2021.09.06
「ナラ節アリ材とアイアンレッグの円卓とタモのダイニングチェアのオーダー」
相模原 K様
今から6年前に作り始めたこの円卓。過去に同じ形で6台作らせて頂いて、また別に木製のこのデザインの脚で1台と、今まで7台を作らせて頂きました。
6年間でその方々にしか良さを表現できなかったのは私の力不足だなあ、なんて思っていたら、「まだそれだけしか生み出されていない貴重なデザインなのですね。」なんてうれしいことを言ってくださった方もいらっしゃいました。
ですので、7台しか出ていない希少な形でございます。
素材を選んだ指標として、床材と同じ節のあるナラ材を天板に使うことと、キッチンの真っ白な印象に合わせたいということで、テーブルとイアスのそれぞれに白を取り入れています。
ただ、今までにほとんどお話に出なかったのが、この円卓と一緒に椅子も作らせてもらうことでした。唯一作ったのは私の自宅のテーブルと椅子くらい。
今回Kさんから頂いたご要望の中には椅子とテーブルの一体感が気に入っているのです。というお話があったのでした。
私の自宅までテーブルと椅子の様子を見にいらしてくださったKさんは、椅子の背もたれを眺めながらそう言ってくださったのでしたね。
実はKさん、私たちと近いところでお仕事をされているかたで、自宅にいらしてくださった時は、お一人でフラッとした感じでいらしてくださって、(もちろん事前にご連絡は頂いておりましたが)作業着に近いカジュアルな格好で、サンダル履いておられて、おや、どこの設備屋さんだろうかと思うような印象でした。
(何となく、設備屋さんか電気屋さんのように思えたのです。笑)
そして、滑舌よろしくお話も端的で上手で、何だか私の方がお客のような気分になってしまって、「へい、そうなんでございます。」みたいな感じになってしまって。
「いやあ、テーブルに椅子をピッタリ添わせると、背もたれがきちんと合うのはすてきです。」
とKさんが嬉しそうに言ってくださったのですが、そう見えるのですが実はピッタリではなくて・・。
テーブルは標準のサイズだと直径1300ミリで、椅子の背もたれは半径600ミリの弧を描いています。
だから、完全にピッタリとはいかないのですが、それでもその吸い付くように沿っている様子をKさんがとても気に入ってくださって、今回は椅子と一緒に作らせて頂けることになりました。
黒と違って白はまた美しい。交差する鋼線の印影が良く浮かんで、立体感がいっそう増して映ります。
そして、今回魅力的だったのは脚の部分をキッチンに合わせて白くしたこと、そしてその脚に合わせて座面も白くしたことでした。
もともと黒という色を想定して考えたこのテーブル。
最初に作らせて頂いたMさんには、黒ではなくてダークブラウンでしたね。
私の自宅はシルバー。
そして今回はホワイト。
スタンダードなブラックはとてもフィットしていて美しいのですが、このホワイトもとてもすてきだったのでした。
なるほど、こういうふうに見えるのか。何というかもう少し北のヨーロッパであるような印象というかなんというか。
たいへん軽快で明るい印象でまだちびっ子二人がいる家庭にはとてもよく合うすてきな形に仕上がりました。
天板は節のあるナラ材ですが、椅子も共材で作るのはなかなか難しかったことと、ナラ材だと重くなってしまうと考えて、強度的にしっかりと作れて、印象が近いタモ材で作っています。座面の張り方は私の自宅と同じく、左右はマチを取って角のしっかり出た印象にして、前後は丸張りにして膝裏のあたりを良くしています。生地はお子さんが汚しても掃除がしやすいようにレザーを使いました。
納品の時はテーブルと椅子くらいなら問題なく搬入できるでしょう、安易に考えてお伺いしてしまったのですが、到着してそれが大変なことに気づきました・・。
戸建の2階がリビングのKさんの間取り。2階に上がる階段は標準的なお宅にあるようなぐるりと回って上がっていく階段。
いやあ、ここにこの1300ミリの天板と脚を上げることができるのだろうか・・。
ちょっと冷や汗が出てしまいましたが、Kさんにお手伝い頂いてどうにか無事に搬入完了。
汗だくになりながらきれいに納品することができたのでした。
錆、土、岩、水などいろいろなテクスチャーを平面で表現していて、それぞれがテーブルトップに使っても大丈夫なくらい強靭な塗膜になっていて、色で質感をこれだけ表現できることにただ驚くばかりでした。
そのあと、今まで使っていたテーブルをKさんのアトリエに持っていくというのでお手伝いさせて頂くことに。
そう、Kさんやっぱり職人さんでして、家具屋ではないものの、塗装で家具の表現したり、室内のリペアのお仕事をされているのでした。
株式会社リペアバンク
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https://www.repairbank.net/
なるほど、だから近い空気があったのですね。
そのアトリエはまた魅力的で、シンプルな倉庫なのですが、その壁一面にはいろいろなカラー、テクスチャーの塗装サンプルが掛かっていてワクワクします。
「ふだんはリペアの仕事がメインなのですが、塗装ってね奥が深いんですよね。こうしていろいろな質感を塗装で表現できるおもしろさはとても魅力的で。こういう形でこの先一緒にお仕事ができたらすばらしいですよね。」
はい、私もそう思います!
