2016.07.21
「ナラ板目材とステンレスバイブレーションのオーダーキッチン」
武蔵小金井 M様
design:Mさん
planning:Mさん/daisuke imai
producer:yasukazu kanai
painting:haraki tosou

「じゃあ、せっかくなので、お二人がキッチンに立ち様子を写真に撮らせてください。」と言って、お茶を用意してくださっているところをパチリ。ご主人のシャツの片方がめくれあがっているのは、マトリョーシカがちょうど隠してくれました。
「実はあの時に、偶然お父様が工房に立ち寄らなかったら、今の話はなかったかもしれませんね。(笑)」とMさん。
「私たちは、いろんなところに出掛けるのが好きでね。」とキッチンに並ぶお猪口たちを見つめます。
「このお猪口たちもいろんなところに出掛けて作家さんにお話しして一つずつ気に入ったものを集めてきたのです。そう、それで、私たちは時々出掛ける北欧家具のお店があるのです。それが伊勢原にあるtaroさんという北欧のヴィンテージ家具を扱っているお店に出掛けていたのです。」
「あ、知っています。私も行ってみたいなって思っていました。うちからも近いですし。」
「そう、taroさんのところに行った後に、そういえば興味があるキッチンを作っている工房があるなって思ったのです。この武蔵野からだと、神奈川県の真ん中あたりに出掛けるのってちょっとした小旅行なのです。だから、いくつかいろんなところを回りたいなって気持ちがあって。でも、イマイさんのところは特にきちんと予定していなかったから、もしかしたらキッチンが見られるかも、っていうくらいの気持ちだったのです。」
「それで、ちょうど工房の前を通りかかって、工房をそれとなくのぞいていたんです。でも、お休みのようで誰もいらっしゃらなかった。」
「すみません、私は打ち合わせでその週末も出掛けてしまっていまして・・。」
「そうしたら、偶然イマイさんのお父様が通りかかったのです。「良かったら見ていってください。」そう言ってくださって、それでお邪魔させて頂いたのです。でも、お父様はもう現役ではなかったですものね。だから、キッチンんとお話をするよりはもっと別の話をしてとても惹かれたのです。それは、私が設計したレコーダーをお父様が持っていたのです。」
なるほど。面白いなあ。
父は昔からずっと家具だけではなく音楽に携わっていますので、いろんなところでつながりが生まれるのですね。
そのような感じで、Mさんとのお付き合いが始まりました。

パントリーからキッチンの見た時の様子。

アイランドキッチンは四方から物がしまえるようなデザインで、ぐるりと歩いていると楽しいキッチン、という印象になっていました。Mさんらしい。

冬に伺った時の写真。玉川上水の樹々は葉を落として向こうの空が高く見えます。
そのようにしてMさんには、キッチン以外でとても勉強になるお話を戴きました。
「そうですね、いくつか予定を立ててぐるりと回りたいって気持ちわかります。」
「うん、私たちもtaroさんのほうに出掛ける時は、1日使って、taroさんに行ったあとに、伊勢原の農協に行って野菜を見せてもらって、そのあとに鶴巻のほうでお風呂に入って、のんびりしてから帰ってきたりすることもありました。やはりその土地に出掛けるからにはその土地を楽しみたいなって思っています。
イマイさんの工房の近くも田畑が多くて、なかなか魅力的です。周りにもっと立ち寄れるところがあると良いのですよね。」
「それは私も常々思っています。倉見と言う町は、特に大きく目立ったお店が少なくて、よく工房を見に食てくださったみなさんに、帰り際に「どこかで美味しく食事をとれるところがありますか。」って聞かれるのです。でも、なかなかこれっていう場所がなくて・・。最近はようやく新しい家々も建ち始めて、少しだけ魅力的なお店もでき始めているのですが、私たち自身がまだ横につながっていなくて・・。
例えば、最近はクラフト市っていろいろなところで開催されていますよね。それを父も企画するのですが、なかなか小さな町のお祭りの印象から抜け出せなくて・・。」
「なるほど、私が思うには、やっぱり1日かけて遊びたい、と言うか、その町でぐるりとしたいわけです。別に1か所にとどまらなくても良いのです。たとえば、○○で美味しいご飯が食べれてそこから、歩いて少し歩いて行くと○○のお店があって、さらには家具の相談だったら、そこから車でちょっとでイマイさんのところがある。ひと休みしたかったら、そこから車でちょっと走ると温泉があって、ごろりとひと眠りできる。」
「やっぱり温泉なのね。(笑)」と奥様。
「うん、やっぱり出かけたらお風呂に入ってさっぱりしたいじゃないですか。(笑)だから1日かけて街を周遊できるようになったらその街の魅力はぐんと上がるんじゃないでしょうか。」
おぉ、なるほど。楽しそう。
「今後の大きな課題ができました。頑張ります!」
そのような感じで、大変勉強になったMさんとの打ち合わせだったのです。

いつか食器洗浄機を入れる場所は今はこのように使ってくださっています。
玉川上水沿いに新しく家を建てることになって、その家に私たちのキッチンを迎えたい、そういう夢をお二人はお話ししてくださったのです。
そして、どうやら今回のキッチンは奥様の思いももちろんですが、ご主人の熱情のほうが強いみたい。
頂いたスケッチ(ご主人作)を見るとその気持ちが良く良く伝わってくるのでした。

ご主人が描いたスケッチ、その1。

ご主人が描いたスケッチ、その2。
私と年齢も近いMさんご夫婦。いろいろとざっくばらんにお話が出てきます。
今住まわれているアパートメントにもお邪魔させて頂き、何を必要として、何を必要としないかといろいろと見せて頂いたり、お持ちのラフな印象の家具たちも見せて頂いて、どんな暮らしを思い描くのかをいろいろとお話ししてくださいました。
また、ご新居を設計する建築士さんもMさんのご友人ということで、その家作りはどこか童心を感じさせる温かな気持ちのまま進んでいくのでした。
ハイランドデザイン 一級建築士事務所
https://www.highland-design.com/

