オイル塗装

2020.10.03

今朝は四街道のSさんの現場まで。今日はSさんご夫婦でキッチンや洗面台のオイル塗装を行なうので、その塗り方などについてご説明に行ってきました。
オイル塗装は基本的に誰でもできる塗装ですので、制作のコストダウンもかねてご自身で施工されるという方々も増えてきています。
自分で使う家具(道具)は自分たちで手入れをして使う、というのはとても良いこと。
それに楽しいんです。
ザラついている表面にヤスリを当てるだけで気持ち良いくらいにつるっとして、ぼんやりと均質な表情だったものがオイルが塗られると、見る見るうちに導管が浮き出てきて躍動感のある木の表情がうわっと現れる。
Sさんたちもまさに息をのんでいて、「うわっすごいきれい!」って驚いていました。
そう、楽しいんです。
作業自体はなかなかの労働ですので疲れるでしょうけれども、できあがったさまは今見ている形よりももっともっと美しくなります。
頑張ってくださいね。

塗装方法と一緒に引き出しや扉の取り外し方法、取付方法塗り方のコツと拭き取り方のコツなどもお伝えして、要領の良いSさんたちですからきっときれいに仕上げてくれるでしょう。
次に伺う機会が楽しみなのです。

アジアンタムとの18年

2020.10.03

先日結婚記念日だったのですが、このアジアンタムとももう18年一緒にいることに気づきました。
結婚当初はさがみ野の駅近くのアパートに暮らしていました。ダイスケさんは主任で、私は看護師の仕事をしていました。結婚して一緒に暮らせるようになったけど、一緒に過ごす時間は減っている気がすると思い始めた頃にひとりでお家にいる時間の寂しさを紛らわせるために観葉植物が欲しいなと思い探したのです。その時風にふわふわ揺れる葉がかわいいアジアンタムという植物があることを知り育ててみたいなと思いました。直径10㎝くらいの鉢に収まる小さい子だったのですが、今ではこんなに大きくなりました。アパートからマンションの6Fベランダに引っ越した時に一度葉がないいがぐりみたいな状態のまま1年以上続いた時があって、環境が変わりすぎてもう駄目なのかもしれないと思ったことがあったのですが、再び葉が出始めて元気になりました。引っ越した場所で植物が元気でいてくれると「大丈夫な環境なのだな。」と思えてとても安心できたことを覚えています。
今回のマンションから戸建てへ引っ越す際も何かあるかもと心配していたのですが、元気でいてくれています。
ほぼほったらかしなのですが、我が娘たちと同じくたくましいのだと思います。(笑)
「いつもありがとう。これからもよろしくね。」と思うのです。

Aさんの家具たち

2020.10.02

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灯りをともして」の時に家具を作らせて頂いてから10年が経ったAさんのところに再びお邪魔せて頂いたのは昨年の12月頃でしたね。
このコロナウイルスの広まりを懸念されて、工事をしばらくのあいだ停止しておりましたが、いよいよ進めましょう、という流れになりまして、先日の火曜日と本日との2日間で数台の家具たちを納めさせて頂きました。
そもそもの希望は、当時小さかったお子さんたちが大きくなることで、近々必要となると思われる子供部屋をきちんを使えるようにしたい、ということが今回の大きな改装のテーマでした。お子さんたちが使うための部屋は大きくひと間で取ってあったのですが、これを2部屋に分けたいということでした。ただ、リフォームするのではなく、いずれお子さんたちが大きくなってここを出る時が来た場合には、その家具たちは動かして、広い部屋として使えるようにしたいなあ、というのも大きなポイントでした。
そこで簡易的に固定できて、子供用のデスクと整理棚が間仕切りになっているような家具を作らせて頂いたのでした。
しかし、ただ家具を作るだけなら良いのですが、天井が傾斜していることもありまして、家具がそこにぴったり収まらないため、変形したパネルを立てたりと、簡易的と言ってもかなり複雑な形になったのです。
その家具と一緒に、無双窓のような建具、洗面台の下がオープンになっていたので、機能的な収納に、そしてリビングの顔となるようなテレビボードを作らせて頂きました。
まずは無事にすべての家具が納まりましてひと安心です。
あとは、当時作らせて頂いた椅子に少しがたつきが出てきたので、そのメンテナンスが終わればすべて完了。