どこかで実現できたらよいなとアキコと二人で思いを馳せながら帰ってきたのでした。
家具を通じてこういうご縁が頂けるというのはうれしいなあ。
ナラ節アリ材とアイアンレッグの円卓
価格:407,000円(制作費・塗装費)
タモのダイニングチェア(1脚)
価格:95,000円(制作費・塗装費)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は16,000円から)
2021.12.29
今年あった大きなことは、今井のお母さんが亡くなられたことでした。地元の方々には伝わっていたようで、弔問に来てくださりありがとうございました。
個人的なことなので、会社としてどうすれば正解なのかはわかりませんが、2014年から退職されていましたし、会社としては喪中とせずに新年を迎えるとこに致しました。
今思い返せば昨年の今頃から兆候はあったのかもしれません。「お正月のお料理、今年からなくてもいいかしら。お茶するだけで。」とお話があったのです。そうだよね、たくさんのお料理用意するの疲れちゃうますし、「わかりました。顔合わせられればいいので大丈夫です。」と伝え気にしていなかったのです。お元気でしたし。70代になれば、自然と行動もゆっくりになりますし、言い間違えもありますし、年齢的に自然なことだと思っていました。お化粧もされなくなりました。
できることとできないことが出てくるようになったとお話を聞いても、病気とは思わず、老化の一つで自然なことだと思っていました。
「お母さんがやっぱりちょっとおかしいんだよね。」とお父さんからお話があったのは8月頃でした。
認知症でしょうか、受診してみましょうとお話をしてから、実際に病院にかかるまでには時間が必要でした。「そうだね、じゃあ認知症外来に予約とって連れて行こうかな。」ととんとん拍子にはいかないのですね。当人同士が受け入れるまでに、症状の悪化など、次の決定的な事実が必要だったようです。
日常生活の自立が困難となり病院に受診に行くと、脳の難病という診断を受けました。早い人で余命1ヶ月の病気なのでそのつもりで生活したほうがいいですとのことでした。衝撃的でした。
在宅で一緒に過ごすために、地域包括支援センターの方に相談して介護認定を申請して、訪問看護・介護サービスの申し込みをしたり、色々な方々に動いていただきました。ありがとうございました。
サービスが受けられるまでの間は、弟さんご夫婦と自分達で手分けをして動いていきました。そして、担当の先生からお話にあった通り約1ヶ月後11月上旬に亡くなられてしまいました。73歳でした。介護申請の認定通知が来たのはその後でした。
あっという間の出来事で、心が追いつくまで間もなく次はお葬式・告別式、お墓を探さなくてはと悲しむ間も無くやらなければならないことの連続で、ご家族が亡くなられた方々のお気持ちがわかりました。とても忙しいのですね。
先日無事四十九日を終えることができて、ひと段落することができました。
会長も悲しみの中ひとりで動くことは年齢的にも無理なので、会社を留守にすることが多かったのですが、ノガミ君を始めスタッフのみんなが「大丈夫です。」と送り出してくれたので、とても助かりました。心強かったです。
会社は関係ないからと、ダイスケさんは手を止めることなく働き続けていました。お正月休みに入った今はお仏壇を作っています。「ダイスケ相変わらずね。」とお母さんも思われているでしょう。
思い返すと後悔することは色々とありますが、お母さんとの時間ができるわけではないですし、亡くなる時まで教えていただいたことを大事にして、過ごしていきたいと思います。
このような経緯で、あまりに急なことだったのでお伝えすることが追いつかず、日ごろお世話になっている皆様には失礼なことがあったかもしれません。何卒ご理解いただければと思います。
年末年始ご家族揃って過ごされる方々が多いことと思います。その時間を大切になさってくださいね。私もそうしたいと思います。
2021.12.25
私達は12月26日日曜日~1月5日水曜日の間、年末年始のお休みをいただきます。
家具やキッチンについてのご相談・お問い合わせ・キッチンカタログの請求・木製雑貨のご注文についてのメール・お電話等のお返事に関しましても、全て1月6日木曜日から順次対応させていただきます。ご了承ください。
皆様どうぞよろしくお願いいたします。
2021.12.24
再び山梨へ。
前回倒壊してしまったウッドパーテーションを再加工して納品させて頂きました。
この構造がなかなか難しくて、それぞれの材をワイヤーでつないでいるのですが、1本1本をつないでいるわけではないので、緩みが集中してしまったりしてグラつきが取れなかったのです。
