日記「自由な手たち」

20200617001

さらば愛しきペニンシュラ

あらためて、Yさんのところにお伺いすると、キッチンはもうすっかり馴染んでおりました。
なんだい、お澄まししちゃってさ。
すっかりキッチン気取りだね。

約9年、工房の2階で活躍してくれたこのステンレスヘアラインとナラ板目材を使ったペニンシュラキッチンは、はるばるこの寒川の工房を訪ねてくださる皆さんにとてもよく見て頂けて、私が言葉で説明するよりも明快に心地良さを表現してくれたものでした。
冬になるとバックパネルが機嫌を損ねてそっくり返り、この時期になるとおとなしく素直に戻るその様も、シナで作った引き出しに誰かがこぼした何かのシミ(ワインのような)を見ることも、料理教室を開いていてところどころ傷ができたワークトップを磨いて直したあの様子も、洗剤を詰めたワイヤーラックが「カタンッ」と落ちる音に夜な夜な一人で仕事をしていて驚いたことや、そしてバックカウンターのちょっとオープンになったあの場所の使い勝手の良さをお伝えできるのも、もうすっかりさようならです。
でもね、Yさんならいいよね。
もう長いお付き合いですし、おなじ作家さん仲間ですし、そしてなによりもまわりが森に囲まれて美しい場所に建つ心地よい家の中に据えられた。
きっと良い気分でしょうか。お澄まししているし。
今度はそこでたくさん活躍してください。

でもね、天然石とオークのキッチンを新たに招き入れたのは私なんだよね。
ごめんね、そしてごきげんよう。