ラワン拭き漆仕上げのキッチンと背面収納

2016.08.31

2016083100220160831003201608310042016083100720160831005以前に平成建設さんのショールームのキッチンを作らせて頂いた時にクスノキを拭き漆仕上げにしたのでしたが、今回はとても野心的な素材と言うべきなのか、懐かしい素材と言うべきなのか、ラワンを使ってキッチンを作らせて頂いたのです。昔の建物を見るとよくラワン材が窓枠に使われていたりして私は個人的にその古めかしい印象として好きなのですが、素朴な表情がなかなか遠慮されてしまう素材でもあります。
特に近年は、下地材として使われてしまうことが多いので、なかなか表には出てこない素材です。
それを仕上げ材として使い、漆で仕上げるというのですから、どんな感じになるかは私も見るまで楽しみでした。
取付は先日までにおおよそ完了していて、今日は、細かいパーツの取付と、スライドレールの調整などをしてきたのです。
「先日から見学会を開いているのですがとても評判が良いのです。」と今回このコンセプトを持って来て下さった設計の和知さん。
「とても良い仕上がりになって、私も塗っていてとても楽しいコラボレーションでした。」と塗師さんでもあり、大工さんでもある有賀さん。
みんなで形を考えて、私たちが作って、平成さんが塗って。
楽しく興味深いお仕事でした。
間もなくお引き渡しということでここでどんな暮らしになるのか、それも楽しみ。
平成さんとは、5年前に三島のKさんのキッチンを作らせて頂いた時に初めてお付き合いさせてもらってから早5年。みなさん、お若い方が多いこともあってとても柔軟で興味深い形作りを提案してくださいます。
だから、それにこたえるのはなかなか大変な部分もあるのですが、とても勉強になります。
今回もとても良い経験ができました。
ありがとうございました。

この数日は

2016.08.28

しばらく前に奥歯の詰めものが取れたのです。これはいけないと思い、いつもお世話になっている三好さんに予約の連絡をしようと思ったのですが、なかなか仕事の手が空かず、(という言い訳なのかもしれません。)連絡をしないままでした。
それでは歯に物が詰まってしまう、と思いいつもよりもよく歯磨きをするようになり、ツルッとしていないとどこか気分が悪いと思えるようになってきたくらいです。
災い転じて福となったかどうかは分かりませんが、少なくとも歯をよりきれいにしたいって気持ちになることはできました。(早く行かなくちゃ。)

私たちの仕事は、どちらかというと必要とされる人からの相談があって成り立つもので、幸いなことに今まではいろいろな皆様から絶えずお話を頂いておりましたので、いつも忙しくさせて頂いておりました。
今なおありがたくお仕事を頂けているのですが、どちらかというと待っているようなスタンスで仕事に取り組んでいるこのままで良いのだろうか、そう思うことも時々あったのです。
そんななか,この1週間で懐しい二人の友人に会う機会があったのです。

二ヶ月ほど前に新しい会社を立ち上げてその内覧会を開くから見に来てくれないか、という誘いをもらっていたのですが、こちらの都合が合わず、先延ばしになってところ、ようやく予定があって先日の火曜日に会うことができた友人がいます。
高校時代からの友人で、ずっと建築の勉強をしていて、自分で設計事務所を開くことができて、そこからさらに自身の設計に自分の作ったものを導入したいという思いから、メーカーになることを始めたのだそう。
「設計の方は、ひとまず自分が思っていたところまでは進めることができたと思う。次は自分の設計の中に自分で作ったものを組み込んでみたいんだ。」
設計と、メーカーとでは勝手が違うから、大変なことが多いと思うのですが、頑張って欲しいと思いつつ、今の自分と少し先の自分をきちんとつなげていこうとする積極的な姿勢に彼の行動力に触発されるものがありました。
続いて金曜日にもともとインテリアが好きだったのが高じて、やはり建築士の資格を取って設計をしている高校時代の友人にあったのです。彼とは、先日キッチンを作らせて頂いたMさんの工事の時、たまたまその彼が勤めて会社さんが施工を担当してくれたのでした。それがきっかけでそのMさんのご友人のSさんのキッチンも今度作らせて頂くことになったのですが、その時の施工も同じその会社さんが行う予定なのです。
それなら、一度挨拶に行っておこうと思い、こうして今回彼に会う機会ができたわけです。
電話では少し話していたけれど、会うのは20年ぶりくらいです。でも、やはりあの頃の気持ちはそのままで高校時代と変わらない風貌や声に懐かしい気持ちでうれしくなったのでした。
「大学を卒業した後に大手のスーパーに就職したけれど、なんとなく、販売ではなくもっと自分で作る仕事をしたいって思ってさ。それからあらためて学校に行きなおして、建築士の資格を取って、それで今こうして設計の仕事をしているんだ。」とどこか誇らしげ。
この会社さんは、リフォームではとても名前が知れている会社さんで、その設計のスタッフは設計だけを受け持たせてくれるのだそう。
「設計以外の他の仕事を覚えることも大切なのだろうけれど、この仕事に専念させてくれるという環境はとてもうれしいんだよ。じゃあ、ダイスケ。飯でも行こう。」
そう言って昼ごはんを久しぶりに二人で食べたのです。
お腹がいっぱいになってひと心地ついている時、ふと彼が呟いたのでした。
「でもやっぱり同じ仕事を続けるというのは大変だよ。モチベーションを保つのがね。贅沢かもしれないけれど退屈に思えてしまうこともある。」
そうだよね、確かに自分でも時々そう思ってしまう時があります。
みんなの家具を作っている、と思っていても、同じ日々の繰り返しのように思えてしまうことがあります。
楽しい、という気持ちよりももっとつまらない思いが先に見えてしまうこともあります。
それでも、私も彼もその与えられた仕事の中で、最良を尽くすことが自分にとっての最善であると思いながら、悩みながら前を向いて進んでいくのです。
その最良の仕事を目指しながら、さらに少し先のことを見つめながら、前に進む新たな覚悟を持っていこう、とふと彼らにあってそんな元気をもらってきたのです。
そのもらって元気が、抜けてしまった詰めもののようにツルッとした歯のように次の新たなステップへのきっかけにしていこう、そんなふうに思った1週間でした。
こうして、夏の休みもきちんともらったし、友人たちからも元気をもらったし、これからは一層頑張らなくては。

ということで、本日は午前中に越谷のFさんの現場を確認して細かい打ち合わせを行なってきた後に、(夏休みじゃなければ、大好きなkoushaさんに立ち寄りたかった・・。)Houseゼロの大浦さんに声を掛けられて、二宮のMさんの現場を確認してきたのでした。
Mさんの現場の帰りに、ふとMさんがガレージに案内してくださって、大切に手を掛けている車を拝見させて頂いたのでした。

「んっ、写真、ブログに書くんだね。いいよいいよ。(笑)ちょっと変わったおじさんのキッチンを作ることになったって書いてくれていいよ。(笑)」

キッチンももちろん楽しみだし、次回またこの車を拝見させて頂けるのも楽しみです。

そのあと日も暮れてしまった頃、ようやく帰宅。
どうにか夕ご飯に間に合いました。
子供達ときゃあきゃあ言っていられるのも今日で終わり。
二人は明日からちょっと早い新学期が始まるし、私もアキコもまた忙しい日々が始まります。

頑張ります。

よろしくお願い致します。

ウェブサイト更新

2016.08.25

モダンリビング賞を受賞したナラのステンレスバイブレーションのキッチン土間
内田雄介さん設計のリノベーションした家に設置させてもらったZさんの美しいキッチンの記事と、

コーリアンとクルミを使ったセパレートキッチン豊かな色
Design Sourceの小林さんからのご依頼で作らせて頂いたドイツ人のオーナーさんの魅力的なデザインのキッチンの記事と、

システムキッチンを木で囲って木のキッチンを作る響く声
歌い手さんでもあるYさんのキッチンを木で囲うことでとても魅力的な空間に変身挿せることができた記事の3つのお話を掲載しました。

響く声

2016.08.25

「ナラ板目のカウンター下収納のオーダー」

八王子 Y様

design:Yさん/daisuke imai
planning:daisuke imai
producer:masakane murakami
painting:iku nogami

システムキッチンを木で囲って木のキッチンを作る

Yさんに写真に入ってもらいました。写真に入ってもらうと、みなさんぎこちなくなって照れ笑いされて。こうして使っているところを拝見させて頂けるのはとてもうれしいのです。

「はじめまして。Yと申します。来月、建売り戸建てに引っ越す事になりまして、後ろの食器棚とカウンター下収納をお願いしたいと思っています。
以前、今住んでいるマンションの食器棚を考えている時にこちらのサイトを知り、どれもとっても素敵でしたので、ずっとお気に入りに入れて眺めていました(^^)
まず、一つ目は食器棚です。
ただ、後ろに窓がありその隙間にも収納を作れたらと思っていますが、あまり幅がありません。
もし可能であれば、そこにカップ等を入れられる棚を作りたいです。イメージは制作例にありました、「山の春」(軽井沢O様)です。
もう一つは、カウンター下収納です。オープンキッチンになっていまして、手元が見えるのを隠したいと思っています。
手元を隠しつつ側面までぐるっと囲うような感じが希望です。イメージは制作例にありました、「おばさま」(町田I様)です。
また、主人の実家のカウンターの感じも好きなので、写真を貼付いたしました。
(散らかっている時に撮ったものでお恥ずかしいですが、、)
分かりづらいかと思いますが、手書きのスケッチを添付いたしました。是非色々と相談に乗っていただけたらと思います。
どうぞよろしくお願いいたします!」

システムキッチンを木で囲って木のキッチンを作る

実際に人が立っている場合と家具だけの場合とだと、写真から感じるその場の空気の伝わり方が違いますでしょう。

というとても勢いのあるメール(笑)を頂きました。うれしいです。
ご希望されている家具のサイズなどが分からなかったので、あらためてご連絡させて頂きましたら、さっそく一度こちらまでいらして下さることになりまして、まだ住むのはこれからとなるご新居の図面を拝見させて頂き、いろいろとお話をさせて頂きました。
今回はのメインは食器棚と言うお話でしたが、お話をお伺いすると私の個人的な思い入れとしてはカウンター下の収納のほうに気持ちが入ったのです。。そのキッチンは、ガスコンロまでが壁で隠れていて、シンクのあたりがオープンになっていてリビングを見渡せるというレイアウトのキッチン。そのシンクの向かい側がある程度空いているので、そこに収納を組み込みたいと言うのがYさんのイメージでした。こういう形で家具を組み込むお客様は多いのですが、それだけではなく、ここ最近は私たちの作るキッチンをご覧になって、全体的に木で囲われた温かみのある形にしたい、と言うお客様も増えてきておりまして、Yさんにも念のためそういう形ができますよ、ということをお話しさせて頂きました。
例えば、「整えて」のTさんや「あたらしい形」のHさんのような形です。
今あるキッチンとその周りの壁も木で囲うことで、木のキッチンのような印象に見せる、と言う方法です。
Yさん、この仕上がりをとても気に入ってくださって、さっそくこの方法で考えることに。こうすることで、キッチンの背面に作ろうと考えている食器棚がキッチン全体の印象と整ってくるので、この場所がまとまってくると考えています。
さて、どんな形でまとまるかが楽しみです。

