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Category : 日記「自由な手たち」2024年2月1日

HITOMAさんからお話を頂いて実現したブラックチェリーとステンレスバイブレーションの組み合わせが美しいキッチンとバックカウンターのお話を掲載しました。

お餅つき
Category : オーダー家具・オーダーキッチン制作事例, オーダーキッチン「ステンレスバイブレーションとブラックチェリーのペニンシュラキッチン」
藤沢 Y様
design:HITOMA design office 一級建築士事務所/daisuke imai
planning:daisuke imai
producer:masakane murakami
painting:iku nogami


「お世話になります。
横浜の設計事務所HITOMA design officeでコーディネーターをしております太田と申します。
現在江ノ島で建替えを計画しておられますお施主様(Y様と申します)とお打合せを進めているのですが、メーカーのものの雰囲気がどうも合わないように思い、こちらで作られているキッチンが素敵だったので、オーダーでの検討を進めたく、ご連絡をさせていただきました。
平面図があるのですが、当初キッチンの計画はコの字でしており、図面的にはまだそのままです。(参考に添付します)
コーナーの使い方がどうしても難しくなってしまう為、現在はペニンシュラ+背面収納の形で変更をしようという流れになっております。
サイズはW2600×H870×D1000(ダイニング側収納込み)、背面収納はW2600×H870×D600で、キッチン側の手元が見えないよう、ダイニング側の収納を150ミリくらい高くしたい、ということと、天板はステンレスバイブレーション(20ミリくらいの厚さのもの)を希望されています。
シンクは洗剤ポケット付きで水栓部分はカウンターに水が流れないよう一段(10ミリくらい)付け根の部分を下げた仕様にしたいです。
加熱機器は仮に日立「HT-M8AKTWFK」くらいのもので想定しています。
水栓も仮にハンスグローエ「31815004」あたりを、レンジフードはアリアフィーナ「サイドフェデリカSFEDL-952」あたりを、食洗機はミーレもしくはボッシュなどのW600の大容量タイプを想定しています。
一度お伺いをしてお打合せをさせていただけるとありがたいです。
お手数をおかけしますが、お打合せ日程のご検討をよろしくお願いいたします。」


設計事務所さんからのご相談です。
最近は、設計事務所さんから直接お声掛け頂けることが多くなってきていましてとてもうれしく思っております。
今までは、実際にキッチンを使ってくださる皆さんからのご相談が圧倒的に多くて、設計事務所さんや工務店さんから直接お声掛け頂けるというのは少ない方でした。
時々そのようなことがあっても、先方から「業者間のお取引もできるのでしょうか。」とかしこまっておっしゃってくださることも多くて、もちろんどのような方々からでもご相談頂けるのは大変うれしく思っているのです。
ただ、工務店さんからのご相談だと時々言われてしまうのが、「業者価格を提示してもらえますでしょうか。」ということです。
販売店とは違って、私たちは家具やキッチンを制作している工房なので、どのくらいの金額で制作することが可能なのかを皆さんにお伝えしております。
キッチンのほかに家具もという場合に複数台作るとなると、作業工程をまとめられるので少しはコストを抑えることはできたり、普段からよくお仕事の相談を頂ける方とはあうんの呼吸ができあがっていることもあったりして、打ち合わせや形の設計、作り方の簡略化などでコストを抑えることもできると思うのですが、初めてお付き合いさせて頂く方々において、あちらではこのくらいの金額で、こちらではこのくらいの金額で、なんて変えてしまうというのはなかなか難しい。
ですので、そういう時は「すみませんが、私たちとしては皆様からのご要望を頂いて、その内容に基づいてひとつずつ金額をお伝えしているだけですので、お施主様からのご相談でも業者様からのご相談でもお伝えできる内容は一緒になります。」とお知らせしています。
そうするとだいたい断られてしまうことが多いのですが・・。
設計事務所さんからのご相談だとそういうことはあまりなくて、オーダーキッチンのことも良くお分かりの皆様が多いので、スムーズにお話を進めてくださることが多くてうれしいお声掛けだったりします。
それで、さっそく一度私たちのキッチンを見に来てくださることになりました。
「はじめまして、こんにちは。」
いらしてくださったのは代表の甘利さんとコーディネーターの太田さん。お二人ともマスク越し(コロナ禍だったのです)でも柔和な印象がよく分かりまして、打ち合わせの時間もキッチンや家具のことを話し合っている、というよりは何というかお芝居でも見ているかのようなユーモラスなお二人だったのです。
でももちろんきちんとお話はまとまりましたので、まずはどのくらいの費用で実現できるかを後日にお伝えして、キッチンの制作依頼を頂けることになりました。
ありがとうございます。
そうして、ある程度形がまとまった段階でYさんもいっしょにこちらにいらしてくださいました。
Yさんご夫婦もとてもユニークなお二人でして、奥様はお店を開いていて、ご主人もご自身でお仕事をされていらっしゃるので、何というかお話がとても簡潔で要領を得ていて滞りなくものごとが決まっていく様子がとても心地よいのでした。
その合間に甘利さんと太田さんのさらにユニークなコメントが挟まれて何だか小気味好い餅つきのように話が進んでいったのでした。
ところで、今までいろいろなキッチンを作らせて頂きましたが、いまだに「コの字型のキッチン」の良さが自分でうまく伝えられないのが何とも情けないところだなあと思うのです。
実際に「コの字」のレイアウトを使っていないからよい部分を実感できていないことがいけないのでしょうけれど、一般的な「コの字」と言われる形は長い2列のキッチンとそれをつなぐ短い1列がつながったものを想像します。
2か所のコーナーができるので、収納量は増えるように思えても使いづらい収納になってしまいがちです。機能的な収納を優先するのならコの字よりも2列(セパレート)型のほうが収納の容量も変わらずに使いやすくできるのではないかと思っております。
そうなるとコの字のメリットは何かというと「動線の短さ」なのかなと思うのです。水仕事をしていてもすぐに加熱調理スペースに移ることができる。またカウンターが広いので材料を広げて同時にいくつかの作業を行なうことができる。この2つが動線の短さイコールストレスがないことにつながるのかなと思っています。
そうなるとコの字を使う人はやはり一人でキッチンに立つ人なのかなと勝手に思い込んでしまうのです。
もし、複数の人でそのキッチンに立つならば2人がストレスなく行き来できる距離が必要で、そうなると動線の短さが無くなってしまうし、広く採ったならばダイニングやリビングがその分狭くなってしまう。また、コーナーで収納が直交してしまうとそれぞれ同時に開け閉めすることができない。やはり一人向けなのではないだろうか、という思いがあるのです。
ですので、当初Yさんのキッチンがコの字と聞いていたのですが、こうしてセパレートというかペニンシュラキッチンとバックカウンターというオーソドックスだけれども使い勝手を考えやすい形に納まったので、プランのあれこれが考えやすくなってちょっと安心したのでした。
本当は、偏ることのないようにもっといろいろなことを知っておかないといけないのですが、なかなかきっかけを待っているばかりで前に進まないといけないなあ・・。
こうして、お餅つきのようなやり取りを数回繰り返して、Yさんの形が決まりまして、新居の現場もいよいよ着工しました。
海の香りが間近に感じられるゆったりした空気の流れるYさんのご新居。
印象としては少し無骨な要素を取り入れた、今で言うところの「インダストリアルスタイル」というのでしょうか。
黒いアイアン製品をきれいに取り込んだり、Yさんがとても気に入って導入されたダイニングのペンダントライトのデザインなど、そこかしこに無骨にならないような印象の工業製品的な素材が取り入れられていたのでした。
ただ、あまりそのスタイルに寄りすぎてしまうとかえって派手に見えてしまうので、そのあたりはHITOMAさんがYさんと相談しながら控えめな印象でまとめていらっしゃるようです。
今回キッチンに使用したブラックチェリーという材はそのような室内空間でもよい印象にまとまると思います。チェリーのような散孔材は木目の栓が細くて繊細に見えるのですが、日が経つとかなり濃い色に焼けてくるのでそのダイナミックな印象が大胆にも見えます。
今回はステンレスバイブレーションの天板にSHIROKUMAの真鍮黒染めハンドルを採用することで、その室内空間に馴染んだキッチンとなりました。
うれしいことに追加でリビングのテレビボードもご依頼くださることになりまして、これでキッチンのチェリーの存在とリビングのさりげないチェリーの存在という、お部屋の両端に設置される家具の印象をまとめることができそうです。
最近はキッチンやキッチンまわりの家具(食器棚など)を作らせて頂く機会が多かったので、こうしてリビングに置かれる家具を作らせて頂けるのは久しぶりでとてもうれしかったのでした。
その部屋ごとに使われる家具の性格ってやっぱりあるのです。
それをきちんと理解して作らないと使いにくい形になっちゃうので、久しぶりにテレビボードのノウハウを自分の引き出しから引っ張り出してみたのでした。
シンプルな形でも当然守るべき事柄はいろいろあって、昔と違って収納して使う機器は少なくなってきたり、小型化してきましたが、配線の取り回しや通信機器との関りなど今は今で納め方を検討することがたくさんあります。
そういう新鮮さが思い出しながら作らせて頂きました。


