ナラホワイトオイルの棚板とメラスクープ扉を使った壁面飾り棚

Category : 日記「自由な手たち」

2023年12月1日

猫と建築社さんからのご依頼で、再び猫と暮らすための家具を作らせて頂きました。

と言っても、クライアントのIさんは猫との暮らしはこれからということで、来たる日に備えてこの壁面のイメージを大きく変えてしまったのでした。

今回はリノベーションの中のひとつとしての家具工事。もともとあった躯体の小梁を隠すように大工さんが壁を造作して、その木工事が終わるタイミングで、一度作業に入らせてもらって特注した棚受けを取り付けまして、そのあとにクロス屋さんが入って、そして私たちが家具を設置する、という流れで無事に工事完了。

ナラ材を使ってホワイトオイルを拭きとる仕上げの塗装だったので、どのような印象になるかと思ったのですが、とても良い色合いでまとまりました。

白い扉の部分は今回は塗装仕上げではなく、アイカ工業のメラスクープ扉で表面材にはとてもマットな仕上がりになるカラーフィットシリーズのものを使っています。

出来上がってしまうとシンプルですが、壁から飛び出る棚板を壁内に埋め込まない収まりでどのように強度を持たせるかがなかなか悩みどころでした。制作を担当したヒロセ君は計算好きですので、こういう納まりが好きそうです。

最後の写真は猫と建築社さんのスケールモデル。おんなじ形だ。

Hさんのナラのキッチンの制作例を掲載しました。

Category : 日記「自由な手たち」

ステンレスバイブレーションとナラ板目のセパレートキッチン

始まりから終わりまでがドラマチックにやさしい空気で進んでいったHさんのキッチン作り。

その記事を掲載いたしました。

よろしかったらご覧いただけたらうれしく思います。

「思わず笑みと涙のこぼれた」沼津 H様

https://www.freehandimai.com/?p=58044

ステンレスバイブレーションとナラ板目のセパレートキッチン

思わず笑みと涙のこぼれた

Category : オーダー家具・オーダーキッチン制作事例, オーダーキッチン

2023年11月30日

「ステンレスバイブレーションとナラ板目のセパレートキッチン」

沼津 H様

design:平成建設/Hさん/daisuke imai
planning:daisuke imai
producer:kenta watanabe
painting:kenta watanabe

ステンレスバイブレーションとナラ板目のセパレートキッチン
お茶のご用意してくださるHさん。

Hさんからうれしいメールを頂いたのでした。

「こんにちは。はじめてお問い合わせをさせていただきます、Hと申します。現在、沼津市に住んでおりまして、来年6月頃完成予定の新築住宅を計画中です。
様々な媒体でキッチンのイメージを探していたところ、イマイさんの制作されたキッチンにたどり着き、何度もイマイさん制作のキッチンの記事を保存してることに気が付きました。ホームページを拝見するようになってからというもの、キッチンはイマイさんにお願いしたいと思うようになり、今ではすっかりフリーハンドイマイ沼に浸かっており、興味深く拝読しています。
現在、セパレートタイプのキッチンでプランをたてていただいております。設計は、三島のOさんこと、平成建設のOさんです。わたしが打ち合わせの際に、全く知らずに三島のOさんのお宅のキッチンの画像を持っていきまして。「これ、うちのキッチンです」とOさんが仰られた時には大変驚きました。それで、ますますイマイさんにお願いしたいと思うようになったのです。
シンクには、洗剤ポケットと水切り用バット(高さは低め)、シンク下にはゴミ箱ふたつ、タオルかけ、まな板置き場、食洗機(まだメーカー等は決まっておりません)を。ダイニング側には、天板下にはティッシュケースを置くためのオープン収納があったらいいなと考えています。その下には引き戸の収納(奥行きはあまりなくてよいのですが、可動棚だとより嬉しいです)希望です。
天板は、今のところはステンレスバイブレーションを検討しています。
壁付けキッチンのほうは、IH、調味料を収納するスペース、食洗機の対面にレール式の食器・カトラリー用の引き出し、スライド式ワイヤーシェルフ(高さのあるボウルや鍋置きと、牛乳パックや食品トレイの乾かしスペース)、電子レンジとトースター(どちらもBALMUDA)がキッチン左下に収納することができたら理想ですが、電子レンジはカウンター上でも大丈夫です。炊飯器も可能ならば収納して、そのまま使いたいのです。照明つきの吊り戸棚も希望です。吊り戸棚は、開けっ放しでも使えるように、引き戸で考えております。私自身背が低いため、使いにくくなってしまわないかと危惧しているのですが、何か良い工夫がありましたら教えていただきたいです。
また、わたしは器が好きで(決してお料理が上手なわけではありません)、たくさんの器の収納が欲しいとお願いしたところ、キッチンからダイニングにかけての収納も設計にいれていただきました。こちらもイマイさんにお願いしたほうが統一感が出るので良いかもしれないと、Oさんからアドバイスをいただきました。
そちらについてもご相談させていただきたいなと考えております。
よろしくお願い致します。」

ステンレスバイブレーションとナラ板目のセパレートキッチン
リビングから見た印象。心地よい日差しが差し込んでくるんですよ。
ステンレスバイブレーションとナラ板目のセパレートキッチン
ダイニングから見た印象。素材はナラ、ステンレスと、ひとつずつの素材は特別なものではないのですが、使い方や見せ方、納め方でHさんらしい特別な形になっているのがよく分かります。

「うれしい感想ありがとうございます。
そして、うれしい偶然すてきですね。Oさんが設計を担当されているのですね。」
ということで、まずはいろいろと考えてみましょう。
さっそく形を考えるためにHさんに相変わらず長いメールを送ってしまいました。
メールの内容を書いてしまうと長々となってしまうので、ここには掲載しませんが、それぞれの場所のメリットやデメリットなどを今までキッチンを作らせて頂いたお客様から頂いた意見をお伝えしたりと、いつものように長々と書かせて頂いたのでした。
私自身、何もないところからスゥっと形を生み出せるほど独創的な感覚の持ち主ではないので、こういう地道なアプローチで一つずつその人の思いを汲み取ってゆこうと考えておりますので、キッチンや家具をオーダーで作ることって、クライアントにとってもなかなか根気のいることだと思うのです。
どこをどのように使ってゆこうかとイメージすることってけっこう大変で、そこからさらに今まで当然のように使っていた部分はそのままでよいのだろうか、何て疑問が湧いたりすると、何だかごちゃごちゃしてきてしまうこともあります。
そういうふうになることはその人にとっての最良の形にたどり着くための通過点なのだと思うので、それを一つずつ解決していくことが私たちの仕事です。
そして、こういうやり取りの中で、その人らしさのようなものが分かってきます。
質問に対する答えがいつの間にかその人の思いになっていて、そうか、こういう印象を望まれていたのかとハッと気づかされることもあったりします。
ですので、私にとってはとても大切な時間であり、クライアントにとっては自分を振り返る大事な時間だったりするのです。

Hさんから頂いたシンク側アイランドキッチンのスケッチ
Hさんから頂いたスケッチ。こちらはシンク側アイランドキッチンの印象。
Hさんから頂いたコンロ側キッチンと吊戸棚のスケッチ
Hさんから頂いたスケッチ。こちらはコンロ側壁付けキッチンの様子。

まずはHさんの最初の思いを聞かせて、見せて頂きたいなと思うのでした。
そうして頂いたスケッチとメールのやり取りの内容を確認しながら一つの形をスケッチにまとめていきました。
私の考える形というのは、独創的な鮮やかさのようなものは少なくて、どちらかというと懐古主義的にも思えるいつかどこかで見た形をきっかけに始まるもの作りですので、相変わらず新鮮味がないように思えてしまうのですが、皆さんにとってはそれが安心する形だったりするのかもしれません。
Hさんにはそのスケッチがどのように映ったのかその時にはっきりお返事を聞くことはできなかったのですが、 「スケッチ、拝見しました。
とても素敵です!何度も見ては検討を重ねております。
早急にありがとうございます。」
というご連絡を頂けましたので、気に入って頂けたかな、とひと安心。そこから細かい部分についてを平成建設のOさんの意見も交えながら検討を重ねて形が決まっていきました。

シンク側アイランドキッチンのスケッチ
Hさんのご要望をまとめて書き直したスケッチ。シンク側アイランドキッチンのキッチン側収納部分の様子。
シンク側アイランドキッチンのスケッチ
Hさんのご要望をまとめて書き直したスケッチ。シンク側アイランドキッチンのダイニング側収納部分の様子。
コンロ側キッチンと吊戸棚のスケッチ
コンロ側の壁付けキッチンと吊戸棚のスケッチ。
ダイニング収納のスケッチ
ダイニングの壁面収納のスケッチ。

そのスケッチからさらに細かい調整して、正式にキッチン制作のご依頼を頂けることが決まりましたので、ここからは実際に寸法を検討していくためにキッチンの図面を作成します。
そして、その寸法からHさんの使いやすさを再確認して頂き、Oさんには現場のおさまりなども確認して頂いて最終的な形がまとまっていきました。
いつもは皆さんとは4,5回くらいは実際にお会いして打合せしていくことが多いですが、今回は平成建設さんが施工会社さんということで、話がとてもスムーズに進んだので、Hさんにはこちらに一度いらして頂いて、最終確認は地鎮祭の後に沼津のショールームをお借りして行なった2回だけであとはメールでのやり取りできれいにまとまっていったのでした。
ただ、その中でもひとつだけ納まりを悩みながら考えたものがありました。
それはレンジフードで、今回は天井高さが2300ミリの中で同時給排タイプのレンジフードをつけることを考えていたのですが、どのタイプもそれなりに高さが必要なことが分かり、そのままだとご主人がキッチンに立った時にはぶつかってしまうかもしれない・・。
そこで、いつもお世話になっている富士工業のNさんに相談して、集合住宅用の低めの機種を提案して頂いて、無事に問題をクリアすることができたのでした。

リブ付き水切りプレート
シンクの様子。「おとうさんなのです」の三島のOさんと同じく水切りプレートを天板よりも少し下げた位置に置けるように後付けリブを溶接しています。
シンク洗剤ポケット
洗剤ポケットは標準サイズの100ミリ×230ミリの無印サイズにしています。
シンク前のコンセント
シンクの手前にはコンセントとタオルハンガー。コンセントはJIMBOのKAGタイプのグレーのものをつけています。
シンク下のオープン棚
シンク下の様子。通常、海外製の食洗機を入れる場合は給排水管を施工しやすくするためにシンク下を広く採っています。そうなるとゴミ箱以外にもきちんと置けるように棚を作りたいというお話も出てくるのです。
シンク下のオープン棚
そこでHさんは、ここにオープン棚を作りました、ちょっと湿ったものでも置けるようにステンレスを張った板も用意しました。
シンク下のゴミ箱収納部分
こちらはごみ箱を置くスペース。幅510ミリのスペースを確保しています。

