアラインとナラ板目のペニンシュラキッチン

引き出しの様子。

ステンレスヘアラインとナラ板目のペニンシュラキッチン

引き出しの様子。

はい、これでおおよその意見がまとまりましたので、さっそくプランを一つ考えてみて、掛かる費用とともにお送りしました。
しばらくしましたら、Hさんからお返事が。
どうやら工務店さんから上がってきた見積金額はHさんの想定以上だったそうで、予算がオーバーしてしまうので、あらためて間取りの練り直しから再スタートすることになったのだそうです。
そのようななかでもキッチンだけは私たちにお願いしたい、といううれしいお言葉を頂いて、年をまたいでしばらく待っておりますと・・。

ステンレスヘアラインとナラ板目のペニンシュラキッチン

ガスコンロの下はワイヤーシェルフ。

1月の終わりの雪がたいへん積もった日の翌日、お久しぶりに連絡を頂いたのでした。

「こんにちは。すっかりご無沙汰しております。
昨日は予想以上の大雪でしたね。お仕事に支障もあったかと思います、お疲れさまです。
最後のメールから2ヶ月が経ち、家の間取りがようやく決定しました。
以前お願いしたものから、キッチンの仕様・大きさ共に変更となってしまっています。
大変お手数をかけてしまいますが、今一度、イマイさんにご相談させていただきたく思います。
その際、イマイさんのショールームで直接お話をしながら検討させていただきたいので、お忙しいところ恐縮ですが、お時間を頂戴できますでしょうか?」

というご連絡。さっそく日取りを決めまして、あらためて打ち合わせをしていき、何度か打ち合わせを重ねてようやく形が決まりました。

ステンレスヘアラインとナラ板目のペニンシュラキッチン

調味料用の引き出しの様子。

ステンレスヘアラインとナラ板目のペニンシュラキッチン

ボトル用の引き出しの様子。ボトル入っていませんね。

キッチンや食器棚など家具のかたちを考えていく時って何が一番前にあるだろう。
自分が今の家を建てようって思った時はそれほどはっきりとしたイメージはなかったかな。
設計をする福原さんの形が好きだったから、あの人が作る空気の中で暮らしてゆくこと自体が楽しみだったかな。
あとは、娘が二人ともキッチンに立って手伝ってくれるので、みんなできちんと作業ができるような場所を作りたいって気持はあったかなあ。
食器を洗うことは暮らしの中で当たり前になっているから食器洗浄機は要らないかな、お湯が沸いたやかんはちょっと横にずらしておいておきたいからガスコンロのごとくは大きくしたいよね、そういう小さなできごとが今の自分たちの暮らしを形作っているって思うのです。
それから、もう一つ。
でも、自分たちだけで決めていたら、きっと食器棚の奥行は65センチにはしなかっただろう。
福原さんの意見で冷蔵庫となるべくラインを揃えることで、玄関から洗面室への心地良さがきっと違うよって言っていたのでそうしたわけですが、確かに奥行は深いけれど、使い勝手はよいし、重い印象はなく、背面収納の天板の広さが調理中とても頼もしかったりするわけです。
そういうワクワクする部分を思ったり、まだ見えていないけれどきっとワクワクするはずの部分を伝えながら、形って決まってゆくのだと思うのです。

ステンレスヘアラインとナラ板目のペニンシュラキッチン

コンロ周りの様子。コンロは、リンナイのデリシアグリレ。

ステンレスヘアラインとナラ板目のペニンシュラキッチン

最近よく見かけるようになりました。ネオジム磁石の入ったフック。Hさんもとてもうまく活用されています。

Hさんのキッチンという空間は、その使っている様子を見させて頂いて、なるほど、と思わずにんまりしてしまう部分が多くて、打ち合わせの最中はきっと私に伝わっていないけれど、Hさんたちが心で温めているワクワクがあったのだなあと思うと、それはそれでうれしくなるのです。
特に玄関ね、キッチンと玄関がこうして楽しくつながっているとは思っていませんでしたから。
だから、お引越し後に上がらせてもらって、その空気の心地良さを伝えてくださるHさんの表情がとてもうれしそうだったのはよく分かります。

ナラ板目材のキッチンバックカウンター

背面収納。キッチンと同じ意匠に見せるために、キッチンはカウンターの厚みを20mmにして、その下の目地を10mm採ったので、こちらもそのように見えるために30mmの板を細工して仕上げています。