また、構造上フラットな板の状態から円柱状に可動させると、材のそれぞれが円の軌跡状に動くわけではないので、物理的に考えるとフラットな状態よりも円柱状にした時のほうがワイヤーの長さが必要になるはずなのに、反対にワイヤーが緩んでしまうのでした。
フラットな状態では自立しないので、当然波打った形状で自立させるのですが、その状態でワイヤーのテンションを掛けるとフラットな状態にした時に木やワイヤーにストレスがかかって破断しちゃう。
あれこれみんなで悩みまして、ワイヤーの端部にスプリングを装着することでテンションを調整できるようにして、さらにぐらつきを無くすため、そして目隠しのために両端部は稼働しないでその形のまま固定されたパーテーションを追加で作らせて頂くことに。
両端のS字とフラットなパネルだけはこの形のままで、それに挟まれたパーテーション部分はどのような形にも変形させられます。
作り慣れない形というのはいつも大変なのでございます。
これでかなりガッチリとしてかたちになりました。
良かったよかった。
最近も山梨県内で大きな地震がありました。寝室のパーテーションということで、寝ている時にグラつきがあっては危ないので、このような形に辿り着くことができてほっとしております。
Oさんにも「完璧ですね。」とお褒めの言葉を頂き胸を撫で下ろしたのです。
今回の納品の時に追加でご依頼頂いていたチェストも一緒にお持ちしました。
コンクリートでできた階段の下に合うように、ということでなかなか採寸が難しいところもありましたが、無事に設置完了。
ブラックウォールナットで作った三角形の引き出しなのです。
2021.12.22
珍しい形を作らせて頂きました。
講演台です。ただ、ちょっと工夫があるのは高さが変わる講演台です。
カバの柾目材を使って五分ツヤで仕上げています。昇降装置をぎらぎらと見せたくなくて落ち着いた印象になるように仕上げたのです。
数年前まで娘が通う学校の役員をしていたものですから、こういう演題の前に立つと「次はPTA会長の言葉です。」と体育館の向こう端で司会をしている教頭先生の顔が浮かびます。
昔から人前で話すことなんて自分の性分ではないと思っていたのにいつの間にかそういう素晴らしい場所で子供たちに話ができる機会を得ていたことが懐かしくありがたく思い浮かびます。
だけどこういう演題の前に立つとやっぱりドキドキするのです。
校長先生たちは私よりも背丈がこじんまりした方が多かったので、そのあとに私が壇上に立つとちょっとマイクが低かったりして、それでももう右脚と右手が一緒に出ちゃうような状態なので、マイクの高さなんて変えられないものでして、ちょっと猫背になりながらバクバク心臓の音を聞きながら自分の声はきちんとみんなに届いているのだろうか、なんて思いながらお話したことを思い出すのです。
あの時話した言葉は今でもなかなか自分の中で好きな話でして、またまたここに載せてみます。
もし、興味があれば読んでもらえたらうれしいなあ。
2015年3月20日「今日は卒業式でした。」
2019年3月12日「卒業式」
2019年4月6日「入学式でした。」
2020年3月11日「おめでとう、ハルカ。」
2021.12.21
そして工房に戻ると、この形ができあがっていました。
「どう?」とちょっと心配げに尋ねると、「いやあ、だいぶしっかりしました。」とみんなの心強い返事。
実は前回納品してしばらく使って頂いてたら倒れちゃったのです。
「中のワイヤーがちぎれてしまったので、見てもらえますか。」と言われて、中のワイヤーが見える?ってことは大きく壊れてしまったかな‥、と見に行くとやはり大きく壊れてしまっていたのでした。
ワイヤーのテンションを上げてもグラつきを完全に抑えることができなかった上にカーペット式の寝室でしたので、まずは使って頂きながら、という形で納品したのですがやっぱり倒れてしまいました。
あれから数日後に山梨県で大きな地震がありましたね。寝室で使うパーテーションですので、かえってすぐに壊れてしまって幸いだったのかもしれません・・。
そこで、どうやったら強度を上げられるかを再度みんなと頭を突き合わせながら考えまして、このような形になりました。
固定された両翼部分と、ワイヤーによりテンションを掛けられるような工夫をして、外から見えないけれど、内部はかなり手の込んだ構造になっていて、これでひと安心です。
あとはOさんが「美しい。」とおっしゃってくださった緩やかなカーブを描けるように明日再度検討して、いよいよあさって納品です。
良いクリスマスプレゼントになりますように。
2021.12.21
実は昨日も山梨県まで出掛けておりました。
河口湖の南に新居を建てたHさんのところにキッチンを設置したのですが、オイル塗装はHさんご家族で、ということで塗装方法をお伝えに出かけていたのでした。
