お月見日記

2021.09.23

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玄関
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我が家のお月見記録です。娘二人ともお団子があまり好きではないので、毎年必ず作っていたわけではないのですが、おうち時間の時間が長いせいか、今年はちゃんと用意しようという気持ちになりました。
お団子は好きじゃないけど作業は好きということで、ハルが手際よく作ってくれました。お皿によそうとプルプル過ぎて段に重ねっれないということで、竹串で数個ずつ刺してみましたが、それでもずれてしまいましたね。
なぜ飾りが二ヵ所なのかというと、リビングに飾ってしばらくするとハルにくしゃみや鼻水のアレルギー症状が出てきてしまったのです。イネ科のススキ、以前の検査ではイネは大丈夫なはずなのですが、気をつけなくてはいけませんね。
ですので玄関に移動したのでした。ススキを飾るのは難しいでね。来年はもっと背が高いまま床に置いて飾る感じにしたいなと思います。
お団子は翌日に磯辺焼き・あんこ・きな粉にして楽しみました。固くなってしまっていましたが、グリルで数分焼けば中までふっくら柔らかくなりました。白玉粉と絹豆腐同量を混ぜるレシピは胃もたれせず(笑)おいしかったです。

さて、お団子を載せている台ですが、これは【木のご飯台 Cone 】という名前で販売していますよ。
ペット用のご飯台として作りましたが、我が家では「木製の和風なコンポート皿」として使っています。お正月の鏡餅の台としても使えます。洋風過ぎずにいつもと違う雰囲気を演出できるので気に入っています。鉄染をしたコーン型の脚と天板の縁の加工がアクセントなのです。

Website →木工小物と雑貨→ tableware →【cone 】

手作り通販サイト【Creema 】でも販売させていただいてます。興味のある方は見てみてくださいね。

木のキッチン シンク下のゴミ箱置き場の掃除

2021.09.20

Dsc_9628壁にピタリとつけてフットペダルを踏んで開閉する勢いで傷付けてしまっていたようです。気になる方は少し離して使うようにした方がよいかもしれませんね。
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Dsc_9629サイドパネルの外側までカビが染み出てはいませんね。
Dsc_9639ご自身でオイル塗装をされたお客様にはその時に「紙やすりと蜜蝋とウエス(綿の着古したTシャツなどの布で大丈夫です。)が常備しておくよいですよ。」お伝えしているのですが、こういう時にあらためて手元にあると良いなと思ったのでした。気付いた時にすぐケアできますからね。

先日のオープンハウスでキッチンのお話をしている時に、「あ、ここ掃除し忘れてた。」と気づいたところがありました。
シンク下のゴミ箱置きスペースです。
うちは家の中で日陰の場所にあるキッチンで洗面所・お風呂と続いているので湿気がたまるかなとは思っていたのです。
梅雨時期に生ごみの臭いが気になりゴミ箱を出して拭き掃除をした時には気付かなかったので、その時まではなかったと思うのですが、キッチンの内側の部分の生ごみを入れるゴミ箱の側にカビのような点状の汚れとゴミ箱の蓋が動いて当たるところにこすれた傷がついていました。
汚れを見つけたらすぐ落とそう!ということで、4倍に薄めた酢水で拭き取り→乾いたら320番と400番の紙やすりがけ→蜜蝋ワックスを塗り込む、という作業をしてみました。触ったら凸凹はわからないくらいに汚れは落とせたのですが、シミのような跡は残ってしまいました。
なぜこうなったのかと考えてみました。洗いかごをキッチンの端に置いていて洗い物が山積みになるくらい多い時にはサイドパネルに水がしたたり落ちて濡れてしまう時があるのです。その都度乾いたタオルで拭いていたのですが、湿気は残っていたのでしょう。そして、生ごみの湿気があるのでカビやすくなってしまったのだと思います・・。
同じような状況で使用している方は、もしかしたらこうなるかもしれませんので、ちょっと確認してみてくださいね。

今年も栗のテーブルで栗仕事

2021.09.20

海老名産の大きな栗をいただいたので、連休中に大好きな渋皮煮を作ることにしました。
毎年参考にさせていただいているのは大原千鶴さんの今日のお料理のレシピです。参考写真のような美しい渋皮煮をいつか一粒でも作れたらいいなと憧れているのですが、私にはなかなか難しいことなのです。
昨年は大きな栗は中心が生のように固く残ったものがあったので、今年はしっかりゆでようと思ったら今度は崩れたものが多くなってしまい残念でした。本当はもっと煮汁が澄んだ状態になるのだと思いますが、そうすると全部に崩れてしまいそうでしたのでやめました。火加減なのですね。プロの方は本当に素晴らしいです。
でも、テーブルで鬼皮むきをしていたらハルが何も言わずに手伝い始めてくれて一緒に作業ができたのはうれしかったです。
毎年「たくさん作ってお正月まで取っておけばお節料理に使える。」と考えるのですが、間違いなくそれまでになくなってしまうのでした。今年はどうしようかな、もう一度作るかな、と7割答えが出ていますが、残りの3割で、これから買い物に行くたびにきっと出会う栗の姿を見て悩もうと思います。

チェリーの引き戸のある食器棚

2021.09.19

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昨日の雨は大変心配でしたね。
私たちのところでは大きな被害を受けることなく朝を迎えることができました。
おかげさまで、本日Hさんのところに無事家具を届けることができました。
そういえば、先日ようやく1度目のワクチンを受けることができました。
体には大きな異変が起きることはなかったですが、翌日中は熱はなくてもひどい倦怠感があって、不思議な感覚でした。
体に取り込まれた小さな力や自分ではどうにもできない大きな力がそこかしこにあふれていて、自分たちはその中で節度を持って暮らしていかなければいけないのだなとあらためて感じたのです。
今日もこうしてきちんと過ごせることに感謝します。

本日は大変良いお天気に恵まれてHさんのところにお伺いすることができました。
コーポラティブハウスということでエントランスからHさんの住戸までは少し変わった導入部になっていたので、長いテレビの上の棚はきっと通らないだろうなと思っていたのですが、実際に運んでみると難なく通過。
予定ではエントランスとは反対のバルコニーから、その階下にお住いのご家族にご了承頂いていたので、荷揚げをするつもりだったのですが、大掛かりにならずに済んでよかった。

もともと、Hさんには、食器棚の相談を頂いていたのです。
そのお話の中できれいな形のテレビボードに目が留まり、その上も飾り棚を作りましょう、というお話になったのはうれしくもありましたが、搬入の心配もあったところでした。
しかしこうして、先ほどのように良いことがいろいろと起こりまして、無事に2台の家具が設置できたのでした。
食器棚は奥様の家具、飾り棚はご主人の家具、ということでとても気に入って頂けまして、またあらためて使っている様子を見させて頂きにお邪魔させてください。
ありがとうございました、Hさん。

コーリアン「セージブラッシュ」とブラックウォールナットのキッチン

2021.09.11

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最初に平成建設の設計のTさんから頂いた写真を見て、何というかすごく柔らかいぬくもりというのでしょうか、(良い言葉なのかどうなのか分かりませんが)使い古された温かさというかなんというか、とにかくルドルフ・シンドラー邸のような木の匂いがして、石がひんやり冷たくて、それでお香の匂いと漬物に匂いがしたら最高だなって思っていたのです。そこからもう少し話を進めていくともうっちょっとモダンなイメージをお持ちだった施主のWさんの意見を汲み取りまして、このような形にまとまりました。
ベルタゾーニのガスオープンは初導入でございます。
あとは平成さんが仕上げてくださった頃にまたお伺い致します。

引き続きどうぞよろしくお願い致します。

今日は「趣味どきっ!」

2021.09.08

7月に発行された本なのですが、お世話になったkonasalonさんも、以前からお名前は伺っていてInstagaramを通じてメッセージを交換するようになったkitobitoさんも取り上げられていたので、「お盆休みになって時間ができたらゆっくり読もう。」とダイスケさんとお話していたのですが、なぜか忘れてしまっていて、TVの予告を見て思い出し慌てて購入して放送には間に合ったのでした。昨年でしたでしょうか、前回の有元葉子さんや中村好文さんのキッチンもとてもすてきにご紹介されていたので、今回もとても楽しみにしているのです。雑誌があるならTVは見なくても…という方もいらっしゃるかもしれませんが、やはり紙面と動画では入ってくる情報が違い、どちらかだけでは気づかなかった点に気づくことができるのでおもしろいです。
前回放送の野村友里さんと紘子さんの放送回では、今まで冷や汁は自ら食べたいとは思わなかった献立なのですが、初めて作ってみたいと思えました。また、人の座高ほどの高さのある大きなアジアンタムが中庭にあり、それほど大きなものを見たことはなかったので「自分の家のものもここまで大きくなるのかしら。」と目を奪われました。
全く自分の暮らしとかけ離れていると「違う世界のことだ。」とあきらめてしまいますが、共通する点を見つけられると、憧れられます。こういう暮らしをしていきたいと。
そのためには、毎日バタバタ時間に追われて夕食の支度をしている状況をどうにかして、料理の腕をあげていかなきゃと毎回反省するばかりなのですが…。
なんとなく、私達にキッチンをご依頼いただく方々もこういう暮らしの雰囲気が好きな方が多いのではないかと思っております。興味がある方はご覧になってみてくださいね。→ NHK 趣味どきっ!