そうしていよいよご新居の工事が始まりまして、上棟して少し経った頃に現地で納まりの打ち合わせをさせて頂きました。
現場に到着すると、穏やかな表情のH監督が迎えてくださいました。
「初めまして、フリーハンドイマイと申します。」
監督さんにお会いするときはいつも緊張するわけです。特に私たちのようにキッチンだけでいろいろな現場に出入りさせて頂く形だと、毎回同じ工務店さんじゃないからきっと好意的に思っていない方もいらっしゃるのではないかと思ったりするのですが、まれに難しい対応の方と接することもありますが、皆さんとてもよくしてくださることが多く、特に平成さんはどの方もとてもよくしてくださるので、大変仕事がしやすくありがたいのです。

食洗機はASKO
食洗機はASKOのDFI645。オートオープン機能が備わった新しいモデルになります。
包丁差しのある引き出し
食洗機右隣上段の引き出し。
トレイ専用の引き出し
食洗機右隣下段の引き出し。ハーフェレのベースユニットトレーホルダ―という金物を採用しています。まな板やお盆などを収納できるような専用の金物です。

さっそく設置場所を拝見させて頂くと、おぉ、もう結構進んでいるぞ、という感じでちょっと焦るのですが、「予定通りのスケジュールで大丈夫ですよ。」とH監督が安心させてくれて、そのあとは納まりの確認のために床下地にてきぱきと墨出しをしていってくださいます。
今回は、ダイニング側の大きな収納が建具枠とぴったりで納めるためにあまり逃げがないので、正確な寸法が欲しかったのです。
これがなかなかコミュニケーションの取りにくい監督さんだったりすると、「ここから寸法差し引いてその寸法で作ってくれればいいよ。その寸法で入るように壁作るから。」なんて言ってくださるのですが、当日の取付では入らなかったり・・することもあるのです。
こういうところって、やはり監督さんと大工さんが段取りをきちんとできているか否かでよい現場になるかどうかが分かれるところです。
H監督にはいろいろと準備頂いて大変助かりました。

ステンレスバイブレーションとナラ板目のセパレートキッチン
アイランドキッチンのダイニング側の印象です。
引き戸収納上部のオープン棚
ステンレスバイブレーションの天板はフロートして見えるように目地を入れています。今回の目地は10ミリ採っています。その下のキャビネット上部はオープン棚になっています。
ダイニング側の引き戸収納
下は引き戸です。
ダイニング側の引き戸収納
引き戸内部の様子。また引戸の手掛けは縦に突き通さずに端部を半円にしたデザインにしています。
ダイニング側の引き戸収納
引き戸は戸の下に車を仕込んだシンプルな仕様のもの。

今回はその収納と建具枠のおさまりのほかに、lコンロ側キッチンとダイニング収納の角の部分のおさまりが大変難しくなりそうで、キッチンパネルの端部をうまく隠しながらそれぞれの家具がきれいに直角に納まるようにするにはどうしたらよいかと、後ほどいらっしゃったOさんと3人であれこれ悩みながら相談したりしました。
その様子を、その打ち合わせに参加してくださったHさんもこのように感想を述べてくださいました。(笑)
「先日はお越しくださり、ありがとうございました。
イマイさんとH(監督)さん、Oさんの御三方の話し合いが、大変異次元の内容で、理解するのにお時間いただいてしまいましたが、とても興味深く拝聴していました。
こうして、より良い物を作っていただけるというリアルな空気感を感じることができてうれしかったです。 現地に合わせた修正図面も拝見しました。
イマイさんにスケッチを作成していただいてから、それが本当に形になると思うと、興奮して仕方がないです。楽しみにしてお待ちしております。」

ステンレスバイブレーションとナラ板目のセパレートキッチン
コンロ側キッチンの様子。
レンジフードの給気口の様子
吊戸棚の印象。今回は吊戸棚も引き戸にしています。
ハーフェレのLEDダウンライト
ダウンライトはハーフェレのLOOXを採用。スイッチは、平成さんのほうで壁にまとめてもらっています。
吊戸棚内部の様子
引き戸内部の様子。
引戸の引手
引き手の印象。
レンジフードの給気口の様子
レンジフードは集合住宅を想定しているという富士工業の「MTRL」の同時給排タイプ。通常は付属の金属製の給気パネルを使うのですが、今回はOさんの提案で木製格子で仕上げることにしました。

さて、制作に取り掛かります。
今回は特別に複雑な形ではないので、いつものおさまりで進められる部分が多かったのですが、レンジフードの給気口を木製で作ること、ダイニング収納の天板と扉の勝ち負けをいつもと変えて、平成さん仕様にすること、など細かい納まりがいつもと異なり、制作を担当したワタナベ君もこの物量とその納まりに気を引き締まる思い(本人曰く)で進めてくれました。
また、作り方以外で、こういう大きなキッチンや家具を作る時に難しいのが、木目合わせです。
今回はダイニング側に大きな扉があって、右に行くと途中で吊戸棚と下の収納に分かれます。そうなる時でも自然と木目がつながるような木取りをすることがなかなか難しかったりするのです。
たとえば、こちらの「培う」のTさんの時もそうでした。こちらもワタナベ君が制作を担当したのですが、右端のパントリーの大きな扉とは、吊戸棚とその下の収納の木目がどうしても少しのズレが生じます。それが出ちゃうと見た感じなんか落ち着かないと感じたので、あえてパントリーの扉の突板を一度カットして木目のつながりが不自然に見えないようにしているのです。
このような感じで作業をしていくのです。

「2022年3月16日 木目あわせ」
https://www.freehandimai.com/?p=52496

今回のHさんの場合は特にわざとカットしなくても自然なつながりになったので良かったのですが、木目を横にすると特にこのあたりに気を使うのです。

ステンレス天板のフロートしている様子
コンロ側のステンレスバイブレーションの天板もアイランドと同じく10ミリの目地を入れてフロートタイプにしています。
オーダーキッチンの炊飯器スライドテーブル
コンロ側キッチンの左端は、このようにトースターと炊飯器が収納できるスライドテーブルになっています。
オーダーキッチンの引き出しの中の様子
家電スライドテーブルの下は深めの引き出し。その左側。水筒が入るくらいの深めの引き出しにしています。
オーダーキッチンの引き出しの中の様子
家電スライドテーブルの下は深めの引き出し。その右側。
オーダーキッチンの引き出しの中の様子
その右隣、1段目。
オーダーキッチンの引き出しの中の様子
その右隣、2段目。
オーダーキッチンの引き出しの中の様子
その右隣、3段目。
オーダーキッチンの引き出しの中の様子
その右隣、4段目。

こうして無事に制作が完了して、いよいよ取付です。
当日は良いお天気に恵まれて、こちらの日記のような感じで作業が始まりました。

「2022年4月13日 沼津まで」
https://www.freehandimai.com/?p=52709

こうして無事に数回に分けて施工したキッチンの設置工事も無事に終わったのでした。

ステンレスバイブレーションとナラ板目のセパレートキッチン
IHヒーターは、AEG「AHI735CB」。
オーダーキッチンのスライドワイヤーシェルフ
IHヒーターの下はスライドワイヤーシェルフです。その1段目。
オーダーキッチンのスライドワイヤーシェルフ
IHヒーターの下はスライドワイヤーシェルフです。その2段目。
オーダーキッチンのスライドワイヤーシェルフ
IHヒーターの下はスライドワイヤーシェルフです。その3段目。「ワイヤーシェルフは何枚くらい入れるとよいのでしょうか。」と言われることがあるのですが、通常は魚焼きグリルがある場合は、3枚、今回のようにグリルがない場合は4枚設置することが多いです。枚数を少なくして、鍋類を積み重ねても良いのですが、シェルフを出し入れするときに崩れやすいので、使い勝手を考えると枚数が多いほうが使いやすいのではないかと思っています。
オーダーキッチンの引き出しの中の様子
ワイヤーシェルフ右隣の調味料用の引き出し。
オーダーキッチンの引き出しの中の様子
ワイヤーシェルフ右の最下段のボトル用引き出し。

そして、いよいよお引き渡しということで、今回は私とアキコの二人で出席させて頂きました。
今回素敵だったのは、平成さんが家作りの最初から今日までを映像にしてHさんへのプレゼントにしていたことです。
うれしさから思わず笑みと涙のこぼれる奥様とにこやかに見守るご主人とうれしそうなお子さんを見て、そうか、家を作ることってこういうことなのだなあ、と同じ場に居てしみじみ思ったのでした。
工房に戻ると、Hさんからうれしいお便りが届いておりました。

ダイニング収納とコンロ側キッチンの納まり
H監督とOさんと3人で悩みながら納まりを考えた部分。キッチンパネルの端部を隠すために見切りを入れたいところですが、見切りを先に入れちゃうと家具の隙間調整材をあとから付けられない納まりなので、どうしようかと悩んで金属の平板を見切り代わりに入れることできれいに納めることができました。

「イマイさん、奥様、本日は朝早くから、私たちの引渡しに参加してくださり、ありがとうございました。
先程、イマイさんのインスタグラムとHPを拝見しまして、あたたかいお言葉に、再び涙しておりました。
このたびは奥様も来てくださるというサプライズもあり嬉しさ二倍でした。
文面から鑑みる奥様の雰囲気はそのままで、元々看護師をされていた(合ってますか…?記憶違いでしたらごめんなさい)というのも納得できる素敵な奥様でした。わたしたち夫婦ともども医師として働いておりますので、普段から看護師さんにはとてもお世話になっているのです。
オープンハウスに来てくださった方々から、イマイさんのキッチンをたくさん褒めていただきました。
わたしにとっても自慢のキッチンです(まだ住んでいませんが、頭の中では何度もシュミレーションしており、現段階では最高の使用感です)。
Pintarestでキッチンの画像を検索しているうちに、知らず知らずイマイさんのキッチンの画像ばかりを保存していて、そこにOさんのご自宅のキッチンが入っていた時には、もうキッチンをお願いできるのはイマイさんしかいないと思いました。
イマイさんの細やかなお気遣いと、私たちの希望を全て受け止めてくださる柔らかな雰囲気、完成した素晴らしいキッチン。どれをとっても私の直感に間違いはなかったんだと今あらためて思います。
製作・設置に携わってくださったワタナベさんとノガミさんにも心から御礼申し上げます。
作業のお邪魔をしてはいけないと思い、こちらにいらした際にお話できなかったことが残念ですが、インスタグラムでお姿拝見していましたので、ワタナベさんのカレー食べてみたいなとか色々思いながら、作業を見学しておりました。
いつかあらためて御礼をお伝えできる機会があるといいなと思います。
引渡しという我が家の大切な日に、お二人にも同席いただけてとても嬉しかったです。
朝早くから足を運んでくださり、本当にありがとうございました。
今後とも永いお付き合いを頂けますよう、よろしくお願いいたします。
フリーハンドイマイの、イマイさんご夫婦の、益々のご活躍を心より祈念しております。
暑い季節がすぐそこにやってきていますので、お身体に気をつけてお過ごしください。
長文失礼しました。
それから、先程のお引渡の時のお二人の様子、隠し撮りしていたのでした。(笑)お写真お送りします。」