あちらは歩道にうっすら雪が積もっていて、須走からの道路は白んだ様子で、ところどころ陽が差さないあたりは凍結していましたね。
日曜日にアキコと二人でくたびれながらタイヤを変えておいた甲斐があるというものです。
まだ小さなお嬢さんも「てつだう!」って楽しそうに言っていたので、きっときれいに仕上がるでしょう。
引き出しの外し方、表面の研磨の方法、1回目と2回目の塗装の方法、引き出しの取り付け方をお伝えしてその日は戻ってきたのでした。
またお住まいになられてからご挨拶にお伺いしますね。
壁のタイルもこれからということで、すべてが納まるとどのような印象になるのか楽しみです。
そして、本日は笛吹川が流れる静かな町並みの中に建つOさんのところへ。
1年ちょっと振りですね。
お引越し後にお伺いできていなかったので、今日の機会を楽しみしておりました。とともに、やはり無垢材の動きが出て少しメンテナンスが必要になったので、そのお手入れも兼ねて、ぜひ一度拝見させて頂きたいと思っていたというアキコと二人で伺ってきました。
「節のある素材って、もっと荒々しく見えてしまうと思っていたけれど、こういう落ち着いた印象になるのはOさんのお人柄なのかも。」とアキコ。
そうね、暮らす人を家は表すものね。きっとそうなのだと思います。
お手入れ完了後にご主人がお茶を入れてくださいます。
週末はキッチンによく立つということで、いろいろとうれしそうに使い勝手を話してくださいました。
ちょうど昨年ショールームを改装し終わった頃にキッチンを見に来て下さった時もご主人お一人で来るくらい熱い思いがありましたものね。
どうにも無垢材は動きが出ますので、また何かあればいつでもご連絡くださいね。
今週は山梨県ウィーク。明後日もまたこの近くまでやってくるのです。
2021.12.17
どうにか完了。
2階の腰高窓から搬入するという不安でずっとドキドキしておりまして、先日の市原のKさんもバルコニーでしたがその上に梁があるバルコニーでしたので、まるで今日のデモンストレーションのように感じていたのですが、やはり本番はひと味違うね。
お天気予報を眺めるとなるべく遅いスタートにしたいところでしたが、今日中に終わらせないといけないという難題を頂いていたので、お天気お姉さんが「通勤通学の時間帯はザアザアです。」なんて気持ちが沈む声を背中に受けながら、エエイ、なるようになるさということで、なるようになりました。
到着が早かったのが幸いして、目の前の道の渋滞が始まる前に荷下ろしだけ終えて、雨脚が強くなる中、ヒロセ君とコバヤシ君とで足場を部分的に崩しながらどうにか荷揚げ完了。
みんなびっしょりですが、無事に上がってよかったよかった。
間もなくやんじゃった雨を恨めしそうに眺めながらいよいよ作業開始。
「イマイさん、なるべくキッチンを今日から使わせてあげたいのです。」と監督のMさん。その考えはとてもすてきですが、まわりを後回しにしてキッチン周りだけ仕上げて頂いているおかげで、なかなか窮屈です。
まずはレンジフードから決めたところで、あとはヒロセ君とコバヤシ君にお任せです。
今月はコバヤシ君には7日間も手伝いに来てもらっていて、こうしてうちから出て行った後でもつながりが持てるのはとても心強い。
夕方から設備屋さんとガス屋さんが来るって言うのでなかなかタイトなスケジュールの中夕方無事に終えたという報告が入ってきました。
どうにか間に合って良かったよ。
今回は側面と背面は塗装で仕上げています。白というわけではなく、ベージュのようなくすんだホワイト。落ち着いた印象です。
もともとコストのこともあってメラミンで仕上げる予定でしたが、サイズがメラミンの規格以上になってしまったので、塗装で仕上げることにしたいのですが、角の印象が柔らかく仕上がるので、塗装にして正解でした。
そのため、分割して作るとつなぎ目が出ちゃって興ざめなので、一体で作ったところで搬入がなかなか大変だったのでした。
そのホワイトと取っ手のナラ材のバランスがとても良くて、またキッチンを使い始めた頃にお邪魔させて頂きますね。
2021.12.15
昨日と今日の二日間で市原のKさんの現場にキッチンを取り付けに出かけておりました。
今回は壁付けのキッチンとダイニングとキッチンを仕切るペニンシュラタイプの食器カウンターという組み合わせ。
設置自体は、ヒロセ君が工房で一度仮組しているので、順調に進むと思っておりますが、心配なのはお天気でした。
Kさんのキッチンは2階なのですが、階段からの搬入は難しそうだったので、バルコニーからの荷揚げになると考えていたのです。でも当日の予報はちょうど搬入する時間だけなぜか雨・・。私かワタナベ君かヒロセ君か、助っ人のコバヤシ君か、雨男が居るのかもしれない・・。
