チェリーのキッチンにリノベーションしました

2020.11.10

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先日、ほぼ工事が終わって今日は棚板を付けたり、細かい部材を付けたりと3時間ほど作業をしてきて、これでKさんのキッチンリフォームはすべて完了。
ツーバイフォーなので間取りの変更は難しい。けれども明るくて緑が目に入ってくる柔らかなリビングの印象とは対照的に少しトーンが落ちた明るさで、蛍光灯をつけることでより冷たい印象になってしまうキッチンをどうにかリビングダイニングと一体感のある空間にしたい、というKさんの思いがこの形になりました。
改装前の写真があったら、印象の変化がよく分かったのでしょうけれども、それはKさんご家族と私たちだけが知る楽しみです。
Kさんもお母様も「本当に明るく広くなったわ。」と言ってくださって、うれしいのです。
以前はキッチンとダイニングを仕切る壁があったのですが、構造と関わらないと分かりましたので取り外して低めの作業台を置いて開放的にしたのです。
その壁の上には広い対面カウンターがあったのですが、広かったためにダイニングが狭く感じてしまって、それがなくなることで窮屈な印象を取り払うことができたのでした。
ただそのカウンター、ずっとここにあってお母様には少し思い入れがあったのか、「無くしてしまうのは淋しい気がします。」と工事着工後にそういうお話になりまして、急きょ少しでも面影を残せるように、ということで、写真の中の電話が載っている台として活用することに。カウンター材をお預かりして、壁からガス暖房までのサイズでカットして(ガス暖房が上に操作スイッチがあるので、カウンターが掛かると使いづらかったりするのです。)カットした部分の面取りを正面と揃えて、同じ色にウレタン塗装して、本日取付。
あとから壁付けしているので、壁には埋め込めないため、インロウで固定。右面と後ろ面のみの固定ですが、意外としっかりできたので、補強金物なしで使って頂くことに。
思い出の板はこうしてこの場所にいてくれることになったのでした。

うん、全体的にとても懐かしく心地良い感じになったと思っています。
あとはKさんがどのように使ってくださるかが楽しみです。
写真には写っていない食器棚とキッチン吊戸棚の印象を揃えているので、この空間、こじんまりしているのですがとてもすっきり気持ち良い。
次回、ちょっとご用事ができましたので、その時にもっといろいろなキッチンの表情を写してきます。

つくばまで

2020.11.07

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ご主人がご自身で設計した自邸。平屋で屋根の勾配がそのままダイレクトに表れた空間はとても気持ちよく、その丁寧に時間をかけて作られたこともあり、キッチンたちが工房で完成してからこの時が来るまでのしばらくの間はずっとTさんのご実家に保管しておりましたがようやくこの日を迎えることができました。
場所はね、ちょっと遠くてつくば市です。
ペニンシュラキッチンと背面のパントリーのような大きな戸棚も一体となった食器棚のオーダーでしたので、1日間での設置工事では時間が足りないので2日間の時間をもらって、ノガミ君、ワタナベ君、ヒロセ君の3人で泊りがけでの工事でした。
細かい部分を調整しながら納めていったので少し時間が掛かってしまいましたが、無事に取付完了。
あとはお引渡の頃にTさんご自身でオイル塗装をして完成です。
「この庭では仕事のかたわらで、野菜を作ろうと思っているんですよ。」とにこやかにお話されていたTさんの顔が浮かびます。
また季節が変わる頃、お伺いしますね。

まゆ

2020.12.04

「タモのダイニングテーブルとダイニング収納のオーダー」

王禅寺 H様

design:Sさん/daisuke imai
planning:daisuke imai
producer:kenta watanabe
painting:kenta watanabe

「FREE HAND IMAI イマイ様
初めまして。神奈川県川崎市に住む、Hと申します。
御社のHPを拝見し、ご相談させて頂きたくメールをお送りしました。
現在我が家は新居を建設しており、9月末ごろに完成の予定です。
新居に合わせ、家具も家族に合ったものを作りたいと思い、ご相談させて頂きます。
今回の希望は『ダイニングテーブル』と『ダイニングカウンター』です。
正直、予算も限られている中で、このふたつを作って頂くことが可能なのかどうか・・・、
ご相談だけになってしまうかもしれませんが、前に進もうと思い、メールさせて頂きました。
新居を建てるに辺り、設計士さんには、「ダイニングを中心に暮らす家」を作って頂きたいとお願いをしました。

〇家族それぞれが1日頑張ってきて、「ただいま~」と帰って来た時に“ほっとする家”
それは大きなダイニングテーブルで家族が迎えてくれること、夕ご飯のいい香りがすること、 リビング・ダイニングがすっきり片付いている空間だったりするのかなぁと。

〇ダイニングテーブルを囲み、家族の団らんがあること
テーブルに着き、今日あった良いこともしんどかったことも話せること、宿題ができること、のんびり本を読んでいても良いこと、「そろそろ自分の部屋に行ったら~」と言われても、もう少しここに居たいなぁと思えること。

〇家族の経年に家や家具が馴染んでいくこと。

私が思い描く家のイメージの真ん中に、ダイニングテーブルがあるのです。思いばかりで、具体的なテーブルの仕様については知識が足らず、細かいところまでをお伝えするのは、なかなか難しいのですが・・・

~ダイニングテーブルについて~
・大きさ;幅2000㎜/高さ750㎜/奥行1000㎜
・樹の種類;未定ですが、床がナラ、オイル塗装風なので、同じナラが良いのかなぁと思いますが、ナラが大きいテーブルに向いているのかどうか分かりません。 他の樹でも相性の良いものがあれば、ご提案頂けたらと思います。御社の制作例でいうと、『授かったもの』葉山のNさんのテーブルのような、存在感があり、私たちの暮らしに寄り添ってくれるテーブルをお願いしたいと思います。

~ダイニングエリアのカウンター収納について~
パソコン作業と収納ができるようお願いします。
・大きさ;壁の柱芯から柱芯の幅3185㎜に収まり/高さ750~800㎜/奥行450㎜
・樹の種類;ダイニングテーブルに同じ

ダイニングの様子が分かる図面と収納するものやイメージを簡単に書いたものを添付いたします。
手書きのイメージはひとまずのたたきです。良いアドバイス、ご提案をよろしくお願いします。
日中は仕事の為、ご質問、お返事はメールで頂けると助かります。できれば、工房のほうにもお伺いできればと、夫とも話しておりますが、現在、夫が単身赴任の為、スケジュールの調整が限られた日となります。8月の週末のどこかで、今井様のご都合がよろしい日があれば教えて頂けますか。
フリーハンドイマイ様が作られる、素朴で美しい温かみのある家具に魅力を感じております。
お忙しいとは思いますが、制作プランとお見積をどうぞよろしくお願いします。」

ダイニング収納の図

Hさんから頂いた図はきちんと丁寧な思いが伝わってきました。

と丁寧に書かれたメールが届きました。
テーブルが暮らしの中心というのはすてきです。(子供の頃は分からなかったがことでした。)
でもこうして家族を持って暮らしてみると、あらためて、テーブルを囲んでいる時間、座っている時間が心地よいと気が付くのです。
でもね、そうして家族が一緒にご飯を食べられる時間は短いなあということも実感しております。子どもは私たちが感じている時間以上にいろいろなものを吸収してあっという間に大きくなっていく。自分なんて、10年前から何も変わっていないように思えるくらいなのに。
そして今では、子供たちはすっかり自分がしっかりできあがってきたから、ご飯を食べたらまもなく自分の部屋に移っていってしまうくらいになりました。
淋しいなあとは思うけれど、それがなければかえってもっと淋しいかもしれない。子が大きくたくましくなってゆく姿は私たちに元気を与えてくれます。
私にとってテーブルは安心させてくれて、元気を与えてくれて、まるでまゆのように思えるのです。
というよりも、それ以前によく食べる私たちを支えてくれる食卓というのが一番うれしい姿なのですが。
それで、さっそくスケッチを描いて内容を伝えさせて頂きました。

