オーダー家具製作例

ナラ節アリ材を使ったディスプレイケース

ちょっぴり隠し部屋

「本棚のオーダー」

小平 F様

design:Fさん
planning:daisuke imai
producer:kouhei kobauashi
painting:kouhei kobayashi

Fさんには、2年前にキッチンを作らせてもらったのですよ。
そして、このたび、目力の強いご主人からうれしいことに新しいご相談を戴いたのでした。

「フリーハンドイマイ様、こんにちは。ご無沙汰しております。2017年の4月頃にキッチンを制作していただいた小平のFです。
キッチンは相変わらず妻も気に入っているようで毎日楽しそうに料理をしています。その節は本当にありがとうございました。

fja008
もともとFさんが使っていたコレクション棚の写真をお借りしました。
さて、またご相談がありメールさせていただきました。
今回、書斎を移動させることになり移動先の部屋をリフォームすることになりました。書斎には民芸品を飾っているコレクション棚があり、せっかくなので新しい書斎に特注で壁に取り付けるコレクション棚を作りたいと思いました。
そのコレクション棚を制作していただけないかというご相談です。
以下、大体の概要です。

【寸法について】
斜め天井の部屋となっています。
また奥にはくぼみがあり、そこにもコレクション棚を作りたいと考えています。
手前に奥行き150mm程度、横幅1950mm、高さが斜めになっているコレクション棚一つ、
奥のくぼみに奥行き430mm、横幅750mm、高さが斜めになっているコレクション棚を一つ作りたいです。

【大体のイメージ】
市販のコレクション棚の写真もお送りします。
●後ろが鏡張りになっている。(予算次第で採用)
●ガラスの棚板の高さが変えられる。(高さは変えられるようにしたい)
この点が気に入っています。
扉は今回は大きな家具になるので横1950mmの方が現在のコレクション棚のプッシュして開く方式でなく、スライド方式のガラスの扉が良いかなと思っています。
奥の横750mmの棚はガラス1枚のプッシュ式が良いかと思っています。
(ご意見お聞かせください)

【斜め天井について】
リフォーム屋さんに他のリフォームのついでに意見をいただいたのですが、
やはり悩ませてしまうのは斜め天井のようです。
一番上まで木をやって棚を作っても、前面のガラスはどうするのか?など問題が出てくるようです。
案としてはナナメを諦めて四角のコレクション棚にする。
四角のコレクション棚にした上で段になるように小さい上置を三つくらい作るなどの案をもらっています。
イマイさんの方でこういう作り方ができるなど案をいただけたら幸いです。

【気に入っているページやその他】
https://www.freehandimai.com/?p=14443
このページのナナメ天井の木の処理がとても綺麗で気に入っています。
https://www.freehandimai.com/?page_id=3703
このページの食器入れ部分が大きくなった感じなのかなと思っております。(中はガラスの棚板)
https://www.freehandimai.com/?page_id=4121
このページ上部の大きなスライドドアの感じがとても良いです。
ページ下部のガラスの棚板もとても綺麗です。
●木は白色が良いです。
●飾り棚の内部にLEDライトはつけない予定です。
●ガラスが多く高そうなイメージですが、アクリルだと安く済むとか、ここは木材だと安く済むなどあればお聞きしたいです。

よろしくお願い致します。」

おもしろそうですが、難しそうなご相談です。

ナラ節アリ材を使ったディスプレイケース
全体の様子。こういう傾斜した部分を一人で採寸するのってなかなか工夫がいるのです。今回はFさんが手伝ってくださったので大変助かりましたが、基本的にメジャーを使って測るので、時には腕やふくらはぎが攣りそうになりながら測っております。レーザーで測るタイプのものもあるのですが、精度が良すぎて角度が1度傾いただけで、2、3ミリも数値が大きくなっちゃったりするので、かえって信じられなくて、レーザーも使いますがこれはあくまで確認用で、基本は手で計測するので、いつも汗だくです。

さっそくFさんと数回メールのやり取りをして、原案を作ってお送りしました。
まず、実現させたいのは、今回一番の醍醐味である斜め天井を生かした見せかたです。
でも、Fさんの家の2階にこのような空間があったのだろうか・・。
前回、キッチンの時に搬入をほぼベランダから荷揚げしたことを思い出して、この天井高さに対応するには、ある程度部材の状態で搬入して、現地で組み立てる方法にしないと難しそうでして、そのあたりを考慮した形にしないといけません。でもどこで分割すれば一番目立たなく自然な形に見えるかなかなかバランスが難しくって。

ナラ節アリ材を使ったディスプレイケース
現場での削り合わせは必要だったみたいですが、きれいに納まってひと安心。三角形の部分はさすがにアクリルを入れても取り外せなくなってしまうので、オープン棚にして、この一番上のみ小さめの引き戸で、きちんと引き戸として機能します。

本当は、全部板のまま現地に運んで、それを現地で組み合わせれば、搬入なんてそれほど気に留めなくて良いのでしょうけれど、そういうふうに現地での作業が増えると、家具としての精度ってなかなか出にくくなってくるんです。
なるべく工房で形を仕上げて、現地での作業は最小限に、というのが私たちの考え方。
現地ですべてガッチリ組み立てて、何かあってももう外せないよってくらいしっかりやる職人さんも見ることがありますが、私たちの場合は基本的に工房で完成したものを人が運べる程度に分割して、現地で組み立てられるような形で作ります。
現地では接着はあまりせずにネジでしっかりと固定するだけ。
接着しちゃうと何かあった時に取り外せなくなっちゃうので。
(もちろん、壁に埋め込む棚板などは外せないですが、家具は運び直すことができるようにしています。結構、お引越しなどで家具を持っていきたいっていうご相談も頂くので、そうなった時に外せた方が良いですので。)
そうすると、箱と箱をつなぐ部分につなぎ目ができるのですが、なるべくそれを最小限にしたいのです。
そこで、あれこれ悩みながら一つの形を提案致しました。