そういえば、私たちのウェブサイト内でエッセイという読みものを気が向いた時に書いているのですが、そこに今回のように思い当たることを書いていたような気がします。
もし、興味がありましたらお読みいただけたらうれしいです。
【収納計画は柔軟に】
キッチン設置工事後、給排水や電気の工事も工務店さんのほうで終わらせて頂いて無事にすべてのキッチン工事が完了しました。そしてまもなくお引き渡しとなりまして、テレビボードの納品はどうにかお引き渡し日にお持ちすることができましてこれですべて完了。無事に納まってよかったです。
お引き渡し後にHITOMAさんからお礼のメールを頂きました。
「お世話になっております。
本日はありがとうございました。
バタバタしてお待たせしてしまい、申し訳ございませんでした。
無事!?にお引き渡しができて本当に良かったです。
イマイさんとのキッチンづくりをはじめ、様々な方々のおかげで1つの幸福の舞台を作ることができました。
本当にありがとうございました。」
こちらこそ楽しんでお仕事させて頂けてとてもうれしい時間でした。
ありがとうございました。

天板 | ステンレスバイブレーション |
---|---|
前板・扉 | ブラックチェリー板目突板 |
本体外側 | ブラックチェリー板目突板 |
本体内側 | ポリエステル化粧板/シナ合板無塗装 |
塗装 | オイル塗装仕上げ |
ステンレスバイブレーションとブラックチェリーのペニンシュラキッチン
費用につきましては、お問い合わせくださいませ。

「美しい本棚です。」
Category : 日記「自由な手たち」2024年1月28日





昨年の12月半ばに納品したIさんのところに挨拶に伺ってきました。
「オーダー家具とうたわれていても、ここまでしかできませんって言われることが多い家具屋さんばかりだって思っていたのですよ。サイズはここまでしか対応できませんとか、この形だと実現は不可能です、とか言われるのかなあなんて、漠然と思っていたのですが、ここまで自分の希望通りに形を実現できるなんて思ってもいなかったのです。特にこの入れ子になった机なんて。」とご主人。
そういえば、最初は奥様と打ち合わせしていたはずなのに、いつの間にかご主人のと打ち合わせをしていて、そうか、いまさらながら気が付いたのですが、ここはご主人の特別な場所なのですね。
「本は全部埋まってしまうくらいたくさんあることはあるのですが、この美しい本棚には自分の気に入った本をしまいたいと思っているのですよ。」とにこやかにおっしゃってくださって、この寒い1月の空の中、気持ちが温かくなって帰ってきたのでした。

L型キッチンの打ち合わせ
Category : 日記「自由な手たち」2024年1月27日
駅から公園になっている多摩の丘陵をひとつ乗り越えたところにあるYさんのお住まい。
すぐそばには、9年前の雪の日にキッチンカウンターを取り付けた「響く声」のYさんのお宅がある。素敵な歌声を持つ奥様とのやり取りが懐かしいなあ、と思っているとYさんの集合住宅にたどり着きました。このあたりは空気がきれいというよりも空気がゆったり流れていて心地よいです。
さっそくYさんのところにお伺いして、前回は工房でスケッチまでの打ち合わせできたので、もう少し具体的な打ち合わせを行ないました。Yさんとのお話はとても要領を得ていて会話が進むのが心地よく、ほどなくして原案となる形を作るための意見が出そろって打ち合わせ終了。
そのタイミングでちょうど下のお嬢さんが学校から帰宅。職業体験の一環で学校で講話の時間があったのだそうです。そういえば、私たちのところでもそういう活動をしているのですよ、と言いうお話の流れから透視図法のお話に。
立体の簡単に描ける方法をお伝えしていると、「学校では教えてくれなかったからおもしろいです。」と奥様と二人で楽しそうに私の講義(笑)を聞いてくれました。
フフフッ、ひとつのキッチンの出会いが、関わる皆さんとのいろいろなドラマが生まれるというのはとてもおもしろいではないですか。