システムキッチンを木で囲って木のキッチンを作る

ダイニングから見た様子。

木で囲う形と言っても、上の2件のお客様もそうですが、いろいろな納め方があります。キッチンのカウンターの小口をリビング側からも見えるようにしたい、という意見もあれば、全部木で囲ってしまいたい、と言う方もいらっしゃいます。
今回Yさんは木で囲いたい、さらに収納の上部には引き出しをつけたい、と言うご要望でした。
そうなると、その引き出しの上にさらに木の棒をつけなくてはきれいに納まらないから、それを人工大理石の天板にどのように固定しようか・・、できあがってこうして写真で見るととてもきれいに納まっているのですが、ここに至るまでが試行錯誤。毎回いろいろな課題に頭を悩ませながら、最良の形を見つけるのです。
そのような感じで、厚み40mmくらいある人工大理石のボテッとした小口をうまく隠して、引き出しの上にシャープな棒をうまく取り付けることができたので、リビングから見た印象はかなりスマートに納まりました。

システムキッチンを木で囲って木のキッチンを作る

システムキッチンとナラのサイドパネルの切り替わり部分の様子。


システムキッチンを木で囲って木のキッチンを作る

バックパネルのように見せた木の棒がキッチンからはこのように見えます。


システムキッチンを木で囲って木のキッチンを作る

家具と壁の納まり。天板の最上部の木口、側の木口(側板のように見せていますが、これは隙間調整材です。)を表に出してインセットの印象にすることで、より家具らしさが出たと思います。

そして、食器棚。
こちらはちょっと変わったスペースで、食器棚を置く場所の背面の壁に窓が広い面積を占めているのです。
こうなると収納を増やしたくても変な位置に戸棚をつけることになりかねない。そこで、実際にお部屋を見るまでは具体的な判断はできないのですが、まずは上と下の窓の間に細長い戸棚を作って、カップなどの良く使うものを置けるような棚のようなイメージで作ろうとYさんと考えていたのでした。
もしくは、「かぜがふわりと」のお客様のように、窓を遮らない形で戸棚を作るのも一つの方法かも、と考えていたのでした。
でも、実際にお部屋に入ってみて、またYさんといろいろとお話をしていくうちに、まずは吊戸棚は作らずに下のカウンター収納だけ作って、それでしばらく使っていってからどうしても収納が足りない、ということになったらまた考えましょう、ということになりました。
Yさんご家族がまだここで暮らし始めて日が浅いわけですし、まだまだ見えていない暮らしかたがあると思います。
毎日の過ごし方がひと段落して、自分の動きが分かってきたら、その時に声を掛けてもらえればそれで良いのだと思います。

システムキッチンを木で囲って木のキッチンを作る

対面カウンターの下の引き出しの様子。


システムキッチンを木で囲って木のキッチンを作る

引き出しの下の扉を開けた時の様子。扉の上面に手が掛かるように掘り込みを入れています。

人生で、何度も暮らし方が変わるって、誰がか言っていました。
家族で居る時の暮らし、一人の時の暮らし、結婚してからの暮らし、子供が生まれてからの暮らしかた、そして子供が巣立ってからの暮らしかた。
部屋の数も間取りもみんなの動き方もその時代時代で全然違ってくると思います。
その都度、私たちに声を掛けてくれたらそれがうれしいのです。

システムキッチンを木で囲って木のキッチンを作る

食器棚の引き出しの様子、その1。こちらの食器を分けているケースは、Yさんがご用意されたもの。良い印象です。


システムキッチンを木で囲って木のキッチンを作る

食器棚の引き出しの様子、その2。


システムキッチンを木で囲って木のキッチンを作る

食器棚の引き出しの様子、その3。


システムキッチンを木で囲って木のキッチンを作る

食器棚の引き出しの様子、その4。

そのようなわけで、今回は、家電を置いてゴミ箱がしまえて、食器がしまえる下の収納だけを作らせて頂くことになりました。

そして、家具取付の日。
とても良いお天気に恵まれたのですが、数日前まで降っていた雪がこの八王子ではまだまだたくさん残っていました。
そのような寒風が通りぬける中、窓を開け放して気持ち良く作業をさせて頂き、無事に設置工事は完了。
思っていた以上にまとまりのある場所が生まれました。
Yさんが使っていたダイニングテーブル(たしかタモだったかな)ともよく合って、気持ちの良い空間です。
その取付の帰りに、Yさんからお土産を持たせてくださいました。
「イマイさん、実はわたし、歌を歌っているのです。」
「おぉ。」
「今は、子供が小さいからちょっと活動をストップしちゃったのですが、歌を歌ったり、楽曲を提供したり、そういう仕事をしているのです。イマイさんのお嬢さんがダンスを習っているって聞いていたからもしかしたら、似た感じのテイストで聞いてもらえたらと思いまして。」
と、お土産の中に歌がつまったCDが。
「あぁ、そうだったのですね。何となく声が透る人だなって。うれしいです。是非聞かせてください!」

システムキッチンを木で囲って木のキッチンを作る

ブラバンシアのゴミ箱がその場でフタが開けられるようにクリアランスを確保したゴミ箱スペース。

とても気持ちがホカホカした帰り道。(もし、私たちのところでイベントを開いた時なんて、お願いしたら歌を聞かせてもらえるのでしょうか。)なんて気軽に相談してしまいましたが、家に帰ってYさんの声を聞いてみたら、そんな気軽に頼めるわけないって言うくらいの迫力のある透きとおった歌声。
これほど素敵な声の人にあのようなことを言ってしまったのか・・、恥ずかしいなと、一人リビングで顔を赤らめていたのでした。

システムキッチンを木で囲って木のキッチンを作る

丁寧に敷かれたこの樹脂シート。Yさんらしさが出ている部分のひとつ、と感じました。

ナラのカウンター下収納とサイドパネル

価格:330,000円(制作費・塗装費)

ナラの食器カウンター

価格:460,000円(制作費・塗装費)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は30,000円から、取付施工費は60,000円から)

土間

2016.08.25

「ナラ板目材とステンレスバイブレーションのオーダーキッチン」

綱島 Z様

design:内田雄介設計室
planning:内田雄介設計室/daisuke imai
producer:yasukazu kanai
painting:Zさん

モダンリビング賞を受賞したナラのステンレスバイブレーションのキッチン

客間から眺めた時のキッチン。

モダンリビング賞を受賞したナラのステンレスバイブレーションのキッチン

お勝手口からキッチンを眺めた様子。

Zさんからキッチンカタログを希望されるメールを頂きました。そこには、「空間イメージを固める上でインテリア・家具のテイストから考えてみるのも有効ですと建築家の内田さんにアドバイス頂きました。ホームページで紹介されているオーダー家具を見て私たちのイメージに近いかもと感じています。直に見学できる家具、またはイベント等があればご連絡頂きたいです。」と言うお便りが書かれていたのです。

モダンリビング賞を受賞したナラのステンレスバイブレーションのキッチン

アイランドキッチンのスケッチ。

モダンリビング賞を受賞したナラのステンレスバイブレーションのキッチン

コンロ側キッチンのスケッチ。

モダンリビング賞を受賞したナラのステンレスバイブレーションのキッチン

細長い通路のような部屋から見たキッチン。浮いているように見えますね。

内田さんといえば、アトリエを備えたご自宅を新築される際に作らせて頂いたキッチンとバックカウンターがとても印象的で、あのあと多くのお客様から好評いただいていたのをふと思い出しました。きっと魅力的な空間になるだろうから、またお手伝いさせて頂けるとうれしいなあ。
カタログをお送りしてしましてしばらくしました頃に、一度こちらにキッチンを見にいらして下さったのだそうです。タイミングが合わず、私は不在の時でしたので、詳しくいろいろなお話を聞かせて頂くことはできなかったのですが、私たちのことととても気に入ってくださったのでした。

モダンリビング賞を受賞したナラのステンレスバイブレーションのキッチン

洗剤ポケット。

モダンリビング賞を受賞したナラのステンレスバイブレーションのキッチン

カウンタートップの印象。ステンレスバイブレーション仕上げは、ヘアライン仕上げよりもマットな印象で、鈍く光るのが特長。

モダンリビング賞を受賞したナラのステンレスバイブレーションのキッチン

今回は、水切りプレートも作らせて頂きました。水切りプレートを置いた時にカウンタートップとフラットになるようにシンクに段がついています。

その頃、内田さんからも連絡が入ってきました。
「早速ですが、施主の方から相談させていただいているかと存じますが、現在私の方で設計を行っている横浜市綱島の物件についてご連絡致しました。
現在、鵠沼海岸に住んでいる施主のZ様は、私の大学時代からの友人でもあります。
今回、綱島のご実家の全面改装の依頼を受け基本設計を進めておりました。
我が家のキッチンや、今井さんのHPの制作例を大変気に入ってくれ、また私としても今回の住まいにおいても是非とも今井さんにお願いできればと思い、紹介させていただいた次第です。
現在、私の方は実施設計に取りかかっている最中です。
キッチンの方もより詳細な打ち合わせが必要になってくるかと存じます。よろしければ今後は私も打ち合わせに参加させて頂ければと思っております。
また、ご一緒に仕事が出来るのを楽しみにしております。」
楽しみです。

モダンリビング賞を受賞したナラのステンレスバイブレーションのキッチン

シンク前の収納部分の様子。

モダンリビング賞を受賞したナラのステンレスバイブレーションのキッチン

ミーレの幅60cmタイプの食器洗浄機を導入。

モダンリビング賞を受賞したナラのステンレスバイブレーションのキッチン

食器洗浄機の巾木部分だけ、取り外せるようにしないといけなかったので、このような納まりにしています。

それから、またしばらく経った頃、Zさんからのお便りが届きました。お待ちしておりました。
「以前カタログを頂戴しショールーム見学させて頂きました。イマイ様には会えずですが、ご作品を拝見しとても気に入っており、キッチン製作をお願いしたいと考えておりました。
建築家の内田さんとプランを練り、いよいよ実施設計の段階までこぎ着けてました。
またキッチンは床をモルタルで考えており、アイランドのカウンターをイメージ写真のように浮き上がった家具のように見せたいです。立ち上がりをモルタルで15cm程度上がらせてから濃い色系の木の側面があり、天板に人工石など・・。
詳細は打ち合わせの時にお話させて下さい。
今井様にもキッチン設計と製作をお願いしたいので打ち合わせの日取りをご調整お願いします。
我々の希望は来週以降の祝日、週末で予定は空けておりますが、、実は妻が臨月に入っております。出来ることなら産前に妻のイメージを本人からお伝え出来たらと考えています。直近で打ち合わせ可能な日を教えてください。
まずは日程のご連絡お待ちしております。」