道中降ったりやんだり、遠くの空に青空が出ているのを恨めしそうに眺めながら、現場に到着したのでした。ある程度は濡れる想定で、ぐるぐると養生してきたのでいざ覚悟を決めて作業を始めましたら、うまい具合に雨が上がってくれて、一番大変だった食器カウンターもみんなで頭を悩ませ足場を部分的に崩して、と時間が掛かったのですが、雨に降られずに済んだのでした。
なぜ、食器カウンターが時間が掛かったのかというと、今回は大きさの割に分割しないで1本で作ったからなのです。いつもはこのくらいの大きさだといくつかに分けてキャビネットを作って、現地で組み立てていくのですが、今回バックパネルとサイドパネルが留で仕上がっているので、現場で組むよりも工房で固めてきた方がきれいに仕上がると踏んで1本にまとめてきたのです。
でも、そうなると冷蔵庫よりも大きいサイズですから、そのままじゃ上がらないもので、いろいろ頭をひねって、階下で荷物を受けているコバヤシ君に汗も垂れちゃったりしながら、どうにか無事に搬入を終えて、設置も完了することができたのでした。
キッチンに立つと、そのバルコニーから遠く田園が望める間取りはとても心地良いです。
完成した頃にまたご挨拶にお伺いさせて頂きますね。
2021.12.12
アキコが出がけ間際に撮ってくれたのね。
最近はいろいろと慌ただしくて、土日も工房を閉めておけないため、平日みんなが工房に居てくれる時に休みをもらうのですが、朝と晩はアイがご飯を待っているので、圏央道の下を走る静かな道を自転車に乗ったり、ジョギングしたりして出掛けるわけです。
ちょっとしたエクササイズですね。
それで昼前に一度家に戻ってくるのですが、我が家も2年半経つといろいろと手を加える部分も出てきたりします。
先日のタオル掛けのことのように、使ってみないと分からない部分っていろいろとあるのです。
キッチンの框扉なんて今年の夏でも相変わらず膨らんで召し合わせの部分が擦っていたので削り合わせたり、(ようやく最近落ち着いてきたかな。)洗面所のタイルの目地が少しだけ変色していた部分を削り取って目地を埋め直したり、寝室の建具は風通し良いようにと思って開けておくと、お互い反っちゃって動いて閉まりにくくなっちゃったり、玄関扉が重いからかラッチがかからなくなっちゃって、蝶番のビスを変えてみたり、階段の踏み板がパキッとなるようになったりと、シンプルで自然な素材がそのまま使われている作りは、使われている環境の影響をそのまま素直に表してくれるので、やはり手間暇を掛けながら一緒にこの場所に住んでいくのだなあと実感するのです。
でもそういう日々の機微が暮らしのおかしみや楽しみだったりして良いところも変なところも含めて暮らしているのだなあと思うのです。
皆さんの暮らしの中でもそういうことってあると思います。これは自分たちで手を加えられるなっていうことだけなら良いのですが、もし、これは困った、というようなことが出てきたら、いつでもご連絡頂ければと思います。
そうしてその間にアキコがベーコンとほうれん草で作ってくれたパスタを食べながら、「ちびっ子たちが居ない空間は静かだなあ。」とか「来年はレモンの実がなると良いね。」とか「タニシたちはどんどん増えていくよ。」なんて話をするわけです。
そうだ、メダカの水を変えなくては。
と、気が付けばそろそろ工房に戻る時間になってしまって、何気なく時間が過ぎていくのです。
でもね、毎日こういう時間だけではないですよ。
先日は、アキコとチアキとSOMPO美術館で巴水さんのすてきな旅の版画を見てきたり、ささやかな毎日なのです。
工房に戻ると、外に出ずっぱりのアイが「遅いよっ」って。
ごめんごめん。
2021.12.11
今から4年前にキッチンを作らせて頂いたKさん。今回のご相談は、ちょっと変わった間取りの集合住宅でしたので、使い道が曖昧になっていたというこじんまりしたリビング。もともとはダイニングを想定して作られていたのでしょうか、コンパクトな空間なので、思い切ってヌックのような籠れる場所にしたいのです、ということでこのような空間が完成。
ソファのクッションは我が家と同じフジエテキスタイルさんの少し麻が入ったサラッとした触り心地の良い記事を使ってフジタケさんに張ってもらっています。お子さんが何かこぼしちゃっても良いようにカバーリングで縫製してもらって、汚れたらドライクリーニングできるようにしています。
ポイントとなるひじ掛けはさり気ないですが、とても良い印象です。
なかなか築年数の経つ集合住宅でしたので、床と壁の具合をうまく調整しながらの設置となりました。今日はコバヤシ君にも助っ人に入ってもらって、ノガミ君とヒロセ君の3人できれいに仕上げてくれたのです。
2021.12.11
先日お引渡が終わった阿佐ヶ谷のHさんのところに。