父を見送る
Category : 日記「自由な手たち」2024年1月28日
父を亡くして十日程経ちました。
(1枚目の写真は父が亡くなった日の病室からの空です。とても青く澄んでいてきれいでした。)
病院で息を引き取り、自宅に帰り、斎場でお通夜と告別式を終え、お骨に姿が変わり自宅に帰ってきました。
遠洋の船乗りだった父は、乗船してから「自分のことで周りに迷惑をかけるわけにはいかない。」と必ず毎年人間ドックを受け、体調管理を徹底していました。
下船して陸上勤務になった時に胃がんが見つかり、手術をした時も早期に見つけられたのがよかったと思います。ただ、その時から痩せ始め、体力が落ち始めていたのだと思います。
60代頃から肺の調子が悪くなり、通院しながら治療を続けていました。
そんな中でも、ホームセンターで朝早くからのアルバイトをしたり、小型船舶免許の教官をしたり、働きながら過ごしていました。
70代後半になり年齢的な体力の低下もあったのでしょう、短期間の入退院を繰り返す機会も増えました。
今年に入り病状が悪化してしまい、
「呼吸器を外すと3日持たないでしょう。」と言われるくらいにまでなってしまいました。
本人も家族も、お家で一緒に過ごしたいという希望を持っていましたが、その呼吸器は申請しても家庭で管理できるものではないということで、その呼吸器の管理ができるホスピスを探し、見つけて、その施設に移る準備をしていました。その予定日の前日に父は亡くなってしまいました。79歳でした。
10月末に入院して、11月には一度除細動器を使う状態にまでなり、何度も最後を意識しながらの入院生活となりましたが、「1日2人まで14時~17時までの間の20分間のみ」と限られた面会時間の中、母は毎日病院へ通い父のリクエストに応え続け、最後の日まで生きることができたのは、ふたりの命へ思いの強さだったと思います。素晴らしい姿を見せてくれて感動しました。
私に同じことができるのか自信はありませんが、こうして手本を見せてくれたことに意味があると思っているので、その時には頑張りたいと思います。
「今日が最後かも。」と思いながら面会に行っていたので、感謝の思いを伝える機会にできたのはよかったです。
出来損ないの娘で申し訳なかったのですが、私は父の娘として生まれて来れて幸せでした。
口数が少ない父で、怒るポイントと笑いのツボがよくわからなかったので、一緒にいてドギマギすることもありましたが、
色々な経験をさせてくれて、時には厳しく、時にはユーモアを交えながら接してくれて感謝しています。
普段は意識していませんでしたが、父方の親戚の集まりに行った時には、
「あきちゃん、やっぱりダイスケに似ているね。」と言われて、うれしかったのです。父の子なんだなと感じられて。当たり前なのですけどね。
(父の名前もダイスケなのですよ。漢字は違いますが。父と夫の名前が同じだなんて偶然って怖いですね。笑)
親を亡くすと大変なのですね、周りの方から聞いていたお話の意味がよくわかりました。
特に父親を亡くすとすべて名義変更で…。生計同一の同居なら連名で登録できるとか、どうにかならないものかなと思いました。
この後も四十九日の法要と、諸々手続きが続きます。母一人では大変そうなのでお手伝いしていきたいと思います。
結婚して23年経ち、ずっと離れて暮らしていたのだから、喪失感は大きくないのではと思っていましたが、そうではありませんでした。
こうして書いてる時にもメソメソしているので、ただ書いて残すことで少し気持ちが落ち着く気もするので、全く家具やキッチンに関係がありませんが、これから時々父との思い出話が登場すると思いますので、お付き合いいただければと思います。
最後まで読んでいただいた方はありがとうございました。






お仏壇の納品
Category : 日記「自由な手たち」2024年1月27日

うさぎパンさんのinstagramにはすでに掲載されていますが、先日お仏壇を納品してきました。
最初にキッチンの相談をくださった時には、この型のキッチンを実現するのは困難なのではないか・・と思われるほど、自分にとっての使いやすさがぎっしりと書かれたイメージを見せてくださって、さらにFAXでやり取りしていましたっけ。
まだ私たちにとってもキッチンは駆け出しの頃でしたし、日々勉強する毎日でしたが、そういう中でも声を掛けてくださって、実現したのが「biscotti」でした。
あれからもうすぐで16年が経とうとしていますね。納品の時は、いろいろと予定があってほんの少ししかお話しできなかったのですが、「いよいよ私も頑張らなくちゃ。」って言っていたのがとても楽しみです。
また、アキコと挨拶に伺わせて頂きますね。
楽しみにしております。

仕込み終わり
Category : 日記「自由な手たち」2024年1月24日
昨晩で仮組みがすべて終わりました。あとは現場から声が掛かったら設置工事に入るのです。
私はもっぱら打ち合わせや設計が主な仕事になってしまいましたが、私が制作を受け持っていた頃は、仕事の内容も今では大きく違うのですが、短納期の仕事が多くて日々かなり慌ただしく作業していたので、こうしてすべてを仮組することは少なかったように思えます。場合によっては「据付は現場の取付屋さんがやるから、工房までトラックを向かわせるから。」ということで制作してトラックまで積み込むまでの仕事というものも多かった時代でした。
でもこの仮組みの作業をしておくと、当たり前ですが現場での施工がとても順調に進むのです。
オーダー家具やオーダーキッチンの形を考えていくのも元々何もないところから考えていくものですから、事前の作業としていろいろな細かいところまでお話を聞いておけると実際の形は意外とスムーズに生まれてくることが多かったりします。
みんなのこういう場面を見ていると、何事においても下準備や段取りが一番大切だと思うのです。