ナラ板目のダイニング収納
ダイニング収納の様子。
パントリー部分の様子
パントリー的に使うのかと思っていたのですが、違いましたね。パントリーは冷蔵庫の隣にしっかりした大きさのスペースがありましたからね。ではどう使うのかなと思っていたら、Hさん「私の気に入っている食器ばかりが入る場所になりました(笑)」とのこと。
吊戸棚内部の様子
吊戸棚の中の様子もHさんの気に入っているものが置かれておりました。ちなみにこちらの扉内部はシナ合板で仕上げています。キッチンのほうは掃除がしやすいように白いポリエステル化粧板で仕上げています。
ダイニング収納の天板
このダイニング収納の天板はナラ板目無垢材を幅接ぎして制作しています。
平成さん仕様の手掛け
手掛けのデザインは平成さんが採用する形状で、平成さんが手がけた玄関収納のデザインと揃えています。いつもの私たちの形とどう違うかというと、私たちが良く使う形は天板勝ちの時に採用するデザインで、今回のデザインは扉勝ちの時に採用するデザインになります。

今朝、工房の朝礼でみんなにHさんのお引渡の様子を伝えましたら、すべての制作を担当したワタナベ君がとてもうれしそうにしておりました。
平成さんの作る家は、作る人と住む人の人柄がよく現れた家のように思えています。
私の自宅も、設計は福原さんという長い付き合いの友人に、施工はとてもよくしてくださっている加賀妻工務店さんにお願いしたのですが、大変苦労しながらもやはり楽しんで作った様子がよく分かる家で、こうして時間が経った今でも気に入っている部分もいまいちな部分(笑)も、すべてが楽しそうに見えて好きなのです。
平成さんの取り組まれかたも実にそのように思えていて、そういう姿勢で取り組んでくださっている平成さんの様子があのお引渡で、よりそのように思えたのでした。
すてきな暮らしがこれから始まりますね。

ステンレスバイブレーションとナラ板目のセパレートキッチン
隠し撮りされていたのでした。
天板 ステンレスバイブレーション
前板・扉 ナラ板目突板
本体外側 ナラ板目突板
本体内側 ポリエステル化粧板/シナ合板無塗装
塗装 オイル塗装仕上げ
キッチン仕上げ

ステンレスバイブレーションとナラ板目のセパレートキッチン

費用につきましては、お問い合わせくださいませ。

バタンバタン

Category : 日記「自由な手たち」

先日、お休みを頂いていた時に朝方はかなり冷え込んでおりましたが、お昼に向かうにつれて半そででもよいくらいの温かさで玄関先のメダカもこぞって顔をのぞかせるくらいの陽気になりました。

これは良いや、と思いさっそく窓を開けるとよい風が入ってくるとともにバタンバタンと軽快な音を打ち始めました。うちのスクリーンは下におもりが入っているので風が吹くとアルミサッシにぶつかりはじめるのです。

もともとスクリーンにしようと思ったのは、この家に合うカーテンレールが見つからなかったことと、ちょうど同じくらいの時期に同じ加賀妻さんで家を建築していた「風がうたう」のSさんからいろいろお話を聞く機会があってそういうものがあるのだなあと知ることができて、ハニカムにしたのでした。

今の姿も好きですが、よいカーテンレールがあったら、レースがふわりとなびく窓まわりも心地よかったかなあ、なんて時々思うのです。

そういえば、先日Mさんのところに挨拶に行った時に見せてもらったカーテンレールのお話はおもしろかったなあ。

カーテンレールを先にサッシのあたりに取り付けてコンクリートとモルタルを適所に使い分けることで、レールが目立たずに埋め込まれるような納まりになっていて、教えてもらえないと見過ごしてしまうすてきな納まりを拝見してこれは良いなあと思ったっけ。

その人が美しいと思うセンテンスひとつで、どれほど豊かなに広がる文章に変わるかっていうのはおもしろいなあ。

机のご相談を頂いたのです。

Category : 日記「自由な手たち」

最近、海外に住む方から机を作ってほしいというメールを頂いたのです。
今までも海外に住む日本人の方々から、帰国後に家具を作ってほしいという相談を頂いたことはありました。
例えば、こちらのNさんのように。
「シカゴより」
https://www.freehandimai.com/?p=2688

メールがあるのでやり取りには困りませんでしたが、今回は、日本語が話せないというスペイン人の女性からでした。
私は英語なんて全く話せませんので、これは困った。
すると、ハルカが「授業でね、DeepLっていう翻訳ツールを使うけど、けっこう的確で使いやすいんだよ。」と教えてくれた。
ハルカもそんなことを言うようになったのだ。
で、さっそく何か書かれているのか読ませて頂くと、こちらの机をとても気に入ってくださったのだということが分かったのでした。
今から19年前に作った家具だ、懐かしいね。
「desk to live」
https://www.freehandimai.com/?p=2674

この机に惚れ込んだ(翻訳によると)ということでとてもうれしいのですが、さすがに作って配送してもらうというのは私も気持ちが追い付かないので遠慮させて頂こうと、そのDeepLを使わせてもらって返事を書くのですが、日本語って表現されていない言葉が文章の中にいろいろと隠されているのだなあとあらためて気づかされたのでした。
今まで思っていなかった表現が実に曖昧な言葉だったりするのですが、それをあらためて考えても最適に思えたりするのは日本語のおもしろさやおかしみなのだなあと思いながら文章を考えているのです。

そして、うれしいお話ですが、ご期待にお答えすることができなくて申し訳ないなあと思うのです。

Yさんの光あふれるキッチンの制作例を掲載しました。

Category : 日記「自由な手たち」

2023年11月27日

タモ柾目とコーリアンのアール扉のあるL型キッチン

一級建築士事務所すずきさんからのご依頼で優しい光があふれるキッチンを作らせて頂きました。

よかったらご覧くださいませ。

「ひかり呼び込まれる」

https://www.freehandimai.com/?p=57956

お庭の冬支度:家具屋の自宅

Category : 日記「自由な手たち」, 庭のある家

気温が10℃を下回るようになったらお庭の冬支度をします。

自転車を置いていた玄関ポーチは植物の場所に変わります。

カバーをかけて、土に触れないようにタイヤの下に板を敷いて、通路の邪魔にならない場所に自転車を移動したら、

ミニ温室を組み立てて鉢植えちゃん達を入れ、

ポストの近くに置いていたガジュマル氏は、日に高さが低くなると当たらなくなってしまうし、霜が降りてしまうので、玄関ポーチの上に移動します。

メダカちゃん達の鉢は発泡スチロールの箱に入れ、夜間だけ蓋を半開きにして閉じます。

引っ越したての時は、6階マンションからの環境の変化に耐えられなかったらしく、すべての葉が枯れて根元から選定したガジュマル氏と(アジアン)タムちゃん。

この冬越しの方法に慣れてきたみたいで、昨年も大丈夫だったからと思っていますが、植物も年齢を重ねているのだから、過信せずに、見ていきたいと思います。

植物の生き生きとした姿には励まされますから、この家で過ごす者同士、みんな元気で過ごしていけたらいいなと思っています。

寒いらしい

Category : 日記「自由な手たち」

2023年11月26日

今日はずーっと工房で寝ているよ。

タモ柾目とコーリアンのアール扉のあるL型キッチン

ひかり呼び込まれる

Category : オーダー家具・オーダーキッチン制作事例, オーダーキッチン

「コーリアンとタモ柾目のL型キッチン」

横浜 Y様

design:一級建築士事務所すずき/daisuke imai
planning:一級建築士事務所すずき/daisuke imai
producer:daisuke hirose
painting:daisuke hirose

タモ柾目とコーリアンのアール扉のあるL型キッチン
リビングダイニングから見た印象。図面では分かっていましたが、このようにふんわりと曲面が部屋に出っぱってくる印象にあるとはイメージできていなくて、この形がキッチンの優しい導入部分になっているのです。リノベーション前はこの曲面のあたりは壁だったので、とても開放感のある間取りに変わりました。
タモ柾目とコーリアンのアール扉のあるL型キッチン
タモ柾目の印象がまたとてもよく、とても静かなラインの連続が曲面でとても柔らかく整いました。
タモ柾目とコーリアンのアール扉のあるL型キッチン
キッチンカウンターはコーリアンの「ウィッチヘーゼルⅡ」。もちろん、1枚では搬入できませんので、2分割して制作して現場でシームレス加工を施して、継ぎ目なくつないでいます。
タモ柾目とコーリアンのアール扉のあるL型キッチン
キッチンの中の様子。突きあたり左のオープン棚があったところにはもともと洗面室に抜けるための扉があったのですが、以前の暮らしでもその扉が活用されておらず、冷蔵庫が置かれてしまっていたので、「きっともう使うことはないでしょう。」ということで塞いでしまってオープン棚を据え付けたのです。

最初にご相談を頂いていたのは2019年のことでしたね。
一級建築士事務所すずき」さんというめずらしいお名前だと思っていました。
その時はリノベーションにおける家具のご相談だったのですが、ご予算が合わなくて実現できなかったのですが、それからしばらくして再びお会いできる機会があったのでした。
ちょうどそのお話の翌年に湘南料理道具市というイベントに参加させて頂いた時にすずきさんを主宰する鈴木さんと山村さんが遊びにいらしてくださったのでした。
「あの時は実現に結び付けることができなくて残念でしたが、この先にはぜひイマイさんと一緒にお仕事させて頂ける機会を作りたいと思っております。」といううれしい言葉を頂いたのを覚えております。
いつかそういう機会が訪れたらうれしいなあ、なんて漠然と思っていたのですが、その2年半後に大変お久しぶりにメールをくださったのでした。

ハンスグローエのタリスM54
水栓器具は、ハンスグローエの「タリスM54」。シンクは洗剤ポケットを使たタイプを制作。
卓上型の食洗機
食洗機は下に組み込まないで、以前から使っていたものと同じように卓上で使えるタイプにしています。

「フリーハンドイマイ 今井様
以前、案件のご相談をさせていただき、湘南T-siteでのイベントにてご挨拶させていただきました、一級建築士事務所すずきの山村と鈴木と申します。
ご無沙汰しております。
お忙しいところ、再び、突然すみません。
現在、キッチン改修の設計依頼を受けていることもあり、もしよろしければ御社のショールームに一度お伺いさせていただけないかと思っており、ご連絡させていただきました。
急なご連絡にて、恐縮です。
お忙しいところ、恐れ入ります。
ご確認の程、よろしくお願い致します。」

コーリアンとタモのL型キッチンの引き出しの様子
食洗機下の引き出しの様子、1段目。
コーリアンとタモのL型キッチンの引き出しの様子
食洗機下の引き出しの様子、2段目。
コーリアンとタモのL型キッチンの引き出しの様子
食洗機下の引き出しの様子、3段目。

うれしいご連絡でした。

「私たちのことを思ってくださる方々がこうしていつもどこかにいらっしゃるのだなあ・・。」と、うれしくなります。
TーSITEのイベント時はいろいろな方々がいらして頂いていたこともあって、あまり具体的なお話ができなかったのですが、こうしてショールームにいらして頂いてお話を聞かせて頂けて、すずきのお二人の人となりがよく分かりました。