タモのダイニングボードとダイニングテーブル

できればこうありたいなと思って描くスケッチ。図面じゃないと伝わりにくい部分もありますが、スケッチじゃないと伝わらないこともあって。

そのスケッチを見て、Hさんとても喜んでくださいました。
「お忙しい中、さっそくスケッチと見積をお送り頂きありがとうございました。
フリーハンドで描かれているのでしょうか。中学1年の娘と“美しいスケッチだね”としばらくの間、眺めていました。
メールも読ませて頂き、樹の種類によって、用途に影響があるということや雰囲気に違いがでてくることをあらためて知り勉強になります。
夫にもスケッチを見てもらい、ダイニングに選んだ照明器具と良い感じになりそうだと、デザインには概ね納得しておりました。
一度、お会いしてお話できると良いのかなと、思います。」

タモのダイニングボードとダイニングテーブル

こちらがHさんのダイニング。お母さんがキッチンに立つそばにお子さんが座る様子が見えませんか。


タモのダイニングボードとダイニングテーブル

昔の民家が好きで良く見に行くのですが、昔は構造上火元は土間にあったから玄関入るとすぐに竈があったわけですが、今の暮らしはこうして部屋の中心にキッチンを置くことができる。これはとても幸せなことです。

ご予算を大きく上回っていたのですが、どこかでコストダウンをできる部分を探りながら、Hさんにとっての良い形を見つけましょう、ということになったのです。

以前にも何度か書いたかもしれませんが、家具を作る工房はいろいろとあるのです。
その中でも私たちを選んでくださったのはどうしてなのだろうといつも自問するのですが、答えは出ません。
家具をご依頼くださった皆さんにもお聞きするのですが、今のところ「そうか、よく分かったぞ。これが自分の強みなんだ。」と確信できる部分は、情けないことになんとも自信がなく、なので今の私の有り体をお伝えすることが良いことなのかなとなんとなく思いながら今に至っているのです。
自分の暮らしやみなさんの暮らしや思いを絵を描いたり、長々と文章を書いたりと何だかたいへんアナログな表現方法で伝えることが、自分が家具を作るうえで大切なのだということをいまだに思いながら続けているのです。
いつかは暮らしかたが大きく変わって家具というものの意味が変わる時が来るかもしれないのですが、自分の中ではいまだに暮らすための道具でしかないので、そこに必要以上に華美な気持ちは要りませんし、用途の見えない形も要らないです。その気持ちとどうしたらその形を実現できるかをお話していくことで、今回Hさんの家具を作らせて頂くことになったのでした。
ありがとうございます。

タモのダイニングボードとダイニングテーブル

テーブルで思うことは「大きいに越したことはない。」と言うことです。もちろん、その置かれる場所にそぐわない大きさはいけないと思うのですが、これは暮らしの中で一番良く使う道具でもあります。いろんなことができてたくさんご飯が食べられる場所でありたいって思うのです。今回のHさんのテーブルは1000×2000ミリととても大きい。でもとても気持ち良い印象でここに在りました。


タモのダイニングボードとダイニングテーブル

デザインはとてもシンプル。天板は2Rほどの程度な面取りと脚はほんのり色ついた印象のテーパーをつけた形。

今回、いろいろと考えたコストダウンの中に「事前の現地確認をしない」ということも含めておりましたので、こうしてできあがった家具たちがどのような場所に置かれるのかを見るのは初めてでした。
(もちろん、現地確認をしないからということで、設置場所の確認は皆さんに任せっきりにはしませんよ。家具が納まらなかったらたいへんですので。このような場合は、設置場所や搬入経路の写真をスマートフォンなどで取ってもらって(便利な世の中)その写真にここを測ってくださいと赤ペンで印をして、送り返させて頂き、その通りに皆さんに測ってもらって家具を作るのです。かなり複雑な形だと心配なのでこの方法はやめておりますが、シンプルに納まりそうな形でしたら、コストダウンのひとつの方法として皆さんにお話させて頂くことがあります。)
私は今回納品にも立ち会えなかったので、あらためてお手入れの方法をお伝えするタイミングで伺わせて頂きました。
お話を重ねて思ってきたHさんご家族らしい空間に納まった2台の家具は、もうすっかりとHさんの家具になっていたのです。
うれしい姿を見ることができました。
ありがとうございました。

タモのダイニングボードとダイニングテーブル

ダイニングボードもシンプルな形です。少しものを隠しておきたい部分だけに扉をつけて、一部だけパソコンが使える机に。そして、あとはカゴを使ってうまく収納したいということで、オープンの棚に。


タモのダイニングボードとダイニングテーブル

棚は一つのスパンが長いので、板が垂れさがってきてしまうのを防ぐために、板の下に幕板を入れて補強しています。デスク部分にも同様の補強を入れてきれいにラインが整いました。


タモのダイニングボードとダイニングテーブル

左端のデスク部分と右端の扉収納部分は幅を揃えて、中央にオープン棚を持ってくるデザインはとても落ち着いた印象になりました。そして、今回は突板に幅の広い単板を使って木目を縦方向にすることで、心地よいグラデーションが生まれました。


タモのダイニングボードとダイニングテーブル

引き出しの様子。


タモのダイニングボードとダイニングテーブル

扉を開けるとこのような感じで可動棚が入っています。可動棚で時々言われるのが、「どのような棚ダボを使っていますか。」と。私たちはネジ式のダボをもう父の代からずっとそうして使っています。差し込むだけのシンプルなものでしっかりしたものも出ていてその方が加工も早いし、使う人も差し替えやすいと思うのですが、こちらのかっちりした感じが好きなのです。

タモのダイニングテーブル

価格:320,000円(制作費・塗装費)

タモのダイニングボード

価格:400,000円(制作費・塗装費)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は20,000円から、取付施工費は30,000円から)

同級生

2020.11.06

「オーク板目とステンレスバイブレーションとホワイトメラミンのオーダーキッチン」

横浜 O様

design:Fさん
planning:daisuke imai
producer:yasukazu kamai/hiroyuki kai
painting:yasukazu kanai

キッチンスケッチ

Oさんの2階のキッチンの家m-時スケッチ。


オークとステンレスバイブレーションメラミン仕上げのセパレートオーダーキッチン

お引渡し直後の様子。Fさんの選ぶ色使いが私は好きです。ちなみに今回私たちが担当させて頂いたのは、真っ白い部分の壁付けキッチンとオークのアイランドキッチン部分。そのほかのグレージュの造作はフランジさんの作品です。


オークとステンレスバイブレーションメラミン仕上げのセパレートオーダーキッチン

実際にOさんが使ってくださっている様子。床はキッチン周りは掃除がしやすいようにモルタル調のフロアタイルで、そのほかの部分はカーペットを敷き込んでいます。また、奥に置かれた淡いブルーのソファはフランジさんの作品の造り付けソファです。

古くからお付き合いのある設計士のFさん。
以前にはご自宅をリノベーションされた時にキッチンを作らせて頂きましたね。
おしゃべり
Fさんの作る形はどこか欧風の物静かな印象を受けます。そして、少し懐かしい感じ。
ご自宅の時の集合住宅(というか、私にとっては子供時代に過ごした団地そのままの懐かしい住宅)で感じた優しく静かな印象をこのたびOさんのところでまた触れられることになったのです。