そうして形は決まりましたので、いよいよ制作に取り掛かります。
今回家を建ててくださるのは、カキザワホームズさん。以前、「ストーリテラー」のDさんのところでお世話になった工務店さんです。おもしろいものですね。偶然ほぼ同じ時期に町田で家を建てているなんて。
そういうわけで、一度カキザワさんの現場に入らせて頂いておりますので、何となく気持ちが安心です。

ナラ板目材のキッチンバックカウンター

当面は小さなレンジが入っているそうです。

今回は、無事に上棟が終わり、床が張り始められたころHさんとカキザワさんで打ち合わせがあるところにお邪魔させて頂いて、水道管やガス管の取り出し位置、レンジフードのダクト取り出し位置、電気配線の位置、そして、キッチンの設置時期の確認などをさせていただきます。
また、今回はキッチンのある場所は1階でしたので、家具を分割する必要も、搬入の複雑さもありませんでした。
ここで問題なさそうでしたら、いよいよ制作に入らせて頂き、大工さんの木工事が終わる頃に設置工事に入れるように進めていきます。
家つくりで一番大きいのはやはり監督さんや大工さんの段取りだと思うのです。
そこがきちんとしていて、現場に笑顔があると、現場はとてもきれいだったり、仕事がとても丁寧だったりするのです。
カキザワさんもそういう良さがありまして、キッチンを設置する時には私たちが作業しやすいように場所と時間を作ってくださったおかげでとても気持ちよく作業ができたのでした。
そして、そういう家はとても丁寧に作ってあります。
新居が完成して伺わせて頂いた時、前述したような気持ちよさとともに作りの丁寧さが心地よかったのでした。

ナラ板目材のキッチンバックカウンター

バックカウンターの引き出しの様子。

ナラ板目材のキッチンバックカウンター

バックカウンターの引き出しの様子。

ナラ板目材のキッチンバックカウンター

バックカウンターの引き出しの様子。

ナラ板目材のキッチンバックカウンター

バックカウンターの引き出しの様子。

ナラ板目材のキッチンバックカウンター

バックカウンターの引き出しの様子。

ナラ板目材のキッチンバックカウンター

バックカウンターの引き出しの様子。

今は無邪気に走り回る子供たちもまもなくこの気持ち良さが何なのかきっと気づくはず。
あっ、もう分かっているかもね。アハハって笑いながら通り抜ける風を思いきり吸い込んだから。

キッチン仕上
天板 ステンレスヘアライン
側面・背面 ナラ板目無垢材
扉・前板 ナラ板目突板突板
本体外側 ナラ板目突板
本体内側 ポリエステル化粧板「ホワイト」
塗装 オイル塗装仕上げ

ナラ板目のペニンシュラキッチン

価格:900,000円(制作費のみ、塗装は施主様施工、設備機器費用は別)

ナラ板目のキッチンバックカウンター

価格:500,000円(制作費のみ、塗装は施主様施工)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は50,000円から、取付施工費は150,000円から)

木々が挨拶してくる

Category : オーダー家具・オーダーキッチン制作事例, オーダーキッチン

2016年7月21日

「ナラ板目材とステンレスバイブレーションのオーダーキッチン」

武蔵小金井 M様

design:Mさん
planning:Mさん/daisuke imai
producer:yasukazu kanai
painting:haraki tosou

宙に浮いたようなステンレスカウンターのあるオーク材を使ったオーダーキッチン

「じゃあ、せっかくなので、お二人がキッチンに立ち様子を写真に撮らせてください。」と言って、お茶を用意してくださっているところをパチリ。ご主人のシャツの片方がめくれあがっているのは、マトリョーシカがちょうど隠してくれました。

