ユーモラスで食べ応えのあるかたち

「タモ板目ランダム張り突板とステンレス天板のアイランドカウンター」

大山 K様

design:Kさん/daisuke imai
planning:daisuke imai
producer:honoka takeishi
painting:honoka takeishi

「初めまして、Kと申します。大山で豆腐店を営んでいる自営業者です。
ただいま店舗の隣に自宅を新築中です。
台所は壁付きI型キッチンの仕様になっておりキッチンとテーブルの間にカウンターが欲しいと思いネットで探していましたらフリーハンドイマイさんにたどり着きました。
制作例を拝見して一目惚れしました。
そしてアイラウンドカウンターを制作していただきたいと強く思いました。
ゴミ箱が3個・電子レンジ・オーブントースター・炊飯器・食器が置けるカウンターを希望します。
天板はステンレス。
仕事が終わり夕飯の準備の間にスツールに座ってホッと一息お茶が飲めたらなあ(ビールかも)
「偶然ではなく必然」の湘南台K様のようなシンプルなカウンターが良いです。
基礎工事が終わり今日から浄化槽や家周りの工事に入りました。
棟上げは8月後半になる予定。
設計図ではカウンターは壁についてますがアイランド式の方が使いやすいのではと。
フリーハンドイマイさんは寒川にお住まいなんですね。
お近くの寒川神社はパワースポットで有名。
大山から高速道路で行くと30分かかりません。
日記では日向薬師に来られたと記してありなんだかうれしかったです。
猛暑が続いておりますので体調に気をつけてお過ごしください。
返信お待ちしています。」

と言ううれしいご相談のメールを頂いたのでした。

この頃、私はアキコと(登山と言えるほど本格的ではないのですが)山歩きの心地よさに惹かれていて、それまで山登りなんて自ら行きたいと思ったことなどなかったのですが、あの静けさの中に入り込むことができる良さに次第に惹かれて始めた頃でして、はじめて日向薬師にお詣りした時のことをKさんが見てくださっていたのでした。
山に行くこと自体はとても好きで、30歳で初めてスポーツバイクというものを手に入れてからは、毎週秦野方面には出掛けていたのですが、30代後半になるとその熱も落ち着いてしまい、今では自転車通勤で乗るくらいになってしまって山からは遠ざかってしまっていたのですが、アキコが以前子供たちを連れて、山歩きに慣れ親しんでいるジイジとバアバと一緒に出掛けた日向薬師がとてもすてきだったと聞いて、そういうものなのかなあなんて思いながら出掛けたのが、あれからすっかり魅了されてしまったのでした。

タモ板目ランダム張り突板とステンレスのアイランドキッチンカウンター
こちらがキッチン側の収納の様子。家電と食器とゴミ箱をどのように置くとKさんにとって使いやすい動線になるのかを考えながらレイアウトを決めていきました。特にごみ箱はシンクとコンロのどちらに近いほうが使いやすいのか、リビングから家族のみんなが捨てやすい距離はどのあたりか等、実はいろいろと悩ましかったりするのです。

「K様。
はじめまして、フリーハンドイマイの今井大輔と申します。
キッチンのアイランドカウンターのご相談ありがとうございます。 さっそく形を考えてみたいと思いますので、1週間ほどお時間を頂けますと助かります。
大山にお住まいなのですね。
実は近々大山にも行こうかと思っていたところでした。
また機会がございましたら、立ち寄らせて頂きたいと思います。
それではまた、まとまりましたらご連絡させて頂きます。
引き続きよろしくお願い致します。」

「今井様。
返信ありがとうございます。
キッチンとカウンターの使いやすい距離やその他かわからないことが多いので教えてください。よろしくお願いいたします。
大山に住み始めた頃の夏は気温が30度超えることなどほとんどなく、お盆が過ぎると秋の気配がしましたが、ここ数年は大山も猛暑となっています。
暑さが落ち着いた頃に大山にぜひいらしてください。
山風が気持ちよいです。」

と、うれしいやり取りが続きました。

タモ板目ランダム張り突板とステンレスのアイランドキッチンカウンター
ダイニング側から見た様子。今回はタモ板目のランダム張り突板を使って制作していますので、伸び伸び呂いろいろなタモの表情がよく見えます。単板の幅もなるべく幅の広いものを使って、白太の印象が少し入るくらいの木取りにしていますので、表情だけではなく色あいの揺らぐ様子も楽しいです。また、収納量を確保することと、作業スペースを広く採りたいこともあって、幅1950ミリ、高さ850ミリ、奥行き525ミリという大きめのサイズにしたのですが、アイランドのレイアウトにしても狭く感じることなく納まりました。