設計はオノデザインさんで、前回の「静かな午後」のOさんに続いてお声掛け頂いたのでした。
オノデザインさんの設計は外もうちも優しい印象で、使っている素材の温かさがよく分かるのですが、このHさんのお家は何というかかわいい。
語彙が貧しくていけないのですが、建物のファサードを見た途端に「なんてかわいいのだろう。」と独り言を言ってしまいました。
土のもこもこした外壁のちょっと奥まったところにある玄関がとてもファンタジックで、そこから左手を見ると小さな花や実が付いた植栽があって、こじんまりした通りの途中にある様がよく町に馴染んで見えたのです。
「あっ、イマイさんいらっしゃい。」って玄関からリビングに案内して頂くその道のりも、うーん、かわいい。
キッチンもとても丁寧に使ってくださっていて、心配していたバックパネルとサイドパネルの動きもまだあまり出ていないようです。
オイル塗装のお手入れの方法と、ステンレスのお手入れの方法、浄水器のカートリッジの交換方法などをご説明させて頂いて。
設計の齋藤さんたちもいらしてくださっていて、写真撮らせてください!ってお伝えしたら、3人で、「あらまあ、片づけなくちゃ。」って手を煩わせてしまってすみません。
おかげでHさんの暮らしの空気感がよく分かる写真になりました。
ありがとうございました。
2021.12.11
アキコから前々に言われていたことがあって、小さなことなのですがようやく仕上げました。
以前に彼女が書いていた「タオル掛けの扉にカビが出ていないか確認しましょう。」以来、タオルはいつも洗面台の反対側の縁側に出る勝手口あたりに衣紋掛けに掛かってブラブラしていたのです。
手を拭いても、顔を洗ってもちょっとポタポタしながら拭いていたのでした。
終いには、使う時には隣に畳んで持ってきて、使い終わったら衣紋掛けに干すというなんだか遠回りした使い方になっていたのでした。
もともとキッチンのシンク下のオープンになったところで使う想定で、かなぐやさんに頼んで作ってもらっているこのきれいな形。どうしても洗面で生かしたいってなった時からカビのことは心配だったわけです。
「私ね、厚手のタオルを使っていたくて。うすいものなら扉に触れないのだけれどね。このかなぐやさんのタオル掛けをもっと出っ張らせることでできるかな。」そう言われていたのです。
皆さんの家具作りには気持ちを早めて臨むのですが自分のこととなると腰が重かったりするのですが、ようやくできあがり。
もともとかなぐやさんの取ってだと25ミリほどのクリアランスが確保できていたので、そこに20ミリの長さのナラ材を追加しましたので、これなら扉が湿めることは少ないかな。
今度かなぐやさんに相談してみようかなあ。
2021.12.10
うっかり書き忘れておりました、ベルタゾーニのオーブンの件。
先日の月曜日にあらためてWさんのところにツナシマ商事の担当さんと一緒にお伺いしたのでした。
今回私たちも初めて導入しましたので、Wさんと一緒に詳しく拝聴。
すると、このオーブンはデザインがとても美しいのですが、使い勝手はとてもアナログというかシンプルでして、シンプルすぎて気が付かなかったなあという思いになったのでした。
そもそもこの機器は、オーブンを使い終わると自然と排熱のファンが止まってしまう仕組みで、止まっちゃうと庫内にこもった熱は排熱スペースからモワモワと上方に向けていくのです。そして、それが思った以上に熱くて、次第に操作ノブやその上の扉も熱くなっていく感じ。
「これだと、危なくないの?」って思ってしまうのも分かります。
それではどうするのかというと、予防するには調理が終わったら、扉を少し開けておくか、もしくは強制的に排熱ファンを回すことで熱がこもるのを防げるのだそうです。話を聞いてみると、「なるほど、それはそうかも。」と思うのですが、丁寧すぎるくらいの日本の家電に慣れていると面食らってしまうくらいシンプルで、私も気が付けなかったのでした・・。
失礼いたしました。
そのようなわけで無事に解決いたしまして、Wさんにすべてお引渡することができたのでした。
いろいろ勉強することばかりでございます。
2021.12.05
白いキッチンって言われた時には、Aさんにとってどうやって私たちの作品らしさを感じてもらえるか悩んだのですが、Aさんの中にその答えはすでにあったのでした。
それが子の取っての印象。
私がむかし娘たちの机を作った時の様子を覚えていてくださって、「その取ってにしたいのです。」とおっしゃってくださったのです。
おかげさまでとても印象の良い形になりそうです。
「娘たちの机のはなし」
自分の机を自分で作る
子ども部屋が完成
学習机をきれいにしましょう。
2021.12.02
またまた山梨県。先日パーテーションを納品したOさんのところから湖を挟んで反対側。
