2022.09.17
先日、設置工事が終わったIさんが本日、キッチンと食器棚にオイル塗装をするので、その方法をお伝えするために午前中お邪魔してきました。
トミー・リー・ジョーンズがもっと年取ってしまったような風貌の監督さんもわざわざ立ち会うためにいらしてくださって、「いやあ、塗装されるって聞いてましたので、養生を剥がさないほうが良いかどうか迷っていましてね。」と何というか使う人と作る人の両方の気持ちを良く汲み取ってくださる監督さんで話もしやすかったし、ノガミ君も取付の時に「とても進めやすかったのですよ。」と言っていたっけ。
良い人に恵まれた現場でしたね。
帰り際に、「久しぶりに良い仕事を見せてもらいました。」と言ってくださって照れくさかったのです。
Iさん、頑張ってくださいね。
時間が経つごとに雨風が強くなってくるというようなことだったので、まだ空はそれほど荒れていないように見えるのですが、アイに声掛けたらさっさと入ってきてくれたので、自転車を置き去りにしてそのまま工房を閉めて帰ってきました。
いつも自転車を止めているところにアジアンタムかな、モジャモジャしてきている。
鉢植えで育てていた彼らがこぼれたのかな・・。
鉢植えの彼らは私とアキコが結婚した翌年に「部屋に緑がほしいね。」って言って当時住んでいたさがみ野の駅前で手に入れたんだっけかな。
そのあとマンションに移って、一度葉が全部枯れちゃって「もうダメかね。」なんて言っていたけれど、この家に来てすっかりモジャモジャしている。
もう20年以上の付き合いなんだね。
2022.09.16
オリーブグリーンの御影の天板はとても気に入っているのですが、やはりワークトップはステンレスで、という皆様が多いものですから、いよいよこいつの出番です。
今までで二度キッチンの天板の仕上がりを間違っちゃったことがあって、それをずっと取っておいたのですね。1枚は我が家のキッチンになり、もう1枚はようやく出番がやってきました。
オッ、これはもちかしてー、と思っているOさん、そうです。
ちびっ子ルームを一部改装してこうしてステンレスのL型キッチンができました。
天板の仕上げはステンレスヘアラインで、ラインがぶつかるところは美しい斜めのラインがきれいに出ています。キャビネットの表面材は、オリーブグリーンのキッチンではホワイトオーク板目無垢を幅で接ぎ合わせた仕上げでしたが、こちらはブラックチェリー柾目の突板を使ったキッチン。チェリーの柾目が時間が経つとものすごく美しいと教えてくれたのは品川のKさん。いつかそういう形を実現してみたいと思っておりました。
内部は実用性というよりは、いろいろな形を見せたいと思いまして、引き戸があったり、最近よく使う金物を導入したりと実験的な形ではありますが、とてもきれいにまとまったと思っております。L型のネックになりがちなコーナーの使い方も見て頂けたらと思います。
まだね、何だか若すぎて表情が乏しく感じるかもしれませんが、マツの板張りの壁もチェリ―の色合いもしばらくするとぐっと良くなってくると思われます。
これで、ホワイトオークとブラックチェリーと、そして我が家のバスウッドの3つのキッチンを見て頂くことができるようになりました。
すると、偶然そのOさんからお電話が。
「イマイさん、お久しぶりです。実は今度うちの息子がイマイさんのところに職業体験に伺うそうで。」
「えっ、そうなのですか。それはうれしい。久しぶりのカリキュラムの再開ですものね。」
「すごく楽しみにしているみたいで、よろしく見てやってください。」
「分かりました、クレミルにも何度も来てくれていましたものね。アキコも楽しみにしていますので。それと、今度もう1台キッチンを作ったのですよ、Oさんの天板を使って。」
「そうなのですか!そういえば、この前、妻がイマイさんのところの新しく作ったキッチンってもしかして・・、って言っていたのですよ。そうでしたかー。今度見に行きますね!」
