ホームオフィス

2021.08.09

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今日は大変荒れたお天気でしたね。
私たち家族の中では「社家マジック」というものがあって、社家駅(正確には東名高速の高架下)をくぐり抜けると、北と南でお天気が大きく変わるって思っております。
朝出がけの時は空は結構明るく陽射しも差していたのですが、高価下をくぐったとたんにぽつりぽつりと雨粒がやってきて、会社に着く頃は激しい土砂降り。
おかげさまで朝から自転車ごときれいさっぱりになったわけですが、このお天気だと今日の納品が心配だったのでした。
今回制作を担当したヒロセ君も昨晩「大丈夫でしょうか。」と連絡をくれたほど心配していて、お忙しいKさんのスケジュールを変えさせて頂くわけにもいかないので、もしもの場合は午後には雨が上がるようでしたからそれまで車内で待機するという形で都内まで出掛けてもらったのでした。
何しろこの大きな形で、さらにKさんのお住まいは古い集合住宅の1階ということで、部材の搬入はすべて外から回り込んでになるため、設置よりも搬入が一番の心配だったのです。
でも、どうにか小雨のタイミングを見計らって無事に搬入もできたようで、そのあとは工房で組んだように組み上げていって無事上棟。
リビングにもう一つの小屋ができた感じです。
下がベッドルームで、上がワークスペースになるという不思議な形が完成したのでした。

家具スケッチと製作例集を展示中です。

2021.08.09

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今日は、湘南T-SITEで開催中の「湘南移住フェア」の展示を観に行きました。私達も参加させていただいているのです。
展示の様子の写真撮影はNGということでしたので掲載できないのですが、2号館の建築デザインコーナーの真ん中の一部に木製雑貨とキッチンカタログと家具・キッチンのスケッチ集2冊と製作例写真集1冊(紺色の冊子です2枚目の写真を参考にしてください。)合計3冊を展示していただいてます。
自由に閲覧できるようになっておりますので、この機会にぜひ手に取ってご覧くださいね。
そして、キッチンカタログ(No.1のみですが)は各自一部ずつお持ち帰りいただいてよいようになっておりますので、「キッチンカタログに興味あるけど、注文しないかもしれないから、名前と住所知らせるの嫌だな。」という方にはよい機会だと思いますよ。(3枚目の写真をご参照ください。本屋さんですのでお間違いのないようにお願いいたします。)
今回の展示内容を決めたきっかけは、前回「湘南料理道具市」にキッチンを展示した時にお客様とT-SITEの方から頂いたご意見からなのです。このスケッチ集の展示を「これいいですよね~。」と熱心に見ていただけたのです。ひとつひとつお客様の形を考えて作っていますということが伝わりやすかったのかなと思います。大勢の方にいい反応があるものは難しくてよくわかりませんので、いただいた言葉ひとつひとつに応えていくのが自分たちらしいのではないかと思っています。よく考えてみたら、オーダーキッチン・オーダー家具を作る私たちの仕事のスタイルを表しているのだなと気づきました。
展示は9月16日まで開催中ですので、無理のない範囲でお出かけください。よろしくお願い致します。

夏季休業期間のお知らせ

2021.08.08

来週はお盆休みなのですね。お出かけなどの予定も立てられないのでピンと来ていませんでしたが…。
お知らせが間近になってしまいましたが、今年はオリンピックで祝日が変わったりしていますね。
私達は8月11日(水)から8月15日(日)の間、工房・ショールーム共にお休みをいただきます。
家具についてのご相談・お問い合わせ・カタログ請求、木製雑貨のご注文についてのメール・お電話等の返信に関しましても、すべて8月16日(月)から順次対応させていただきますので、ご了承ください。
キッチンカタログ請求・木製雑貨ご注文分の発送につきましては、8月10日の午前中までにご連絡いただいた分に関しては休業前に発送の手配をさせていただきます。
それでは皆様どうぞよろしくお願いいたします。

ヤキかスイか

2021.08.05

水曜日はなるべく早めに仕事を終わらせましょうとするdayですので、みんなも定時で帰ってしまいました。
私も先ほどアキコに餃子作りを手伝うよ、と伝えたのですから、早めに仕事を切り上げて帰ろうかなと思っているのですが、アイがなかなか帰ってきません。
最近の彼は、朝ご飯を食べたらスッと外に出かけてしまって、そのままずっと夕方まで倉庫の下で饅頭のように丸くなっているのです。
どうやらグレーの子(なかなか強いオスのネコさんでアイとはかなり仲が悪い。というかアイのほうが感じが悪い。もっと仲良くやればいいのに。)が表れるのをひたすら待っているようですが、さすがに18時近くになると一度帰ってくるのですが、今日はまだのようで、うーんもう、うーんもう、やきもきしながら待っていると、ノガミ君がかえって少し経った頃にようやくドアをカリカリ引っかく音がして帰ってきたのが分かったのでした。
「ハイ、ではご飯ね。」とご飯を上げたら一気に食べちゃって、一日外にいちゃおなかもすくだろうと思っていたら、すぐにゲコゲコ吐き戻しちゃって・・・。
今食べたものそのまま出てきちゃったじゃないか・・。
戻したものを片づけていたら(もう一度ご飯をちょうだい)というので、「ゆっくり食べなさいよ。」と伝えていくつかあげたら今度は満足したようで、また饅頭のように丸くゴロゴロとやっておりました。
「それじゃあ帰るね。」と日が落ち始めて段々と暗くなる頃に「ただいま。」
「おかえりなさい。お姉ちゃんはさっき塾まで出掛けちゃったし、チィちゃん全然手伝ってくれなくて。」とちょっとふてくされ気味に笑うアキコ。
「あら、それは大変だったねえ。ただいまチィ、餃子はどっちが良い?」
書きかけのノートの手を止めて「おかえり。ヤキかな。」あら、勉強しているのね。
「チアキはヤキがいいらしい。」
「ヤキか。」
どうやらアキコはスイが良かったらしい。

ひのきの台

2021.08.04

先日、玄関に飾り棚を作らせて頂いたKさん。
今回は、お賽銭箱の下に置かれる台を作らせて頂きました。
今までの位置だと、靴を脱いで階段を上がらないとお賽銭箱まで届かなかったので、台を置いた分お賽銭箱を手前に引き出せましたので、これで今までよりも心地よくお参りできるのではないかと思います。
むかしに比べると、何となくこういう細かな仕事を気軽に頼みづらくなってきているように思えます、というお話を住職がされていました。
今はとてもたくさんの情報がすぐに手に入れられるようになってきた代わりに、何を基準に選ぶと良いのか迷うことが多くなってきているようにも思えます。
「だから、イマイさんみたいに気軽に相談できてすぐに返事がある人がそばに居るというのは、私たちのように家具や建築に詳しくない者にとってはとてもありがたい人なんですよ。」
とうれしい言葉を頂きました。

日刊Sumaiに記事が掲載されています。

2021.08.01

今回12回目の記事掲載となります。イマイダイスケのライター活動、今回のテーマはダイニングで使う椅子についてです。
様々な形がある椅子。デザインに惹かれるけど使いづらくても困る、毎日使う椅子だからできれば長く使っていきたい、など購入を考える時に色々悩まれるポイントがあると思います。
家具屋が我が家の子供達との暮らしを通して感じたことを書いていますので、これからの暮らしづくりのひとつの意見としてご参考になればいいなと思います。興味のある方は是非読んでみてくださいね。
写真は娘たちが小さい時にショールームのハイスツールに座っている時のものです。ちなみに、私は小さい子がいる家庭にはハイスツールはお勧めしていません。子供たちは座りたがりますが、落ちそうで怖いですし、倒れると床が凹む可能性も高いので。もし倒れそうになっても自分で脚を着いて「おっとっと。」と構えられるくらいの体の大きさになれば大丈夫かもしれませんね。

日刊Sumai→暮らし→インテリア・雑貨→「チェア、ベンチ、スツール…ダイニングに向くのは?イスの使い分けと選び方」

湘南T-SITE「湘南移住フェア」に参加します。

2021.07.31

暮らし方を見直すきっかけは人それぞれだと思います。家族が増える・勤務先が変わるなど様々ですよね。
コロナ禍の生活が始まり、在宅ワークに働き方が変わった方もいらっしゃると思います。ここまで長く大きな出来事があると物事の考え方が変わってもおかしくないと思います。
以前家具やキッチンを作らせて頂いた都内のお客様から「実は引っ越しをしまして、今井さんの工房に前よりも近くなったのですよ。」と時々お知らせを頂けることもあります。(「持っていける家具は持っていきましたが、作りつけの家具は置いて行った方が査定額が上がったので置いていきました。」などご連絡をいただきます。もちろん新居に持っていくので、外して取付る作業だけお願いできますか?という方にも対応していますので大丈夫ですよ。いずれにしても今でもお役に立てているようでしたらよかったです。笑)
海と山に囲まれていながら都会へのアクセスもしやすい湘南の暮らしってどういうものなのだろう?と思われている方に、湘南T-SITEに実際に足を運びその道中街並みを見ながら場所を確認して、T-SITEでは湘南の家づくりをお手伝いしているハウスメーカーさんや工務店さん、そして私たちのようなオーダーキッチンや家具を作っている工房もありますよということを知っていただければと思います。
と告知しようと思っていたのですが、再び緊急事態宣言下となってしまいました。
今回は資料の展示のみとなります。
私たちの出店は、家具やキッチンのスケッチ集と製作例集の展示(合計3冊)・カタログ「木のキッチンがある暮らし」NO.1の無料お渡し・木製雑貨の展示となります。興味のある方はご無理のない範囲でご覧いただけたらうれしいです。よろしくお願い致します。