タモの家具に会いに

2020.10.02

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Kさんのところは陽当たりが良いものですから、板が動く。
無垢材だから動くのはあたりまえでそれをどう無理なく動きを少なくできるかを考えるのですが、やはり難しいのです。
リビングのほうはだいぶ落ち着いて素直な印象になっておりましたが、キッチンカウンターのは扉の動きはそれほど大きくなかったですが、サイドパネルのほうがなかなか言葉通りのくせものでしたので、少し調整に伺ってきました。
最近は、遠方からのご相談を頂く機会も多くなってきました。
ご縁があって、少し遠くにお住いのお客様のところまで出掛けることもありますが、基本的には私たちが車で数時間で通える距離までのお付き合いが最良だと考えております。
(Kさんはここから車で10分の距離ですので、とても気軽に伺いやすいのでした。)
家具やキッチンは作ったらそのままではずっと使えるものもずっと使えなくなってしまいますので、どういうふうにお付き合いできるかが大切だと思うのです。
昨年末に納品したKさんのパネル、まだ様子を見ている感じですが、このまま落ち着いてくれると良いなあ。
実はご実家の家具も9年前に作らせて頂いた時も、家具を使い始めて早々に床暖房とペレットストーブから受ける乾燥で、突板でも大きく反りが出てしまったことがあります。
でも、春が過ぎて梅雨を迎えると板は戻り、次の冬にはそれほど大きく動いていなくて、徐々に落ち着いてきたのを思い出します。
思いが気軽に届く距離は良いです。

丘のまち

2020.10.01

横浜から東横線で上り方面に2、3駅いったあたりの町並みはなかなか好きです。
車で来ると街並みが入り組んでいて走りづらくて難儀するのですが、こうして電車で来て駅に降り立ちますと、丘の上、下に家々が立ち並ぶ様子がひじょうに愉快に感じられてよいのです。
その中をスマートフォン片手にとぼとぼと歩いていくと、不意に行き止まりに案内されたように思えて、一人うろたえていると、細い階段がどこからともなく表れるのです。
すてきなのですよ。
こういうところ。
今度はナラの白太を印象的に見せるキッチンを作らせて頂くのです。
施工は平成建設さん。

そして、懐かしくて。
以前にもこのすぐ近くで3件ほど家具を作らせて頂いたお客様がいらっしゃるのでね。
知らない町で感じるどこかよそ行きの遠い風も好きですが、いつか知っている土気のあるのような風の匂いは落ち着きます。

現場に着くと、監督のOさんが「イマイさん、懐かしいですねー!」と朗らかに迎えてくれました。

丸19年

2020.09.30

昨日は結婚記念日でした。気持ちは30歳位のままのつもりなのですが、あっという間に時間は過ぎていってしまうのですね。
日曜には久しぶりに家族で八景島シーパラダイスへお出かけしました。
「その日部活はない。」と言っていたハルも急に午前中だけ部活になり着替えを持ってきておいて終わり次第現地で合流するという形で。ハルもそんなことができる年頃になってきました。
家族で八景島に行くのは2回目で1回目は10年前でした。当初の予定ではもっと行くはずだったのですが。
周りの小さい子連れのご家族を観ていると、自分たちもこうだったのかなぁと懐かしく思いました。
多分もう娘たちはお友達と来るだろうから、ここに来るのは最後になるかなと思いながら楽しみました。小さな生き物たちの姿は癒されます。ずーっと見ていられますね。

昨晩は、普通の晩ごはんを普通に食べました。
私「今日結婚記念日なんだよ、明日から20年目。ハルとチイも仲良くしてくれているからのおかげもあると思うからありがとうね。これからもよろしくね。」と伝えると、
2人とも「うん。」とうなずき、
ハル「これからも仲良くね~。」と言ってくれました。
一緒に暮らしてはいるけどそれぞれで行動する時間が増えてきて「子供の成長の証」と思いつつ、ちょぴり寂しく感じる記念日なのでした。
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墨出し

2020.09.29

午前中は大森のAさんの現場に段取りの確認と荷揚げに行っておりました。自分の中では想定内のサイズだったのが、わずかに大きく階段から搬入できなかったりして、3階までロープで荷揚げしたりとなかなか時間がかかってしまいましたが、どうにか昼過ぎにはみんなにあとを任せることができて、続いて町田のKさんのところまでやってきました。