「実はあの時に、偶然お父様が工房に立ち寄らなかったら、今の話はなかったかもしれませんね。(笑)」とMさん。
「私たちは、いろんなところに出掛けるのが好きでね。」とキッチンに並ぶお猪口たちを見つめます。
「このお猪口たちもいろんなところに出掛けて作家さんにお話しして一つずつ気に入ったものを集めてきたのです。そう、それで、私たちは時々出掛ける北欧家具のお店があるのです。それが伊勢原にあるtaroさんという北欧のヴィンテージ家具を扱っているお店に出掛けていたのです。」
「あ、知っています。私も行ってみたいなって思っていました。うちからも近いですし。」
「そう、taroさんのところに行った後に、そういえば興味があるキッチンを作っている工房があるなって思ったのです。この武蔵野からだと、神奈川県の真ん中あたりに出掛けるのってちょっとした小旅行なのです。だから、いくつかいろんなところを回りたいなって気持ちがあって。でも、イマイさんのところは特にきちんと予定していなかったから、もしかしたらキッチンが見られるかも、っていうくらいの気持ちだったのです。」
「それで、ちょうど工房の前を通りかかって、工房をそれとなくのぞいていたんです。でも、お休みのようで誰もいらっしゃらなかった。」
「すみません、私は打ち合わせでその週末も出掛けてしまっていまして・・。」
「そうしたら、偶然イマイさんのお父様が通りかかったのです。「良かったら見ていってください。」そう言ってくださって、それでお邪魔させて頂いたのです。でも、お父様はもう現役ではなかったですものね。だから、キッチンんとお話をするよりはもっと別の話をしてとても惹かれたのです。それは、私が設計したレコーダーをお父様が持っていたのです。」
なるほど。面白いなあ。
父は昔からずっと家具だけではなく音楽に携わっていますので、いろんなところでつながりが生まれるのですね。
そのような感じで、Mさんとのお付き合いが始まりました。

コンロキャビネット都心区カウンターが分かれたオーダーセパレートキッチン

パントリーからキッチンの見た時の様子。


宙に浮いたようなステンレスカウンターのあるオーク材を使ったオーダーキッチン

アイランドキッチンは四方から物がしまえるようなデザインで、ぐるりと歩いていると楽しいキッチン、という印象になっていました。Mさんらしい。


オーダーキッチングランプリを受賞したセパレートキッチン

冬に伺った時の写真。玉川上水の樹々は葉を落として向こうの空が高く見えます。

そのようにしてMさんには、キッチン以外でとても勉強になるお話を戴きました。
「そうですね、いくつか予定を立ててぐるりと回りたいって気持ちわかります。」
「うん、私たちもtaroさんのほうに出掛ける時は、1日使って、taroさんに行ったあとに、伊勢原の農協に行って野菜を見せてもらって、そのあとに鶴巻のほうでお風呂に入って、のんびりしてから帰ってきたりすることもありました。やはりその土地に出掛けるからにはその土地を楽しみたいなって思っています。
イマイさんの工房の近くも田畑が多くて、なかなか魅力的です。周りにもっと立ち寄れるところがあると良いのですよね。」
「それは私も常々思っています。倉見と言う町は、特に大きく目立ったお店が少なくて、よく工房を見に食てくださったみなさんに、帰り際に「どこかで美味しく食事をとれるところがありますか。」って聞かれるのです。でも、なかなかこれっていう場所がなくて・・。最近はようやく新しい家々も建ち始めて、少しだけ魅力的なお店もでき始めているのですが、私たち自身がまだ横につながっていなくて・・。
例えば、最近はクラフト市っていろいろなところで開催されていますよね。それを父も企画するのですが、なかなか小さな町のお祭りの印象から抜け出せなくて・・。」
「なるほど、私が思うには、やっぱり1日かけて遊びたい、と言うか、その町でぐるりとしたいわけです。別に1か所にとどまらなくても良いのです。たとえば、○○で美味しいご飯が食べれてそこから、歩いて少し歩いて行くと○○のお店があって、さらには家具の相談だったら、そこから車でちょっとでイマイさんのところがある。ひと休みしたかったら、そこから車でちょっと走ると温泉があって、ごろりとひと眠りできる。」
「やっぱり温泉なのね。(笑)」と奥様。
「うん、やっぱり出かけたらお風呂に入ってさっぱりしたいじゃないですか。(笑)だから1日かけて街を周遊できるようになったらその街の魅力はぐんと上がるんじゃないでしょうか。」
おぉ、なるほど。楽しそう。
「今後の大きな課題ができました。頑張ります!」
そのような感じで、大変勉強になったMさんとの打ち合わせだったのです。

オーダーキッチン内部のお茶をしまうスぺース

いつか食器洗浄機を入れる場所は今はこのように使ってくださっています。

玉川上水沿いに新しく家を建てることになって、その家に私たちのキッチンを迎えたい、そういう夢をお二人はお話ししてくださったのです。
そして、どうやら今回のキッチンは奥様の思いももちろんですが、ご主人の熱情のほうが強いみたい。
頂いたスケッチ(ご主人作)を見るとその気持ちが良く良く伝わってくるのでした。