Tさんのところへ

2021.09.07

先日設置工事を終えたTさんのところに再びお伺いして細かい部分のメンテナンスをしてきました。
最初に作らせて頂いたのは食器棚でしたね。
あの時は、
ナチュラルな色で仕上げたわけですが、今回リビングダイニングのリフォームを機に色をがらッと変えたのでした。
今回作らせて頂いたカウンター収納は、塗料にリボスのカルテッドのホワイトを使い、擦り込んで拭き取る仕上げにすることで、導管がより白く仕上がる印象に。
そして、それに合わせてTさんご自身で前回作らせて頂いた食器棚もホワイトふき取り仕上げにするというのです。
今日伺ったタイミングでちょうど2回目の塗装を半ば終えた状態で、もうすぐで完了するというところ。
この写真だとね、ちょっと色淋しく見えちゃいますが、実際は全体的に静かな印象に仕上がっていってます。

食器棚の塗装が終わったらまたお邪魔させて頂いて、全体の様子を拝見させて頂こうと思っております。
楽しみにしております、Tさん。

花差し込む

2021.10.08

「ナラ板目とステンレスバイブレーションのオーダーセパレートキッチン」

調布 S様

design:Sさん/内田雄介設計室/daisuke imai
planning:内田雄介設計室/daisuke imai
producer:hiroyuki kai
painting:hiroyuki kai

ステンレスバイブレーションとオーク板目のセパレートキッチン

リビングダイニングキッチン。集合住宅の最上階ですので、上が大きく吹き抜けているのです。この撮影しているすぐそばにハシゴが掛かっていて、そこから上に上がるとロフトがあって、その先には屋上に出られるというちびっ子にとっては夢のようなスペース。陽射しがこの場所をや花たちの元に明るく差し込んできます。


ステンレスバイブレーションとオーク板目のセパレートキッチン

玄関から入ってきてリビングのドアを開けた時の印象。とにかく明るいお部屋で気持ちのよい風が抜けます。目の前を大きな国道が走るのですが、気にならないくらいの静かな場所。キッチンの背面と右側面には大きめのタイルを施工していて、それと塗り壁のラインに合わせて、真鍮の棚受けのある小ぶりな棚板も作らせて頂きました。ガスコンロの近くの側壁って結構油が跳ねるので、このタイルの張り方できっと使いやすくなっていると思うのです。

もう8年ほどになりますね。
内田さんからこうして家具制作の依頼をいただけるようになってから。
最初はご自宅のキッチンでしたね。
それからも、キッチン、キッチン、時々食器棚、キッチン、キッチン、時々玄関収納、キッチン、キッチン。
キッチンが多いのは、みんな内田さんのキッチンが好きだから。
今回のSさんも、こうメールに書き添えてありました。
「内田雄介設計室さんに調布にありますマンションのリフォームをお願いしております。
内田さんのご自宅を拝見し、とても素敵なキッチンでしたので、同じ雰囲気のキッチンを、と考えております。」

ありがとうございます、内田さんのキッチン素敵ですものね。
内田さんのキッチンの特長としてはオーク材を使うこと。よく北欧テイストの雑誌などで内田さんの空間が特集されることが多いのですが、やはり明るめの色のバランスが好まれるのでしょうね。

だけれど、今回のSさんのお話を最初に頂いた時は、あれって思えるような原案でしたね。少しハードな印象というのでしょうか。
節のあるオーク材とステンレスの組み合わせで、室内空間にはアイアンでフレームを組んだ内窓をつける形のパースを見せてくださいました。
なるほど、内田さんもこのようなテイストで空間をまとめることもあるのだなあ、と思いながら頂いた資料を眺めていましたっけ。

ステンレスバイブレーションとオーク板目のセパレートキッチン

セパレートキッチンという形。水場と火元を対面にしてしまうと使いやすいのか、使いにくいのか、けっこうみなさん意見が分かれます。主にキッチンをお一人で使うなら対面でも良いかもと思うのですが、家族でワイワイやるなら、ちょっと狭くなっちゃって危なっかしいと感じることもあるので、このSさんのように軸をずらしても良いかもしれませんね。作業動線を考えると、もっと距離を取りたいって方もいらっしゃるので、やはりキッチンや家具作りはお話することが大切なのだなあと思うのです。

その人の色、があるってとても強いことだと思うのです。
内田さんの作品を見ていると、白い壁にオーク材の明るい印象が映えて、とても清涼感の合う空気が通り抜けていく印象をいつも強く感じるのです。
以前に作らせて頂いた「やさしい毎日」八王子のOさんで少し個性的な形にした時でさえもやっぱり清涼感のある印象が強く表れていて、とても気持ちが良い場所でした。
翻って、私たちの作る形に色はあるのだろうか・・、ってよく自問するのですが、やっぱり自分じゃ分からなくて。
皆さんは、「イマイさんらしさはありますよ。」と言ってくださって、ひとつずつそのポイントを挙げてくださるのですが、そのどれもがほかの家具屋さんでもよく見られる形だったりするので、不思議に思うのです。
ただ、自身として心掛けているのは、「あまり飾らない」ということは心掛けています。
木はそれぞれが持つそのままの色でできれば仕上げたいし、必要以上に華美な装飾も苦手です。
というか、必要なことだけを形にしてなるべくシンプルで、ずっと馴染む形でありたいなと思っています。
なぜステンレスカウンターを浮かせるのか、なぜ引き出しがゆっくりしまらないといけないのか、なぜワークスペースをその広さにしないといけないのか、なぜコンロをガスではなく電気にするのか・・。

ステンレスバイブレーションとオーク板目のセパレートキッチン

内田さんカラーの天板下の目地と台輪部分。今ではこの見せ方がひとつのテイストになっていますね。

けっこう大変だと思うのです、家具やキッチンを考えるのって。
だからもしかすると、せっかく相談くださっても、(本当はもっとお任せしたいのに、いろいろ考えないといけないから大変で・・。)と思って、お話を取り止めされる方も少なくないと思います。
でもそこで暮らしていくのはその方ご自身なので、やっぱり大切なのは家具を作ることだけではなく、その手前のその家具を作るためにどのように暮らしを思うかなのではないかと思いますので、いろいろと聞いてしまうのです。
でもそうすることで生まれる良さってたくさんあって、いろんな角度から家作りやキッチン作りを見れるようになると、今まで暮らしの中でしてきた作業時間が、楽しみな創作の時間に変わることもあります。
そういうことに気付いてほしいと思って、相変わらずなぜなぜと聞いてしまうのです。
それが私たちの色のひとつなのかもしれませんね。

ステンレスバイブレーションとオーク板目のセパレートキッチン

シンクはコーナー10R。そして、洗剤ポケット付きシンク。ポケットのサイズは、以前のお客様から教えて頂いて、今では標準サイズとなったワイヤーラックが置けるサイズにしています。


ステンレスバイブレーションとオーク板目のセパレートキッチン

シンク下は、ゴミ箱2台が置けるスペースを確保しておいて、残りはこのようにステンレス板を張ったオープン棚にしています。


ステンレスバイブレーションとオーク板目のセパレートキッチン

こちらはゴミ箱を置くスペース。文中にも書きましたが、フローリング面から一段上げた位置にゴミ箱を置いています。

で、Sさんのお話。
「イマイさん、今度僕のアトリエでSさんと打ち合わせすることになりましたので、キッチンの詳細についてイマイさんとも打ち合わせをしたいと思っておりまして。」と内田さんからお声掛け頂いて、さっそくアトリエにお伺いしました。
さて、どのような形になるのかな・・・。
「はじめまして、フリーハンドイマイの今井大輔と申します。今日はよろしくお願い致します。」
とご挨拶させて頂いて、さっそくお話を始めます。
いつも内田さんとお話を進める場合は、内田さんが全体のイメージを整えてくださいながら細かい部分を私が整えて考えていくことが多く、今回もそのようにしてお話を進めていったのです。
で、最初に内田さんが考えていた形がどのような空間になっていくのでしょうか・・。
と思っていると、やっぱりSさん、内田さんのキッチンが好きだったのです。
今回内田さんが、こういう見せ方もステキなのではと考えていた少しハードな印象はSさんの気持ちとは少し離れていたようで、やっぱり温かな内田さんの空間を思い描いていたのでした。
最初のミモザの写真を見るとその温かさがよく分かります。
内田さんもニッコリしながら、そうですね、ということで、いつものテイストで方向性をまとめていきます。
細かい使い勝手などは私のほうでアレンジさせて頂いて、ひとつの形がまとまりました。
マンションでこのような空間になるなんてどんな場所なのだろう。
以前、「土間」の綱島のZさんの時もそうでしたが、集合住宅とは思えないような、風が心地よく流れる間取りでした。
今回もたのしみですね。