ソフトクローズスライドレールを使った引き出し。引き出しの底につけるので、その分、引き出しの深さが取られてしまうのですが、開けた時の見た目はレールが見えなくてとてもすっきり。
建築士さんの高橋ご夫妻も交えて、キッチンの形も決まり、製作も順調に進みました。
確か最初に私たちのところにお立ち寄り頂いたのが1月、今はもう10月。秋ですね。
その秋が深まり始め、玉川上水や小金井公園の樹々も秋を迎え始めようとしている頃、いよいよ取付です。

こちらはアイランドキッチンのバルコニーに面した側。フキン掛けとカトラリーケースが置かれているのです。
ようやくキッチンを据えられるということで、現場に赴きましたが、大工さん作業の真っ最中。
この現場の様子を見て、「まだ時期的に取付は早かったのではないだろうか。」と思っていたのです。特アイランドキッチンを据えてしまうと、スペースが狭くなってしまうわけですから、他の業者さんの邪魔になっちゃうかもしれまません。
でも、そんなことはありませんでした。
大工さんの気配りでスペースを開けてくださって、足場を一部解体していよいよ搬入です。足場があるうちのほうが搬入は楽でしたし、バルコニーの手摺がついちゃうと、搬入がとても大変になっちゃう。そのような搬入のたびにあばらに手摺が食い込んで何度傷めたことか・・。
そのようなわけで搬入はスムーズに終わり、スペースも開けて頂けたおかげで取付もスムーズに完了。

こちらはアイランドキッチンのパントリー側。レシピ本が見やすく使いやすいようにこのように並んでいるのです。
途中に、Mさんやハイランドデザインの高橋さん夫妻も見に来て下さって、和気あいあいと作業は進むのでした。
こうして、ひとまずキャビネットを壁に設置する作業は完了して、ガスコンロなどの組み込む機器類も組み込んで、あとは壁が仕上がって機器のつなぎが終わったら仕上げに引き出しなども持ってきて完了。
なかなか大きなキッチンでしたが、皆さんのおかげでスムーズに設置ができてひと安心。

こちらはアイランドキッチンのダイニング側。このオープンスペースがあると、キッチンがより家具らしい印象になってきますね。
そして、無事残りの工事も完了して、お引き渡しのあとにあらためてMさんを訪ねたのでした。
「イマイさん、このたびはお世話になりました。おかげでとても素敵なキッチンになりました。」
そうご挨拶頂いて、2階のリビングへとお邪魔させて頂きました。
わぁ、懐かしい。それが第一印象。
どこが懐かしいのか具体的には説明しづらいのですが、そう、玉川上水を挟んで向かいにある小金井公園の中の「江戸東京たてもの園」の中にある近代建築の中に足を踏み入れた時のような印象。

こちらがご主人が熱望していたアガチス材で作ったお猪口を並べるケース。中にポンと置かれているので、引っ張り出して飾り棚のようにして使うこともできるのです。
細いサッシの向こうに見える色づいた樹々。手前でキラキラ黒光りするタイルと、質素(と言っていいのか、シンプルと言えばよいか)な木柄のキッチン。建具もどこか懐かしい表情。
どっか懐かしくて温かい広間だったのです。
「本当はイマイさんにはダイニングテーブルが届いてここが整ってからいらして頂きたかったのですが、まずはこの状態も見てもらいたかったし。来て頂いてありがとうございます。」
「こちらこそ、こんなにすてきに使ってくださってありがとうございます。そして、この抜けた印象、すごく気持ち良いですね。」
「うん、当初は窓をこれほど大きくするつもりもなかったのですが、高橋さんがこの印象は必ず実現させたいって言っていたので。どんなふうになるかなって楽しみだったのですが、緑がきちんときれいに入り込んでくる野はやはり窓を大きくして正解だったかな。」
「はい、まるで公園の木がMさんのところに挨拶してくれているみたいで、気持ちが良い景色です。」

「一つずつ作家さんのお話を聞いて集めてきた器で、どれも気に入っています。」と言いながら、それぞれのエピソードをうれしそうにお話ししてくださいました。器がただの器ではなく、その人にとって大きな存在となるとはこういうことなのですね。
「そうですね、まだダイニングテーブルが届いた頃に遊びにいらして下さいね。」
そうにこやかにおっしゃってくださったMさんご夫婦の後ろの樹々はもうすぐ紅葉する頃でした。
四季が目の前きちんと移り変わる様子が分かるって良いなあ。

タイルとキッチンのバランスがとても美しく、メリハリのある空間になっています。

引き出しの様子。

こちらのコンロ側の引き出しは、Mさんの希望で、この出っ張った手掛けにしています。シンク側は濡れた手で触っても良いようにステンレスのハンドルをつけていて、そのメリハリも面白い。

調味料用の引き出しは今回は専用の金属製のものを採用。

コンロの下には、いつものお馴染のスライドワイヤーシェルフ。引っ張り出せて、さらには汚れたら簡単に取り外して洗えるところが良いところ。

こちらもMさんが強く希望していたいろいろなパンたちの収納。以前に「手ぶくろのような温かさ」の鵠沼のOさんのところで作ってから評判の良い収納方法なのです。

そpして、もう一つ強く希望されていた大きなお皿を立ててしまうための引き出し。おぉ、贅沢な収納方法だ。でもこれがとても使いやすいのです。

2階から見下ろすとこのような感じ。今回のステンレスは、表面に丸い弧を描くように模様をつけるバイブレーション仕上げ。ヘアラインよりもより光沢が抑えられて、しっとりした印象になっています。

引いて撮る。

シンク側の収納はシンプル。シンク下はオープンにしておいてゴミ箱を置くスペースに。その隣は食器洗浄機(予定)のスペースと4段の引き出しのみ。

キッチンを考えるにあたって一番の参考になったという「木漏れ日の家」の稲城のUさんのキッチン。そのキッチンの印象が好きで、今回天板がキャビネットから浮いている印象にしましたし、この水栓も同じKAKUDAIのものを採用しているのです。そして、洗剤ポケットとバーがその奥に見えますね。