オーダーキッチンのイラスト

ご主人が描いたスケッチ、その1。


オーダーキッチンのイラスト

ご主人が描いたスケッチ、その2。

私と年齢も近いMさんご夫婦。いろいろとざっくばらんにお話が出てきます。
今住まわれているアパートメントにもお邪魔させて頂き、何を必要として、何を必要としないかといろいろと見せて頂いたり、お持ちのラフな印象の家具たちも見せて頂いて、どんな暮らしを思い描くのかをいろいろとお話ししてくださいました。
また、ご新居を設計する建築士さんもMさんのご友人ということで、その家作りはどこか童心を感じさせる温かな気持ちのまま進んでいくのでした。

ハイランドデザイン 一級建築士事務所
https://www.highland-design.com/

オーダーキッチンの引き出しの内部の様子

ソフトクローズスライドレールを使った引き出し。引き出しの底につけるので、その分、引き出しの深さが取られてしまうのですが、開けた時の見た目はレールが見えなくてとてもすっきり。

建築士さんの高橋ご夫妻も交えて、キッチンの形も決まり、製作も順調に進みました。
確か最初に私たちのところにお立ち寄り頂いたのが1月、今はもう10月。秋ですね。
その秋が深まり始め、玉川上水や小金井公園の樹々も秋を迎え始めようとしている頃、いよいよ取付です。

オーダーアイランドカウンター側面にはタオルが掛けられるようになっています

こちらはアイランドキッチンのバルコニーに面した側。フキン掛けとカトラリーケースが置かれているのです。

ようやくキッチンを据えられるということで、現場に赴きましたが、大工さん作業の真っ最中。
この現場の様子を見て、「まだ時期的に取付は早かったのではないだろうか。」と思っていたのです。特アイランドキッチンを据えてしまうと、スペースが狭くなってしまうわけですから、他の業者さんの邪魔になっちゃうかもしれまません。
でも、そんなことはありませんでした。
大工さんの気配りでスペースを開けてくださって、足場を一部解体していよいよ搬入です。足場があるうちのほうが搬入は楽でしたし、バルコニーの手摺がついちゃうと、搬入がとても大変になっちゃう。そのような搬入のたびにあばらに手摺が食い込んで何度傷めたことか・・。
そのようなわけで搬入はスムーズに終わり、スペースも開けて頂けたおかげで取付もスムーズに完了。

オーダーキッチンのアイランドカウンターの側面はブックラック

こちらはアイランドキッチンのパントリー側。レシピ本が見やすく使いやすいようにこのように並んでいるのです。

途中に、Mさんやハイランドデザインの高橋さん夫妻も見に来て下さって、和気あいあいと作業は進むのでした。
こうして、ひとまずキャビネットを壁に設置する作業は完了して、ガスコンロなどの組み込む機器類も組み込んで、あとは壁が仕上がって機器のつなぎが終わったら仕上げに引き出しなども持ってきて完了。
なかなか大きなキッチンでしたが、皆さんのおかげでスムーズに設置ができてひと安心。

アイランドカウンターのリビング側にはカップが置けるオープンスペース

こちらはアイランドキッチンのダイニング側。このオープンスペースがあると、キッチンがより家具らしい印象になってきますね。

そして、無事残りの工事も完了して、お引き渡しのあとにあらためてMさんを訪ねたのでした。

「イマイさん、このたびはお世話になりました。おかげでとても素敵なキッチンになりました。」
そうご挨拶頂いて、2階のリビングへとお邪魔させて頂きました。
わぁ、懐かしい。それが第一印象。
どこが懐かしいのか具体的には説明しづらいのですが、そう、玉川上水を挟んで向かいにある小金井公園の中の「江戸東京たてもの園」の中にある近代建築の中に足を踏み入れた時のような印象。