モダンリビング賞を受賞したナラのステンレスバイブレーションのキッチン

シンク前の大きな引き出しを開けると、ゴミ箱が入るような引き出しにしています。

と、うれしいご連絡を頂いたのでした。
場所はここから近く、うさぎパンさんの家の近くです。さっそくお邪魔させて頂き、詳しいお話をお聞きすることになりました。
今お住まいの賃貸住宅はかなり小さな間取り。ご新居とは大きな間取りや広さも変わるので空間的なことは把握しづらいので、まずは図面を見ながら現在希望されている使い方や、実際に今キッチンを使っている様子などをお聞きしながら打ち合わせさせて頂きます。
最初にZさんが希望されていたイメージは、前述にもありますように浮いているアイランドキッチン。浮いているように見せるのに床材と同じような材でキッチンの巾木を作って、濃い色の箱がその上にドン、と座っている印象。
参考となるキッチンの写真を見せて頂きましたが、濃い色に着色したオーク材の少しグロス掛かった光沢がある塗装に、天然石なのか人工石なのか、表面がゴツゴツした火山岩のような印象で、なかなかリゾートホテルのようなちょっとキラッとした感じです。(表面がピカピカしているのではなく、何となくキラッとしている感じ。)

モダンリビング賞を受賞したナラのステンレスバイブレーションのキッチン

コンロ側の様子1。

なるほど。キッチンはこのイメージだと内田さんの考えている空間はどのような感じなのかな。
何となく、内田さんのご自宅とはまた違うテイストでしたので悩ましい想いで考えます。
でもその後、さらに詳しくお話を聞いて私たち太作った皆さんのキッチンを見て頂くと、それほどラグジュアリーな感じではなく、もっと自然な印象のキッチンをイメージされていることが分かってきたのです。
その印象でしたら、私の思いが伝えやすい印象でもありますので、より具体的な提案や確認をして、形を一つにまとめていきました。

モダンリビング賞を受賞したナラのステンレスバイブレーションのキッチン

コンロ側の様子2。

おおよその形がまとまりましたら、今度は内田さんが私たちのところまで来て下さいました。
久しぶりにお会いするのですが、内田さんの柔らかな印象はいつものままでした。
ここで、どんなキッチンを考えているかを報告させて頂き、さらに内田さんからここがどんな空間になるのかをお知らせ頂き、ようやく一つの方向にまとまりました。
すごく魅力的なマンションなので、どんな風に仕上がるのかが楽しみです。

モダンリビング賞を受賞したナラのステンレスバイブレーションのキッチン

吊戸棚のバランスは、Zさんの提案で上部を開けるところと閉じるところをうまく組み合わせています。また、レンジフードはなるべく出っ張らないように吊戸棚と奥行を揃えたDoubleのレンジフードを導入しています。

それから、いよいよ解体が始まり大工工事が始まりました。
現場で給排水管の位置出しなどを兼ねた打合せをするということで、その変わったマンションにはいじめて伺わせて頂きました。
場所は綱島で、駅から数分のところなので、人通りもそれなりに多いのですが、このあたりは軒並みが古く、その中のひとつがZさんのマンションでした。
築40年と言っていたでしょうか・・。
今よく見かけるマンションと違って、コンクリートでできた巨大な一戸建て、のような印象です。
軒先には、鉢植えがたくさん並び、ガラスがはまった古い框扉は常に開いたままで、1フロアに3世帯で3階建てのこじんまりしたマンション。その最上階で、屋根のように部屋がベロンと延びたところがZさんのご新居となる現場でした。
あの延びた場所は何だろう・・。

モダンリビング賞を受賞したナラのステンレスバイブレーションのキッチン

吊戸棚の下には、薄型のLEDダウンライトを組み込みました。

エレベーターはないのですが、広い階段があり搬入も大丈夫なことを確認しながら部屋に辿り着きます。私が済んでいた団地についていたような古い鉄扉を叩いてはいると、ほぼスケルトン状態になった空間が現れました。
もうすでにZさんと内田さんと工務店さんが打ち合わせをされていました。ふと見ると先ほどの長い通路のようなところは部屋でした。
幅1間半くらいで、長さが10メートルくらいはあるのでしょうか。ものすごい遠近感で、はるか彼方につき当りの掃き出し窓が見えます。
おぉ、不思議な間取り、不思議な間取り。
その通路のようなスペースの反対にも部屋があり、キッチンは玄関を入ってすぐの広間に据えられる予定です。まるでスタジオのような印象になるのでしょうか。
さっそくキッチンの設置寸法や配管の位置や電気の位置などを確認して、製作に入れるように細かい部分を決めていきます。
製作自体は、もう少し現場の様子が見えてきてからあらためて採寸をする必要があるのですが、決められる部分は決めてようやくほぼプランがまとまりました。
それから、大工さんが壁の造作が終わるころにあらためて現地を確認させて頂き、いよいよ製作に入ります。

モダンリビング賞を受賞したナラのステンレスバイブレーションのキッチン

建築士の内田雄介さん。

今回は、「フレキシブルボード」という、通常は不燃性を持たせるべき部分に貼る下地材を仕上げ材として巾木に使います。もちろん木よりも硬いので、きれいに作れるかがやってみないと分からない部分があります。さらにはキッチンを床から20cmほど浮かせて見せる部分と食器洗浄機の納まりがきちんと行くかどうかもある程度形になってみないと見えない部分もあります。
さらには、この部屋が最上階ということで、屋上の水はけをよくするための水勾配がキッチンの天井面に現れてしまっていました。(右と左で天井高さが違うのです。)そのあたりをどう吸収するか、レンジフードもそれに合わせて加工できるものなのか、いろいろな課題がありますがすべては始めてみないと見えない部分です。
製作を進めるのです。
その中でも一番心配だったのは、レンジフード。おそらくメカの部分は問題なく納まるのですが、ダクトカバーがきれいに納まるかどうか・・。
あらかじめZさんにもその点を了承頂き、カバーを一度解体して、部分的にカットし、加工してから再組立てします。
こういうことがレンジフードの説明書を見るだけである程度できるかどうか判断可能ならもう少し不安要素は減るのですが、説明書だけだと細かい寸法が出ていなかったりするので、Zさんに現物を購入してもらった跡にこちらに送ってもらい、実測しながら検討したのでした。こういうのはオーダーじゃないと難しい部分でもあります。
うまく梁型に合わせて加工もできまして、ダクトもつなげることができてひと安心。
そのほかの部分は、細かいだけに時間はかかりましたが、無事に設置完了。

モダンリビング賞を受賞したナラのステンレスバイブレーションのキッチン

シンク側の引き出しの様子、その1。

モダンリビング賞を受賞したナラのステンレスバイブレーションのキッチン

シンク側の引き出しの様子、その2。

モダンリビング賞を受賞したナラのステンレスバイブレーションのキッチン

アイランドキッチンの玄関側から見た扉の感じ。

モダンリビング賞を受賞したナラのステンレスバイブレーションのキッチン

コンロ側の引き出しの様子、その1。

モダンリビング賞を受賞したナラのステンレスバイブレーションのキッチン

コンロ側の引き出しの様子、その2。

モダンリビング賞を受賞したナラのステンレスバイブレーションのキッチン

コンロ側の引き出しの様子、その3。コンロ横の調味料用の引き出し。

モダンリビング賞を受賞したナラのステンレスバイブレーションのキッチン

コンロ側の引き出しの様子、その4。コンロ下のスライドワイヤーシェルフ。

それから、全体の工事も無事に終わって、お引き渡しも内田さんにお願いできることになり無事に済ませたのですが、その後なかなかZさんにお会いする機会がなかったのですが、その間に内田さんがご自宅の時と同じくあるコンテストに参加されていたのだそうで、ある日、「イマイさん、実は先日製作してくださったZさんのプランがコンテストに入賞しまして、イマイさんもその表彰式にぜひメーカーとして出席して頂けませんか。」と言われたのです。
「えっ!」

それからはバタバタと、アキコも一緒に(一人だと心細いので・・。)行くことになり、内田さんも奥様と一緒に出席されて、Zさんとも本当に久しぶりにお会いすることができて、それから無事めでたく、リネアタラーラさんが主宰する「オーダーキッチングランプリSHOW 2016」の表彰式が表参道のミーレさんのショールームで行なわれて、内田さんのプランが「モダンリビング賞」というすてきな賞を頂くことができたのでした。
「オーダーキッチングランプリSHOW 2016」
http://linea-talara.com/2016-fantastic-kitchen-competition-award/

今まで家具作りにおいても、キッチン作りにおいても、このように公に評価して頂く機会ってなかったものですから、このような場に立てることがとてもうれしく、同じ製作者の立場であるリネアタラーラの社長さんにもとてもありがたいお言葉を頂き、お話ししたかった作家さんとも知り合うきっかけができたりと、それはもううれしい日だったのです。
内田さん、Zさん、ありがとうございました。

キッチン仕上
天板 ステンレスバイブレーション
扉・前板 ナラ板目突板練り付け
本体外側 ナラ板目突板練り付け
本体内側 ポリエステル化粧板「ホワイト」
塗装 ワトコオイル塗装仕上げ(Zさんが施工)

ナラ板目材とステンレスバイブレーションのオーダーキッチン

費用につきましては、お問い合わせくださいませ。

オークとコーリアンのアイランドキッチン

2016.08.24

先日、刊行されたRoute SHONAN Vol.7には、先日お邪魔した鵠沼でお料理教室を開いているアンドマンドさんのキッチンを掲載させて頂きました。
もっといろいろな人に知ってもらえたら良いなと言う思いで、Routeさんには年間を通して6回私たちを表現する場所を作ってもらっています。湘南地域では、私たちのキッチンを思いっきり使った教室を開かれている方が、ほかにもいらっしゃいます。そういう皆さんにスポットを当てて、Routeさんに紹介してもらおうかな、と思っております。
次回の10月は、辻堂で有名なあの方のキッチンを予定しています。