下地の床が張り終わったので、キッチンの配管の墨出しをしてほしいと監督さんに頼まれていたのです。
監督さんが来られないということで、現場につくと上階で作業しているような音がしたので「こんにちは。」と大工さんに挨拶すると、うーん、何だかおっかなそうな大工さん。
「墨出ししに来たのかよ、ちゃんと納まり確認してから出してってくれないと困るよ。」と、いきなりつっけんどんな感じでまくしたてられて、何だか気分悪いなあ、と思うわけです。
「ちゃんと分かるように書いていきますよ。」と伝えて作業に取り掛かろうとすると、
「だから、ここはさあ、ボードとタイルでこれだけ柱から開くんだよ。分かってる?」とか
「ここはさあ、仮止めなんだからこういうのでさあ、ガって突っ張ってから寸法出さないとずれちゃうんだよ。」とか
まともに聞いていると何だか気分悪いと思うのですが、よくよく話を聞いてみると、口は悪いけれど何だかきちんといろいろと伝えたい感じの大工さんのようで、「全部きちんと書いていくから大丈夫です。」と伝えると、「おう、ちゃんとやってよ。」とぼやきながら上階へと戻っていくのでした。
自分の作業場に知らない人間がのこのこやってきて、勝手に作業していくって言うのは、やはり大工さんとしては気持ちの良いものではありませんから、そういう気分の表れだったのかもしれません。

で、私たちのキッチンって、システムキッチンと違って、ところどころ床が見える部分があるのが特長です。例えば、シンク下はゴミ箱を置くのでオープンなっていたり、コンロ下にワイヤーシェルフを置くからやはり床が見えるようになっていたり。
キッチンとリビングダイニングで床の仕上げを切り替えるところもあったりして、なかなか大工さんも苦労する部分だったりします。そういう部分を監督さんに取りまとめてもらえたらありがたかったのですが、今回は大工さんと私しかいないので、それならキッチンがどんな形で床に置かれるかもきちんと床に描いて、それから配管位置を出していこう、と思い、長々と作業をさせて頂きました。

話が長くなりますが、いま思えば、墨出しなんて今では普通にできるようになりましたが、キッチンを始めた当初は本当に右も左も分からない状態でした。
「配管の位置はどこになりますか。」ってよく工務店さんに聞かれたのですが、「よく分からなくて、家具屋としてできる範囲の作業しかできないもので・・。」なんて言いながらどこか甘えていたのですが、だんだんとそれじゃあ困るよって言うことが多くなってきて、知り合いの設計士さんに納まりを聞いたり、お客様でシステムキッチンの設計に携わっている方がいらっしゃってその方に教わったり、(大変感謝しております。)現場で設備屋さんに怒られながら教わったりと、いろいろな人たちの助けがあって今の私たちがあるわけで、もう本当に感謝しかないわけです。

で、キッチンが立つ位置と配管の位置とケーブルの長さなどをひと通り床に描きだした頃に大工さんが下りてきて、墨出しの図を見て、「おっこれはすごいね。」と言ってくれて、帰りには「はい、ごくろうさまでした。またよろしくお願いしますね。」なんて優しい言葉を掛けてくれたりして、なんだよ、ツンデレかよ(笑)と何だかほっこりして帰ってきたのでした。

ナラ節アリ材を使ったペニンシュラキッチン

2020.09.26

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今日は山梨県でご新居を建てているOさんの現場までペニンシュラタイプのキッチンの設置に行ってまいりました。
このところみんな忙しいので、これだけ現場施工作業が続くと制作が追い付かなくなる、ということで、いつもは搬入と打ち合わせの段取りを行なって先に戻ってくることが多い私ですが、今日はカイ君と二人で作業を行なうことにしました。
甲斐の国にカイ君とやってきたわけですね・・、ははは。
今回は形がシンプルでしたので、二人で大丈夫だろうと安易に考えていたのですが、搬入がかなり大変だったのでした。
搬入中は雨はどうにか止んでくれていたのですが、今回がっちり固めるためにサイドパネルとバックパネルを工房で組み上げた状態で持ち込んだので、玄関からキッチンまでが入らない・・。
どうにか家のわきを通って反対面の掃き出し窓があるバルコニーまで担いだのですが、お隣さん(Oさんのご実家)の塀があったので、腕を上げた状態で、このナラ材を運ぶことがこれほど大変だとは・・。
ナラ材は広葉樹の中でもかなり重いほうですので、これが、タモとかクルミだったらどれほど楽だったろうと思いながら、涼しいのにシャツの色が変わるくらいになりながらどうにか搬入できたのでした。
工務店さんが今日のためにほかの業者さんの予定をずらしてくれていたので、作業自体はとてもスムーズに進みまして、午前中でほぼ完了。
どうにか開催されたお嬢さんの運動会から帰ったOさんたちもお昼に見に来てくださって、午後には機器類を設置して無事に完了。
完成後Oさんたちにあらためて見て頂いて、とても喜んで頂けて、ひと安心。
次回は、10月中旬のお引渡の頃にあらためてお伺いします。
大工さんと建具屋さんが作った背面のカウンターの下についている引き出しの前板だけ私たちで作らせて頂くことになったのです。
そこまで終わればすべて完成。
Oさん、もうしばらくお待ちくださいね。