メールと一緒に頂いたご新居の平面図を拝見すると、LDKがワンルームになった広々とした間取りになっていて、キッチンカウンターを作ることで作業スペースや収納スペースを確保するとともにキッチンとダイニングを視覚的に分ける役割を持たせるという感じで、メールにありましたように、カウンターの1面は壁に接しているペニンシュラ型のレイアウトになっておりました。

以下のページにもあれこれと書いているのですが、

「キッチンをオーダーで考える時の動線と距離について」

「キッチンとの向き合いかた」

ペニンシュラ型になる場合、突き当たりの壁に近いところにしまってあるものを取りに行くには、歩く距離が長くなったり、人の動線がぶつかり合ったりすることがあります。
ですので、突き当たりがなくて、小さくても良いので逃げ道のある動線にできると快適に使いやすいのではないかと考えるのですが、このあたりもその空間を使う人それぞれの考え方によって変わってくるようです。
ですので、その人その人との会話をしながら考え方を学ぶことができるというのはとても興味深くうれしいことです。

タモ板目ランダム張り突板とステンレスのアイランドキッチンカウンターのスケッチ
Kさんとの打ち合わせで描いたスケッチ。当初はクルミで考えていたのでしたね。

今回のKさんもぐるぐる回れる動線が良いという思いがありましたので、当初のペニンシュラ型からアイランド型にする方向でお話が進んでいきました。
ただ、アイランドにすると通路となる分収納量が減ってしまいます。
そうなると何が想定されるのか・・、というのをKさんと打ち合わせしていくのです。

「K様。
フリーハンドイマイの今井大輔です。
ご連絡ありがとうございます。
カウンターを考えるにあたりまして、いくつかご質問がありますので教えて頂けますと助かります。

1)現在図面に書かれている階段の隣の「収納」の部分に食器棚などを置かれる予定はありますでしょうか。
もし、置かれる場合は、キッチンや土間、冷蔵庫に向かうのに狭くなるので、現在の図面のようにカウンターを少し小さくしないといけないと思われます。
そうなるとアイランドにする場合は、洗面所とアイランドカウンタ―の間の通路も確保しないといけないので、けっこうコンパクトなカウンターになってしまうかもしれません。
この「収納」によって、カウンターをどのくらいの長さにできるか、アイランドにできるか壁付けになるかが決まってくると思われますので、「収納」の部分に食器棚などを置かれるかどうかをお知らせ頂けますと助かります。

2)ダイニングテーブルのサイズはどのくらいをお考えでしょうか。
サイズの判断が難しい場合は、何人で座るサイズのダイニングテーブルをご検討されていらっしゃいますか。
これによって、カウンターの奥行が変わってくると思いますので、テーブルのサイズ感をお知らせ頂けますと助かります。

3)キッチンにはご家族皆様で立つことが多いでしょうか。それともお一人で使われることが多いでしょうか。
それによってキッチンとカウンターの間をどのくらいの距離を開けたらよいかを考えたいと思います。
その開ける距離によって、またダイニングテーブルのサイズによってカウンターの奥行が決まってくると思います。

上記の3つの要因によって、アイランドカウンターの大まかなサイズが決まるのかなと思っております。
サイスが決まりましたら、そこにどのような感じで家電や食器などを置いたりしまったりするかを考えてゆくと形がまとまりやすいと思っております。

参考までに、現在の図面のようなレイアウトになる場合は、キッチンとカウンターの距離は800ミリくらいで、カウンター自体は450ミリ~500ミリくらいで、テーブルは1400ミリくらいになると思われます。
ただ、カウンターが450ミリ~500ミリくらいだと、オーブンレンジは奥行がありますのでカウンターの下に収納はできないので、オーブンレンジとトースターをカウンターの上に置いて、下にゴミ箱、炊飯器を置くような形がオーソドックスな形になるのではないかと想定します。
(オーブンレンジではなく、電子レンジ(あたため専用)でしたらコンパクトなので、下に収納することも可能です。)
オーブンレンジを下にしまえるようにするには、奥行きが530ミリ~550ミリくらいあったほうが良いかと考えております。
ただ、オーブンレンジをカウンターの上に載せてしまうとレンジの背中部分が丸見えになってしまうので、レンジを置く向きによってはその背中が見えることが気になるかもしれません。
レンジをどのように置くかが検討事項になると思います。
また、炊飯器を下に置く場合は、ご飯を炊く間は蒸気が出るので、炊飯器を引っ張り出して炊くような形にするのですが、引っ張り出している間はキッチンが狭くなるので、キッチンとカウンターの距離をある程度広く取っておくとよいと思っております。
ただ、あまり広く取りすぎるとダイニングテーブル側が狭くなるので、このあたりの距離もどのように考えるかが検討事項になると思います。