ステンレスバイブレーションとオーク板目のセパレートキッチン

食洗機はパナソニックのドア面材型でディープタイプのものを採用しています。今回のように天板下に目地を入れるデザインだと、食洗機の納め方もひと工夫が必要になります。食洗機の上に木を入れないといけないのです。

そのご新居となる集合住宅が建つのは調布です。
調布は、ここから少し距離はあるのですが、以外と家具を作らせて頂いたお客様が多く住んでいらっしゃって、ちょっと身近に感じる町です。
ただ、今回のSさんの住まいは大きな国道沿いに建つマンションで、なかなかこのあたりには足を運んでいませんでした。
そして心配なのは、交通量が多いですので、搬入です。
駐車場もコンパクトなので、車を余分に止めて置くスペースもなさそうでしたから、うまく進めないとね。
また、各住戸へのアクセスの方法が独特なのもこのマンションが築年数が経った今でも人気がある理由なのかもしれませんね。
その分やっぱり運びづらいのですが。
その中でも一番の心配がステンレスカウンターの搬入でした。
古いマンションでしたのでエレベーターが少し小さかったので、おそらく入らないだろう・・という印象だったのです。ですので無理ならば7階でしたから3人でどうにか頑張って階段で運ぼうかなと覚悟していたのでした。

ステンレスバイブレーションとオーク板目のセパレートキッチン

食洗機の隣の引き出しの様子。


ステンレスバイブレーションとオーク板目のセパレートキッチン

食洗機の隣の引き出しの様子。ちなみに今回は、真鍮を使うことも一つのテーマでしたので、壁付いている飾り棚の棚受けも、このハンドルも真鍮磨き仕上げのものを使っています。使っていくととても良い風合いになっていきます。


ステンレスバイブレーションとオーク板目のセパレートキッチン

食洗機の隣の引き出しの様子。

お話は変わりますが、リフォームで私たちが難しいと考えているのはスケジュールです。
新築のように十分な工期がないことが多いので、仕上がり寸法を見込んで作っていくことになることが多いのですが、それがなかなか怖くって。
私たちがまだ今のようにいろいろな皆さんから家具やキッチンのご相談を頂く仕事を多く手掛ける前の頃は、工務店さんや内装屋さんからお仕事を頂いていたことが多かったのです。
そういう場合ってなぜだか結構予定してる寸法通りに仕上がらないことが多かったりするのです。
それで途中から寸法の変更依頼が入ってきたりして、仕事がはかどらないことがよくありました。
今のような仕事の形態へと変わることができたおかげでそういうロスを減らすることができたのですが、リフォームは現場を解体してみないと分からない部分があったりします。
作り始めちゃってからどうしても現場で寸法を変えられない部分も出てくることもあります。
それが怖いので、私はなるべく現場の寸法が確定できるタイミングから作り始めたいと思っていて。

ステンレスバイブレーションとオーク板目のセパレートキッチン

コンロ側の壁付けキッチンの様子。よく見ると、ステンレスの天板とナラの天板が切り替わっていることが分かります。また、引き出しの開ける形も真鍮ハンドルと手掛けで切り替えています。基本的に調理中によく触る部分は、木が汚れにくいようにハンドル、きちんと拭いた手で触るだろう部分や水をあまり気にしなくてもよさそうな部分は木のままで、という考え方にしています。

今回も解体時に一度現場を確認したのですが、やはりどうしても調整が必要な部分が出てきたりして、ああ、まだ手を付けなくて良かったなと思える部分もありました。
でも、そうなると制作期間が限られてきます。
遅くスタートしても納品の予定は決まっているので、のんびりとはしていられず、いつもそのあたりのバランスをひやひやしながら見ているのです。
今回は、内田さんと工務店の市丸さんと私とで、躯体の状態にそのまま墨出ししてくれたのでうまくいきそう。
ただ、市丸さんがちょっと心配していたのが、遮音等級の高いフローリングを採用しなければいけないため、クッション性が高いフローリングだったので、そのままキッチンを据えちゃうと安定しないんじゃないかって心配してくれていたのです。
そこでキッチンが置かれる部分は硬い合板を敷いて、ちょうど床面が露出するあたりでクッションフローリングと切り替えたい、ということで、かなりシビアな墨出しとなりました。
そのおかげできれいに切り替えはうまくいったのでした。

ステンレスバイブレーションとオーク板目のセパレートキッチン

天板の目地ですが、いつも色を変えるのはアイランド部分のみなのです。おもしろいですね。なぜそうするのかは内田さんに聞いてみてくださいね。


ステンレスバイブレーションとオーク板目のセパレートキッチン

ガスコンロ右横の引き出し。この引き出しは意外と調味料ではなくて、調理道具をしまわれる方が多かったりします。


ステンレスバイブレーションとオーク板目のセパレートキッチン

ガスコンロ右横の引き出し。


ステンレスバイブレーションとオーク板目のセパレートキッチン

ガスコンロ右横の引き出し。

そのような感じで、どうにか現場に入れる目途がついて、制作のほうもどうにかスケジュール内に作り上げることができまして、いよいよ設置工事です。
交通量の多い時間帯をどうにかかいくぐって、市丸さんが管理組合さんにお話を通しておいてくれたおかげで、搬入時の駐車スペースも確保できて、運よくエレベーターにもカウンターが入ったのでした。(なぜだろう)
そうして取付も3日間ほど掛けて無事に完了して、あとはお引渡を待つばかりだねっと思っていたら、1つ問題発生。
もともとあったキッチンの位置から、今回はアイランドタイプのシンクにしたので、給排水の位置をけっこう振ったのです。
そうなると水勾配を取らないといけない関係から配管が床下だけだと納められないことに。
特に古いマンションなので、床の捨て貼りが無くて(なのでクッションフローリングを採用していたのでした)、床に下に這わせられるギリギリのところで転がして振ったのですが、シンク下でどうにも20ミリばかり配管が出ちゃう。
私たちのキッチンはシンクに下にフローリングを見せた状態でゴミ箱スペースを採ることが多く、今回のSさんもそのような形にしていたのでその部分で給水給湯管が出っ張ってしまうのでした。
そこで急きょ板を敷いて一段上げる形で対応することに。
ゴミ箱を奥野にフローリング続きではなく少し高さが上がる形になってしまったのですが、ゴミ箱はキャスターの動きが軽いものを使ってくださっているので、ほぼ不便なく使えています、と後からSさんからコメント頂けて、内田さんと市丸さんも私もひと安心。
すてきな空間ができるまでにはいろいろあるのです。
でも、こうして無事に心地良い空間ができあがったのでした。

ステンレスバイブレーションとオーク板目のセパレートキッチン

ガスコンロはリンナイのデリシア。そして、現行品がほぼ無くなってしまったワイヤーシェルフ。来年には新型が出ると良いのですが・・。

「お世話になっています。
転居から1ヶ月ほど経ち生活もだいぶ落ち着いてきました。
製作頂いたキッチン、快適に使わせて頂いています。フリーハンドイマイさんにお願いし本当に良かったです!!
最近はコロナで外出を控えることも多いですが、リフォームした部屋のおかげでおウチ時間を楽しめています!!
それでは今後ともよろしくお願い致します。」Sさん、内田さん、ありがとうございました。