背板の様子
Category : 日記「自由な手たち」2024年1月23日
ヒロセ君が担当するのはOさんの食器棚。
Oさんの吊戸棚は引き違い戸になるのですが、引き戸の魅力って開けっ放したままでも作業の邪魔にならないことです。そうなると引戸の中が丸見えになりますので中をあえて見せるというのもおもしろいと思いますよ、というお話になりまして、私の自宅の写真を見て頂いて、気に入ってくださってこのような仕上げになりました。
背板にベージュの化粧板を使って、扉を開けた内部も外と同じナラ材で仕上げることにしたのです。
(棚板だけ白っぽいのは、背板にオイルがつくとやっかいなので、先に天地側板だけ塗装してあるからそう見えるのです。)
まとまりのあるとても良い印象になっています。
もともとこの「背板のカラーを替えたい」というアイデアをくださったのは、konasalonの熊崎さん。
アトリエの最初のキッチンを作らせて頂いた時に、本棚の背板にリネンを張りたいっていうお話を頂いて、それがとても素敵だったのです。
皆さんから頂くアイデアが今の形のひとつずつになっているのです。
【konasalon】
https://www.instagram.com/konasalon/

Tさんのナラのキッチン
Category : 日記「自由な手たち」先ほどのスケッチのTさんとはまた別で、ノガミ君が仕上げの仕込みの最中の長さ3メートルの壁付けキッチン。向かい側につく人工大理石の天板のペニンシュラタイプの作業台と組み合わせられて、Tさんの生み出すすてきなお菓子作られる空間ができあがるのです。キッチンの天板は白く見えるけれど、きちんとステンレスで制作しておりまして、これはその天板を養生しているビニールですのでご安心を。
明日には仕込みが終わって間もなく取付です。
Tさんの最初に描いたスケッチはこのような感じ。



ペニンシュラキッチン
Category : 日記「自由な手たち」ペニンシュラキッチンでも勝手口がある間取りは好きです。
リビングのほうを見ながら作業ができるのは子供が大きくなってしまった今でもなかなか心地よいし(あまり料理はしないのですが)、アキコの手伝いする時などは向かいからおしゃべりしながら一緒に作業するというのがまた楽しい。
工房に来て家具の形を考えてそれを作り上げていくことも、家で心地よく暮らしていくための日々の作業もすべて同じで、スムーズに進めていくための分担はあっても、誰がしなくちゃいけないなんて言う決まりはないので、みんなで一緒に手を動かして、早く終わったらみんなで楽しくその時間を過ごす、というのが一番すてきな年の取り方なのではないかな。向かい合って作業をしているとそういう風に感じるのです。
それに勝手口があると、何か気まずくなったらそのままプィッと外に出られるのもとても良い。いつでもずっと仲良くなんてやってられませんからね、ははは。
「イマイさんにお会いしたくて、午前中の打ち合わせが終わったのですが、一緒に待っておりました。」と、とてもとてもうれしい言葉をかけてくださったTさんご夫妻。
そういう心地よさを感じ取ってくれたのかな。違うかな。この絵のキッチンの前に猫が居るからかな。それを気に入ってくれたのかな。
春に向かって数件のキッチンの制作が始まりました。

タモのお仏壇
Category : 日記「自由な手たち」2024年1月19日

シンプルで美しい形にまとまりました。
こういう言い方が正しいかどうか分からないのですが、さりげなく毎日そばに居てくれるような形になったと思います。

昨年の暮れから2件のキッチンの制作例を掲載しました。
Category : 日記「自由な手たち」2024年1月18日

美術館の館長を務めるKさんのこじんまりしているけれども豊かな空間に置かれたアイランドキッチンの記事を掲載しました。

アトリエとご自宅を兼ねた上品な空間に作らせて頂いたアイランドキッチンの記事と、2台のアイランドキッチンを掲載しましたので、お時間あります時にご覧頂けたらうれしく思います。

ポーカーフェイス
Category : オーダー家具・オーダーキッチン制作事例, オーダーキッチン「ステンレスバイブレーションとナラ節アリ材のアイランドキッチン」
目黒 M様
design:プラスチックアーキテクツ一級建築士事務所/daisuke imai
planning:daisuke imai
producer:kenta watanabe
painting:kenta watanabe


私たちが今の家で暮らし始めてから、自分たちで作ったキッチンや家具がどのように使い込まれていくかを伝えられたら良いなという思いがあって、定期的にオープンハウスを開いておりました。
ここ最近はしなくなっちゃったけれど、見たいという皆さんにはご案内しておりますのでお気軽にどうぞ。
今年(2024年)の5月で丸5年が経とうとしているので、また機会を見て開こうかしら。
その何回目かのオープンハウスの時にMさんがいらしてくださったのですが、今こうして思い返してみると思いだすのはMさんがとてもポーカーフェイスだったことですかね。(笑)
私がその時はもう一組のご夫婦とお話していたのだったと思うので、Mさんご夫婦とはほとんどお話しできず、アキコにお任せとなっていたのですが、帰り際に時間が少しできた時には細部をじっと見つめる眼差しは強かったのですが、質問などはそれほど頂かなかったように覚えております。
ご自身が建築設計のお仕事をされているということで、いろいろなお話が出るかなと思っていたので、これは気に入ってもらえなかったのではなかろうか・・、なんて思っていたのです。
オープンハウスに来られた方々全員がキッチンや家具のご依頼をくださるわけではないので、今後の暮らしの参考までに見たい、という考えだけでももちろん私たちを見てくれているのでうれしいのですが、できれば気に入ってもらえたらもっとうれしいわけですので。

えーとそのあとはそれからどのようになったかというと、すみません・・当時のメールをすでに破棄しておりまして細かい経緯は忘れてしまったのですが、お話の流れとしては、それからしばらく時間が開いたのでしたが再びご連絡を頂いたのでした。
「キッチンの制作は、予定通りイマイさんにお願いしたいと考えております。」
そういううれしいご連絡を頂きましてからは、足早に形が決まっていったのでした。
すでにキッチンの形のイメージはMさんの中で決まっていて、メールと一緒にキッチンの概要がよく分かる図を一緒に送って頂けたので、その図のとおりに実現するにはどのように作っていくかを設計していくだけで話はまとまっていったのです。