クレミル2020についてのお知らせ

2020.09.26

ニュースを見ていると、様々なGoToキャンペーンが展開されて、コロナウィルスの感染拡大が納まっているかのような印象を受けるこの頃ですが、個人的には違和感を感じています。
今年のクレミルの開催をどうしようか春からずっと様子をみながら話し合っていたのですが、今年は開催しないことに決めました。小さなイベントですが、はじめは「創作展」として2013年からは「クレミル」と名前を変えて毎年開催してきたイベントです。本当に残念なのですが、もし何かあった時にその後の仕事に影響が出る方が会社にとってリスクがあり過ぎるということで、中止にさせていただきました。毎年参加してくださっている作家さん達には報告をさせていただきましたが、皆様温かいお返事をいただくことができて大変ありがたく思っております。
作家さんそれぞれで他のイベントに出展される情報は追ってお知らせさせていただきますのでご参照いただければと思います。
こんなお知らせになってしまい申し訳ございません。
次回開催時にマスクなしで皆様に笑顔でお会いできる時を楽しみにしております。
写真は2016年のクレミルのポスターに使ったチアキが描いた絵です。懐かしい。

栗のテーブルで栗仕事

2020.09.23

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ハルチイが通っていた幼稚園の近くに畑を持ったお宅があって無人販売コーナーに季節の野菜が売られています。
幼稚園からずっと体操教室に通い続けているので今でも週に一回園に通っているのですが、そこで栗が販売される季節になりました。
以前から売られていたと思うのですが、子供が小さい時には子育てに追われて栗を調理したいなんてかけらも思っていなかったので見過ごしていたのだと思います。
小柄なおばあちゃんが地面にしゃがんで栗の木の下の草むしりをしていていつも横を通るまで気付かずびっくりしてしまうのですが、そんな木で実った栗を食べたいなぁとも思いました。
以前は手伝ってくれた娘たちも、最近は「前やったことあるからいいや。」とさらっとスルーされてしまうので、一人で黙々とやりました。お手伝いはお手伝いでしかないのでしょうね。自発的にやることとは違いますから。途中でなぜかチイが筋取りだけ手伝ってくれましたが。こういう作業は楽しいですね。
一晩置いて食べてみたらおいしかったです。やはりいい栗なのでしょう。
敬老の日に母から手づくりぼたもちをもらったお返しに今度持っていこうと思います。

敬老の日

2020.09.22

昨日は敬老の日でしたね。
私たち夫婦二人共の実家が近く、今年はコロナウィルスの感染予防で長居ができないので当日に両家に挨拶に行けました。
ハルは生徒しか参加できない高校生活初めての文化祭に向けての部活の練習で忙しく行けませんでしたので、チイと2人で出かけました。チイも年頃になってきて昔よりもじいじとばあばと話す時にぎこちなさがありますが、会えるとちゃんと「元気そうだったね。」と話しているのですよ。家族が元気でいることは幼心にも安心なのでしょう。
最近実家に帰ると、両親ともに色々と片づけを始めている様子で、
「これ使うか?使わないなら処分しようかと思って。」とか、
「これ、ダイスケの写真がまだ残ってたのが出てきたのよ。持って帰って。」というお話が出ます。
迷惑をかけないようにと身辺整理を進めてくれていてとてもありがたいのですが、さみしい気持ちもしていたのです。
でも、その写真を見たチイが「おとうさんと似てる気がする。」と言いました。
ダイスケさんの幼少期の思い出話を聞く機会になりいい時間になりました。
こうして代々家族の時間がつながっていくのかなと感じました。
両親が元気でいてくれている今があることに感謝しています。

Oさん、こんにちは。

2020.09.20

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八王子のOさんのところにお邪魔してきました。
今度は、このダイニングに会う椅子のご相談を頂いたのです。
最近、ちょっと忙しくなってきておりまして、「おそらく来年の2月頃になってしまうと思いますよ。」とお伝えしたのですが、「いいですよ、気長に待ちますから。」とご主人も奥様もにこやかにそう言ってくださいました。
私たちのオーソドックスなダイニングチェアをベースにOさんのサイズに合わせて少しボリュームを調整して座面のデザインも少しだけアレンジして作らせていただく予定です。
しばらくお時間かかってしまいますが、楽しみにしてお待ちくださいね。
「イマイさん、そのほかにお願いしたいこともあるのです。」と奥様。
ふふん、なるほど。
面白いものを作らせて頂けそう。
どういう形にしようかな。これは年をまたぎながらゆっくり形を考えてみますね。