オークとステンレスバイブレーションメラミン仕上げのセパレートオーダーキッチン

Fさんの提案でコンロ側とアイランドの離隔距離(作業スペース)は95センチと一人で使いこむには少しゆったりしたサイズでレイアウトされています。

「今まで住まれていた家の印象はなるべくそのままに生かして、ここに庭がぐるりと望めるような階段室のような場所を作りたいのですよ。」とFさん。
「階段の途中の踊り場にはちょっとしたカウンターを設けて、庭を眺めながら本が読めたらすてきかな、と思ってるのです。」

いいなあ、とても素敵な響きです。
気持ち良い暮らしって、利便性ばかりが求められるのではなくて、どういう時間の過ごしかたをそこなら実現できるかが大切ですよね。
その感じ方は、皆さんいろいろで、あるひとつの音だったり、匂いだったり、肌触りだったり。
それを何かのきっかけで見付けて膨らませて、そのあとに磨いて研ぎ澄ませていく。
設計するってそういうことなのだと思います。
家も家具も同じで、思い出の引き出しを一つずつ開けていって、それが今とこれからの自分たちに必要かどうかを読み取る作業です。
「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」で出てきた「夢読み」のようにぼんやりしたものを次第に丁寧に読み取っていく作業です。

オークとステンレスバイブレーションメラミン仕上げのセパレートオーダーキッチン

この吊戸棚とその下の壁付けの棚板は私たちの制作。吊戸棚の扉のラインとその上のフランジさんの扉のラインを合わせるのが最初は心配だったのです。目地の取り方や扉のアウトセットの寸法の求め方は、その人ぞれぞれで微妙に違ったりしますので。


オークとステンレスバイブレーションメラミン仕上げのセパレートオーダーキッチン

吊戸棚と下の引き出しはアイカのメラミン化粧板を使ったスクープエッジ扉というものです。最初は塗装仕上げで白く塗り包む方向でも健闘したのですが、コストを考えて、このスクープエッジ扉の塗装タイプでも十分きれいに仕上がるということで、今回はメラミンを使った形で制作しています。

お施主さんはFさんの高校時代のご友人であるOさん。
Oさんご家族は2階で暮らして、庭をぐるりと見ながら階段を降りていくとるとお姉さんとお母様が暮らす1階に辿り着くというすてきな住宅。
写真を撮り忘れてしまいましたが、ぐるりと回る階段は本棚を囲むように回り込んでいて、その書物の階段が家族をつないでいる印象。
その二世帯のキッチンと食器棚の制作を任せて頂くことになったのでした。

それで、まずはOさんのところにお伺いしていろいろとお話を聞いていくのですが、1階と2階とでは色あいというか風合が大きく変わるのでした。
ここがおもしろいところです。
まさに夢を読むですね。

オークとステンレスバイブレーションメラミン仕上げのセパレートオーダーキッチン

引き出しの様子。


オークとステンレスバイブレーションメラミン仕上げのセパレートオーダーキッチン

引き出しの様子。


オークとステンレスバイブレーションメラミン仕上げのセパレートオーダーキッチン

引き出しの様子。


オークとステンレスバイブレーションメラミン仕上げのセパレートオーダーキッチン

一番下の引き出しは、鍋やフライパンなどが入れられるような仕切りのある深い引き出し。アガチス材を使ってウレタン塗装で仕上げています。

1階はお母様が長年使ってきたキッチンや食器棚の心地よさや勝手の良さを元にきちっとお話をしてくださいます。
しまいたいもののサイズを細かく拾い出して、しまう場所や動線がかなりしっかりと書き込まれたメモを見せてくださいました。家電のイラストも書かれてサイズがぎっしり書きこまれたメモ。
なるほど、あとはこの内容通りに制作することが可能かどうかを確認していき、かっちりとした印象のキッチンになっていきます。
かえって2階のOさんは、おおらかな印象。要点は抑えてありますが、全体の印象はあまり細かく考えずFさんが設計してくれる空間やキッチンを楽しみたいという印象。
Fさん自身もそれほどかっちり設計するのではなく、キッチンという場を俯瞰して、とても美しくまとめられるように考えていくかたですから、ふんわりとした印象のキッチンになっていきます。

ちなみに、今回のFさんのお話のように設計士さんが空間全体を考えてくださる場合の私たちの関わり方としては、キッチンの設計も設計士さんがまとめてくださって私たちはそのプランやレイアウトがうまく納まるように制作方法重視の設計をする場合もあれば、キッチンだけは私たちに振り分けてくださる方もいらっしゃって、御施主さんのお話を聞いて形の考えてきちんと納まるようにその部分は全て任せてくださる場合とがあります。Fさんはどちらかというと前者の方で、空間を考えながら、キッチンの形もその場所に適するようにふんわりと設計をしてくださるタイプ。
ですので、Fさんが作るキッチンのデザインがその空間に納まるように、使い勝手が悪くなることがないように細かい部分のアシストをしながらの打ち合わせです。
でも、お母様とお姉さんが使う1階のほうは、しまいたいものや、引き出しのサイズまで、ミリ単位の調整が必要な部分があって、どちらかというと、印象を重視するよりも実話的な形になりそうでしたので、私も最初から細かく打ち合わせに参加させて頂いたのでした。
その1階と2階の形の対比の面白さは、とても勉強になったのでした。

オークとステンレスバイブレーションメラミン仕上げのセパレートオーダーキッチン

シンクのあるアイランドカウンターの印象。今回ステンレスバイブレーションのカウンターは折り曲げて11ミリの厚みに見えるように仕上げています。その下に5ミリの目地を取って浮いた印象にしています。


オークとステンレスバイブレーションメラミン仕上げのセパレートオーダーキッチン

洗剤ポケットはFさんのキッチンと同じく丸いバー付きのポケットにしています。


オークとステンレスバイブレーションメラミン仕上げのセパレートオーダーキッチン

シンク前の幕板にはハンドミキサーなどの調理家電が使えるようにコンセントを設けています。


オークとステンレスバイブレーションメラミン仕上げのセパレートオーダーキッチン

キッチンと反対側は引き出しになっています。カップやお皿などの日常使いの食器棚として活用されています。


オークとステンレスバイブレーションメラミン仕上げのセパレートオーダーキッチン

今回、食洗機がつく部分は奥行きが必要なので、浅めの引き出し、シンク側は奥行を調整して深めの引き出しを作っています。


オークとステンレスバイブレーションメラミン仕上げのセパレートオーダーキッチン

ですので、深い引き出しにはよく使うサイズの少し大きなお皿もしまえるようになっています。

そして、今回もうひとつ興味深い経験をさせて頂いたのが「別の家具屋さんとの共同作業」でした。
Fさんが古くから付き合いされている「フランジプライウッド」さんという家具屋さんがいらっしゃって、以前からお話だけはFさんからお伺いしておりまして、Fさんのご自宅にお伺いした時にもフランジさんの家具を拝見させて頂いておりました。
そのフランジさんが今回は2階のソファや収納を受け持って、私たちがキッチンを受け持つ。そのリビングからの収納がキッキンの戸棚とつながっていくようなデザイン。
なかなか納まりが難しそうです。