そこで、今回はMさんの形にどのような特徴があったのかをお伝えしたいと思います。
キッチンはアイランドで、壁付けの食器をしまうバックカウンターがある、という構成。
建築設計のアトリエとご両親のお住まいとがまとまったビルの中のMさんの大きな空間をアイランドキッチンが具合よく仕切ってくれています。
ステンレスバイブレーションのワークトップはフロートさせる見せ方で、台輪部分は、つま先を入れる部分だけ入り込ませて、側板は床まで下げる私も好きなデザインです。
ワークトップの厚みは15ミリで見せる作りで、その下に10ミリの目地を入れてフロートするように仕上げています。
今回のステンレスはMさんの指定で、いつもの高橋製作所さんではなく、トヨウラさんでカウンターを作ってもらっています。
おもしろいのがバイブレーションの表情の違いです。
どちらも同じように円を描くようなラインが出ているのですが、研磨の粒度が違うのでしょうね。高橋製作所さんのシルキーな表情のバイブレーション仕上げなのですが、トヨウラさんの表情はもうすこし光沢の残したダイナミックな表情。
いつもとは違うその新鮮な表情は、特に今回はナラの節のある突板を使用しているので良くあっていたのでした。

それからキッチン側の収納のレイアウトもおもしろい。
設計士さんが良く取り合う納まりとして、何かにラインを揃える、という納まりがあります。
よくあるのがガスコンロの魚焼きグリルの高さに揃えて、一番上の引き出しの深さを決めたり、シンクの深さを決めたりすることがあります。
ガスコンロのグリルの高さはメーカーに関わらず統一されていて220ミリほどなのですが、それだと1段目の引き出しが深すぎるのではないかといつも思うのです。
今回はグリルがないIHヒーターでしたので、Mさんは食洗機の操作パネルの高さに合わせてキッチンの左右端までラインを揃えたい、と希望されたのでした。
食洗機の操作パネルはメーカーによって微妙に変わってきますが、だいたい110ミリ~120ミリくらい。その高さの引き出しを作ると深さは60ミリ~70ミリ。
カトラリー類をしまうなら使いやすいですが、包丁を立ててしまったり、調理道具の形状によっては入らないものも出てきますので、このあたりは見せ方優先で使い勝手が悪くなってしまう場合もありますので、キッチンを使う人を選ぶところです。
さらには、シンクはそれほど浅くは作らないので、本来なら板で隠したいシンクの裏側が見えてきてしまいます。
そのあたりをMさんにご説明させて頂いて、それでもこのラインは通したい、という強い思いを頂きまして、今回のこの形になっています。

あとは、今回とても勉強になったのは、リビング側の引き戸の見せかた。
いつも、皆さんからのご要望が特になくて私が設計する場合は、必ず偶数枚で設計してしまうのです。その方が私たちも作りやすいし、閉まりきった姿がきれいだと思っておりましたので。
でも、こうして奇数枚の納まりを見ていると、その美しさがよく分かりまして、こういう納まりでもよいのだなとあらためて勉強になったのでした。
また、引き戸の手掛けも私の好きな形でしたが、バックカウンターの引き出しの手掛けは、Mさんが考えたとても美しい形。美しい半面、シンプルなだけに作るのはなかなか難しかったりしたのです。
そして、レンジフード。
今回、機種の選定はMさんにお任せしておりまして、レンジフードの設置も工務店さんが行なってくださったので、こうしてあらためて拝見させて頂くまでどのような機種にされたのか知らなかったのですが、今回採用した機種はIHヒーター専用の室内循環用のレンジフード。
よく欧米の映画などでキッチンが映ると見かけたことがあって不思議だなあって思っていたのですが、空気清浄機のような感じなのですね。
私自身採用したことはなかったのですが、排気ルートを確保する必要がないというのはとてもメリットが大きいような気がします。
ちょっと変わったレンジフードというと、以前に設計事務所さんからのご相談で、テーブルベンチレーションという、キッチンの下に格納されるタイプのレンジフードを設置したことがありました。
設置後にダクトの接続などを工務店さんにお願いしていたら、動作確認の際に隙間に紙が入り込んでしまって取るのに大変苦労されていたことや、フードが格納される部分はシロッコファンを収納しておかないといけないので、調理道具などがしまえなかったりして、見た目は美しくても、長く使っているには良いものなのか疑問に思ったことがありましたが、こういう循環型ならば汎用性がありそうに思えます。
こういうひとつずつの要素が混じりあって美しい形となりました。


さていよいよ取付です。
現場は目黒通りから一本入った通り沿いで、このあたりは懐かしい。
●猫との暮らしを夢見て家具を作らせて頂いた翻訳家のKさんの家があったり「猫との暮らしはこれから」
●お嬢さんの結婚記念のタンスを作らせて頂いたのをきっかけにそのお嬢さんご家族の新居に食器棚を作らせて頂いたというEさんの家があったり「お待ちしておりました。」
●あやうく、トラックが立ち往生してしまいそうな小道にはまり込んでしまって冷や汗をかきながら本棚を設置したHさんの家があったり「gridding」
●今から約10年前の当時は強烈な個性を放っていたキッチンを作らせて頂いたKさんの家があったり「跡をのこす」
●こちらも冷や冷やしながら搬入したへの字型のクルミのキッチンを作らせて頂いたKさんの家があったり「への字のバイブレーションカウンター<とクルミの変形オーダーキッチン」
●(今は場所を移ってしまいましたが)以前ここで意欲的に創作活動をされていた蔦谷さんのスタジオがあったり「音がうまれる部屋」
●奥様にはチェリーの食器棚を、ご主人にはブラックウォールナットの飾り棚を作らせて頂いたHさんの家があったり「わたしのものとあなたのもの」
と目黒あたりにはとても思い出深い皆さんが住まわれているのです。

今回のMさんの立地もちょっとだけ通りが狭くて、搬入が心配なのでした。
当日はなかなか現場が賑やかになっていて、「キッチン取付できるのだろうか・・。」という様相でしたが、搬入も思ったとおりに階段からの搬入は困難で時間を要したこともありまして、荷揚げに苦労している1時間ほどで大工さんが場所を作ってくれまして、どうにか順調に作業に取り掛かることができたのでした。
設置工事自体は、アイランドということもあってシンプルでしたので、私たちの作業する部分は順調に終わりまして、あとは工務店さんが残りの接続工事を行なって頂いて完了です。
そうして、2か月後に無事にお引き渡しが終わったそうなのですが、私はタイミングが合わなくてお伺いすることができないまま、どうされたかなと思っていたのでした。
そうして、半年ほど過ぎた頃にあらためてご連絡を取らせて頂くと、Mさんのご自宅が【第5回「住宅部会賞2022 |10宅選」】を受賞されたということで、これはぜひともお伺いしたいと思いまして、あらためてお手入れの道具を持参してアキコと二人であいさつにお伺いしたのでした。
お伺いすると、あの当時のオープンハウスのお礼ということで、ご自宅の様子だけではなくアトリエまで拝見させて頂いて、その空間や細部の様子を全然ポーカーフェイスじゃないじゃん、っていうくらいとても楽しそうにお話してくださって、私もアキコも楽しさと共にとても勉強になった時間を頂いたのでした。
ありがとうございました、Mさん。
株式会社プラスチックアーキテクツ一級建築士事務所
https://plstc.org/