ナラ節アリ材を使ったディスプレイケース
すこし奥まったところにある奥行きの深いコレクションケース。こちらは当初は框組した開き扉で考えていたのですが、お人形を入れる時しか開けないなら、扉じゃなくても良いです、ということでアクリルをケンドン式にしています、が、やっぱりたわむのです。

Fさんその形を大変気に入ってくださって、さっそく詳細部分について打ち合わせるためにお伺いすることにしたのです。
「こんにちは、お久しぶりです。」
「イマイさん、こんにちは。」とFさん。今日は奥様のとお話ではなく、ご主人の家具ですので、打ち合わせはご主人と。おお目力強い。
でも、前回と違うのは、すでに顔見知りな分笑顔が多くてうれしいのでした。
それにコレクションを見させてもらったからなのか、何となく照れた印象にも。Fさん!

ナラ節アリ材を使ったディスプレイケース
樹種は、キッチンの時に気に入ってくださった節のあるナラ材。お人形が映える、というよりは木の表情そのものが好きです、ということで、この木を選びました。好きな形に囲まれた場所で仕事をするって楽しそうです。

で、そのコレクションを見させて頂く前に行ったどこにこの家具を作るのかがずっと不思議だったのです。
2階に上がって、キッチンを見させて頂きながら、「イマイさんこちらです。」と案内される先は幅45センチくらいしかないとても狭い通路。どこに連れていかれるのだ・・。
そして、そのちょっと薄暗くなった先にその部屋はありました。
へえ、この場所にこのような部屋があるとは・・。まるで隠し部屋です。
「実は前回のリフォームで間取りを変えた時にこの場所が生まれまして、前回はあちらの部屋(リビングのほうを指さします。)で仕事をしていたのですが、これからはここをアトリエのようにしたいなと思いまして。」
Fさん、ご自宅でウェブデザインの仕事をされておりますので、そのためのワークスペースとコレクションを飾るスペースを設ける、ということなのですね。

ナラ節アリ材を使ったディスプレイケース
棚板はガラスにしています。アクリルだとたわんで人形が転がってしまうのが目に見えていたので。でも普通のガラスだと、割れたら危ないので、強化ガラスにしています。ガラス屋さん曰く、「強化加工すると、ガラスに反りが出ますのでご了承ください。」とのことでしたが、ほどんど気にならなくてひと安心。

それにしても不思議な部屋です。頭が当たるくらい低く狭い通りを抜けると、屋根勾配のあるダイナミックな天井高い部屋が現れるとは。
ここにそのコレクション棚がつくとどんな感じになるのでしょう。
楽しみと、施工の複雑さにワクワクという意よりはドキドキしながら、打ち合わせを進めていきます。
搬入経路を確認すると、やっぱり細かくしないと入らない、けれどもこれ以上細かくするとかえって引き戸の精度が悪くなるだろうし・・。

とそこで、搬入の心配とその分割することで現れるデザイン上出てくるつなぎ目の心配よりももっと大きな課題をぶつけてこられたのでした・・。

ナラ節アリ材を使ったディスプレイケース
お人形はFさんがいろいろなところに露光に行くごとに手に入れて集まってきたもの。ですので、いろんな表情をした人形たちが集っております。ここは猫コーナー。
「その引き戸なのですが・・。」とFさん。
「できれば、イマイさんに書いて頂いた細かく分かれた引き戸よりももっと大きな引き戸にしたいのです。なるべく仕切りを取り払って飾るものはきちんと見えるようにしたくて。」

なるほど。

「それで、引き戸はおそらく人形を追加するときくらいしか空けないので、この部分をくっつけて大きな引き戸にできないでしょうか。しかも木の枠は見栄えが悪くなっちゃうので、つけたくないのです。」

おお、困った。

引き戸だけれどもそれほど引き戸としての機能は無くてよくて、ホコリの親友防止がメインということで、一応引けるという形で良いとのことでした。
まず大きな引き戸で枠をつけないとなると、ガラスだと思いし、何かの拍子の落ちたりしたら割れてしまってさあ大変。
ですので、アクリルにしないといけないなあ。でもアクリル割れない分弾力があって柔らかいんだよなあ。
と、いよいよ形は決まったのですが、心配していた通りのことになりました。
コバヤシ君が「社長、アクリルの戸を見てほしいんですが・・。」と神妙な顔つきで事務所にやってきました。
さっそく工房に見に行くと、アクリルが自立しているだけでも自重でたわんでおります。
なるほど、アクリルの性質ってこういう感じなのか‥。
そこで、Fさんと相談して、宝石屋さんのカギのように普段は開かないようにアクリルと側板を化粧ネジで固定できるようにして、開け閉めする時だけ両手で開けて頂く、という形で対応させて頂きました。
これで、制作の問題はどうにかクリアできて無事に完成。
あとはもう一つの問題の取付だけです。

取付当日は、制作を担当したコバヤシ君に取り仕切ってもらいました。
どうやら無事に搬入できたようで、「最初、僕もだめだと思ったのですが、もう一つの出入り口があってそこを通るとご両親のほうの玄関に出ることができて、そこの階段は真っすぐで回り込むことが無かったので、ここを使ってどうにか屋内から搬入できたので大丈夫でした。」とのこと。
そんな道があったなんて、打ち合わせの時は全く気が付きませんでした。
こうして、隠し部屋のようなアトリエが完成しました。

天井勾配に合わせて作った本棚
価格:950,000(製作費,塗装費)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は30,000円から取付施工費は40,000円から
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