そして、水切りプレート。
キッチン仕上
天板 |
ステンレスバイブレーション |
扉・前板 |
ナラ板目突板練り付け |
本体外側 |
ナラ板目突板練り付け |
本体内側 |
ポリエステル化粧板「ホワイト」 |
塗装 |
ウレタンクリア塗装ツヤ消し仕上げ |
ナラ板目材とステンレスバイブレーションのシンク側アイランドキッチン
価格:940,000円(制作費・塗装費、設備機器は別途)
ナラ板目材とステンレスバイブレーションのコンロ側壁付けキッチン
価格:770,000円(制作費・塗装費、設備機器は別途)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は50,000円から、取付施工費は160,000円から)
2016.07.30



午後からは内田雄介さんにお声掛け頂いて、先日モダンリビング賞!を頂いたZさんのキッチンの写真を撮らせて頂きにお邪魔してきました。
お引き渡しから半年ほど経ってしまいましたがようやくその使っている様子を見させて頂くことができました。うれしい!
オイル塗装は奥様が、壁の塗装はご主人が、という自分たちで作り上げたこの空間は、内田さんの設計した空気とそこかしこにとても気持ち良く混じり合っていてとても優しい印象。
あらためてオイル塗装やステンレスの天板のお手入れの仕方などをご説明させて頂き、この後もZさんご家族の手で、より気持ち良く磨かれたキッチンになっていくのだなあとしみじみ思ったのでした。
ありがとうございました。
また、時間を作ってお邪魔させて頂きます。
2016.07.30
梅雨明け最初の週末で、海へと続く道の途中にあるNさんの家の前の通りはきっと行楽の人たちで賑わってしまうだろうから、手早く荷揚げしないといけない、という不安は当たることなく静かな土曜日の朝がそこにはありました。
それなのに、荷揚げ前からすでに汗がにじんでおりましたので、これ以上ポタポタしないように手早く行動。
万が一階段から入らない場合は、バルコニーから揚げようと覚悟しておりましたが、どうにか汗もポタポタすることなく、家具も無事搬入できました。
まだ小さなお兄ちゃん、そしてこれから生まれてくる赤ちゃんがキッチンでいたずらしないようにと、ちょうど良い位置を決めたところで、私は先に会社に戻らせて頂きました。
「次はこのおなかの子が生まれて暮らしが落ち着いたら、ぜひ写真を撮りにいらして下さいね。」
ぜひ、お邪魔させて頂きます。
その時を楽しみにしております!
2016.07.28


ご新居の工事のさなかに、大病を患って入院されたご主人。何があったのだろう・・、となかなか奥様にもお声掛けできずにおりましたが、ようやくご挨拶にお伺いする機会ができました。
昨年の暮れにお会いした時はふっくら(笑)していらっしゃった体がスマートになられて、食事も運動もきちんと取る生活をされていて、自宅療養しているというご主人は思いっきり主夫として頑張っていらっしゃったのでした。
「妻には申し訳なくて・・。だからできることは自分でやらないとね。でもいよいよ来月から仕事復帰です。」と晴れやかな笑顔。
とても助かりにくい病気から戻った方とは思えないくらい!
気づきにくいことですが、やはりきちんと毎日が無事に気分良く過ごせることが一番ありがたいことなのですね。
また、次にお会いできる時を楽しみにしております。
ごきげんよう!
2016.07.27

KUMA鍛鉄工房の熊田さんにまた新たにツマミを作って頂いたのです。節アリのナラ材でテレエビボードを作っているのですが、その形に似合うようなシンプルだけれどどこか手の跡が残る表情のものを使ってみたかったのです。
お施主様は気に入って頂けるかどうか。設計事務所さんからのお仕事で、「お客様からお任せしますと言って頂けたので。」と言われているのですが、いつもは皆さんのイメージを形にすることがお仕事ですが、こういった自分で自分の形を決めるのはなかなか不慣れで。
気に入ってもらえたらうれしいなあ。
2016.07.25
国際連合大学前で開催されるマーケットにかなぐやさんが出展されるというお話を、先日キッチンを作らせて頂いたお客様でもあるHさん(Hさんとかなぐやのオーナーの太田さんは同級生)から聞きまして、ぜひあらためて拝見したいと思いまして、アキコと一緒にチアキを連れて出掛けてきたのです。ハルカはお友達とお祭りへ。
やはり美しいです。
これから家具に取り入れていきたいかたちでした。ご一緒にいらっしゃったガラス作家の丸岡さんにもすてきなお話を聞かせて頂いて。私の知っているガラスだけじゃなくもっといろいろな見せ方があって、ガラスの可能性ってもっといろいろありそうってワクワクさせてもらいました。
そのあともSIWAさん、工芸青花さんなどワクワクするようなクラフトマーケットと、フレッシュな野菜やスパイスが並ぶフードマーケットが魅力的に隣り合うこの広場。久しぶりにお店を出す側ではなく見る側として楽しませてもらいました。
「お姉ちゃんも来てたらきっと楽しめたのにね。」
「チィちゃん、お姉ちゃんと来たかった?」
帰りにフリッツハンセンさんのお店にご挨拶させて頂き、ケアホルムのおそろしく力強いデザインのテーブルたちをまじまじと拝見させて頂き、いろいろと勉強になった1日だったのです。
そして、夕方からはえびな市民まつりへ。
先に出掛けたハルカと待ち合わせるも友達を見つけてはすぐに飛び出していってしまう。
だんだんと自分たちよりも友人と過ごす時間が長くなっていくのでしょう。
自分たちはいつまでもハルカも一緒に、って思っていても、彼女は彼女の時間があって。
何となく自分がぎこちなくなって淋しいなって思う時も出てくるのでしょう。
「いつかきっと君も恋におちるだろう つないだお手々を振り払うように」
くるりがそう言っていました。
2016.07.23
今日は、カナイ君とノガミ君に浦和のSさんのところまで出掛けてもらい、依頼されていた吊戸棚を設置してきました。
なかなか作る機会のないアウトセットの引き戸で、さらにそのパーツもオリジナルで製作。
塗装後もとてもスムーズに動いてきちんと止まるし、引き戸用のレールにアルミのパーツを使わないで、ナラ材そのままで仕上げる形にしましたのでとても良い印象です。
とても良い勉強になった今回の形。今後の家具作りに生かしてゆけたらもっと形の幅が広がるよね。楽しみです。
Sさん、今日はありがとうございました。
2016.07.21