オーダーキッチンの収納内部にお猪口をしまうシェルフ

こちらがご主人が熱望していたアガチス材で作ったお猪口を並べるケース。中にポンと置かれているので、引っ張り出して飾り棚のようにして使うこともできるのです。

細いサッシの向こうに見える色づいた樹々。手前でキラキラ黒光りするタイルと、質素(と言っていいのか、シンプルと言えばよいか)な木柄のキッチン。建具もどこか懐かしい表情。
どっか懐かしくて温かい広間だったのです。
「本当はイマイさんにはダイニングテーブルが届いてここが整ってからいらして頂きたかったのですが、まずはこの状態も見てもらいたかったし。来て頂いてありがとうございます。」
「こちらこそ、こんなにすてきに使ってくださってありがとうございます。そして、この抜けた印象、すごく気持ち良いですね。」
「うん、当初は窓をこれほど大きくするつもりもなかったのですが、高橋さんがこの印象は必ず実現させたいって言っていたので。どんなふうになるかなって楽しみだったのですが、緑がきちんときれいに入り込んでくる野はやはり窓を大きくして正解だったかな。」
「はい、まるで公園の木がMさんのところに挨拶してくれているみたいで、気持ちが良い景色です。」

オーダーで作ったお猪口をしまうシェルフ

「一つずつ作家さんのお話を聞いて集めてきた器で、どれも気に入っています。」と言いながら、それぞれのエピソードをうれしそうにお話ししてくださいました。器がただの器ではなく、その人にとって大きな存在となるとはこういうことなのですね。

「そうですね、まだダイニングテーブルが届いた頃に遊びにいらして下さいね。」
そうにこやかにおっしゃってくださったMさんご夫婦の後ろの樹々はもうすぐ紅葉する頃でした。
四季が目の前きちんと移り変わる様子が分かるって良いなあ。

タイルをアルテック柄に貼った壁面とコンロ側のオーダーキッチンキャビネット

タイルとキッチンのバランスがとても美しく、メリハリのある空間になっています。


フライ返しや包丁をしまう引き出し

引き出しの様子。


ラップと布巾をしまうソフトクローズレール付きの引き出し。

こちらのコンロ側の引き出しは、Mさんの希望で、この出っ張った手掛けにしています。シンク側は濡れた手で触っても良いようにステンレスのハンドルをつけていて、そのメリハリも面白い。


調味料をしまうソフトクローズ機能付き引き出し

調味料用の引き出しは今回は専用の金属製のものを採用。


オーダーキッチンでよく使うスライドワイヤーシェルフ

コンロの下には、いつものお馴染のスライドワイヤーシェルフ。引っ張り出せて、さらには汚れたら簡単に取り外して洗えるところが良いところ。


フライパンや鍋を縦にしまえる引き出し

こちらもMさんが強く希望していたいろいろなパンたちの収納。以前に「手ぶくろのような温かさ」の鵠沼のOさんのところで作ってから評判の良い収納方法なのです。


オーダーキッチン内部のお皿が縦にしまえる引き出し

そpして、もう一つ強く希望されていた大きなお皿を立ててしまうための引き出し。おぉ、贅沢な収納方法だ。でもこれがとても使いやすいのです。


オーダーセパレートキッチンを上から見た様子

2階から見下ろすとこのような感じ。今回のステンレスは、表面に丸い弧を描くように模様をつけるバイブレーション仕上げ。ヘアラインよりもより光沢が抑えられて、しっとりした印象になっています。


オーダーセパレートキッチン全体の画像

引いて撮る。


アイランドカウンターの収納の様子

シンク側の収納はシンプル。シンク下はオープンにしておいてゴミ箱を置くスペースに。その隣は食器洗浄機(予定)のスペースと4段の引き出しのみ。


洗剤ポケットと水切りプレートのあるシンク

キッチンを考えるにあたって一番の参考になったという「木漏れ日の家」の稲城のUさんのキッチン。そのキッチンの印象が好きで、今回天板がキャビネットから浮いている印象にしましたし、この水栓も同じKAKUDAIのものを採用しているのです。そして、洗剤ポケットとバーがその奥に見えますね。


ステンレスバイブレーション仕上げの水切りプレート

そして、水切りプレート。

キッチン仕上
天板 ステンレスバイブレーション
扉・前板 ナラ板目突板練り付け
本体外側 ナラ板目突板練り付け
本体内側 ポリエステル化粧板「ホワイト」
塗装 ウレタンクリア塗装ツヤ消し仕上げ

ナラ板目材とステンレスバイブレーションのシンク側アイランドキッチン

価格:940,000円(制作費・塗装費、設備機器は別途)

ナラ板目材とステンレスバイブレーションのコンロ側壁付けキッチン

価格:770,000円(制作費・塗装費、設備機器は別途)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は50,000円から、取付施工費は160,000円から)