ステンレスバイブレーションとオーク板目のセパレートキッチン

ガスコンロ左側の引き出し。日常使いのカップやグラス類がメインに。


ステンレスバイブレーションとオーク板目のセパレートキッチン

ガスコンロ左側の引き出し。日常使いの食器ですね。


ステンレスバイブレーションとオーク板目のセパレートキッチン

ガスコンロ左側の引き出し。火元のそばで使う調理道具たち。


ステンレスバイブレーションとオーク板目のセパレートキッチン

木製天板に切り替わるここからは、食器のほかにリビングダイニングのこまごましたものをしまう場所となります。


ステンレスバイブレーションとオーク板目のセパレートキッチン

木製天板に切り替わるところの引き出しの様子。


ステンレスバイブレーションとオーク板目のセパレートキッチン

木製天板に切り替わるところの引き出しの様子。


ステンレスバイブレーションとオーク板目のセパレートキッチン

木製天板に切り替わるところの引き出しの様子。お菓子だ。


ステンレスバイブレーションとオーク板目のセパレートキッチン

そして、その左隣は炊飯器を収納しておいて、引き出してご飯を炊くスライドテーブルと、その下は深めの引き出し。


ステンレスバイブレーションとオーク板目のセパレートキッチン

炊飯器の左隣の引き出し。


ステンレスバイブレーションとオーク板目のセパレートキッチン

炊飯器の左隣の引き出し。


ステンレスバイブレーションとオーク板目のセパレートキッチン

そして一番左は床置きのエアコンです。

キッチン仕上
天板 ステンレスバイブレーション
扉・前板 ナラ板目突板
本体外側 ナラ板目突板
本体内側 ポリエステル化粧板
塗装 オイル塗装仕上げ

ナラ板目とステンレスバイブレーションのオーダーセパレートキッチン

費用についてはお問い合わせくださいませ。

ナラ柾目の食器棚

2021.09.06

「わたし、給食のおばさんなんですよ。」と歯切れのよい物言いで、現場からの打ち合わせの帰り道の途中まで送ってくださったYさん。
お土産に持たせてくださった枝豆がおいしそうで、食べ物のお話から器の話になって、柳宗悦さんのお話になった時に、「イマイさん、民藝館にぜひ行くと良いですよ。」とお勧めしてくださったのをきっかけに先日アキコと出掛けたんだっけなあ。
私たちの家具も「民藝」とまではいかなくても、「普段使いの美しい道具」とみんなに思ってもらえるように頑張らないとね、なんて思うのです。
そのYさんのところに土曜日にご依頼頂いていた食器棚の取付に出かけていました。
食器棚と玄関収納ということでかなりボリュームはありましたが、どうにかその日に終わるだろう、とみんなと相談していたら、うっかり、背の高い部材をいろいろと積み込み忘れてしまっていて・・。
その部材がないと家具の固定ができないよという部分もあったりして、「すみませんがYさんもう1日お時間を頂けますでしょうか。」ということで昨日もお邪魔させて頂いていたのでした。
作業は無事にきれいに終わりましたが、貴重な休日の2日間を頂いてしまいまして、申し訳ございません・・。

いつも納品の前日に、図面を見ながら打ち合わせをしているのですが、いけませんね・・。
再発しないように気持ちを引き締めないと。

Yさん、またあらためてご挨拶に伺わせて頂きます。
その時にはまた民藝のお話お聞かせ頂けたらうれしく思います。
よろしくお願い致します。

箱を干す

2021.09.03

細々ですが、希望される方には自宅をお見せしております。
キッチンや家具が使い込まれた様子を見てもらうためだったり、私たちの室内の印象を気に入って見て頂くためだったり、といろいろな希望をいただけてこうしていらしてくださるのはとてもありがたいことです。
感染対策はもちろんのことですが、少しはきれいに見て頂けるように掃除をしないとね。
すみません、ですので本日お休みを頂いておりました。
このところ雨降り続きですので、引き出しの中を掃除したら、少し風通しを良くしましょう。
写真は、張っていて少し余分が出てしまったというアカマツの床材と工房に余っていたスギ材を使って作ったカトラリーケース。
こうして床と並べると床が日焼けした様子がよく分かるのですが、写真だと、うーん、よく分かりませんね。

Nさん、明日お待ちしております。

森のキッチン

2021.09.13

「チェリーとステンレスのオーダーキッチン」

大磯 I様

design:Iさん/daisuke imai
planning:daisuke imai
producer:hideaki kawakami
painting:iku nogami

「先日はカタログの発送ありがとうございました
Instagram、ウェブサイトも拝見し、理想のキッチンに出会えた気がします!
予算が可能であれば、ぜひ制作を依頼したいと考えております。
暮らしの理想としまして、近い将来子供が独立し、夫婦2人の生活になるかと思います。
暮らしを小さくしコンパクトな住まいを計画しております。
持ち物を見直し、ミニマムな生活をしたいと考えております。
なにか収納などのアドバイスをいただけると助かります。

イメージしているキッチンのサイズは、【幅】シンク側、コンロ側ともに1800ミリ、【奥行】シンク側900ミリ、コンロ側600~650ミリ
形はⅡ型キッチンで、素材はチェリー材とステンレストップのバイブレーション仕上げ
コンロは、ハーマン「プラスドゥ」とコンビネーションガスオーブン
食洗機は、ミーレの60センチのもの
リビング側には収納を設けたいです
シンク下はオープン
コンロ側には吊り棚をつけたいです
シンク側には包丁、カトラリー、ボール類をしまいたいです
リビング側背面は食器をしまいたいです
コンロ側には鍋、大皿、トースターをしまいたいです
吊り棚にはコップ、食器をおきたいです

以上になります。
お見積もりよろしくお願い致します。
楽しみにしております。」

ステンレスバイブレーションとアメリカンチェリ―のセパレートキッチン
森の入り口のように緑あふれるキッチン。まだお引渡から2ヵ月も経っていない頃ですが、チェリーの色がほんのり濃くなっているように見えますね。
ステンレスバイブレーションとアメリカンチェリ―のセパレートキッチン
勝手口があって、回遊できるプランは良いです。Iさんのところにはお嬢さんがお一人いらっしゃるので、一緒にキッチンに立っても使いやすそうです。でも、Iさんが言うには、「娘はもうすぐ出て行っちゃうから、娘の部屋も特に決めていないんですよ。」そして、お嬢さんもそのようなお母さんの言葉にあっけらかんとした表情で、楽しそうなファミリーだ。
ステンレスバイブレーションとアメリカンチェリ―のセパレートキッチン
ちなみにシンクとコンロの間のワークスペースは900ミリ。一人で使うには十分な広さで、反対にお料理の先生からはもっと狭くしてほしいと言われたこともありました。「一歩踏み出すことなく、いろいろなワークトップにアクセスできるほうが便利なのよ。」って。また反対にご家族みんなでキッチンに立つという場合は、もっと広くしてくださいって言われますね。皆さんいろいろな暮らしかたがあっておもしろいのです。

たしか、Iさんの最初の問い合わせは電話だったような気がしますね。
そもそも私は電話が苦手なのです。
電話だと気軽に相談できてその場で答えてもらえるので、質問してくださる皆さんにとっては分かりやすいのだと思うのですが、私としてはその場でおおよその内容を伝えたり、費用をお伝えしたりするので、その場でパッと浮かぶものでもないので、いつもひやひやしてしまうのです。
あまり当てずっぽうな答えを伝えてしまっては元も子もないわけですし、かえって難しい作り方を伝えてしまったり余裕のないコストを伝えてしまって自分の首を絞めてしまうことになってはいけませんので、やっぱり電話は苦手なのでした。
ただ、Iさんの電話はそういう感じではなくて、キッチンをオーダーで作るとどんなことができるか、どんなことに気を付けると良いのか、というような内容だったように思えます。
そういうことでしたら、比較的落ち着いてお伝えすることができますね。

こういう形にすることができます、
こうするとこの部分はこうなってきます、
こういう形にするとこういう良い部分がありますが、こういう良くない部分も出てきちゃいます、

そういうキッチンの形の考え方をいろいろとお話して、Iさんも「なるほど。」といろいろな形を考えていく手がかりをつかんでくださって、「では、大まかなご要望がまとまりましたらメールをくださいね。」とお伝えしたのでした。
でも、「メールくださいね。」とお伝えしているのですが、その通りにメールくださる方はなかなか少なかったりしまして・・。
やはり、いろいろとお伝えすると考えることがたくさんあることが分かってくるので、そうなると戸惑いや迷いが出てきて、決して安い買い物ではないわけですし、家作りってそれだけじゃなくていろんなことを考えなくっちゃいけないわけで、キッチンってそこを使う方々にとっては家全体を考えることと同じくらいいろんな思いがあるので、といろいろな思いが交錯して思いとどまってしまう皆さんもいらっしゃっるのです。
だから、メールが届いたらうれしいなあ、と言うくらいのささやかな気持ちでおりましたら、Iさん、メールをお送りくださいました。
うれしいなあ。
そうして送ってきてくださったのが、最初の文章のようなメールです。
そのメールと一緒に「ものの後ろにある目に見えない温度」「ただいまが届く家」の写真も送ってくださったので、おおよそイメージは理解できました。

ステンレスバイブレーションとアメリカンチェリ―のセパレートキッチン
Iさんのご要望をまとめてスケッチにしたもの。これを基にお話を進めていけそうかどうかを検討していきます。

それでは、まず原案を考えてみましょう、ということでスケッチを描いてお送りしました。
かならず皆さんにお送りできるわけではないのですが、文章だと分かりづらい部分があったり、お時間を頂ける場合などの描いたほうがよさそうな場合に描いてお送りしてるのです。
図面よりも分かりやすくて短時間出掛けるので良いプレゼンテーションになりますね。

そのスケッチや御見積の内容を見て頂いて、少し細かい部分を検討してくださることに。
もし、おおよそこの内容でご依頼を頂ける場合はお話を進めるために図面を描くのですが、そのあとしばらくご連絡が止まってしまったこともあって、どうなったのかな‥と思っていたのでした。