天板 | ステンレスバイブレーション |
---|---|
前板・扉 | ナラ板目節アリ突板 |
本体外側 | ナラ板目節アリ突板 |
本体内側 | ポリエステル化粧板/シナ合板無塗装 |
塗装 | オイル塗装仕上げ |
ステンレスバイブレーションとナラ節アリ材のアイランドキッチン
費用につきましては、お問い合わせくださいませ。

デクトンとクルミの食器棚
Category : 日記「自由な手たち」2024年1月14日



工房から乗れる最寄りの電車は、神奈川県の真ん中を走るのに単線という相模線になるのですが、私はこの1時間に3~4本しか走らないゆったりとした電車が好きでして、今日も浦和のYさんを訪ねるにあたっては、この電車で北上しながら八王子や国分寺を通って向かっていったのでした。
昨晩の冷え込みもあって、八王子あたりで車窓から積雪が望めました。今朝も出てくるときは冷蔵庫の中のような寒さで手が痺れていたかったくらいでしたからね。
約2ヶ月ぶりに再会した食器棚ですが、Yさん、とても快適に使ってくださっていて、うれしそうにその様子を話してくださいました。
心配だった乾燥による扉の反りなどもまだ出ていないようで、またお手入れの方法をと思ったのですが、クルミの表面にはまだどこにもざらつきが出ていなかったので、普段使われている木製トレイを使ってオイルのメンテナンスの方法をお伝えして、皆さんからよく聞かれる引き出しの外し方や引き出しのものの入れ方のコツなどをお伝えしてきました。
楽しく使っている様子が見られるというのはやはりうれしい時間です。
Yさん、また何か相談があったらいつでもご連絡くださいね。

窓の前に障子を張る:家具屋の自宅
Category : 日記「自由な手たち」
暮らし始めて5年目の我が家。このお正月に変えた部分がありました。
玄関からすぐの場所にある、飾り棚というのか洞床というのか、という場所。
器やお花を飾ったり、リビングより涼しいので果物を置いたりして活用しているお気に入りの場所です。
住宅街の旗竿地にある我が家。北側はお隣さんが近いので窓はほとんど設けていないのですが、
お家づくり当時、設計士の福原さんからは、「お隣さんの家の壁が近くても明かりは入るし、ここは窓にしておいて、あとから気になるようなら、何かでふさぐこともできるし。」という話だったと思います。
ここは、防火のために、窓にしたとしても網入り型板ガラスを使う必要がある場所でした。

人が通るとしてもお隣さんしか通れない場所ですし、このままでもよかったのかもしれないのですが、このガラスが目に入る光景に私が慣れなかったのだと思います。
ダイスケさんにお願いして障子の建具を取り付けてもらうことにしました。
(2年くらい言い続けてこのタイミングで叶えてもらうことができました。自分で作れないので、催促することもできないですし、難しいですね。笑)

障子のデザインも色々あるので、ふたりで色々見て決めました。
「和風は好きだけど、純和風ではなくて。長方形よりも、正方形の印象が残るような。かわいくなりすぎないで、シンプルに。」と話していて、あとは、ある材料から作りやすい形に、ということになりました。




窓の前に壁が二つある洞床のようになっている場所ですから、取付当日ダイスケさんは、
「壁が膨らんでるよ。入らなかったらどうしよう。」
「手前の下がり壁が袖壁と同じくらい奥まってたら入らないな。」とか、ぶつぶつぶつぶつ言いながら作業をしてくれました。きっちり納まってありがたいですね。


ここの窓は開け閉めする窓ではないですし、障子を付けてよかったと感じる点は、暗くなって家の中の明かりをつけた時に、今まで窓に光が抜けていたのが、障子に光が映るので、前よりその場が明るく感じることです。
寒い時期なので、防寒効果もあるのかなと思いましたが、普通の障子紙なので、その差はあまり感じませんでした。
ここに結露が発生したことはないのですが、障子を付けることでちょっと心配になります。様子を様子を見ていきたいと思います。
そして、夕方、日の入り時間前に、障子やハニカムシェードが青く映るのを見るのが好きなので、その面が増えてうれしいです
窓が一か所障子になっただけと言えばそうなのですが、玄関を通るたびに、「お!障子じゃん!」と思って見てしまいます。(自分でそうしてもらったのですけどね。)
暮らしてみてわかることってたくさんあると思います。今はもう他に気になるところはないと思っていますが、これからの暮らしの中でまたきっと気になる点が出てくるのでしょう。
その都度、ダイスケさんと話し合って、ハルチイにも意見を聞いて、変わることを楽しみながら暮らしていけたらいいなと思います。

悩む
Category : 日記「自由な手たち」2024年1月13日
軽井沢のYさんのキッチンと並行して、伊勢原のIさんのキッチンの塗装と仕込み部分を担当することになったタケイシさん。
Yさんで初めてのキッチン作りに取り組んだわけですが、今回はさらに納まりの難しいBOSCHのフルドアタイプの食洗機の仕込みを悩みながら進めているのです。巾木一つ作るのにも床にLEDで表示されちゃうものですから、それがきれいに映し出されるように工夫しながら進めるのです。
ひとつずつ勉強の毎日です。

タモのお仏壇
Category : 日記「自由な手たち」いつもお世話になっているTさんからご依頼頂いたお仏壇をノガミ君が年明けから作り始めています。
Tさん、私の母が亡くなった時に作った仏壇を見ていて、「そういうシンプルな形が良いのです。」というお話を頂いてこの形に。温故知新というか、シンプルな形でもなるべく昔からあったような素朴なというか素直な作りにしたいと思いまして、ノガミ君といろいろ相談しながら進めております。
クランプの先にさくらテープが乗っかっているのは、ここを通り過ぎる時にうっかりクランプにぶつからないようにねの合図。
もうすぐ全容が見えてきます。