そして、本題です。
今回は、山村さんのご実家のキッチンをリフォームされるということで、その相談にいらしてくださったのでした。
その形はすでにまとまっておりまして、さっそく図面を拝見させて頂きますと、アールの扉がありますね・・。

コーリアンとタモのL型キッチンの引き出しの様子
シンク下の引き出しの様子、1段目。
コーリアンとタモのL型キッチンの引き出しの様子
シンク下の引き出しの様子、2段目。
コーリアンとタモのL型キッチンの引き出しの様子
シンク右横の引き出しの様子、1段目。
コーリアンとタモのL型キッチンの引き出しの様子
シンク右横の引き出しの様子、2段目。
コーリアンとタモのL型キッチンの引き出しの様子
シンク右横の引き出しの様子、3段目。

私が父からこの工房を任されるようになって、こうしてお客様から直接家具やキッチンの制作依頼を頂けるようになるまでは、内装会社さんや工務店さんから図面が届いてそれを形にする、という仕事が多かったのですが、あの頃って、住宅の家具よりも圧倒的に店舗什器の制作の仕事が多かったのです。
それで、什器となると必ずと言ってよいほど曲線の家具があるのです。
さらにあの頃にはNCルーターなんて大型の機械を使える機会がなかったものですので、曲線の径はすべて手作りでした。
1800ミリのベニヤを細長く裂いて、それをつなげて、先端にハンドトリマーを固定して、その刃先から3メートルののポイントに穴を開けてそれをねじで床に固定して電源ケーブルがベニヤに挟まらないように軽く首に巻き付けながら、トリマーを持つ手首を固定したまま中腰て円弧を描いて動きながら板をカットしていく作業を何度やったことでしょう。
ケーブルがベニヤにかんだりしちゃうとアールがへこんじゃってやり直しになったりして・・。
そういう作業を何度も繰り返してそこらじゅう木屑まみれになっていると、事務所から降りてきた父が、「何だか木工所らしくなってきたじゃないか。」なんて御気に入っていましたっけ。
仕事に山あり谷ありのせわしない時代でしたが、なんだか今考えるとどこか気持ちがのんびりした時代だったのかなあ。
そこから曲面に仕上げ材を張って言って仕上げるのですが、奇抜な色のメラミン化粧板や赤い石目調の派手な化粧板を張ったりして、いったいどういうお店に使われるのか分からないまま作り続ける日々でしたね。

ハーフェレのレマンⅡ
コーナー部分はハーフェレのレマンⅡを採用。
ハーフェレのレマンⅡ
レマンⅡの上段の様子。
ハーフェレのレマンⅡ
レマンⅡの下段の様子。

そういうこともあって、曲面の家具ってよいイメージを持っていなくて、こうして私自身が家具を設計するようになってからはほとんどそういう形状の少ない形が多かったものですから、曲面を見るとホゥと思ってしまうのです。
また、ここ最近インスタグラムなどで海外のインテリアを見ていると、大きなアールの壁だったり、円錐形の台座だったりと曲面で光が柔らかく表現されている空間をよく見かけます。
曲面も良いものだなあと最近ようやく思えるようになってきました。

さらには、私の工房にはないのですが、NCルーターが気軽に使用できるようになったことも曲面のハードルが下がった要因かもしれません。
そのNCルーターは、この工房からほど近い海老名の駅のそばにある神奈川県産業技術総合研究所さんで利用させて頂くのですが、今のところまだ大きな曲面の家具で使わせてもらう機会はなくて、iPhoneスタンドの制作で何度も使わせてもらったり、しばらく前に納品したあの特徴的なテーブルを制作した時にも使わせてもらいました。

今回のアールの扉はそれほど大きなものではないのですが、このキッチンの特徴的な顔になる部分のようです。
自作しようかどうしようかと悩んだのですが、そういえば以前に成型合板の会社さんがあいさつにいらしてくださったのをふと思い出したのです。
自作する場合はなかなかぴったりのアールにすることが難しく、今回のような両開きの扉になる場合は、召し合わせ部分の目違いが出る可能性がありましたので、専門業者さんに依頼する方が精度良くできますので。

コーリアンとタモのL型キッチンの引き出しの様子
コーナー収納隣の引き出しの様子、1段目。
コーリアンとタモのL型キッチンの引き出しの様子
コーナー収納隣の引き出しの様子、2段目。
コーリアンとタモのL型キッチンの引き出しの様子
コーナー収納隣の引き出しの様子、3段目。

そのあたりの作りを検討しながら、鈴木さん、山村さん、山村さんご家族にもあらためてこちらにいらして頂いて私たちの作る家具を見て頂いたりしながら、そのデザインと制作方法がまとまったところで、現地確認にお伺いしました。
今回はキッチン周りだけのリノベーションということで、内装工事はいつものようにkotiさんにお願いすることにしまして、一緒に現地確認に伺ったのです。

コーリアンとタモのL型キッチン
ガスコンロはリンナイの魚焼きグリル無しの4口ガスコンロ「RD641STS」。
ハーフェレのスライドワイヤーシェルフ
ガスコンロ下はスライドワイヤーシェルフ。
ハーフェレのスライドワイヤーシェルフ
スライドワイヤーシェルフの1段目。
ハーフェレのスライドワイヤーシェルフ
スライドワイヤーシェルフの2段目。
ハーフェレのスライドワイヤーシェルフ
スライドワイヤーシェルフの3段目。
コーリアンとタモのL型キッチンの引き出しの様子
ガスコンロ右横の引き出しの様子、1段目。
コーリアンとタモのL型キッチンの引き出しの様子
ガスコンロ右横の引き出しの様子、2段目。
コーリアンとタモのL型キッチンの引き出しの様子
ガスコンロ右横の引き出しの様子、3段目。

今回はこの曲線部分のほかに、キッチンをL型で作ること、さらに梁を囲むように吊戸棚を作り込む部分があって、その部分がきれいに納まるかどうかが心配だったのです。
築年数がかなり経っている木造住宅ということで、心配なのは壁の立ち具合に床の不陸です。
その具合を確認したいのですが、現在のキッチンがついている状態ですのであくまで推測の採寸になります。
実測をするためにレーザー距離計とコンベックスを併用して採寸をするのですが、いろんなポイントで測っても整合性のない数字が出てきます。
部屋が平行四辺形になってしまっているのだろうか・・。
天井から床までの高さもやはりポイントごとに違う数字になってしまって、どこを基準にしたらよいかを即断できず、工房で図面を書きながら検討していくことにしました。

タモ柾目の曲面の扉
コーナー部分の扉の様子。つまみはWESTというメーカーさんの不思議な丸みのあるツマミ。とてもよく合っております。
タモ柾目の曲面の扉の中の様子
扉を開けるとこのような感じ。中は固定棚になっているのですが、背板に棚板を固定するだけでは強度に不安がありましたので、手前に白くウレタン塗装で仕上げた柄を立てています。

壁と床の水平と垂直を出し直すところからの工事にすると、かなり大掛かりな工事になってしまうので、家具でそのあたりをうまく吸収できるようにしたいところです。
したいところです、などと言葉でいうのは簡単なのですが、L型の矩が出ていないとなると採寸した以上に家具と壁の間に隙間が開いてしまうかもしれず、さてどう吸収しようか・・。
これがキッチンなど物が入っていない空間でしたらきちんとした採寸が行なえるのですが、キッチンを解体してから採寸して制作という工程では、かなりの長期間の工事になってしまいますので、このあたりは予測しながら先行してキッチンの制作を行なわないといけないのが、リノベーションの難しいところなのです。
読めない部分があるから、隙間はフィラーやコーキングで納めるという方法が一般的ですが、どうしてもそれだと見栄えが悪くなってしまう部分ってあるのです。
特に今回はリビングから見える曲線の扉がつく方に隙間ができそうだったので、なるべくその隙間を見せないように納めたいのでした。

そのようなわけで、制作を担当するヒロセ君とどうすれば作りやすく、現場での調整がしやすいかをいろいろと検討しながら制作を進めていったのでした。
今回はヒロセ君の制作日誌があるので、詳しくはそちらを読んで頂けると彼の苦労がよく分かると思います。

コーリアンとタモ柾目のL型キッチン
壁に取り付けた棚板が何枚かありますが、ここも苦労した部分の一つです。
キッチンの壁付けの棚板
いつも壁付けの棚板をつける場合は、その工務店さんにお願いしていて、今回もkotiさんに取付をお願いしようと思っておりましたが、今回の壁がキッチンパネルになるということで、そうなると、あらかじめ棚板を壁に埋め込んでおいて、そこに合わせてキッチンパネルをくりぬいて納めるというのは、けっこう困難で、仕上がりもきれいにならないかもしれないという話になりまして、今回はスガツネの「隠し棚受」というものを使っています。私はこのタイプの金物をあまり信用していなくて、構造上、上からの力にとても弱いように思えて上から強い力が掛かると金物が壁からもげてしまうのではないかと思っているのです。今回は、あまり重いものを置かないということと、接着剤を併用して固定したので、どうにか固定することができましたが、できれば一般的なL型の棚受けを使いたいなあと思ってしまいます。