このようにカウンター1台を考えるのでもいろいろとご家族皆様の過ごし方、時間の取り方などの動線が関わってくると思います。
ご新居の完成時にカウンターを納品できることが理想的ですが、私個人的には暮らしの動線がきちんと分かる段階になってから形を考え始めると、よい形のカウンターができるのではないかと考えております。
たとえば、建築が始まって、システムキッチンが入ったタイミングで部屋を眺めながら考え始めたり、もしくはもう少し内装工事も仕上がってきて実際の部屋の雰囲気や印象が分かるようになってきてから考え始めても良いのではないかと考えております。
ただ、その時期から形を考え始めると、場合によってはご新居の完成時やお引っ越しの時期までにカウンターの納品が間に合わなくなる可能性もあるので、その場合はご了承いただけますと幸いです。
もちろん、先に決めておいて、ご新居完成時には必ず間に合わせたいということでしたら、上記のご質問についてお知らせ頂ければ、まずは原案となる形を考えていきたいと思います。
加藤様にとってどのような進め方がよろしいかご家族皆様でご検討頂ければと思います。

また、形を考えるにあたっては、図面やメールを見ながらのやり取りでは実感がわかない部分があると思いますので、こちらのほうまでお出かけされる機会がございましたら、私たちのショールームにいらして頂ければ、実際のキッチンとカウンターの距離などを実感できると思いますので、ご検討頂ければと思います。

4)それと、もう一つ検討事項があります。
仮にカウンターの納品がお引渡よりもあとになる場合でも先にコンセントの位置を決めておかないといけないと思われます。
平面図にはコンセントのほかに照明のスイッチもカウンターにつけるように想定されているように見えますが、スイッチもカウンターにつける形で想定されておりますでしょうか。
スイッチをつける場合は、どのような形のスイッチを何個くらいつける想定になっているか、もし決まっているようでしたらお知らせ頂けますと助かります。
コンセントだけでしたら、コンセント用のケーブルを床から出しておいてもらえれば、あとで炊飯器の位置やカウンターの上にそのケーブルを生かしてコンセントをつけることなどは可能です。
(その場合はコンセントケーブルの位置は私たちのほうでお伝えしたいと思います。)
スイッチもカウンターの上などに付けないといけない場合は、あとからカウンターを作るとなるとスイッチがつけづらいので、やはり先にカウンターのプランを考えておく必要があると思います。
スイッチを壁につける形でカウンターと切り離すことができるようなら、納品の時期を後にしたりできるのですが、スイッチはどのようにつける形で想定されていますでしょうか。

まずは以上のように考えております。
上記(1)(2)(3)(4)についてとカウンターの形を具体的に考える時期などについて、K様のご意見をお聞かせ頂けますと幸いです。
メールだと分かりづらいということでしたら、ショールームを開ける時間を設けますので、K様のご都合の良い時期などをお聞かせ頂けますと幸いです。(お盆期間中でも開けることは可能です。) 長文失礼いたしました。
それでは、ご検討くださいますようよろしくお願い致します。」

長いですね、メールが長いです・・。
でも、このような感じで暮らし方を想像していくのですよ。ステレオタイプな形を表現することは簡単ですが、相談を頂いたのですからその人の暮らしを考えないとその人にとってよい形にはならないと思うのです。
でも、考えることって、思い描くことってなかなか難しくて、けっこう体力が要るんです。
だから分かりづらい部分は分かりやすいように説明する必要がありますし、極端に時間を限定してはいけません。
むしろ、「今の状態で考えることが難しいから少し暮らし始めてから決めます。」という思いが生まれるくらいが自然なことだと思います。
そのほうが実感しながら検討できますから。
それでもこうして目の前にないものを考える必要がある時は、私はその人になったつもりで考えていくのです。

ゴミ箱スペースとその上のオープン棚の様子
キッチンはシステムキッチンですので、ゴミ箱をしまうスペースが無かったので、ここにケユカのアロッツ(27リットルサイズ)を2台置くようにしています。その上は大きく空間が開いてしまうので、ゴミ箱のフタが干渉しない高さに可動棚をつけて、ゴミ袋などのうすいものが置けるようなスペースにしています。