湘南T-SITE「湘南移住フェア」
8月1日~9月16日開催

ウェブサイト更新

2021.07.27

ナラとステンレスのL型キッチンと作業台
内田雄介さん設計の住宅に作らせて頂いた二世帯で使うOさんの魅力的なL型キッチンのお話と、

ブラックチェリーのテレビボードとベンチと本棚
チェリーで作ったL型のテレビボードとベンチチェスト、そして本棚が一体になったKさんの家具のお話と、

クルミのダイニングテーブルと椅子
クルミを使ってテーブルと二種類のダイニングチェアを作らせて頂いて、それぞれがやさしい形にまとまったNさんのお話の3つの制作例を掲載しました。

もしよろしかったらご覧になってください。

ゆらり

2021.09.02

「アメリカンチェリーの食器棚のオーダー」

つきみ野 N様

design:Nさん
planning:daisuke imai
producer:masakane murakami
painting:hiroyuki kai

アメリカンチェリーの食器棚

キッチン越しにダイニングから見た食器棚の様子。吊戸棚の上の空間があることで軽やかな印象になっているように思えませんか。特にアメリカンチェリーは赤く色濃くなっていくので、重々しくないように見えるのはすてきです。


アメリカンチェリーの食器棚

全体の様子。冷蔵庫の上まで作り込みましたので、吊戸棚のボリュームが大きいのです。タイルの印象もとても良い具合です。

「初めまして。大和市のNと申します。
入居してちょうど10年になる我が家ですが、この度キッチンの収納棚を作りたいと考えていまして、以前よりホームページを拝見していたイマイさんにお願いしたいと思い連絡させて頂きました。「彩られていく」「すきになる」「身近なものから良い色を」「新しいおようふくでとてもうれしい」等がイメージに近く、ごちゃごちゃしていますが図も描いてみました。
ダイニングテーブルに合わせて、チェリー材を考えています。
また、オーブンレンジ等のすぐ上の棚は、アンティーク調の波のガラスを入れたいです。この懐かしい感じのガラスがとても好きなので、こだわりたいところなんです。
根菜バスケットや、お皿を置ける可動式トレーなども検討したいです。
よろしくお願い致します。」

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Nさんから頂いたスケッチ。とても良く描きこまれていて分かりやすいです。こういうふうにお送り頂けると、これは問題なくできること、これは工夫すればできること、これは難しいかもと判断しながら見積できるので大助かりです。

Nさんからメールを頂きました。
いろいろと書き込んでくださっていて思いが伝わってきますね。
家具のご相談を頂ける時に、「スケッチは苦手で・・。」と言われてしまうことがあるのですが、もし可能でしたら、どんな形でも良いのでNさんのようにいろいろと希望を描いて頂けるととても助かります。
例えば数字を足していくと寸法が合わなかったり、とても大きな引き出しを描いちゃっていたり、シンクが大きすぎてキッチンに納まらなかったり、と細かい部分が合っていなくても全然良いのです。
どんな形を思っているのかが文章よりも絵で書いてもらった方がとてもよく伝わります。
その上で私のほうからいろいろと質問させて頂きながら形や費用を考えていきますので、まずはその取っ掛かりとして、このようなスケッチが頂けるととてもありがたいのです。

アメリカンチェリーの食器棚

それをもとに私のほうでもスケッチを描きました。家具を使いたい人と家具を作る人がイメージを共有させることが大切です。

さっそくスケッチを拝見させて頂いて、確認したい部分をメールで質問させて頂き、おおよそ内容が把握できたところでまずは制作するために掛かる費用を概算でお伝えします。

アメリカンチェリーの食器棚

吊戸棚の様子。今回は、戸棚の内寸の奥行を400ミリにするということで、外寸法で441ミリで作っています。冷蔵の上の戸棚もそれに合わせて同じ奥行で。


アメリカンチェリーの食器棚

中は白いポリエステル化粧板です。できれば内部も同じチェリーの突板で作れると良いのでしょうけれど、コストが高くなってしまうことと、オイル塗装にしてもウレタン塗装にしても、なかなか塗料の匂いがこもってしまうことがありますので、化粧板で仕上げることが多いのです。

余談ですが・・・。
よく「どこまでを無料で行なって頂けるのでしょうか。」というご質問を頂くのですが、この概算の金額をお知らせするところまでを無料で行なっております。
このあとにその金額をご覧頂いて、何回かメールをやり取りするところももちろん無料ですが、具体的に図面を描いて形を考えていくところからは、家具制作のご依頼をきちんと頂いてから進めることにしております。
と言いますのも、以前にも書いたことがあるのですが、一生懸命考えた図面をそのままほかの家具屋さんで制作されていたことがありまして・・、たまたま知っている家具屋さんでそのウェブサイトを見ていたら、あの時に書いた図面の通りの形の家具の写真が出ていて、ちょっと淋しくなったのです。
もちろんその家具屋さんは私たちが考えた形というのは知らないまま制作をされたのだと思うのですが、そういうことってやっぱり淋しいのです。
反対に私たちのところにも他の家具屋さんが描いてくださった図面を持って相談に来られる方もいらっしゃいます。
こういう建築の世界は分かりにくい部分も多くありますので、もちろんその人自身も他の家具屋さんが描いてくださった図面を持ち込むこと自体が良いことなのか良くないことなのかの判断は難しいと思います。
ただ言えることはその家具屋さんがその人のことを思って描いた図面でしょうから、それをそのまま使わせて頂くのは、あまり良くないことだと思いますので、そのような場合は「その形を参考に」ということで図面を拝見させて頂いてその人自身の形を考えていくためのきっかけとして参考にさせて頂いております。
そこから私たちで実現できる形に変えていくことでその人自身、また私たち自分のオリジナルの形を作るようにしております。
今回、Nさんはそのようなことなく、今まで胸に秘めていた思いをすべてスケッチで知らせてくださいました。

アメリカンチェリーの食器棚

こちらがNさん念願の格子扉。ガラスはウォーターテクスチャーという水が流れるようなラインが特長のガラスを使っています。


アメリカンチェリーの食器棚

格子扉は上に向かって開く扉です。ちょっと面白いのはステーが付くので、上段の可動棚の奥行を狭くしている部分。高さの違う収納のしかたができるのは、かえって使い勝手が良いかも。ステーはどこでも止まるフリーストップステーを使っています。ソフトダウンステーのようにゆっくり閉まるものではないのですが、初動作の軽さが大変好評で、特に女性が毎日開け閉めすることが多い食器棚ですので、「疲れなくて良いです。」という声を皆さんから頂いております。


アメリカンチェリーの食器棚

高さの異なる食器をしまう様子。見せ方がとても丁寧に見えて美しいのです。

お話を戻しまして、Nさんに概算の費用を見て頂いて、そこから何度かメールでやり取りして、おおよその予算の感じをNさんにご理解頂きまして、制作のご依頼を頂けることになりました。
そのタイミングでNさんが工房までいらしてくださいました。
以前から私たちのウェブサイトをご覧くださっていたということで、いろいろな形ができることをあらためてご説明しますが、イメージにぶれがありません。
すばらしい。
こういうお話合いって、お話しながら思い描いていた形が実は自分の暮らしかたと合っていないと気づくことも多くあったりするのですが、さすがNさん。
ただ、ひとつ迷っていたのは、ガラスを入れる戸を開き扉にするか、引き戸にするか・。
最初は使い勝手を考えて開けっぱなしにできる引き戸にしようと考えていたのです。ただ、ガラスもユラユラとした昔よく見たようなガラスをイメージしていたので、和の印象に近づきすぎてしまうのではないかという思いもあり・・。
イメージとしてはフレンチカントリー(というのでしょうか。)のイメージがあって、細い枠の印象とガラスがそのイメージを大きく担うことになりそうです。
ひとまずその場は引き戸でお話を進めることになりまして、続いて頂いた細かなご要望に合わせて図面を作成してきます。
寸法が分かるとしまいたいものがしまえるかどうかも分かってくるので、よりイメージが具体化されてきますね。
そうして図面を見て頂きまして、さらに詳細な部分について打ち合わせするために今度はNさんのお宅にお伺いします。