当初、その納まりよりも難しそう、と感じていたのは「他の家具屋さんと一緒に作業すること」でした。
私はこの仕事を始めて27年経ちますので、今までもいろいろな家具屋さんや木工所を見てきました。そして、この仕事をしている皆さんだいたいが、けっこうクセのある人が多いのです・・。
よく分からないけれど自分のやり方を変えない人、ずっと喋っている人、腕よりも口が立つ人、仕事がとても上手だけれど意思疎通が取りづらい人・・。
もちろん、腕が良くて仕事が早く美しい方々も多く出会いましたが、なんとなく取っ付きにくい人が多い世界なのだなあと感じていたのです。
だから、あまり他の家具屋さんと一緒に納める仕事したくないなぁなんて思っておりまして・・。

ホワイトメラミンとステンレスヘアラインのペニンシュラキッチン

こちらはお母様とお姉さまが使う1階のキッチンと食器棚の様子。


ホワイトメラミンとステンレスヘアラインのペニンシュラキッチン

ステンレスバイブレーションとホワイトメラミンの扉にステンレスカラーのラインハンドルというモダンで実用性の高いデザインにしています。

でも、フランジさん、お会いしてみるととても物腰穏やかな方でお互いの納め方やどこで逃げをとるかなど、事前にきれいに納める方法をきちんと提案してくださったのでした。うれしいです。
今回は特に扉の割付のサイズを私たちとフランジさんで揃えてラインを通す必要があったり、フランジさんの戸棚と私たちの引き出しがツラ一で揃える部分があったりと、呼吸を揃えないと納まらない部分が多かったので、気持ちよく仕事をすることができてほっとしたのでした。
でも、よく考えると今お付き合いのある家具屋さんや木工屋さんはみんな優しいなぁ。
父が現役で頑張ってた時代はもっと取っ付きにくい人が多かったように思えたのは、そういう時代だったからなのかな・・。

このように皆さんが良いものを作ろう、という気持ちがよく現れた現場だったおかげでこうしてFさんらしい優しい場所が完成したのでした。
そして、Oさんやフランジさん、そしてFさんと、こういうすてきな出会いが持てたことに大変感謝しております。

ホワイトメラミンとステンレスヘアラインのペニンシュラキッチン

シンクには2階と同じくバー付きの洗剤ポケットを設けています。また、カウンターとキッチンパネルの隅はサイドとバックに立ち上がりを設けた仕上がりにしています。


ホワイトメラミンとステンレスヘアラインのペニンシュラキッチン

シンクの下はお母様のアイデアで一部引き出しを設けています。排水トラップの下に大きめのゴミ箱が入らなき可能性があるので、そのトラップの下を生かして引き出しにしています。


ホワイトメラミンとステンレスヘアラインのペニンシュラキッチン

その引き出しにはボトルなどの調味料がしまわれています。


ホワイトメラミンとステンレスヘアラインのペニンシュラキッチン

食洗機右側の引き出しの様子。


ホワイトメラミンとステンレスヘアラインのペニンシュラキッチン

この引き出しもお母様のアイデアで、ボトルとそれ以外のものがしまえて掃除しやすいようにということで、バーをつけているのです。


ホワイトメラミンとステンレスヘアラインのペニンシュラキッチン

一番下の深めの引き出し。


ホワイトメラミンとステンレスヘアラインのペニンシュラキッチン

コンロはリンナイのデリシア。


ホワイトメラミンとステンレスヘアラインのペニンシュラキッチン

コンロ下の引き出しの様子。


ホワイトメラミンとステンレスヘアラインのペニンシュラキッチン

コンロ下の引き出しの様子。


ホワイトメラミンとステンレスヘアラインのペニンシュラキッチン

コンロ右側の調味料用の小引き出し。


タモ染色仕上げのオーダー食器棚

この食器棚はタモで制作しています。そこにお母様がずっと愛用してきたカップボードと同じ色になるように着色してウレタン塗装で仕上げています。


タモ染色仕上げのオーダー食器棚

上の戸棚の様子。


タモ染色仕上げのオーダー食器棚

引き出しの様子。


タモ染色仕上げのオーダー食器棚

引き出しの様子。


タモ染色仕上げのオーダー食器棚

下の戸棚の様子。

キッチン仕上
天板 ステンレスバイブレーション
扉・前板 オーク板目無垢材
本体外側 オーク板目突板
本体内側 ポリエステル化粧板
塗装 オイル塗装仕上げ

オーク板目とステンレスバイブレーションとホワイトメラミンのオーダーキッチン

費用につきましては、お問い合わせくださいませ。

ウェブサイト更新

2020.11.04

タモ板目材を使ったの引き戸のある食器棚
いっけん見分けがつかないくらい良く似ている双子のMさんが暮らす優しい明かりが灯るキッチンにタモの食器棚を納品させて頂いた時の様子を掲載しました。

よろしければご覧になってくださいね。

ふたりの食器棚

2020.11.04

「タモ板目の引き戸のある食器棚のオーダー」

相模原 M様

design:Mさん
planning:daisuke imai
producer:kenta watanabe
painting:kenta watanabe

タモ板目材を使ったの引き戸のある食器棚

ダイニングから見た時の様子。引き戸の印象って好きなのです。シンプルすぎなくて家具らしさが出ているように思えて。


タモ板目材を使ったの引き戸のある食器棚

吊戸棚を天井までつけない、という考えのお客様が増えてきました。上までは手も届かないし、何よりもこのように半ばオープンなキッチンになるとリビングダイニングから食器棚がよく見えるようになるので、部屋の空間のボリュームによっては、吊戸棚が天井までついていると少し重さを感じてしまうことががあったりするのです。

Mさんは双子であります。
初めてこちらにいらしてくださった時に、髪の長さでどうにか判断できるくらいによく似たお二人でした。
その二人から自分たちが暮らす家のキッチンに食器棚を作りたい、というご相談を頂いたのでした。
どこか映画の中に迷い込んだかのようにお二人のよく似た声や笑顔を聞きながら、見比べながらお話をお伺いしたのでした。
でも、お二人の考え方は少し違うようで、お姉さんがおっとりした印象、妹さんがさっぱりした印象だったように思えます。
妹さんがお姉さんをサポートするような印象だったかな。(違っていたらごめんなさい。)
いろいろとお話をさせて頂いて、まずは最初にMさんから頂いていたスケッチの通りの形で改めて提案をさせて頂きました。
その中でいくつか使いやすそうなアイデアも織り交ぜます。
私が皆さんにこうしてお話する形の妙というのは、そのほとんどが私自身から生まれたものではなく、(そんなに素晴らしい工夫ってなかなか浮かばないものです。)皆さんとお話しする中で、こういう形だったらよい、とか使ってみてこれは良かった、(反対にあまり勝手は良くなかったと言いうことももちろんあります。)というようなお話を自分の中にひとつずつしまっておいて適切な時に皆さんにお知らせしているにすぎません。
だから未だに「イマイさんらしい形ですよね。」って言われると、照れくさかったり、しっくりこない感じがしたりするのですが、そう思ってくださるのはとてもうれしいことですから、ハハハと答えにならない返事をさせて頂いたりしております。

タモ板目材を使ったの引き戸のある食器棚

右側の引き戸を開けた状態。真ん中に仕切り板を入れているので、左右で高さのあるものをしまいやすくしています。あまり大きな食器ばかりではなく細かく収納する場合に有効な方法だと思います。

その、過去に皆さんから頂いた意見の中でMさんが気に入ってくださったのは、「扉を開き扉にするのではなく引戸にすること」と「戸棚の中をあえて細かく仕切ること」でした。