Sさんのクルミの食器棚

2016.08.19

2016081900920160819006201608190052016081900820160819007私は結局、今日初めてご主人とお会いしたのでした。
「いやいや、イマイさん。このたびは大変お世話になりました。」と快活な声。
打ち合わせから納品まで奥さんとやり取りしていたので、ご主人とお会いするのが楽しみだったのです。
でも、奥さんから、「facebookでイマイさんをよく見ているようで、私よりもイマイさんのこと詳しいんですよ。」と言うすてきなお話を聞いていましたので、初めて会うのに初めてじゃない気がしますね。
「私はもともとそれほどインテリアや家具に興味はなかったのですが、結婚して家のことを考え始めたら、だんだんと気になりだしてしまって。」と言って、以前にオーダーされたというチークのオーディオボードやBC工房さんの椅子、PFSさんのソファなどいろいろと見せて頂きました。
「イマイさんの家具はね、何と言うかアメリカよりはドイツっぽいんです。もちろん手の跡が残る形なのですが、ピシッとしていて、手作り感だけじゃない美しさがあるっ!」
おぉ、そんなうれしい言葉、初めて言われました。照れますね。
と、ご主人のお話が大きく盛り上がっているところで、奥様がしんみりとひと言。
「私この家具の中で一番気にっているのはここなんです。」
そう教えてくれたのは、本が並ぶスペース。

ここはもともとちょっとした書き物とかができるようにと考えたデスクのようなスペース。まだハイチェアを用意していないということもあって、奥様のこのようにアレンジして使っていらっしゃいました。
もともとの使い方と違って、自分で使いやすくして、それでいてとてもさりげないスペース。
オーダーするだけではなく、きちんと自分の家具になっている感覚。
その言葉にそういう美しさを教えてもらった気がします。

だから、今日ご主人tの奥様から頂いた言葉はとても大切な宝物です。

「またこんどゆっくりいらしてください。おいしいランチが食べられるところが近所にあるのです。」

それは楽しみ。

再びめずらしい素材の使い方

2016.08.19

201608190032016081900420160819002いよいよキッチン本体の塗装が完了したということで、平成さんの加工場にカナイ君とナカガワ君、そして、独立して頑張っている村上君の3人で向かってもらいました。そう、今回の仕上げは、平成さんが仕上げてくださる拭き漆仕上げ。仕上がった部材を引き取ってそのまますぐ近くの現場で取付。
あとは、細かいパーツを機器設置後の寸法に合わせて製作して取り付けて終わりの予定。
表面の素材が何かは次回の作業後にまた次回ご紹介しますね。
フフッお楽しみに。

夏季休暇のお知らせ

2016.08.12

これからお盆休みに入りますね、お休みの方もそうでない方もいらっしゃると思います。お疲れさまです。
私達は8月11日(木)~8月17日(水)の間、お休みをいただきます。
家具についてのご相談・お問い合わせ、カタログの請求、木製雑貨のご注文についてのメール・お電話等のお返事に関しましても、全て8月17日(水)から順次対応とさせていただきますので、どうぞご了承ください。
それでは、みなさまよろしくお願い致します。

ウェブサイト更新

2016.08.11

節アリオーク材とステンレスを使ったペニンシュラキッチンとバックカウンター今から11年前にオーダーキッチン製作のきっかけを作ってくださった茅ヶ崎のKさんご友人のKさんのうれしいお話と、
ステンレストップのチェリー材を使った食器棚ずっと前から私たちのことを知ってくださっていたIさんとのお話と、
タモの格子のデザインが特長のリビングボード建築士の大和のKさんがきっかけで知り合うことができた工務店さんから頂いた和風な意匠のチェストの記事の3つのお話を掲載致しました。
よろしければご覧くださいませ。

リズムよく明るい姿

2016.08.11

「ダイニングボードのオーダー」

鶴見 S様

design:daisuke imai
planning:daisuke imai
producer:tetsuya geshi
painting:masaru nakagawa

タモの格子のデザインが特長のリビングボード

全景。格子と隙間の感覚は、建具のそれに合わせています。

建築士であるKさんがご自宅を建てられた時(「toward the good one」でご紹介しているキッチンです。)にお世話になり、再び「引き出しは私のテーブル」の多摩のNさんのところでもお世話になった伊沢工務店さん。
そのNさんの工事の時に監督をされていたフカボリさんがわざわざ声を掛けてくださったのです。

タモの格子のデザインが特長のリビングボード

ダイニングにちょうど良い戸棚がほしかったというSさん。でも何を入れるかはこの家具を見てから決めるのだそうです。

「イマイさんの家具を私自身気に入ってしまって、それで今リフォーム工事を進めているSさんのリビングにはぜひイマイさんの家具を置いてもらいたくて、そうSさんと話を進めているのです。」
ということで、リフォームが終わるころに一度Sさんのお宅にお邪魔させて頂いたのです。
久しぶりにお会いするフカボリさん。ご挨拶を終えると、Sさんに丁寧に私たちを紹介してくださいます。
「イマイさんの作る家具は本当に美しいですから。」とかなんとか。(笑)
うれしいなあ。

その場でフカボリさんと私とSさんとでどんな形で整えていくかを打ち合わせます。
日本家屋の趣は残したままのリフォームでしたので、そこかしこに格子の古い建具が残されています。
そこで辿り着いたのがこの形。格子の印象が美しく見えるように余計な形は省いて、横のラインとそれを止める両端の縦のラインだけの形。あまり陽射しが大きく入らないお部屋なので、材は暗くならないようにでも表情豊かにタモ材で。さらに脚をつけて軽い印象にして。
すてきな形にまとまりました。

「今度はお父さんに相談してテレビボードの考えようかしら。」
奥様がにこやかにそうおっしゃってくださいます。
フカボリさんは道が混んでいて納品には一足間に合わず。
でも、もうすぐここにあの明るい声が入ってきますね。
素敵なお仕事とすてきな時間をありがとうございました。

タモの格子のデザインが特長のリビングボード

何をどうやって開けるのか、一見わからないような意匠でしょ。

タモの格子のデザインが特長のリビングボード

扉も引き出しも押すと、スゥッと開くプッシュ式なのです。

タモの格子扉のあるリビングボード

費用につきましては、お問い合わせくださいませ。

はじめましての気がしない

2016.08.11

「チェリーとステンレスの食器棚のオーダー」

茅ヶ崎 I様

design:Iさん
planning:daisuke imai
producer:kouhei kobayashi
painting:kouhei kobayashi

ステンレストップのチェリー材を使った食器棚

「そして、写真ですか?私、写真は苦手なんです…なので後ろ姿にしてくださいね。」とIさん。

Iさんと初めてお会いしたのは私にとっては初めてだったのですが、Iさんにとっても初めてではありましたが、私のことはかなり前からご存じだったのだそうです。
まだ、私たちがオーダーキッチンの製作を始めて間もない頃、いまではうさぎパンさんの名前で知られるようになった鵠沼のTさんからキッチンの製作を依頼されたのでした。今から、8年前のお話です。
その時の工務店さんに勤めていたのがIさん。そして、その工務店さんのウェブサイトの製作を行なっていたのがOさん。
このOさんちょっと不思議な印象の方で、少年のような風貌なのにもういろんなことを考えている人で、以前はスピーカーの製作を依頼してくださって、それをご自身で販売したいというお話をされていたり、(たしか)自分でアパートを建てて経営していくのでそのための玄関ドアを作ってほしいということで、とてもシャビーなデザインのドアを作らせて頂いたこともありました。
その持ち前の性格からかいろんな人と通じ合っていて、IさんもOさんと話している中で私たちのことをさらによく知るようになったのだそうです。ご縁とは不思議です。

ステンレストップのチェリー材を使った食器棚

全景1。

ステンレストップのチェリー材を使った食器棚

全景2。

そのIさんからご相談頂いたのは食器棚でした。
この家に住みはじめてからずっと考えていた食器棚。
「今までどういう形にしたら良いか、工務店に勤めていたのにいながらもなかなかイメージがまとまらなかったのです。」ということだったのです。
形は思い浮かぶけれども、それが自分にとって使いやすいものかどうか、そこに確信が持てなかったので、それでこうして私たちを訪ねてくださったのでした。
できあがった形は写真を見て頂ければわかるようにシンプルな形ですが、ここに至るまではなかなか悩み多き食器棚でした。

ステンレストップのチェリー材を使った食器棚

今回の天板は、トップのみステンレスを貼って木口はアメリカンチェリーをそのまま見せる形にしました。

当初は、隠そうと考えていたゴミ箱。そのワゴン式のゴミ箱収納が使いやすいかどうかは人それぞれですが、私たちが作ると表面に化粧板を使って手入れをしやすくしますが内部はやはり木製なので、ワゴン自体がそれなりに重くなることが多いのです。
それに長年使っていると、キャスターのタイヤ痕が床に取りにくくなって付着した油膜と混ざって黒くスジになったりすることもあるし。またそういう弾力のあるゴムのタイヤは床に傷は作りにくいのですが、そのように痕がついたり、タイヤだと摩擦が大きくなるので、より出し入れがつかれちゃうこともある。それならタイヤが硬いジュラコンのものだとどうだろうと思うのですが、今度はかえって固い分床をキズにしやすいかもしれないし・・。

ステンレストップのチェリー材を使った食器棚

私たちが良く取り入れるキッチンのデザインのように、そして雑巾摺のように、背板をカウンタートップから少し立ち上げています。

では、専用で出ているアルミ製のゴミ箱ワゴンを活用しよう、と思うと、壁についているコンセントの高さの関係であきらめなければいけなかったりして・・。最終的にはゴミ箱をしまっていると汚れた手で開け閉めすること自体食器棚を汚してしまうのではないか、と思ったりして・・。ゴミ箱1つでもこれほど思いは巡り巡っちゃうのです。

ステンレストップのチェリー材を使った食器棚

そして、側面も立ち上げています。側面が立ち上がっているから、ここから冷蔵庫の隙間に物を落として取れなくなっちゃった、ってことが無くなりました。

でもね、オリジナルってそういうことだと思います。
家具だけに限ったことではなく、どこにどれだけの思いを寄せるかでいろいろな物事に対する感情も変わってきます。
家具でいえば、見た目の印象を時間を掛けて研ぎ澄ませたい人や、Iさんのように使い勝手を考えることで自分を見つめ直したい人など。
そうしてできあがった形はオリジナルです。
だから、「○○さんと同じ食器棚を作りたいです。」って言って、まったく同じになった人はいないし、同じように見えても気持の寄せ方が、人それぞれ大きく違うのです。
面白いね。