何か小さなきっかけでまたいろいろな話が巡り始めるのだなあと興味深く思う今日この頃です。
2022.09.15
最近は茅ケ崎続きで、鉄砲通りを行ったり来たり。先月は緑が浜あたりを往復していたり、昨日富士見町あたりを走っていたかと思うと、今日は東海岸と。
大きなタモのカウンターとガゲナウの食洗機がはたして無事に2階へ上がるのか・・。と気持ちを焦らせながら到着。
やはり4人で来て正解で、3人だったら上がらなかったかなあ。どうにか荷揚げしたら、設置作業はノガミ君とタケイシさんにお任せして、11時から鎌倉の技拓さんがいらしてくださるのでワタナベ君と一緒に急いで工房までとんぼ返りです。
まもなく制作が始まるキッチンの打ち合わせをさせて頂くためにこちらに来て頂いて実際のキッチンの様子を見て頂いたのでした。クライアントのYさんご夫婦とも担当のMさんとも朗らかに話が進んで、帰り際にご主人が「ようやくまとまってね。」とホッと一言奥様に声掛けされていました。
いよいよ始まりますね。
明日現地を見に行かせて頂きます。
夕方ノガミ君から無事に終わったという報告。キッチンではなくてこのペニンシュラ型のカウンター収納に食洗機が入るというなかなか無かったスタイル。Sさんご家族がここでどういう暮らしかたをされるのかが楽しみです。
2022.09.14
神奈川の海の周りから山のほうまですてきなお店を紹介しているHANA Shonanさんとはもうだいぶ古いお付き合いでして、いつも私の好き勝手なお話を載せさせて頂いたりと、おそらく誌面の中では少しトーンが違うページになっちゃっているかもしれないのですが、編集者の石川さんはそういうところを気に入ってくださっていて、その独りよがりな文章を読んで家具の相談にいらしてくださったのがSさんです。
照れくさくもあり、うれしくもありです。
そのSさんからオーダー頂いているカップボードが来週いよいよ納品です。
先日はワタナベ君が最終調整を行なっていて、あとは納品を待つばかり。天板の後ろについた羽がうまく納まると良いなあ。
2022.09.14
夏休み中、子供部屋の間仕切りを作った時、(間仕切りを付けた時の様子は、こちら https://www.instagram.com/p/ChRcfYCrOGO/ をご参照ください。)
それまで使っていた吊戸棚を外したので壁に穴が残りました。
「小さい穴だし、空いたままでも気にならないんじゃない?」とも思いますが、生活の変化でできた跡をそのままではなく、直しながら生活していく姿を子供たちに知ってもらったほうがいい気がしています。
当初、私がやるつもりでいましたが、ダイスケさんから「こっちがやるよ。」と言われ、(君、うまくできるの?という)無言の圧を感じたので、お願いすることにしました。(笑)
会社にあった「穴埋めパテ ホワイト」を使いました。穴は合計8か所あり、使った量は多めで大さじ3杯くらいで足りました。ホームセンターで少量のチューブ入りのものもあるようです。
やすりがけをするので、ちょっと盛りっとするくらいに塗り、乾燥するまで待ちます。
工務店の加賀妻さんから引き渡しの時にいただいていたペンキがまだ固まっていませんでした。4年経つのに、よかったです。こうしてみると、結構グレー色なのだなと思いますね。
400番くらいの紙やすりでパテを塗った場所をやすり掛けしていきます。気を付けないとパテ周りのペンキも削られてテカテカしてしまいます。ダイスケさんは「ペンキ塗ればいいから。」と結構ワイルドにかけていました。
色々な方向から見て塗り具合を確認しながら、刷毛の方向は変えないで塗っていきました。
塗り終えてすぐの写真ですので、ちょっと目立ちますが、乾いたら、よく見ないとわからないくらいになりました。
このくらいなら、生活の跡、思い出の一つと言ってもいいのではないかなと個人的には思っています。