そして、Kさんからお返事を頂きました。
お返事は割愛しますが、そのなかに

「3)夫61歳 次男24歳の三人暮らしですが料理は私だけしかしません。彼らはカップラーメンを作るか、 インスタントのお味噌汁しか作りません。」

というお返事の中にKさんのユーモアが感じられて、少し近くに思えたのでした。
ウェブやSNSであらかじめ私たちのことを見てくださっているおかげで、皆さんどこか近くに感じてくださっているからか、人見知りな私もうれしいくらいの距離でお話ができるのです。

タモ板目のアイランドカウンタ―の引き出しの様子
中央の食器棚部分の引き出しの様子、1段目。
タモ板目のアイランドカウンタ―の引き出しの様子
中央の食器棚部分の引き出しの様子、2段目。
タモ板目のアイランドカウンタ―の引き出しの様子
中央の食器棚部分の引き出しの様子、3段目。
タモ板目のアイランドカウンタ―の引き出しの様子
中央の食器棚部分の引き出しの様子、4段目。高さ850ミリの食器棚にする場合は、市販の食器棚は3段のものが多かったりしますが、3段だと意外と引き出しの上の空間が余ってしまうことが多かったりするので、今回のKさんのように4段の引き出しにすることが多いです。食器だけをしまうという場合は、1段がもっとうすくても使いやすいと思いますので、5段にする方もいらっしゃいます。

このあともお会いするまでにいくつかのやり取りが続きました。 「今井様 アドバイスありがとうございます。なるほどと思うことばかりです。 私もまだまだまとまっていないところもありどのような形が一番使いやすいのか頭の中でグルグル考えています。 オーブントースターは出したままの方が使いやすいでしょうとか。 キッチン側に置いても良いのではとか。 図面を見ながら楽しく悩んでみます。」 「K様 フリーハンドイマイの今井大輔です。 お世話になります。 さっそくのご連絡ありがとうございます。 皆さん、家具を考える機会は、暮らしを見つめ直す良い機会とおっしゃってくださって、楽しんで考えてくださる方が多くてうれしく思っております。」

タモ板目のアイランドカウンタ―の家電スペースの様子
端に家電を置くスペースを持ってきました。オーブンをあまり使わない前提で、電子レンジをきれいに収納できるような高さに棚を設定しています。一番下は当初は炊飯器をしまうスペースだったのですが、オーブンに変わっていますね。レンジだけはここで使えるように奥にコンセントを設けていますが、オーブンはここには置くだけにして、使う時は天板に上に持ってきて使う形にしています。

この後にショールームまでいらして頂いて、実際に家具に使う素材を見ていただいたり、塗装の感じ、木の手触り、引き出しの使い心地などを確認して頂きました。

「今井様。
先日はありがとうございました。丁寧にわかりやすく説明してくださりとても安心しました。
夫と図面・見積書を確認しました。
変更ありません。制作よろしくお願いいたします。
初めてのオーダー家具。
フリーハンドイマイさんの家具を使って生活するのが今から楽しみでしかたありません。
今日から29日まで大山ではお祭りがあるのですが台風の影響で夜の祭典・御神輿が中止になり寂しい限りです。
台風が日本列島を横断する予報も出ています。各地で被害がありませんように祈るばかり。
今井さんもお気をつけくださいませ。」

できあがった家具はシンプルな形ですが、このようなやり取りがあって辿り着いたこの場所にしかない形なのでした。

タモ板目のアイランドカウンタ―のダイニング側のコンセント
ダイニングテーブルで家電が使えるようにカウンターの背面にコンセントを設けました。JIMBOのKAGシリーズのグレーを採用しました。どこかで描いたことがありますが、ホワイトとブラックの色もあるのですが、どちらも色が鮮やかなので、グレーのほうが和ら無く見えるため、最近はグレーを採用することが多くなっています。

「今井様。
ご無沙汰しております。
インスタグラム楽しく拝見しています。
制作してくださったカウンター、とても使いやすくフォルムも美しく大満足です。
大型連休中は登山客&観光客で賑わった大山です。
新録が美しく空気も美味しく気持ちの良い季節。
ぜひまた大山にいらしてください。
小出とうふ店は水・木定休日。
土・日は営業していますので今井さんのご都合で大丈夫です。
お待ちしております。」

そう、Kさんのお店は、「小出とうふ店」。 5月には色とりどりの鯉のぼりが鮮やかに泳ぐあたご橋のすぐそばにあるお豆腐屋さん。
しっかりと食べ応えのある絹ごし豆腐は何もつけなくてもとても美味しいのです。

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小出とうふ店
259-1107 神奈川県伊勢原市大山427
0463-95-2046
https://www.instagram.com/ooyama102/

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タモ板目ランダム張り突板とステンレス天板のアイランドカウンター

費用につきましては、お問い合わせくださいませ。

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