そのひとをあらわすかたち

2020.09.19

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今日は鎌倉のNさんのお引き渡しの日でしたので、ご挨拶にお伺いしてきました。
今回はキッチンとリビングダイニングというひと間のリノベーションだったのですが、ご家族皆さんが長く過ごす場所ということで設計のヤマトさんが丁寧に空間を作ってくださったこともあって、私たちのキッチンもとても温かみのある形となってくれたのでした。

私がNさんの思いをよく表しているなと思っている部分は、シンプルで気づきにくい部分かもしれませんが、この厚みのある天板と少し懐かしい面取りかな。
これは、この部屋にある出窓の窓台に施されている意匠なのですが、打ち合わせの時にNさんご家族がこの家でどういうふうな思いで暮らしているのかを聞かせて頂いた時にこの窓台のお話が出てきたのです。
ここでどういう時間を過ごしてきて、どんな風に料理をし、時間を過ごし、ご主人と奥様が話してくださる時に選ぶ言葉の一つ一つが、なんというか、とてもこの家が好きなのだなあ、と、つよく思わせてくれる言葉たちだったのです。
その中でふと出た窓台のお話は、当初私の頭には思い浮かばなかった意匠なのですが、ヤマトさんとNさんたちとのお話の中で、この厚み、面の印象がキッチンを象徴する形になるって思えたのでした。
この時間が無かったら、もっとシンプルな天板になってしまっていたかもしれないところを言葉がこの形へいざなってくれたのです。
もちろん、今回のキッチン自体の形も独特です。
キッチンについてのつよい思いを聞かせて頂いた表れが、ステンレスの細かい細工だったり、工夫された収納だったり、木目のダイナミックなグラデーションだったりするのです。
良いキッチンとなりました。
ありがとうございました。

デクトンとラスチックな黒のキッチン

2020.09.18

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再び軽井沢の山荘まで、ヒロセ君と残りの作業に出かけておりまして、本日無事に完了しました。
おじいさんが残したという山荘はこれからみんなの憩いの場になっていくのだそうです。
よいです、すてきな場所です。
作業中は、涼やかに風が通り抜けるし、たえず虫たちがにぎやかに飛び回るし、雨かなって思うくらい木の葉がこすれあってざわめく感じが心地よい場所だったのです。

おうち時間:おとうさんの台所「焼き餃子をつくる」

2020.09.15

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日曜日はダイスケさんがお休みでしたので、緊急事態宣言が出た当時しばらく続いていたおとうさんの台所シリーズの久しぶりの再開です。
今回のテーマはダイスケさんのリクエストの焼き餃子です。
「大きい餃子が食べたいんだよね。萬金の餃子(知っておりますでしょうか・・。)みたいな感じも良いよね。」ということで、いつもは市販の皮で作っていましたが、今日は皮から作ることに!
皮の生地を作って寝かしている間に餡を作りますが、皮を小さく分けて延ばし始めたら皮が固くなってしまうので、そうならないうちに「ハル~、チィ~、手伝って~!」と呼びつけて、家族みんなで円卓に集まってスピード感を持った共同作業。
我が家はめん棒が1本しかないので、すりこ木も出動。
「なかなか丸にならないよ。」
「丸にしても生地が縮んじゃうじゃん。縮まないうちに包まなきゃ。」と、めん棒とすりこ木をこんこん天板で転がす音と、餡をすくうヘラがボールに当たる音と、娘たちが時々つぶやく小言を聞きながらの時間は賑やかです。いいですね、こういう時間。
お湯を沸かしておいて、鉄鍋を熱して、
じゅ~、パチパチ、じゅわ~、グツグツ、バチバチ、でカリっと焼きあがった順にできたてをほおばります。
「あ、美味しい美味しい!」「思ったより皮も分厚くないよ。」
今回は家に薄力粉が30グラムしかなかったので強力粉で作った生地でしたが、「薄力粉が入ってる方が成形しやすいはずだよ。」というハル先生のご意見を次回に生かしたいと思います。
手づくりが楽しくておいしいのはわかっているのですが、気持ちに余裕がないとなかなか始まらないのです。
ハルチィも声を掛けたら、「いやだ。」「めんどくさい。」とは言わないので基本的に好きなのでしょうね。