こういう時に、クロスを張った壁とペンキの壁とどちらが良かったのかなと考えますが、この工程で済むのなら、自分たちにはペンキの壁があっていたのかなと思います。
どなたかの参考になればうれしいです。
2022.09.13
先日の食器棚も無事に設置が完了しました。ノガミ君、タケイシさん、お手数を掛けました。
あとは、今週の土曜日にIさんがオイル塗装を行なって完了。
奥様が建築に携わるお仕事をされているということもあって、シンプルでどこか懐かしい形にまとまったキッチンです。オイルを塗るとこのシナの表情がとても優しく現れます。楽しみです。
仕事の終わりにタケイシさんが「シャチョウ、餃子食べてきましたよ!」と報告。
前日にノガミ君に伝えておいたんだよね、「この辺りに昔から有名な餃子屋さんがあって、私も高校生の時からよく行っていた」って。美味しいというか(美味しいです)熱い、そして厚いのがクセになってよく食べに行ったっけ。30年近く前の話です。
アキコのお父さんとお母さんの家もこの近くにあるから3年前には自分たちの家ができるまでの数か月居候させてもらっていたのも良い思い出です。
心地よい町に住むんですね、Iさん。
2022.09.12
昨日は地元倉見神社の神幸祭でした。
3年ぶりに御神輿が会社の前の行在所まで来てくださいました。
コロナ対策で担ぎ手さん達ではなく、トラックに乗っての移動となり、人出が少ないので淋しい雰囲気もありましたが、やはりこういう行事があると気が引き締まります。
ダイスケさんも地元の役員の方々と一緒にお祓いを受けることができました。これからもみんなでケガなどすることなく無事に、家具やキッチンを作っていくことができたらと願っております。
よいお天気でよい風が吹いていました。
2022.09.09
ノガミ君とタケイシさんと助っ人コバヤシ君の3人は相模原のIさんのところまで。
シナで作ったキッチンと食器棚の取り付けです。懐かしい印象の戸建てをリノベーションしてご新居にされるというIさんのキッチン。前回の打ち合わせの時よりも明るく感じます。
今回の監督さんと前回の打ち合わせの時に感じた家具を知っている感じは、今日もそうだったようでノガミ君が「とても良くしてくださって作業が進めやすかったのです。」と報告してくれました。こういう会社さんとの仕事はスムースでとても心地よい。
はずなのに、私がうっかり勘違いしている部分があってすべてが完了できなくて・・。今日作業を終えられたのはキッチンのみで、食器棚は右と左の仕上げを勘違いしていたので全く設置工事に手を付けられず・・。
先日のKさんの現場でもなぜをそれを見落とすのだといううっかりをしてしまってヒロセ君に手間を取らせてしまったばかりなのに、今回はタケイシさんが初めて最初から最後まで手掛けた家具だというのに私のせいで納まらず・・。
あの時のヒロセ君も、今日のノガミ君もタケイシさんも「大丈夫ですよ。それほど手間が掛からず直せそうですから。」なんて笑顔で応えてくれるみんなの頼もしさよ。
情けないことですが、そういうみんなの力強い頼もしさがあって頼りない私を支えてくれてきちんと回っているのですね。
Iさんには時間を頂いて、来週にはきちんと完成する予定です。
2022.09.09
先日工事が終わったKさんのところに、まだ全体は細かい工事が残っていますが、キッチンのほうはすべて完了したのでお引渡してきました。お施主さんのKさんにも、今回初めてお声掛けくださった設計士のMさんもとても喜んでくださってひと安心。
今回のこのホワイトは化粧板ではなく、塗装で表現しています。もともとのキッチンも鏡面塗装になっていたのに習って同じ仕上げにしたのですが、鏡面塗装って磨きの繰り返しで大変な作業です。
塗装をお願いしたオオガキさんは、「今はね、車両用の塗料を使っているから塗膜も強いしきれいに仕上がりますよ。」って気軽に言ってくださったけれど、かなり大変な作業だったこと思います。