アメリカンチェリーの食器棚

カウンターより下の様子。まず一番左はゴミ箱スペースで、両開き式のフタになっているケユカのアロッツを使っています。その上は引き出しなのですが、最上段はスライドテーブルになっているのです。

Nさんのお住まいはつきみ野。まだアキコと結婚する前はここから少し行ったところが彼女の実家でしたので、このあたりはよく通りました。美味しいケーキ屋さんがあったり、焼肉屋さんがあったりしてね、懐かしいのですよ。そんなことを考えながら、Nさんのところに到着。

アメリカンチェリーの食器棚

2段とも引き出すとこのような感じ。最上段のスライドテーブルはちょっとした調理作業に使えるようにというNさんのご要望。


アメリカンチェリーの食器棚

下段はカトラリー用の引き出しになっています。こうやってスライドテーブルと並べてみると、スライドテーブルはチェリー材で仕上げて、引き出しは白いポリエステル化粧板で仕上げている、という違いがあります。本当は引き出しも全てチェリー材で作れると良いのですが、板作りからしなければならないことと、塗装もし投げればならないことを考えると、けっこうコストが上がってしまうので、基本的にしまっていることが前提の引き出しはコストを抑えて白い素材で、引き出して使われることが多いという前提のスライドテーブルは外と同じチェリー材で、という分け方をしています。

キッチンは1階ということで搬入は特に問題なく行なえそうなことが分かりまして、さっそくそれから設置場所を拝見させて頂き、さらにNさんの暮らしかたにこの形が良いかどうかをいろいろと打ち合わせしていきます。冷蔵庫のスペースの割付(コンセントの位置がちょっとネックでした)やタイルを張る部分の印象、システムキッチンとこれから作る食器棚との距離など、思いつく限りの細かい部分について打ち合わせしていきます。
この「家具設置場所が1階」という状況が意外に私たちにとっての作業のしやすさを分ける要因でもあったります。
一般的に2階建て以上が多くなっている戸建住宅ですが、明るい場所で過ごしたい、ということで2階にリビングダイニングキッチンを持ってくるご家庭は比較的多かったりします。また、2階に上がる階段はぐるりと回っている階段のお宅も多かったりします。
そうなると、階段を使って2階に大きな家具を運び入れるのはなかなか難しいのです。
そこで、その場合はバルコニーから荷揚げするのですが、そうなるといつもよりも1人以上人員を増やす費用があったり、お天気が悪いと荷揚げができなかったり、お天気が良くて人手も十分あるのに重すぎて上がらない、なんていう場合もあったりします。
先日はちょっと大きめの食器棚を荷揚げしようと思ったら、最近のソフトクローズするスライドレールって結構重くて、それが引き出し10杯分くらいについていると、ロープで引き揚げることが想定以上に大変だったのでした。それで、急きょその場でレールをすべて外して無事に揚げたりしたことがありました。
それから、キッチンで時々あるのが、クォーツストーンなどの重い石の天板やステンレスでも5ミリくらいの分厚い天板。作ることはできてもその場所に届けられない状況も時々あるのです。
でも、2階のほうが温かくて気持ち良いですからね、そういう間取りになるのはとても自然なことなのですが。
そういうわけで今回はすんなり進めることができそうでう。

すんなり、と思っているなかでも、ちょっと手間取りそうに思えたのは、すでにNさんご家族がここにお住まいなので、冷蔵庫の上の戸棚をつける時に冷蔵庫を大きく動かしづらいとくらいかな。
今回のような形の場合、右も左も壁にまできっちり作り込むわけですから、その間口ピッタリで家具を作るというわけにはいきません。
むかし壁~壁ピッタリで作ったら(と言っても3ミリほどは小さくしておきますが)、壁の奥のほうが狭くなっていて、途中でつっかえてしまって、寸法を詰めないといけないこともあったりしましたので。
ですので、最近はだいたい間口の10ミリ~15ミリくらいは小さく家具を作っておきます。
(時には、ピタピタに近い寸法で作ることもありますが、それは自分自身できちんと採寸して、問題ないと思えた場合だけにしています。)
そして、家具設置後にその隙間が空いた部分を同じ仕上げ材で埋めていくのです。
今回の場合は、左にその隙間を作ってしまうとダイニングから丸見えだし、食器棚の天板が壁と大きく離れてしまうとみっともなくなっちゃいます。
そうなると、必然的に冷蔵庫の上の戸棚のあたりに隙間を持ってきて埋めることになるのですが、今回のNさんの形はまだよかったのですが、「冷蔵庫の上だと奥行きが深い戸棚にしないと使いにくい」という考え方もあったりするので、そういう場合に奥行き600ミリくらいの戸棚を作ることもあります。(吊戸棚は奥行がありすぎるとよけいに手が届かなくなるので、かえって使いにくくなるということもあり、最近はあまり奥行を深くしないことが多くなりました。)
で、奥行きが深い戸棚の隙間を埋める場合、冷蔵庫があると奥の方が手が届かないのです。
そこで冷蔵庫を手前に出したりしながら作業していくのですが、すでに食器棚が設置された後でこの作業をしていくので、冷蔵庫の奥に入っていくスペース的な余裕がなかったりしてなかなか大変なのです。
でも、今回は冷蔵庫上の戸棚の奥行は狭く作るので、それほど苦労せずに作業できそうです。

アメリカンチェリーの食器棚

中央列の1段目の引き出しの様子。


アメリカンチェリーの食器棚

中央列の2段目の引き出しの様子。


アメリカンチェリーの食器棚

中央列の3段目の引き出しの様子。


アメリカンチェリーの食器棚

中央列の4段目の引き出しの様子。引き出しは使い勝手を優先させる形でなければ、上から下に向かって深くなっている形が美しいと思っておりまして、一番下はこのように20センチくらいの深さにすることが多いです。

それから、忘れてはいけないのがタイルです。
今回吊戸棚とカウンターの間の壁にタイルを張りたい、というものNさんの強いご要望。
少しグレーでツヤのあまりないもの、もしくは揺らいで光っている様子が分散してキラキラしすぎないものなどといろいろと考えていて、さらに貼り方も最初はヘリンボーン柄に張っていこうと考えておりました。
ただ、お話を進めていくうちにタイルのカットする面とそのまま使用する面の木口の見え方が気になってしまうことや、普通の貼りかたよりも手間が増えることなどを考えて、今回は馬貼りで仕上げることにしました。
色もとても良い色が見つかりましたので、シンプルな貼りかたでとても良く映えると思うのです。
そして、格子扉の部分。
引き戸のプランから、今度は素材をチェリー材ではなく、アイアンで作る引き戸にする方向に話が広がっていって、最終的に見た目をシンプルにしてガラスが引き立つようにすることと、コストを抑えることを考えて、上に開く形になったのでした。

アメリカンチェリーの食器棚

こちらは右列の1段目の引き出しの様子。


アメリカンチェリーの食器棚

こちらは右列の2段目の引き出しの様子。


アメリカンチェリーの食器棚

こちらは右列の3段目の引き出しの様子。


アメリカンチェリーの食器棚

右列位置b何下は根菜をしまうためのステンレスバスケットを備えました。もちろんバスケットガイドは同じチェリー材で制作して、スライドして使えるようにしています。このアトムのバスケットはすでに廃番になっているので、私たちが持っているあと5個で在庫が無くなっちゃうのですが、そのあとはオリジナルサイズで作って頂ける予定ですのでご安心ください。

そういう諸々のことなども確認しまして、いよいよ制作ですね。
今回は作りはそれほど複雑なものではないのですが、(と、言いましても格子扉のような複雑な作りはあるのですが、)最近あまりやらなかった加工を取り入れることにしました。
それは、冷蔵庫のコンセントを戸棚で内包するという形です。
こういうイレギュラーな形にすると、何かあったら対応しづらくなるといけないと思って、最近はなるべくシンプルな構造を心がけているのですが、今回ばかりは家具全体の印象を優先させてこの方法を採ることに。
というものコンセントを隠さないようにすると吊戸棚全体を上にずらさないといけなくなるので、せっかく吊戸棚の上と天井の間を開けて軽い印象を出したのが薄れてしまうのです。
また、吊戸棚を上にあげることに伴って、格子扉も上にあげる、もしくは高さを延ばすと野暮ったくなっちゃう。
コンセント自体は半ば隠れても、何かあったら器具が交換できるようにしておけば大丈夫なので、内包するようなデザインにすることにしたのです。

