カレーの夜

2026.05.24

私がカレーが好きだから週に一度はアキコに作ってもらうことが多い。

かつて、「カレー曜日」という言葉がテレビコマーシャルで流れていて流行した以前から私の家では母が作るカレーがご馳走だったのだ。娘たちは、カレーだよ!と言っても、わーい!と言うほどではないようだけれど、私が好きなのでそれでいいのだ。
そう、以前にも書いたかもしれないけれど、私は母が作るカレーが好きで、結婚してアキコにお願いしたのはそのカレーの味つけだったなあ。

彼女の実家ではもう少し甘いカレーで、お義母さんに会いに実家に行くと時々食べさせてもらうのだけれど、その味もたしかに美味しいのだ。

しかし、イマイのカレーはこうでなくては、というのがあるのだ。

何というか、飲み込んだ後に何かじゃりじゃりする感じ。これが好きで、さらには豚肉をかむごとにほど良く塩っ気が強く感じられるのだ。ルゥ自体は、市販のジャワカレーなのだけれどね。

母が元気だったころに実家に用があってご飯が食べられるときはリクエストをしていたっけ。

そのカレーの夜。

私は洗い物が好きなので、(洗い物が好きというか、何かを大きく散らかした後にそれがきれいになくなっていくさまが好きなのですが)先ほどまで使っていたカレー鍋を洗う。

我が家ではカレーの時はヘイワの片手圧力鍋を使う。(私の実家では、大きなアルミ鍋(よく林間学校などで使っていそうなやつ)を使っていたのですが、アキコの実家ではこのヘイワの圧力鍋なのだそうだ)

てっぺんにベルのようなおもりがついていて、蒸気が上がってくるとこのベルがくりんくりん揺れるやつですね。

その鍋のゴムのパッキンとそれがはまる溝がある重いフタがなかなかの曲者なのだ。

洗い終わった後のフタやパッキンをいざ拭こう、とフタやパッキンをくるくる回しながら布巾で拭いてみても、うーむ、溝はまだしっかり濡れている。

おやっ、と覗くと、溝に溜まった水たちが灯りにギラリと小賢しい目つきで、「お前が拭いても俺たちは行くぜ。」と言い続ける。

「何をこのやろう」と溝に布巾を差し込んでフタを回してさらにぐるぐる2周ばかりやってみるのだけれど、「ふん、まだまだ」と拭いたそばから彼らが流れてきやがる。

むむむっ、手ごわいやつめ、とすでにみんな寝室に向かってしまった静かな夜、遅く帰った私は一人でパッキンと鍋のフタをぐるぐる回すのである。