「引戸」についてはもう何回もこの中でお伝えしているかと思いますが、開けっ放しにして作業ができて、見渡しやすいことが大きな利点だと思うのです。
開き扉だと開けっ放しにしておくとぶつかっちゃうし、ぶつからない高さの扉にするとそもそも高すぎて使いにくいし。
広く開けられて、引き戸よりも広く見渡せることが引き戸の魅力だったり、すっきりとしたラインで作れる形のシンプルさが魅力なのですが、私自身もやはり引戸のほうが使いやすくて好きなのです。
でもコスト的に引戸のほうが、溝を突いたり、戸の書き取りや戸車を仕込んだりと開き扉に比べると大変手間が掛かってきますので、その分コストにも反映してしまうのですが、ずっと使っていく心地良さを考えると引き戸の魅力は大きいと思うのです。

タモ板目材を使ったの引き戸のある食器棚

引手は船底形。引手は規格品を使わないで、いつも手作りです。なので、あまり主張しすぎないサイズで作っています。

もう一つの、「中で棚を細かく仕切る」ことについてですが、これは、戸を開けた時に広々と使えることは大きな魅力なのですが、あえてその広いスペースに立てに仕切り板を入れてしまって、その左右で違った使い方をする、という形の提案です。
よくあることとして、ワイングラスをしまいたい、料理本をしまいたい、お盆がちょっとしまえるようにしたい、など少し背の高いものを吊戸棚の中にしまいたいと考えるかたも多いです。
わざわざそこだけ引き出しを深くして下に収納にしても余分な空間ができそうでもったいないですし、吊戸棚の場合にしてもちょっと背の高いもののために全体の棚板の高さを高くしちゃうともったいなかったりします。
そこで、縦に仕切り板を入れて、片側は背の高いものを入れて、もう片側は通常のグラスなどの背の低めのものを入れる、というふうに分けて使うと使いやすかったりするのです。
そこでMさんの引き戸のなかにもタテの仕切り板を1枚多く入れさせて頂きました。

タモ板目材を使ったの引き戸のある食器棚

カウンターはタモの無垢材。引き戸や引き出しの前板などはタモの突板を使って製作しています。

あとの形はほぼスケッチ通りでプランはまとまりました。

さて続いては現地の確認です。
相模原のあたりは、相変わらず賑やかなのですが、ひとつ住宅街に入ると途端に静かに、そして道端で子供たちが駆けまわったりして、少し懐かしい印象に変わっていきます。
Mさんのお宅もそういう静かな通り沿いにあったのですが、近づいてみるととても華やかにお花が植えられていて、ひとめでMさんの家だってわかる感じ。
キッチンに案内して頂いた時もその部屋の様子が欧風の小物たちであふれた可愛らしく優しい空間になっていました。
で、あれどちらがMさんだっけ。
そんなふうに思いながらキッチンに案内して頂くと、しばらくしてさっぱりした話し声が聞こえたので、そうだそうだ、今はお姉さんとお話しているんだった、と思いながら、設置場所を確認させて頂きました。
今回はシンプルな形でしたので、設置も問題なさそうで、実際の設置も順調に終わり、壁もしっかりしていたので、吊戸棚をつけることも難なく完了。

タモ板目材を使ったの引き戸のある食器棚

引き出しの様子。


タモ板目材を使ったの引き戸のある食器棚

引き出しの様子。


タモ板目材を使ったの引き戸のある食器棚

引き出しの様子。


タモ板目材を使ったの引き戸のある食器棚

引き出しの様子。


タモ板目材を使ったの引き戸のある食器棚

引き出しの様子。


タモ板目材を使ったの引き戸のある食器棚

引き出しの一番下は、バスケットが置けるようなスペース。ステンレスのバスケットを採用しようか迷ったのですが、今回はMさんが起きたい、というバスケットのサイズに合わせて開口を設けて、バスケットを引きずっても下面が傷になりにくいようにステンレスを張っています。

後日お邪魔させて頂いて使ったいる様子を拝見させてもらいましたが、うん、Mさんらしい使われ方を見てうれしくなったのです。
家具は「イマイさんらしい。」よりも「その人らしく使われている様子」を見ることがもちろん好きです。

引き戸のあるタモ板目の食器棚

価格:530,000円(制作費・塗装費)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は18,000円から、取付施工費は30,000円から)

秦野まで

2020.11.04

20201104002
今日はホワイトオークのキッチンをもって、私とムラカミ君でYさんの現場に。
「キッチンは新居の1階に設置する予定です。でも、その1階のある場所が・・。」
と言われていたので、キッチンのプランはシンプルなのですが、搬入がなかなかの大変そうでしたので、ワタナベ君も一緒に来てもらって搬入だけ手伝ってもらって、彼は先に会社に戻って。
明日から2日間、つくばのTさんのキッチン設置にノガミ君、ワタナベ君、ヒロセ君の3人で向かってもらうので、その段取りを早めにしておかなければいけないのです。
慌ただしい日々でございます。

・・・設置作業もおおよそ終わりに近づいてきて、あとは細かな器具を取り付けるくらいかな、というところで、ご年配の内装屋さんが声を掛けてくださいました。
「キッチン屋さん(と呼ばれるのはもう慣れました・・。)、もうすぐ終わりかい?」
「はい、あと1時間掛からないくらいで終わると思います。」
「そう。このキッチンは・・、ああ、誂(あつら)えなんだね。どうりでいつもと違うと思ったよ。」
「ありがとうございます。」

わあ、誂えって言われるのはなんだかとてもうれしいですねえ。

Kさんにご挨拶

2020.11.03

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昨年の秋ですね、私たちの自宅のオープンハウスを行なったのは。
その時にいらしてくださったKさん。シュッとした印象のお二人で我が家を見にいらしてくださったので、私たちのどこか土くさいような暮らしぶりが参考になっただろうか、とあの頃はドキドキとしておりましたが、こうしてキッチンのオーダーを頂いて、無事に先日お引越しを終えられたのでした。
ちょうど私たちのところにオーダーキッチンのカタログのお申し込みをされてから1年が経つ頃でしたね。
そして本日、細かい残作業がありましたので、新しい暮らしへのごあいさつを兼ねて、アキコと二人でお邪魔させて頂きました。
いろいろお話を伺うと、ご主人はデザインのお仕事、奥様はパンを焼くお仕事、二人とも職人さんだ。
今回は塗装もお二人で行ない、実は格子扉もDIYで制作されています。
作ることが楽しいと思ってくださるKさんが住むこの家は温かい。
初めて取り組んだKUMAさんが作ってくれたオイルガードもこの部屋の印象を大きな象徴になっております。
すてきな暮らしは始まったばかり。
ありがとうございました。
Kさん、また何かありましたらいつでもお声掛けくださいね。

チェリーのセパレートキッチン

2020.11.02

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大磯というと海の印象が大きいですが、この山腹の住宅街は通学路にもなっていて子供たちの往来も多くにぎやかで景観もすてきなところです。
そこに平屋を建てているIさんのキッチンの取付に本日出掛けておりました。
まだね、外壁の塗りはこれからなので、どのような印象に仕上がるのか楽しみなのですが、ぐるりとつながる回遊性のある間取り、窓からの借景、楽しい暮らしが見えてくる。
作業されている大工さんやクロス屋さんのお人柄も良く、とても気持ちよく作業をさせて頂きました。
もう少しで作業が終わるかな、というタイミングでIさんもいらしてくださって、このキッチンの印象をとても喜んでくださいました。
まだね、無塗装なので、少しチェリーが淡く白っぽく感じますが、ここにオイルを塗るとフワッと導管が浮き出てきて、真鍮やステンレスとの対比がとても良い具合になります。
このあとは、設備屋さん、ガス屋ささん、電気屋さんに作業をして頂いて、そのあとにIさんがオイル塗装をして完成。少しずつ形作られていきますね。