ステンレスバイブレーションとアメリカンチェリ―のセパレートキッチン
シンクには洗剤ポケットを備えています。
ステンレスバイブレーションとアメリカンチェリ―のセパレートキッチン
今回のプランでは、いつものようにシンク下をオープンにするのではなく、2段の引き出しにしています。上段の引き出しは奥に排水口のトラップがあることと給排水管があるため、高さを低めにして奥行の小さい引き出しにしています。
ステンレスバイブレーションとアメリカンチェリ―のセパレートキッチン
下段は深めの引き出しです。まだ暮らし始めてそれほど経っていないので、しまわれているものもまばらですが、容量が大きいので調理道具もかなりの量がしまえます。

お話が変わりますが、ちょうどその年の初春に大きなイベントに出させて頂くことになっていたのです。
湘南T-SITEさんからお声掛け頂いて、「料理道具市」というイベントを開くにあたって、地元でキッチンを制作しているメーカーを探していたということで、私たちに相談をしてくださったのでした。
このような機会はなかなかないと思いましたので、さっそくお返事を送らせて頂いて、せっかく出るのならキッチンをそのまま持ち込もうと意気込んでいたのでした。
そして、キッチンを持ち込むなら以前から温めてきたショールーム改装計画をこの機会に実行しよう、とだんだんと気持ちが大きくなってきて、キッチン自体を新しく作ってしまおう、と企んでいたのでした・・。
それでせっかく作るなら、皆さんにとって分かりやすいキッチンとなるようによく使う素材で・・、とはならずに、私自身が作ってみたかった天然石を使った昔懐かしいおばあちゃんの家の流し台を思い起こすようなキッチンを作ろう、ということになったのでした。(祖父母の家は決して石造りのキッチンではなかったのですが、裏庭に向かう途中にある手洗いの小さな流し石でできていて、子供の時分には外で遊んではそこで良く手を洗っていたのでそのイメージなのかな‥。)
そうして、新たなキッチンが会場に運び込まれていよいよイベント当日。

ステンレスバイブレーションとアメリカンチェリ―のセパレートキッチン
シンク右の引き出し、1段目。シンクのサイズと、食洗機のサイズを考えると、残ったスペースはそれほど大きくないのですが、コンパクトな4段の引き出しにして使い勝手を良くしています。細長くて奥行きが深いと引き出して使う収納以外だと、物の出し入れが不便になりますので。
ステンレスバイブレーションとアメリカンチェリ―のセパレートキッチン
シンク右の引き出し、2段目。
ステンレスバイブレーションとアメリカンチェリ―のセパレートキッチン
シンク右の引き出し、3段目。
ステンレスバイブレーションとアメリカンチェリ―のセパレートキッチン
シンク右の引き出し、4段目。

いろんな人が見に来てくれると良いなとアキコと二人で会場に居りましたら、しばらくしてスラっとした女性がキッチンを見ていってくださって。 何となくキッチンが気になってくれたのかな、なんて思っておりましたら、けっこうじっくり見ていってくださってますね。
私はこう見えても体が大きいだけで人見知りですので、本当はこういう場は苦手だったりするもので、アキコが代わりに「こんにちは、私たちフリーハンドイマイと申します。このキッチンを作っているメーカーなのです。」って挨拶に行ってくれて。
頼りなくてすまないねえ・・。
しばらくするとアキコが戻ってきました。「ダイちゃん、今ね、私たちのところキッチンを検討しているIさんだって。」
あらまあ、Iさん。
そんな突然初日にいらしてくださるなんて思っていなかったものですから、うれしいやら照れくさいやら。
さっそくその場でいろいろとお話をさせて頂きます。
あの時のスケッチはもちろん工房に置きっぱなしですから、おぼろげな部分はありますが、いろいろと覚えている内容でお話していき、今度は具体的な打ち合わせも兼ねて工房にあるキッチンも見に来て下さることになりました。
そうして、より具体的な打ち合わせをさせて頂いて、ご依頼頂けることに決まりました。

ステンレスバイブレーションとアメリカンチェリ―のセパレートキッチン
シンク側のアイランドカウンターをダイニングから見た様子。上部をオープンの棚にしています。棚の高さはダイニングテーブルの高さに近い高さにしています。
ステンレスバイブレーションとアメリカンチェリ―のセパレートキッチン
カウンターの下がオープンになる場合、天板のすぐ下の板の納まりをどうしようか迷うのです。今回は、扉の厚み分下の板を引っ込める形にして印象鵜薄くすることにしました。よく天板を浮かせて見せる仕上げの場合は、下の板は扉面と揃えるようにするのですが、そういう納まりってなかなか難しくていつも悩むのです。
ステンレスバイブレーションとアメリカンチェリ―のセパレートキッチン
下は奥行内寸で、約19センチの戸棚になっています。扉は上面に掘り込みを入れてそこに手を掛けて開けるような形にしました。
ステンレスバイブレーションとアメリカンチェリ―のセパレートキッチン
こちら側に書類をしまいたい、というお話もよく聞きます。書類となるとA4サイズが一般的ですので、それがしまえるようにするとなると、カウンター自体の奥行が97センチくらい必要になります。今回Iさんの場合は写真のようにかごをうまく活用することで、食器以外に細かいものをしまう戸棚にしています。

そこで、さっそく図面を作成して具体的な内容の検討に入ります。
何をしまいたいか、しまうために必要なサイズはどのくらいか、キッチンは何人でどんな感じで使っていきたいか、そのために必要なスペースはどのくらいか、さらには組み込む機器をどれにするか、どこで購入するかなどなど具体的なお話を進めていきます。

そうそう、キッチンに組み込む機器ですが、私たちが用意することもできますが、機種によってはかなり割高になってしまうものもあるのです。
特に国産メーカーの機器はインターネット通販で購入する形が一番安く手に入ります。
なので、私たちとしては、そのルートによって機種の性能が変わるわけではありませんのでどのようなルートで用意して頂いても良いと考えております。
ただ、工務店さんとしてはそれがNGとおっしゃるところもあったりします。
やはり機器の故障などがあったりしたときにまず連絡をするのが工務店さんだったりするので、そういう諸々の管理を引き受ける代わりに機器自体も工務店さんが用意する、というところも多かったりします。
今回の工務店さんではどのような形でも大丈夫とおっしゃってくださったので、機器はIさんが直接手配することになりました。 直接って何をどう購入すればよいのか分からないという方も多いと思いますが、そのあたりのサポートは私たちが行ないますのでご安心くださいね。 ただ、品物によっては私達でもわからないものがあったりしますので、そういう時は購入前に打ち合わせしながら進めております。(特に輸入家電になると、アダプターが必要だったり、電気の容量が違ったりするものも多いので。)

ステンレスバイブレーションとアメリカンチェリ―のセパレートキッチン
コンロ側の様子。何というか木立のよう。細かい部分についてのお話ですが、一番左のサイドパネルはカウンターよりも高さを上げています。なぜそうしたかというと、冷蔵庫が置かれるので、何か物を落としてしまうと取り出しにくいので、転落防止で立ち上げているのです。

そのようにしてひと通り決まりましたら制作に取り掛かるのですが、キッチンは他の建築工事部分との関わりもあったりするので、現地で一度状況を確認して、現場監督さんに挨拶させて頂いてから制作に取り掛かっています。
その現場の確認は、あまり早い時期にお邪魔しても設置場所の状況が見えないので、いつもは新居が上棟してそれから大工さんが断熱材を入れて床を張っている頃にお邪魔させて頂くことが多いです。本当はもっと後の壁や天井のボードが張られている頃のほうがきちんと採寸もできて良いのですが、そのタイミングで確認に来て、それから制作となると間に合わないことが多いので、いつもは床を張っている最中のタイミングで伺っております。
そのタイミングがやってきましたので、さっそく伺わせて頂きました。
小田原厚木道路を西へ向かって大磯で降りて間もなくの場所がIさんのご新居の立つ場所。
大磯というと海のイメージが強いですが、このあたりは山の風が心地よくとてものんびりした空気が流れる気持ちのよい場所でした。
そのような立地に平屋を建てるなんてうらやましい。

ステンレスバイブレーションとアメリカンチェリ―のセパレートキッチン
メーカーさんはお勧めしていないのですが、こういうふうにフードの上に軽いものを置くことも。あまり重いものは危ないですから軽いものですよ。

さて、現場に着きましたが、今回は他の工事との関わりも少なく大工さんの壁絡みの部分もほとんどなかったので、現地で挨拶をさせて頂いてキッチンの設置時期の打ち合わせをしただけで大丈夫で、これで制作に取り掛かれますね。室内は平屋ということで少し天井の高い明るく気持ちのよい空間になっていて、仕上がりが今から楽しみな室内の印象でしたね。
平日でしたので、Iさんは同席頂けなかったのは残念ですが、現場監督さんと一緒に設計担当の方もいらしてくださったので、特に問題なく進められそうなことを確認して、いよいよ作り始めます。