ステンレストップのチェリー材を使った食器棚

引き出しの様子、その1。

こうしてできあがった食器棚。長年使ってきた家具蔵さんのダイニングテーブルのような深い色にはまだなっておりませんが、次第に追いついて深いあめ色になっていくとき、もっともっとIさんらしい食器棚になっていることと思います。
またその時にこうして懐かしくお会いできるのを楽しみにしております。

ステンレストップのチェリー材を使った食器棚

引き出しの様子、その2。

「昨日はありがとうございました。食器棚とても素敵です。
木目もきれいで、今朝も眺めてはうっとりしてしまいました。
吊戸棚も付けて良かったです。
(食器棚がイメージ通りに出来なかったらどうしよう・・・)と心配していたのですが、びっくりなくらい素敵に仕上がっていました。
今度はリビングボードを!と思っていましたが、キッチンを入れ替えたくなりました(笑)
私はもちろんですが、主人も満足そうで良かったです。
私はあれこれ悩んでしまうたちで、イマイさんにはずいぶん長くお付き合いいただきました。
どうもありがとうございました。

それから、スタッフの皆様にもよろしくお伝えください。
本当にうれしく思っております。
ありがとうございました。」

ステンレストップのチェリー材を使った食器棚

スライドテーブルを1か所設けています。ここにはちょっと珍しくトースターだけがしまわれています。

ステンレストップのチェリー材を使った食器棚

そのトースターの下は、大きな引き出し。開けると、内引き出しが隠れています。ここはこのようにして使い勝手よりも見た目を優先させました。

ステンレストップのチェリー材を使った食器棚

いろいろ悩んだゴミ箱については、最後は岩谷マテリアルのkcud(クード)を使う形に落ち着きました。

ステンレストップのチェリー材を使った食器棚

こちらもつけるか付けないかで悩んだ吊戸棚。それほどしまうものも多くないし、でもあったほうが素敵だし・・。結果としてとても使いやすい戸棚になったのではないかと思います。

ステンレストップのチェリー材を使った食器棚

その吊戸棚の中身。

ステンレストップのアメリカンチェリーの食器棚

価格:470,000円(制作費・塗装費)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は10,000円から、取付施工費は30,000円から)

豊かな色

2016.08.25

「クルミ板目材と人工大理石コーリアンのオーダーキッチン」

田園調布 G様

design:Gさん/シキナミカズヤ建築研究所
planning:Gさん//daisuke imai
producer:yasukazu kanai
painting:haraki tosou

コーリアンとクルミを使ったセパレートキッチン

リビングから見た時の印象、その1。この家は各階がスキップフロアになっているのが特徴で、このキッチンに立つと、半階下のリビングが見渡せるのです。

コーリアンとクルミを使ったセパレートキッチン

リビングから見た時の印象、その2。トップライトと勝手口のドアがあるので、かなり明るい場所になっています。

コーリアンとクルミを使ったセパレートキッチン

コーリアンラバロックはサンプルで見るともう少し光沢があったのですが、実際はこのくらい鈍く光っている程度。床のタイルともほどよくあっていて、派手になりすぎない色みがMさんらしい選び方だったのだと思います。

コーリアンとクルミを使ったセパレートキッチン

パントリーにゴソゴソ入り込んで取らせてもらった写真。ここから見るこのキッチンが一番迫力があって好きです。船みたいで。

以前に、「編む」「手ぶくろのような温かさ」の時にお世話になった担当者さんがいらっしゃいました。
何というか、格好良い空気があったのです。「編む」のHさんの時も、「手ぶくろ・・」のOさんの時も、私たちのショールームについて早々にソファに座って、棚に並んだ雑誌を眺めては、1冊ずつ読み始めたのです。お客様と私たちの打ち合わせは、お任せしましたよ。と言う感じが、まったく嫌らしくなくて、格好良かったのです。アキコが渡したコーヒーも「ああ、ありがとうね。」という、何気ない仕草が格好良くて、(ああ、こういうすらっとした人っているのだなあ。)と男ながら惚れ惚れと眺めていたのを思い出します。
その担当者さんであった小林さん。
そのあと間もなく、その工務店さんを出られて、一人で住宅のプロデュースをするお仕事を始められたのでした。
いまいち、プロデュースと言う立ち位置が私にははっきりと分からなかったのですが、「イマイさん、実は今度その私のお客様でイマイさんじゃないと作れないキッチンを希望されている方がいらっしゃるんですよ。」と久しぶりに声を掛けて頂いたのでした。
わあ、うれしいなあ。

コーリアンとクルミを使ったセパレートキッチン

シンクはステンレスバイブレーション仕上げでポケット付きのシンクです。私たちのキッチンはバックガードをつけることが少ないので、印象がすっきりとしています。

しばらくして、小林さんが奥様と一緒にそのお客様を連れていらっしゃいました。
いろいろとお話を聞くと、奥様がこの会社の代表となって、小林さんがそのフットワークを生かして、よい家を持ちたい、と言う方と作り手をつなぐ仕事をされているのだそうです。
今回も小林さんのお知り合いでもあるお客様がご新居を建てるにあたって、キッチンはもちろんオーダーで作りたい、となった時にまずはイマイさんに相談してみよう、と思ってくださったのだそうです。何しろ少し難しいキッチンになりそうでしたので。
そして、今回一緒にいらして下さったお客様は、外人さん。ドイツ出身のスラッと背の高い男性で、もちろん日本語を流暢にお話しくださいます。この日本ではある有名な家具メーカーの日本支社長さんでもある方でした。小林さんの人脈にも驚きましたし、そのような方が私たちのような小さな会社にキッチンの製作をゆだねてくださる(と言う言い方で良いのかな・・)ことも驚いたのです。
「えっ、私たちで良いのですか。」と思わず聞きそうになったくらいです。

コーリアンとクルミを使ったセパレートキッチン

シンクの下は引き出すとゴミ箱になっているのです。

「自分には物を作る力がないけれど、みなさん同士をうまくつなぐことが大切な仕事だと思っていて、そういう思いが通じたのかいろいろな方からお声掛け頂くんですよ。だから、良いものを作ってくださる人のところにその方をお連れするのが私の役目です。」と小林さん。
うれしい言葉です。

コーリアンとクルミを使ったセパレートキッチン

引き出しもすべて本体のカラーに合わせて、濃い目のグレーの化粧板で作りました。これがなかなか大変・・。

それで、さっそくお客様のMさんのイメージを具体化していきます。あるショールームで見たキッチンがとても気に入っていて、それを自分の家にスムーズに導入できるように自宅の空間に合わせて練り直すのが今回のお仕事でした。
Mさんの一番のご要望は、「ラフな印象」。ちょうどその頃目黒のKさんのキッチンを作っていたこともあって、そのキッチンを見に来て頂いたりしまして、イメージを固めていきます。あまりにラフな印象になりすぎるのは、帰って奥様の好みではなかったりして、でもデザインの主導権はMさんご主人にあったりして、いろいろと回り道しながら進んでいきます。

コーリアンとクルミを使ったセパレートキッチン

でも、大変苦労しただけあって、クルミとのコントラストが美しいのです。

「天板はゴツゴツした感じが良いのです。」
「ゴツゴツした感じとはどのような感じでしょうか。」砥石のサンプルをお見せすると、
「そうそう、この感じ。」と言って指示して下さったのは、サンプルの仕上がっていない裏の面。
「ああ、この感じよいですね。」と設計のシキナミさん。「Mさんらしいよね。」とコバヤシさんも。
うーん、これだとカットしたままの石だから、平面は出ていないし、シミだらけになっちゃうかな・・。と悩みます。
・・・あとあと、調べてみるとカウンターにはあまり向かないのですが、バーナー仕上げと言うのもあってこれだとゴツゴツした表情のまま仕上げられることが分かったり、あらためて石屋さんに相談すると、セラミックカウンターと言う当時はまだ耳なじみのない素材があったりしたのです。
でも、コストの面などを考えて、今回はコーリアンのラバロックと言うくすんだ柄で天板を作ることになったのです。

コーリアンとクルミを使ったセパレートキッチン

ガスコンロの下の引き出しの様子。

「扉や引き出しの正面材も希望するのはオークだですが、オークと言うのはどのような感じですか。」
「こちらがオーク(ナラ)になります。」とショールームのキッチンを見てもらうと、
「ちょっと表情がきれいすぎるかな・・。もう少し粗い素朴な感じだとどうでしょうか。」
そこで、目黒のKさんのキッチンを見てもらったのですが、あのくらいラフで木の動きも大きく出ているキッチンは帰って奥様から反対を受けそうだったりして、そんな中、打ち合わせで使っているクルミのテーブルを見て、「この感じ良いですね。」ということになったのです。
「このクルミでも木目をわざとバラバラにしてほしいのです。」
通常私たちが家具を作る場合は、木目をつなげてその流れの美しさを楽しむ作りにすることが多いです。そのほうが木の見た目の動きも実際の反りなども不自然ではない動きになることが多いので。でもMさん、パズルのようにバラツキを出したい、その具合はお任せします。ということになったのでした。

コーリアンとクルミを使ったセパレートキッチン

調味料、ボトル用の引き出しもグレーで、スライドレールは底につく普段は見えないタイプのソフトクローズレールなので、動きもきれいで見た目もきれい。

キッチン本体の仕上げについても、いつもは掃除をしやすいように内部だけ化粧板を使う形を採るのですが、今回は本体の箱部分に色の濃い化粧板を使って、扉などの正面材だけをクルミを使う形にしたい、ということになったのです。
今までになかった素材の選び方で、Mさん、とても勉強になりました。
ありがとうございました。

コーリアンとクルミを使ったセパレートキッチン

引き出しと側板の角の部分。そのうち掛けちゃう可能性がありますよ、と言うお話はしたのですが、トメにしてほしい、ということで、この納め方に。

そうしてできあがったキッチンは、細かい納まりなど大変な部分があって担当したカナイ君も大変苦労していましたし、ちょっと変わった立地で、搬入から設置も普段のキッチンよりも気を使う大変な作業だったのですが、こうして完成した姿を見ると、仕事に携われて良かったなあと思うわけです。
背面に貼られた抑えた色みで彩ったタイルも相まって、とても豊かな色の空間ができあがったのですから。
その後、たまたまその家具メーカーさんのお店に行く機会があって、スタッフさんとお話したのですが、Mさん、お引越しされてひと段落してから間もなく、スタッフの皆さんを招いてご自宅でパーティを開いてくださったのだそうです。
そのようなわけで「あのキッチンを作ったメーカーさんなのですね。とても素敵なキッチンでスタッフ皆で、すごいすごいって言っていたのです。」ときれいな女性スタッフさんに言われてしまうと、照れ笑いをしながら、あぁ、この仕事に携われてよかったなあと思ったのでした。