自分で暮らしやすい道具を作る。
自分で美味しく感じられるものを作って食べる。
家具を作ることもそう、料理を作ることもそう、自分たちが生きていくために作るのです。
そして、作ったら残さないできちんと食べる。
毎日おいしく食べられることだけでも十分うれしいことに気づきながら暮らしていきたいものです。
ふふふ、次は何を作りましょうかね。

Gさんのナラ柾のキッチンたち

2020.09.15

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軽妙な口ぶりでスゥっと間合いに入ってきてくださる監督さんと大工さんは今日も健在。
「イマイさん、いらっしゃい。」
すでにお引渡が終わって間もなくお引越しなので、もう鍵はお返ししてしまったので、奥様がいらっしゃるまでしばしおしゃべり。
どちらのリビングからも今はまだ青青とした葉を繁らせている大きな紅葉が見られる静かな場所。
そこに響くおしゃべり聴いているだけで仕事が楽しそうな様子がよく分かります。
シキナミさんとのお仕事もとても楽しんでいらしたようで、次の現場の声も掛かっているそうで、私達にも(!?)楽しみです。
奥様いらしてくださって30分ほど作業をさせて頂いた頃にお母様も戻られたので、2つのキッチンの写真を撮らせて頂きました。
どちらが子世帯でどちらが親世帯かよく分かります。
本当に暮らしかたは人それぞれ。
目が回るくらいにいろいろな形がありますが、ひとつずつ皆さんのかたちを実現していくのです。

ワークテーブル

2020.09.14

ワークテーブルっていう言葉が正しいかどうか分かりません。
率直に作業台というほうが好きですがちょっと野暮ったいかな。
ダイニングテーブルって呼んでしまうけれど、この場所ってもっとこう当たり前の場所って言うのでしょうか、そういう場所であってほしいのです。
ご飯を食べるだけじゃなくて、勉強をしたり、肘をついてぼーっとしたり、ご飯を作るための場所にもなったり。
だから、よく見ると力強く書いた字の跡が残っていたり、水や片栗粉なんかピチャピチャ跳ねちゃっても広くて使いやすい道具であればよいと思うのです。
書いたり、捏ねたり、叩いたり、時には上に乗ったりしても頑としている様は好きだなあ。
汚れちゃっても、どこか凹んじゃってもいいんです。だって誰かに見せるためにあるものじゃなくて、自分たちが心地よく暮らすためにあるものだから。
昨日はね、粉だらけにニラだらけになりながら餃子を作ったのでした。

ナラのセパレートキッチン

2020.09.12

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調布の緑に囲まれたマンションの一室のリノベーション。
玄関を出るとどこからか授業の声が聞こえてくるのがすてきです。
内田雄介さん設計の空間に無事納まりました。
内田さんのテイストはいつものようにそこかしこに見えているのですが、まだ養生してあってよく分からないですか。
もう少しで全容が見えますのでね。

輪染みを消す方法 テーブルメンテナンス(オイル塗装の木のテーブルの場合)

2020.09.12

食卓で家族揃ってゆっくりご飯を食べて、「さあ、そろそろ片付けなきゃね。」という時に突然現れるのがこの輪染みです。
我が家のオイル塗装の栗材のテーブルです
「あ~!」「もう~!」「さっきおとうさんビールの缶倒した後ちゃんと拭いてなかったんでしょ~!」と
さっきまでの和やかな雰囲気が一変してしまうくらいの総攻撃を女子たちから受けても、