ハンバーグ

Category : 日記「自由な手たち」

2019年9月17日

そうなるとやっぱり肉だね。
姉ちゃんのお祝いだけと、やっぱりチアキのリクエストで肉だね。
ハンバーグにソーセージに目玉焼き。
イカフライもついちゃうよ。
そして、大盛りごはんとコーラ。
我が家ではチアキが一番たくさんご飯を食べているかなあ。

どうしようか

Category : 日記「自由な手たち」, 庭のある家

2019年9月16日

ハルカはなかなかみんなをつなげることが得意というか好きなようです。
先日の体育祭で三年生のリーダー(応援団のようなもの)の一人として最後の体育祭を無事に終わらせることができたので、では小さくお祝いということで外でご飯を食べましょうと思っていましたら、連日部活があって、(吹奏楽部は三年生も秋まで活動があって、部長である彼女は楽しそうですがちょっと大変。)その後に塾があって・・。
中学生は忙しいのです。

「じゃあ、みんなで外には行けないなら、またレストランみたいなご飯を食べようか。」ということで、アキコとチアキが準備をしております。
なにつくろうか。

オーダーチェア「クリとアイボリーのファブリックを使ってやさしい印象にまとめた椅子」

Category : 日記「自由な手たち」

20190916002背もたれと座面の高さやバランス、全体的な丸み、座面の慎ましい感じなどとても美しく可愛らしい印象に整いました。
円卓によくあうことでしょう。
家具の形って最後にはやっぱりその形を使っていて楽しい暮らしになることをイメージできるかどうかです。
正解なんてなくって、とても独りよがりな意見になっちゃうこともありますが、皆さん私たちのかたちをそのまま好きですって言ってくださるのがとてもうれしいところ。
この椅子や円卓やテレビボードが置かれる様が浮かんできて気持がほころびます。

ランドセルを置く棚

Category : 日記「自由な手たち」

クレミルに何度もご参加くださっているNさんのところに家具のお手入れをするためにお邪魔してきました。
引き出しにオイルを擦り込んでメンテナンスが終わった後は、以前にNさんがお一人で頑張って作った家具たちをどんなふうに使っているのか見させて頂きました。
二人のお嬢さんがランドセル(来年おねえちゃんが1年生ということ)を置いてきちんとお片付けができるような棚にするということで、まもなくランドセルが届くんだって。楽しみだね。
そしてNさん、実はヨガの先生でいらっしゃって、何かっしょにクリエイティブなことができないかなあなんてお話になりました。
どんな形にできるかいろいろと楽しみが増えています。

ハレの日

Category : 日記「自由な手たち」, 庭のある家

2019年9月15日

この家に暮らし始めて4ヶ月が経ちました。
この家を設計してくれた福原さんが本日我が家を訪ねてくださるということで、きちんとお迎えできるようにきれいにしましょうね。

ハルの運動会

Category : 日記「自由な手たち」

2019年9月14日

今日はハルの中学最後の運動会でした。
幼稚園から一緒の同級生の子たちの成長した姿も見られて、ここからみんな巣立っていくのだなとしみじみとしてしまいましたが、楽しそうな姿は元気をもらえますね。おとうさんも2年目のPTA会長、お疲れさまでした。

おいわい

Category : 日記「自由な手たち」

2019年9月13日

今日は夕方から帝国ホテルまで出掛けていたのです。
平成建設さんの創立三十周年ということで、その記念式典出席のお声掛けを頂いたのです。
営業・設計・工事でいろいろとお世話になったスタッフの皆さんとお会いできて、最後まで笑顔の式典でした。
平成さんの素晴らしいところは、みんながみんなを好きなんだなあというところ。
和気あいあいとしているところ。
お付き合いをさせて頂いた当初からその印象はずっと変わらないって素晴らしいなあと感じながらおいしいお料理とお話を頂いてまいりました。
お土産には、ちぎりの形の箸置きととても手触りのよい漆仕上げの夫婦箸を頂きました。
平成さんの漆の仕上げは特におもしろくて、いろんな材に塗布して仕上げるその技術がまた美しくて、大画面なのにとても繊細に広がっていっている様は何というか静かな躍動感にあふれているというか、とても魅力的な仕上げでした。式典前の展示でいろいろと興味深い展示を拝見させて頂いて、勉強にもなった一日でした。
ありがとうございました。