コーリアンとクルミを使ったセパレートキッチン

コンロ側キッチンの印象。

小林さん、良いご縁をありがとうございました。
また楽しいお仕事を一緒にさせてもらえるのを楽しみに待っております。

こちらがジェントルマンな小林さんの会社です。
Design Source
http://www.design-source.jp/

キッチン仕上
天板 人工大理石「デュポンコーリアン ラバロック」
扉・前板 クルミ板目無垢材
本体外側 カラーフィットポリエステル化粧板「グレー」
本体内側 カラーフィットポリエステル化粧板「グレー」
塗装 ウレタンクリア塗装つや消し仕上げ

クルミ板目材と人工大理石コーリアンのオーダーキッチン

費用につきましては、お問い合わせくださいませ。

移り変わる物語り

2016.08.11

2016081100320160811002今日は、以前に大きなリビング収納を作らせて頂いた藤沢のSさんから、新たにご相談頂いていた食器棚の取付にノガミ君と出掛けておりました。
上が施工前。下が施工後。こうした写真って昔よく見ましたね。
「こんなにきれいに生まれ変わるんです!」って。
それは新しくなったら、何でもきれいに映りますから目を引くかもしれません。
でも本当に知りたいことは、きれいになった姿だけではなくて、どうしてこの形になったのか、ここになるまでにどういうお話があったのかが知りたいって私は思うのです。
だから、前にも書いたかも知れませんが、書きますね。

Sさんにはそのリビングの家具を設置した後に、新たな相談を頂いていたのです。
Sさんの部屋の間取りは、キッチン、ダイニング、リビングがワンルームになっていて、そのリビングに少し背の高いベンチのような置き畳があるのです。この置き畳があるスペースがリビングで、テーブルがあるスペースがダイニングと何となく仕切られているのですが、「それをもっとはっきりと分けられるような間仕切りとなる家具がほしいのです。それから、いつもここで簡単な朝の支度をするのにお化粧道具などをこのワゴンに置いたままなので、きれいに整理できるようなものにもできたらいいなと思っているのです。」と、オーブントースターとお化粧道具などが混ざって置かれたワゴンを示してお話ししてくださいました。
「分かりました。」とさっそく詳しいお話をお聞きしたのですが、私の頭の中は間仕切りを作るイメージが浮かぶよりも、その奥に見えているブラインドが掛かった窓と、そのスチールのワゴンの組み合わせが気になっていたのでした。そして、私の座っているテーブルの後ろにある食器棚も。
「Sさん、この窓はいつもブラインドを閉めていらっしゃるのですか。」
Sさん、ちょっと寂しそうに、照れくさそうに微笑みながら、「ええ、ここに庭を作ったのは良かったのですが、向こうのアパートを出入りされる皆さんからこの部屋が丸見えになってしまうのです。庭をいじる時間も普段が忙しくてなかなか時間が取れないので、いつもブラインドを掛けているのです。」と言いながらブラインドを上げてくださいました。
芝があって、気持ちの良い庭が見えました。
「そうなのですね。これほどきれいなお庭なのに。
実は今、私はお話を聞いていて思ったのです。できればこの庭をいつも眺められるようにできたらいいなって。」
「・・?」とSさん。
「置き畳のそばに間仕切り収納を作るよりも、後ろの食器棚にもう少しものを整理してしまうことができるかも知れないって思うのです。」
Sさんのお婆ちゃんも奥さんも不思議そうに顔を見合わせます。
「このオーブントースターや細かいもの、そして、食器棚の前に並んでしまっているものを整理できる場所を作る方が、無理に間仕切り収納を作るよりも使いやすい収納になるのではないかと思っています。食器棚がきちんと整理できれば朝支度の道具をしまう場所もできてくると思います。そのあとに、お庭に手を加えていくというのはどうでしょうか。もちろん、庭いじりは私たちの仕事ではできないことがあるので、専門の方にお願いして、目隠しとなる衝立を立てたり、立ち木をうまく植えたりすることで、お向かいのアパートさんとうまく視線がずらせると思います。そうできれば、ブラインドを開けることができるし、そうなればブラインドの前にこうして細かいものを置いてしまうことも無くなるんじゃないかって思うのです。庭が見えればm「自然とここはダイニングとしてきちんと使うことができるように思えるのです。
そのあとに、どうしても間仕切りのようなものが必要ならまたお声掛け頂ければうれしいですし。」
「なるほど、イマイさん、面白いです。」
そういうお話のやり取りがあって、間仕切りを作る予定が食器棚の改装をすることになったのでした。

お話しするって面白いのです。

アメリカンチェリーのL型のキッチンと背面収納

2016.08.10

鎌倉の魅力の一つに路地がありますが、今日はその入り組んだ路地の先にあるYさんのキッチンの設置工事でした。
鎌倉駅から大仏様に向かう通りの脇に車を寄せて荷下ろしをするのですが、きっと目の前のお店の邪魔になってしまうだろうなあ・・、と心配していたのですが、特にお叱りを受けることなく、スムーズに荷下ろしさせてもらえたのでした。ホゥ。
そこからは手運びです。車が現場の前に付けられないので細い路地を抜けていくのですが、この路地に入るとなかなか周りの視線が冷たかったりして焦ってしまうわけです。
そのようなわけであまり路上に置いておくわけにもいかず、運んだそばから屋内へと運び入れるのですが、今回のキッチンは3階。設置場所に辿り着くのも一苦労で、外壁沿いに建つ足場を使って、しぼれるくらいの冷や汗をかきながらキャビネットたちを手渡しで会場へ上げていきます。5人で来てよかった。ホゥ。
そうして、最後に一番心配していたL型のステンレスの天板の荷揚げ。Yさんの階段のプランが幸いして、この大きな天板が屋内から運べたのでした。ホゥ。
もうこれで、ひと安心。
あとは製作を担当したノガミ君にカナイ君が今回はサポートする側になって、ナカガワ君がその補助をして、作業を進めることに。
私とカイ君は、コバヤシ君が残って作業している工房まで一足先に戻ります。
ノガミ君、お願いしますね。

そして、夜8時過ぎに無事に戻ってきました。
「細かい作業が残ってしまいましたが、ほぼ形を決めてきました。」
ということで、まずは一安心。明日から3名のスタッフが夏季休暇に入り、休みをずらす私とノガミ君は藤沢のSさんのところまで取付工事。
何かご相談などがございましたら、18日以降にお伺いできますのでお願い致します。
または、メールでしたら毎日確認しておりますので、お気軽にどうぞ。
では、おやすみなさい。

真夏の逗子

2016.08.09

20160809002真夏の逗子でMさんのキッチンの取付工事を行なってきました。
まずはタイルが関わる親世帯の白いキッチンと、子世帯の食器棚。システムキッチンでよくみられるフロアコンテナ風に仕上げているのが特長の2台です。
暑いけれど、この小高い場所は気持ちの良い風が抜ける素敵な場所でした。
やっほぅ。

kissakocookingへ

2016.08.09

今日は娘2人の料理教室「kissakocooking」へ。
時間が足りないことを理由に、見ていなくてもできる長女にばかり料理の手伝いを頼んでしまっていて、いつの間にか、日々の暮らしの中で、次女の中に「料理はお姉ちゃんでしょ。」という意識を作ってしまっていました。
夏休みの料理教室のメニューで、次女の好きな食べ物No.1のハンバーグを習えると聞き、参加してきました。
「包丁もちゃんと使えてるし、大丈夫ですね。」とSさんに言われ、なんだか私まで自信がつきました(笑)。
「美味しい~。」と持って帰ってきたハンバーグとマッシュポテトを食べて嬉しそうな娘2人。
これからはどんどん頼んで次女にもお手伝いしてもらおう!
kissakoさんのキッチンとテーブルは5年ほど前に作らせていただいたもの。
「不具合なく使えてます。」の言葉と、キッチンが大活躍している姿を見られるのはとても気持ちがいいものです。
また参加させてください、Sさん。ステキな機会をありがとうございました。

めずらしい素材の使い方

2016.08.06

平成建設さんからのお仕事で、仕上げ材としては珍しい材を使った珍しい仕上げでキッチンと背面収納を作らせて頂きました。
まずはその背面収納の取付です。
キッチンは連休明けですね。

クルミとアイアンのテーブルが無事に届きました。

2016.08.06

ここから少し距離が遠い大阪にお住いのKさんからご依頼頂いていたアイアンのテーブル。今回は少しクセのある表情が魅力のクルミ材を使って天板を作らせて頂きました。
大阪ということで、運送費を考えると私たちが運ぶよりも運送屋さんにお願いしたほうがコストを抑えることができるので、今回のやり取りは全てメールのみでのやり取りとなりました。
家具の実際の形も見られず、私の顔も確認することができず、おそらく依頼する側としていろいろと不安な部分は多かったのではないかと思います。
それでも、お願いしてくださったKさん、本当にありがとうございます。
いつかお会いできる時が来るのを楽しみにしております。

「昨日、無事にテーブルの納品が終了しました。
妻をはじめ、私、息子家族全員で喜んでおります。
この度は、手前どもが遠方の為にメールでのお打合せしかできなかったにもかかわらず素晴らしいテーブルを作成して頂き本当にありがとうございます。
余談ですが、早速息子がテーブルの上でトミカで遊び、見事な味入れをしてくれました。(笑)
上記の件は、別としてゆっくり大事に使っていきたいと思います。
本当に、ありがとうございました。
では、失礼致します。」

ありがとうございました。

ナラの節アリ材とシーザーストーンを使ったキッチン

2016.08.04

2016080400220160804003続いて本日は鎌倉の笹目町。
バックパネルの扉のナラの使い方と珍しく白いシーザーストーンが印象的なセパレートのOさんのキッチン。icaaさんからご依頼頂いたキッチンです。

海岸線は夏真っ盛りだし、すぐそばは長谷の大仏様がいらっしゃるし、2階のアクセスはどうなっているか分からない部分があるし、といろんな不安を抱えながら出発。まだ車は思ったほど混みあっていなくて、2階へも階段のスペースが広かったから、無事屋内から搬入できてひと安心。シーザーストーンはほぼ天然石に近いので、やたら重いのです。もし、ロープでで荷揚げだったらもっと大変だったでしょう。
それでも、Tシャツと手拭いをぎゅっと絞ると、バシャバシャ汗が垂れるくらい。
ばてないようにしないとね。
搬入と段取りを終えて、あとは製作を担当したコバヤシ君に監督をしてもらって、ノガミ君、ナカガワ君、カイ君と一緒に設置に入り、私は一足先に会社に戻ります。
会社では、先に夏季休暇を取っていたカナイ君が今日から仕事に戻って、日取り黙々と作業をしておりました。
みんながこうして頑張ってくれるおかげで、いろいろな皆さんからお声掛け頂けているのです。
ありがたいです。
今週はあとひと現場あって、ちょっと遠い沼津です。
そして、来週は逗子と鎌倉と藤沢。

ヤバいぜ、ぶっ倒れないようにしないと。

クルミのキッチン

2016.08.03

お施主さんでもあり、建築士さんでもあり、監督さんでもあるYさんのクルミのキッチン。しばらく、ショールームのちびっ子部屋に保管しておりましたが、本日ようやく設置できました!
今月下旬には器具付けして完成した姿が見せられる予定。
楽しみです。
さて、今週から逗子、鎌倉と立て続けにキッチンの設置工事が始まります。お天気も良さそうだし頑張ります!