「今回は一級建築士すずきの鈴木さんと山村さんからのご依頼で、ご実家をリノベーションされてそこにキッチンと食器棚を設置すると言うご依頼でした。
キッチン、吊り戸棚共にL字型をしていて、タモの柾目突板、天板はコーリアンという人工大理石を使用しています。吊り戸棚とキッチンパネルの境目には照明が埋め込まれています。
そしてリビング側に、はみ出すな様な状態で半円状の収納があるのが特徴的なキッチンです。
社長と打ち合わせをしたところ、今回はリノベーションという事でY様のお宅は築年数が立っているので多少歪みが出てきていたそうです。
通常通り製作しますと壁と家具に隙間が出来てしまい、吊り戸棚のキワに仕込む照明と壁に8ミリ程の隙間が出来てしまう可能性があり、うまく取り付けする事が難しい上、見た目も悪くなってしまうことから、隙間として見えてきてしまうところは10ミリ程大きく製作し、Y様のお宅の壁にフィットする様、現場にて削り合せる事になりました。
製作する際は10ミリ大きく作れば良いだけの事なので難しい事はないのですが、取り付け時の事を考えると予定通りうまく取り付けられるかがとても不安になる点となりました。
そして、今回のキッチンの特徴的な部分である半円状の収納です。
扉がアールになると言うことはキャビネットは勿論の事ですが、中に入る棚板や、キャビネットと床の間にある台輪、天井との境にある隙間埋めの支輪(しりん)も同じ様に半円状になります。
形としてはただ丸いだけなのですが、真っ直ぐなラインで四角い形状の物を製作するのとは異なる点が非常に多く大変な作業になりました。
箱の天板や地板、中に入っている棚に関しましては、コンパスで円を書くのと同じ様に切ります。コンパス状の物の先に機械を取り付け半径を計り治具のベニヤを段取り、その後切りたい物にその治具のベニヤを取り付け、機械のガイドを当てなぞるように機械で切っていくと言う作業になります。
Rの形状の物は全て同じ工程かと言うとそういう訳でもなく、台輪に関しましては同じ作りをしてしまうと重くなってしまうため、骨組みを作り、強度を増すため一度ベニヤを捨て張りし、その後突板ベニヤを接着しています。
そして今回のキッチンで1番苦戦したのはRの扉でした。私達の工房でアールの扉を製作しますと大変多くの時間とコストがかかってしまう為、アール加工は専門の業者さんにお願いしました。しかし、1/4円までしか製作することはできないようで、吊り戸棚の扉は半円状に接着する事になりました。
ただ接着するだけですと、開閉するたびにジョイント部に僅かですが負担がかかりますので、扉の上下に同じアールの櫛型の厚ベニヤを切りボンドを塗りビスどめする事により開閉時の衝撃の負担を接着面のボンドだけで吸収するのではなく、ネジと厚ベニヤに逃す様に加工しました。
そして欲しい寸法に切り回していくのですが今回は一方通行のキャスターを使い、専用治具を作り扉を慎重に切り回していきました。
切り回しが終わると1番不安に感じていた、扉に薄い突板シートを貼る作業です。
速乾性のボンドで貼り付ける事にしたので一度貼ったら容易には剥がせません。
貼り合わせる時はみんなに手を借りシワの出ないように貼り付けていきます。不安を抱えていた割りに、すんなりとうまく貼れたな、と思っていたのですが翌朝見てみると所々にシワが。ボンドの水分で突板が伸びた状態で貼り、一晩かけて水分が飛んだからでしょうか。そのシワに熱を加えてローラーで押し付け再接着したり、シワが大きいところは重ね切りをしたりと、アクシデントは有りましたが、どうにか完成させることができたのでした。
そして取り付けになるのですが、やはり現場での削り合わせの作業も多く、大変難易度の高い取り付けになりました。時間も多くかかってしまいましたが、うまく取り付けする事ができ一安心致しました。
タモの柾目がシャープでスッキリした印象なのですが、リビング側に飛び出している収納が半円状で角のラインが出ていない為か、とても柔らかな雰囲気に感じます。
またリビング側に飛び出させる事によりアールの収納がキッチンとリビングとの一体感を生んでいるようにも見えました。
今回のリノベーションでは難しい点が多々有りましたが、無事取り付けまで終わり、ようやくほっと一安心することができました。
Y様、すずきさんお二人様、ありがとうございました。」

L型キッチンの全体像
矩の調整が大変だった吊戸棚です。左の壁と奥の壁が直角ではなかったことと、奥の壁が少し傾いていたので、その隙間調整がかなり大変だったのでした。
L型吊戸棚のコーナー部分
コーナー部分はこのようなシンプルな開き扉。
吊戸棚とレンジフードの様子
レンジフードはアリアフィーナのアンジェリーナ。もともとの換気扇の位置からずらしているので、ダクトの通り道を作るために吊戸棚内部を加工しております。
タモの曲面の吊戸棚の扉
吊戸棚の張り部分のおさまりとアール部分の納まり。ここもなかなか大変な納まりで取付に時間が掛かった部分でもあります。
吊戸棚下のLEDテープライト
LEDテープライト。このライトのおさまりもなかなか難しいところでした。レンジフードの後ろにもライトを回しているので、こうして吊戸棚がついてしまうと見えなくなってしまうのですが、かなり複雑に下地を作っています。
LEDテープライトのスイッチ
LEDテープライトのスイッチはシンク下のこの部分に設けています。

ということで、現場でも実際に取付し始めてみると、思った以上にある部分だけ壁が膨らんでいたり、天井が下がっている部分があったりして、想定通りに進めることが難しく、かろうじて余裕のある部分があったので、そこを調整することで納めることができたり、といろいろと乗り越えなくてはいけない難関がありましたが、どうにか無事に完了したのでした。

冷蔵庫上の戸棚とパントリー
冷蔵庫まわりの収納はこのような感じです。
タモ柾目の冷蔵庫上の戸棚
冷蔵庫上の吊戸棚の様子。
タモ柾目の冷蔵庫上の戸棚
その吊戸棚の内部の様子。今まであまり写真で説明したことがなかったのですが、天井付近についている白いプラスチック製の部品が耐震ラッチになります。
パントリー家具の納まり
収納出隅部分の納まり。突板同士を留めで突き付けて仕上げることもできるのですが、突板だけだとぶつけると大きく凹みやすいので、この部分だけ無垢材をつけています。このような納め方を通称「ヒモを回す」と読んでいます。
タモ柾目のパントリー
この収納の奥に洗面室の扉があります。扉や建具枠を解体して壁を作り直す、という作業を行なうと、コストが掛かってしまうということで、扉はそのままで洗面室から見えると、今でも開けることができない扉がそこにある状態なのです。

そして、鈴木様、山村様からもうれしいお便りを頂きました。

「フリーハンドイマイ様
お世話になっております。
昨日は、工事完了となり、出来上がったキッチンに両親も大変満足で喜んでおりました。
製作もさることながら、設置には大変ご苦労があり、本当にご苦労様でございました。ありがとうございました!
担当してくださった方(お名前を忘れてしまい・・・すみません。。)からこだわりポイントも教えていただき、丁寧に作っていただいたことが伝わってきたことも尚更、喜びにつながっている様子です。
綺麗な家具をつくっていただき、私たちも、今井さんに家具をお願いできて本当に良かったと思っております!
ありがとうございました。
また、機会がございましたら、ぜひ、お声がけさせていただきたく思っております!
そして、対応いただいたご担当の方にも、ぜひ、よろしくお伝えいただきたく。
それでは今後ともよろしくお願い致します。」

その後に、あらためてご挨拶に伺わせて頂き、写真を撮らせて頂きました。
こうしてみると、リノベーション前(写真を撮り忘れてしまったのですが)はキッチンが独立したひと部屋だったのが、リビングダイニングとつながったことで、より明るく優しい空間に変化したように見えます。 ひかりが柔らかく表現されているのはもちろんですが、まるで光がキッチンに集まってきているように思えたのです。

天板 コーリアン「ウィッチヘーゼルⅡ」
前板・扉 タモ柾目突板
本体外側 タモ柾目突板
本体内側 ポリエステル化粧板
塗装 オイル塗装仕上げ
キッチン仕上げ

コーリアンとタモ柾目のL型キッチン

費用につきましては、お問い合わせくださいませ。

UさんのチェリーのL型キッチンの制作例を掲載しました。

Category : 日記「自由な手たち」

2023年11月25日

ステンレスとブラックチェリーのL型キッチン

この形にたどり着くのに時間が掛かってしまいましたがすてきな思いを頂いて、こうして心地よいL型キッチンのある空間を作ることができました。

よかったらご覧くださいませ。

「この土のうえで暮らそう」

https://www.freehandimai.com/?p=57872

ステンレスとブラックチェリーのL型キッチン

この土のうえで暮らそう

Category : オーダー家具・オーダーキッチン制作事例, オーダーキッチン

「ブラックチェリー無垢材とステンレスバイブレーションのL型キッチン」

富里 U様

design:Uさん/daisuke imai
planning:daisuke imai
producer:kenta watanabe
painting:kenta watanabe

私は勘違いすることがあります。

Uさんからメールを頂きました。
キッチンのリフォームのご相談でした。

ステンレスとブラックチェリーのL型キッチン
改装後のキッチン全体の様子。「キッチンとダイニングが一体になった空間」という要素は変わらないのですが、今までとまったく変わって心地よい動線になったとUさんは大変喜んでおりました。
リフォーム前のキッチン
以前のキッチンのレイアウト。キッチンとダイニングがきちんと分かれているのですが、どちらも中途半端な広さになっていて、キッチンとして一人で作業するには広すぎて、ダイニングとして二人で食事するには狭すぎて、壁を向いてお料理する心淋しさがあったようです。
ステンレスとブラックチェリーのL型キッチン
Uさんがおっしゃっていたダイニングという空間を豊かにしたくて、長い時間を過ごすことが楽しめるゆったりした場所にしたいということが一番の希望でした。写真の手前がリビングになるのですが、外からの視線が気になる部分でもあり、このようなダイニングスペースをずっと思い描いていたのだそうです。

「こんにちは。以前カタログを頂きました、Uと申します。
いつもインスタを拝見させて頂いており、とてもステキなキッチンとキッチンを作ってもらうならイマイさんで!と沢山の皆様のお言葉などなど・・・ずっと気になっていました。が…コロナ禍や新築で自宅を建ててまだ10年弱というのもあり、リフォーム?と色々悩んでおりました。
しかし,やはり数年暮らしてみて・・・どうしてもキッチンの向きやサイズ、機能、使い勝手が悪く暮らしにくく・・・毎日のように色々なキッチンの本や画像検索をしている自分に我慢が出来なくてメールさせて頂きました。
やはりしっかりイメージを共有するのならキッチンの見学はした方が良いでしょうか?県外なので少し考えていました・・・。すみません。
キッチンは今はペニンシュラですが,壁付I型かコンパクトなL型でスライドの引き出しを考えております。(吊り戸棚付き)
手持ちの家具が北欧ヴィンテージの物が多いのでそれに合うキッチンの風合いが希望です。
理想はコックピットのようなコンパクトだけど使いやすい感じと思っております。
メールですと伝わりにくいと思うので郵送にて写真やイメージの書いたものなどを送らせて頂いてもよろしいでしょうか?
長々と沢山の質問をしてしまい申し訳ありませんがよろしくお願い致します。」

というメールが届きまして、しばらくしてUさんからお便りが届きました。

Uさんから頂いたステンレスとブラックチェリーのL型キッチンのスケッチ
Uさんから届いたスケッチ、その1。最初の相談の時にもスケッチを頂いていたのですがここまで書き込まれていなくて、まだどうしたいのか漠然とした印象のお便りだったのですが、打ち合わせを重ねるうちにUさんご自身でイメージが見えてきたようで、ここまで書き込んでくださいました。
Uさんから頂いたステンレスとブラックチェリーのL型キッチンのスケッチ
Uさんから届いたスケッチ、その2。

Uさん、角ログで組まれたログハウスにお住まいのようで、そこにペニンシュラキッチンが据えられている写真も添えられていました。
写真を見る限りはそれほど使い勝手は悪くなさそうに見えるのですが、どうやらキッチンが据えられている位置が使いづらそうということは、なんとなく伝わってきたのでした。

なぜそう思ったのだろう・・。

キッチンが部屋の真ん中にあるからかな。食卓でゆったりした時間を過ごせるイメージが描けない印象があったからかな。
Uさんもその点を強く思っていて、優雅に動ける動線が見えない印象を変えたかったのでした。
ただ、それをどう変えたら暮らしやすくなるのかが、お手紙を読む感じではまだUさんご自身の中でイメージできていない部分もあるようにも思えたのでした。
Uさんが求めている本当のことは何だろうかな・・。
さて、どういうふうにお話を進めようかな。