城ヶ崎海岸まで

2020.10.31

伊東市の城ヶ崎海岸までやってきたのでした。
城ヶ崎海岸というと、昔まだアキコと結婚する前の頃でしたかね、来たことがありましたね。
大室山に登ったり、つり橋を渡ったり、生まれて初めてプリクラというものも体験しましたね。
あの頃には、こうして二人の娘を持つ父親となって再びこの町に来るなんて思ってもいなかったでしょう。
細かい字が見えづらくなったり、ズボンのサイズが大きくなるわけです・・。

Tさんからキッチンを作ってほしいという熱烈な歓迎を受けまして、ちょっと遠いですがキッチンを作らせて頂けることになったので、現状の様子をを見るために下見にやってきたのです。
もう私たちのほうが2月近くまで予定がぎっしりになってしまって、Tさんのキッチンも納品できるのはやはり2月になってからになるので、まだリノベーションの工事自体も先になるのですが、どういうレイアウトが良いか、どういうタイルが良いかなど現地を見ながらいろいろとお話をさせて頂きました。

学生時代はたくさんチョコレートなんてもらえたことがなかったものですから、こうして熱い思いを聞かせて頂けるとのぼせ上ってしまうのでございます。
すてきな町、すてきな空気、すてきなキッチン。
良い形が作れるように頑張ります。

30分後に次の電車が来たら会社に戻ります。

みんなすてきにやっている

2020.10.30

コバヤシ君がこの工房を出たのが昨年の春ですから、もう1年半は経つのですね。
「いろいろなものを作れる人間になりたいんです。」って入社して間もない頃に言っていました。
うちに来る前は電気溶接(だったかな)の仕事をしていて、うちに来たのも「フリーハンドイマイの形が、というよりはまずは家具が作りたくて。」という感じでやってきてくれたのでした。(うれしいような、うれしいような‥)
彼は何というかニュータイプな感じ(アムロみたいな感じです)で、自分のセンスで持って間違いなく進んでいくので仕事が早いのでした。
「彼はいいですよ。」と当時ここで主任をしていたムラカミ君(彼も独立しちゃったね)がそう言っていましたが、なるほど、こうして外からの彼を見ているとよりよく分かります。

このところ、皆さんのご相談に「はい、良いですよ。」と気軽にお返事してしまっていたら、この時期に作らなければいけないものが集中してしまいまして、慌てふためいておりまして、この工房出身で独立して頑張っているみんなやお世話になっている方々に声掛けして、どうにか皆さんの仕事が順調に進むようにやりくりしていて、コバヤシ君にも今回このベンチの制作を手伝ってもらったのでした。

久しぶりに会うとより頼もしい印象。
今は木工と大工を合わせていろいろなことに対応できるようなスタイルで仕事をしているのだそうで、もうしばらくしたら自分の工房も持てる予定ということで、私たちも楽しみなのです。

そして、このベンチ、ちょっと変わった依頼です。
私たちがいつもルーター作業をする時に敷いている合板を見て、「ああ、これいいですねぇ。」と言ってくださったマイズミさん。
(以前、ここにいらしてくださった蔦谷さん以来、これが良いと聞いたのは2度目です。いまだに自分にはその良さが見いだせないところが凡人なのでしょう・・。)
その合板とチェリーの板目材を使って作ったベンチです。
お待たせしました。もうすぐ納品です。

Kさんのナラ節アリ材を使ったキッチンに会いに

2020.10.28

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無事に搬入できたことを見届けて、私は逗子まで。
1年半前に作ったKさんからご連絡を頂いたのでした。
「キッチンのサイドパネルに水切り棚が売れていたのかもしれなくて、ちょっとパネルが黒ずんでしまって。」
ということで、お伺いしたのです。
たしかにパネルとステンレスカウンターの角の部分がずっと湿気ていたようにパネルに黒い筋がいくつも入ってしまっています。
おそらく表面にカビがついてしまったのでしょう。
木に水が跳ねてもなるべく早めに拭きとって通気良くしておけば、あまり黒ずむことはないのですが、気づかずたまった水が乾くまでずっとそのままで自然に乾いた、となるとだんだんとその部分が黒くなってしまうことが多いのです。これはオイル塗装だからなる、というわけではなく、ウレタン塗装でもなることがあります。
(特に私たちのウレタン塗装だと厚塗りしないで導管の手触りを残すので、以前ウレタン塗装でも黒ずみが出てしまったことがありました。余り厚塗りしてしてしまうと表面は平滑になって汚れなどは付きづらくなりますが、手触りが樹脂を触っている感覚しかなくなるので、それはそれで淋しいのです。)

そこでなるべく表面をきれいにするために粗めのサンドペーパーから極細目の
ペーパーまであてて表面の手触りを良くし、黒ずみをなるべく除去したうえで、蜜蝋を擦り込みます。
ステンレスカウンターとのコーキングが切れてしまった部分は再度充填し直して、メンテナンスは完了。
まっさらなきれいに印象に戻るわけではないですが、黒みも少なくなって、汚れた印象は無くなり、使い込んだ良い色になりました。

良い感じです。
Kさんの住むこの家は、古い集合住宅。築50年近いのかな。
スケルトンにして、間取りを考えたこともあって、一般的なマンションのようなステレオタイプの印象にはならず、Kさんらしい独特の室内になっていて。
特に細長く取った玄関が心地よくて、さらにはこのリビングダイニングに入ってくる手前の前室のような広い空間がとても心地よいのです。
お兄ちゃんが遊ぶのでしょうか、小さなティピが置かれていて、白い壁は落書きがいっぱいあって、気持ち良い場所でした。
そういうのびのびした場所ののびのびしたキッチン。
「とても使いやすくて助かっています。」と仕事から帰宅した奥様がそううれしそうにおっしゃってくださいました。
ありがとうございます。
ひと通りメンテナンスのご説明をあらためてさせて頂きまして、「それではまた何かありましたら、いつでもお声掛けくださいね。」

タモ板目のペニンシュラキッチン

2020.10.28

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無事搬入できた、ああ、よかったよかった。
工務店さんから頂いた階段の勾配の図面や2階の平面図を見ながら、「ああ、うまく2階に上がるだろうか、どうだろうか・・。」となかば夢にまで出かけていたIさんのキッチンは無事に2階のその場所までたどり着けたのでした。
何度かお話しているかもしれませんが、キッチン自体はね、工房で仮り組みするので、現場に着いたら同じように組んでゆけば問題なく納まるという確信があるのです。
でもそこに運び入れるって言うのは見えない部分があって・・。
以前、もうだいぶ昔のまだ父も現役で現場作業に取り組んでいた頃、渋谷にあるメガネ屋さんの大きな陳列棚を搬入していた時です。
これ以上分割できない、というデザインで、それでもどうにか入るだろうというイメージはあったのですが、うーん、これが入らない。
どうにも階段でつっかえてしまう・・。
これはダメかな・・。持って帰って一度ばらさないといけないのかな・・。
なんていうことがありました。
(結局、搬入経路上にある照明を取り外して、みんなでエイヤッと取っ組んだらどうにか入ったのですが。)
それ以前にもまだ内装屋さんから数多く仕事を頂いていた頃、(この頃は採寸も内装屋さん任せでしたね。)入らなかったことが何度かあったのです。そうなると工房に持ち帰って、少し淋しくなりながら一つで作った家具を分割し直して・・。
そういう時に思いや苦い味の感覚はいつまでも覚えていて、こういうシビアな現場になると苦みが思い出されるのです。