アメリカンチェリーの食器棚

吊戸棚の背板と冷蔵庫のコンセントの関わり部分。このようにすることで、吊戸棚のサイズを変えることなく、コンセントの抜き差しに支障が出ないような形にできました。

こうして、すべてうまく作ることができ、設置工事も無事に終わりました。
さて、ここからはいつも内装工事でお世話になっているkotiの伊藤さんと交代してタイルを施工してもらいまして、無事に施工完了。

アメリカンチェリーの食器棚

最近はこの真鍮磨き仕上げのハンドルを使うことが多いです。子のハンドルはお客様から教えてもらってメーカーさんのものでサイズは直径8ミリという絶妙なサイズです。10ミリだと少し太く感じて、6ミリや7ミリという細くてとても美しいサイズ感のものもあるのですが、よほど堅い木じゃないと使っているうちにがたつくのです。基本的に木は家具として完成した後も調湿するので、ハンドルはわずかに緩むことが多いのです。これは無垢材も合板も同じです。そうした場合はネジを増し締めすればよいのですが、ナラのように硬い木なら大丈夫かもしれませんが、合板やそれほど硬くない無垢材の場合は増し締めしすぎると、ハンドルの直径が細いから木のほうにハンドルがめり込んでしまうことがあるのです。めり込んじゃうと、もういくら締めてもだめになってしまうので、あまり細いハンドルはそのあたりのリスクを考慮頂いて使っています。また、千沙尚子さんがいるご家庭の場合、ハンドルを引く時に使うだけではなくて、なぜか上からグッと体重を掛けちゃうこともあったりします。そうなると、同様に木の中にめり込んじゃうので、もうガタついちゃうのです。8ミリだと幾分太いからそういった心配が少ないので、今はこの8ミリを主に使っているのです。

そのあと、うっかり工事の時に床に敷いていた毛布を置き忘れてしまいまして、それを引き取りにお伺いするタイミングでキッチンの使っている様子を拝見させて頂きました。
チェリーの木目の印象も、ガラスとタイルのゆらりとした具合も全てがとても心地よく整っていました。
また、1年も経つと色の淡いチェリーが少しずつ色濃く、ツヤも出てきます。
その時からがまた楽しみですね。

「イマイ様
すてきな食器棚を作って頂き、本当にありがとうございました。
想像していた以上に綺麗な仕上がりで、家族全員とても喜んでいます。
格子のガラス戸も大大大満足です!
写真、掲載してくださるんですね〜
食器も揃ってなくて恥ずかしいですが楽しみにしております(笑)
では今後ともよろしくお願いします。」

ステンドグラスを使ったアメリカンチェリーの食器棚

価格:830,000円(制作費・塗装費)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は13,000円から、取付施工費は50,000円から)

緑を見ながらお料理を

2021.07.27

「ナラとステンレスのオーダーキッチン」

調布 O様

design:内田雄介設計室/daisuke imai
planning:内田雄介設計室/daisuke imai
producer:hiroyuki kai
painting:hiroyuki kai

内田雄介さんからご相談のお電話を頂きました。
「イマイさん、今度調布で新築の住宅を手掛けさせてもらうことになりまして、またキッチンをイマイさんにお願いしたいのです。」
いつもの優しい口調です。
今から8年ほど前に内田さんのご自宅のキッチンを作らせて頂いて以来、内田さんの作る住宅にはいろいろな形でキッチンや食器棚などを作らせて頂いていて、とてもうれしいお付き合いが続いております。
時には板が大きく反りかえってしまって、部分的に作り直したお客様もいらっしゃいましたが、それでもこうしてご相談頂けるというのはうれしいことです。
でも、相談頂ける以上に内田さんとお会いする機会ができることがうれしくて、彼の素朴で優しい語り口とアトリエのある稲城という健やかな風が吹いている街並みが好きで、声を掛けて頂けるといそいそと出掛けていくのです。

ナラとステンレスのL型キッチンと作業台

ダイニングから見た様子。キッチンに入って90度曲がって左に行くとパントリーというか少し広い納戸になっています。その納戸からまた玄関のほうにアクセスできるすてきなレイアウト。

ナラとステンレスのL型キッチンと作業台

キッチン入り口の様子。

ナラとステンレスのL型キッチンと作業台

冷蔵庫あたりから見渡すとこのような感じ。とても明るいキッチン。

ナラとステンレスのL型キッチンと作業台

そして、コンロあたりの突きあたりから見るとこのような感じ。

ナラとステンレスのL型キッチンと作業台

そして、パントリーから見た様子。内田さんの自邸と同じく、吊戸棚はホワイトで下のキャビネットだけ木目の印象が良く出るようにしています。内田さんの自邸はEP塗装仕上げでしたがもう少しお手入れが楽にしたいということで、今回のホワイト部分はウレタン塗装で仕上げています。

「こんにちは、お世話になります。」
今回のOさんは二世帯住宅を計画されていて、内田さんのプランでは、お母様と息子さんご夫婦が一緒に使うキッチンということで結構大きなキッチンスペースを取っていました。L型に配置されているのは、「お母様が外を見ながら料理がしたいのです。」という思いを叶えるための配置。
どんなキッチンになるのかな、と私も思いを巡らせながら、話を伺います。

ナラとステンレスのL型キッチンと作業台

シンクは洗剤ポケット付きシンク。

ナラとステンレスのL型キッチンと作業台

水切りには水切りかごと併用して水切りラックも使っています。

以前にもお話したことがありますが、私のお話の進め方は、私たちができること、暮らしかたがこういうふうに変わるだろうという少し先の未来をお伝えすること、そう言うカードをすべてお見せしてから、そこに住まう人が「ああ、私だったらその中からこういう形が好きだな。」とか「こういう使い方をして、こう時間を過ごしたいな。」という思いを巡らせながら必要なカードを取捨していく、というような進め方です。
そして、それは私たちのウェブサイトをご覧くださってみる皆さんには良く伝わるのです。
事前に私たちがどのようなものを作る家具屋かを知っていらっしゃるので、私からの話も、皆さんからのお話もスゥーっと入っていくのです。

ナラとステンレスのL型キッチンと作業台

シンク下の様子。本体でしたら壁付けキッチンの場合は壁にコンセントをつけることが多いのですが、今回はワークトップのすぐ上が窓になるため、コンセントボックスるを埋め込むことが難しい構造だったので、ここにコンセントをつけています。その下にはタオル掛け。基本的にタオル掛けの位置とシンク排水口の位置は合わせることが多いです。なぜなのかはきっとどこかの制作例で書いてあると思います。

ナラとステンレスのL型キッチンと作業台

L型の場合にどうしても活用しづらくなってしまう奥のスペース。今回はシンク下をオープンにしたので、比較的アクセスしやすい形にすることができたいと思います。

でも、直接ご相談を頂いていない場合、例えば今回のように内田さんが私たちを進めてくださっている場合は、お施主様が私たちを気に入ってくれるかどうかは何とも言えない難しいところです。
さいわい、内田さんからご紹介頂くお施主様たちはどの方も印象が同じように優しく、近い思いを持ってくださっているのが分かります。
でも、私自身は内田さんの設計よりももっと野暮ったい(これは失礼なのかどうか・・。)形が好きで、野暮ったいという表現があっているかどうか分からないのですが、自宅を建てる時に友人の福原さんには「どこか野暮ったい形が好きなのです。格好良い感じにはしなくて良いので。」と訳の分からないだろう要望を伝えておりました。(福原さんも内田さんのように凛とした物静かな設計をするので、失礼だったかもしれません・・)
格好良いふうにまとめてしまうと、暮らしが地につかないように思えてしまって。

ナラとステンレスのL型キッチンと作業台

シンク左隣の引き出しの様子。

ナラとステンレスのL型キッチンと作業台

シンク左隣の引き出しの様子。

ナラとステンレスのL型キッチンと作業台

シンク左隣の引き出しの様子。

ナラとステンレスのL型キッチンと作業台

シンク左隣の引き出しの様子。

ナラとステンレスのL型キッチンと作業台

シンク左隣のさらに左隣の引き出しの様子。コンロが近いということもあって、ワイヤーシェルフに入りきらない鍋類を収納。

ナラとステンレスのL型キッチンと作業台

シンク左隣のさらに左隣の引き出しの様子。

ナラとステンレスのL型キッチンと作業台

シンク左隣のさらに左隣の引き出しの様子。

だから、家の玄関にダンゴムシがゴロゴロしていてもうれしいし、庭なんてシダがもじゃもじゃだったりして、毎晩ヤモリがお帰りって言ってくれて、この前は親分のような大きなウシガエルが出迎えてくれたし。
いろんな生き物の生き方も全部ありのまま暮らしているって様子が分かるようでありたいって思っているのです。
そうなると、なんだか野暮ったい感じが好きなのです。
だから、突き詰めていくと、内田さんの設計する家やお話される暮らしかたはとても好きだけど、イマイさんの考え方はちょっとなあ・・。と思う方もいらっしゃるのではないかと思うのです。
直接ご相談を頂いていない場合のちょっとした不安がそういう形でいつも自分の隅っこに置かれているのですが、内田さんの設計が好きな方はやっぱり近い思いの方が多くてうれしいのです。

