うつくしくまとめて

「リビングボードのオーダー」

川崎 F様

design:Fさん
planning:daisuke imai
producer:gaku suzuki
painting:gaku suzuki

チェリーのリビングボード

物はだんだんと増えていきます。特にお子さんが成長するにつれて増えていくのです。「本が増えてきたから、この本棚では足りなくなっちゃったな。では別の本棚を増やそう。」 Fさんのリビングの壁沿いは、そのようにして増えていったものたちが占領していました。

私は、Fさんのことを勘違いしていたのかもしれません。と言うよりも、そういうふうに思い込んでいたのかもしれません。
最初の頃に頂いていたメールは、どちらかと言うと、要件のみのとてもシンプルなメールばかりでした。(実際それがとても当たり前のことなのですが。)
そして、御見積が高くなってしまったので、減額するためにどうしたら良いかと検討することの方が多くなってきて、私たちのことを好きでいてくれているのだろうか・・、そんなことを思ってしまっていたのでした。

チェリーのリビングボード

採寸にお伺いした時に思ったのは、これは片づけるのが大変かもしれない、と思っていたのですが、お部屋に存在感のある家具がひとつ来るだけでお部屋の印象がこれだけ変わるのかと、Fさんも私たちも思ったのです。

でも、そうしているうちに、一度詳しいお話を聞きたいということで、私たちのところに来て下さることになったのです。
どんな方かな。

チェリーのリビングボード

だから、あれほどあふれていたものは、きちんと整えられて、しかるべき場所にものたちは帰って行ったのです。パソコンは左端のスライドテーブルに。たくさんあった充電器などの細かい機器類は引き出しに。あれほどあった本たちは本棚に。

いらして下さったのは、とても穏やかな物腰の紳士であるFさんと奥様とお嬢さんたち。
百聞は一見に如かず、ちょっと違うかな。やはり、メールはメールで、お会いしないとその人となりは見えてきませんね。いろいろお話をして、お嬢さんや奥様と一緒に打ち合わせするその姿はとても優しいお父さんなのでした。

チェリーのリビングボード

いろいろ買い増して凸凹とした印象だった本棚たちは、別のお部屋で使われることになり、すっきりとした天板が現れたことで、「ずっとしたかった」と奥様がおっしゃっていた季節のものが飾られるようになりました。

そのようにお話を重ねていくと、まるで親戚の叔父さんのように見えてくるのです。Fさんも同じく、「家具を作る人」と言うよりはもう少し近い気持ちを持って下さいました。(きっとそう思っております。)

チェリーのリビングボード

私も念願だった無垢の天板を1枚で作りました。搬入を考えて分割しようかどうしようかと迷っていたのです。でも、思い切って1枚で作って階段で運んだ甲斐あって、継ぎ目のない印象はとてもきれいです。

今お住まいのマンションで、住み始めた頃からいろいろと施工会社さんと大変なやり取りがあったこと、建築ということに少し不信感があったこと、私たち家具屋もきっとその建築の中に含まれていたのだと思います。だって、なぜか不自然に縁が浮いている建具や波打っている床を見ていたら、そういう気持ちになってしまうと思います。

チェリーのリビングボード

小窓の開いた扉には、AV機器をしまってリモコンが効くように。

でも、Fさんは私たちを信じてくださって、こうして大きなリビングボードを依頼してくださったのです。その期待に応えなくては。

チェリーのリビングボード

まだ小さなお子さんの本がここにたくさん入っていますが、ちびっ子の成長はあっという間です。この場所はもっと多目的に使われる時、この家具はもっともっと深い赤みを増しているでしょうね。楽しみです。

「イマイ様
Fです。
お世話になります。
本日の取付け完了頂きました。
非常におさまりも良く、表面の木目も美しく、いい感じに仕上げて頂いて、満足しております。
扉の手直しも丁寧に行って頂きました。
ありがとうございました。」
このシンプルなお便りの中に温かな気持ちが入っていることを私たちはもう知っているのです。

壁一面のチェリーのリビングボード

価格:520,000円(制作費・塗装費)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は18,000円から、取付施工費は30,000円から)

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