ああ、よかった。無事に納まってとても魅力的なIさんらしいキッチンができあがりました。

キッチンリノベーション

2020.10.26

もともと水場がダイニングに向いていて、火元が壁に向く形だった二列型のレイアウトだったキッチンをあえてコンパクトにI型にして、作業台とキッチン、そして食器棚という3つのゾーンに分ける形にしたキッチン。
またもともとあった垂れ壁がキッチンへの採光を遮っていたこともあって、他の部屋よりも暗く感じる部分があったのですが、そこを切り取って明るくコンパクトな空間にすることに。
土曜日と本日とでKさんのところに作業に入らせて頂いて、今日はちょっと写真が撮れませんでしたが、懐かしいコバヤシ君にも取付作業を手伝ってもらって、本日ひとまず作業が終了。
次回棚板など細かい部分の作業を終えれば完了する予定。
少しね、懐かしい感じにしたかったのです。Kさんもそういう空気を持つ人で、この家もそういう空気が流れていましたので。
できあがりが楽しみですよ。

秋の火ごはん

2020.10.25

先日、千葉の四街道のSさんのキッチンを作らせていただいたあとに、その設計事務所さんから良い評判を頂いて、新たなキッチンのお話を頂いていたのですが、お客様の都合が悪くなってしまいまして、ぽっかりと時間が空いてしまいました。
アキコが日美(日曜美術館)をよく見ているのですね。
「じゃあ、行きたかった横須賀美術館に行こうよ。」
そのなかで上田薫さんの作品が見られるというので3人で出掛けることに。(ハルはもう部活です。)
今まで来たことなかったのですが、すてきな美術館。
ふわりと回遊する感覚や壁と天井がつながる柔らかい印象と海に緩やかに続くような鮮やかな芝の前庭などとても心地よい場所でした。
上田さんの時間を止めたその見せかたの美しさに驚いて、もう一つうれしかったのが谷内六郎さんの気持ちの蝋燭が灯るような作品に触れられて、心地よく帰ってきたのでした。
夜はみんなで約束していた庭ご飯。(オグさん煙かったですかね、すみません!)
お野菜からお肉へと移ると日がパチパチとはぜて、よい香りも漂って。こうして陽が落ちると少し肌寒く感じますが、アキコが用意した野菜をごった煮した汁物で体を温めながら、火が通ったお野菜とお肉を頂いて、最後はハルカが作る濃い味の焼きおにぎりを頂いて、最後はチィが楽しみにしていた夏の残りの線香花火でおしまい。
おいしい一日でした。

小学校最後の運動会

2020.10.24

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今日は次女チイの運動会に変わるイベント「スポーツフェスタ」の日でした。
2・4・5学年は前半、1・3・6学年は後半に1時間半ずつ各学年2種目ずつで午前中には終了するイベントとなりました。
声を出しての応援は控えて、応援団も手作りのマラカスのような道具をシャカシャカして旗をたくさん振って、放送も最小限。その代わりにたくさんの拍手をと言う事でしたが、皆さん少しのお子さんの出番を撮り逃すまいと撮影に集中しているので、拍手は少なめで本当に静かなイベントでした。
縮小されたイベントで名前は変わっても「最後の小学校の運動会」であることには変わりないので、通常通り行われていたら、やっておきたかったことはしておきたいなということで、おとうさんは朝早くに家を出てパパボランティアに参加して校庭の水たまりを埋めたり来校者の誘導を、私はチイのお弁当リクエストのおいなりさんとから揚げをたくさんということで1キロ分揚げました(笑)。帰宅後縁側に座って3人で食べました。(ハルは部活でしたので。)
チイ「クラス対抗リレーはもう少し早く走れたのかな…。ソーラン節はうまくできたと思う。」
よかったね。うん、かっこよかったよ。
チイ「先生が、今日このイベントが開催できるのは皆さんが普段感染に気をつけて頑張って生活してきたからなのですよ。来年運動会が普通に開催されても今年のことは特別な思い出になりますし、もし今年と同じ形になったとしても初めての開催年として思い出になります。だから6年生みんなで伝説を作りましょう!ってお話ししてくれたの。」と教えてくれました。
すてきですね。先生から生徒へしか伝えるができない言葉なので、彼女の心には大切に残ることと思います。
今日はK様の納品があったのですが、スタッフのみんなに任せてお休みをさせて頂きました。快く引き受けてくれてありがとう。
K様、後日伺わせていただきます。よろしくお願い致します。

頭をまわせ

2020.10.20

今週から始まっている茅ケ崎のKさんのキッチンリノベーション。解体がほぼ終わった今朝、現状確認にお邪魔してきました。
「イマイさん、今さらなんですが・・。」とKさん。
聞くとお母様がダイニングについていたカウンターをすべて取り払ってしまうのは気持ちが淋しいとのこと。
「でもね、お任せするわ。」とお母様はおっしゃるのですが、Kさん(は娘さん)とお話して、うまく残せる方向に。
あとは内装の施工を担当してくれているkotiの伊藤さんと週末スムーズにキッチンを取り付けられるように段取りにして現場を後にします。
すみません、週末はチアキの小学校最後の運動会があるので、私はお休みさせて頂くのです・・。

一度会社に戻って製作を担当するノガミ君に伝言したら、今度は石神井まで。
Uさんのキッチンはどうにも忙しすぎて木工事完了まもなく施工に伺えないので、監督さんとUさんとで細かい部分を打ち合わせて。
石神井、遠いのですが、実はいろいろとお客様がいらっしゃって懐かしい町だったりします。
私の好きな上井草から石神井までの通りを抜けると、少しずつ町の様子が変わったことに気がついたり。
このUさんのご新居が建つ場所から歩いて10分くらいの距離に以前家具を作らせて頂いたYさんの家があったり。
どうにか仕上げ工事の最中にキッチンを設置させて頂く形で順調に進みそうです。

そのあとは、会社に戻る途中に一番心配している登戸のIさんの現場に。
2階にあるキッチンまでたどり着くのに階段しか搬入経路がなくて、はたして、あのニッチがあるステンレスカウンターが入るのかどうか、ハラハラドキドキしていたのでした。
階段を上がりきったスペースの寸法を測ると、どうにか対角でも問題なく高さを確保できそうな感じでほっと一息。

会社に戻るとまもなく日が暮れそうな感じ。
うまく頭を回していかないと。緊張感と共に10月が終わりそうです。

記念撮影

2020.10.18

「卒業式に袴を着たい。」とチイが言い出したのは夏休み頃のことでした。
驚きました。姉のハルは式用の洋服を購入して参加しましたし、「袴を着て参加すると大変そう。」と言いそうだなと思っていたからです。
コロナの影響で卒業式もどうなるかわからないしどうなのだろうとも思ったのですが、もうこの先どうなるのかを考えてもわからないのであってもなくても関係ないのかも、本人が着たいという望みを叶えるだけでも十分なのかもと思えたのでした。
今日はその事前撮影の日でおとうさんに現場の取付の予定が入っていたのですが、現場帰りにノガミ君に自宅で先に降ろしてもらったので間に合い家族揃った写真を撮ることもできました。わがまま言ってすみません。協力してくれてありがとう。
ハルの入学式にも参加できなかったので「みんなで正装した写真を撮れていなかったよね。」と言う話にもなりとても良い機会になりました。スタジオの方々も感染に気をつけながらも楽しい雰囲気づくりをしてくださりいい時間を過ごすことができました。
ありがとうございました。