(実はパーテーションは可動部の調整が難しくて、またお伺いする予定があるのですが。)
そして、先日は笛吹市のOさんからもキッチンのメンテナンスの相談があって、中央フリーウェイが身近な毎日です。
今回のHさんのキッチンはL型でさらには両側に壁が立つというレイアウト。そうなると天板はそのまますんなり入らないのです。私はてっきりキャビネットを組んでしまうと天板が入らないだろうと踏んでいて先に天板を入れてから、それを宙に浮かせてその下でキャビネットを組んでいく予定で、さらにはシンク下にワイヤーシェルフが入るというちょっと変わったデザインなので、こういう難解な設置方法しかないと思っていたのですが、ノガミ君が
「多分こちら側はキャビネットを組んでしまっても搬入できるかもしれないです。」ということで工房で試してみたら、どうにかなりそう。
そのようなわけでノガミ君を筆頭にヒロセ君とサポートとして入ってくれたコバヤシ君の3人で作業に向かってもらいました。
作業は順調に進んで、その日のうちにおおかた設置が終わって、コバヤシ君とはそこで別れて二人はそのまま宿を取ってもらって、2日間かけて作業完了。
あとはクリスマスあたりにHさんに塗装をして頂いて終わる予定。
いろいろな形があるのです。
2021.11.30
昨日のWさんのスケッチ。
最初、平成さんからご相談頂いて室内の写真が届けられた時に、以前に雑誌で見たルドルフ・シンドラー邸のキッチンのような木や土のにおいが感じられるようなもっさりした感じになったらいいなあって思っていたのです。
石の天板がもっさりしていて、板の導管がそのままよく表れている感じというか・・。
Wさんとお話を進めるうちにもう少しカチッとした静かな姿になりましたが、昨日訪ねた時は、ハワイアンが流れていて、奥様もゆったりしたお話しぶりを聞いていて、静かなたたずまいというよりはこの場所全体がとても生き生きとして心躍るように感じたのでした。
2021.11.29
先日設置が完了したWさんのキッチン。
お引越しも終わって新しい暮らしが始まりました。
その中でひとつ疑問が出てきたのがガスオーブン。今回は壁にビルトインできるタイプのベルタゾーニのオーブンを導入したのですが、思った以上に熱が出るということで、私たちも今回初導入ということでしたので、事前にメーカーさんに排熱の方法なども確認してあらためてお邪魔させて頂きました。
海外製の家電製品は使い勝手のシンプルさが良い部分もありますが、説明がシンプルすぎて分かりづらい部分もあったりします。
その排熱方法は分かっても、そもそもこの機器がどういう使い方ができるのか、安心して使う使い方とはどんな形ですか、とWさんに相談されて、たしかに私自身勉強不足でして・・。あらためて担当者さんと伺わせて頂くことになりました。
「イマイさんも一緒に勉強しましょ。」と優しくおっしゃってくださったWさん。ありがとうございます。
「その他は気になる部分もなく快適に使えていますよ。」ということで、ナビッシュが停電した時でも使う方法や、レンジフードのお手入れの方法や引き出しの外し方、ステンレスのお手入れの方法などをお伝えしまして、またあらためてお伺い致します。
2021.11.28
優しい表情の食器棚になりました。
引き戸はリビングから見た時に楽しめるように木目が踊るようにあえてつながりを持たせないのですが、色調は濃淡がきれいに広がるような木取りで作りました。
その印象とは別に、引き出しの前板は木目が流れるような木取りで静かな印象でまとまりました。
天板にはデクトンのシリウスを使い、上段の良く開け閉めする部分にだけその印象とよく合うようにKUMAさんにハンドルを作ってもらいました。
久しぶりに取付作業に参加して、ノガミ君と二人でKさんのお宅に伺わせて頂きました。
Kさんの住まいは無印良品の家なのですが、全体的に優しい表情の内装。その印象によく合う食器棚になりまして、Kさんにも大変喜んで頂けてうれしい時間でした。
また、来年にあらためてその使っている様子を見させて頂きたいと思っております。楽しみにしていますね。
さて、思ったよりも早く取付作業が終わったのですが、不意にノガミ君が「実は今日娘の幼稚園の作品展がありまして・・。」と。
「作業が早く終わると思っていなかったので、最初はあきらめていたのですが、もしかしたら間に合うかもしれなくて、可能でしたら早退させてもらってもよろしいでしょうか。」と少し申し訳なさそうな表情。
「ぜんぜん、良いですよ。我が家を見ていると子供たちと過ごす時間って少ないなあって感じるから、そういう機会は大切にしないと。」
ということで、ノガミ君は無事閉園時間に間に合うことができて、お日柄もよくとても良い一日でしたね。
2021.11.26