クルミを使ったラウンドテーブルのご依頼を頂いていたのです。今回はいつもよりも少し小ぶりな1,100mmのサイズで。クルミ特有の少しラフな表情とアイアンと言う組み合わせでも、良い感じに上品にまとめることができました。
このテーブルは、はるか遠くの大阪松原市のKさんのもとに行くのです。
いってらっしゃい。
2016.07.21
緑に囲まれた気持ちの良い土地に建つお二人の作ったメロディのような家、Mさんの製作例と、
懐かしい形のマンションの一室を住む人の色で見事に彩ることができたYさんの製作例と、
乾いた心地良い風が吹き抜けるスタジオのようなリビングでお料理教室を始めるMさんのために作ったキッチンの製作例の3つを掲載しました。
もし、よろしければご覧になってください。
2016.07.21
「ナラ節アリ材とコーリアンのオーダーキッチン」
鵠沼 M様
design:Mさん
planning:daisuke imai
producer:kouhei kobayashi
painting:kouhei kobayashi

リビングからキッチンを見た様子。
節のあるナラ材と人工大理石の組み合わせのキッチンか・・。どんな感じになるのだろう。
Mさんとお話を進めていくにつれて、まとまってきた素材の印象。今までにない形になりそうでしたので、楽しみであると同時に不安でもあったのでした。

キッチンに立って見た時の様子。
「はじめまして。WEBで拝見し初めてメールさせていただきます。
現在、横浜市港南区で賃貸マンションに住んでおりますが湘南地域あたりで戸建住宅を検討しています。
とは言いましても、まだ検討し始めたばかりで、土地から探して新築を建てるか、中古物件を購入してリノベーションするか、ハウスメーカーにするか、建築事務所を探すかさえも決まっていません。
ただ、キッチンだけはどうしてもこだわりがあってオーダーキッチンにしたいと考えています。
いずれは、料理教室ができたらいいなと思っていますので、キッチンと同じ材質の6人掛け程度のテーブルも検討しています。
製作例を何度も拝見して、とても素敵で理想的なキッチンがたくさんあってカタログをお送りいただければと思いご連絡させていただきました。
どうぞよろしくお願いいたします。」

ダイニング側から見た時の様子。
そのキッチンカタログは、みなさんにお渡ししております。
ここから近くに住んでいらっしゃる方でも、北海道や沖縄など私たちが実際にキッチンを作って届けることができない地域の皆様にも今後の参考になれば良いなと思って。

ガスコンロはリンナイのデリシア。
どのあたりの地域まで対応するのですか、ってよく聞かれるのですが、それは私たちが通える距離がひとつの基準になります。
キッチンも家具もやっぱり道具なのです。使っていればくたびれるし、それ以上になると壊れちゃうことだってあります。ついた汚れが落ちづらかったり、木の表面がガサガサになることもあります。
そうなった時に、「じゃあ、今度お伺いしますね。」って言って気軽に伺える距離でなくてはいけないなぁと思っているのです。
うちのキッチンは絶対に壊れないし、新しいままでずっと使い続けられますっていうものではありませんので。(笑)

今回、シンク下は、ゴミ箱1台が置けるスペースを設けて、他はこのように収納にしています。スライドテーブルにして、奥のものも引き出して取り出せるように工夫しているのです。
そうなった時に、交通費がたくさん掛かって、修理費用が大きくなっちゃったら、私たちにとっても大変ですし、使う人にとってはもっと大変なことです。
工務店さんが地元に根付いて仕事をしているように、家具も本来は自転車でみんなのおうちに通えるくらいの距離感だったら、すごく良いのでしょうけれどなかなかそうはいきません。
だから、私たちが車で3~4時間くらいで通える距離までがとても良い距離だと感じているのです。
それ以上遠くになってしまう皆様には、このカタログを参考にして頂いてお近くの家具屋さんを訪ねてもらえるとうれしいなと思っているのです。

アイランドキッチンやペニンシュラキッチンには、ほぼ必ずつけている家電のためのコンセント。JIMBOのNKシリーズを使うことが多く、今回はコーリアンのカウンターに合わせてホワイトカラー。
そして、Mさんのご新居を建てる場所は藤沢ということで、私たちの工房の近くになります。このくらいの距離だと何かあってもすぐに駆け付けられますね。さっそく準備をしてカタログをお送りしました。

こちらはパッと見ると何だか分からない部分。実はワイングラスなどの背の高いものをしまうための深い大きな2杯の引き出しなのです。
それから、4か月後・・。
「カタログをお送り頂いてから随分と時間が経ちましたが、できましたら一度お伺いして見積もりをお願いしたいと思っています。
先日、土地の契約決済が終わり、工務店も決まり、設計もだんだん現実的になっている状態です。
メーカーのシステムキッチンも色々と検討したのですが、やはり何だか違う。。。感じです。」
と言うメールを頂いたのでした。
計画は未定ということだったので、カタログをお送りしたまでで、いつかお声掛け頂けたらうれしいなあと何となしに考えていたのですが、これほど早くお声掛け頂けるとは、大変ありがたく思っております。

水栓は、LIXILのナビッシュを採用。シンクは、吉本産業のハイパーシンクと言う人工大理石のシンクをデュポンのコーリアンカウンターとシームレスにくっつけてスッキリと仕上げています。
そして、さっそくMさんがこちらにいらして頂けることになったのでした。
いろいろとお話を聞かせて頂くと、Mさんはどこか乾いた風が吹き抜けるような印象のキッチンをイメージされていたのです。
キッチンの木目は塗りつぶして使っているうちに色褪せていく感じ。なかなか良い印象です。
それがお話を重ねるうちに、ペンキ仕上げから節のあるナラ材を使う形に、イメージが変わっていきました。そこに人工大理石の天板を載せて。
どんな形になるか楽しみではありますが、不安ももちろんありました。