チェリーの本棚
Category : 日記「自由な手たち」2024年1月12日
少し前からグラベルロードというバイクが流行っていて、舗装路以外のちょっとしたダートな道もロードバイクで走破するっていうのに憧れて、ディスクブレーキはフレームからして付けられないからせめてタイヤだけでもと思ってグラベル用のタイヤに履き替えたのが2年ほど前でそれから一度もパンクしなかったものでいつも快適だったのですが、今日になってうれしくはないのですがようやくパンク。
それなのに顎紐も外さないうちから、今日もアイが「外に出せ」ってせせこましい朝です。
んーもう、んーもう、って思いながらとりあえずご飯あげて着替えていたら、下でシャッターを開けるガラガラという音が。
こんな早くに!?と慌てて着替えて階下に向かうと、タケイシさんが「おはようございます。ノミと鉋の刃を研いでおきたいと思って。」と、支度を整えておりました。おぉ、頑張ってくださいね。
今日は納品がありましたが、私は数日前から頂いていた難題のような相談が重なってきたので、それをひとつずつ解決していく日でしたので、ワタナベ君とタケイシさんにSさんのところまで納品に向かってもらいました。
今から16年前に作らせて頂いた和室に置いて使うためのチェリーの扉付きの本棚。
こちらが当時の様子。
「ぐるり」
https://freehands.exblog.jp/9713199/
お引っ越しするにあたって、今のサイズのままでは次の部屋に運び込めない、ということで、昨年末に一度預かって、2分割して使えるように化粧し直したのでした。
そして今日がその納品日。新たなチェリーの部材はまだ色若いですが、そのうちまわりに追いついてよい色になってくるでしょう。
時間が経つのは早いのです。

海のそばへ
Category : 日記「自由な手たち」2024年1月11日
今日は強い風が吹いていて寒いね。
会社に着くころには手がかじかんで、ヘルメットの顎紐も外せないでいるのに、アイは「早く外に出せ。」って朝からせせこましい。倉庫の下を覗いて匂いを嗅いで、誰も来ていないって分かると、一緒に事務所に上がっていって、ご飯を食べたらポイポイ(最近のアキコの流行り言葉です)って出て行っちゃう。
みんなが来る頃にはすっかり居なくなってしまって、「おはようございます。」と挨拶を交わしながら届いたメールを見ていると、今年も仕事が始まったんだなあと何となく思うのでした。
今日は内田さん設計の住宅にキッチンを作らせて頂くのでその現地確認に海のそばまで。
駅で強い風に吹かれていたせいか、ゆったりと西に向かう暖かい電車内はまどろむ時間でして、到着すると身震いするくらいでしたが、内田さんや施工担当の市丸さんお久しぶりに皆さんとお会いして温かくなる。
「イマイさんも老眼ですか。」と市丸さん。
8年前に「土間」のZさんのキッチンの時に初めてお会いした時はどこかぶっきらぼうでおっかなそうな人だなあという印象だったのですが、それは素朴な印象の裏返しで、いつもよく面倒を見てもらってもうこんなに月日が経ってしまった。内田さんも私もすっかりおじさんで、それでもこうして賑やかに仕事をさせて頂ける日々をうれしく思うのです。
しばらくして、施主のSさんがいらっしゃって、「なんてすてきな屋根!」と言っていた美しい空間。
これからチェリーのキッチンを作らせて頂くのです。

お礼
Category : 日記「自由な手たち」今年も皆様からの年賀状をいただくことができました。ありがとうございました。
年始のご挨拶もメール等のメッセージが主流になってきていまして、年々縮小ムードになっております…。
でも、いただけるとやはりうれしくて、ご家族の皆様で写られているお写真と共にメッセージを添えられているのを拝見すると、とても微笑ましく、ありがたく思います。
(都合がいい話ですよね、すみません。)
「今年も今井さんのお仕事楽しみにしています!」というメッセージをいただいました。
Kさん、いつもありがとうございます!頑張ります!
そして、今年は皆様が集まれる「参加して体験してよかった」と思っていただけるようなイベントを開催できたらと思っております。もしご都合が合うようでしたらぜひ遊びにいらしてくださいね。
皆様、今年もどうぞよろしくお願いいたします。

ものごとのみかた2
Category : 日記「自由な手たち」2024年1月9日
年末年始の仕事を予定のやり繰りをしていて今日も工房はお休みとなっています。
そこで、アキコからずっと頼まれていた玄関の網入り硝子を隠すための障子を年始に作り終えていて(その話はアキコがどこかでしてくれるでしょう。)その取付を済ませてお茶を飲み終わったら、さて外に出かけているアイがそろそろ工房に戻ってくるころでしょうから、工房に戻らないと。
なかなか日が沈む前の機会は得られないので、久しぶりに夕方から走って工房まで行けることを楽しみに駆け出しました。
もう少しでマジックアワーがやってくるころかな、なんて思っていたのですが、今しばらくその時間まではありそうでしたので不意に相模大堰を渡って、厚木のほうに向かうことに。
そのまま、「季節が良くなったらこの道を歩いてみたいね。」とアキコが言っていた戸沢橋を厚木に渡ったところから始まっている桜並木の先がどんなふうになっているのか見てみようかな、と思ったのでした。そうして、南下して神川橋までの道程は今まで走ったことなどなかったので、走る速度もゆったりしてきて汗で体が冷え始めてきても何もかもが新鮮でとても楽しい時間だったのです。
普段は、通勤で通っているだけの自転車道をランニングしていても、もう見慣れてしまって気持ちが退屈していると、いかに速く走れるか、とか、歩道や自転車道を逆走してくる人たちが嫌だなあ、とか、小さなことばかり気になってしまって楽しめなくなっているような気がしていたのですが、こうして初めて通る道では何もかも新鮮で小さなことよりも、こちら側では新幹線がこのあたりで川を横断するのか、とか、この寒いのにこんなに羽虫が群れているのだなあ、とか、夕日を受けて赤くなる団地を見ていて子供の頃を思い出したりしてすべてが新鮮で小さなことは何も浮かんでこなかったのでした。
何も奇抜なことや目新しいことを常にし続けないといけないというのではなく、自分の気持ちがいつも新鮮でいられるというのは何事に取り組むにもとても心地よいことなのです。毎日が同じように思えてもそこには同じ時間が流れているわけではないので、その機微に触れられるような心を持ちながらきちんと過ごしてゆこうと、席にたたずむサギたちをみて思うのでした。