ナラとステンレスのL型キッチンと作業台

ガスコンロはリンナイのデリシア。そして奥に並ぶスパイスたち。

ナラとステンレスのL型キッチンと作業台

ガスコンロの下はスライドワイヤーシェルフ。

ナラとステンレスのL型キッチンと作業台

一番端は調味料用の引き出し。

ナラとステンレスのL型キッチンと作業台

ここはボトル用の引き出し。

ということで、何となくOさんの印象が分かったところで、先ほどの私たちのカードをすべてお伝えしていきます。
内田さんは時々納まりを確認されるくらいで基本的に聞き役。
キッチンはいつも私にお任せしてくださるのでうれしいです。
で、私も「どんな形でもできますよ。」とお伝えしている割には、こういう形だとメリットが多いように思えるという話し方になることが多くて、何となく皆さんのキッチンの印象が近い感じになってしまったりします。
でも、私が不安に思っていることでも実際は違うこともあったりします。
例えば、引き出しの中の素材のこと。

ナラとステンレスのL型キッチンと作業台

冷蔵庫の隣にはオーブンレンジ。オーブンレンジをカウンターの下に収納する場合は、この写真のように左右と上方を広く放熱できるようにスペースを取らないといけません。このあたりを考えると、天板の上にほうがスペースに無駄がないと考える方もいらっしゃるので、悩みどころですね。

ナラとステンレスのL型キッチンと作業台

下の引き出しには時々使用する卓上用のIHヒーターなどが入っていました。

もう、20年くらい前でしょうかね。
あるお客様のお宅に食器棚を作らせて頂いたことがあったのですが、そこに調味料のボトルがしまえるような深めの引き出しを作ってしばらくの間使われていたのですが、うっかりお醤油をこぼしてしまったということでお手入れできないかどうかを確認しに伺ったのですが、シナ合板で作っていた引き出しだったのですが、塗装はしていなかったものですので、お醤油がしっかり染みこんでしまっていました。
シミは引き出しを開けない限りは見えないので気にならないということになったのですが、お醤油に匂いって結構強くて、他の引き出しにも映ってしまいそうなくらい強い香りで、それが全く薄まることがなかったため、引き出しを作り替えたことがあったのです。
それからは引き出しの中までオイル塗装やウレタン塗装をすることもあったのですが、塗るのにそれなりに手間が掛かることと、良かれと思って塗装して納品したら、塗料の匂いが引き出しを開けるたびにいつまでもするのでちょっと・・、と言われてしまったこともあり、その時に何事も一長一短なのだなあと思い知らされたのです。
そこで、今では特に強い希望がない限りは引き出しの中は白いポリエステル化粧板を使って作っています。
(金物メーカーから出ているスチール製の側板の引き出しもありますが、あれはあまり使っていません。なぜなのかはまた別の機会に。)
ポリエステル化粧板にすれば、シミになりにくいし、またポツポツしたカビが出たこともあったのですが、化粧板だと拭き取れば除去できましたので。

ナラとステンレスのL型キッチンと作業台

レンジフードは富士工業のCLRL-ECSシリーズ。ダクトカバーとなる前幕板の代わりに吊戸棚と印象を揃えてウレタン塗りつぶしのパネルを取り付けています。

ナラとステンレスのL型キッチンと作業台

吊戸棚内部の様子。

ナラとステンレスのL型キッチンと作業台

ここにエアコンを設置しています。これも内田さんの自邸と同じアイデア。

ということで、いつも私たちのキッチンを見に来て下さる皆さんには、このお話をさせて頂いて、素材を選んで頂くのですが、こういう話し方をするとだいたい皆さんポリエステル化粧板にされるのです。
それはそうですよね。
でも当の我が家はシナ合板無塗装です。「なんだよ、言っていることと違うじゃないか。」と思うかもしれませんが、やっぱり手触りや印象が良いかと思いまして。その代わり調味料のところだけは化粧板にしています。
調味料以外は特にこぼれるものは少なく(我が家は塩コショウだけシナ合板の引き出しなので、それはポロポロこぼれています。)て、匂いの問題も特にないので、今のところ不便はないかなと思いまして。
そういう良い面と悪い面をお伝えしてそこから皆さんに選んでもらうのですが、やっぱりそういう話を聞くと、できあがる形はどこか似てしまう部分があります。
でも、その分使い心地は明快で使いやすいと思います。

ということで、Oさんの意見を取り入れながら、そして内田さんテイストももちろん組み入れながら、どこかで見たことがあるような気がするけれどここにしかない形ができあがりました。

ナラとステンレスのL型キッチンと作業台

こちらがペニンシュラ型の作業台。トップはキッチンと同じくステンレスにして、ダイニング側からはステンレスが見えないようにサイドパネルとバックパネルを立ち上げています。バックパネルは内田さんのデザインによく見られる3本ライン入り。

さて、L型、コの字型で一番気がかりなのは搬入です。
プランも決まって現地での納まりも確認できたのでいよいよ制作に取り掛かるのですが、足場があったり、まだ壁が立っていなかったりすると、これでここに入るのか‥っていつも不安になるのです。
さいわい、重量はクォーツストーンやセラミックストーンに比べてステンレスのほうが軽く作れるので、その点は安心なのですが、L形でしかも両端が壁となると、そのままじゃ使えて入らないから、立てて起こした状態で搬入するのですが、吊戸棚があるので、そのまま立てた状態だとぶつかっちゃうのです。
そこで、吊戸棚をつける前に下のキャビネットから少しずつ組んでいって天板を載せたのですが、全部下のキャビネットを組んじゃうと、今度は立てた天板が天井につかえてしまうので、部分的に組んだキャビネットに寄り掛けながら水平にして、その天板の下で残りのキャビネットを組んでいったのでした。
できればI型を2台作って、片側を45度にしておいて現地でジョイントすれば簡単なのでしょうけれど、建築の壁はどれほど精度良く組んでいっても必ずしも90度ではないこともありますので、そうなると斜めのところに隙間ができて、そこをコーキングするとかえって気持ち悪く感じることもあります。
(天板を拭き掃除しているとステンレス面はスルッとフキンが滑るけど、コーキングのところだけ摩擦で引っかかるような感じです・・。)
可能ならばその印象を出さなくて済むようにと思っていつもL型の時は1台にして変形して作るのです。
L型ってなかなか大変なのです。

ナラとステンレスのL型キッチンと作業台

ここは炊飯器用のスライドテーブル。

ナラとステンレスのL型キッチンと作業台

その下は深めの引き出し。

ナラとステンレスのL型キッチンと作業台

その左隣の引き出しの様子。

ナラとステンレスのL型キッチンと作業台

その左隣の引き出しの様子。

ナラとステンレスのL型キッチンと作業台

その左隣の引き出しの様子。

ナラとステンレスのL型キッチンと作業台

その左隣の引き出しの様子。

ナラとステンレスのL型キッチンと作業台

その左隣のさらに左隣の引き出しの様子。

ナラとステンレスのL型キッチンと作業台

その左隣のさらに左隣の引き出しの様子。

ナラとステンレスのL型キッチンと作業台

その左隣のさらに左隣の引き出しの様子。

ナラとステンレスのL型キッチンと作業台

一番端は片開き扉。いつもお話をさせて頂くのが、食器棚は引き出しのほうが取り出しやすいのですが、すべて引き出しにしてしまうと、あえて引き出しに入れるほどのことでもないもの、引き出しだと物が大きすぎてかえって使いづらくなってしまう、というものも出てくると思いますので、一部に扉を作っておくと、中の可動棚を動かせば、高さを自由に対応しやすいので便利ですよ、とお伝えしているのです。と、皆さんにお話ししているのですが、私が思い至ったことではなく、あるお客様から教えて頂いたことなのですけれどね。私たちの形ってそういう皆さんの思いでできているのです。

こうして無事に設置を終えて、お引渡も終えてしばらく経った頃にご挨拶に伺わせて頂きました。
「イマイさん、私ね、このキッチンになってから今まで以上にいろいろ作ることが好きになりました。このコンロなんかもね、グリルで何でもできちゃうから楽しくてね。それから、ようやく終わった外構工事のおかげで少しずつ木々の葉が伸びてきてね。まだお隣さんの緑が良く見えるけれど、もう少ししたらこの窓の前もすっかり緑色になるのが楽しみなのです。」
「ええ、すてきですね。これだけ調理道具やスパイスがあったら、いろいろな美味しい料理を作れそう!」とお伝えすると、
「その壁際にずらっと並んでいるのは、息子がカレーを作るのよ。」
なるほど、物静かな息子さんに思えましたが、皆さんお料理好きなのですね。それならやっぱりこのくらいの大きさのキッチンはちょうど良い。
それと、たしかグリルで何て言っていたっけなあ。ニンジンだったっけ・・。サツマイモだったっけなあ。Oさん、すみません、ちょっとうろ覚えになっちゃいましたが、今度いろいろな根菜をグリルで調理してみますね。