食器洗浄機はガゲナウ社の製品。
節アリ材を使うということは、突き板ではなかなか表現できないものなので、無垢材を主に使った形でキッチンを作っていくのですが、無垢材ですからもちろん木は動きます。
特にこの湘南地域は、みなさんが思っている以上に湿度が高い地域です。
今までも梅雨の時期になるといつの間にか扉の表面がうっすらと白くなっていて何かと思って拭き取ってみるとカビだったり、家を建築しているそばから家の角が黒ずんできたり、パネルが思っている以上に伸びてしまってカウンターを押し戻して変形させてしまったり、と言うお話を頂いていろいろ頭を悩ませることが多かったのです。
Mさんのところでは、大きな扉は大きく動いてしまう可能性があるので、表と裏に厚み5mmくらいの無垢を使って内部に合板を使うハイブリッドな作りにしたのですが、あとの引き出しの前板やキャビネットの外部はほぼ無垢材。動かないといいな。

引き出しの様子。ハンドルはKAWAJUNのアルミに黒塗装してあるすっきりとしたタイプのものを採用。

スライドレールは底付けのソフトクローズレールを採用。レールが見えないので、引き出した時の印象がとてもすっきりです。
さいわい、Mさんの家は川からは近かったのですが、海から少し離れていたことと、風通しの良い間取りだったこともあって大きな動きが出ることなくお引き渡しすることができたのでした。
それも、今回初めてお世話になったビルダーであるハウスゼロさんの考えた気持ちの良い間取りが良い結果を生んでくれたのだと思います。適度に乾いた風が抜けるこの場所に立つとホッと安心したのでした。

お料理教室をするので、もちろんガスオーブンも導入。コンロもオーブンもリンナイと同一メーカーじゃないと組み込めないので、コンビネーションオーブンの導入したい方はご注意くださいね。
そのハウスゼロのオーナーの大浦さんは、その風貌もそうですが、どちらかというと建築士さんというよりは親方という感じ。(笑)
最初に現場で打ち合わせた時も墨つぼで床に住み出ししてくれた姿は、まさに親方。
私はいつも初めてお会いするビルダーさんたちが多いので、いつも最初のご挨拶の時は何となく身構えてしまうことが多いのですが、大浦さんのオープンな印象はとても頼もしく、各業者さんとの連携もうまく取ってくださってとても気持ちよくお仕事をさせていただくことができたのでした。
株式会社 Houseゼロ
http://www.house-zero.com/

コンロの隣は調味料用の引き出しとボトル用の引き出し。
お引き渡し後、しばらくしましてから、Mさんのキッチンの様子を見せていただきにお邪魔致しました。
「イマイさん、私また仕事を復帰するので、もう少し落ち着いたら教室を始める準備をしたいと思います。その時はまたお声かけしますので遊びにいらしてくださいね。」とおっしゃっていたのですが、時間が経つのは早いものです。
いつの間にかその教室がオープンしていたのです。

ちょっと納まりが難しかった部分。コンロの左隣にこのようにパンたちをしまうための棚を細か打入れたスペースが下半分にあって、上半分はシンク側から使える引き出しになっているのです。このあたりが組み立て方の構造上、もっとも木が動くかもなあ、とちょっと心配。
「ご無沙汰しております。
ゴールデンウィークも終わり、日中はすっかり夏の日差しですね。そろそろワンコの散歩も厳しい今日この頃です。時々、今井さんのFacebookに登場する素敵なキッチン達を拝見していますが他人事ながら何だかワクワクします。
自分もあんな素敵なキッチンを作っていただいておきながらまた新しいのを見ると「いいないいな~」っと思うものです(笑)
さて、恥ずかしながらご報告を。
自宅キッチンでの料理教室をOPENしました。まだまだ、お友達が生徒様っというレベルですが何とか頑張ってゆこうと思っております。
もし、機会があれば身にいらして下さいね。
よろしくお願いいたします。」
さてどんな教室になっているか今から楽しみです。実は今度お邪魔させていただくのです。
&mando
https://mand2016.jimdo.com/
お会いできるのを楽しみにしております。

リビング側の大きな扉を開けると、引き出しなどにはしまえない大型のものがたくさん入っています。ここは掃除しやすいように内部は白いポリエステル化粧板を使っています。ちなみにリビング側ということで、ハンドルなどをつけないですっ切る見えるように、プッシュ式の扉にしています。

背の高いワイングラスをしまう引き出し。
キッチン仕上
天板 |
人工大理石 デュポンコーリアン「グレイシアホワイト」、人工大理石シンク 吉本産業HS800 |
扉・前板 |
ナラ節アリ無垢材 |
本体外側 |
ナラ節アリ無垢材 |
本体内側 |
ポリエステル化粧板「ホワイト」 |
塗装 |
ワトコオイル塗装「ナチュラル」(Mさんが施工) |
ナラ節アリ材とコーリアンのアイランド型オーダーキッチン
費用につきましては、お問い合わせくださいませ。
2016.07.21
「ホワイトウレタン塗装とクルミの食器棚のオーダー」
高井戸 Y様
design:Yさん/daisuke imai
planning:daisuke imai
producer:yasukazu kanai
painting:harak tosou/yasukazu kanai

お茶の用意をしてくださるYさんをパチリ。今回は正面の収納と、ダイニングテーブル、そして、左に見える格子扉がある収納を作らせて頂きました。
「はじめまして。Yと申します。
壁面収納の設置を考えています。数年前まで兄弟で住んでいたマンションなのですが、現在は一人暮らしで、これから少しずつ家具も自分の好みに変更していこうと思っているところです。
食器、台所回りのものを集めるのが趣味なのですが、食器が収まらなくなってきましたので、これを機にオーダーをと考えています。
チェリー材やクルミ材などは好きなのですが、壁面なのでホワイトにはしたいと思いますが、悩んではいます。
併せてダイニングテーブルもお願いできればと思っています。
製作例の中で気になるのが、大井のH邸の壁面収納です。テーブルは鉄脚の大和T邸のものが気になっています。
自分のイメージしているものが、自分の家に合うかどうかも含めまして一度ご相談に伺えたらと思っています。
平日は仕事もありますので、土日の相談が希望です。
宜しくお願いいたします。」
とYさんからメールを頂きました。