元あった扉を塗っているので、基材が何かは分かりませんが、手で研磨した映り込みのうっすらした揺らぎが機械仕上げの均質な印象ではなく、どこかろくろで挽いた磁器のような印象で、ぬるっとして優しい。色も真っ白ではなくて、Kさんが悩んで決めたほんの少し黄み掛かっている感じも優しい。
キッチンのキャビネットやレンジフードはそのままにカウンターの上から石を被せて、扉を塗り替えるというなかなか大変な試みでしたが、リノベーション前のキッチンと比べると塗装のホワイトと石のブラックとでコントラストの大きな仕上がりになっているはずなのに優しいというのがとても心地よいです。
こういう仕事は大変ですが、心地よい。
下の写真が元々の印象。どこか無機質に感じてしまうのでした。
2022.09.07
相模原のFさんの設置工事もそろそろ大詰めです。
先日取り付けたキッチンの対面カウンターと飾り棚を兼ねたすでにきれいに黒く塗装されて、今日はキッチンの背面に設置する白い食器棚を持ってきました。
藤井さんがこの白と黒のコントラストをどういうふうに見せたいのかが少しずつ分かってきましたね。
ものすごい暑さのなか、何度も現場で納まりを確認したタイル割もきれいにまとまりましたし、あとは食器棚の下に納まる機器がすんなり入れば、そのあとは引き出しなどを仕込んで完成。
2022.09.06
週末慌ただしかったので、今日は家の用事を午前中に済ませたあとに山のほうに出かけたいね、とアキコと話をしていて、そういえば、前に相模川が溢れそうになった時にダムのことが心配だったよね、ということで、その川の遡って城山ダムを見てまいりました。
すぐ隣の高校の生徒たちはもう授業が終わりなのか溌溂とした様子で自転車で脇を駆け抜けていき、どこか閑散とした校舎を横目に見ながらしばらく草むらを行くと、緑が豊かに映るダムが静かにそこにありました。
最近の長雨では、これほど大きな貯水池でも溢れそうになるなんて、ありきたりの言葉になってしまうのですが自然の力はすさまじい。あの時のとても淋しい気持ちがふとよみがえりました。
ふと下を見ると放水路と水際のあたりで、黒い小さな影がちらちら揺らぎます。放水路からわずかに漏れ出ている水のおかげで生えた藻を魚たちが静かにはんでいるようです。
ときおり、先ほどの路傍に咲き誇っていた百日草をグラグラさせたくらいの強い風が吹いてくさっぱらがサワサワ言っておりました。
2022.09.06
土をこねている時は、ちょっと頭でっかちなのじゃないのかなあ、なんて思っていたのですが、とてもかわいい。
これほど可愛らしくなるなんて思わなかったなあ。光沢が出ないようにマットに仕上げている分とても優しい表情。
畔地さんの雷鳥のイメージなのです。
2022.09.06
うーん、目がこわい・・。
いちおう、草むらで遊んでいてお腹やお尻が泥に浸かっちゃって怒られるかなあ、という印象の鳥で、羽のそこかしこには花やら葉っぱがついていて、目の周りも花の粒々がついているんだよね。
でも目をへこませちゃったから、どこから見ても目が合っちゃって、なかなか鋭い目つき。
2022.09.06
山本さんから連絡を頂いて、さっそく引き取りに伺ったのでした。
できあがりはちょっと真面目な感じになったかなあというところで、学校の先生に教わった通りにできましたね、という印象。
もっと文字がモリモリと丸くても面白かったかなあ。雨風に当たって少しくたびれてくるとまた落ち着いてくるかな。
でも物を作るっておもしろいよね。こねた土に釉薬をかけると堅くて水もはじく板になって、それが自分の名前を表すものになるなんて。
2022.09.02
もともと私たちの仕事の大きくしていこうという気持ちはないのだけれども足りないものは作らないといけないという気持ちは石のキッチンを据えてしばらくしてからずっと思っていたわけですが、忙しいの言葉の向こうにその思いをひっそりしまい込んで、ここまで来てしまったわけです。