昨年の夏から秋にかけてキッチンを作らせて頂いたNさんから「ずっと考えていたのです。」と相談されて実現したこのテーブルと椅子とそしてスツール。
キッチンと揃えて、木部にはナラ材を使い、テーブルの脚は私たちオリジナルの五本脚。そしてスツールもオリジナルのデザイン。椅子の座面の肌あたりの良さや、スツールに脚を載せた時に具合など、Nさんらしい細やかさが反映された形ができあがりました。
私はけやきが丘のMさんのところに久しぶりにお邪魔させて頂いておりましたので、本日Nさんにお会いすることはできませんでしたが、また年が明けた頃にゆっくりご挨拶にお伺いしたいと思います。
これでひと通り揃いましたね、ありがとうございました。
2021.11.24
白い壁が高い延びた天井へと続いている様子はその境界が曖昧ですので、まるで夢の中のような不思議な空間なのですよ。
そこに、白いL型の天板のキッチンが入ってみると、チェリーが浮かんでいるような錯覚。
床板が見えると(確かオークだったような)また印象が変わってくるのでしょうけれど、今だけは浮遊しているような印象です。
2021.11.24
昨日はお世話になっているフリーペーパー「HanaShonan」 さんにお声がけいただいて参加したマーケットでした。住宅展示場は個人的にも行ったことがなかったのですが、(家を建てるときは設計士さんは最初に決まっていたので工務店さん探しから始まったのでした。)
各メーカー毎に立派な大きい家が立ち並ぶ居心地の良いすてきな場所でした。来客数は少ないようでしたが、他の出店者さんとお話しすることができましたし、興味を持ってくださったハウスメーカーさんにカタログをお渡ししたりできたのでよかったです。
宣伝になればと昔参加し始めたマーケット。家具やキッチンに繋がればいいなと思ったのですが、打ち合わせ中の方は来てくださっても、マーケット始まりで繋がる方は少なく、お客さんは異なると感じたからでした。
でも今回、マーケットに参加しないと出会えない人がいると気づきました。主に作家さんですね。マーケットがきっかけで今でも交流がある方々がいることに改めて気づいたのでした。SNSが浸透していても、実際に見て会ってお話しすることは大切なのだとわかりました。すてきな機会をありがとうございました。
2021.11.23
こんな時間になって今日になってしまいましたが、「私たちなんで雑貨を作っているのだっけ。」と再確認してみました。
以前は会社のイベントで販売しているだけでしたのでサイズを統一して作ってはいなかったので家具を作った端材で作れていましたが、通信販売をするようになってからは端材で作れるものはほとんどなく、雑貨の注文が入るたびに材料を取り寄せて何個かまとめて作っているのが現状です。
「こういうものを作っている家具屋があるよって気づいてもらいたいからかなぁ。」とダイスケさんが言いました。
木の小物は100円SHOPでも雑貨屋さんでもいろいろな種類が売られていますから、珍しくはないと思います。
ただ、樹種と形は異なると思いますので、「家具職人が作る木製雑貨」として手に取って見てもらえたらうれしいです。ひとつひとつ、工房でスタッフのみんながきれいに作ってくれたものです。
前回のマーケットっていつだったかな?と振り返ってみると2018年の2月でした。約3年ぶりです。
キッチンカタログも持っていきますので、興味のある方はぜひ。よろしくお願いします!
「湘南フェスタ」
場所:西湘・小田原住宅公園
日時:11月23日 10時~17時
2021.11.21
明後日11/23祝日、お世話になっているフリーペーパー「HANASHONAN」さんのイベントにはお誘いいただいたので青空マーケットに参加します。
西湘・小田原住宅公園で開催される「住まいの応援フェスタ」で行われる「湘南フェスタ」11月23日10時~17時まで出店します。ダイニングテーブルと椅子の展示と木工雑貨の販売を行う予定です。会場のアンケートにご協力いただけると当日マーケットで使える500円の金券がプレゼントされます。私達が出品する木製雑貨にも使えますのでお得だと思いますよ。
設計を担当しているイマイダイスケも一日居りますので、「オーダー家具やオーダーキッチンってどんなことができるの?」というお話などもできますので、ショールームに行くほどではないけど、興味はある!という方にはぴったりの機会だと思います。
以前はマーケットによく参加していたのですが、最近はしていませんのでちょっとどきどきですが、久しぶりに皆様にお会いしてお話しできるのを楽しみにしています。興味のある方・お近くの方はぜひ遊びにいらしてください。
写真はペットのご飯台として作った「cone」。我が家では木のコンポート皿として使っています。