Yさんから頂いていたスケッチ。

最初の打ち合わせにいらして頂いた時にお話を進めながら決まっていった形。
一度いらして頂けるということでまずは土日の私の空いている日をお知らせして日程を決めさせて頂きました。
ここ寒川は、神奈川の真ん中あたりなのにJR相模線と言う1時間の数えるほどしか入っていない単線の通る静かな町。Yさんのお住まいは高井戸ですので、スムーズに乗り継いでもそれなりに時間が掛かっちゃうのです。表通りに看板も出していない一本入ったこの通りでも少しの人気があるのはこうして皆さんが訪ねてくださるおかげなのです。とてもうれしくありがたいことです。

廊下側からリビング全体を見ます。電話台がかなり重要なポイントになっていたのだなあとこの写真を見ると思うのです。

リビングから全体を見ます。奥の冷蔵庫があるスペースがキッチン。普通の3畳くらいのコンパクトなキッチンなのですが、Yさんの使いやすいようにレイアウトされていて、格好良いのです。
私たちのショールームは2階にあります。ショールームと言うよりは、私たちのキッチンやテーブルやテレビボードが置かれた展示室のような感じなのですが、工房が1階にあって外階段を上がって2階に辿り着くとこじんまりとしたショールームがあるのです。コツコツと階段を上がる音がしてしばらくして顔を見せてくださったのはYさん。こちらを除く姿を見てハッとするくらいおきれいな方で最初は女優さんかと思ってしまいました。(笑)

炊飯器をしまうワゴン。この写真だと分かりにくいのですが、ステンレスで作ったラインハンドルの表面を少し荒して、塗料が食いつくようにしてから白く塗っているのです。この表情が優しいのです。
そのYさんをお通しした先は、出入り猫たちの取りきれない毛がカーペットに残っていたり、ところどころ片付いていない部分もあったりして、何だか照れくさくなりながら打ち合わせが始まったのでした。

吊戸棚の中の様子。シナ合板無塗装のまま仕上げ。
最初に頂いていたスケッチを元にお話を進めます。
大井のHさんの家具をイメージされているということで、メールの文面にはホワイトにしたいと書かれていたのを見落として、すべて木で作るものだとばかり思っていたのですが、お話をしてみると、やはり白い印象を大きく持ってきたい、ということで白い色の中に木の色が差し込んでくる形で考えることになったのでした。
白い色と言うと思いつくのは、最も少しを抑えて考えると化粧板を使う形です。その次は白いペンキで塗って仕上げる形。ローラーで塗った時に出る特有の凹凸感はとても優しい感じに仕上がります。
そして、上品に仕上がる白く塗りつぶして、さらにウレタンクリアで仕上げる方法。
おおよそ、この3つの方法があります。

吊戸棚の上にも物が置けるようにしたのは正解でした。Yさんらしさが良く出ていますね。扉や引き出しはすべてプッシュして開けるタイプにしています。当初は引き出しだけ真鍮磨きのハンドルをつけたら良い印象になるかなと思っていたのですが、Yさんのイメージはすっきりとした印象。すべてプッシュ式にしたので、この家具がとてもさりげない全体像になったのです。
それぞれのメリットデメリット、コストのバランスなどをお伝えして、だんだんと形がまとまっていきます。
そうして、いろいろと悩んだ結果、白い部分はウレタン塗装で仕上げることにして、でもなるべくコストを抑えるために、扉や引き出しの前板と言った正面部分の意ウレタン塗装で仕上げて、キャビネットの周りは化粧板のままで進めることになりました。

こちらも梁いっぱいまで高さを上げるか迷ったのですが、このくらい空いていて奥行感が出るほうが良いかな。
それでは、木部にはどの樹種を使用しようかと言うところで、またいろいろと悩みます。
私たちのショールームには、大きなダイニングテーブルが2台ありまして、1台は1800mmの長さがあるナラ柾のテーブルで、もう1台は長さ1500mmの長さの標準的なサイズのクルミ板目のテーブルがあります。
最近はクルミのテーブルで打ち合わせることが多く、その場でお話ししていると、そのクルミの表情が好きだ、と言うお客様が多いのです。
そのクルミのテーブルですが、実は水が染みて傷むとこうなるよっていうことが分かりやすいように無垢を桟積みしている時にできてしまった製品にできない材を材木屋さんから取り寄せてわざわざ天板に使ってみたのです。
でも、そのシミを含めてもクルミの表情が好きと言う方が多く、Yさんもクルミの色柄に魅かれた一人でした。
そのようなわけで、ウレタン塗装とクルミを生かした家具の形が大まかに決まったのです。

Yさんが最初からずっと言っていたのが、ダイニングテーブルと高さを合わせた位置に棚板を配置したいということでした。 すっきりです。
「先日はお忙しい中、お打ち合わせをの時間を作っていただきまして、ありがとうございました。
お話していく中で、イメージが少し形になっていくのがわくわくしてとても楽しかったです。思い切ってご相談に伺ってよかったと思っています。
図案楽しみにしています。
これからもよろしくお願いいたします。」

テーブルはシンプルな形で。天板だけ厚いほうが良いということで、40mmくらいの厚みに仕上げております。
そして、その後細かい部分について変更を重ねてようやく形が決まったところで一度お伺いすることに。
今回はご依頼頂いていたのは、メインがこの壁面収納。そして、じゅすを合わせてダイニングテーブルもご依頼頂いていたので、そのバランスがお部屋にうまく合うか、ということと設置場所の採寸や搬入経路(特にマンションということでしたので)をきちんと見ておかないといけません。
そして、到着したマンションはどこか懐かしい少し時間が経ったマンション。高井戸にこのような建物があったのだなあ。

壁面収納の右側の収納内部。扉を開けると可動棚が入っています。「やっとワイングラスをしまうところができました!」とYさん。
さっそくお邪魔させて頂くと、備え付けられている玄関の下駄箱や電話台(むかしのマンションにはよく電話台が備え付けられていましたね。)があります。
玄関はリビングから離れるので、今回は気にならなかったのですが、パッと思ったのがこの電話台でした。壁面収納をつける予定の壁は今は何もないすっきりとした壁なので、この空間にはよく合う家具になりそうでした。間取り上リビングもこじんまりしていましたがYさんのテイストでとても温かみのある印象にまとまっておりました。
キッチンは、独立したレイアウトでしたので、リビングからは目に入らず、実際その日にキッチンを見せて頂いたのですが、「ちょうど明日お花見があって、その準備をしていたのです。」というYさんのキッチンは、古い部分はありましたが、とても良く整理されて使い込まれていてさながら料理の先生のアトリエのよう。
「そうなんです。いつかここでそういう教室が開けたらすてきなだって夢見ているのです。」と楽しそうにお話しするYさん。
その日がいつ来るかな、とても楽しみです。