キッチン仕上
天板 ステンレスバイブレーション
扉・前板 吊戸棚:ウレタン塗りつぶし塗装/キッチン:ナラ板目無垢材・突板
本体外側 吊戸棚:ポリエステル化粧板/キッチン:ナラ板目突板
本体内側 共通:ポリエステル化粧板
塗装 ウレタンクリア塗装つや消し仕上げ

ナラとステンレスのオーダーキッチン

費用についてはお問い合わせくださいませ。

西丹沢まで

2021.07.26

20210725002
20210725003
久しぶりの日曜日の休み。午前中に沢歩きをしようということで、西丹沢まで出掛けてみました。
気軽に考えていたら、登山道というよりは石の連なる険しい道を木に結ばれたピンクのリボンと時折出てくる立て看板を頼りに、水にも浸かりながら、二つの滝を見せてもらいました。
だんだん大きくなり、気持ちが離れていく子供たちと一緒に出掛けられる機会は、もしかすると数えられるくらいかもしれない。
でも、そういうふうに成長していってくれていることはとてもうれしいことですから、喜ばしいことなのですけれどね。
こういう今があること、子供たちには感謝です。

動画も撮ってみました。
「西丹沢 下棚の滝・本棚の滝」
https://www.facebook.com/100009126390782/videos/1398087457231497/

一緒に働いてくれるスタッフを募集します。

2021.07.26

一緒に働いてくださるスタッフを1名募集致します。
私たちと一緒に家具を作ることの楽しさを皆さんにお伝えできる方を望んでおります。

資格・条件等:年齢・性別は問いません。普通自動車免許をお持ちのかた。職業技術訓練校で木工科を卒業されているかた。
勤務内容:家具製作・取付等/設計補助等
勤務時間:8時~17時30分ですが、状況により異なります。
休日:弊社規定
給与:弊社規定により決定
待遇:交通費全額支給

応募される方は、info@freehandimai.comまでご連絡ください。
拝見させて頂きましたあとに、こちらから折り返しご連絡させて頂きます。

お待ちしております。

思いをかたちにするちから

2021.07.26

「ブラックチェリーのリビングボードのオーダー」

調布 K様

design:daisuke imai
planning:daisuke imai
producer:iku nogami
painting:iku nogami

Kさんから家具を設置したい部屋の壁面のサイズが入った写真と希望するイメージに近い家具の写真が手短な文章と合わせて送られてきたのでした。

ckg020

Kさんから頂いた写真。分かりやすくて助かります。

「まだ具体的なイメージ等はありませんが、送らせていただきます。値段等も全く相場がわかりませんが、相談させていただきます。」
ということでしたが、頂いた写真などを拝見させて頂くと、何となくできる方向性が決まっておりましたので、「どんなものをしまいたいか」「私たちの制作例でどのような形が好きか、もしくはほかのメーカーさんで好きな家具はどのような形か」をおたずねしました。
Kさんから帰ってきたお返事はどの形もシンプルな形でしたので、まずは一つ形を考えてみようと思いお送りしたのがこのスケッチになります。

ckg021

写真といくつかさせて頂いた質問を基に書いたスケッチ。


ブラックチェリーのテレビボードとベンチと本棚

多少の違いはありますが、スケッチと同じ感じに仕上がったと思えるのです。

ベンチチェストというと、少し前だと上に向かって開くフタのようになっている形が多かったのですが、結局それだとあまり使いにくい収納になってしまうことが多かったのです。ベンチとなると高さ40センチ前後になることが多く、その場合にフタを開けると30センチ以上の深さの収納になります。
お子さんが小さいうちはおもちゃ箱として使えたりしますが、ふたが少し重くなることがありますので、手を挟まないように工夫しないといけませんね。
そうして、お子さんがおおきくなるとおもちゃが減ってくるので、今度はアルバムを入れよう、とか防災用品を入れようとか、夏の海水浴に使うものをしまおうとか、日常的に出し入れするものではないものをしまいがちになることが多かったりします。
そうなると、収納を作っても活かしきれなかったりします。
そこで、最近は引き出し式の収納にすることが多いです。
それほど大きな引き出しにしなければ、上に座っても人が立っても特に引き出すときに問題なく使えますので。
Kさんの場合もそのイメージで提案させて頂いたのでした。
その内容を見て頂いていくつか変更のご要望を頂けたところで、正式にご依頼を頂きましたので、より具体的にお話を進められるように図面を作成します。
そして、その図面を持って、Kさんのご自宅まで。

ブラックチェリーのテレビボードとベンチと本棚

テレビボード部分。当初、AV機器収納部分は格子扉にすると考えましたが、Kさんとしては、コストを抑えたいということと、「機器の液晶表示はそれほど見ないと思います。」ということで、あえて普通のフラットな扉にしたのでした。


ブラックチェリーのテレビボードとベンチと本棚

引き出し上段の様子。


ブラックチェリーのテレビボードとベンチと本棚

引き出し下段の様子。


ブラックチェリーのテレビボードとベンチと本棚

ここはAV機器収納部分。下に向かって開く扉にしています。


ブラックチェリーのテレビボードとベンチと本棚

AV機器収納部の左隣は開き扉となかに可動棚のシンプルな収納。

調布という町は私はなかなか好きでして、具体的にどこか良いかと言われるとそれほど詳しくは知らないのですが、街の空気が少しのんびり感じられて、そこかしこに緑が目に入る雰囲気が好きなのです。
このあたりの甲州街道もなんとなくとげとげしさが薄れているように思えるのでした。
で、さっそくKさんのお宅にお伺いさせて頂きました。
旗地ですがそれほどまわりが仕切られていないので広々と庭までたどり着けます。
目の前にはコインパーキングもあるので、駐車にも困らなそうです。
「お邪魔します。」
2階まで案内して頂くと広いリビング。ただ、ここに辿り着くまでの階段はそれほど広くなく一般的なサイズでしたので、おそらく天板の搬入は屋内からだと難しいかな。
本棚も場合によっては・・。
その様なことを考えながら2階のリビングにお邪魔します。

ブラックチェリーのテレビボードとベンチと本棚

ここが問題の換気口がある角の部分。天板が大きなフタになっています。


ブラックチェリーのテレビボードとベンチと本棚

換気口として通気が妨げられないように格子の通気口を作りました。奥の四角い穴はコンセントが通せるケーブルです。


ブラックチェリーのテレビボードとベンチと本棚

本来はこの部分ですこし逃げを見ていたつもりでしたが、天板同士が擦ってしまうくらい誤差が出ました。原因はどうやら窓下の間柱と床がほんのわずかに膨らんでいて、壁と床が全体的にうっすら緩やかなカーブを描いていたためでした。


ブラックチェリーのテレビボードとベンチと本棚

天板を外した様子。収納をどうにか換気口が隠せる位置にできたので、無事きれいに納まりました。

私は到着したら先に設置場所のサイズを測らせて頂くことが多いです。(よほど汗をかいている時は、まあ、イマイさん、まずは涼んで。とお茶を頂くこともあります。)
先に採寸しておく方が打ち合わせはスムーズですからね。
それと、打ち合わせをしている時に、「あっ、ここを測らないとね。」というのが明確に判断しやすかったりします。
そこで採寸。
今回は、形こそ大型の家具ではないのですが、三面の壁を使うので、なかなか採寸はたいへんです。それに建築は壁や床はどれほど正確に作られていても、木造でも鉄骨造でも、コンクリート造でもわずかな歪みや反りなどが出ています。
三面を正確に逃げなく作っていくと、設置した時に出たひずみが一番端っこで大きくなってつじつまが合わなくなることもあります。
そこでどこで逃げを作るかを考えながら採寸をしたりするのです。
すると、おっと、想定外のものが現れました。2つの換気口です。
ひとつはちょうどベンチチェストのL型の角部分。もう一つが本棚が設置される天井付近。
さてどうしよう・・。

ブラックチェリーのテレビボードとベンチと本棚

こちらは窓下の引き出しの様子。この部分はどうにか調整してひずみの影響を受けることなく設置できました。

今回懸念していたのは、本棚を可能であれば分割して作りたいところですが、左側面がリビングから見えるためそのつなぎ目が丸見えになってしまうのは気になると思いました。そこをどうするかをKさんに相談して決める点と、ベンチチェストの天板が本棚の棚面と揃えてつながっていくように見せる部分をどのように仕上げるか、という部分でした。
そこにさらに換気口の問題が出てきて、いろいろと悩むのでした。
Kさんも奥様もおおよそ図面の通りのイメージで進める形で良いと思っていらっしゃったので、私のほうでいろいろと思い巡らせながら良い案を考えていきます。