ブラックチェリーとステンレスのL型キッチンの原案
Uさんからその2度目に頂いたスケッチを基にまとめ直した原案。
ブラックチェリーとステンレスのL型キッチンの決定案
そこからコストダウンを図るために余分と思われる部分を削っていった最終案の一歩手前。面白いなと思ったのは、ライニングカウンターを設けたいというUさんのアイデア。その分キッチンがリビング側に依ってくるので、部屋がたしかに狭くなってしまうのですが、それを感じさせるよりもキッチンの魅力が大きくなったのは素敵なアイデア。この方がかえって配管もしやすくなり、壁の歪みも吸収できるので、良いことばかりとなりました。

いきなり具体的な形を考えてゆくのも良いのかもしれませんが、ここはまず身体感覚と照らし合わせながら、どのようなレイアウトが最適なのかを考えるために簡単な平面図を描いてお送りしました。寸法をお伝えすればより具体的にどう暮らしたいかのイメージが分かってくるのかなって思いまして。そして、そのレイアウトを見て頂いて、どの形なら作業動線が確保しやすいのか、またワークトップで作業しやすいのか、ダイニングの空間が広くとれるのかを判断してもらえたらと思ったのでした。
でも、実際Uさんはそのあたりはもうきちんとイメージできていらっしゃったようで、それをうまく伝えることが難しいというだけだったのでした。
Uさんが求めているものは何だろう・・。私の勘違い、というか思い違いはもう少し続くのです。

ステンレスとブラックチェリーのL型キッチン
シンク側の様子。愛用しているガラスのキャビネットが置ける空間を残してキッチンを作りました。そのため、それほど大きくスペースを取ることができなかったので、機能的に使えるように考えられています。まず、一番左は食洗機。

次に頂いたUさんから頂いたメールの内容も少し私の勘違いのままお話を進めてしまっておりました。

「イマイさんから頂いたレイアウト図を拝見させて頂きました。
家のLDK部分が写真や図面で見るより狭い空間でどうしてもアイランドや提案して頂いたL型だとダイニングスペースがとれないと言うことから壁付のL型を希望しました。
本当はコの字型もいいなと思っていますが、ラウンドテーブルに椅子4脚置き、リビングを出来るだけ狭くしたくなく、家族は2人で料理は基本1人でしている状態(今後も)など色々考えて、1番スペースがとれそうなシンプルなI型かL型かなと行きつきました。
L型と言ってもI型のキッチンに横に少し引き出し収納があるカウンターを付けた様なL型、と言う感じでしょうか⁈
説明が下手ですみません。」

お送り頂いた平面図を見る感じではそれほど狭い印象はなくて、相変わらずL型のメリットが思い描けなかった私でしたが、まずはL型にする場合とI型と直角に食器棚を置くL型のようなキッチンを作る場合のおおよその金額をお伝えしたのでした。
その予算感を汲んで頂いて、具体的な話をしにUさんがこちらまでいらしてくださることになりました。
何となく自分の中でボタンを掛け違えたまま、というかどこかUさんの核心がつかめないままお話が進んでいるような気がしてどうまとめたら良いか定まらないままでしたが、まずはお話を聞いてUさんの思いを聞いてみなくては。

L型キッチンに導入したミーレの食洗機
食洗機はミーレの「G7104CSCi」。

そうしてUさんおひとりで電車に乗り継いでいらしてくださっていろいろなお話を聞かせて頂きました。
やはりこうして直接お会いしてお話ができて良かったです。何となく勘違いしていたと思う部分がほぐれていくのが分かりました。
お話の中で興味深かったのは、「家自体は広いのに、ほとんどキッチンがある部屋のみで過ごしてしまう。」とおっしゃっていたことでした。
よくお話を伺うと、リビングは大きなサッシがあってそこからウッドデッキのあるテラスに出られるという心地よさそうな空間に思えるのですが、新築当初はのどかだった近所も、ここ数年でだんだんと周りに住宅が増えてくると、デッキのすぐ向こうの人の往来やまわりの視線が気になってしまうことや、ログハウスならではの出っ張り(ノッチの先端部分の出っ張り)が壁の出隅のあちこちにあるのでどうしても壁の角が生かせなくて、その分部屋が狭く感じでしまうことなど、このような要因があって、本当は広々と過ごせると思える室内が、狭く限られた空間で過ごすばかりになってしまいがちだったのだそうです。」
なるほど、そういうこともあるのですね。
しかし、そうなるとキッチンを作り替えるだけでは暮らしかたを替えることはできないのではないだろうか・・と私は話を一人で飛躍させてしまったのでした。
軒を深くできるような細工を施したり、むしろウッドデッキを縮小して、背の高い植栽を入れてゆるやかに視線を遮ってみたりすることで、キッチンを変えるよりももっと豊かな時間の過ごし方がまれるのではないかとまたまたひとり勘違いの思いで話がそれていってしまったのでした。
あとあと思い返すと、何だか恥ずかしく、Uさんはそういうことも住み始めて10年で体感していらっしゃるだろうから、「そんな話じゃないのにな。」なんて思われていたかもしれません。(笑)
それでもUさん、その話を聞いて自身で気づけなかったことに気が付いたとおっしゃってくださって、今すぐキッチンに手を加えるのではなく、暮らしかたを振り返ってみて、自分の気持ちを整理してみます、ということになったのでした。
「よかったよかった、キッチンのお仕事にはつながらなかったけれど、ひとまずUさんの暮らしかたが良くなったら良いなあ。」なんてのんきに思い違いしていたのがその年の夏の始まる6月の半ばのことでした。

このままお話はどうなってしまうのかしらと思っていたらあっという間に冬に差し掛かろうという時期になり、ふとUさんからメールが届いたのでした。 「イマイ様、以前、夏頃にご相談・見学させて頂きましたUです。 ご連絡が大変遅くなりまして申し訳ありません。キッチンをお願いしたいという気持ちはもちろん変わらずあるのですが、仕事も忙しくなってしまったり、あまりにも悩み過ぎて集中出来ずに決めきれずにいました。すみません。 あれから何度も考えては悩み、これからの生活や自分の居るキッチンを想像してみましたがなかなかはっきり思い描けず、理想だけがどんどん膨らんでしまって完全にキッチン迷子になり考えがまとまらず何度も挫けてしまいましたが,やはりL字型と吊り戸棚の形でお願いしたいと思います。 小さめなカウンターについては未だ悩んでいます。こちらは後ほどまた伝えさせて頂きたいです。 お忙しいとは思いますがこちらは急ぎませんのでまたご相談にのって頂ければと思っております。 また素人の考え、発想なので物理的に無理な事や難しい事がありましたら色々アドバイス教えて頂けましたら幸いです。 絵も分かりにくくわがままな要望ばかりでご面倒おかけしますがよろしくお願い致します。」

ステンレスとブラックチェリーのL型キッチン
吊戸棚はシンプルな4枚扉のデザインでその下にオープン棚を設けています。

そうして再び、以前の形よりも具体的なご要望が書き込まれたUさんのスケッチが届いたのでした。
きちんと書かれているということは、ご自身がその思い描くイメージの中を実際に過ごしたのですね。
私の勘違いもここできちんと終わることができました。Uさんが求めているのは、リビングやデッキで過ごす時間ではなく、心地よいキッチンとダイニングで過ごす時間なのだと、あらためてメールとそのスケッチで気づかされたのでした。
この家でこの場所でずっと心地よく暮らしていくための最初のひとあしがこのキッチン作りだったのです。
いろいろと思い違いがあってすみませんでした、Uさん。
今度はボタンがきちんとはまっているような気がしたのをおぼえています。
ここに来るまで7か月が経っておりました。
さっそくその頂いたイメージをもう少しまとめるために私もスケッチを描いてお送りしました。
少しずつUさんの暮らしが動き始めた感じがしました。

ステンレス板金シンクと洗剤ポケット
食洗機をメインに使うということで、シンクはいつもよりも小振りなサイズに。また水栓器具はまだそれほど古くなっていなかったので、以前のキッチンについていたものを再利用しています。

そして、そのスケッチを基に具体的にお話を進めるにあたりまして、Uさんが再びこちらにいらしてくださることになりました。
ちょうどその一年前にショールームにL型のキッチンを作ったこともあって、実際にL型キッチンの感覚を知ってもらえる良い機会でしたので。
そして、今度はご主人と二人でいらしてくださったのでした。
私はUさんのことをこの時まで勘違いしていたようで、もっとほんわかした人だと思い込んでいたのですが、イメージがまとまってきてその様子をお話する印象は今までの思いとどこか印象が違って、話す様子はとてもきっちりしているのですが、思いがいろいろあってまだはっきりとまとまらなくって、ということでそれが表れた様子でそう思いこんでいたのかもしれません。
Uさんすみません・・。
そして、ご主人はとても物静かなかたで終始隣で話に耳を傾けてくれて、奥様が「ねえ、これで良いかな、どう思う?」と質問しても「君の思うようにするとよいよ。」とにこやかに答えるのでした。
きっと奥様がこういう質問するときはすでに奥様の中で答えが出ている時だって知っているのでしょうね。
そうして、ひとつずつ思い描いていたことや悩んでいたことがクリアになっていって、ひとつの形にまとまっていったのでした。

シンク前のコンセントとタオル掛け
シンク下の様子。L型キッチンということで、このシンク下の右奥がかなり深く開いています。写真に撮り忘れてしまったのですが、中には可動棚があって、ストックしておくものなどがしまわれています。また、この奥に元々壁についていたマルチメディアコンセントがあって、角ログの壁なので、用意にコンセントを移動しづらいということもあり、コンセントはそのままにしてあって、奥にルーターや無線LANなども収納されています。
シンク前のタオル掛け
おもしろいのはこのレール。L型ならではの形となったのですが、このレール、とても長いものをつけていて、L型の角のほうまで延びています。長い布をカーテンのようにかけておいて、普段は目隠しとしていて、ゴミ箱を使うときや物の出し入れをするときだけその布をLの奥の方に開けることで、物の出し入れに不便が無いようにというUさんのアイデア。

さて、今回のキッチンのリノベーションはもちろん私たちだけでは工事を完了させることができないので、いつものようにkotiさんにお声掛けさせて頂いたのでした。
この内装工事ですが、角ログの家ということもあって通常の木造住宅と異なるので、本来でしたら、ここを建てたビルダーさんに内装工事をお願いする方が良いと思っていて、当然そういう形になるかと思ったのですが、Uさんがこの家を新築するときにそのビルダーさんとの信頼関係を築けなかったのだそうです。
その後も小さな修繕工事をお願いした際もやはりその関係は改善されなくて、「できれば別の会社さんにお願いしたいと思っておりまして。」というお話を聞いて、kotiの伊藤さんにちょっと遠いけれど来てくれるかどうか相談に載ってもらったのでした。
遠距離な分、交通費などの経費が高くはなってしまいますが、もちろん大丈夫ですよ。ということでkotiさんのいつものチームで乗り込んで頂けることに。
こういうふうにいつも私たちの仕事を見てくださっている職方さんたちが受け持ってくれるのはとても安心です。

ステンレスバイブレーションのL型カウンターと名古屋モザイクのイリーデ
L型のコーナー部分の天板の様子。ライニングカウンターはこのように納まっています。また、Uさんが悩んだのはこのタイル。今回は名古屋モザイクのイリーデを採用して、立ててイモ張りにして落ち着いた印象で仕上げています。