皆さんが来るたびに「今は石のキッチンなのですが。」なんてよいのか悪いのかよく分からない言葉を口にするのですが、やっぱりよく分からないままではいけないと思いまして、この8月から9月にかけて少しみんなの気持ちが落ち着いてきたこともあってこの水色の部屋にステンレスのキッチンを据えることにしました。
ちびっ子ルームが無くなっちゃうけれど、どうにか楽しくできるようにそのあたりは考えていこう。
文頭で描いたように大きくするつもりはないのだけれど、先日鎌倉の技拓さんが立ち寄ってくださった時にこのあたりでオーダーキッチンを依頼できる場所がほとんどないのです。とおっしゃっていたように、必要とされていることはベストを尽くしたいと思っております。
私の思うかたちは何気ない形になることが多いのですが、自分なりに身体感覚がとても心地よい形をいつも目指していて、それがキッチンの表にけっして現れていないように見えても使ってくださっている皆さんにはきっと良いと感じてもらえる形を心がけているつもりで、その思いは他のキッチンメーカーさんにはマネできないはず、なんて独りごちております。(笑)
その感覚を大切にするという気持ちは専門学校時代の同窓の福原さんから学んだことが多いのですが、本日彼が手掛けた茅ヶ崎の集合住宅のリノベーションがやっと完了して、無事に私たちもキッチンや家具をお引渡することができたのでした。
お天気には恵まれませんでしたが、Yさんと福原さんの明るい声が響くすてきな空間になりました。今度ぜひお邪魔させてくださいね。
来年には新たに茅ヶ崎でのリノベーションのお話も進んでいて、クライアントのSさんの感覚がまたとてもステキで、そこに福原さんのテイストが入ってくるので、今から楽しみなのです。
まずはより私たちの考えが分かってもらえるように水色の部屋が変わります。
2022.08.31
緑豊かな丘陵地帯の中腹にご新居を建てているSさんのところにキッチンの設置に伺ってきました。
施工は加賀妻工務店さん。我が家の建築の時には和室の天井の板張りを素晴らしいスピードで仕上げてくださった岡野さんが棟梁ということでうれしくなりますね。
心配していた雨もすっかり上がって、搬入も無事に完了。レンジフードの位置や窓枠の位置も予定通りに納まりそうということが分かって、秋に控えている複雑な納まりの家具たちをまとめないといけないので、あとは制作を担当したヒロセ君と今回はサポートのノガミ君にお任せして。
途中でSさんもいらしてくださって、キッチンの様子を見てきてくださったのだそうですがお会いできなくて残念。
日が傾く前にはほぼ設置は完了したのですが、実はシナの無垢を使って天板を作った部分があるのですが、塗装してみたら材木屋さんが桟積みしていた当時の木っ端の跡が浮いてきてしまって、まだら模様がくっきり表れてきてしまったのでした。そうか、こういうこともあるのだなあとあらためて材木屋さんと相談して、少し厚めの材を使って新たに作ることに。今からだとスケジュールが慌ただしいので、まずはこの天板で納品して後日差し替えさせて頂く予定。
そのあとにSさんがオイル塗装を施してすべて完了の予定です。写真だと色がちぐはぐに見えるのですが、必要箇所だけ塗装をしているので、すべての塗装が終わるとシナのしっとりした表情になるのです。楽しみですね、Sさん。
2022.08.30
Iさんのシナの食器棚。キッチンと一緒に制作を進めているのですが、キッチンはノガミ君が担当して、この食器棚は入社して丸5か月経とうとしているタケイシさんが担当。
木取りはまだ複雑で見られない部分があるのでノガミ君が見てあげて、制作に関してはぼ最初から手掛けました。
技術校時代は数か月かけて作るものが、仕事となると決められた短期間で制作していかないといけない。そうしないと私たちはそれを生業として続けていくことができませんので、家具作り自体は時間を掛けて経験を積めば誰でもできていくものなのでしょうけれど、継続していくためにはある程度のセンスが必要なのではと思っています。