こちらが電話台。壁面収納と印象を合わせるために、クルミの天板を間につけることにして、その天板の高さを壁面収納と揃えることで、まとまりが出るようにしました。
ということでキッチンも魅力があるのに、電話台が気になる・・。どうしよう言おうかな・・。
設置場所の確認などが終わって、大方打ち合わせることも終わりつつある頃、やはりお伝えしました。
「ここに壁面収納が来るとそれはそれで良い印象になると思うのですが、この電話台が目に入るとちぐはぐな感じになってしまいそうで・・。」と。
その電話台は、かつて白かっただろう化粧板でできていて、多少扉もガタついておりました。天板はメラミンを曲げて作るポストフォームカウンターで、昔によく見た作りです。
「私もこれは気にはなっていたのですがどうしたら良いか分からなくて・・。」

格子扉を開けると、元々ついていたコンセントとインターホンが見えます。そして、ゴチャゴチャになりやすい通信機器類(ルーターやモデムなど)もここに置くことで配線などもすっきりさせることができました。
気になる部分が何点かありました。
電話台自体が傷んでいる様子と、その上についているインターホン。今よく見かけるようなタイプの液晶モニターがあるタイプではなく、壁掛けの電話のような感じで、こちらも時間が立って樹脂が黄ばんできていたのです。
どうにか壁面収納と合わせて整えられるようにしたいなあ。
デザインすることの面白さは、何でも自分の好き勝手に作るのではなく、いくつかの条件(使い勝手や、色柄の好みや、予算など)という制約があるか中で、その人にとって一番良い方法を見付けてあげられるかどうかです。
誰かが言っていました。「デザインすることは整えることだって。」私もそう思います。
電話代はそのまま白く新しくすることもできますが、それだけだと中途半端なまま終わってしまいそうです。
そこで、インターホンの音が聞こえて、さらに電話も中に隠せるように格子の扉をつけた形で天井までの収納にするのはいかがでしょう。そのようにお話をさせて頂いたのでした。
「大変お世話になっております。
図面と見積書拝見いたしました。電話台の収納も、もう今更取り付けないなんてそんなイメージは湧きません(笑)
素敵に仕上がりそうな感じですので、もうこのままのデザインでいいと思っております。
よろしくお願い致します。」
その他に細かい部分をあれこれ迷いながらもようやくYさんの形に辿り着くことができました。
ひと安心です。

こちらも元々Yさんご家族みなさんで使っていた座卓があったのですが、これがYさん一人でお住まいになると、重いし大きいし、使いにくいと感じていたのです。ただ、良いものでしてまだまだ使えそうでしたので、天板だけを活用して丸くカットし、脚は鉄工のタカハシさんに作ってもらいまして、この宇宙船のようなテーブルが完成。
そして、夏の納品に向けて製作を進めます。白い部分とクルミの組み合わせ、さらには電話台には白い格子扉が来るという、複雑な形ですが、カナイ君が黙々を進めてくれて、無事予定日までには完成。
取付も予想以上に時間がかかってしまいましたが、無事にきれいに設置も完了。
「先日は大変お世話になりました。
日曜日は大変暑い中の作業で大変だったと思うのですが、とても綺麗に設置していただきまして本当にありがとうございました。
自分の想像以上に素敵な空間になって、リビングに入るたびにテンションが上がってしまいます。日曜日は嬉しすぎて、近所の友人を早速招いて、夜まで呑みながらゆったり過ごしました。これからますます人を呼びたくなりそうです。
金額もそんなに安いものではなかったと思いますが、それ以上の満足感だったので改めて今井さんのところにお願いしてよかったです。製作、設置していただいたカナイさんにもよろしくお伝えください。
本当にありがとうございました。」
そしてその後、別のご相談も頂いておりましたのであらためてご挨拶に伺わせて頂くと、Yさんらしい色でしつらえられたリビングになっていて、その部屋の様子が見られてとてもうれしかったのです。
「設置していただいたリビングボードは元々そこにあったかのように馴染んでくれて、毎日座って眺めながらご飯を食べているのですよ。
あのあともたくさん友人や家族が遊びに来てくれるのですが、家具を作ってもらっただけなのにリフォームしたみたいってとても評判が良くて、ありがとうございます。
続いてのローテーブルの加工も楽しみにしていますね。」
と、うれしい感想と、おいしいイチジクのケーキ(だったかな。)まで頂いてしまいまして。
先日の取付の時も素敵なお昼ご飯をご馳走になって、このくらいすてきなお料理ができるのですから、教室を開かれる日も近いのでしょうか。
楽しみにしております、Yさん。
クルミとホワイト塗装のダイニングボード
価格:500,000円(制作費・塗装費)
格子扉の収納
価格:270,000円(制作費・塗装費)
クルミのダイニングテーブル
価格:240,000円(制作費・塗装費)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は30,000円から、取付施工費は70,000円から)
2016.07.19




今日は、細かいパーツを持ってHさんのところへ再び。
先日雨の中荷揚げしたお天気とは変わって、梅雨明け前なのに真夏のような暑さ。でも、公園の近くに建つこの家は気持ち良い風が吹き抜けるので、どこか心地良いのです。
木にとって湿気は侮れないですからね。
今までも、木が動きすぎちゃって、はめてあったガラスが勝手に割れちゃったことがあったり、木が伸びちゃって、カウンターを上に押し返しちゃったり、いろんなことがありました。
Hさんとそんなお話をしておりました。
無垢の表情は良いというのはもちろんでしょうけれど、成形されていないそのままの木ですから、刈り取って製材されたあとでも動くのです。昔の人々は、その動きを工夫して逃がしたり抑えたりしていました。今の人たちは新たな技術でその動き自体を無くしてしまうこともできるようになりました。どちらの方法にも良い悪いはないと思います。昔があったから今の技術ができあがったのだし、今の技術を知っているから昔に戻りたいと思う気持ちもあるわけだし。
本物とか偽物とか、良い悪いで分けられない奥深さが家具作りのそこかしこにあるのです。それが良いのです。
そして、先日お話しした、Hさんのお友達ということで今回取り入れたかなぐやさんのハンドル。美しいのです。
2016.07.12