ステンレスバイブレーションとアメリカンチェリ―のセパレートキッチン
おもしろいなあ、と思ったのが、調味料をしまう田王と思っていた引き出しは調味料が入れられていなくて、この上にいろいろとスパイス類が並んでいたこと。「その方がすぐに使いやすいですから。」とIさん。
ステンレスバイブレーションとアメリカンチェリ―のセパレートキッチン
その代わりに引き出しにはいろいろなものがきちんとしまわれていました。だからいつもよりも幅の広い引き出しにしていたのですね。
ステンレスバイブレーションとアメリカンチェリ―のセパレートキッチン
ここやスキレットやフライパン類がしまわれています。今回ガスオーブンを組込んでいるので、調理道具をしまうスペースが少なかったので、ここがうまく使われています。
ステンレスバイブレーションとアメリカンチェリ―のセパレートキッチン
一般的なベアリングタイプのスライドレールでも動きは十分滑らかなのですが、中にしまっているものが重いものだと地震の時に不意に開いちゃうこともあります。ソフトクローズレールの場合は閉まる側にバネが入っているのでそういう時も開きにくくなっています。また、その代わりに引き出すときに重くなってhしまうのかと品パイになる方もいらっしゃいますが、そのあたりも初動作が軽いレールを選定していますので、ストレスなく使うことができます。

今回はチェリー材を使います。
チェリーは色の変化が激しい材なので、家具として使い始めるとその変化が楽しめる樹種でもありますが、作っている時も気を付けないといけません。
板同士をちょっとずらして数日放置しておいただけでもくっきりと日焼けの境目が出てしまうくらい焼けるのが早い樹種ですので。
そのような色の淡いチェリー材を表面に使って製作していきます。
内部はいつものように掃除がしやすいポリエステル化粧板を使って作ります。 本当は内部もチェリー材を使って作れると一番良いのですが、板を作っていくコストとまた内部をこれから塗装していくと匂いがなかなか取れないことがあって、オイルの甘い香りが夏場だと結構強く出てきてしまうこともあるので、最近はもっぱら化粧板を使って作ることが多いです。

ステンレスバイブレーションとアメリカンチェリ―のセパレートキッチン
ガスコンロはノーリツのプラスドゥ「N3WF2KJTKST」。オーブンは、同じくノーリツのコンビネーションレンジ「NDR420EK」。私たちがキッチンを作る場合は、いろいろなメーカーの機器を組込むことができるのですが、よく分かりづらいのがコンロ周り。コンロとオーブンは同一メーカーのものじゃないと排熱口が合致しないので、組込むことができませんのでご注意くださいね。
ステンレスバイブレーションとアメリカンチェリ―のセパレートキッチン
ガスオーブン下部の納まり。家具の台輪部分とオーブンの台輪部分は特に高さを揃えないことが多いです。もちろん揃えることもできますが、オーブンのほうが高さ10センチほどになるので、それなら引き出しの容量が大きいほうが良い、とお考えの方が今のところは多いですね。
ステンレスバイブレーションとアメリカンチェリ―のセパレートキッチン
今回は、この台輪部分が引き出し収納になっているタイプ。

余談ですが、我が家はキッチンの外側をシナ材で作りまして、引き出しも合わせてシナ材で作っています。(ただ、調味料を置く部分だけはどうしても汚れるので化粧板を使っています。)
その下の引き出しを時々掃除するのですが、やはり無塗装ですので、細かいゴミやホコリが引っかかったり、濡れ布巾が滑りにくいので、多少掃除のしづらさは感じました。
ただ、液体をしまったり、鉄sのお鍋などを直接しまうのでなければ、無塗装の木の引き出しもそれほど汚れは付きにくいかな、というのが印象です。
この先はそういう化粧板以外の内部素材も仕上げのひとつとしてお話してみようかな。
形に関しては、コンパクトなセパレートキッチンでしたので、比較的順調に進みました。
少し手間がかかったのは、ダイニング側がオープンになっている部分。
扉や引き出しがついている場合と違って、内部はすっきり見えるので、できれば、見える板が少なくシンプルに見えるほうが美しいです。
ただ、このシンク側のアイランドキッチンをひとかたまりで作ってしまっては搬入が難しいので、シンク側、ダイニング側と分けて制作して、現地でつなぐような作りで考えるのですが、オープン部分に見える板を少なくするということは、つなぎ方を工夫しないとつなぎ目が変に見えてしまうのです。
そこでつなぐと隠れてしまう金物を仕込んだり、ひとかたまりにできそうな部分も板材のままばらしておいたりとひと手間かけてようやく完成。 あとは現場の準備が整ったという連絡を待つばかり。

ステンレスバイブレーションとアメリカンチェリ―のセパレートキッチン
コンロ横の引き出し、1段目左側。
ステンレスバイブレーションとアメリカンチェリ―のセパレートキッチン
コンロ横の引き出し、1段目右側。
ステンレスバイブレーションとアメリカンチェリ―のセパレートキッチン
コンロ横の引き出し、2段目。
ステンレスバイブレーションとアメリカンチェリ―のセパレートキッチン
コンロ側キッチン、3段目。
ステンレスバイブレーションとアメリカンチェリ―のセパレートキッチン
コンロ側キッチン、4段目。

しばらくして、大工さんの木工事が終わり間際になる頃に連絡を頂いていよいよ取付ですね。
今回は、コロナの影響でコンロ側の壁に張るタイルが引渡しまでに届かないようして、どんなタイルになるか分からなかったのですが、そのタイルの厚み分キッチンを壁から離して設置します。
レンジフードやオープンの吊り棚も同じような納まりで設置します。
シンク側はあらかじめ打ち合わせしていた位置に配管や電気配線も届いていたので、どうにかその日1日で機器類の据付まで完了。

次に現場に来るのは、Iさんが塗装をする時です。
そう、今回はコストダウンのため、そして将来的にオイル塗装のメンテナンスをしていくのに最初から自分たちで行なっておいた方がやりやすいから、ということでIさんご家族で塗装をするのです。
無事にご新居のお引渡が終わって、それからお引越しまでの数日間を利用して塗装します。
(塗装する時は扉や引き出しを外して、並べて塗装するので、リビングなどの広いスペースが必要になるので、工事期間中だとなかなか難しいのです。)
この時に初めてお会いするご主人にも一緒に塗装方法を説明させて頂いて、「このような感じで塗っていきます。」と実際に最初の1枚だけを塗ってみて、あとは慣れないと手間取る引き出しや扉の外し方がスムーズに行なえるように何度か試して頂いて、お二人でもスムーズにできそうな感じになってきましたので、はい、あとはIさん頑張ってくださいね!

それから、数日後。
「イマイ様、お世話になっております。
先日はありがとうございました。おかげさまで、無事塗装が終わりました。
我が家の顔となるキッチンが、素敵に完成しました。
今からお料理をするのがとても楽しみです!
本当にありがとうございました。」

そうして、お引越しも無事に終わって、2ヵ月ほどたった頃にあらためてキッチンの様子を拝見させて頂くためにお伺いしてきました。
本当はもう少し早く伺えればよかったのですが、コロナの影響でコンロの奥のタイルの入荷が遅れているということで、せっかく見に来て頂くのならタイルの施工も全て終わってから来てくださいね、と言われておりまして、このタイミングで伺わせて頂きました。
お邪魔します。
うん、とても良い感じです。
キッチンのそこかしこに緑があふれています。
そして、Iさんのところには2匹だったかな、猫が居りましてこの広々したLDKでゆったりと過ごしているようで、吊棚から冷蔵庫の上へと楽しそうに行き渡ってゆくのだそうです。
その様子が何とも森のなかを歩いているように思えまして。
窓の外もぐるっと緑に囲まれて心地良い空気で、部屋の中までその空気が漂っている気持ちのよい場所だったのです。

天板ステンレスバイブレーション
扉・前板チェリー板目突板
本体外側チェリー板目突板
本体内側ポリエステル化粧板
塗装オイル塗装仕上げ
キッチン仕上げ

チェリーとステンレスバイブレーションのセパレートキッチンと吊棚

価格:1,300,000円(制作費・塗装は施主様施工、設備機器費用は別)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は30,000円から、取付施工費は120,000円から)

こんにちは、Kさん

2021.08.29

20210828002
「お世話になっております。
お陰様でこの盆休みにようやくブラインドが付き、引っ越しの荷物も片付いてきました。
キッチン・ソファはすごく使い勝手が良く、家族皆で大満足しております!
ありがとうございました。
今、ダイニングテーブルとテレビ台を探しているのですが、なかなかシンプルで気に入ったものがなくてご相談に載って頂けますでしょうか。」
と、Kさんからうれしいお便りをいただきまして、お邪魔してまいりました。