センスって言うと曖昧なのですが、自分が思うには形を想像できる力と、それを組み上げていく時間が読める力と、それを実際思い描く通りに進められる力と、あとは素直な気持ちをその人がどのようなバランスで持っているかがセンスなのかなと思っております。
そのバランスがうまく取れないとなかなか難しい仕事になってしまうのですが、さいわいタケイシさんも含めみんなそのバランスがとても良く取れているので、こうして短期間のうちに家具を作ることができるようになっていきます。
教わるほうはもちろん成長していくし、教えるほうもその人目線で物事をあらためて見返すことで成長というか振り返ることで自分の持ち味が増えていくというか。良い効果が広がっていくわけです。
というわけで完成。まもなく設置に伺う予定です。
2022.08.30
丸い格子は思いつかなかったなあ。
藤井さんからの依頼で先日納品したシステムキッチンの対面の飾り棚とこの白い食器棚を作らせてもらっています。
藤井さんとは2011年からのお付き合いですから、もう10年以上が経ちますね。
こういう優しい表情の出しかたは、自分の中にはなかったなあ。藤井さんに言われてハッとしましたし、こうしてできあがってみるとなるほど優しい表情です。
他の部分がメラミンでできた見え掛かりになる分、冷たくなりがちな印象をこの丸い格子戸が柔らかくしてくれるのですね。
ちなみに食器棚になぜ格子が、というと、食器棚の一部にエアコンが組み込まれるためそれを隠すための格子戸になっています。
こういう小さな部分がひとつ変わるだけでも全体の印象を大きく左右するということにあらためて気づかされたのでした。
2022.08.30
Sさんのシナのコの字型キッチン。
主に調理に使うカウンタートップはステンレスなので、まだ白いビニルがかかったままで、シナも部分的にしか塗装していないので、全体の印象は見えにくい部分もありますが加賀妻さんの空間にはきっとよく馴染むはず。
めずらしい形のキッチンで収納は最小限で、どこからでも物が取り出しやすいようなテーブルのようなキッチンになっています。
シナの無垢は比較的柔らかいのですが、構造が軟にならないようにそのあたりはヒロセ君がガッチリ組んでくれています。
シナって言うと合板が浮かんでしまうのですが、無垢の表情はもう少しおとなしくて色も少し鮮やかなものが多くて美しいです。
ただやっぱり柔らかいので、自宅の引き戸の手を掛けて使う部分なんかはいつの間にか角が丸くなってきちゃっているし、ぶつけるとへこみやすかったりするのですが、それよりも表情が良くてね。美しい木です。
2022.08.29
福原さんから相談頂いたYさんの設置工事がようやく完了。
真っ白に見えなくもないですが、全体的にグレー掛かったホワイト色で、壁も家具も塗装しています。とても落ち着いた空間。真っ白だと目に鮮やかすぎて疲れるかもしれませんが、このくらいの印象は優しい。
コンクリート造の築40年んの集合住宅でのリノベーションということでミリ単位の納まりがとても厳しい現場ですが、キッチンの制作となると、工事の着工とほぼ同時期くらいに制作に取り掛からないと工期に間に合わないので、どうしても現場に合わせるというよりは図面に合わせた制作になるものですから現場との数ミリの誤差は必ず出てしまうところであります。
そうなった時にその逃げの部分を前向きに考えるか後ろ向きに考えるかはその人次第なのですが、福原さんのこういう時の感覚がとてもすてきな不思議で。
「うん、この隙間はいいよね。壁がきちんと表現されている。」
一部想定外で隙間が大きくなってしまった部分を補修する際にも、
「ここは均質な状態に見せたいからフラットに塗ってもらいたいかな。でもここも平らに見せちゃうとのっぺりするだろうから、ここは隙間を埋めてほしいけれどもなるべく奥のほうで埋めてほしいかな。」