細かいパーツを取り付けて、Hさんのお母さんのキッチンはやっと完了。
おばあちゃんの台所って感じが出ていて良い感じ。
2016.07.10
家族揃ってご飯が食べられる今日の晩御飯は、おとうさんのリクエストで鶏飯。大好きな奄美大島、また行きたいな。
2016.07.07
先日、納品した食器棚。
追加でオープン棚の部分にコボレ止めを取り付けてほしいということでお伺いしてまいりました。
はい、これで完成です。
最初は、家具を注文してくれたお客様だったKさん。その後、お付き合いしていく中で、お客様だった関係が私たちのアドバイザーになってくれたりと、一つのきっかけがとても豊かな関係に広がっていって。
とてもうれしいことです。
3年前に頼んでくださったちょっと変わった収納、そして今回のスリムな食器棚。
家具が私たちをつないでくれます。
それから、ちょっとさみしいお知らせ。
この食器棚でも使っているハンマーでたたいた模様のような揺らぎが特長的なハンマードグラスが今後は入手できなくなりそうです。
人気があったガラスなので、ちょっと残念ですが、この柄に負けないくらいの良い表情のガラスがもっとあるはず。
その時は皆さんと一緒に探しますね。
2016.07.05


夏から秋にかけての仕事が慌ただしくなってきまして、急きょ段取りを進めておきたい部分がありまして、柏のNさんの取付はカナイ君とコバヤシ君の二人に任せることに。
今回の食器棚はちょっと変わったかたちです。
当初は、キッチンの真向かいの壁に荻窪のYさんの形をイメージした食器棚を作らせて頂く形で考えていたのですが、お会いしてお話を進めていくと、ちょうどキッチンから外に出られる勝手口のような扉があって、その壁まで家具を添わせて作ることはできますか、と奥様から提案が出たのです。
もちろん、できますよ。
でも、ちょっと難しそうな形状ですね・・。
おそらくレンジフードのダクトの通り道になっていると思われる下がり梁によって天井の一部が変形していて、そこに合わせて高さの違う吊戸棚を付けなくてはいけないこと、カウンターもうまく壁に沿わせてなるべくシンプルな形で固定させなければいけない、といろいろと課題はありましたが、無事に取付が終わったということで、ホッとひと安心。
Nさん、またあらためてご挨拶にお伺いさせて頂ければと思います。
ありがとうございました。
2016.07.04
今日は、夕方から平成建設さんの現場に打ち合わせに。
沼津に新築されるYさんのご新居にシンプルだけど存在感のあるタモとステンレスを使ったキッチンを作らせて頂くのです。
だんだんと暖かな空気が肌にまとわりつく季節になってきましたが、この辺りは気持ちよく風が抜けるのです。
配管位置とタイルとの納まりを打ち合わせて、9月の設置工事に向けていよいよ動き出します。
昨日は、浦和のご実家から横浜の山手に越す予定のSさんのご実家まで打ち合わせに伺い、だんだんと遠いところから声が掛かる機会が増えてきました。
もし、私たちたちを必要としてくださるのでしたら、どこまでにゆきますよ。
でもね、本当は住んでいる近くに気に入った家具屋さんがあれば、その方にご依頼されるのが一番良いと思うのです。だって何かあったらすぐに来てくれますものね。
それでも、見つからない時はいつでも声を掛けてくださいね。
って言っていたら、大阪にお住いのKさんからお声掛け頂いたのです。
それほど遠距離でも頼んでくださるのだということに、大変ありがたく思っております。
Kさん金曜日お会いしましょう。
楽しみにしております。
2016.07.02



久しぶりに厚い板を使った全長2650mmほどの大きなテレビボードを作らせて頂きました。
Kさんから頂いたスケッチを元にできあがった形は、スケッチそのままの通りに仕上がりました。
汗が引かない初夏の好天に恵まれた今日、いよいよその納品でした。
奥様とまだまだ小さなお兄ちゃんは「おぉ。」と喜んで下さり、ご主人もにこやかに家具が設置されていくのを見守ってくださいました。
今回は、アメリカンチェリーの51mmの板を使って42mmの厚みに仕上げて、こげ茶のスピーカーネットと、グレースモークのアクリルがチェリーの色と良く対比していました。
他の樹々に比べて早く日焼けするチェリーは、この日当たりの良いリビングですからあっという間に対比が和らいでまた違った印象を見せてくれるはずです。
また、その時に見せて頂けるのを楽しみにしております。
ありがとうございました。
2016.07.02
「これすてきね。」「かっこいい。」
とマーケットでディスプレイに使っていると必ず声をかけられる銅製の匙。灰匙というものだそうです。
祖母が茶道・華道の師範の腕前を持つ方だったので、亡くなった時に形見分けをしてもらい、私たちの手元に来ました。
ずっと昔から道具として使われていたものが、今現在の感性にも響くものということが、とても素晴らしいことだなといつも感動するのです。これからもマーケットのお守りにしていきます。
そして、そのお守りの効果なのか、「いつか…」と描いたいた夢がひとつ叶う機会がやってきました。
ハンドメイド作品通販・販売サイト「Creema」さんが開催される「Creema ×ISETAN」に参加できることになりました❗️百貨店さんにいつか作品を置いてもらえる日が来たら…と思っていたのですが、ISETAN新宿店さんに置いていただけるなんて‼️本当に嬉しいのです。
9月7日から12日まで伊勢丹新宿店7F催事場にて開催されます。
皆さん是非遊びに来てくださいね。
そして、そのCreemaさんのアウトドア特集ページにiPhonestand「caracol」を取り上げていただいています。ありがとうございます。
http://www.creema.jp/exhibits/pickup/155
ぜひ、ご覧くださいね。