ブラックチェリーのテレビボードとベンチと本棚

壁に背中が擦ると壁が黒ずんでしまうのではないかというお話を頂いて、設置した窓下まで延ばしたパネルですが、パネルの窓下に干渉してしまってここを削り合わせることで無事に設置することができたのでした。

そうしてまとまったのが、本棚はやはりリビングから見た時の印象が大切ということで、分割しないで作ることに。
そうなると、搬入はバルコニーからになるので、お天気が左右してきますね。
それに分割しないとなると寝かせた状態で搬入して、リビングで起こせる高さを考慮しないといけません。具体的にお話すると、本棚を横から見た時に本棚の対角線(背板のてっぺんから地板の手前まで)の寸法が天井の高さを超えてしまうと起き上がらない。さいわい、巾木部分と支輪(天井の隙間を埋める材)部分のサイズを差し引くとギリギリ予定寸法でも起こせそうです。
(起こせない場合は、支輪のサイズを大きくして調整したりします。)
天板と棚板がぶつかる部分は、心持ち棚板のほうが上に出るほうが印象が良いので、その様な納まりにすることに。

ブラックチェリーのテレビボードとベンチと本棚

天板と本棚の棚板の納まり部分。


ブラックチェリーのテレビボードとベンチと本棚

ちょうどこの部分にも隠れてしまうところにコンセントが壁についていたので、それを本棚の棚の上に移して、携帯電話の充電の時などに使えるようにしています。


ブラックチェリーのテレビボードとベンチと本棚

ちょうど背板のところに白い換気口があります。

それから、新たに出た換気口問題は、本棚の背板のほうが背板をクル抜く形で対応し、部屋の角にある部分はどうにか通気を妨げず、かつコンセントもあったので、それをそのまま活用できるように使いやすいかたちを提案することができたのでした。

さて、設置当日はあいにくの雨模様になりそうでしたので、Kさんにお願いして翌日にずらして頂くことに。
そしてその翌日は暑いくらいの良い天気。
おかげさまで大汗を書きながら無事にすべての搬入を問題なく終えることができたのでした。
設置作業は、壁と床のちょっとしたひずみがあって、その調整に大きく時間が掛かってしまいましたが、無事にその日のうちに作業完了。
できあがってしまうとかなりシンプルな形なのですが、こうしていろいろな問題をクリアして初めてその形ができあがるのです。
こうして見ると、Kさんから最初に頂いた写真や最初のスケッチにかなり近い形に仕上がったと思います。

ブラックチェリーのテレビボードとベンチと本棚

ダイニングから見た全体の印象。本棚は分割しないこの形のほうがやはり美しいですね。


ブラックチェリーのテレビボードとベンチと本棚

まだ小さなお子さんたちとこの場所がどのように使われてどのように時間を経ていくのか楽しみですね。

ブラックチェリーを使ったのでまだ淡い色みの家具ですが、どんどん良い色に変わっていくと思います。
その時にはこのシンプルさがかえってチェリーの表情を良く引き出してくれると思います。
その時が楽しみです。
ありがとうございました、Kさん。

ブラックチェリーのリビングボード

価格:1,000,000円(制作費・塗装費)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は30,000円から、取付施工費は70,000円から)

Kさんのソファ:スタッフ ヒロセ君の制作日記

2021.07.23

今回はタモ板目材を使ったソファとサイドテーブルを担当させて頂きました。
ソファのサイズは、幅2,555ミリ、高さは705ミリ、奥行は860ミリあります。
横に置くサイドテーブルと合わせると全長3,415ミリになり、すごく幅のある家具になっています。

設置させていただくのは2階のリビングです。
玄関から廊下を通って階段があるため、このソファのサイズや重量を考えると搬入がなかなか困難になりそうという判断でパーツ毎に作って現場で組み立てる事になりました。
横方向に延びる伸びるパーツ(背板や地板など)は、途中で分割されていないために1枚で作らなければなりませんが、制作するための芯材の長さはが2,424ミリ(8尺)+僅かな伸び代しかないため、つないで作らないといけません。
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普段はどこで繋ぐかを気にすることは少ないのですが、ソファは人が座り荷重がかかる物なので、少しでも強度を下げないようにどこで繋げば余計な負担をかけずに 荷重を脚部に逃がせるのか考えながら繋ぎました。
地板は多少寸法の違う18ミリ厚のものが2枚重ねになるのですが、お互いの繋ぎ目を変える事により、現場で組み立てた時により強度を増すことができるような作りにしてあります。
それ以上に今回大変だった部分としては、クッション取り付け後はあまり見えなくなってしまうところなのですが、背もたれになる部分は勾配になっているため、それぞれに貼り付ける突板のお互いの木口面を斜めにカットしないとピッタリに貼ることができません。
計算上5.65°の角度にすれば良いことがわかりましたので、昇降盤と言う機械の鋸刃を斜めに倒し加工するのですが、工房の機会は旧いアナログタイプでメモリがデジタル表示ではないため、細かな角度は5.65°の治具を作り角度を合わせ勾配にします。2枚の突板がピッタリ合うよう仮当てしてペーパーで微調整を繰り返しやるのですが、長さもあるため、なかなかピッタリいかず苦労しました。
そして速乾ボンドと白ボンドを併用し貼り合わせていくのですが、一度貼ると剥がすのが非常に困難なため、貼り合わせは何度やってもすごく緊張する作業です。
こうして、各パーツを仕上げて仮組みをして組立てに問題がないかを確認して完成させることができました。
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そして先日、無事納品させていただきました。
分割しているとは言え、1階から2階へ運ぶのに無事搬入できるか不安のあるところでした。
実際現地を確認すると、事前の打ち合わせ通りに階段部分が吹き抜けていたので、そこから縦方向に荷上げすることができそうです。
そこそこ重量のあるパーツも有り、階段を足場代わりにしての荷揚げなので、少し大変ではありましたが分割していた為スムーズに搬入できたと思います。
現場での組み立ても予定通り進めることができて無事に組みあがり、ひと安心いたしました。
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実は、ソファを組み立てた状態でクッションを置いた様子は今日初めて見たのですが(工場だとクッションがホコリをかぶってしまう為)シンプルだけどすご く存在感のあるソファに仕上がったと思います。
そして設置されたその様子は、Kさんのご新居に早くも馴染んでいるようにも見えました。

Tさんのキッチン対面カウンターとその下の収納

2021.07.22

つたえる楽しさむずかしさ」のTさんから頂いていたご相談は、このような形で実現しました。
まだ細かい作業が残ってしまいましたが、おおよそ全体像が見えてきました。
できあがるのにも長い時間が掛かりましたが、Tさんの思いはずっともっと長かったようです。
これから食器棚も白くなるのですよ。最初にお話を伺った時はちょっとびっくり半信半疑でしたが、Tさんの思いはずっと真っすぐなままです。
完成した空間がどのようになるのか、Tさんの思いの先が見られるのが楽しみです。

アニメの中のすてきなキッチン

2021.07.21

夏休みが始まりましたね。明日から4連休なのですね。コロナ禍は続いていますし、オリンピックがありますので、旅行などのお出かけの計画も特になく、今年も様子を見ながら気をつけて過ごす夏になりそうです。
何の予定もないのがかわいそうで次女チイと映画を見に行こうという話になり、週末に「竜とそばかすの姫」を観に行きました。(映画館は感染対策をしてくださっていますし、隣と前後を開けている間引きの席はゆったりと鑑賞できるのでいいですよね。)主人公の女の子が過去の出来事で思うように過ごせなくなってしまったけど、SNSの世界と現実を行き来してある出来事を乗り越えることで受け入れられて前向きに過ごせるようになる(というお話だと私は感じましたが違っていたらごめんなさい。)とてもすてきお話でした。「信頼を得るためにはそのアカウントの素性を明かさなくてはならない。」というところは、改めて聞くとなるほど~と思いましたが、自分は自分としてしかSNS上にも存在していないので、異なる人の気持ちはちょっとわかりませんでしたが。
細田守さんの作られる映画に出てくる家とキッチンの光景がいつもすてきで好きなのですが、今回は壁付けキッチンの後ろにカウンターがある木のキッチンのように見えました。家族で一緒にご飯を食べようというメッセージが物語のどこかしらに入っているので、その光景により親しみや温かみを感じられるのかもしれませんね。
私達のページもキッチンや家具をつくれますよ、というだけではなく、その先にあるものを目指して形にしていますということを伝えていけたらいいなと思っています。そう思えるようになったのも、皆様がキッチンや家具を取り付けた後の暮らしの様子を私達に教えてくださるので叶うようになりました。本当にありがたいことだなと思っております。
写真は我が家のキッチンです。今は背が伸びてこんな風に身を乗り出さなくなったチイとブレた私ですがお気に入りの写真なのです。