31年目

2016.08.02

今年の8月で私たちフリーハンドイマイは、父が一人で始めた「フリーハンド・イマイ」から30周年を迎えました。(会社になったのはそれからしばらく経ってからのこと。)
また、昔に書いたお話を長々書きましょう。興味がある人は読んでもらえたらうれしいです。

私がこの仕事を手伝い始めたのが19歳になった冬でした。年末に忙しいから手伝ってくれ、と父に言われて始めたのがきっかけです。
父は私が中学時代に体を壊して、もっと規則正しいリズムでできる仕事をということで、一念発起しもともと好きだった木の仕事を始めたのです。
でも、創業した頃はちょうどバブルの時期でして、心を落ち着けて家具を作るというよりも立て続けに入ってくるお店の什器作りの仕事に追われる毎日で、私が仕事を手伝い始めた頃もまだまだその流れは続いており、物を作る楽しい反面、できあがっては数年で壊されていくようなスクラップアンドビルドの流れの中では、これが良いことなのかどうかと少し淋しく感じていた頃でした。
まだ、個々の人たちから家具のオーダーが来ると言う時代ではなく、家具を作ってもらう、ということがとてもとてもめずらしい時代だったのです。
その頃、私たちはお店の家具作りからマンションに住む人たち向けに家具を作るという仕事の流れが変わっていったのでした。
そこでは、家具を作る以外にいろいろな人たちとお話しするという一番苦手なことを学んでいったのでした。
でも、みなさんとお話しするにつれて、家具を好みの形に作ることがあまりに不自由なのだなということを感じていました。ある程度決まった枠の中からしか選べない自由、反対に自由すぎて何を選んでいくことが良いかを導けないもどかしさ。
そういったことをそういう場で一つずつ覚えていって、家具を作るだけではなく、その形を表現することも学んだのでした。
でもね、自分ではああしたい、こうしたい、と思っていてもその通りにならないこともあります。
2000年頃だったでしょうか。
家具の依頼があまり来なくなってしまったのです。ちょうどそういう時代だったこともあって、取引先の皆さんも手を持てあますようになって私たちのところに仕事を出すほどでもなくなってしまったのです。
当時の父は相当苦労したことと思います。今でこそその気持ちが何となく分かるようになりましたが、当時の私にはその時の父の気持ちは良く分かりませんでした。(笑)
そこで、「時間があるなら、今度友達に頼もうと思っていたホームページを作ってみよう。」と思ったのでした。
その当時はNHKをつけると、「初心者でもできるホームページの作成講座」と言うような番組をやっていて、女性が二人でタグについてとても丁寧に解説していたりと言うような時代だったのですが、見ていてもよく分かりません。
そこで本屋さんで、「初心者でも分かる~」という本を1冊買って、まずはその通りにやってみます。
英語が並んだ画面をみつめて、きっと難しいのだろうと思っていたのですが、始めてみると意外とそれが面白くて、まるで自分で雑誌を作っているかのよう。
仕事が終わる20時ごろからパソコンに向かって写真を載せては文章を書いてを繰り返し、気に入らなければまた編集してを繰り返して、最初のホームページができました。
また「メールはこちら」とかがキラキラ点滅していたり、「back」とか「next」がピカピカ動いていた時代で、写真も30kb以上だと重くて誰も見ない、なんて言われていた時代です。
「写真が重いとページの表示が遅いのか・・、それなら文章を書いてみよう。」
そう思ったのでした。
当時のリフォームとか、建築の広告とかって「施工前」と「施工後」の写真を2枚並べて、「こんなにきれいになります!」みたいな表現が多かったのですが、「それは、新しいものを作ればどの場所もきれいに見えるよね。」って思えて、見ていてもそれほどいいなあって思えなかったのです。
じゃあどうしよう、と思いまして、それなら自分の記録、日記のように書いてみようと思いまして、その方と出会って、どんな風に思ってどんな家具を作ったというのを自分の見たままで書いていったのでした。
「これほど文章が多いとみんな読まないんじゃない。」と両親からは細かい字に目を細めながらそう言われたのですが、その他にうまい表現の方法が見つからないので、その形を続けていくと、ある時にFAXが届きました。
ホームページの「ご相談フォーム」の部分をプリントアウトして、そこに細かく家具の希望内容を書いてFAXしてくださったのでした。
うれしかったなあ。
正直な気持ち、家具のオーダーをもらうんだって思って作ったページではなく、自分の記録と雑誌のように何だかきれいに写真集が作れることが楽しくて(仕事と思わずに)やっていたわけですので、ああ、本当に依頼が来たんだあ、と不思議な気持ちでした。
その方は埼玉の八潮のCさん。写真が小さすぎて今では製作例に使えなくなってしまいましたが、その時の書類はきちんと今でも取ってあります。
メールやFAXでたどたどしくやり取りして、初めてお会いする方のところに一人で採寸に行って、そして当時のスタッフと二人で納品して。今までにないくらいドキドキしておりました。
その頃からマンション向けの家具作りも本格的になって、一人一人のオーダーに応えて作るスタイルになってきて、県内、都内から遠方のマンションまで出掛けては皆さんの形を具体化していくことを学び、それと並行してホームページでは、今まで作った家具をその家具にまつわる皆さんとのドラマをどうにかうまく表現して、家具を作ることがもっと気軽にできるようにと思いながらやってきたのでした。

そうして、インターネットで家具の相談が気軽にできる時代がいよいよやってきました。
ちょうど、私が夜間学校に行っていた頃(私がこの仕事を始めて数年が経った頃で、まだホームページを作っていなかった頃です。)に、目黒通りにいろいろな家具屋さんが並びはじめて、徐々に家具や建築が身近になり、その波が私たちのような小さな木工所にも届いたのでした。
今までは家具と言うと、食器棚やリビングに壁面収納を作ったり、ダイニングテーブルを作ったり、と言う依頼が多かったのですが、2005年に「キッチンを作ってほしい。」と言う相談を頂いたのでした。
「キッチン?」
キッチンは、キッチンメーカーが作るものとばかり思いこんでいた私にいろいろと教えてくださったKさん。この方がいて今の私たちがあるといっても良いくらい。(笑)
その方のキッチンは「海の近く、ソラの近く」でご紹介しているキッチンです。
私はどちらかと言うと怖がりなので、「キッチンなんてできないよ」って思っていたのですが、Kさんの強い思いを聞いていた父は、「よし、やろう!」と即決!
それからが大変でした。ステンレスはどこで手に入れたらよいか、木を使ったキッチンは大丈夫なのか、組み込む機器類はどうしたら良いのか、分からないことだらけ。
でもKさんも一緒に考えて下さり、工務店さんもこのしどろもどろな若者にとても親身に向き合ってくださいまして、(今思うと、監督さんにも設備屋さんにもかなり無理を言っていたなあ。)どうにかその魅力的なキッチンが完成したのでした。
そして、とても喜んでくださったKさんがいろいろな方々にお話を届けてくださったのです。
「Kさんのキッチン見ました。すてきですね、同じようなスタイルで作ってください。」と言うお話をそれからたくさん頂いたのです。
どうしたらもっとうまく「キッチンを作るという仕事」を続けていけるのか・・、スタッフ皆と思案しながら、工務店さんにも怒られながら、ひとつずつ学んでいって、今のフリーハンドイマイがここにあります。
私たちがこの先どうなっていくのか、どうしていきたいのか、それは私自身大きな展望と言うものは決めておりませんし、求めておりません。
ただ、この先も私たちを必要としてくれる人が居てくれる、とそう思っております。
そう思っていてくださる皆さんがいる限りは、この道をしっかりと歩き続けようと、そう考えております。
今までも、これからも、皆様よろしくお願いしたします。

懐かしくも新たな気持ちで

2016.08.11

「ナラ節アリ材とステンレスヘアラインのオーダーキッチン」

浦和 K様

design:Kさん
planning:daisuke imai
producer:kouhei kobayashi
painting:kouhei kobayashi

節アリオーク材とステンレスを使ったペニンシュラキッチンとバックカウンター

リビングから見たキッチンの様子。茅ヶ崎のKさんの間取りをひっくり返したようなこの空間のレイアウトがどこか懐かしいのでした。

私たちが現在の木製オーダーキッチンを作るきっかけを与えてくださったのが、茅ヶ崎のKさんと言うお客様でした。
海の近く、ソラの近く」のKさんです。
2005年のことでしたので今から11年前のことです。当時はまだオーダーキッチンと言う言葉も定着していないし、木でキッチンを作るっていうことはイレギュラーなことだと思っておりました。
とてもスタイリッシュに気とステンレスを使ってキッチンを作る作家さんもいらっしゃいましたが、私たちには縁がないことと思っておりました。
何故なら、キッチンはキッチンだと思っていたからです。
キッチンが家具だよって今ならそう言えるのですが、当時はキッチンは家に最初から備わっているもの、すなわち「設備」と言うものと思っておりました。
組み込まれる機器のことも全く知らないし、水を使う場所で木を用いる仕事なんて、どちらかと言うと遠回りしていたくらいです。

節アリオーク材とステンレスを使ったペニンシュラキッチンとバックカウンター

キッチンバックパネルの印象。今回のサイドパネルとバックパネルにナラの節アリ材を使っています。木目の良く通った斑のあるきれいなナラ材とはまた違ったとても味わい深い表情です。

それが、その茅ヶ崎のKさん、ある日突然(私が留守の時に)ショールームにやってきて、キッチンを作ってくれる家具屋さんを探しているのですって、まだ現役で頑張っていた父に相談したのでした。
それがもうあと1ヶ月で新居の工事が始まってしまうのだそうで、あとから聞いた話では、お願いしていた家具屋さんに急にキャンセルさせられてしまったのだそうです。
それは大変なことだと思いましたが、未経験の私たちにきちんとしたものができるのか確信もないまま、「お手伝いできることはお引受け致します。」と、父はどこかためらう部分もあったのでしょうけれど、このまま見過ごすのはいけないと思ったのだそうです。
当時の私たちスタッフは、「あら、また社長が難題持ってきたね・・。」と言う感じでした。