ものごとのみかた
Category : 日記「自由な手たち」2024年1月8日




年末年始の休みの間に1日だけ山に出かけてきました。
アキコと「緑あふれるところに行きたいなあ。」と秋頃からずっと考えていまして、以前に渋沢の山のふもとを歩いた感じが心地よかったのを思い出して、では1日ハイキングに出かけましょう、と選んだ場所は、念仏山と高取山を巡るコース。
秦野観光協会で紹介しているページにさらっと書かれていたので、スニーカーでも大丈夫じゃないかな・・、なんて思っていたのですが、「それはだめよ。」とアキコが譲らなかったのは正解。息を切らせての軽登山の様相でした。
まるで冷蔵庫の中のような寒さの高取山の山頂に到着すると、「何だかね、分かったの。」とアキコ。
「何がだい?」
「高いところに来るほど遠くまできちんと見えるっていうことが。」
それはそうだろうね。
そのままゴルフ場の横を通って、ふるさと公園で今晩使う大根を背負ったアキコとレモンとサツマイモを背負った私は再び秦野駅まで向かって14キロのハイキングでした。
さっきアキコが言っていたことってなんだろうね・・、と道すがら考えていたのです。帰宅してからアキコとその話になった時に、言葉にすると当たり前なのだけれど、高いところに登らなくても遠くの街の景色や様子って簡単に思い描くことができるようになってしまっているけれども、やっぱり実際に登ってきちんと自分の目で見えることとは感じかたが大きく違うんだよね、って思えたのです。
うわべだけで話してしまう、というと大げさですが、きちんと自分たちで感じたことを自分たちでうまく伝えることができないといけないのだよね、と今日が教えてくれたのでしょう。

子供部屋に収納棚を作る:家具屋の自宅
Category : 日記「自由な手たち」

お正月やお盆休みになど長期休暇に普段気になってた暮らしのことを整えるという人は多いのではないでしょうか。
我が家もそうでした。
ハルチイが引っ越し当初から進学して、一緒だった子供部屋を間仕切りで仕切り、それぞれの過ごし方が落ち着いてきたのですが、収納スペースはきちんと確保できていないままでした。
収納を作ってもらえたらすてきだけど、ダイスケさんにはきちんと休んでもらいたいし、どうしたものかなと思っていたのです。(家具職人さんのいるご家族あるあるかもしれませんね。)
父が体調を崩して、暮らし方をコンパクトにしようと片づけ始めた母から、お正月に、不要になったというカラーボックスを預かったのです。捨ててしまうなら活用させてもらおうと、それをチイの部屋の持ち込んだところ、
それを見たダイスケさんから「作るから待ってくれる。」と一言。
チイに何をそこにしまいたいか聞き、採寸して一日で作り上げ、翌日持ち帰って取り付けていました。
「簡単に作ったものだから載せないでいいよ。」とダイスケさん。
物を置いた様子を写真に撮って載せてもいい?と聞くと「やだ。」とチイ。
ということでこれらの写真です。(笑)
間仕切りの角のRに合わせて収納棚もRになっているところがポイントです。
ハルの部屋は、元々使っていた無印さんのスチールラックに収納ケースを足して細々としたものをしまえるようにして整いました。机の上や床に置かれたままになっていたものの置き場が決まってよかったです。
明日からの新学期、より整った気持ちで向かてもらえたらうれしいです。

人工大理石天板の洗面台のお掃除:家具屋の自宅
Category : 日記「自由な手たち」2024年1月6日

私「今まで、ステンレス天板、木の天板のメンテナンスの仕方はお伝えできているけど、人工大理石天板のキッチンにした人が結構多いのに、実演できてないのが申し訳ないよね。ショールームのキッチンも天然石とステンレスだから。」
ダイスケさん「家にあるのは、洗面所だからね。」
私「ん⁉」
ダイスケさん「洗面所だから、キッチンの汚れ方とは違うもんね。」
私「え!やだ!本当だ!できるじゃん!」
ダイスケさん「…。」
ということで、汚れ方はキッチンとは異なりますが、我が家の洗面所のCORIANの人工大理石天板をきれいにしました。
暮らし始めて5年目になりますが、今まで水拭きくらいしかしていませんでした…。
食器棚掃除の時もそうでしたが、天板を掃除する時、周りを囲む壁にも影響しますので、洗剤を使ってもシミにならない素材か、養生テープやマスキングテープを使っても剝がれないか、確認してから作業を進めてください。
我が家は洗面所も、ペンキの塗り壁で、ひびや傷がなければシミになったりはしないので、そのまま洗剤を使いました。
まず、洗面台の上のものをすべてどかして、ペンキの壁、ガラスの壁、鏡の部分、引き出しの手掛け、前板部分、すべて水拭きをしました。

今までも拭いていたはずなのに、物をすべてどかして拭くだけで、こんな汚れあった?と気づきました。ちゃんと拭けていなかったのですね。
歯磨き粉や化粧品など跳ねて乾いてこびりついた汚れ、何かの細いテープが乾いたもの(娘たちが目を二重にするためのものと思われます…。)がありました。まず水拭きで落とせるものを拭き取りました。
洗面台の汚れは、手垢などのたんぱく質のものや、化粧品などの油性のものが考えられます。
ひとつだけ落とせない汚れがありました。

引き出しの内側に見つけた赤い染みです。ハルがダンスのステージ用に髪を赤く染めた時についたものと思われます。除光液を使っても落ちませんでした。ヘアカラーの汚れは手ごわいですね。
Instagramで人工大理石のキッチン天板のお掃除で、中性のウタマロクリーナーを使っている方法をよく見かけ、やってみたかったので試してみました。


天板全体に洗剤を吹き付けて、スポンジでくるくる汚れとなじませてから、お菓子作りなどで使うスケッパーで泡を集めてシンクに落とします。泡を落としきったら、硬く絞ったふきんで拭き上げました。
スケッパーで泡を集めてシンクに落とす作業が楽しいですね。
泡を集めたシンクが白かったので気づいたのですが、泡は黄みがかっていました。やはり汚れていたのですね。お掃除後の天板の白さが増しているようにみえました。

毎日家族皆で使ってる洗面所。キッチンと同じくらい大事な場所なのに今までちゃんとメンテナンスしていませんでした。コロナ禍にはアルコールスプレーを吹き付けて拭いているだけでした。
違う方法でメンテナンスすると落ちる汚れも変わるのでしょう。
これからは定期的にお掃除して清潔に保っていきたいと思います。

人工大理石の天板にもタイルが映っていたのだなと、写真を撮っていて気づいたのでした。