写真を頂きました。

2021.07.21

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先日設置工事に入らせて頂いた茅ケ崎のY様のリノベーション工事がすべて完了したということで、リマジナデザインの柴田さんから写真を頂きました。
これですべて完了ですね。
最近は茅ケ崎でのお仕事が多かったのですが、こういうある時期にその地域でのお仕事が多くなることってよくあってその都度不思議だなと思うのです。
次は秋~冬にかけて杉並区、中野区あたりでのお仕事が多そうなのです。
頑張ります。

今回はキッチン制作というよりはキャビネットの制作にかかわらせて頂いた形ですべて柴田さんが段取りを取ってくださって大変お世話になりました。
また、何かお手伝いさせて頂けることがありましたら、ぜひお声掛けくださいませ。

ソファの納品

2021.07.19

20210719002先日お引渡が終わったということで、今日はソファの納品。
張地はフジエテキスタイルさんのタイム。我が家のソファの座面やクッションにも使っていてさらっとした肌触りで夏でも心地よいのです。
今回のKさんの下地は座面も背もたれのクッションもウレタン。フェザーよりも弾力があるので、ちょっと硬く感じるかもしれませんが、使っていると多少馴染が出てきてふんわりしたあたりになってくるでしょう。
キッチンも良い感じです。
あとはお引越し後にあらためてご挨拶させて頂こうと思います。
Kさん、今日はありがとうございました。

あめ過ぎて

2021.07.16

リマジナデザインさんからお声掛け頂きまして、懐かしい佇まいの茅ケ崎のYさんのキッチンリノベーションに関わらせて頂いております。
昨日、けたたましい雨音を聴きながら始めた作業でしたが、のぞく晴れ間と共に無事に工事が完了しました。
今回はとてもシンプルな取付で、あとは工務店さんが施工を引き継いでくださるということで、私たちの出番はここで終わり。
懐かしく優しい印象に仕上がるのが楽しみです。
ありがとうございました。

冷やし中華とおいなりさん

2021.07.16

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我が家のガスコンロは+doなのですが、付属のダッチオーブンを今まであまり活用できていないので、これを使って何か作ってみたいなとずっと思っていたのです。でも気持ちに余裕ができないと慣れないことをする気にはなれないので、次のお休みの日にやってみようと決めていました。笠原将弘さんの焼き豚のレシピが気になっていたので、朝漬け込んでおいて、美術館から帰宅後に焼いてみました。大きいお肉で失敗したらしょんぼりなので300gの塊肉で、鉄鍋で焼き色を付けてから10分加熱して10分そのまま火を消しておいて置くだけでジューシーな感じに焼きあがりました。途中中が見えないのは不安もありましたが、これは簡単でいいですね。ダイスケさんがお客様のお宅に伺った際に同じ+doのお使いのお客様から、我が家で実はあまりダッチオーブンを活用できていないというお話をすると「そうなのですか、うちは結構使っています。」とお話しされていたよ、と聞いていたので気になっていたのです。これからは積極的に使っていこうと思います。お客様の暮らしぶりから教わることは多いです。勉強になります。
ダイスケさんが「冷やし中華だけで足りるかな~。」ということで、おいなりさんも作ることにしました。
お揚げを沢山煮込んで、チイが塾に行く時間が迫っていることに気づき、熱がりながら酢飯を詰めたので温かいおいなりさんになってしまいましたが(笑)、これはこれでおいしかったのでよかったです。
そんな休日の夕ご飯なのでした。

ホームオフィス

2021.07.15

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テレワークという言葉が日常的に聞かれるようになりました。
今回、Kさんからは家具というか部屋のご相談・・。
うまく空間を利用して、寝る場所と働く場所を組み合わせた部屋?を作りたいという相談。
かつ、コストを抑えて・・、ということで、シナとタモを使って柱と梁と板壁で空間を作りました。
無事、搬入できるのだろうか・・。

版画美術館へ

2021.07.15

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ふと目をやると、ここのタイルの入隅と出隅の納まりが美しいことに今気が付きました。
暇があれば美術館に出入りするのが好きで、今日は版画美術館へ。
このところ打ち合わせの移動中に読んでいる本が戦前戦中の京都や銀座の町並みが良く出てくるお話を読んでいるとその生き生きとしたその様子に憧れてしまって、さらにはその時代の好きな川瀬巴水さんの版画も展示されているということで楽しみに出かけてきたのです。
でも浮世絵っていうと今まであまり興味はなかったのですが、広重、清親、巴水の3人の画家が描くその当時の生活風俗の様子にクスっとさせられたり、ほろッときたり、まさしくその絵の中で生き生きした様子が描かれていてこれはおもしろいと思ったのでした。
今回は風景にスポットを当てていたので、当時の風俗と言いうよりは風景の中にいる人々のささやかな様子が見られて楽しかったのです。
江の島、ズッシリした藤沢遊行寺、品川、おもちゃのような箱根、不忍池に猿橋など身近な場所の当時の様子が生き生きしていた。
その情景とは別に、広重の描く茶屋の重なりが望遠レンズ越しに見たように圧縮されて大きな塊のように見える様子や、三人が描く空気遠近法(恥ずかしながら初めて聞きまして)の美しい様子など、巴水の夜などその見せ方の魅力に囚われて、行ったり来たり楽しい時間でした。
私の住む町海老名もだんだんと大きくなっていく様子に魅力はあるのですが、美術館ができたらうれしいなあ。

そういえば、専門学校時代の最後の課題は、家具屋のくせに建築の課題をやっておりました。
その頃は寒川の実家住まいでしたが、相模国分寺がある町ということで海老名にスポットを当てて、ちょうど農業高校の前の田んぼを使って、そこに塔、金堂、講堂、僧房の配置に合わせて、4つの建物を作り、見た目は田んぼのような原っぱで、地下に潜る階段を行くと中が美術館になっているという海老名市立美術館を作る、なんて課題をやっておりました。
当時はパソコンもろくに使えないので、A3のケント紙に直に作図して、歯ブラシと金網を使ってスパッタリングでざらついた芝生を描いたりして、仕事をしながらも何だか楽しく頑張っていたような。
いつか自分のまちにそういうすてきな文化施設ができると良いなあと願っているのです。

模様替え

2021.07.14

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20210714002
だんだんと暑くなってきたのでフェザーのクッションを外しました。
この背の表情は普段なかなか見られないので、ちょっと特別な朝。
週末はバタバタしそうなので、本日お休みを頂いて町田の版画美術館へ少し出掛けるつもり。
ふだんは娘たちが起きる前に出かけることが多いので、久しぶりに二人を見たような気がして。
そういう朝。

タオル掛けの扉にカビが出ていないか確認しましょう。

2021.07.13

雨が続いていますね。梅雨なので仕方がないのですが、洗濯物を部屋干しにしていたり想像以上に部屋の湿度が上がったままの状態が続いています。木のキッチンや家具をお使いで、タオル掛けのタオルが前板にかかっている形でお使いの方々には特に確認してほしいのですが、木が湿気を吸いきれなくなってカビが生えているかもしれません。確認して早めに対処していけばきれいな状態を保てますので、一緒に確認してみましょう。
写真は我が家の洗面所の写真です、タオル掛けのタオルが帰宅しても湿ったままの状態が続いていたり、この扉を開ける時に隣の扉とこすってしまっていたりしていたら、木が湿気をため込んでいるサインです。タオルを外して板の状態を確認してみましょう。我が家は毎年梅雨時期には扉がこすってしまいます。
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我が家はオイル塗装の扉ですが、表面だけではなく裏側にまでカビが生えてしまっていました。いけませんね。アルコール除菌スプレーをキッチンペーパーに吹き付けてカビの部分を拭き取りました。
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きれいになりました。表面についていただけのカビでしたら拭き取りだけで簡単に落とせますが、根が深くなっていると落とせない場合もありますので確認が必要です。カビを落とせたことが確認できたら、400番くらいの紙やすりで軽く磨いてから蜜蝋ワックスを塗り込んでおくとアルコールで取れてしまった塗膜を補うことができるのでよいと思います。
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まだ雨の時期は続きそうですので、朝出かける時と夜就寝前にはここのタオルはハンガーに下げて別の場所に干していきます。一度症状が出ている扉ですので梅雨が明けるまでは再びカビが生える可能性は高いです。扉に常に湿気が触れていないようにしましょう。「こんなことに気をつけなくちゃいけないの?木の扉って面倒。」と思われるかもしれませんが、木を水回りできれいに使用していく為には必要なことです。梅雨が明けて暑い日差しが戻ってくれば扉同士もこすらなくなって無くなる問題ですから、梅雨限定の家事のひとつとして習慣にしていきたいと思います。
確認してみて「カビが落とせなかった!」など困ったことが起きた方は連絡してくださいね。