さて、おおよそ話がまとまったので、伊藤さんと一緒にUさんのご自宅までお伺いしました。
成田にほど近いところにお住いのUさんのところまではなかなか距離がありますね。
周りは緑に囲まれた立地にだんだんと住宅地として造成されてきた一角に角ログのとても雰囲気のあるお宅が見えてきました。
指輪物語のフロドの家みたいな感じでしたね。

「こんにちは、お邪魔します。」
さっそくキッチンを拝見させて頂きました。
今使っているキッチンお解体は特に問題なさそうでしたが、レンジフードが天井の傾斜に少し差し掛かるような感じでついていたので、新しいものに交換するときはちょっと工夫が必要になりそうなことが分かり、今回新たにキッチンの奥にライニングカウンターを設けるのでそれがうまく納まるかどうかを確認しました。
特にログの家は木材の収縮が大きいので、壁の歪みが大きく出ている可能性があります。
キッチン設置の際にもそれが影響しないかどうかが心配でしたが、それほどの動きはなさそうで、もう10年ほど経つということですのでだいぶ落ち着いているのではないかと思われ、設置はスムーズに進めることができそうでした。
また、L型キッチンの醍醐味として、天板を1枚で作りたいところですので、それが搬入可能かどうかも確認しまして、大きな開口のサッシがありましたのでそのあたりも問題なく進められます。
こうして順調に進められることを確認して現地を後にしようとしたときに、「イマイさん、実はこの玄関も。」ということで、新たに玄関周りのご相談もいただいたのでした。
玄関は、パインの集成材で大工さんが棚を作ってあるだけなので質素ではありましたが、Uさんがきれいに季節の小物たちを置いてくださっていたので、その様子でも十分美しいと感じていたのですが、少し前に籐を使った扉を作った話をしたことがあって、それをぜひ玄関に迎えられたらとUさんは思っていたのでした。

ブラックチェリーとステンレスのL型キッチン
ガスコンロ側の全体の印象はこのような感じです。

なるほどすてきな印象になりそうだ、と、この玄関まわりを見てようやくUさんの好みがいまさらながら気が付いたのでした。
最初のメールにも書いてあったのですが、北欧のインテリアの印象が好きだということで、小物だったり家具だったりを少しずつ集めているのだということを今あらためて思い出したのでした。
それなら、チェリーやラタンという印象は素敵に生えると思います。
なるほどなるほど、と一人うなづきながら外に出るとかわいらしい角ログの小屋(といっていいのかな。)が。
先ほど訪ねた時は、慌ただしくなってしまって素通りしていたのですが、この小屋もきれいにお手入れされていて、不思議なたたずまいでした。

「実はここが私の仕事場なんです。ここでヘアサロンを開いていまして。」とにこやかに奥様。
聞くとご主人と二人でいろいろと手を加えてできあがった今のこの形。とても味わいのあるサロンだったのです。
自宅の玄関からサロンまでの草目地が入っている石畳みもお二人でしつらえたということで、とても良い印象です。
「主人もヘアサロンをやっておりまして、主人の仕事場は成田のほうなので、私はここでプライベートサロンのような形で皆さんの髪を切らせてもらっているのです。」

それはすてきなお話です。
こうして、やっとUさんというご夫婦がどのような好みをお持ちなのか、どういう気持ちでこの場所に暮らしていくことを思い描いているのが良く分かりまして、よりキッチンを作りやすくなっていったのでした。

ブラックチェリーのL型キッチンの引き出しの様子
4段の引き出しの最上段。
ブラックチェリーのL型キッチンの引き出しの様子
4段の引き出しの二段目。
ブラックチェリーのL型キッチンの引き出しの様子
4段の引き出しの三段目。
ブラックチェリーのL型キッチンの引き出しの様子
4段の引き出しの最下段。

工事の時期は、私たちがキッチンの制作が完了する時期から逆算して予定を組んで頂いて、現地確認をした冬から少し季節が変わって、初夏に差し掛かる5月の終わりごろに行なうことが決まりました。 その時期までに制作が完了するように、今回はワタナベ君が制作に取り掛かってくれました。 今回は表面にブラックチェリーの無垢材を使うことになりましたので、当然板の動きが出るところが一番心配な部分ですので、時間に余裕を持たせて、様子を見ながら加工を進めていきました。

ガスコンロ下のスライドバスケット
ガスコンロ下の様子。今では廃番になってしまった前板を取り付けることができるタイプのハーフェレのスライドバスケットの上段。
ガスコンロ下のスライドバスケット
こちらは下段。

こうして、順調に制作が終わるタイミングでkotiさんが解体作業を進めてくださって、配管に切り回しも問題なく完了。そのタイミングでいよいよ設置工事に乗り込みます。
L型の天板とキッチンキャビネットがうまく積み込めるか心配でしたが、そちらもどうにかクリアできて、ワタナベ君、タケイシさん、助っ人として元スタッフで今は独立して頑張っているコバヤシ君、そして搬入とおさまりの確認をするために私が、という4人で向かいます。
当日は好天に恵まれまして、サッシを解放したままでもとても心地よい風が入り込んでくる、すてきな取付日和でした。 Uさんはサロンにお客様がいらっしゃるので、その準備をしながらも作業を見守ってくださり、私たちも順調に搬入を終えることができたのでした。
そのあとは、配管の様子を確認して、問題なく進められることが分かりましたので、3人に設置作業を任せて、泊りがけで無事に設置が完了したのでした。

その時の様子
「5月23日 ブラックチェリーのL型キッチン」
https://www.freehandimai.com/?p=56373

ブラックチェリーのL型キッチンの調味料引き出しの様子
調味料用の引き出しの最上段。
ブラックチェリーのL型キッチンの調味料引き出しの様子
調味料用の引き出しの二段目。
チェリーのキッチンの調味料用の引き出し
調味料用の引き出しの最下段。

そして、後日kotiさんのほうで給排水やガスのつなぎを行なってもらって、そのあとにUさんがオイル塗装を行なって、無事にすべてが完了したのでした。
後日、挨拶に伺わせて頂きました。

その時の様子
「6月19日 ブラックチェリーのL型キッチン」
https://www.freehandimai.com/?p=56486

そして、Uさんからうれしいお便りが届きました。
「お世話になっております。
先日はいろいろお世話になりありがとうございました。
今日、伊藤さんにも残りの作業を行なって頂いて無事に全て終わりました。
オイルを塗ってより素敵になりましたね。と言って頂けました。
本当に毎日ほぼキッチンダイニング空間で過ごしているのでとても快適でうれしい限りです。
素敵な猫用ご飯台もありがとうございました。私達も猫達もお気に入りです。大切に使わせて頂きたいと思います。
なんだか最適な言葉がみつかりませんが・・・、めぐりめぐってやっとめぐり逢えたと言いますか、やはりfreehandimaiさんにお願いしてとても良かったです。今井さん,奥様をはじめ制作スタッフの皆様,伊藤さんや工事をして頂いた方々にも諸々大変お世話になり本当にありがとうございました。どうぞよろしくお伝えください。
またこの小さな家の素敵なお気に入りキッチンダイニングで暮らしていっていろいろと感じたり考えが変わったりした時にお世話になると思います。
その時はまた懲りずによろしくお願いいたします。ありがとうございました。」

クルミと籐の玄関扉
こちらが追加でご相談頂いていた籐を張ったクルミの扉。
クルミと籐の玄関扉
通気性を考えるとこの籐を張るというのは最適なのかもしれません。
天板 ステンレスバイブレーション
前板・扉 ブラックチェリー板目無垢材
本体外側 ブラックチェリー板目突板
本体内側 ポリエステル化粧板
塗装 オイル塗装仕上げ
キッチン仕上げ

ブラックチェリー無垢材とステンレスバイブレーションのL型キッチン

価格:2,020,000円(制作費のみ、塗装費、設備機器費用は別)

 

クルミと籐の玄関扉4枚

価格:250,000円(制作費のみ、塗装費、設備機器費用は別)

 
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は120,000円から、取付施工費は240,000円から)

Sさんのブラックウォールナットのキッチンと背面収納

Category : 日記「自由な手たち」

Sさんのキッチン設置作業が先日の月曜日でひと段落。あとはダイニング側の扉の加工が終わったら再設置してすべて終わる予定です。

今回はブラックウォールナットを使ったのですが、通常はこのくらいの濃さが出ないことが多く、今回もとても表情の良い板でしたが、室内全体のバランスを取るということでかなり濃く着色しています。

オイル塗装でこの濃さを出すこともできるのですが、ウォールナットのような散孔材は色の吸い込み方にばらつきが多くて、かなり色ムラができてぼつぼつした見た目になってしまうことが多いのです。

今回はお世話になっている塗装の大垣さんからご紹介頂いたお仕事ということもありまして、塗装は大垣さんに一任しまして、このようなしっとりした濃さに仕上げて頂きました。ムラが出ないようにするには、板に直に着色するというよりは調色したトップコートを塗布していくことでしみこませるというよりは色を上にのせて仕上げていく感じで行なうのですが、あまり厚く塗りすぎると木の質感が無くなっちゃうので、そのあたりのバランスは塗師さんの感覚です。

制作は最近手の込んだ形を多く手掛けているワタナベ君。特殊な形をした引き出しだったり、吊元が留めになった扉の細工があったりと、今回もきれいに仕上げてくれました。

リノベーションの施工は、今回のSさんがきっかけであらためてお知り合いになれた寒川の椎谷建設さん。うれしいつながりです。

コーヒータイム

Category : 日記「自由な手たち」

2023年11月22日

我が家のコーヒータイムのキッチンの様子。

昔、コーヒー豆の保存容器を購入した時に、野田琺瑯のものにしたのですが、真っ白であまりにもシンプルなので、娘たちに油性マジックで絵を描いてもらったのです。「どうせ消せるから。」と自由に。

使っているうちにお気に入りになって、娘たちも大きくなって、

大きくなった今では、こういうタッチの絵はもう描けないよなぁと愛おしくなって、

結局消えないようにと気を付けて使っているのです。

一緒に過ごせる時間が当たり前とは思わずに、でも離れる時は、ちゃんと送り出さないといけないですよね。

人生ってそういうことなのだな、とぼんやり考えたコーヒータイムなのでした。

きゅるきゅるきゅる

Category : 日記「自由な手たち」

2023年11月19日

びゅうびゅうびゅう

夜遅く、玄関先に音がする

きゅるきゅるきゅる

何かがきしむ音がする

きゅるきゅるきゅる

おや、誰かいるのかしら

ばたん、外には誰もない

きゅるきゅるきゅる

おや、モミジの枝が言っていた「メダカの囲いが風で飛んじゃいそうだよ。」

いけないいけないありがとう

セラミックとクルミのセパレートキッチン

Category : 日記「自由な手たち」

2023年11月16日

遠方から湘南に引っ越しされる予定のOさんは、こちらのほうまで来られる機会が少ないので、まずは写真でお知らせ。

ワークトップにはデクトンの「エドラ」を使い、キャビネットはクルミ板目無垢材で制作しています。

あらためてIさんこんにちは。

Category : 日記「自由な手たち」

2023年11月13日

追加加工を施した部材を準備して再びIさんのところに。

無事に取付できてほっとひと安心。キッチン作りは、同じような形に思えてもすべてが少しずつ違っているので、部材一つ作るのに試行錯誤しながら進んでいくのです。

いつもにこやかに笑っていらっしゃる奥様から「とても快適に使っていますよ!」とエールのようなすてきな言葉を頂きました。

こうしてみると、コンパクトなキッチンにいろいろなIさんの思いを詰め込んだ形がきれいにまとまりましたね。初めて使うコンロだったり、キッチンとダイニングから使える水切りがあったり。使っていて楽しむ様子が目に浮かびます。