自分だったらここものっぺりさせちゃうところでしたが、こういう感覚はすごいなあと、知り合って24年(かな。)経つ人ですが、あらためてステキで不思議だなあと思わせてくれるのです。
来年も一緒にお仕事をさせて頂く予定で、いつもながらのシビアな形作りにドキドキしながらも楽しみにしております。
2022.08.26
建築設計の仕事をされているMさんのご自宅兼アトリエにアイランドキッチンとバックカウンター(食器棚)を作らせて頂きました。
キッチンのデザインと設計はもちろんMさんが考えたもので、私はそれを実現できるように納まりを考えて作業を進めていったのでした。
キッチンの食洗機の納まりやコンセントの納まり、リビング側の引き戸の納め方(私が考えるといつも偶数枚にしてしまうので、今回とても勉強になりました。)、バックカウンターの引き出しの手掛けの見せ方など勉強になることが多いです。
こうして建築設計のお仕事をされている方々から直接キッチンのオーダーを頂く機会が多くなっていて、皆さんそれぞれ個性的な納まりを考えてくださるので私の引き出しは増えていくのですが、実際は毎日アキコと一緒に晩酌しているせいで、増えているのは私のお腹まわりだったりするのです。
夜が少し涼しくなりましたね。
2022.08.23
仕事の関係で自宅をずっと人に貸していて、このたび自宅に戻ることになったのできれいに直したいというKさんの依頼を建築設計の仕事をされているMさんからメールでご相談を頂きまして、築17年経つマンションでお仕事をさせて頂きました。
今回はオーダーキッチンを新たに作るというのではなく、今あるキッチンや洗面台の傷んだ部分をオーバーホールする形でリノベーションしましょうということで進んだ今回のお話。
文章で読むと、すべてを作り直すよりも今あるものを生かすほうが簡単に思えたりするのですが、実際は今あるものに合わせて、新しい形をはめ込んでいく作業は真っ白なパズルを組み立てていくかのように大変な部分があって、取り掛かってみないと分からないことも多かったりします。
内装を手掛けてくださったのはいつもの心強いkotiの伊藤さん。
今回は、伊藤さん、私たち、初対面の石屋さんの三者共同のリノベーション。
私たちの作業としては、キッチンは汚れた扉や引き出しの前板をオフホワイトの鏡面仕上げで再塗装して、ガスコンロからミーレのIHに交換して、グリルがあった部分は共材で塞いで、食洗機もリンナイの物からミーレに交換。
洗面室は扉の木口の接着剤が劣化して剥がれている部分を再接着。のつもりが軽く触るとどんどん剥がれてしまう部分が多かったので、急きょきれいに剥がして木口だけ再塗装。
もともとAEGの洗濯機が入っていたところには、今の自宅で使っているという少し大きめのドラム式の洗濯機をいれるということで、洗濯機の上に渡されていたコーリアンの天板をカットして、その隣のキャビネットを幅を狭くしたものを新設して、どうにか完了。
工房ですべて組み上げて完成の様子が分かるいつもの家具作りと違って、現場で試行錯誤しながら組み立てていくというのは、やはり大変な作業。
でも今まで傷んでいたものがきれいになって気持ちよく使えるのは、とても気分のよいこと。長く使ってゆけるものを長く使えるように整えてあげられるというのはとても良いことで、反面、新しくすることで暮らしかたや気持ちの持ちようが大きく豊かに変わるのなら新しくすることも大事なこと。
その選択のバランスというか、選択肢が、以前の習慣のように何もかも新しくしましょうという考えだけではなく、こういう方法で長く使うことができるという筋道が見えることで、いろいろな暮らしかたを考えてゆけるのですから、大変な作業ではありますが、とても気持ちのよい仕事でもあるのです。
2022.08.22