「家具屋のおとうさん」でなくても、
イケメン風に「直せるから大丈夫だよ。」とさらっとかっこよくかわす方法をお伝えします。
今までお客様からも何件かお問い合わせをいただいたことがあります。
木の部分にこの黒ずみができてしまう原因は様々です。
石鹸や洗剤が原因でできてしまったものは「アルカリ焼け」。
湿ったお皿や植木鉢の水分が移って黒くなってしまったものはカビだと思われます。
今回のように濡れた金属がずっと同じ所に触れていることでできてしまうのは金属焼けだと思われます。
(ビールは酸性だそうなので、アルコールを含む水分かどうかによる影響はあまり関係なさそうです。)
お家にある酸性の液体と言うと、お酢・レモン果汁・クエン酸水だと思います。
匂いや扱いやすさから我が家のおすすめはレモン果汁です。絞ってあって瓶に入っている市販のもので大丈夫です。(果汁100%のものです)写真の輪染みくらいなら小さじ2杯(約10ml)の量で足りました。
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黒い輪染みがついた場合は、絞ったレモンを綿棒にとって、その輪染みに沿って塗ってください。
あまり黒ずんだ部分よりはみ出してしまうと、今度は酸で焼けてしまいますので気をつけましょう。
酸が黒い変色を中和してくれます。すぐ乾いてしまうようならラップで蓋をしてあげてください。
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1~3時間くらい放置するとかなり黒みは軽減されると思います。鉛筆で書いたくらいのうっすらしたものが残るくらいなら、次のやすりがけで消せると思います。
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そのあとに水拭き、乾拭き、ペーパー、オイルでお手入れしていきます。ペーパーは400番くらいの目が細かいものがお勧めです。オイルは蜜蝋が良いですが、なければ亜麻仁油かオリーブオイルなどさらっとした食用油でもよいです。
写真は蜜蝋を塗り込む様子です。塗り込んだ後は乾いたきれいな布でべたつきがなくなるまで拭き取って終わりとなります。
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見つけ次第なるべく早く対処すると染み込みが浅いのでよりきれいに直せると思います。
家族でこの修復したり、メンテナンスをする時間も一緒に楽しめるくらい、木のキッチンや家具との暮らしを末永く楽しんでいただけたらうれしいです。

懐かしい形は好きです。

2020.09.10

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昨年の春にお話を頂いていて、コロナウイルスのこともあって、時間をかけてお話を進めてきたNさんのキッチンがようやくこの場所に納まりました。
打ち合わせではお嬢さんたちが顔をのぞかせてくれたり、ご主人と奥様の暮らしに基づいた寸法感だったり、手触りだったり、見えてくる風景を聞かせてくださったりと、頂いた意見や空気はすべてすてきな印象。
懐かしい空気は好きです。
その心地良い感じを変えることなく、そっと使い心地の良い場所に変えてゆくことができたらよいね、そういうキッチンや家具になったと思います。
空間を整えてくださった設計士さんや担当者さんのもとで笑顔を織り交ぜながら楽しく家具作りを進めさせて頂きました。
お引渡は来週末。
楽しみです。

新しい我が家の習慣

2020.09.09

「イマイさんの家はお風呂も造作ですか?」
キッチンや家具のお話をしているとお客様から時々聞かれることがあります。我が家はユニットバスになりました。
もう子供達も大きくなってそれぞれ一人でお風呂に入る年齢ですし、お風呂に「こうしたい!」という要望は特別ありませんでした。
新しいお家に暮らし始めてから我が家にできた習慣があります。お風呂を使い終えたら水滴を拭き取ることです。
一番初めにこの習慣が気になりだしたのが、柴崎コウさんが「習慣にしていること」としてTVでお話しされていたのです。
「お仕事で夜も遅いだろうし忙しいだろうにストイックだな。私には無理だ。」とは思いましたが、きっとこの習慣が身に着いたらお風呂の隅が黒ずんだり、カビが生えたりはしにくいのだろうなと気にはなっていたのです。
そして、この習慣を始めるきっかけになったのは、区域外通学で実家に居候生活をしていた時のことでした。
嫁ぐ前の我が家にこの習慣はありませんでした。でも今では、父がお風呂掃除担当になっていてそれと同時にお風呂の水滴をふき取る習慣が始まったそうです。
実家のお風呂はうちのお風呂よりも大きかったので、初めは大変でしたが、これを父が毎晩やっているのかと思うと「じゃあ、やらなきゃね。」と思えるのでした。
新居が完成して暮らし始めた時に、実家でやってみたらできたし、使い始めるタイミングで我が家もやってみよう!続けてみよう!と習慣になりました。
最初に広いお風呂を経験していたので狭いお風呂を拭き上げるのは簡単に感じました。
よかった点は、暮らし初めて1年3か月経ちますが、未だにお風呂にカビは生えず鏡はカルキ跡もなくきれいなままを保てていることと、
「最後にお風呂を使った人が拭く!」というルールなので、ハルチイは夕ご飯を食べたらダラダラしないですぐお風呂に入ってくれます。拭きたくないのでしょうね。(笑)
また、浴室乾燥機を使う時にいつでもお風呂が乾いているのですぐ使えるのは便利だなと思います。
今まで2回ほど、ハルが一番最後になってお風呂を拭いてくれたことがありました。水滴残らずふき取っていて「なんだ、ちゃんとやる子なのね。」なんて見直したことがあります。そして、すごくトリッキーなシャワーホースの置き方をしていて笑ってしまったのですが、聞いてみると「実家にいた時ジイジがその置き方していたよ。ホースの中のお水が切れるのかなと思って。」と言っていました。私が覚えていないことまでちゃんと見ていたんだなと感心してしまいました。
習慣てこういうことなのかなとしみじみ感じています。
子供達のお世話も習い事の送迎くらいになってきましたので、昔から憧れていた「天然生活」に掲載されているすてきな方々の習慣を少しずつ実践して暮らしていけたらすてきだなと思っています。