残暑が厳しい毎日ですが、Kさんのリビングは涼し気でとても心地よさそうに暮らしている様子が分かりました。
キッチンのすぐ隣が子供部屋でお兄ちゃんが何やら楽しそうな様子が見えました。その部屋とロフトのようになった和室を挟んだ小部屋ももう一つの子供部屋で、この高い天井のリビングを中心にぐるぐる暮らしが回るのですね。不思議な回遊感覚が楽しそう。

Kさん、お二人とも設計士さんですので、その中心となるテーブルとテレビ台の図面をさっそく見せてくださいました。
シンプルに見せたいということで、無駄のないすっきりした形を見せてくださいました。
たしかにここにはこういう形がピタッとはまりそうですよね、さっそく考えさせて頂きます。
良い形になるように頑張ります。

それでは、またご連絡させて頂きますね。

かたちつくる

2021.08.27

Hさんのキッチンにシンクをはめ込んだアイランドカウンターを作らせて頂いております。
壁付けのコンロ側は予算の関係で工務店さんが担当してくださることに。
そのカウンターの側面と背面はタモ板目の無垢材がぐるっと見えてくる意匠なので、今回うまく木取りができて、長い板で木目がつながっていくように木取りすることができました。
ただ、どうしても小さな木口割れが残ってしまうので、お話をつないでくださったオノデザインさんに確認して、反り止めを兼ねて端嵌めを入れることに。
材の動きは掛け木の大きさを考えて、いつもとは違うアリ加工で作業を進めることに。
適材適所という言葉は材を用いる時だけではなく、良い納め方を探りながら作ってゆくことでもあります。
ノガミ君とヒロセ君があれこれ頭を悩ませながらかたちつくられていきます。

床を拭く

2021.08.27

私は決して掃除が大好きというわけではないのですが、アキコに言わせると「よく掃除をするほう」なのだそうです。
この家に越してきてからは以前の住まいよりも強く思うのが、床の足触りなのですね。
以前の住まいはマンションで、床材はウレタン塗装仕上げのフローリングでした。
ふだんは裸足で過ごしていることが多いので、ウレタン塗装の床だとペタペタという感触になるのです。
(揚げ物なんかしちゃうと、ペッタンペッタンって感じです。)
そんな床でしたが、時々床を拭き掃除すると、さらっとした感触がとても気持ちよかったものです。

この上郷の家では床にアカマツを使ってオイルを塗って仕上げているので、特にその感触が心地よいのです。
そのような心地ですから普段サラッとした感じでいられるので、何かを踏むと結構気になっちゃうのですね。
例えば、米びつから落っこちた米粒、玄関から舞い上がった細かい砂、ポテトチップスのかけら(これは私の仕業です)、そして髪の毛。
我が家は娘二人なので女子3人なわけですが、もうそこらに髪の毛ちらほら落ちてしまって、仕方ないのでしょうけれど気になっちゃうんですね。
なんか気持ちわるい・・。
それで、家に居る時はもう朝ご飯食べてすぐに掃除機かけちゃって、気になったら汗ボタボタ垂らしながら床も拭いちゃう。(もちろん汗も拭きます)
そうしているうちに気分もすっきりしてくるわけで、掃除をすることで自分の気持ちも整理しているのだなあと思えるのですが、娘たちは神妙な顔つきで、「またお父さん掃除しているなあ。」って感じで見ているのです。

ちなみに床は自分で雑巾絞って拭くことがやはり気持ち良いです。
自動で拭き掃除してくれる便利な道具も最近出ているようですが、私もアキコもそれは苦手で、食器も床も自分たちで洗うことが、自分たちが暮らしていることを実感できるようで好きなんです。
先日も床を拭いていたら、むかし自分で作った家具をよいしょと動かしたら裏がこっそりカビていたりして、床と一緒に拭いてあげたり、遠い昔の米粒がひっそり隙間から現れたり、油が跳ねた後がうっすら黒くなっていて顔の模様のようになっていたり、真鍮のレールが黒ずんでいてホコリがついているのが分かりにくくなっていてそれでとの動きが重かったことが分かったり・・。

だから、お休みの日に掃除してひと風呂浴びてお酒飲んでご飯食べてという一連の作業は周りから見ると地味で大変に見えるのかもしれませんが、自分にとっては気持ちをきれいにする流れだったりします。

むかし、誰かの小説でこういう話を読んだことがありました。
「とある大学生の青年が、自主学習の最中にふと部屋の窓から向こうに同級生の女性が住んでいることが分かったら、その女性の暮らしを眺めることが日課になってしまったのです。
それは覗きですから良くない行為なのですが、その日課にどうにも抗えなくしまった青年は、約1ヶ月間、学校にも行かず、身なりも整えず、風呂にも入らず、食事と睡眠の時以外はその望遠鏡越しに見える彼女の姿しか追うことができなくなってしまったのだそうです。
しかしふとある日何のきっかけか忘れましたが、眺める行為に全く興味が無くなり、きれいに身なりと部屋を整えて、普通の暮らしに戻っていく」というお話でした。

この時に思ったのは、人ってどうにでも変われるのだなあとあらためて思ったものでした。
私にも時々あります。
床にごみが落ちていても、洗い物がどっさりたまっていても、靴が乱雑に脱ぎ散らかされていても、まあいいやって思ってごろごろと映画を見続けていたりすることが。
気にしないと気にならなくなっちゃうんですよね。
さっきまで気になっていた髪の毛なんてどうでもよくなっちゃう。
怖いなあとも思うし、すごいなあとも思う。
この「気にならなくなっちゃう。」さまに陥らないように気を付けないといけないなあ。

でもそうならないのはなんでなんだろうって考えると、やっぱり自分が一人じゃないからなんだろうなあと思うのです。
自分ができるはずなのにそれをやらないと、自分に関わっている人たちが代わりにやらなくちゃいけない。
それって、淋しいのですね。
自分がその時に動いていれば、相手にはもっとゆとりが生まれて、お互いが一緒に過ごす時間が増えるのですから、それをしないでおくことは淋しいことです。

そういうふうに相手や周りを思う気持ちがあることできっと自分の気持ちもきれいになっていくのかなあと、日曜日の午後に床を拭きながら思うのでした。

鍋を磨く

2021.08.27

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クックダインさんで購入した小ぶりな鉄鍋。
いつ手に入れたっけな、5、6年くらい前かな。
主にアキコがお弁当用の焼き料理(お肉焼いたり、卵焼いたり)に使うことが多いのですが、洗いかたが良くないのか、3年くらいするとびっしり炭化した油などでコーティングされちゃうのです。
でもね、ただの鉄ですからガシガシ磨きます。
前回もね3年くらい経った頃にやったかしら。
ナイロンタワシでいくら磨いても固着した黒ずみは取れなかったので、今回は手元にスクレイパーがあったので、それでひたすら削っていってそのあとにナイロンタワシで滑らかにして、乾燥。
(良いか悪いか分かりませんが、)火にかけて乾燥。
あっという間に酸化してサビサビ。
その上から、やはり手元にあったオリーブ油をべたべた塗り込んで焼き付けたら完成。
このお手入れと同じなのですね。
表面に特殊な加工のないただの鉄の板ですから、こうして使えばずっと使ってゆけます。

そう、今日は朝だけ出社して、そのあとはちょっとお休みを頂いておりました。
とても良いお付き合いをさせて頂いている寒川のお寺さんからメダカを分けて頂いたのです。
念願の新しい家族。
本当はアイを家に連れてゆけたら良かったのですが、ハルもチィも猫好きなのにアレルギーであっという間にかゆくなってしまうもので・・。
ヤモリやらダンゴムシやらカナヘビやらコガネムシやらバッタたちは庭のそこかしこに居るのですが、すごく自由なので一緒に暮らしている、というよりはそのまま一緒に生きているという感じでして。
(でも、毎晩やってくるヤモリは家族のように見えますが)
祖母の火鉢を引っ張り出してきて、住処の支度をすること2週間、ようやくお迎えです。
分けて頂いた5匹のめだかを助手席でアキコが大事そうに運んでいる時に、私たちの暮らしって、車で20分くらいの距離で完結しているのだなあと思うのでした。
もちろん、いろいろなところでいろいろな発見をすることもうれしいことだし大切なことなのですが、基本はこの距離で生きているのだなあ。
自宅から工房まで出掛けて、暮らしていくために仕事を頑張ったあとは体を休めるために家で休息する。
その中で新しい家族を迎えたり、床を磨いたり、鍋を磨いたり、お風呂上りにお酒を飲んだり、ささやかな毎日だけで十分すばらしいと思えるのです。