節アリオーク材とステンレスを使ったペニンシュラキッチンとバックカウンター

バルコニー側から見た様子。バックパネルとサイドパネルをステンレスカウンターから少し立ち上げるデザインは、茅ヶ崎のKさんのスタイルをそのまま受け継いでいます。

それからKさんのお引き渡しまでは大変でしたね。未経験なものでひたすら勉強。機器についての勉強。キッチンの素材選びの勉強。ステンレスカウンターなんてどうするんだ・・。現場でのアクシデント・・。いろいろありましたが、Kさんも工務店さんもとても親身になってくださって、みんなで作り上げた最初にキッチンと私は今でもうれしく思っております。

節アリオーク材とステンレスを使ったペニンシュラキッチンとバックカウンター

シンクもオーソドックスな形。あの頃と変わったのは、四隅のアールを20Rにしたことでしょうか。

当時、(今は削除してしまったようですが)このKさんの家作りの記録が、ネットでとても評価されて、日本全国いろいろな人たちがこのブログを見ていたのです。
いろんな雑誌に取り上げられたり、テレビのCMにもリビングでロケが行なわれたり、それは大変に賑わいでした。
そのブログや雑誌を見た皆さんが、「Kさんのようなキッチンを作りたいのです。」と私たちの声を掛けてくださった皆様。
その皆様に支えられて、今こうしてキッチンを作るメーカーのひとつとしてここに居ることができるのです。
本当にありがたいことです。

節アリオーク材とステンレスを使ったペニンシュラキッチンとバックカウンター

食器洗浄機はミーレの45cmのタイプ。

節アリオーク材とステンレスを使ったペニンシュラキッチンとバックカウンター

食器洗浄機の扉を全開にしたところ。

そして、そのKさんの高校時代のご友人(だったかな)で、Kさんのブログにもちょくちょく名前が出ていたKさん。私もそのブログをよく読んでいたので、変わったニックネームの人だってずっと思っていたのです。
その人からメールを頂けるとは思ってもいませんでした。

節アリオーク材とステンレスを使ったペニンシュラキッチンとバックカウンター

こちらは、最初のお問い合わせでKさんから頂いていたスケッチ。

「こんにちは。初めてメールさせていただきます、Kと申します。
茅ケ崎のKさんの友人です。Kさんのおうちでキッチンを見て、一緒に料理をしたりして、使わせていただいていたので、家を新築する時があったら是非イマイさんのキッチンを・・・とひそかに思っておりました。
このたび、土地を購入し、建築家さんと契約をしたところです。さいたま市ということで、だいぶ距離があるところの土地を購入したので、今回イマイさんのキッチンをオーダーできるのかどうかといったご相談です。
プランもまだ全く決まってな状態ですが10月には完成を目標にかかげています。
前回の打ち合わせではキッチンをイマイさんで、という話を建築家さんにさせていただきました。
もちろんOKだったのですが、さいたま市なので、まず、距離的にOKなのか、もしOKであればどんな進め方になるのか、打合せなどは?といった話になりました。
予算もまだ未確定ですが、予算的には余裕のある感じではなく若干厳しいものもありそうなので、そこらへんもご相談したいところです。
オーダーキッチンならば、Kさんのキッチンのようなステンレストップの木張りにとても憧れています。
もしさいたま市でも可能であれば、だいたいの寸法をご連絡し、どのくらいの予算でできあがるのか、その予算でいけそうなのか検討させていただきたいと思っています。
よろしくお願いいたします。 」

これほどうれしいメールはありませんでした。

茅ヶ崎のKさんはお仕事の関係であのお家はしばらくの間貸してしまって、海外でご活躍されているのでこのKさんのお話を聞いたらどう感じてもらえるかな。

節アリオーク材とステンレスを使ったペニンシュラキッチンとバックカウンター

ガスコンロは、リンナイのデリシア。

Kさんとのやり取りはどこか懐かしくとてもうれしいものでした。
プランは、当時の茅ヶ崎のKさんのプランに近い形で、今回はバックカウンターも一緒に作らせて頂けることに。

節アリオーク材とステンレスを使ったペニンシュラキッチンとバックカウンター

こちらはバックカウンターの扉の中の様子。内部は掃除がしやすいようにポリエステル化粧板を使いました。

いつも思うことなのですが、私は皆さんから見ると専門家のようです。
こういう言い方は変なのですが、自宅は普通のマンションなので(今のところは)、またキッチンもマンションの購入決定時期が遅かったため、仕様変更できないとても標準的なシステムキッチン。引き出しの使い勝手などに不便があったり、構造が弱い部分もありますが、14年経つ今も大きく壊れることなく使えております。料理は時間のできた週末に手の込んでいないものを作るくらいですし、洗いものはそれほど嫌いではありませんが、食器洗浄機も使ったことない。
自分自身にとってはいまだオーダーキッチンは未経験なのですが、今まで皆さんのキッチンを作らせて頂いた中で学んだいろいろなことを自分の中で混ぜ合わせて自分らしく、みなさんらしい形であるように提示しながら仕事をしてきました。
でも、「プロの目から見て、ここはどう思われますか。」って聞かれちゃうと、照れますね。
こんな自分がプロフェッショナルなのかなって。
まだまだ思い至らない点は本当に数多くありますが、使っていってくださる皆さんが後ろから見守ってくださっていることが分かるのが大きな支えであり、プロって思っていいんだって自信につながっております。

節アリオーク材とステンレスを使ったペニンシュラキッチンとバックカウンター

引き出しの様子、その1。

節アリオーク材とステンレスを使ったペニンシュラキッチンとバックカウンター

引き出しの様子、その2。

節アリオーク材とステンレスを使ったペニンシュラキッチンとバックカウンター

引き出しの様子、その3。

節アリオーク材とステンレスを使ったペニンシュラキッチンとバックカウンター

引き出しの様子、その4。

節アリオーク材とステンレスを使ったペニンシュラキッチンとバックカウンター

引き出しの様子、その5。

節アリオーク材とステンレスを使ったペニンシュラキッチンとバックカウンター

引き出しの様子、その6。

節アリオーク材とステンレスを使ったペニンシュラキッチンとバックカウンター

引き出しの様子、その7。

節アリオーク材とステンレスを使ったペニンシュラキッチンとバックカウンター

引き出しの様子、その8。

節アリオーク材とステンレスを使ったペニンシュラキッチンとバックカウンター

引き出しの様子、その9。

Kさんとのやり取りの中でも、いろいろな相談をされました。家具の構造上のことではなく、キッチンの使い勝手のことについて。きっとそれはKさん自身が知っていることだと思うのですが、私がすべきことはそれに気づかせてあげることなのだと、打ち合わせをしていると思うのです。それができることがプロなのかなって何となく思うのです。
引き出しを胴のように使ったら良いのか、食器洗浄機は自分の立つ位置のどちらが良いのか、キッチンとバックカウンターとの間の距離はどのくらいが良いのか、きっといつもの感覚では分かっているけれど、それを新しい暮らしにどういうスケールで組み込んでいくのか、そういう分かっていることをきちんとあらためて知って頂くことで、使いやすい形に成っていくのではないかと思っております。
こうして考えた形は、特に何か大きな特徴があるという形ではないのですが、Kさんにとってしっくりくる形となったのです。

そして、それがきちんと納まるように現地でKさんと設計士さんと工務店さんとで打ち合わせです。
新築でさらに2階がキッチンとなるといろいろな問題が起きやすく、今回の現場でも配管の取り回しがちょっと複雑になりそうで、床を転がす形で配管することになり、最下段の引き出しは奥行を小さくして配管が通せるような構造にすることになりました。でも、問題はここだけ。あとはすんなり納まりそうです。
今回の現場では、他の業者さんとの関わりが少ない、ということで、工事の最後のほう(クリーニングが入る前後)に施工させて頂くことになりました。

そして、施工当日。最初にご相談頂いていたのは2月の寒い頃でした。そしてこの日も1月と言う冬の真っただ中。
少し前の天気予報から心配していたのですが、浦和のほうは空気がたまりやすいからなのか、他よりも湿気などの影響を受けるようでして、先日降った雪がここではまだたくさん残っていたのです。
会社のある神奈川ではだいぶ溶けていたので、ちょっとビックリ。その雪の影響かほかの業者さんの工事もかなり立て込んでいて、さてどうしよう・・。
と、ちょっと不安な面持ちでいたのを察してくれたのがか、工務店さんに電気屋さんにと業者さんが気を使ってくださって、雪が残る庭からバルコニーに揚げる道を開けてくださって、どうにか無事搬入完了。
工場で一度仮組みしているので、搬入さえ無事に終われば、現場で組み上げるのは慣れた手つきです。
こうして無事に設置を終えて、Kさんのキッチンは完了したのでした。

「土曜日は遠路遥々ありがとうございました。
キッチンのお手入れ方法、そしてダイニングテーブルの修理までしていただき、本当にありがとうございました。
ブログも早速拝見させていただきました。
とても素敵に写真をとってくださり嬉しい限りです。本当に念願かなってのキッチンなので、愛着が日に日に増していく日々です。
また今後新居に家具が必要になった際は、イマイさんに絶対お願いしようと思っていますので、引き続きよろしくお願いいたします。
それでは今回は本当にありがとうございました。
連絡遅くなり申し訳ありません。」

そう、ダイニングテーブルは、DIY好きな茅ヶ崎のKさんのご主人からプレゼントされたものだそうで。天板の裏を見ると、当時私がアドバイスした通りにきちんと組み立てられていました。ただ、その脚のネジが緩んでしまっていたようで、今回しっかり止めることで無事解決。こうしてみんな住む場所が違ってもいつまでもつながっていられることはとてもありがたいことなのです。

キッチン仕上
天板 ステンレスヘアライン
扉・前板 ナラ板目突板練り付け
本体外側 ナラ板目突板練り付け/ナラ節アリ無垢材
本体内側 ポリエステル化粧板「ホワイト」
塗装 ワトコオイル塗装「ナチュラル」
バックカウンター仕上
天板 ナラ板目無垢材
扉・前板 ナラ板目突板練り付け
本体外側 ナラ板目突板練り付け
本体内側 ポリエステル化粧板「ホワイト」
塗装 ワトコオイル塗装「ナチュラル」

ナラ節アリ材とステンレスヘアラインのオーダーキッチン

価格:840,000円(制作費・塗装費、設備機器は別途)

ナラ板目材壁付けのバックカウンター

価格:420,000円(制作費・塗装費、設備機器は別途)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は50,000円から、取付施工費は120,000円から)