黒のキッチン

2020.09.05

いろいろとご縁がつながってお引き受けすることになりましたSさんのキッチンを納品したのは軽井沢にある山荘でした。
黒い板張りのこじんまりした小屋は年経てとても良い印象で、そこに黒と言ってもいつもの黒ではなく、ラスティックな印象の黒という化粧板を使ったキッチンを導入したのです。
ワークトップはデクトンというセラミックカウンターで柄はやはり黒くて色のように表面に細かな凹凸がある「シリウス」を使っています。
Sさんはデザインのお仕事をされているので、ご自身でキッチンやこの空間を設計されて、次回18日にお伺いしてキッチンの施工を完了させる予定です。

アイアンのオイルガード

2020.09.01

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個人的にはオイルガードって大げさに見えてしまうものが多いので、あまり好みではないからか、皆さんには特に勧めていないのですが、やはり油は跳ねますよね。
自宅では、置くだけのスチールでできたシンプルな衝立を立てていますが、今回はKUMAさんにアイアンで組んでもらいました。
こういうスマートな印象というのかな、キッチンという場所の中で違和感のない素材の使い方は好きです。
タイルが張られて、Kさんがオイルで塗装をされると、そのまとまりがきっと分かるはず。
そこまで見えた後に、Kさんには一番の大きなお仕事である格子の扉を作って頂くのです。

Kさんのキッチンと背面収納

2020.08.30

もうね、計画段階から搬入が気になってしまっていて、最初に打ち合わせに現場に行った時などは、まだ制作はこれからなのにもう早く運んでしまいたいくらい、この場所にうまく運び込めるかどうかが心配だったのです。
施工会社さんにはCADも頂いて、最初の現調の時はどうにかなるかなって思っていたのですが、先日の設置工事直前に再度現場を見に行った時に型ベニヤを持参して、実際に入るかどうかを確認したわけですが、外壁の仕上げ材が張られていて、あと数センチで入らない・・。おぉ。
そう、キッチンがなかなか大きいのです。キャビネットはある程度分割して作って現地で組み上げていくのですが、ステンレスカウンターだけは1枚で作りますし、シンクも溶接して一体になっているので、どうにかして入るだろうと思われる寸法だったのです。
当初もっと小さかった奥行は、キッチンの反対側にはやはりA4サイズのものがきちんと入るようにすると、奥行900ミリでは納まらない、ということでじわじわと大きくなっていくカウンター。
で、2階のバルコニーからだと難しくなってしまったのでした。
で、もともと無理だと判断していた3階を採寸してみると、おぉ、入りますです。
3階のほうがバルコニーは大きいのですが、振り回すと室内には入らないと思っていた部分が思いのほか余裕があり、吹き抜けから2階に下せることが分かったのでした。
あとは、がんばって3階まで上げるだけです。

29日当日は「まだまだ暑い日が続きます。」と言われていたとおりに強い日差しが注ぐなか、5人で頑張ってみるのでした。30キロくらいの天板は普通に持つにはそれほど苦労はないのですが、ロープで引き揚げて、さらには足場が掛かっているので、縦方向で荷揚げしていくと、ロープは1本し架けられない。
ノガミ君が一番上の3階で引き揚げる役、私とヒロセ君が地上階、カイ君とワタナベ君は2階とそれぞれが配置についたら、じわじわと上げていきます。
布団で包んでいるのでつかみどころが悪く滑りますので、こういう時の重量は実際よりも重く感じるわけですし、厚さで汗も止まらないわけで、おのずと声も大きくなります。
しかし、半階上げては下の階の人間が1階分上がって、の繰り返しで、どうにか3階のバルコニーに到着。
そこからは落ち着いて室内に下すことができて、無事搬入完了。
大工さんも搬入しやすいように吹き抜けを空けておいてくださったり、置き場所を広く用意してくださったおかげで、こうして無事に終わらせることができました。

人の力で家はできあがっていくのです。

そこからは、制作を担当したノガミ君とヒロセ君、そしてワタナベ君が補助に入って本日の作業は完了。
2~3日間かけて、取り付けていく予定で、まずは無事に初日が終わりまして、胸を撫で下ろしているところです。