代々、工房には猫が居りましたし今はアイも居ることなので遠くへ行くことは難しいのですが、「年に一度は一泊だけ良いものを見に行きましょう。」と家族みんなで話していて、子供たちのリクエストというよりは私とアキコの興味を惹かれる場所にポツポツと出掛けるのです。
昨年はザ・プリンス箱根芦ノ湖へ。
昔のすてきな建物に泊まる楽しさを知ってしまったものですから今年はどこに矢印が向くだろうか、と思っていたら、アキコが「大谷石資料館」を見てみたいと、以前から言っていたのを機に、では栃木県へ向かいましょう。ということで、この週末を利用して行ってまいりました。
バイバイ、アイとメダカ氏とタニィ。
やはり体感できるって素晴らしいですことです。
石を切り出すというもの作りの困難さ、そして、最近打ち合わせの電車内で読んでいた谷崎潤一郎の「陰翳礼讃」を一言ずつになるほど、などと思っていた矢先でしたので、(こういうことを言うと大変失礼なのですが)あまりの絢爛さに食傷気味に感じてしまった東照宮の光と影。そして優しい光と時間が天井を照らしていた念願だった金谷ホテルの色と空気の中で休ませてもらって、そして一度見て見たかった中禅寺湖畔に建つ英国大使館別荘とイタリア大使館別荘。
そこに暮らしていた人たちの温かさに触れられたり、その土台を作り出す苦労の一端を知ることができたり、ととても興味深い二日間でした。
私たちの作る家具にその豊かさやうれしさを込められるように頑張っていきたいと思うのです。
2022.08.19
ダイニングテーブルは毎年メンテナンスしているのですが、
子供机は、勝手に物を動かすと嫌がられるのでしていません。子供達は習字やお絵かきなどの水を使った時とかしか拭いていないと思います。普段は消しゴムのカスなどのゴミを集めて捨てているだけでしょう。
2016年に制作して使い始めた2人の机。
ハルはナラ材、
チイはセン材のもの。
一度、2020年の5月にメンテナンスをしましたが、部屋の間仕切りを作るこのタイミングで、メンテナンスをすることにしました。
写真の通り、2人共がっつり汚れていました。
勉強・メイク・お絵描き・習字など、様々な汚れがついていました。
よく絵を描くようになったチイの机の汚れが手強かったです。
時々マンガブラックというインクを使うようになったのですが、除光液で落ちるのですが、うまく拭き取らないと伸びてすぐ乾いて、黒ずみが木目にはいってしまい落ちづらくなってしまっていました。
この机は無垢材を剥ぎ合わせたオイル塗装の机です。
作業としては、
まず固く絞った雑巾でゴシゴシ拭きます。
次に汚れた部分にセスキ炭酸ソーダ水を吹きかけ、ゴシゴシ拭きます。
次に、紙やすりで磨いていきます。
3Mのサンドペーパーで、100番→180番→240番→400番の順でかけていきました。
出てきた木の粉をクリーナーで吸い取り、
蜜蝋ワックスを塗り込み、
ベタつきがなくなるまで拭き取って終了です。
完全にきれいにはできませんでしたが、見た目が整ったのでよかったです。
「志望校に受かりますように。」と念を込めて作業をすると力が入りやすいと思います。
作業の都合で、先ほどの写真と反対側から撮りました。分かりづらくなってすみません。
次はどのタイミングになるかはわかりませんが、
あまりにも黒ずみがひどかったら、鉋がけなど考えなくてはいけないなと思っています。
メンテナンスセット(セスキ炭酸ソーダ水・紙やすり・蜜蝋ワックス)を揃えておくと、気づいた時にすぐできるのでよいと思います。
※メンテナンスは、その家具を購入したお店に方法をご確認の上行ってください。
フリーハンドイマイでお求めになった方で、無垢材オイル塗装仕上げのお客様は同じ方法で行えます。その他の仕上げのお客様は確認いたしますので、メールにてお問合せください。
よろしくお願い致します。
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