一番最後の写真はリフォーム前にkotiさんにお伝えするのに撮らせてもらった当時のキッチンの写真。前のキッチンの印象もとても温かみがあってすてきでしたが、こうして木に囲まれたキッチンはIさんのキャラクターも相まって温かさというかよりぬくもりに溢れているように思えます。

ありがとうございました。また使い込まれた様子を拝見させて頂く機会が来ることを楽しみにしております。

デクトンとクルミの食器棚

Category : 日記「自由な手たち」

錆色かかったケラニウムというカラーのセラミックを天板に使った食器棚を作らせて頂きました。

本体はクルミの無垢材を使いたいっていうお話はもうYさんの頭の中で初めから決まっていたのですが、天板をどれにするかはなかなか迷いながらもようやくこのカラーにまとまりました。

キッチンの対面カウンターがモールテックスだったり、ダクトレールはつやのない黒いものだったりと、全体的にトーンを落とした空間でこの食器棚がどのような印象になっていくのかは次回1ヶ月くらい経った頃にまだあらためて拝見させて頂こうと思っております。

楽しみにしております。

Iさんこんにちは

Category : 日記「自由な手たち」

2023年11月9日

「こんにちはIさん。何度もお邪魔致します。」

先日設置工事が完了したIさんのキッチン。とてもきれいに使ってくださっていてとてもうれしくなったのですが、ちょっとメンテナンスが必要がところが出てきまして再びお伺いしたのです。ご不便をおかけしてすみません、Iさん。

「いいんですよ、何度でも来てくださいね。」なんて奥様はおっしゃってくださるけれど、早くきちんと完了させないといけません。

私が作業している間にアキコからステンレスのお手入れ方法をIさんにお伝えして、残りは次回。何事もバランスを取ることは難しい。次はきれいに仕上げますので、Iさん、今しばらくお待ちくださいませ!

そのあとは、来週設置工事に入らせて頂く川崎のSさんの現場の下見に。今回、ご縁があって同じ寒川の椎谷建設さんが施工会社さんでして、私の父の頃は少しお付き合いがあったようなのですが、私はまだ面識がなくて、この度初めてお仕事させて頂けることがうれしいのでした。

現場のほうも予定通りに仕上がっていて、問題なく設置が進められそうで安心です。

お味噌完成

Category : 日記「自由な手たち」

2023年11月5日

1月に仕込んで6月に天地返しをしたお味噌。そろそろ食べられる頃だろうということで、容器から出してみました。

今年初めて縁側の下で保管してみましたので、例年よりも激しいカビの発生が予想されました(笑)。それを一人で開けて「ぎゃー!」と言ってもつまらないので、家族の誰かを道連れにしているのですが、今年はチイが蓋を開けてくれました。黒い点々と白いもくもくカビは付いていましたが、きれいに取り除いた下には、お味噌ができあがっていました。ちゃんとできていてよかったです。

1キロの大豆から約4キロ出来上がるということで、我が家は3か月持てばいい方、という量です。

flameさんのペンダントライトにつぶした大豆を飛ばしながら、家族みんなで仕込んだ時の様子を知りたい方はこちらをどうぞ。

早速、豆腐とわかめのお味噌汁にして食卓へ。

またチイも来年手伝ってくれるという会話をしながらの夕食でした。

こういうことがうれしいですね。

ステンレスバイブレーションとナラのI型キッチンと背面食器棚

Category : 日記「自由な手たち」

2023年10月31日

内田雄介さんからご依頼頂いていたH様邸のキッチンの設置が今日で無事に完了。

「階段の設置が予定よりも後ろにずれちゃってね。」と監督さんから聞いていたのですが、かえってそのおかげで、ステンレスカウンターを屋内からどうにか搬入することができて、私たちにとっては良い状況だったのです。もし、屋外からの荷揚げとなると腰高窓とその手前に張り出した屋根があるから、なかなか困難だなあと思っておりましたので。

あとは現場のほうは、監督さんの細かい気配りと大工さんのとても丁寧な仕事のおかげで、とても納まりよく設置することができたのでした。何というか細かい部分がとてもきれいだったのです。例えば、まず目についたのが、巾木でした。先行して巾木が取り付けられているので、キッチンや食器棚のほうで逃げられるようにカットするのですが、その巾木の採寸をしている時に、もちろん大工さんの手作りなのですが面取りの具合とか接地している床との納まりが、内田さんのきめ細かい設計の印象と相まって、一目見るだけで「きれいだなあ。」って思ったのです。

そういう現場ってやっぱりきれいです。

内田雄介設計室

http://u-architect.jp/

ナラのキッチン対面カウンター収納

Category : 日記「自由な手たち」

2023年10月29日

今日はアキコと2人で、先日カウンター下収納を納品したTさんの所にご挨拶に伺ってきました。

「音がいいんですよ。」とTさん。

敷居を滑る引き戸が立てるススゥーという音が微かにリビングに流れます。

「今の引き戸って、機能的になっているから上から吊り下がっている滑車がレールを滑る音はよく聞くのですけれど、こういう懐かしく心地良い感触がとてもうれしくて。」

「ガラスの揺らぎもね、こういう映り方をずっと待ち望んでいたんです。」

なるほど、家具が与えてくれるのは機能的な暮らしやすさよりも心地よい感覚だという言葉は何よりもうれしく私に響いたのでした。

クルミのオープンキャビネット

Category : 日記「自由な手たち」

2023年10月28日

Sさんのクルミのキャビネットの納品でした。今回も先日の葉山のIさんに続いてヒロセ君の制作。

Sさんのところに向かう途中に話をしていると、「年を重ねるごとに物作りのに対する興味がどんどんわいてくるんですよ。」と、ヒロセ君。うらやましく頼もしい言葉じゃないですか。

今回のキャビネット自体はクルミで作ったのですが、棚板はSさんが新築時に建具に使って余ってしまっていたというベイスギを活用しています。良い具合に鉄骨階段の下に納まってひと安心。

こうして少しずつアトリエが彩られていくのですよ。

「イマイさん、ちょっと見ていってもらえますか。」と納品後2階に案内されまして。

次はあのチェリーのL型キッチンの隣に何か作りたいものがあるそうで、楽しみにしております。

キッチンの表情がとても深みが出ていてうれしくなりました。

「杉並モダニズム」杉並 S様

https://www.freehandimai.com/?p=54646

ナラのL型キッチンの設置が無事に完了

Category : 日記「自由な手たち」

葉山の森戸海岸から富士山がよく見える場所にお住いのIさんからL型キッチンのご相談を頂いたのはまだ春のころでした。

2階にキッチンがある間取りで、元々のキッチンもL型のものが入っていたのですが、もちろんL型の天板は2分割で作られていて、新たにキッチンを作る時もそれに倣って分割になってしまうと思います、というお話をさせて頂いた時に、Iさん少し寂しそうに、「やはりそうですよね。」という表情をされましたので、どうにかL型一体でやってみようかなというところから始まったのでした。

間口一間の中にサッシが入っているバルコニーには、腰高の手摺があるし、サッシの高さも通常の高さでしたので、この日を迎えるまではハラハラしていて、荷揚げ当日もお天気には恵まれましたが、どうしてもLの先端(シンクがある部分から)揚げる形になるので、そちら側を担当したワタナベ君が、「おっ、ちょっと掴みきれない。ちょっと待ってください。」と言った時には、これは揚がらないのか・・、と不安がよぎったわけですが、下にいたヒロセ君も上がってきてワタナベ君側を補助して、タケイシさんは下でサポートしてくれてどうにか上がったのでした。

内装工事はいつもお願いしているkotiさん。大工さんも設備屋さんも電気屋さんもいつもおなじみの皆さんですので、仕事がしやすくて大変助かります。

今回は、なぜが元々の配水管が不思議に振られて施工されていたので、それを直しつつ、ちょっと特徴的な整水器を入れるので、それが給水管と干渉しないような配管計画を立てていたので、少し配管が複雑だったのですが、伊藤さんと設備屋さんが悩みながらもきれいに施工していてくれたので、設置はスムーズでした。

こういう呼吸の取り方ってやはりいつも良い仕事をしてくれていて、その方々と私たちも分かり合えているからこそできることだと思うのです。

最近はリフォームのお話を頂くことが多いのですが、やはり最近の事情でどうしてもコストが上がってしまうのが難しいところで、お金というのは一番大切な部分なのですが、内装工事も相見積になってしまうこともあったりして、低価格でよい仕事をしてくださる方々なら良いのでしょうけれど、今までもそういうクセのある施工業者さんの現場に立ち会ったことがいくつかありましたので、コスト最優先となると少し身構えてしまうところがあったりします。話がそれてしまってすみません・・。

今回の制作担当はヒロセ君。

結構複雑な納まりだったのですが、26日と27日の二日間かけて設置は無事に完了。

あとはkotiさんのほうで給排水とガスと電気をまとめてもらって完了します。

今回はキッチン周りだけのリフォームでしたので、Iさん住みながらの工事で、ご不便をおかけすることになってしまいましたが、奥様が終始笑顔で見守ってくれていたのがうれしい空気でした。

また、来月に新たなキッチンを使い始めたころにあらためてご挨拶に伺わせて頂きます。

よろしくお願いします。

タモの座卓

Category : 日記「自由な手たち」

2023年10月26日

5年前に逗子のAさんのご新居にチェリーのセパレートキッチンを作らせて頂いたのですが、その時の設計士さんが突然(なかなか思い出せずに失礼しました)お電話くださいました。

「今、設計を進めている方がダイニングテーブルを希望されていてね、イマイさんのことを思い出したのですよ。」とうれしいご連絡。

そのお客様であるUさんのご新居が昨日お引き渡しということで、タモ柾の座卓を納品してきたのです。

「健康は足腰からっていうでしょう。だから、こうして床座から立ち上がることを毎日続けることが大事なのですよ。」とUさんがおっしゃっていました。と納品後に制作を担当したタケイシさんがうれしそうにそう報告してくれました。

そういえば打ち合わせの時も、Uさんとても快活にそうおっしゃっていたなあ。

たしかに食卓を座卓にされることってなかなか少なくなってきましたものね。日本的な生活様式は理にかなっているのかもしれません。

そういえば、私はベッドが苦手なので布団です。アキコもそれに付き合ってもらっていますが、娘たちはベッドだなあ。