クルミのキッチンバックカウンター

2020.10.18

今日はノガミ君と二人で青梅のTさんのところにクルミのバックカウンターを取付に行ってきました。
晴れ間も顔をのぞかせてくれましてよい時間です。
最近、バックカウンターの奥行は深い方が使いやすい、というお話でまとまることが多くて、奥行60センチ近くにすることが多くなってきました。
今回のKさんも奥行55センチで作らせて頂きました。そして、引き出しの底付のソフトクローズレールです。
そうなると重いのです。
この大きさになると箱そのものが重いですし、ソフトクローズレールは通常のスライドレールの倍近い重さがありまして、引き出しの数が増えるとね、キッチンスペースで食器棚をひっくり返すのも躊躇するくらいになってきます。
今回はそこにバイブレーションに仕上げた厚み5ミリのステンレス板をカウンターにします。
この板がまた重いのです。(60キロくらい)
だから、お天気が大切になってきて、雨だと余分な作業が増えるので、この重量がさらに重く感じてしまうわけで、こういう晴れた日は心強いのです。
おかげ様ですんなりと納まりまして、Tさんにもとても喜んで頂けました。

そういえば、来年に厚み4ミリで長さが4メートルを超えるキッチンカウンターをクレーンで2階のキッチンに搬入させて頂く予定がありました。
この大きさでこの苦労だと、きちんとうまくいくのかどうか心配になるのでした。
頑張ります。

ナラのキッチン

2020.10.15

今日は稲城のMさんのところまで。
9時から雨になるって言われていたので、心配しておりましたがどうにか雨には降られずに住みました。
今回のキッチンはバックパネルとサイドパネルが特長なのですが、突板で仕上げているため、ちょうど角になる部分は「ヒモ」を回しているのです。
(なんで「ヒモ」って呼ぶのかは知らずに父からそのまま教わったまま使っていますね。)
突板だとどうしてもコーナー部分の強度に不安があったりするので、ぶつかりやすい角には無垢を練り付けるのです。
ですので、パネルをバラバラにして運べなくて。
そうなると玄関からは運べないから当然外から裏のリビングに面した掃き出し窓までもっていかなくちゃならないので、雨降りは困るなあと思っていたのです。
まずはその心配もなく無事に搬入できて、現場は思っていた以上に作業が進んでいて、もうクロスも張られていたので、他の職人さんはいらっしゃらず、私たちだけで快適に作業させて頂きました。
ありがとうございました。
玄関に小さな戸棚、キッチンに食器棚とペニンシュラキッチンを設置させて頂いて作業は完了。

次回は、この白っぽく見えるナラ材にオイルを塗るためのその塗り方をお伝えしにお邪魔致します。
Mさん、引き続きよろしくお願い致します。

タムキュー

2020.10.14

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先日、山梨のOさんのキッチンの取付に行き、作業が終わった後にカメラに詳しいOさんに教えてもらったレンズ。
「アキコとも最近よく話しているのが、もっと近づいて写真を撮りたい時があるよねって。マクロレンズというのですか、あのレンズを使ってみたくて。」
「ああ、いいですね、マクロ。おもしろいですよ。タムキューなんか使いやすくて良いですよ。」
「タムキュー?」
「タムロンの90ミリの中望遠のマクロレンズです。ボケがとてもふんわりとして柔らかい写真が撮れるのです。それと、90ミリですから、普段使いできますし金額も決して高くないので、とても使いやすいと思いますよ。」
と教えて頂いて、さっそく使ってみたのでした。
写真にとても詳しいわけではないので、何がどう違うかはよく分からないのですが、純粋に楽しい。
自分の目で見えていないところまで存在感が分かるってすごいなあ。

蜜蝋が入っているブリキ缶がこんなに生き生きとしていて。
クリのダイニングチェアの張地は前後が丸張り、左右が角がきちんと出るようにマチを取った張り方。
かなぐやさんに特注で作ってもらったタオル掛けのくすんできた感じ。
フェザーのクッションがグニュってなってる感じ。

良いことも良くないことも、もっとリアルに暮らしの様子を伝えられたら楽しそうだなあ。

Nさんのキッチン:スタッフ カイ君の制作日記

2020.10.14

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_dsc5971 ブログに
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今回のこのキッチンはステンレスカウンターとその奥につくニッチスペースが一体になった大きなカウンターになっています。
そして、それを木部がぐるりと取り囲むデザインになっています。
その木部ですが、バックパネルが無垢の幅接ぎ板でカウンターも無垢ですので、外面と内面ではどうしても調湿の差で木の動きが大きく出てしまいます。
以前に、その動きが読みくれなくて大きく家具に狂いが出てお客様にご迷惑をおかけしてしまったこともあるので、このあたりの作りは大変緊張します。
そのため、どのように組み立てると良いのか、その順序を何度も考えました。
最終的には、カウンターの天板(40ミリ厚の無垢材)と、その下の大きなバックパネル、そして側面にかぶさっている突板のサイドパネルを一度逆さまで合体させてから、またひっくり返してキッチンの構造部分にはめ込むというような少し大掛かりな方法に行き着きました。
巨大なパーツをお客様のお宅でひっくり返すときには緊張が走りましたが無事に予定通りに組み上げることができて良かったです。
工房と現場では同じ動作でも、少しのニュアンスの違いでうまく進まないこともあったりしますので。

また、もう一つ苦労した点は、大きくC面を取る(角を取る)デザインが随所に用いられている点があります。面取り加工自体は難しいものではないのですが、カウンターの天板とサイドパネルとが交わる部分があって、その接する部分は面を取ってしまっては変に隙間が開いてしますので、面をその場所で切り替え、再び露出する部分で面を細工し直して、と図面では読み取りづらい部分もあって大変作り甲斐のある形になりました。

また、食器棚の天板は奥行を広く取る方が使いやすい、というメリットを生かすために、勝手口のドアと干渉する部分だけを奥行を小さくして、あとは広く採るという変形したデザインになっています。
その変形に合わせて面取り加工も施していますので、とてもエッジのくっきりとした印象に仕上がりました。
そこに(ここも少し苦労しましたが)ダークブラウンの着色塗装(ウレタン塗装で着色する部分とオイル塗装で着色する部分とでの色合わせがなかなかシビアだったのです。)が合わさることでオリジナリティのある家具になりました。

ヤマザクラのキッチンバックボード

2020.10.13

本当は先週の10日に納品させて頂く予定だったUさんのサクラのバックボード。
あの日は台風が来るかもしれないし、来なくても雨風強いからということで、Uさんと相談して本日に延期させて頂いたのでした。
Uさんご主人は本日お仕事でお会いできず残念でしたが、やはり無理して土曜日にしなくてよかったな。
2階のキッチンまでうまく運べるように小分けにして作ったのですが、それでも奥行を大きく取った今回のこのサイズだと階段を回るのがギリギリで、あの雨風強い中で手間取っていたら、家具が汚れてしまったかもしれない。
家具は物でも、それを作るのはひと、使うのもひと。
みんなでいろいろ相談して作り、運び、納めるわけです。
届けているのはただのものではなく、使う人も作る人もその者に思いを込めて待ち、届けるわけです。
雨でも何でも濡れてもいいから届ける、というのではなく、その人やその家具があってそういう思いがあるわけですから、今日ここにこの家具が届けられたことはとても当たり前なことなのだと思うのです。
(うーん、分かりづらい文章・・。)

しかし、この奥行きにしてよかった。広い作業面ってとても使いやすいですからね。
Uさんのキッチンがかなり広かったので実現できたサイズですね。
とても使いやすいサイズになったと思います。奥様も「わーい。」と喜んでくださってキッチンが温かくなりました。
そして、サクラ。いつもよく使っているブラックチェリーとはまた違って、表面の手触りはブラックチェリーと同じくピシッとした感じですが色合いが柔らかい。どんなふうに色が変化していくのか楽しみです。
Uさん、ありがとうございました。