おはよう

2021.08.26

おはよう、あさがえりネコ。

午前10時の森ビーム

2021.08.26

夏はショールームが熱い。
熱いって書いちゃうくらい暑いです。

もともとプレファブの倉庫ですから、ガルバリウム越しの日差しが強いので、この工房建築時からお世話になっている電気屋さんに言わせれば、「イマイさん、もう1台カセットエアコン入れないと夏は蒸し風呂になっちゃうよ。」と言われるくらいです。
そういう場所ですから、夏場は7時前には工房に来て、まずはカーテンやらブラインドを閉めるのが私の日課なのです。アイもおなかが減ったとうるさいので。

外気を遮るのにはもう一つ理由があったりします。
この工房、もともと草木が茫々に生い茂った古屋敷があったところを父が見つけて工房にしたのですが、当時はまだまわりは大変長閑な畑ばかりなのでした。

LPACKの小田桐さんが、「あの倉庫の臙脂色と空色の倉庫がすごくすてきですね。」と言っていた森さんの畑が隣にあるのですが、その倉庫(3年前の台風で屋根の一部が飛んで行ってしまって今は色が少し変わってしまったのですが)の奥に大きなビニルハウスがあるのです。
そのビニルハウスの屋根の角度が絶妙で、よく打ち合わせを開始することの多い午前10時になると夏の日差しをうまい具合に反射させて、ショールームの窓を貫いて私たちの視力を奪うのです。笑
森さんのビニルハウスのほうがずっと昔からあったので、そのあたりを踏まえて工房を建てたら大丈夫だったのでしょうけれど、そんなことが分かることはなく、ここで過ごしてみてハッと気づいたのでした。

もうちらっと眼に入っただけでも2,3分は目がくらんでしまうくらいの眩しさでして、キッチン越しに窓から長閑な景色を眺めてもらおうと思ってレイアウトしたキッチンやらテーブルなのですが、それを見ているお客様の視線をグッと貫くわけです。
ですので、ブラインドをお昼前くらいまでは閉めておくものですから、夏場の午前中はショールームが熱いだけではなく、いろいろ遮るので暗いのです。

お昼を過ぎると森ビームもどこかに行ってしまうので、少しは良い状況になるのですが、朝よりも熱気がこもってモワリとしてしまうのがちょっとネックです。
曇りの日が一番最適かしら。

日刊Sumaiに記事が掲載されています。

2021.08.24

今回13回目の記事掲載、イマイダイスケのライター活動、今回のテーマはアイランドカウンターについてです。
私達のにアイランドカウンターのご相談がある場合で多い例は、建売を購入されてキッチンが壁付けの形の場合や、リノベーションで配管の位置があまり動かせず壁付けになるのでその後ろ側にアイランドカウンター作って目隠しも兼ねて収納を増やしたい、ダイニングテーブルの手前に配膳スペースを設けたい、作業スペースを作りたい、という目的の方が多いです。そして、そのカウンターを作る場合に固定した方がいいのか?そうではないのか?というところを書かせていただきました。興味のある方は是非読んでみてくださいね。

日刊Sumai→暮らし→インテリア・雑貨→ 「アイランドカウンターをつくるなら、固定式がいい理由。耐久性や安全性で有利に」

私達の制作例を見直してみましたら、アイランドカウンターが「食器棚」、「テーブル」に混在しておりました。ご依頼いただいた方々の目的ごとに分けたつもりでしたが、見づらい部分があったかと思います。Instagramのストーリー→ハイライトで、またPintarestでまとめたページを作っていきますのでそちらをご参照ください。

スケッチと制作例集を展示中です。

2021.08.21

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湘南T-SITE「湘南移住フェア」が開催中です。私達も参加させていただいています。
2号館の建築デザインコーナーの真ん中の一部に木製雑貨とキッチンカタログと家具・キッチンのスケッチ集2冊と製作例写真集1冊(紺色の冊子です2枚目の写真を参考にしてください。)合計3冊を展示していただいてます。
自由に閲覧できるようになっておりますので、この機会にぜひ手に取ってご覧くださいね。
そして、キッチンカタログ(No.1のみですが)は各自一部ずつお持ち帰りいただいてよいようになっておりますので、「カタログ請求するほどではないけど、ちょっと気になるな。」という方にはよい機会だと思います。(3枚目の写真をご参照ください。本屋さんですのでお間違いのないようにお願いいたします。)
展示は9月16日まで開催中ですので、無理のない範囲でお出かけくださいね。よろしくお願い致します。

ナラとステンレスの食器棚

2021.08.17

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Yさんからお久しぶりにご連絡を頂いてお手入れの方法などを説明してまいりました。
3月に食器棚を取り付けてから、もうすぐで半年が経ちますね。吊戸棚の下にはkotiさんがタイルを張ってくださって、とても良い印象で、打ち合わせの最初に見せてくれたどこかの国のキッチンの写真のイメージに近づいてきていましたね。
「やっぱり最初は、オーダーだとできあがりの形があらかじめ見えないということもあって不安があったのですが、とてもイメージ通りで大変心地良く使えています。そこでね、イマイさん、だんだん気持ちが大きくなってきてしまってね・・。」
と言って奥様が指さしたのがキッチンの扉。
なるほど、そうですね。
打ち合わせにお伺いした時にそういうお話が出ていたのです。
キッチン越しに食器棚を見るお部屋のレイアウトならばキッチンのリビング側から見える部分だけでも食器棚と揃えると、印象が整うので良いですよ、と。
今までもそういう印象で作ってきた方々がいらっしゃったので、空間が見違えるようになることは分かっていましたし、Yさんもそれはイメージできていたのですが、無垢材で作るとなるとけっこうコストが高くなってしまいそうで、それでまずは生活に必要な食器棚だけ先に作りましょう、ということになったのでした。

【食器棚とリビング側の収納の印象を合わせた制作例】(いつもながらタイトルだけだと何だかよく分からないですね)
「学び家」浦和Sさん
https://www.freehandimai.com/?page_id=26674

「ロックなあなた」横浜Nさん
https://www.freehandimai.com/?page_id=17209

「おとうさん」茅ケ崎Wさん
https://www.freehandimai.com/?page_id=12159

「おばさま」町田Iさん
https://www.freehandimai.com/?page_id=7449

「整えて」大倉山Tさん
https://www.freehandimai.com/?page_id=5479

それで今回お話を伺うと、ただナラ材で作るだけではなくYさんの大きな好みを取り入れようということに。
あの時一緒に作っていたらこの印象は想像できていなかったでしょうから、こうして食器棚を先に作って少し暮らしが始めることで生まれたイメージですから、こういうお話の進め方がやはり正解だったのですね。
最初にまとめて作るほうが印象が整うとばかり思っていた私はとても大切なことにあらためて気づかされました。
良い扉になるようにちょっと考えてみます。
またご連絡しますね。

Kさんの「ホームオフィス」という名の家具:スタッフ ヒロセ君の制作日記

2021.08.17

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今回担当させて頂いた家具は普段製作させて頂いている家具とは全く違う形のものでした。

1つの部屋の中に2階建の空間を作り、下の階はベッドスペース、階段を登り、上の階には大きな天板の付いたワークスペースになるというかなり大型の家具です。

壁面や天板、地板はシナ合板、それ以外はタモの無垢材を使用しています。

普段からの事ですが、まず製作する図面を渡されたら、図面から読み取れる事を解読していきます。
各部の納まり方、寸法が成立しているかどうか等を確認しながら完成した形状のイメージを頭の中で膨らませていきます。
ある程度イメージが膨らんだらようやく打ち合わせです。
打ち合わせでは細かなところや、組み方、搬入するために分割しなければならないので、どこで分割するかなどを打ち合わせていきます。

そして使う材料の本数や突板の枚数を出し製作を進めていく訳なのですが、今回の家具では20枚以上もの無垢材を使用しました。

板は反りやねじれがあるため、手押し鉋と自動鉋と言う機械を使い、ねじれや反りのない材料に1パーツづつ加工していくのですが、数えてみるとその数は120を超える数でした。

製材した全てのパーツは、剥いで柱にしたり、ほぞ加工したり、穴あけをしたりと色々な加工をするのですが、数があるので大変苦労した点になりました。

そして出来上がった物がちゃんと組み立てられるのか工場で仮組みをするのですが、きちんと組めて安心すると同時にその大きさと重さに、搬入設置できるのかとても不安にもなりました…。

設置当日は台風の影響で天候がすごく不安定な状況ではありましたが、お客様宅に到着した頃には雨も上がり、無事搬入することができました。
設置前に社長から聞いていた古い集合住宅の1階という設置場所なので、床の不陸がきっと出ているだろうから水平をとることが結構難しく時間が掛かるだろうと思っていたのですが、その相性も非常に良く、スムーズに作業が進められ無事納品する事ができました。

今回のような形はなかなか作る機会が無いとは思いますが、とても良い経験になりました。
これから先、Kさんが壁にテレビを付けて、ベッドを置いて、パソコンも置かれてワークスペースとして使用されていくこの家具の姿がどのようになるのかがとても興味深いところです。
Kさんありがとうございました。